説明

選別装置

【課題】上昇流の流れに乗りにくい性質を有する物体を、確実に選別できるようにする。
【解決手段】水槽2内に、一端から他端に向かって下り勾配の傾斜スクリーン6と、その水槽2内に上昇流を発生させる上昇流発生手段8と、その上昇流で浮遊物を上方へ吸引する吸引手段9とを設け、比重の異なる物体が混在する混合物Dを前記水槽2の一端に投入し、その混合物Dを、前記吸引手段9に吸引される吸引可能物Bと前記傾斜スクリーン6の他端から落下して前記水槽2内に沈降する沈降物Aとに選別する選別装置において、前記傾斜スクリーン6の他端に設けた水平流発生手段20からの水平流を、前記傾斜スクリーン6の他端から落下しつつある前記沈降物Aに当てて、その沈降物Aに含まれる素材の異なる複数の物体a,b,c・・・を異なるエリアに沈降させて選別する。また、前記水平流発生手段20に対向する吸い込み手段21を設けて前記水平流を吸い込むようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種廃棄物など比重の異なる物体が混在する混合物を、水槽内でその比重差によって選別する湿式の選別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
比重差を利用した混合物の選別装置として、混合物を水槽内で比重差によって浮上、沈降させる湿式の選別装置が様々な分野で使用されている。
【0003】
例えば、図3及び図4に示す湿式選別装置は、建築廃材のコンクリートに含まれる骨材の回収設備に用いられるものであり、骨材に混じる木片やプラスチック片を除去するものである。
建築廃材のコンクリートは、図示しない破砕機で破砕されて、比較的大型の異物が手選別で除去された後、その破砕物が粒径に応じて篩い分けられ、湿式選別装置1に投入されるようになっている。
なお、この篩い分けにおいて微小異物は除去されているので、湿式選別装置1に投入される破砕物には、微小異物は含まれないようになっている。
【0004】
前記湿式選別装置1は、図3に示すように、水槽2内の水に漬かる上面開口のバスケット3が上下動自在に吊り下げられており、このバスケット3内は,図4に示すように、垂直な仕切板4でその幅方向(図3に示す奥行き方向)複数列に仕切られている。
【0005】
破砕物の混合物Dは、篩い分けられたサイズ毎に、シュート5を通じて水槽2内の前記各列に投入されるようになっている。
【0006】
また、バスケット3の底には、混合物Dが投入される一端側の供給側端部3aから、他端側の排出側端部3bへ下向きに傾斜する傾斜スクリーン6が設けられている。傾斜スクリーン6は、その表裏間に水の流れを通す孔を多数有している。また、この傾斜スクリーン6には、バスケット3を介して振動発生手段7で振動が付与される。
【0007】
その傾斜スクリーン6の傾斜途中において、その水槽2内に上向きに開口する上昇流発生管(上昇流発生手段)8と、下向きに開口する吸引管(吸引手段)9とが設けられている。
上昇流発生管8と吸引管9とは、前記仕切板4で仕切られたバスケット3内の各列にそれぞれ設けられ、上昇流発生管8の開口8aと吸引管9の開口9aは、傾斜スクリーン6を隔てて斜め方向で対向している。また、その両開口8a、9a間の距離は、上昇流が衰えない距離に設定されている。
【0008】
前記バスケット3の排出側端部3bにおいて、傾斜スクリーン6の下端側は開放されている。その排出側端部3b側の水槽2の底に、沈下物を排出する排出スクリュー11が設けられている。
また、その排出側端部3bの水面近くには、水面上の浮上物Cを掬い上げるコンベア10が設けられている。
【0009】
前記上昇流発生管8は、水槽2内の水に上昇流を発生させる機能を有し、また、吸引管9は、その上昇流で水中に浮遊する浮遊物を下向き開口から上方へ吸引する機能を有している。
【0010】
バスケット3の各列に投入される混合物Dのうち、骨材等の重比重物は、速やかに傾斜スクリーン6上に沈降し、傾斜スクリーン6上を下降しながら排出側端部3b側へ移動していく。その沈降物Aは、下端側の開放された排出端3bから水槽2の底へ沈下して、回転する排出スクリュー11で選別回収される。
【0011】
また、混合物Dに含まれる木片やプラスチック片のうち、比重が1よりも大きい中軽比重物は、緩やかに沈降して傾斜スクリーン6上を下降移動し、その途中で上昇流発生管8からの上昇流によって水中に浮遊し、吸引可能物Bとして吸引管9に吸引されて外部に排出される。
また、比重が1よりも小さい軽比重物は、水面上へ浮上して排出端3b側へ移動し、コンベア10にすくい上げられて外部に排出される。
【0012】
なお、傾斜スクリーン6には振動が付与されているので、中軽比重物は、比重の大きい重比重物の下側となっても振動により自然に上側となり、上昇流によって確実に浮遊させることができる。
【0013】
また、一部の重比重物は、傾斜スクリーン6上を下降移動中に、前記上昇流発生管8からの上昇流によって水中に浮遊する場合もある。しかし、比重の大きい重比重物は、吸引管9に向かう斜め上方への上昇流に乗れないので、傾斜スクリーン6上へ沈降する。
また、その重比重物が流れに乗って吸引管9に吸引されたとしても、吸引管9は下向きに開口してその開口9aから上方へ傾斜しているので、自重による沈降力が吸引による浮力(吸引力)よりも上回って、再び下方の傾斜スクリーン6上へ沈降する(特許文献1参照)。
【0014】
【特許文献1】特開2007−167835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記選別装置では、前記上昇流発生管8の上昇流に乗りにくい性質を有する物体が吸引管9で吸引されず、本来入るべきでない重比重物を中心とする沈降物Aの中に混在してしまうことがある。
【0016】
例えば、水流に対して抵抗の少ない体勢をとりやすい形状からなる物体である薄片状のプラスチック等は、前記上昇流の流れに乗りにくいという傾向がある。
【0017】
また、例えば、建造物の解体等によって生じたコンクリート廃材には、被覆電線が混在している場合がある。被覆電線は樹脂被膜や径の細い針金状の金属を含む。これらは細長い形状であるので、水流に対して抵抗の少ない体勢をとりやすい形状である。このため、同じく前記上昇流の流れに乗りにくいという傾向がある。
したがって、それらの被覆電線が、重比重物として選別されたコンクリート片に混在しやすい。このように、被覆電線など異なる素材がコンクリート片に混在することは好ましくない。
【0018】
そこで、この発明は、湿式選別装置において、上昇流の流れに乗りにくい性質を有する物体を、確実に選別できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の課題を解決するために、この発明は、水槽内に、一端から他端に向かって下り勾配を成す傾斜スクリーンと、その水槽内に満たされた流体に上昇流を発生させる上昇流発生手段と、その上昇流で流体中に浮遊する浮遊物を下向き開口から上方へ吸引する吸引手段とを設け、比重の異なる物体が混在する混合物を流体を満たした前記水槽の一端に投入し、その混合物を、前記上昇流に乗って吸引手段に吸引される吸引可能物と前記傾斜スクリーン上を下ってその傾斜スクリーンの他端から落下して前記水槽内に沈降する沈降物とに選別する選別装置において、前記傾斜スクリーンの他端に、前記水槽の一端側から他端側に向かって水平流を発生させる水平流発生手段を設け、その水平流発生手段からの水平流を、前記傾斜スクリーンの他端に至った沈降物に当てることにより、前記沈降物に含まれる素材の異なる複数の物体を、前記水槽内の異なるエリアにそれぞれ沈降させることにより選別する構成を採用した。
【0020】
湿式選別装置の水槽内において、傾斜スクリーンの他端に至った沈降物の中に、異なる素材が混在している場合、それらの混在する素材は、前記上昇流に乗ることができなかった物体、又は吸引手段に吸引されなかった物体である。
これらの物体は、前記上昇流による選別は困難であったといえる。しかし、これらの物体に水平流を当てることによって素材毎に異なる挙動を示すことが確認できた。
【0021】
すなわち、吸引手段によって吸引されずに残った沈降物に水平流を当てると、その沈降物に含まれる相対的に比重の大きい物体は手前(水平流発生手段に近い側)に、相対的に比重の小さい物体は遠方(水平流発生手段から遠い側)に沈降することが確認できた。
水槽内の傾斜スクリーンを下って来た沈降物は、その流体中において水平流の影響を受けると、素材によって水平方向の飛び出し距離が異なるものとなり、その結果、素材毎に水槽内の異なるエリアに沈降させることができるのである。
【0022】
また、その水平流を、傾斜スクリーンの他端に設けた点も、このような挙動の違い(飛び出し距離の違い)を生む特徴点となっている。
すなわち、傾斜スクリーンの他端においてその傾斜スクリーンは終了するので、そこで沈降物は傾斜スクリーン上から離脱して(飛び出して)、その傾斜を下って来た勢いとともに自重で水槽の底へ落下する。
静止している沈降物や鉛直下向きに落下している沈降物ではなく、傾斜を下ってきた沈降物に対して水平流を当てることによって、前記飛び出し距離の違いに基づく素材の選別を実現できたものである。
【0023】
なお、その水平流は、傾斜スクリーンの他端において、その傾斜スクリーンから離脱する直前の沈降物に当ててもよいが、より好ましくは、傾斜スクリーンから離脱した後、水槽の底に向かって落下しつつある沈降物に当てる構成を採用することができる。
すなわち、その構成は、前記水平流発生手段は、前記傾斜スクリーンの他端の下方に設けられ、前記水平流は、前記傾斜スクリーンの他端に至りその他端から水槽の底に向かって落下しつつある前記沈降物に当てられることを特徴とする選別装置の構成である。
【0024】
さらに、これらの構成において、前記水槽の他端に、前記水平流発生手段に対向する吸い込み手段を設け、その吸い込み手段により前記水平流を吸い込むようにした構成を採用することができる。
【0025】
この吸い込み手段を設けたことによって、水平流は、乱れることなく層流を維持して水平に流れやすくなる。これは、特に、水槽内の空間が狭い場合に、水平流の行き場がないと、その末端で乱流を生じさせやすくなるからである。
すなわち、水平流を吸い込み手段が吸い込むことによって、水平流の乱れを抑え、沈降物に含まれる相対的に比重の大きい物体を手前に、相対的に比重の小さい物体を遠方に沈降させるという前記の作用を、より顕著に発揮させることができる。
【0026】
なお、これらの選別装置の適用例として、例えば、流体の流れに対して抵抗の少ない体勢をとりやすい形状からなる物体が、前記混合物に含まれている場合が想定される。
【0027】
その物体として、例えば、薄片状のプラスチックが挙げられる。薄片状のプラスチックは、流体中で流れを受けると、その薄片の面方向が流れ方向に沿うように向きを変えるので、前記上昇流の流れに乗りにくいという傾向がある。このため、このような物体が水槽に投入する混合物に含まれていると、これらの物体は、従来の上昇流を用いた吸引手段では選別できない。
【0028】
また、例えば、建造物の解体等によって生じたコンクリート廃材に混在している被覆電線の破片が挙げられる。被覆電線の破片は細長い形状を有しており、流体中で流れを受けると、同じくその長手方向が流れ方向に沿うように向きを変えるので、前記上昇流の流れに乗りにくいという傾向がある。このため、このような物体が水槽に投入する混合物に含まれていると、これらの物体は、従来の上昇流を用いた吸引手段では選別できない。さらに、鉄や非鉄金属の小片も、同じような傾向がある。
【0029】
このため、沈降物の中にコンクリート片から構成される物体が含まれ、さらに、その沈降物の中に、前記流体の流れに対して抵抗の少ない体勢をとりやすい形状からなる物体として、被覆電線の破片、鉄の小片、非鉄金属の小片、薄片プラスチックの中から選択される単一の物体、又はその中から選択される複数の物体が含まれる構成において、前述の各構成からなる選別装置を採用すれば、従来の選別装置では選別できなかったこれらの物体を、それぞれ適切に選別できるようになる。
【発明の効果】
【0030】
この発明は、湿式選別装置において、水槽内の傾斜スクリーンの下端に水平流発生手段を設けて、その水平流発生手段からの水平流を沈降物に当てたので、前記沈降物に含まれる素材の異なる複数の物体を、前記水槽内の異なるエリアにそれぞれ沈降させることができる。
このため、上昇流の流れに乗りにくい性質を有する物体であっても、確実に選別できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
この発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。図1に示す湿式選別装置30は、建築廃材に含まれる骨材の回収設備に用いられるものである。
その建築廃材は、図示しない破砕機で破砕されて、比較的大型の異物が手選別で除去された後、その破砕物が粒径に応じて篩い分けられ、それらが混合物Dとして、湿式選別装置30に投入されるようになっている。
【0032】
湿式選別装置30の構成は、主たる部分は従来例と同様である。
すなわち、図1に示すように、水槽2内の水に漬かる上面開口のバスケット3が設けられている。このバスケット3は上下動自在として、水槽2内に出し入れできるようにしてもよい。また、従来例のように、振動発生手段7を備えていてもよい。水以外の流体を用いても良い。
【0033】
このバスケット3内は、従来例と同様、垂直な仕切板でその幅方向(図1に示す奥行方向)複数列に仕切られている。破砕物の混合物Dは、篩い分けられたサイズ毎に、シュート5を通じて水槽2内の前記各列に投入されるようになっている。
なお、混合物Dの内容、種別によっては、前記篩い分けを行わず、バスケット3内を幅方向に仕切る仕切板の設置を省略した構成も考えられる。
【0034】
また、バスケット3の底には、混合物Dが投入される一端側の供給側端部3aから、他端側の排出側端部3bへ向かって下り勾配を成す傾斜スクリーン6が設けられている。この傾斜スクリーン6は、その全面に亘って多くの孔(篩い目)を有するメッシュ状の板材で構成されている。水流は、その孔を通って傾斜スクリーン6を表裏方向に通過し得る。
【0035】
その傾斜スクリーン6の傾斜途中において、その水槽2内に上向きに開口する上昇流発生管(上昇流発生手段)8と、下向きに開口する吸引管(吸引手段)9とが設けられている。
【0036】
上昇流発生管8と吸引管9とは、前記仕切板で仕切られたバスケット3内の各列にそれぞれ設けられ、上昇流発生管8の開口8aと吸引管9の開口9aとは、前記傾斜スクリーン6を隔てて鉛直方向で対向している。その両開口8a、9a間の距離は、上昇流が衰えない距離に設定されている。
【0037】
なお、上昇流発生管8の開口8aと吸引管9の開口9aとは、従来例のように、鉛直方向に対して斜め方向に対向させてもよい。
【0038】
この上昇流発生管8と吸引管9とにより、バスケット3の供給側端部3aに投入された混合物Dのうち、軽比重物を中心とする吸引可能物Bは吸引管9で除去され、重比重物を中心とする沈降物Aは、下り勾配に沿って傾斜スクリーン6上を下降していく。その詳細は、従来例と同様であるので説明を省略する。
【0039】
また、前記傾斜スクリーン6の他端に、前記水槽2の図中左側の一端側から図中右側の他端側に向かって、水平流を発生させる水平流発生管(水平流発生手段)20が設けられている。
【0040】
この水平流発生管20は、前記傾斜スクリーン6の排出側端部3bの下方に設けられている。
この水平流発生管20による前記水平流は、前記傾斜スクリーン6上を下降して来た沈降物Aが、傾斜スクリーン6の排出側端部3bから離脱して側方に飛び出した後、水槽2の底に向かって落下しつつある沈降物Aに対して、真横から流れが当たるように設定されている。
【0041】
また、前記水槽2の他端に、前記水平流発生管20に対向する吸い込み管(吸い込み手段)21が設けられている。前記水平流発生管20の開口20aと前記吸い込み管21の開口21aとは水平方向に向かい合っており、その吸い込み管21の吸引力により前記水平流が吸い込まれるようになっている。
【0042】
この湿式選別装置30の作用を説明すると、傾斜スクリーン6上を下降して来た沈降物Aは、排出側端部3bに至る。
そこで、その沈降物Aは、下り勾配を下って来た勢いとその自重により、傾斜スクリーン6の排出側端部3bから離脱して側方に飛び出した後、水槽2の底に向かって、側面視弧を描きながら落下していく。
【0043】
沈降物Aには、建築廃材としてのコンクリート片のほかに、例えば、薄片状のプラスチックや金属の小片など、流体の流れに対して抵抗の少ない体勢をとりやすい形状からなる物体が、少なくとも2種類含まれている。このコンクリート片と、それ以外の2種類の物体を、それぞれ物体a,b,cとする。
【0044】
前記水平流発生管20からの水平流が、その落下しつつある沈降物Aに当てられる。物体a,b,cは、それぞれ比重や形状が異なる素材であるので、このように水平流が当てられると、傾斜スクリーン6の排出側端部3bからの飛び出し距離が異なるものとなる。
この挙動の違いを利用して、沈降物Aに含まれる素材の異なる3つの物体a,b,c(図中の矢印a,b,c参照)を、前記水槽2内の異なるエリア22a,22b,22cにそれぞれ沈降させることにより選別する。
【0045】
各エリア22a,22b,22cは、それぞれ上方が開口したポケット状に形成されており、その底部にそれぞれ排出スクリュー11が設けられている。
その排出スクリュー11が回転することによって、選別された物体a,b,cが回収される。
【0046】
他の実施形態を図2に示す。この実施形態は、傾斜スクリーン6の傾斜角度を、水平方向に対して50度に設定したものである。また、その傾斜スクリーン6を隔てて、上昇流発生管8と吸引管9とを1組配置している。
【0047】
沈降物Aには、3種類の物体a,b,cが含まれる。物体aは被覆電線の破片、物体bは石、物体cはプラスチック等の軽量物である。物体aと物体cは、水流に対して抵抗の少ない体勢をとりやすい形状からなる物体である。
この実施形態では、水平流発生管20に最も近い側のエリア22aには、被覆電線の破片からなる物体が、その次のエリア22bには石が、水平流発生管20から最も遠いエリア22cには、プラスチック等の軽量物が選別される(図中の矢印a,b,c参照)。
【0048】
なお、特に、薄片状のプラスチックを対象とする場合は、そのプラスチックが傾斜スクリーン6の勾配を下降する間に、それらの薄片が一定の方向(薄片の面方向が傾斜スクリーンの面方向と並行になる方向)に向く傾向があるので、その一定の方向に向いた状態のプラスチックに水平流を当てれば、飛び出し距離が安定する効果も期待できる。
【0049】
また、この実施形態では、傾斜スクリーン6の孔を通過した細粒物は、図中の矢印sのように、エリア23に選別される。他の構成については、前述の実施形態と同様である。
【0050】
この実施形態では、上昇流発生手段8として上向きに開口する上昇流発生管8を、吸引手段9として下向きに開口する吸引管9を採用した。また、水平流発生手段20として側方に開口する水平流発生管20を、吸い込み手段21として、同じく側方に開口する吸い込み管21を採用した。
これらの上昇流発生手段8、吸引手段9、水平流発生手段20、吸い込み手段21については、これらの実施形態で示した管状を成す装置に限定されず、水槽2内の流体に流れを生じさせる周知の手段、あるいは、吸引力を生じさせる周知の手段を採用することができる。
【0051】
また、その水平流発生手段20が生じさせる前記水平流の向きは、沈降物Aに当たる流体の流れの向きが水平方向であることを逸脱しない範囲で調整可能である。例えば、流れが生じる方位を横方向に調整できるようにしてもよいし、流れが生じる仰角を若干調整できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】一実施形態の正面図
【図2】他の実施形態の正面図
【図3】従来例の正面図
【図4】図3の側面図
【符号の説明】
【0053】
1,30 湿式選別装置
2 水槽
3 バスケット
4 仕切板
5 シュート
6 傾斜スクリーン
7 振動発生手段
8 上昇流発生手段(上昇流発生管)
9 吸引手段(吸引管)
10 コンベア
11 排出スクリュー
20 水平流発生手段(水平流発生管)
21 吸い込み手段(吸い込み管)
22a,22b,22c,23 エリア
A 沈降物
B 吸引可能物
C 浮上物
D 混合物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽2内に、一端から他端に向かって下り勾配を成す傾斜スクリーン6と、その水槽2内に満たされた流体に上昇流を発生させる上昇流発生手段8と、その上昇流で流体中に浮遊する浮遊物を下向き開口9aから上方へ吸引する吸引手段9とを設け、比重の異なる物体が混在する混合物Dを流体を満たした前記水槽2の一端に投入し、その混合物Dを、前記上昇流に乗って吸引手段9に吸引される吸引可能物Bと前記傾斜スクリーン6上を下ってその傾斜スクリーン6の他端から落下して前記水槽2内に沈降する沈降物Aとに選別する選別装置において、
前記傾斜スクリーン6の他端に、前記水槽2の一端側から他端側に向かって水平流を発生させる水平流発生手段20を設け、その水平流発生手段20からの水平流を、前記傾斜スクリーン6の他端に至った沈降物Aに当てることにより、前記沈降物Aに含まれる素材の異なる複数の物体a,b,c・・・を、前記水槽2内の異なるエリアにそれぞれ沈降させることにより選別することを特徴とする選別装置。
【請求項2】
前記水平流発生手段20は、前記傾斜スクリーン6の他端の下方に設けられ、前記水平流は、前記傾斜スクリーン6の他端に至りその他端から水槽2の底に向かって落下しつつある前記沈降物Aに当てられることを特徴とする請求項1に記載の選別装置。
【請求項3】
前記水槽2の他端に、前記水平流発生手段20に対向する吸い込み手段21を設け、その吸い込み手段21により前記水平流を吸い込むようにしたことを特徴とする請求項1に記載の選別装置。
【請求項4】
前記複数の物体a,b,c・・・には、流体の流れに対して抵抗の少ない体勢をとりやすい形状からなる物体が含まれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の選別装置。
【請求項5】
前記複数の物体a,b,c・・・の中にコンクリート片から構成される物体が含まれ、前記流体の流れに対して抵抗の少ない体勢をとりやすい形状からなる物体には、被覆電線の破片、鉄の小片、非鉄金属の小片、薄片プラスチックの中から選択される単一の又は複数の物体が含まれることを特徴とする請求項4に記載の選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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