説明

遠隔電気刺激装置

【課題】電気刺激で使用する吸着導子は導子を押し当てるだけで吸着させることができるため取扱いが簡便である。
しかし、導子の厚みが厚いため、服と皮膚の間に滑り込ませて装着させるには装着し難い。また、重量が重いため、治療中に脱落し易い。
【解決手段】一方にほぼ円形の開口部を有し、他方を密閉し、円筒状の導子カバー(1)の上部端部に空気が通過できる程度の間隙部を設けて電極(2)を設置し、前記導子カバー(1)の側面上端部の側面に中空の接続パイプ(3)を貫通させて設け、前記電極(2)と前記接続パイプ(3)を電気的に接続し、前記導子カバー(1)の上部に設けた間隙部と外気を空気回路で接続し、前記導子カバー(1)内に吸水したスポンジを収納できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気刺激装置の出力を生体の供給する導子、特に吸着導子に関する。
【背景技術】
【0002】
電気刺激装置は、生体を電気刺激する電気刺激信号を発生し、これを皮膚表面に貼付した電極を介して生体に供給し、電気刺激をおこなう。
電極は、電気刺激装置の出力部に電極コードを介して接続される。電極コードと電極を合わせて導子と称する。
【0003】
吸着導子は、図2に示すように、電極10を円形の開口部を有する吸引カップ1(3)で覆い、吸引カップ1(3)の内部空間と装置に設けたポンプを空気回路で接続し、吸引カップ1(3)の開口部を生体の皮膚表面に密着させて電極を密封し、ポンプを作動させて吸引カップ1(3)内の空間の空気を吸引して陰圧にし、電極を生体表面に吸着させ、その状態で電気刺激信号を供給して電気刺激をおこなうようにしたものである(例えば特許文献1など)。図2は特許文献1の図2である。図2には記載していないが、吸引カップ1(3)の内部には水を十分に含ませたスポンジを収納しており、吸引カップ1(3)を吸着させたとき、電極からスポンジを介して、生体に刺激電流を供給するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−204788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の吸着導子は、図2に示すように、開口部の形状が直径が数cmのほぼ円形で、2〜3cm程度の厚さのスポンジを収納できる深さを有する吸引カップ1(3)と、空気回路と電気回路を内蔵し、導子部を手で持って操作できるようにした保持用筒部6から構成される。
このため、導子(吸引式電極)Dは開口部から高く、且つ、導子(吸引式電極)D全体の重量に対して保持用筒部6の重量は大きい。電気刺激では肩痛や腰痛のように、服の内部を刺激したい場合が多い。しかし、前述のように、開口部から保持用筒部6の頂上までの高さが高いため、導子を服の中に入れて吸着させようとしても入り難く、吸着させることが困難な場合が多い。
また、保持用筒部6の重量が大きいため、吸着が外れて導子が治療途中で脱落していまい、治療を中断することが多い。
本発明はこのような従来の吸着式の導子の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明では、
一方にほぼ円形の開口部を有し、他方を密閉した、円筒状の導子カバー(1)と、
前記導子カバー(1)の上部に空気が通過できる程度の間隙部を設けて電極(2)を設置し、
前記円筒状の前記導子カバー(1)の側面上端部に中空の接続パイプ(3)を貫通させ、
前記電極(2)と前記接続パイプ(3)を電気的に接続し、前記導子カバー(1)の上部に設けた間隙部と外気を空気回路で接続し、
前記電極(2)と電気刺激装置の出力部とを電気的に接続できるようにし、
前記導子カバー(1)の内部と電気刺激装置内に設置したポンプを空気回路で接続できるようにし、
吸水したスポンジを前記導子カバー(1)内に収納できるようにした。
【0007】
このため、本発明の吸着導子を導子カバー(1)の開口部を所望の皮膚表面に接触させ、前記ポンプを作動させて導子カバー(1)内部を陰圧にして皮膚表面に吸着させ、電気刺激装置から電気刺激信号を出力すると電極(2)から生体に電気刺激信号を供給して生体を電気刺激することができるようにした。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明の吸着導子は、ほぼ円形の開口部を有する導子カバー(1)の上部に、空気が通過できる程度の間隙部を設けて電極(2)を設置し、導子カバー(1)の側方から前記間隙部に開口する中空の接続パイプ(3)を設けて、前記接続パイプ(3)を介して電極(2)と電気刺激装置の出力部を電気的に接続し、同時に前記接続パイプ(3)と電気刺激装置内に設置したポンプを空気回路で接続し、導子カバー(1)に吸水したスポンジを収納できるようにしたものである。
このため、導子カバー(1)の開口部を皮膚表面似接触させて導子カバー(1)に空気回路で接続したポンプを作動させると、導子カバー(1)内部を陰圧にして皮膚表面に吸着させることができる。
【0009】
また、導子カバー(1)内に設置した電極(2)と電気刺激装置の電気刺激信号出力部を電気的に接続しているため、電気刺激装置から電気刺激信号を出力すると、生体を電気刺激することができる。
さらに、導子カバー(1)は、従来の導子で設けていた保持用円筒(図2の6)を必要としないため、導子全体の厚さ(開口部から導子カバーの上端までの厚さ)が薄くなり、重量が軽量化された。
このため、導子は脱落し難くなり、少ない吸引圧で吸着させることができる。従来の導子は重くて厚かったため、導子を吸着させるのに強い吸引圧を必要としていた。吸引圧が強いと、不快感や痛みを生じることもあり、吸着後に強い瘢痕(吸着痕)ができるという不都合もあった。
本発明はこのような従来吸着導子の問題を解決することができた。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、実施例により、本発明を説明する。
【実施例】
【0011】
本発明の実施例を図1に示す。図2(A)は導子の正面図、(B)は底面から見た図である。
図の1は導子カバー、2は電極、3は接続パイプである。
導子カバー1は開口部が円形の円筒状であり、上面は密封している。この導子カバー1の上端近傍に孔を設けて接続パイプ3を貫通させている。接続パイプ3は中空で、空気回路を構成する。また、接続パイプ3は一部又は全部に導体を用いて、外部と電気的に接続できるようにしている。
導子カバー1の上端部に薄い導体の電極2を設置している。電極2と接続パイプ3は電気的に接続している。また、電極2と導子カバー1の間には空気が通過する空隙を設け、接続パイプ3から導子カバー1の内部の空気を吸引できる。
【0012】
導子カバー1の開口部と電極2の間に、吸水させたスポンジを収納することができる。
前記接続パイプ3には、図には記載していないが、これと嵌合するパイプを有する、図2の外部コネクタ(図2の40)に示すような、コネクタを有する接続コードと接続できるようにしている。この接続コードは、電気的に電気刺激装置の電気刺激信号出力部と接続されており、パイプは電気刺激装置の内部に設置されたポンプと空気回路で接続される。
このため、電気刺激装置に接続した接続コードと本発明の導子の接続パイプ3を接続すると、電気的には電気刺激装置の出力信号出力部と電極2が電気的に接続され、電気刺激装置内部に設置されたポンプと導子カバー1の内部空間とが空気回路で接続される。
【0013】
このため、導子カバー1に十分に吸水させたスポンジを収納し、電気刺激装置に接続した接続コードと本発明の導子の接続パイプ3を接続し、電気刺激装置内部に設置されたポンプを作動させると、導子を皮膚表面に吸着させることができる。導子を皮膚表面に吸着させると、皮膚表面と電気刺激装置の刺激信号出力部が電気的に接続されるため、電気刺激装置を作動させると、設定した電気刺激条件で、生体を刺激することができる。
導子カバー1は厚みが薄いため、着衣のままで、肩や腰に簡単に挿入して、所望の治療部位に簡単に吸着させることができる。また、導子の重量は、従来の同士よりも軽いため、治療中に脱落することは少なくなる。このため、吸引圧を小さくすることができ、吸着後の瘢痕は非常に少なくなる。
【0014】
なお、図1(A)に示すように、開口部で導子カバー1の端部を、内側に曲げている。これは、吸着時の圧力を分散させて集中を無くすためにしているもので、吸着時の不快感や痛み、瘢痕を少なくするという効果を有する。
図1では、導子カバー1内に1個の電極を設けている。しかし、電極を複数個設けてそれぞれを電位的に絶縁し、接続パイプ3に複数の導線をそれぞれを絶縁して設け、導子カバー1内の電極と接続パイプ3の導線をそれぞれ分けて接続し、電気刺激装置に接続した接続コードにも複数の導線を設け、各導線は電気刺激装置の別々の伝刺激信号出力部に接続すると、1組の導子を用いて、複数の電流を流すことができる。電気刺激装置の別々の伝刺激信号出力部から、周波数が数千Hzの周波数が僅かに異なる正弦波電流を出力すると、本発明による複数電極を内蔵した1個の電極で、干渉低周波治療をおこなうことができる。干渉低周波治療器は僅かに異なる複数の電流を同時に生体に流し、生体内で発生する干渉低周波で生体を刺激するものである。このため、干渉低周波治療器では最低でも4個の電極を必要とし、最低でも4個の瘢痕が残っていた。
【0015】
これに対して、本願発明の導子に2つの電極を収納し、2組の電流を流すと、瘢痕が残る可能性があるのは半分の2個になり、しかも殆ど瘢痕は残らないというメリットがある。しかも従来の干渉低周波治療器では、導子の数が多いため、導子が脱落する可能性が高かった。本発明の導子を干渉低周波に用いると、脱落防止という面からも、医療効率を低下させることは少ない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の導子の例であり、(A)は正面図、(B)は底面図である。
【図2】従来の吸着導子の例である。
【符号の説明】
【0017】
1:導子カバー 2:電極 3:接続パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方にほぼ円形の開口部を有し、他方を密閉した、円筒状の導子カバー(1)と、
前記導子カバー(1)の上部に空気が通過できる程度の間隙部を設けて電極(2)を設置し、
前記円筒状の前記導子カバー(1)の側面上端部に中空の接続パイプ(3)を貫通させ、
前記電極(2)と前記接続パイプ(3)を電気的に接続し、前記導子カバー(1)の上部に設けた間隙部と外気を空気回路で接続し、
前記電極(2)と電気刺激装置の出力部とを電気的に接続できるようにし、
前記導子カバー(1)の内部と電気刺激装置内に設置したポンプを空気回路で接続できるようにし、
吸水したスポンジを前記導子カバー(1)内に収納できるようにした、吸着式導子。

【図1】
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【図2】
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