説明

遷臨界冷媒サイクルにおける液体および蒸気の分離

冷媒蒸気圧縮システムが、冷媒回路において冷媒放熱用熱交換器と冷媒吸熱用熱交換器との間に配置されたフラッシュタンクを備えている。フラッシュタンクは、上部チャンバ、下部チャンバおよび中間チャンバを有した内側容積部を画定するシェルを備えている。第1の流体通路が、中間チャンバと上部チャンバとを連通させており、第2の流体通路が、中間チャンバと下部チャンバとを連通させている。入口ポートが、中間チャンバと連通している。第1の出口ポートが、上部チャンバと連通しており、第2の出口ポートが、下部チャンバと連通している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒蒸気圧縮システムに関し、特に、フラッシュタンクエコノマイザを有するとともに、遷臨界サイクルで動作する冷媒蒸気圧縮システムにおいて、二相冷媒流れの液体部分および蒸気部分への分離を向上させることに関する。
【背景技術】
【0002】
冷媒蒸気圧縮システムは周知であり、輸送冷凍システムにおいても、トラック、鉄道、船や複合輸送によって生鮮製品および冷凍製品を輸送するために、トラック、トレーラ、コンテナ等の温度制御貨物スペースへ供給する空気や他の気体流体の冷却に広く用いられている。輸送冷凍システムと組み合わせて用いられる冷媒蒸気圧縮システムでは、広範囲な動作負荷条件や広範囲な外部周囲条件にわたって貨物スペース内の製品を所望の温度に維持するように冷媒蒸気圧縮システムが動作しなければならないことから、一般に、その運転条件はより苛酷なものとなる。貨物を制御することが必要な所望の温度は、保存する貨物の性質に応じて、広範囲にわたって異なるものとなる。冷媒蒸気圧縮システムは、外気温の下で貨物スペースに入れられた製品の温度を素早く引き下げるだけの十分な容量を有するだけでなく、輸送中に安定した製品温度を維持する際に、低い負荷で効率よく運転できなければならない。さらに、輸送用冷媒蒸気圧縮システムは、固定式の冷媒蒸気圧縮システムでは経験することがない振動や動きに晒される。また、冷媒蒸気圧縮システムは、固定式の冷媒蒸気圧縮システムと一般に関連しない利用可能な空間、例えば、空調装置やヒートポンプの空間に制約があることから、大きさが制限される。
【0003】
伝統的に、輸送冷凍用途において用いられる一般の冷媒蒸気圧縮システムは、通常では亜臨界冷媒圧力で動作し、一般に、コンプレッサと、コンデンサと、エバポレータと、冷媒の流れとしてエバポレータの上流側でかつコンデンサの下流側に配置された膨張装置(通常は膨張弁)と、を含んでいる。これらの基本的な冷媒システム構成要素は、冷媒閉回路となるように冷媒ラインで接続されるとともに、公知の冷媒蒸気圧縮サイクルに沿って配置され、かつ特定の冷媒を用いて亜臨界圧力範囲で運転される。亜臨界範囲で動作する冷媒蒸気圧縮システムには、一般に、フロン冷媒、例えば、これに限定するものではないが、R22のようなヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)が充填され、R134a、R410A、R404A、R407Cのようなヒドロフルオロカーボン(HFC)がさらに一般的である。
【0004】
現在の市場では、HFC冷媒に代えて空調装置や輸送冷凍システムに使用するために、二酸化炭素のような「自然」冷媒に注目が集まっている。しかし、二酸化炭素は臨界温度が低く、蒸気相の密度に対する液体相の密度の割合も小さいので、冷媒として二酸化炭素を充填した冷媒蒸気圧縮システムの多くは、遷臨界圧力方式で動作するように設計されている。亜臨界サイクルで動作する冷媒蒸気圧縮システムにおいては、コンデンサおよびエバポレータとなる熱交換器の双方は、冷媒の臨界点未満の冷媒温度および冷媒圧力で動作する。しかし、遷臨界サイクルで動作する冷媒蒸気圧縮システムにおいては、放熱用熱交換器(これはコンデンサではなく、むしろガスクーラとなる)は、冷媒の臨界点を超える冷媒温度および冷媒圧力で動作するが、エバポレータは、亜臨界範囲の冷媒温度および冷媒圧力で動作する。したがって、遷臨界サイクルで動作する冷媒蒸気圧縮システムにおいては、ガスクーラ内の冷媒圧力とエバポレータ内の冷媒圧力との圧力差が、亜臨界サイクルで動作する冷媒蒸気圧縮システムにおけるコンデンサ内の冷媒圧力とエバポレータ内の冷媒圧力との圧力差に比べて、かなり大きいことが特徴的である。
【0005】
また、冷媒回路にエコノマイザを組み込むことも広く実施されている。これにより、冷媒蒸気圧縮システムは、該システムの容量を増加させるように、エコノマイザモードで選択的に動作することができる。遷臨界モードで動作する冷媒蒸気圧縮システムにおいては、フラッシュタンクエコノマイザが、冷媒回路のガスクーラとエバポレータとの間に組み込まれているものがある。このような場合、ガスクーラを出た冷媒が、感温式膨張弁あるいは電子膨張弁などからなる膨張装置を通して膨張した後に、フラッシュタンクに流入し、ここで、膨張した冷媒は、液体冷媒成分と蒸気冷媒成分とに分離する。そして、冷媒の蒸気成分は、フラッシュタンクから圧縮プロセスの中間圧力段へと導かれる。冷媒の液体成分は、フラッシュタンクからシステムの主膨張弁を通してエバポレータへと導かれる。特許文献1は、冷媒回路のガスクーラとエバポレータとの間にフラッシュタンクエコノマイザを組み込んだ遷臨界冷媒蒸気圧縮システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,385,980号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
遷臨界冷媒サイクルで動作する輸送冷凍冷媒蒸気圧縮システムが、冷媒回路において連通するように接続される、超臨界圧力へ冷媒蒸気を圧縮する圧縮装置と、超臨界冷媒圧力で動作するガスクーラと、亜臨界冷媒圧力で動作するエバポレータとを有しており、さらに、冷媒回路のガスクーラとエバポレータとの間に配置された1次膨張装置と、冷媒回路のガスクーラと1次膨張装置との間に配置された2次膨張装置と、冷媒回路において冷媒の流れとして1次膨張装置の上流側でかつ2次膨張装置の下流側に配置されたフラッシュタンクとを備えている。
【0008】
フラッシュタンクは、上部チャンバ、下部チャンバおよび中間チャンバを有した内側容積部を画定するシェルと、中間チャンバと上部チャンバとを連通させる第1の流体通路と、中間チャンバと下部チャンバとを連通させる第2の流体通路と、2次膨張装置を通過した冷媒流を受けるように中間チャンバと連通した入口ポートと、フラッシュタンク分離器から気体相の冷媒流を吐出するように上部チャンバと連通した第1の出口ポートと、フラッシュタンクから冷媒回路へ液体相の冷媒流を吐出するように下部チャンバと連通した第2の出口ポートとを備えている。
【0009】
1つの実施例では、フラッシュタンクは、内側容積部を上部チャンバ、中間チャンバおよび下部チャンバに分割するように、シェルによって画定された内側容積部内に互いに離間して延びる下部プレートおよび上部プレートと、中間チャンバと上部チャンバとを連通させる第1の流体通路を形成するように、上部プレートを貫通して延びる第1の開口部と、中間チャンバと下部チャンバとを連通させる第2の流体通路を形成するように、下部プレートを貫通して延びる第2の開口部と、をさらに備えている。
【0010】
1つの実施例では、フラッシュタンクは、下部チャンバと上部チャンバとを連通させる導管を画定するように、シェルの垂直中心軸に沿って延びる細長い支持チューブと、連続的な螺旋流体流通路を画定するように、支持チューブを中心に延びる螺旋部材とを備えている。連続的な螺旋流体流通路の第1の部分が、中間チャンバと上部チャンバとを連通させる第1の流路を形成している。連続的な螺旋流体流通路の第2の部分が、中間チャンバと下部チャンバとを連通させる第2の流路を形成している。支持チューブの上端部付近に該支持チューブを貫通して延びる上部平衡穴は、支持チューブによって画定された導管の上部領域と上部チャンバとを連通させるように設けられており、支持チューブの下端部付近に該支持チューブを貫通して延びる下部平衡穴は、支持チューブによって画定された導管の下部領域と下部チャンバとを連通させるように設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】遷臨界サイクルで動作する冷媒蒸気圧縮システムの例示的な第1の実施例を概略的に示した図である。
【図2】遷臨界サイクルで動作する冷媒蒸気圧縮システムの例示的な第2の実施例を概略的に示した図である。
【図3】図1に示した冷媒蒸気圧縮システムのフラッシュタンクの例示的な第1の実施例の断面斜視図である。
【図4】図2に示した冷媒蒸気圧縮システムのフラッシュタンクの例示的な第1の実施例の断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1および図2には、生鮮製品や冷凍製品を輸送するトラック、トレーラ、コンテナ等の温度制御される貨物スペース200内の空気や他のガス雰囲気を冷却する輸送冷凍システムでの使用に適した冷媒蒸気圧縮システム100の例示的な実施例が図示されている。冷媒蒸気圧縮システム100は、臨界温度が低い冷媒、例えば、これに限定するものではないが、二酸化炭素を用いた遷臨界サイクルでの動作に特に適している。冷媒蒸気圧縮システム100は、多段圧縮装置20と、冷媒放熱用熱交換器40と、冷媒吸熱用熱交換器(ここではエバポレータとも呼ぶ)50とを備えており、これらの構成要素は、冷媒回路において連通するように、冷媒回路2,4,6によって接続されている。エバポレータ50と関連して動作する1次膨張装置55、例えば、電子膨張弁は、冷媒回路の冷媒ライン4において冷媒放熱用熱交換器40とエバポレータ50との間に配置されている。また、2次膨張装置65、例えば、電子膨張弁は、冷媒回路の冷媒ライン4において冷媒放熱用熱交換器40と1次膨張装置55との間に配置されている。さらに、フラッシュタンク10A,10Bが、主冷媒回路の冷媒ライン4において、冷媒の流れとして2次膨張装置65の下流側でかつ1次膨張装置55の上流側に配置されている。したがって、フラッシュタンク10A,10Bは、冷媒回路において、冷媒の流れとして冷媒放熱用熱交換器40の下流側でかつエバポレータ50の上流側に配置されている。
【0013】
遷臨界サイクルで動作する冷媒蒸気圧縮システムでは、冷媒放熱用熱交換器40は、冷媒の臨界圧力よりも高い圧力で動作し、したがって、超臨界状態の冷媒蒸気を冷却するように機能し、この超臨界の冷媒蒸気は、冷却媒体、例えば、これに限定するものではないが、周囲空気や水と熱交換する。本明細書では、冷媒放熱用熱交換器40をガスクーラと呼ぶことがある。図示した実施例では、冷媒放熱用熱交換器40は、例えば、フィン・ラウンドチューブ型熱交換コイルやフィン・フラットミニチャンネルチューブ型熱交換器からなるフィン・チューブ型熱交換器42を備えており、ここを通る冷媒が、ガスクーラ40に付随したファン44によってフィン・チューブ型熱交換器42を通して引き込まれる周囲空気と熱交換する。
【0014】
冷媒吸熱用熱交換器50は、エバポレータとして機能し、該エバポレータにおいて、ここを通る液体冷媒が、冷却すべき流体、最も一般的には、空気、または空気と不活性ガスとの混合物と熱交換する。この空気は、例えば、輸送冷凍用のトラック、トレーラあるいはコンテナの貨物ボックスである温度制御環境200から引き込まれるとともに温度制御環境200へ戻される。図示した実施例では、冷媒吸熱用熱交換器50は、フィン・チューブ型熱交換器52を備えており、この熱交換器52を通して、冷媒が、エバポレータ50に付随したエバポレータファン54によって冷凍貨物ボックス200から引き込まれるとともに冷凍貨物ボックス200に戻される空気と熱交換する。フィン・チューブ型熱交換器52は、例えば、フィン・ラウンドチューブ型熱交換コイルあるいはフィン・フラットミニチャンネルチューブ型熱交換器からなる。
【0015】
圧縮装置20は、冷媒を超臨界圧力へ圧縮し、かつ後述するように主冷媒回路に冷媒を循環させるように機能する。圧縮装置20は、主冷媒回路に配置された単一の多段冷媒コンプレッサ、例えば、スクロールコンプレッサ、スクリューコンプレッサあるいは往復動型コンプレッサからなり、図1に示したように、第1の圧縮段20aおよび第2の圧縮段20bを備えている。第1の圧縮段および第2の圧縮段は、冷媒の流れとして直列の関係となっており、第1の圧縮段を出た冷媒が、さらに圧縮すべく第2の圧縮段に直接に流れる。代替的に、圧縮装置20は、主冷媒回路において冷媒が直列に流れる関係でもって互いに接続された一対の独立したコンプレッサ20a,20bを備えることができ、該コンプレッサ20a,20bは、図2に示したように、第1のコンプレッサ20aの吐出ポートと第2のコンプレッサ20bの吸入ポートとを冷媒ライン8によって互いに連通させるように接続されている。独立したコンプレッサの実施例では、コンプレッサ20a,20bは、スクロールコンプレッサ、スクリューコンプレッサ、往復動型コンプレッサ、ロータリコンプレッサ、または他の形式のコンプレッサ、あるいはこれらのコンプレッサの組み合わせとすることができる。
【0016】
動作時には、圧縮装置の第2の圧縮段または第2のコンプレッサ20bから吐出された高温かつ超臨界圧力の冷媒蒸気が、ガスクーラ40の熱交換器42を通過するときに低温に冷却され、第2の膨張装置65を通過する。第2の膨張装置65を通過する際に、超臨界圧力の冷媒蒸気は、冷媒蒸気と液体冷媒とからなる二相混合物を形成するのに十分な低温の亜臨界圧力へ膨張し、フラッシュタンク10へと流入する。
【0017】
特に、図3および図4を参照すると、フラッシュタンク10A,10Bは、シェル120を備えており、該シェル120は、上部チャンバ122、中間チャンバ124および下部チャンバ126を有した内側容積部を取り囲んでいる。2次膨張装置65を通過した二相冷媒流が、中間チャンバ124と連通した入口125を通して中間チャンバ124へと流入する。中間チャンバ124内に受けられた二相冷媒流は、フラッシュタンク10A,10Bのシェル120の上部チャンバ122へと上方に移動する蒸気相と、フラッシュタンク10A,10Bのシェル120の下部チャンバ126へと下方に移動する液体相とに分離する。また、フラッシュタンク10A,10Bは、下部チャンバ126と連通した第1の出口127と、上部チャンバ122と連通した第2の出口129とを備えている。
【0018】
一般に飽和した液体である液体相の冷媒は、フラッシュタンク10A,10Bの下部チャンバ126から、該下部チャンバ126と連通した第1の出口127を通して冷媒回路の冷媒ライン4へと流入する。1つの動作モードでは、フラッシュタンク10A,10Bの下部チャンバ126から通流する液体相の冷媒の全てが、冷媒ライン4において冷媒の流れとしてエバポレータ50の上流側に配置された冷媒回路の1次膨張装置55を通過する。この液体冷媒が1次膨張装置55を通過するときに、液体冷媒は、低温低圧に膨張し、エバポレータ50へ流入する。エバポレータ50は、冷媒蒸発用熱交換器であり、内部を通して流れる膨張した冷媒が冷却すべき空気と熱交換することで、冷媒は気化し、一般に過熱状態となる。一般的なものと同じく、1次膨張装置55は、エバポレータ50から出る冷媒蒸気中に液体が残存しないことを確実にすべくエバポレータ50から出る冷媒蒸気の過熱度を所望のレベルに維持するように、冷媒ライン4を通る冷媒流を計量する。エバポレータ50を出た低圧冷媒蒸気は、冷媒ライン6を通して圧縮装置20の第1の圧縮段または第1のコンプレッサ20aの吸入ポートへ戻る。
【0019】
1つの実施例では、フラッシュタンクの下部チャンバ126から冷媒ライン4を通して通流する液体相の冷媒の全てまたは一部を、1次膨張装置55の周囲にバイパスさせるように、冷媒バイパスライン5を設けることができる。冷媒バイパスライン5は、冷媒の流れとして1次膨張装置55の上流側でかつフラッシュタンク10A,10Bの下流側にある第1の位置と、冷媒の流れとして1次膨張装置55の下流側でかつエバポレータ50の上流側にある第2の位置において、冷媒ライン4から分岐している。冷媒バイパスライン5を通流する冷媒流に対してバイパス流れ通路を選択的に開閉するように、流れ制御装置57、例えば、開位置および閉位置を有したソレノイドバルブを冷媒バイパスライン5に配置することができる。
【0020】
また、冷媒蒸気圧縮システム100は、冷媒蒸気噴射ライン14を備えており、該冷媒蒸気噴射ライン14は、フラッシュタンク10A,10Bの第2の出口129を通して、フラッシュタンク10A,10Bのシェル120内に画定された内側容積部の上部チャンバ122と、圧縮プロセスの中間段とを連通させている。さらに、冷媒蒸気圧縮システム100は、液体冷媒噴射ライン18も備えることができ、該液体冷媒噴射ライン18は、一般に、冷媒の流れとしてフラッシュタンク10A,10Bの下流側でかつ1次膨張装置55の上流側にある位置において冷媒ライン4から分岐させることにより、フラッシュタンク10A,10Bのシェル120内に画定された内側容積部の下部チャンバ126と、圧縮プロセスの中間段とを連通させている。図1に示した冷媒蒸気圧縮システム100の例示的な実施例では、圧縮プロセスの中間圧力段への冷媒蒸気または液体冷媒の噴射は、1つのコンプレッサの第1の圧縮段20aから第2の圧縮段20bへと通流する冷媒へ冷媒蒸気または液体冷媒を噴射することにより達成され得る。図2に示した冷媒蒸気圧縮システム100の例示的な実施例では、圧縮プロセスの中間圧力段への冷媒蒸気または液体冷媒の噴射は、第1のコンプレッサ20aの吐出口から第2のコンプレッサ20bの吸入口へと延びる冷媒ライン8を通して通流する冷媒へ冷媒蒸気または液体冷媒を噴射することにより達成され得る。
【0021】
また、冷媒蒸気圧縮システム100は、コンプレッサアンローダ冷媒ライン16も備えることができ、コンプレッサアンローダ冷媒ライン16は、圧縮装置の中間圧力段と、冷媒回路の吸入圧力部、つまり冷媒ライン6とを連通させている。ここで、冷媒ライン6は、エバポレータ50の出口と、図1の実施例で示した圧縮装置20の第1の圧縮段20aの吸入口または図2の実施例で示した第1のコンプレッサ20aの吸入口との間に延びている。冷媒蒸気噴射ライン14および液体冷媒噴射ライン18の各々は、コンプレッサアンローダ冷媒ライン16と連通することができ、これにより、コンプレッサアンローダ冷媒ライン16は、冷媒蒸気噴射ライン14および液体冷媒噴射ライン18の双方の下流側部分を形成する。したがって、冷媒蒸気は、圧縮プロセスの中間段または冷媒回路の吸入圧力部へ選択的に噴射するように冷媒蒸気噴射ライン14を通して通流することができる。同様に、液体冷媒は、圧縮プロセスの中間段または冷媒回路の吸入圧力部へ選択的に噴射するように液体冷媒噴射ライン18を通して選択的に通流することができる。さらに、圧縮装置をアンロード状態にするために、コンプレッサアンローダ冷媒ライン16を通して冷媒回路の吸入圧力部へ、第1の圧縮段20aまたは第1のコンプレッサ20aから吐出した冷媒の全てまたは一部を通流させることができる。
【0022】
冷媒蒸気圧縮システム100は、コントローラ70を有した制御システムをさらに備えることができる。1つの実施例では、コントローラ70は、マイクロプロセッサ・コントローラを備えることができ、このコントローラは、例えば、米国、ニューヨーク州シラキュースに所在のキャリア・コーポレーションによって提供されている、MicroLinkTM・コントローラであるが、これに限定されない。コントローラ70は、輸送される製品を貯蔵するための取り囲まれた内側容積部200、つまり貨物ボックス内の所定の熱環境を維持すべく冷凍ユニットを動作させるように制御される。コントローラ70は、コンプレッサ20と、コンデンサ用熱交換コイル32と関連したコンデンサ用ファン34と、エバポレータ用熱交換コイル42と関連したエバポレータ用ファン44と、コントローラ70と関連して動作する複数の冷媒流制御装置との動作を選択的に制御することにより、所定の熱環境を維持する。コントローラ70と関連して動作する複数の冷媒流制御装置は、フラッシュタンク10A,10Bの下部チャンバ126から冷媒ライン18を通して通流する液体冷媒流を制御するように冷媒ライン18に配置された流れ制御装置53と、フラッシュタンク10A,10Bの上部チャンバ122から冷媒ライン14を通して蒸気相の冷媒流を制御するように冷媒ライン14に配置された流れ制御装置73とを備えることができる。また、コントローラ70と関連して動作する複数の冷媒流制御装置は、冷媒ライン16を通して冷媒回路の吸入部へと通流する冷媒流を制御するように冷媒ライン16に配置された流れ制御装置93も備えることができる。上記の流れ制御装置53,73,93の各々は、流れ制御弁を配置した冷媒ラインを通して冷媒が通流することができる開位置と、流れ制御弁を配置した冷媒ラインを通して冷媒が通流することができない閉位置との間で選択的に位置決め可能な流れ制御弁を備えることができる。1つの例では、流れ制御装置53,73,93の各々は、第1の開位置と第2の閉位置との間で選択的に位置決め可能な2つの位置を有したソレノイド弁を備えることができる。また、コントローラ70と関連して動作する複数の冷媒流制御装置は、1次膨張弁55、2次膨張弁65および流れ制御装置57を備えることができる。動作時には、コントローラ70は、主冷媒回路および冷媒ライン5,14,16,18を通して、望ましいように選択的に冷媒流を案内するように、コントローラ70と関連して動作する上記の種々の流れ制御装置を選択的に開閉することができる。
【0023】
冷媒システム100の制御を容易にするために、コントローラ70は、システム100全体の選択した位置に配置された複数のセンサによって、冷媒システムの様々な点における動作パラメータを監視する。設けることができるセンサとしては、特に詳細に示していないが、コンデンサ30の前部の周囲空気温度を示す可変抵抗値をコントローラ70に入力する周囲空気温度センサ90と、エバポレータ50を出て貨物ボックス200へ戻る空気の温度を示す可変抵抗値をコントローラ70に入力する戻り空気温度センサ92と、貨物ボックス200内の空気の温度つまり製品貯蔵温度を示す可変抵抗値をコントローラ70に入力するボックス空気温度センサ94と、フラッシュタンク10A,10Bに流入する冷媒の温度を示す可変抵抗値をコントローラ70に入力するフラッシュタンク温度センサ101と、フラッシュタンク10A,10Bに流入する冷媒の圧力を示す可変電圧を入力するフラッシュタンク圧力センサ102と、冷媒の吸入温度を示す可変抵抗値をコントローラ70に入力するコンプレッサ吸入温度センサ103と、冷媒の吸入圧力を示す可変電圧をコントローラ70に入力するコンプレッサ吸入圧力センサ104と、コンプレッサの吐出冷媒温度を示す可変抵抗値をコントローラ70に入力するコンプレッサ吐出温度センサ105と、コンプレッサの吐出冷媒圧力を示す可変電圧をコントローラ70に入力するコンプレッサ吐出圧力センサ106と、ガスクーラ40を通過した冷媒の温度を示す可変抵抗値をコントローラ70に入力するガスクーラ温度センサ107と、ガスクーラ40を通過した冷媒の圧力を示す可変電圧を入力するガスクーラ圧力センサ108とが挙げられる。圧力センサ102,104,106,108は、一般的な圧力センサ、例えば、圧力変換器とすることができ、温度センサ90,92,94,101,103,105,107は、一般的な温度センサ、例えば、熱電対やサーミスタとすることができる。上記のセンサは、システム100と関連し得る種々のセンサのいくつかを単に例示するものであり、設けることができるセンサや変換器の形式を限定するものではない。
【0024】
冷媒蒸気圧縮システム100は、負荷要求や周囲条件に基づいて選択された動作モード、例えば、これらに限定されないが、ボックス温度プルダウンモード、過度冷凍ボックス温度管理モードおよび冷凍製品ボックス温度管理モードで動作することができる。冷媒蒸気圧縮システム100は、周囲条件、ボックス条件および種々の検出システム制御に基づいて望ましい動作モードを画定し、種々の流れ制御弁を位置決めする。
【0025】
上述したように、フラッシュタンク10A,10Bは、冷媒回路の冷媒ライン4において、冷媒の流れとして1次膨張装置55の上流側でかつ2次膨張装置65の下流側に配置されている。特に、図3および図4を参照すると、上述したように、フラッシュタンク10A,10Bは、上部チャンバ122、下部チャンバ126および中間チャンバ124を有した内側容積部を画定するシェル120を備えている。シェル120は、上端キャップ120−2と下端キャップ120−3との間に延びる概ね円筒形の中間部120−1を備えている。上端キャップ120−2および下端キャップ120−3は、フラッシュタンクの内側容積部を画定するシールされたエンクロージャを形成するように、例えば、溶接、蝋付け等によって取り付けられている。
【0026】
フラッシュタンク10A,10Bは、入口ポート125、第1の出口ポート127および第2の出口ポート129をさらに備えている。入口ポート125は、2次膨張装置を通過した冷媒流を受けるように中間チャンバ124と連通している。入口ポート125は、シェル120を貫通したチューブ160の出口開口部によって画定することができ、チューブ160の入口端部において、(冷媒の流れとして)フラッシュタンクの上流側に位置する冷媒ライン4と連通している。第2の出口ポート129は、フラッシュタンク10A,10Bからの気体相の冷媒流を吐出するように上部チャンバ122と連通している。第2の出口ポート129は、シェル120を貫通したチューブ162の入口開口部によって画定することができ、チューブ162の出口端部において冷媒ライン14と連通している。第1の出口ポート127は、フラッシュタンク10A,10Bから冷媒回路へ液体相の冷媒流を吐出するように下部チャンバ126と連通している。第1の出口ポート127は、シェル120を貫通したチューブ164の入口開口部によって画定することができ、チューブ164の出口端部において、(冷媒の流れとして)フラッシュタンクの下流側に位置した冷媒ライン4と連通している。
【0027】
図3の実施例では、フラッシュタンク10Aは、シェル120によって画定された内側容積部内に互いに離間して配置された下部プレート130および上部プレート140を備えている。プレート130,140の各々は、内側容積部を横切って延びるとともに、シェル120の概ね円筒形の中間部120−1の内周壁と気密に当接し、これにより、シェル120の内側容積部を3つの個別のチャンバに分割する。ここで、3つの個別のチャンバは、互いに離間した2つのプレート130,140の間に位置した中間チャンバ124と、上部プレート140と上端キャップ120−2との間に位置した上部チャンバ122と、下部プレート130と下端キャップ120−3との間に位置した下部チャンバ126とである。本実施例では、第1の流体通路142が、上部プレート140に設けられるとともにこれを貫通して延びており、これにより、中間チャンバ124と上部チャンバ122とを連通させている。また、第2の流体通路132は、下部プレート130に設けられるとともにこれを貫通して延びており、これにより、中間チャンバ124と下部チャンバ126とを連通させている。
【0028】
動作時には、入口チューブ160を通してフラッシュタンク10Aへと流入した二相冷媒流は、入口ポート125を通して中間チャンバ124へと通流する。中間チャンバ124において、二相冷媒流は、液体相と蒸気相との間の密度差によって分離する。蒸気相の冷媒は、第1の流体通路142を通して上方の上部チャンバ122へと移動する。液体相の冷媒は、第2の流体通路132を通して下方の下部チャンバ126へと移動する。入口チューブ160の出口部は、末広がりのフルート部とすることができ、これにより、入口ポート125を通過する二相冷媒流が中間チャンバ124へ流入するときに、二相冷媒流は減速する。結果的に生じた二相冷媒流の減速によって、蒸気相と液体相との分離が向上し、これにより、第1の流体通路142を通して上方へ移動する蒸気相冷媒流中の液体冷媒のキャリオーバ(carry over)と、第2の流体通路132を通して下方に移動する液体相冷媒流中の蒸気相冷媒のキャリアンダ(carry under)とが減少する。さらに、キャリオーバの可能性を減少させるために、直径方向に沿って互いに反対の位置となるように第1の流体通路142および第2の流体通路132を配置することができる。また、入口チューブ160の出口端部は、入口ポート125が下部プレート130の上面と向かい合って配置されるのに十分な程度に、中間チャンバ124へと延びることができ、上部プレート140の第1の流体通路142は、図3に示したように、入口チューブ160のフルート部の上方に垂直に配置され得る。この配置によって、蒸気相冷媒の一部が、入口チューブ160の出口端部におけるフルート部の外径に沿って上方の第1の流体通路142へと通流し、流入する冷媒流の液体相のほぼ全てが、下部プレート130の上面に沿って水平方向に広がり得る。この構成では、第2のプレート130の第2の流体通路132は、直径方向に沿って第1の流体通路142の反対側となるように配置され、したがって、入口ポート125の下方に位置する乱流領域から離間し得る。
【0029】
図4の例示的な実施例を参照すると、フラッシュタンク10Bは、螺旋部材150を備えており、螺旋部材150は、シェル120の中心軸に沿って配置された垂直支持チューブ152の周囲に延びている。螺旋部材150の半径方向外周端部が、シェル120の概ね円筒形の中間部120−1の内周壁に気密に当接している。これにより、螺旋部材150は、下部チャンバ126と上部チャンバ122との間に延びる連続的な螺旋通路を画定している。入口チューブ160は、上部チャンバ122と下部チャンバ126との間の位置に配置された連続的な螺旋通路と連通しており、本実施例では、該螺旋通路は、中間チャンバ124と呼ばれている。1つの実施例では、入口ポート125を通して中間チャンバ124へと流入する二相冷媒流が、シェル120の概ね円筒形の中間部材120−1の内周壁に沿って接線方向へ流入するように、入口チューブ160を配置することができる。蒸気相と液体相との間の密度差によって、一般に、流入する二相冷媒流中の蒸気相冷媒は、螺旋部材150によって画定された連続的な螺旋通路を通して上方へ通流し、二相冷媒流中の液体相冷媒は、螺旋部材150によって画定された連続的な螺旋通路を通して下方に通流する。また、螺旋部材150を支持する中間の支持チューブ152は、シェル120の垂直中心軸に沿って延びる細長い導管155も画定し、これにより、上部チャンバ122と下部チャンバ126とが連通する。
【0030】
上部平衡穴154および下部平衡穴156が、チューブ152の上端部および下端部の各々の付近において、チューブ152の壁を貫通している。上部平衡穴154は、上部チャンバ122と導管155とを連通させており、下部平衡穴156は、下部チャンバ126と導管155とを連通させている。導管155を介して上部平衡穴154と下部平衡穴156との間に画定された流路により、支持チューブ152内に画定された導管155内の液体レベルが、シェル120の中央の支持チューブ152の外周壁と中間部120−1の内周壁との間に画定された連続的な螺旋通路内の液体レベルに等しくなる。また、この流体通路は、導管155内に比較的停滞した冷媒流を提供し、これにより、相分離を向上させる機会が増加する。
【0031】
固定式冷凍システムにおいて用いられているフラッシュタンクと異なり、輸送冷凍の用途においては、冷媒蒸気圧縮システムは、道路、レールおよび海に沿って移動することにより生じる振動や動きに晒される。結果として、フラッシュタンク10A,10B内の冷媒は跳ねて、これにより、フラッシュタンク内の冷媒の蒸気相と液体相とがさらに混合し得る。プレート130,140または螺旋部材150により、輸送冷凍システムの振動や動きから生じる跳ねの程度が減少する。さらに、フラッシュタンク10A,10Bは、内部に導入される液体相と蒸気相との分離を実質的に向上させる内部構成要素を備えており、これにより、エバポレータを横切る冷媒のエンタルピの差を最大化して、システムの構成要素の大きさを制限し、システムの性能係数COPおよび定格エネルギ効率EERを最適化する。さらに、フラッシュタンク10A,10Bから引き込まれるとともに圧縮プロセスの中間段へと噴射される冷媒の質が高いことにより、冷凍システムの容量が増加する。フラッシュタンク10Aの実施例またはフラッシュタンク10Bの実施例を、冷媒蒸気圧縮システム100の図1の実施例または図2の実施例に用いることができることを理解されたい。
【0032】
当業者であれば、本発明の特定の例示的な実施例に多くの変更がなされ得ることを理解するであろう。例えば、冷媒蒸気圧縮システムは、上述した遷臨界サイクルではなく、亜臨界サイクルにおいても動作することができる。図示した例示的な実施例について本発明を特に示して説明してきたが、当業者であれば、特許請求の範囲によって画定される本発明の真意および範囲を逸脱することなく、種々の変更が細部になされ得ることを理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒回路において連通するように接続される、超臨界圧力へ冷媒蒸気を圧縮する圧縮装置と、超臨界冷媒圧力で動作するガスクーラと、亜臨界冷媒圧力で動作するエバポレータと、
前記冷媒回路の前記ガスクーラと前記エバポレータとの間に配置された1次膨張装置と、
前記冷媒回路の前記ガスクーラと前記1次膨張装置との間に配置された2次膨張装置と、
前記冷媒回路において冷媒の流れとして前記1次膨張装置の上流側でかつ前記2次膨張装置の下流側に配置されたフラッシュタンクと、
を備えてなる、遷臨界冷凍サイクルで動作する輸送冷凍冷媒蒸気圧縮システムであって、
前記フラッシュタンクは、
上部チャンバ、下部チャンバおよび中間チャンバへ分割された内側容積部を画定するシェルと、
前記中間チャンバと前記上部チャンバとを連通させる第1の流体通路と、
前記中間チャンバと前記下部チャンバとを連通させる第2の流体通路と、
前記2次膨張装置を通過した冷媒流を受けるように前記中間チャンバと連通した入口ポートと、
前記フラッシュタンクから蒸気相の冷媒流を吐出するように前記上部チャンバと連通した第1の出口ポートと、
前記フラッシュタンクから前記冷媒回路へ液体相の冷媒流を吐出するように前記下部チャンバと連通した第2の出口ポートと、
を備えることを特徴とする輸送冷凍冷媒蒸気圧縮システム。
【請求項2】
前記フラッシュタンクの前記上部チャンバと連通した前記第1の出口ポートと、前記圧縮装置の中間圧力段とを連通させる冷媒蒸気噴射ラインをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の輸送冷凍冷媒蒸気圧縮システム。
【請求項3】
前記フラッシュタンクの前記下部チャンバと連通した前記第2の出口ポートと、前記圧縮装置の中間圧力段とを連通させる液体冷媒噴射ラインをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の輸送冷凍冷媒蒸気圧縮システム。
【請求項4】
前記フラッシュタンクは、
前記内側容積部を前記上部チャンバ、前記中間チャンバおよび前記下部チャンバに分割するように、前記シェルによって画定された前記内側容積部内に互いに離間して延びる下部プレートおよび上部プレートと、
前記中間チャンバと前記上部チャンバとを連通させる前記第1の流体通路を形成するように、前記上部プレートを貫通して延びる第1の開口部と、
前記中間チャンバと前記下部チャンバとを連通させる前記第2の流体通路を形成するように、前記下部プレートを貫通して延びる第2の開口部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の輸送冷凍冷媒蒸気圧縮システム。
【請求項5】
前記フラッシュタンクは、
前記下部チャンバと前記上部チャンバとを連通させる導管を画定するように、前記シェルの垂直中心軸に沿って延びる細長い支持チューブと、
連続的な螺旋流体流通路を画定するように前記支持チューブを中心に延びる螺旋部材であって、前記連続的な螺旋流体流通路の第1の部分が、前記中間チャンバと前記上部チャンバとを連通させる前記第1の流体流路を形成し、前記連続的な螺旋流体流通路の第2の部分が、前記中間チャンバと前記下部チャンバとを連通させる前記第2の流体流路を形成する、螺旋部材と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の輸送冷凍冷媒蒸気圧縮システム。
【請求項6】
前記冷媒は、二酸化炭素であることを特徴とする請求項1に記載の輸送冷凍冷媒蒸気圧縮システム。
【請求項7】
前記圧縮装置は、少なくとも、第1の比較的低圧の圧縮段と第2の比較的高圧の圧縮段とを有した単一のコンプレッサであることを特徴とする請求項1に記載の輸送冷凍冷媒蒸気圧縮システム。
【請求項8】
前記圧縮装置は、第1のコンプレッサおよび第2のコンプレッサであり、前記第1のコンプレッサおよび前記第2のコンプレッサは、前記冷媒回路において、冷媒が直列に流れる関係でもって、前記第1のコンプレッサの吐出口と第2のコンプレッサの吸入口とが連通するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の輸送冷凍冷媒蒸気圧縮システム。
【請求項9】
前記導管の上部領域と前記連続的な螺旋流体流通路の上部領域とを連通させるように、前記支持チューブの上端部付近に該支持チューブを貫通して延びる上部平衡穴と、
前記導管の下部領域と前記連続的な螺旋流体流通路の下部領域とを連通させるように、前記支持チューブの下端部付近に該支持チューブを貫通して延びる下部平衡穴と、
をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の輸送冷凍冷媒蒸気圧縮システム。
【請求項10】
内側容積部を画定するシェルと、
前記内側容積部を上部チャンバ、中間チャンバおよび下部チャンバに分割するように、前記シェルによって画定された前記内側容積部内に互いに離間して延びる下部プレートおよび上部プレートと、
前記中間チャンバと前記上部チャンバとを連通させるように、前記上部プレートを貫通して延びる第1の開口部と、
前記中間チャンバと前記下部チャンバとを連通させるように、前記下部プレートを貫通して延びる第2の開口部と、
液体相と蒸気相とを混合してなる流体流を受けるように前記中間チャンバと連通した入口ポートと、
前記上部チャンバから蒸気相の冷媒流を吐出するように前記上部チャンバと連通した第1の出口ポートと、
前記下部チャンバから液体相の冷媒流を吐出するように前記下部チャンバと連通した第2の出口ポートと、
を備えたフラッシュタンク分離器。
【請求項11】
前記上部プレートの前記第1の開口部および前記下部プレートの前記第2の開口部は、互いに離間して配置されていることを特徴とする請求項10に記載のフラッシュタンク分離器。
【請求項12】
前記シェルを貫通し、前記入口ポートを画定するフルート状出口を有する入口チューブをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載のフラッシュタンク分離器。
【請求項13】
上部チャンバ、中間チャンバおよび下部チャンバを有した内側容積部を画定するシェルと、
前記シェルの垂直中心軸に沿って前記下部チャンバと前記上部チャンバとの間に延びる細長い支持チューブと、
連続的な螺旋流体流通路を画定するように、前記支持チューブを中心に延びる螺旋部材であって、前記連続的な螺旋流体流通路の第1の部分が、前記中間チャンバと前記上部チャンバとを連通させ、前記連続的な螺旋流体流通路の第2の部分が、前記中間チャンバと前記下部チャンバとを連通させる、螺旋部材と、
前記導管の上部領域と前記連続的な螺旋流体流通路の上部領域とを連通させるように、前記支持チューブの上端部付近に該支持チューブを貫通して延びる上部平衡穴と、
前記導管の下部領域と前記連続的な螺旋流体流通路の下部領域とを連通させるように、前記支持チューブの下端部付近に該支持チューブを貫通して延びる下部平衡穴と、
前記2次膨張装置を通過した冷媒流を受けるように前記中間チャンバと連通した入口ポートと、
フラッシュタンク分離器から気体相の冷媒流を吐出するように前記上部チャンバと連通した第1の出口ポートと、
前記フラッシュタンク分離器から前記冷媒回路へ液体相の冷媒流を吐出するように前記下部チャンバと連通した第2の出口ポートと、
を備えたフラッシュタンク分離器。
【請求項14】
前記シェルを貫通し、前記入口ポートを画定する出口を有した入口チューブをさらに備え、前記入口チューブの出口は、前記シェルの内周壁に周方向に沿って通流するように、液体相と蒸気相とを混合してなる流体の流入流れを導くことを特徴とする請求項13に記載のフラッシュタンク分離器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−504747(P2012−504747A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530134(P2011−530134)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/058732
【国際公開番号】WO2010/039682
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(591003493)キャリア コーポレイション (161)
【氏名又は名称原語表記】CARRIER CORPORATION