説明

適応的ベースライン補償のためのシステム及び方法

本発明の様々な実施形態は、磁気記憶装置における低周波損失を削減するシステム及び方法を提供する。例えば、いくつかの実施形態は、入力回路、処理回路、データ検出回路、及びベースライン補償回路を含むデータ処理回路を提供する。入力回路は第1のデータ入力を受信し、第2のデータ入力を与える。入力回路は第1のデータ入力中に呈示される低周波エネルギーを第2のデータ入力から取り除く。処理回路は第2のデータ入力の表現を生成し、データ検出回路は、第2のデータ入力の表現に少なくとも部分的に基づいて第1のデータ入力の表現を生成する。ベースライン補償回路は、いくつかのビット周期に渡る第1のデータ入力の表現と第2のデータ入力の表現との間の累積差分を算出し、累積差分に少なくとも部分的に基づいて補償係数を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報を転送するシステム及び方法に関し、より詳細には、記憶媒体から情報を転送するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の記憶装置では、情報は磁気記憶媒体上に縦に記録される。縦記録シナリオにおいて、データ検出プロセスはデータ遷移を重視する。従って、磁気記憶媒体から検知される信号の低周波成分(どのDC成分も含む)は情報を伝えないので削除してよい。さらに、書込みから読取りへの高速回復のために、データ検出システムに関連づけられた前置増幅器内に高域通過フィルタを提供することが望まれる。
【0003】
データ検出が遷移を重視する縦記録とは対照的に、より新しい垂直記録シナリオでは、磁気記憶媒体から検知された磁界の規模によって情報が収容される。このようなケースでは、高域通過フィルタの使用により、磁気記憶媒体から検知された一部の情報が削除される可能性がある。さらに、ディスクフォーマット効率のために低いコーディングオーバーヘッドが求められるので、RLLエンコードを用いた低周波成分の検出を可能にする能力は制限される。場合によっては、上述した低周波エネルギー損失の結果、垂直記録手法を用いる装置における信号対ノイズ比はより低くなる。従来のデータ検出システムは検出ビットから導出される誤差フィードバック信号を使用して、スペクトル不整合補償回路を駆動していた。このような手法は高域通過フィルタによって削除されるより低周波の情報を保存するのに用いることができるが、このような手法はフィードバック誤差信号を駆動するための検出データビットから導出されるDC及び低周波エネルギーに依拠する。このような手法では待ち時間が大きな問題となり、最終的にはDC及び低周波エネルギーを取得するいかなる能力も制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、少なくとも上述した理由により、当該分野において、記憶媒体にある情報にアクセスする高度なシステム及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は情報を転送するシステム及び方法に関し、より詳細には、記憶媒体から情報を転送するシステム及び方法に関する。
【0006】
本発明の様々な実施形態は、前置増幅器、アナログ−デジタル変換器、データ検出装置、及びベースライン補償モジュールを含むデータ処理システムを提供する。前置増幅器は記憶媒体から導出される入力信号を受信し、入力信号を増幅して増幅信号を生成する。増幅信号は入力信号中に呈示されるいくらかの低周波エネルギーを含まない。このシステムは増幅信号を対応するデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換器をさらに含む。デジタル信号は検出アルゴリズムを実装するデータ検出装置に与えられ、結果として検出データ出力を生じる。検出データ出力は入力信号を表す。ベースライン補償モジュールはデジタル信号と検出データ出力との間の差分を累積し、累積差分に基づいて補償係数を算出する。合算要素は補償係数を増幅信号と集計する。
【0007】
上述した実施形態のいくつかの事例では、デジタル信号はデジタル有限インパルス応答フィルタを使ってフィルタ処理される。上述した実施形態の様々な事例では、累積差分は、それぞれのビット周期に検出データ出力で除算されたそれぞれの各ビット周期の差分を除算し、いくつかのビット周期に渡る除算の解を加算することによって累積される。場合によっては、ビット周期の数は記憶媒体のセクタのビット周期の数に対応する。上述した実施形態のいくつかの事例では、累積差分は、それぞれの各ビット周期の差分をそれぞれのビット周期の検出データ出力で除算し、いくつかのビット周期に渡る除算の解を加算することによって累積される。上述した実施形態の様々な事例では、累積差分は、それぞれの各ビット周期の差分をそれぞれのビット周期の検出データ出力の符号で乗算し、いくつかのビット周期に渡る除算の解を加算することによって累積される。場合によっては、検出データ出力の絶対値がそれぞれのビット周期の閾値未満の場合、累積差分は乗算の積を含まない。
【0008】
本発明の他の実施形態はベースライン補償を実施する方法を提供する。本方法は第1のアナログ入力信号を受信することを含む。第1のアナログ入力信号は高域通過フィルタ処理された第2のアナログ入力信号に対応する。第1のアナログ入力信号はデジタル信号に変換され、デジタル信号に対してデータ検出が実施されて、検出データ出力が与えられる。デジタル信号と検出データ出力との間の差分が算出され、差分は累積差分と集計されて、差分累積が生み出される。低域通過フィルタの極が差分累積を使って修正される。上述した実施形態のいくつかの事例では、本方法は、第1のアナログ入力から除去された低周波エネルギーが復元されるように、低域通過フィルタから導出された出力を第1のアナログ入力と集計することをさらに含む。
【0009】
上述した実施形態の様々な事例では、差分は、検出データ出力からデジタル信号を減算し、その結果を検出データ出力で除算することによって算出される。場合によっては、差分は、検出データ出力からデジタル信号を減算し、その結果を符号検出データ出力で乗算することによって算出される。特定の場合では、結果は、検出データ出力の絶対値が閾値を超えるときに、累積に組み込まれるだけである。1つ以上の場合において、差分累積が減衰係数で乗算されて、減衰差分係数が作成され、低域通過フィルタの極の修正が減衰差分係数を使って行われる。
【0010】
本発明のさらに他の実施形態は、入力回路、処理回路、データ検出回路、及びベースライン補償回路を含むデータ処理回路を提供する。入力回路は第1のデータ入力を受信し、第2のデータ入力を与える。入力回路は第1のデータ入力中に呈示される低周波エネルギーを第2のデータ入力から取り除く。処理回路は第2のデータ入力の表現を生成し、データ検出回路は第2のデータ入力の表現に少なくとも部分的に基づいて第1のデータ入力の表現を生成する。ベースライン補償回路は、いくつかのビット周期に渡る第1のデータ入力の表現と第2のデータ入力の表現との間の累積差分を算出し、累積差分に少なくとも部分的に基づいて補償係数を算出する。
【0011】
本概要は本発明のいくつかの実施形態の全体的概要を与えるに過ぎない。本発明の他の多くの目的、特徴、利点及び他の実施形態が以下の詳細な説明、添付の請求項及び添付の図面からより十分に明らかになるであろう。
【0012】
本明細書のこれ以降の部分で記載する図面を参照することによって、本発明の様々な実施形態がさらに理解できよう。図面において、同じ参照番号が、いくつかの図面を通して同様の構成要素を指すのに使われる。いくつかの事例では、小文字からなる下位ラベルが、複数の類似構成要素の1つを示すように参照番号に関連づけられる。既存の下位ラベルを特定せずに参照番号への参照が行われる場合、このようなすべての複数の類似構成要素を指すことを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1a】本発明の1つ以上の実施形態による、適応的ベースライン補償を含むデータ検出システムを示す図である。
【図1b】本発明の様々な実施形態によるベースライン補償モジュールを示す図である。
【図2】本発明の様々な実施形態による適応的ベースライン補償手法を説明するのに使われる概念モデルを示す図である。
【図3a】本発明のいくつかの実施形態による、データ検出システム内でベースライン補償を実施する方法を示すフロー図である。
【図3b】本発明のいくつかの実施形態による、データ検出システム内でベースライン補償を実施する方法を示すフロー図である。
【図3c】本発明のいくつかの実施形態による、データ検出システム内でベースライン補償を実施する方法を示すフロー図である。
【図4】本発明の様々な実施形態による適応的ベースライン補償をもつ読取りチャネルを含む記憶システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は情報を転送するシステム及び方法に関し、より詳細には、記憶媒体から情報を転送するシステム及び方法に関する。
【0015】
本発明の様々な実施形態が読取りチャネル回路におけるベースライン補償を提供する。場合によっては、ベースライン補償の適応的性質により、データ検出回路内での前置増幅器の実際の極の場所を知る必要がなくなる。様々な実装形態において、データ検出回路内部での前置増幅器に対する極の場所は概して既知であるが、チップによって、又はシステムによって変わる。本発明の様々な実施形態は、概して既知の極の場所と実際の極の場所との間のいかなる誤差の削減又は削除も自動化する。従って、データ検出性能が向上する。場合によっては、適応的ベースライン補償は、上り検出装置出力及び検出装置誤差に依拠して補償推定値を生成する。場合によっては、どのベースライン補償も1セクタにつき一度だけ更新され、減衰係数によってさらに制限されてよい。このような制限により、望ましくない補正の揺れが回避される。
【0016】
図1aに移ると、適応的ベースライン補償を含むデータ検出システム100が、本発明の1つ以上の実施形態に従って示されている。データ検出システム100は前置増幅器110及び読取りチャネル回路101を含む。前置増幅器110は入力信号105を受信し、増幅信号115を与える。前置増幅器110は信号を受信し、対応する増幅信号を与えることが可能な、当該分野において公知であるどの増幅回路でもよい。本明細書において行う開示に基づいて、本発明の異なる実施形態との関係で使われ得る様々な増幅回路が当業者には認識されよう。場合によっては、入力信号105は、磁気記憶媒体(図示せず)と関係して配置される読み書きヘッドアセンブリ(図示せず)から受信される微小アナログ信号である。微小増幅信号は磁気記憶媒体に予め格納された情報を表す。本明細書において行う開示に基づいて、入力信号105用の様々なソースが当業者には認識されよう。
【0017】
様々な状況において、前置増幅器110は低周波情報の一部を削除する高域通過フィルタ機能を実施する。この低周波情報が必要とされる場合、読取りチャネル回路101は、適応的ベースライン補償を実施することによって低周波情報を再挿入するように動作する。読取りチャネル回路101は増幅信号115を受信する可変利得増幅器120を含む。可変利得増幅器120は当該分野において公知であるどの可変利得増幅器でもよく、本発明の1つ以上の実施形態と関係した使用に適した異なる可変利得増幅器が当業者には理解されよう。可変利得増幅器120は利得調整入力125を与える。利得調整入力125はベースライン補正係数197を加算し、集計信号135を与えるように動作するアナログ合算回路130に与えられる。本発明の特定の一実施形態では、アナログ合算回路135は電気接続である。本明細書において行う開示に基づいて、本発明の異なる実施形態と関係して用いられ得る様々なアナログ合算回路が当業者には認識されよう。注目すべきこととして、後でさらに論じるように、ベースライン補正係数197は入力信号105に元々含まれるが、前置増幅器によって増幅信号115から除去された低周波エネルギーの推定値である。ベースライン補正係数197により低周波エネルギーを再挿入することによって、信号中のいかなるDC増大も制限され、最終的にアナログ−デジタル変換器150に提示される信号が、アナログ−デジタル変換器150の範囲内を中心とすることを保証する。こうすることにより、飽和領域でのアナログ−デジタル変換器150の操作を回避し、そうすることによって、受信データのより正確なデジタルサンプル抽出が可能になることを保証する。従って、前置増幅器110の高域通過フィルタ機能の影響は、アナログ合算回路135を介してベースライン補正係数197を挿入することによって軽減される。
【0018】
集計信号135は、アナログ−デジタル変換器150への処理済みアナログ入力145を引き起こすアナログ処理回路機構に与えられる。アナログ処理回路機構は、当該分野において公知であるように、1つ以上のアナログ補償プロセスを実施することができる。例えば、アナログ処理回路機構140は、当該分野において公知であるような磁気抵抗ヘッド非対称補償回路(図示せず)及び/又はやはり当該分野において公知であるようなアナログフィルタ(図示せず)を含み得るが、それに限定されない。本明細書において行う開示に基づいて、本発明の異なる実施形態と関係して用いられ得る様々なアナログ処理回路機構が当業者には認識されよう。
【0019】
アナログ−デジタル変換器150は、処理済みアナログ入力145をサンプリングし、対応する一連のデジタルサンプル155を与える。アナログ−デジタル変換器150は、当該分野において公知であるどのアナログ−デジタル変換器でもよい。デジタルサンプル155はデジタルフィルタ160に与えられる。場合によっては、デジタルフィルタ160は、当該分野において公知であるようなデジタル有限インパルス応答フィルタである。ある特定の場合では、デジタル有限インパルス応答フィルタは10タップフィルタである。受信入力信号105を表すフィルタ処理出力165が、受信入力に基づいてアルゴリズムにより適正ビット列を判定するデータ検出装置170に与えられる。データ検出装置170は、当該分野において公知であるどのデータ検出装置でもよい。例えば、データ検出装置170は、ビタビアルゴリズムデータ検出装置やピーク検出装置でよいが、それに限定されない。本明細書において行う開示に基づいて、本発明の異なる実施形態と関係して用いられ得る様々なデータ検出装置が当業者には認識されよう。
【0020】
データ検出装置170は、下り処理回路機構に与えられ得る理想出力175(Yidealと呼ばれる場合もある)を与える。さらに、理想出力175及びフィルタ処理出力165はベースライン補償モジュール180に与えられる。ベースライン補償モジュール180は増幅信号115からの低周波エネルギーの損失を適応的になくす。補償出力182は乗算回路190に与えられ、ここで利得補償係数185を乗算される。利得補償係数185は、アナログ処理回路機構140によってデータ検出システム100に導入されるどの利得も補償するように選択される。従って、例えば、アナログ処理回路140が単位元未満の利得をもつ場合、利得係数185は、全体的利得がほぼ単位元となるように、単位元より大きくなる。以下の式は利得補償係数185の値を記述する。
【数1】

利得調整補償出力192はデジタル・アナログ変換器195に与えられる。デジタル・アナログ変換器195は、当該分野において公知であるどのデジタル・アナログ変換器でもよい。デジタル・アナログ変換器195は利得調整補償出力192を補償係数197に変換する。上述したように、補償係数197はアナログ合算要素130を使って利得調整入力125と集計される。
【0021】
図1bに移ると、ベースライン補償モジュール121が本発明の様々な実施形態に従って示されている。ベースライン補償モジュール121はベースライン補償モジュール180の代わりに用いられ得る。ベースライン補償モジュールはYideal入力141及びY入力143を受信する。Y入力143は、Y入力143をYideal出力141と時間整合させるように遅らせる遅延ブロックに与えられる。従って、Y入力143がフィルタ処理出力165に対応し且つYideal入力141がデータ検出装置170の出力に対応する場合、遅延ブロック123によってある期間だけ導入される遅延はデータ検出装置170を通る遅延に対応する。
【0022】
Yideal入力141は合算要素127及び累算器モジュール133両方に与えられる。合算要素127は遅延Y入力129からYideal141を減算して、誤差信号131を作成する。誤差信号131は累算器モジュール133に与えられる。累算器モジュール133は累積を実施し、以下の式に従って調整153を与える。
【数2】

上式で、Lは調整が実施されるビット周期の数である。本発明の特定の一実施形態では、Lはデータセクタ内のビット周期の数に等価である。このような場合では、各調整は単一データセクタに渡って実施される。
【0023】
調整153はq算出モジュール147に与えられる。q算出モジュール147は回路中の前置増幅器又は他の超高域通過フィルタの極に対応する推定q係数149を算出する。推定q係数149は可変q低域通過フィルタ137に与えられる。可変q低域通過フィルタ137は補償出力151を与える。ベースライン補償モジュール121がベースライン補償モジュール180の代わりに使われる場合、補償出力151が補償出力182として与えられる。
【0024】
図2に移り、概念モデル200を使って、本発明の様々な実施形態による適応的ベースライン補償手法を記述する。場合によっては、概念モジュール200に従って、累算器モジュール133とq算出モジュール147の組合せを実装することができる。図示するように、概念モデル200は入力205を受信するターゲット210を含む。ターゲット210は、合算要素220、合算要素270、及び低域通過フィルタ250に分配されるYideal出力215を与える。ノイズ225は合算要素220を介してYideal出力215に加算される。集計された出力280が、合算要素220から、高域通過フィルタ230から与えられる。高域通過フィルタ230はフィルタ処理出力285を合算要素240に与える。補償挿入出力255が低域通過フィルタ255から与えられ、合算要素240に与えられる。合算要素240はフィルタ処理出力285に補償挿入出力255を加算して、出力245を生じ、集計する。集計出力245は、対応するY出力265を生成するアナログ−デジタル変換器260に与えられる。Y出力265は、合算要素270を使ってYideal215から減算されて誤差出力275を生じる。
【0025】
概念上、高域通過フィルタ230によってYideal215から除去されるどのような低周波エネルギーであっても、低域通過フィルタ250によって分離され、補償挿入255として再度加算される。この場合、高域通過フィルタ230は、高域通過フィルタとして動作するどの回路機構にも類似している。従って、データ検出システム100の場合では、高域通過フィルタ230は前置増幅器110に類似している。同様に、低域通過フィルタ250は、データ経路に補償挿入を戻すのに使われる回路機構に類似している。従って、データ検出システム100のケースでは、低域通過フィルタ250は、ベースライン補償モジュール180、乗算器190及びデジタル・アナログ変換器195の組合せに類似している。Yideal215はYideal141に対応し、誤差出力275は誤差信号131と同様であり、フィルタ処理出力165はY出力265に対応する。
【0026】
高域通過フィルタ230の極は以下の式でモデル化される。
q=e−2πfT
上式で、fは高域通過フィルタの中心周波数である。これを用いて、高域通過フィルタ230は以下のようにモデル化することができる。
【数3】

低域通過フィルタ250は、qが
【数4】

で置き換えられる場合、以下のように同様にモデル化することができる。
【数5】

【数6】

の値は、高域通過フィルタ230の極をキャンセルするように適応的に算出される。上述した数学モデルを低域通過フィルタ250及び高域通過フィルタ230に対して使用し、またノイズ225がないと仮定すると、以下の式は誤差出力275対Yideal215の比を表す。
【数7】

【数8】

H(z)はそのピーク応答がDCに非常に近い帯域通過フィルタを表す。
【数9】

のサンプルの比を累積することは、帯域通過フィルタ応答、即ちH(z)を、低域通過フィルタ応答、即ちL(z)で乗算することと等しい。累積比は従って、低域通過フィルタ250に対するqの推定値(即ち、
【数10】

)におけるどの誤差にも比例する値を表す。この誤差値は、
【数11】

をqにすることによって、ゼロにすることができる。
【0027】
ここで、図1bに戻って参照を行うと、累算器モジュール133とq算出モジュール147を組み合わせたものの動作が記載され得る。具体的には、累算器モジュール133は、
【数12】

の比をいくつかのサンプルに渡って算出して、調整153を与える。本発明の特定の一実施形態では、サンプルの数は磁気記憶媒体上のデータセクタ内のビット周期の数に対応する。本明細書において行う開示に基づいて、本発明の異なる実施形態に従って使われ得る異なる数のサンプルが当業者には認識されよう。この累積は、
【数13】

として表される。概念モデル200の考察に合わせて、調整153は、可変q低域通過フィルタ137のqにおける誤差に比例する。この式から、q算出モジュール147は、可変q低域通過フィルタ137に与えられる更新q値(即ち、
【数14】

)を算出することができる。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態は、Yideal141の符号のみを使うことによって、ベースライン補償モジュール121の回路機構を簡素化する。このようなケースでは、調整153の値は以下の式に従って算出される。
【数15】

従って、可変q低域通過フィルタ137によって供給されるqにおける誤差は以下の式で表すことができる。
【数16】

上式で、kは合算が実施される領域を表し、iは領域内の個々のサンプルを表し、Lは領域内のサンプルの数である。本発明の特定の一実施形態では、kはセクタ番号であり、iはセクタ内のビット周期であり、Lはセクタ内のビット周期の数である。従って、一例として、
【数17】

は、第kのセクタ内の第iのビット周期に関連づけられた誤差である。このことから、q算出モジュール147によって算出され、可変q低域通過フィルタ137に与えられるqの値は以下の式によって生じられる。
【数18】

上式で、
【数19】

は、後に続く期間に可変q低域通過フィルタ137に与えられる値であり、
【数20】

は、先行する期間中に可変q低域通過フィルタ137に与えられた値であり、μは、どの時点でも認められる補正の量に応じてプログラムすることができる減衰係数である。減衰係数が非常に大きい場合、可変q低域通過フィルタ137のqを調整するにはかなりの時間がかかり、あったとしても多くのオーバーシュートは呈示しない。対照的に、減衰係数が非常に低い場合、可変q低域通過フィルタ137のqを調整するのに比較的時間はかからないが、何らかの揺れを呈示し得る。本明細書において行う開示に基づいて、特定の設計制約に応じて使うことができるμの様々な値が当業者には認識されよう。kがセクタを表す場合、可変q低域通過フィルタ137に与えられる
【数21】

eの値が各データセクタの末尾で調整される。
【0029】
場合によっては、一方の極性の小絶対値Yideal141が反極性の大絶対値Yideal141を効果的にオフセットする状況を回避するのに、マルチレベル量子化フィルタを使うことができる。例えば、Yideal141の絶対値は、ある一定の閾値を下回る場合、ゼロ値と見なされる。絶対値が一定の閾値を超える場合、Yideal141の符号が累積において使われる。以下の擬似コードはフィルタ処理プロセスを記述する。
調整153をゼロに初期化する;
(i=1〜n)に対して{
【数22】

【数23】


【数24】

【0030】
図3aは、本発明のいくつかの実施形態によるデータ検出システム内でベースライン補償を実施する方法を示すフロー図300を示す。フロー図300に従って、調整値がゼロに初期化される(ブロック305)。この調整値は、データ処理回路の高域通過フィルタ機能によって削除された低周波エネルギーを再挿入するのに使われる可変q低域通過フィルタに対する修正の基礎となる。データ入力が受信される(ブロック310)。このデータ入力は、例えば、磁気記憶媒体から導出されるアナログ入力信号でよい。アナログ−デジタル変換がデータ入力に対して実施され、それに対応する1つ以上のデジタルサンプルが作成される(ブロック315)。
【0031】
デジタルサンプルはデジタルにフィルタ処理されてY出力を作成する(ブロック320)。場合によっては、デジタルフィルタ処理は、当該分野において公知であるようにデジタル有限インパルス応答フィルタを使って行われる。フィルタ処理出力は次いで、データ検出装置に渡され、この装置は、フィルタ処理されたデータにデータ検出アルゴリズムを適用し、Yideal出力を与える(ブロック325)。データ検出プロセスは、当該分野において公知であるどのデータ検出装置/デコーダを使っても実施することができる。Y出力がYideal出力から減算されて、誤差又は差分を生み出し(ブロック330)、誤差はYideal出力で除算される(ブロック335)。誤差をYideal出力で除算した解はビット周期調整と呼ばれる。ビット周期調整は累積調整値に加算される(ブロック340)。
【0032】
セクタの末尾に達したかどうかが判定される(ブロック345)。セクタの末尾に達していない場合(ブロック345)、ブロック310から345のプロセスは後続のビット周期に対して繰り返される。或いは、セクタの末尾に達している場合(ブロック345)、調整値は以下の式に対応する。
【数25】

上式で、Lは所与のセクタ内のビット周期の数である。この調整値は次いで、可変q低域通過フィルタに対する更新された極を、以下の式に従って算出するのに使われる(ブロック350)。
【数26】

上式で、
【数27】

は、後に続く期間に可変q低域通過フィルタに与えられる値であり、
【数28】

は、先行する期間中に可変q低域通過フィルタに与えられた値であり、μは、どの時点でも認められる補正の量に応じてプログラムすることができる減衰係数である。この更新値は、可変q低域通過フィルタに与えられて、その極を修正する(ブロック355)。次いで、ブロック305から355のプロセスは次のセクタに対して繰り返される。
【0033】
図3bは、本発明のいくつかの実施形態によるデータ検出システム内でベースライン補償を実施する方法を示すフロー図301を示す。フロー図301に従って、調整値がゼロに初期化される(ブロック306)。この調整値は、データ処理回路の高域通過フィルタ機能によって削除された低周波エネルギーを再挿入するのに使われる可変q低域通過フィルタに対する修正の基礎となる。データ入力が受信される(ブロック311)。このデータ入力は、例えば、磁気記憶媒体から導出されるアナログ入力信号でよい。アナログ−デジタル変換がデータ入力に対して実施され、それに対応する1つ以上のデジタルサンプルが作成される(ブロック316)。
【0034】
デジタルサンプルはデジタルにフィルタ処理されてY出力を作成する(ブロック321)。場合によっては、デジタルフィルタ処理は、当該分野において公知であるようにデジタル有限インパルス応答フィルタを使って行われる。フィルタ処理出力は次いでデータ検出装置に渡され、この装置は、フィルタ処理されたデータにデータ検出アルゴリズムを適用し、Yideal出力を与える(ブロック326)。データ検出プロセスは、当該分野において公知であるどのデータ検出装置/デコーダを使っても実施することができる。Y出力がYideal出力から減算されて誤差又は差分を生み出す(ブロック331)。さらに、Yidealの符号が取り出される(336)。Yidealの符号は次いで、誤差で乗算される(ブロック341)。Yideal出力の符号で誤差を乗算した積はビット周期調整と呼ばれる。ビット周期調整は累積調整値に加算される(ブロック346)。
【0035】
セクタの末尾に達したかどうかが判定される(ブロック351)。セクタの末尾に達していない場合(ブロック351)、ブロック311から351のプロセスは後続のビット周期に対して繰り返される。或いは、セクタの末尾に達している場合(ブロック351)、調整値は以下の式に対応する。
【数29】

上式で、Lは所与のセクタ内のビット周期の数である。この調整値は次いで可変q低域通過フィルタに対する更新された極を、以下の式に従って算出するのに使われる(ブロック356)。
【数30】

上式で、
【数31】

は、後に続く期間に可変q低域通過フィルタに与えられる値であり、
【数32】

は、先行する期間中に可変q低域通過フィルタに与えられた値であり、μは、どの時点でも認められる補正の量に応じてプログラムすることができる減衰係数である。この更新値は可変q低域通過フィルタに与えられてその極を修正する(ブロック361)。次いで、ブロック306から361のプロセスは次のセクタに対して繰り返される。
【0036】
図3cは、本発明のいくつかの実施形態によるデータ検出システム内でベースライン補償を実施する方法を示すフロー図302を示す。フロー図302に従って、調整値がゼロに初期化される(ブロック307)。この調整値は、データ処理回路の高域通過フィルタ機能によって削除された低周波エネルギーを再挿入するのに使われる可変q低域通過フィルタに対する修正の基礎となる。データ入力が受信される(ブロック312)。このデータ入力は、例えば、磁気記憶媒体から導出されるアナログ入力信号でよい。アナログ−デジタル変換がデータ入力に対して実施され、それに対応する1つ以上のデジタルサンプルが作成される(ブロック317)。
【0037】
デジタルサンプルはデジタルにフィルタ処理されてY出力を作成する(ブロック322)。場合によっては、デジタルフィルタ処理は当該分野において公知であるようにデジタル有限インパルス応答フィルタを使って行われる。フィルタ処理出力は次いでデータ検出装置に渡され、この装置は、フィルタ処理されたデータにデータ検出アルゴリズムを適用し、Yideal出力を与える(ブロック327)。データ検出プロセスは、当該分野において公知であるどのデータ検出装置/デコーダを使っても実施することができる。Y出力がYideal出力から減算されて誤差又は差分を生み出す(ブロック332)。さらに、Yideal出力の符号及び絶対値が取り出される(337)。次いで、Yideal出力の絶対値が閾値より大きいかどうか(ブロック342)及び/又はセクタの末尾に届いたかどうか判定される(ブロック372)。絶対値が閾値より大きくなく(ブロック342)且つセクタの末尾に達していない場合(ブロック372)、プロセスはブロック312に戻され、ブロック312から342が繰り返される。一方、絶対値が閾値より大きくなく(ブロック342)且つセクタの末尾に達している場合(ブロック372)、プロセスはブロック362に進められて完了する。この際、調整値は以下の式に対応する。
【数33】

上式で、Lは所与のセクタ内のビット周期の数であり、Yidealが閾値を超える場合の成分のみ(即ち、Error*符号(Yideal))が含まれる。
【0038】
或いは、Yidealの絶対値が閾値を超える場合(ブロック372)、Yidealの符号は誤差で乗算される(ブロック347)。Yideal出力の符号で誤差を乗算した積はビット周期調整と呼ばれる。ビット周期調整は累積調整値に加算される(ブロック352)。セクタの末尾に達したかどうかが判定される(ブロック357)。セクタの末尾に達していない場合(ブロック357)、ブロック312から357のプロセスは後続のビット周期に対して繰り返される。或いは、セクタの末尾に達している場合(ブロック357)、調整値は以下の式に対応する。
【数34】

上式で、Lは所与のセクタ内のビット周期の数であり、Yidealが閾値を超える場合の成分のみ(即ち、Error*Sign(Yideal))が含まれる。この調整値は次いで可変q低域通過フィルタに対する更新された極を、以下の式に従って算出するのに使われる(ブロック362)。
【数35】

上式で、
【数36】

は、後に続く期間に可変q低域通過フィルタに与えられる値であり、
【数37】

は、先行する期間中に可変q低域通過フィルタに与えられた値であり、μは、どの時点でも認められる補正の量に応じてプログラムすることができる減衰係数である。この更新値は可変q低域通過フィルタに与えられてその極を修正する(ブロック367)。次いで、ブロック307から367のプロセスは次のセクタに対して繰り返される。
【0039】
図4に移り、適応的ベースライン補償410をもつ読取りチャネルを含む記憶システム400を本発明の様々な実施形態に従って示す。記憶システム400は、例えば、ハードディスクドライブでよい。ベースライン補償に加え、読取りチャネル410はデータ検出装置を含む。組込みデータ検出装置は、例えば、ビタビアルゴリズムデータ検出装置を含む当該分野において公知であるどのデータ検出装置でもよい。記憶システム400は、前置増幅器470、インタフェースコントローラ420、ハードディスクコントローラ466、モータコントローラ468、スピンドルモータ472、ディスク盤478、及び読み書きヘッド476も含む。インタフェースコントローラ420はディスク盤478との間でのデータのアドレス指定及びタイミングを制御する。ディスク盤478上のデータは、読み書きヘッドアセンブリ476がディスク盤478の上に正しく位置決めされたときにアセンブリによって検出することができる磁気信号のグループからなる。一実施形態では、ディスク盤478は垂直記録方式に従って記録された磁気信号を含む。
【0040】
典型的な読出し動作では、読み書きヘッドアセンブリ476は、モータコントローラ468によってディスク盤478上の所望のデータトラックの上に正確に位置決めされる。モータコントローラ468は、ディスク盤478との関係で読み書きヘッドアセンブリ476を位置決めし、また、ハードディスクコントローラ466の指示の下で読み書きヘッドアセンブリをディスク盤478上の適正データトラックに動かすことによってスピンドルモータ472を駆動する。スピンドルモータ472はディスク盤478を所定のスピンレート(RPM)でスピンさせる。読み書きヘッドアセンブリ478が適正データトラックに隣接して位置決めされると、ディスク盤478がスピンドルモータ472によって回転されるときに、ディスク盤478上のデータを表す磁気信号が読み書きヘッドアセンブリ476によって検知される。検知された磁気信号は、ディスク盤478上の磁気データを表す連続する微小アナログ信号として与えられる。この微小アナログ信号は、前置増幅器470を介して読み書きヘッドアセンブリ476から読取りチャネルモジュール464に転送される。前置増幅器470は、ディスク盤478からアクセスされる微小アナログ信号を増幅するように動作可能である。これに対して、読取りチャネルモジュール410は、受信アナログ信号をデコードし、デジタル化して、ディスク盤478に元々書き込まれていた情報を再現する。このデータは読取りデータ403として受信回路に与えられる。受信情報のデコードの一部として、読取りチャネル410は適応的ベースライン補償プロセスを実施する。場合によっては、読取りチャネル410は、図1に関係して上で論じたものと同様の回路機構を含む。場合によっては、ベースライン補償プロセスは、図2、図3a、図3b、及び/又は図3cに関係して上で論じたものに従って実施される。書込み動作は、先行する読出し動作のほぼ逆であり、書込みデータ401が読取りチャネルモジュール410に与えられる。このデータは次いで、エンコードされ、ディスク盤478に書き込まれる。
【0041】
結論として、本発明は、データ検出システムにおける低周波損失を削減する新規のシステム、装置、方法及び構成を提供する。本発明の1つ以上の実施形態を上で詳細に説明したが、本発明の精神と異なることのない様々な変更形態、修正形態、及び等価物が、当業者には明らかであろう。従って、上記説明は本発明の精神を限定するものとしてとらえるべきではなく、本発明の精神は添付の請求項によって定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ処理システムであって、
記憶媒体から導出される入力信号を受信し、前記入力信号を増幅して増幅信号を生成する前置増幅器であって、前記増幅信号が、前記入力信号中に呈示されるいくらかの低周波エネルギーを含まない、前置増幅器、
アナログ−デジタル変換器であって、前記増幅信号を対応するデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換器、
データ検出装置であって、前記デジタル信号に少なくとも部分的に基づく検出データ出力を提供し、前記検出データ出力が前記入力信号を表す、データ検出装置、
ベースライン補償モジュールであって、前記デジタル信号と前記検出データ出力との間の差分を累積し、前記累積差分に基づいて補償係数を算出するベースライン補償モジュール、及び
合算要素であって、前記補償係数を前記増幅信号と集計する合算要素
を備えたシステム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムであって、前記デジタル信号が、デジタル有限インパルス応答フィルタを使ってフィルタ処理されるシステム。
【請求項3】
請求項1記載のシステムであって、前記累積差分が、それぞれの各ビット周期の前記差分を前記それぞれのビット周期の前記検出データ出力で除算し、いくつかのビット周期に渡る除算の解を加算することによって累積されるシステム。
【請求項4】
請求項3記載のシステムであって、ビット周期の数が前記記憶媒体のセクタのビット周期の数に対応するシステム。
【請求項5】
請求項1記載のシステムであって、前記ベースライン補償モジュールが可変q低域通過フィルタを含むシステム。
【請求項6】
請求項1記載のシステムであって、前記累積差分が、それぞれの各ビット周期の前記差分を前記それぞれのビット周期の前記検出データ出力の符号で乗算し、いくつかのビット周期に渡る前記除算の解を加算することによって累積されるシステム。
【請求項7】
請求項6記載のシステムであって、前記検出データ出力の絶対値がそれぞれのビット周期の閾値未満の場合、前記累積差分が乗算の積を含まないシステム。
【請求項8】
請求項1記載のシステムであって、前記ベースライン補償モジュールがデジタル・アナログ変換器を含むシステム。
【請求項9】
ベースライン補償を実施する方法であって、
第1のアナログ入力信号を受信するステップであって、前記第1のアナログ入力信号が、高域通過フィルタ処理されている第2のアナログ入力信号に対応するステップ、
前記第1のアナログ入力信号をデジタル信号に変換するステップ、
前記デジタル信号に対してデータ検出を実施して、検出データ出力を与えるステップ、
前記デジタル信号と前記検出データ出力との間の差分を算出するステップ、
前記差分を累積差分と集計して、差分累積を作成するステップ、及び
前記差分累積を用いて低域通過フィルタの極を修正するステップ
を備える方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法であって、さらに、
前記低域通過フィルタから導出される出力を前記第1のアナログ入力と集計するステップであって、前記第1のアナログ入力から除去された低周波エネルギーが復元されるステップを備える方法。
【請求項11】
請求項9記載の方法であって、前記差分が、前記検出データ出力から前記デジタル信号を減算し、その結果を前記検出データ出力で除算することによって算出される方法。
【請求項12】
請求項9記載の方法であって、前記差分が、前記検出データ出力から前記デジタル信号を減算し、その結果を前記符号検出されたデータ出力で乗算することによって算出される方法。
【請求項13】
請求項9記載の方法であって、前記検出データ出力の絶対値が閾値を超える場合、前記差分が、前記検出データ出力から前記デジタル信号を減算し、その結果をビット周期の前記符号検出されたデータ出力で乗算することによって算出される方法。
【請求項14】
請求項9記載の方法であって、前記差分累積が、減衰係数で乗算されて、減衰差分係数を作成し、前記低域通過フィルタの前記極を修正するステップが前記減衰差分係数を使って行われる方法。
【請求項15】
データ処理回路であって、
第1のデータ入力を受信し、第2のデータ入力を与える入力回路であって、前記入力回路が、前記第1のデータ入力中に呈示される低周波エネルギーを前記第2のデータ入力から取り除く入力回路、
処理回路であって、前記第2のデータ入力の表現を生成する処理回路、
データ検出回路であって、前記第2のデータ入力の前記表現に少なくとも部分的に基づいて前記第1のデータ入力の表現を生成するデータ検出回路、及び
いくつかのビット周期に渡る前記第1のデータ入力の前記表現と前記第2のデータ入力の前記表現との間の累積差分を算出し、前記累積差分に少なくとも部分的に基づいて補償係数を算出するベースライン補償回路を備える回路。
【請求項16】
請求項15記載の回路であって、前記入力回路が前置増幅器であり、前記第1のデータ入力が磁気記憶媒体から導出される回路。
【請求項17】
請求項15記載の回路であって、前記累積差分が、前記それぞれのビット周期の前記第1のデータ入力の前記表現で除算されたそれぞれの各ビット周期の前記差分を除算し、いくつかのビット周期に渡る前記除算の解を加算することによって累積される回路。
【請求項18】
請求項15記載の回路であって、前記累積差分が、それぞれの各ビット周期の前記差分を前記それぞれのビット周期の前記検出データ出力の符号で乗算し、いくつかのビット周期に渡る前記除算の解を加算することによって累積される回路。
【請求項19】
請求項18記載の回路であって、前記検出データ出力の絶対値がそれぞれのビット周期の閾値未満の場合、前記累積差分が乗算の積を含まない回路。
【請求項20】
請求項15記載の回路であって、前記ベースライン補償モジュールがデジタル・アナログ変換器を含む回路。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−517654(P2012−517654A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549136(P2011−549136)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/033680
【国際公開番号】WO2010/093355
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(500587067)アギア システムズ インコーポレーテッド (302)
【Fターム(参考)】