説明

選別装置

【課題】 選別装置において、安定した回収量の維持と回収物の品質維持を達成することを目的としている。
【解決手段】選別装置は、選別対象物を搬送する搬送装置と、選別対象物に光線を照射する光源と、選別対象物からの反射光を検出する検出器と、検出した光線の強度信号値と判定閾値とを比較し、判定閾値以下であれば検出した選別対象物を除去対象物と判定する判別部と、判別部の判定結果に基づいて選別対象物を分別する分別部とを備えている。判別部は除去対象物と判定した回数をカウントし、単位時間当りの判定回数が設定頻度を超えるとともに、設定頻度を超える時間が設定時間以上継続すると、停止信号を発する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、選別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粒状物の選別装置は、粒状物を連続的に落下させ、その中に含まれる異常粒を光学的に検出している。検出された異常粒はエアガンによって吹飛ばされる。この技術は、米やお菓子などの食品の選別やプラスチックの選別などに用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭62−1555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような粒状物の選別装置は、粒状物に光線を照射し、粒状物からの反射光が粒状物の表面の色調によって異なることを利用して、選別対象粒状物を検出する。検出器は粒状物からの反射光量の強度を検出し、判定部に検出した光量の強度信号値を送る。判定部は検出器から送られた強度信号値と予め設定した判定閾値とを比較し、判定閾値に満たない粒状物を除去対象と判定する。判定結果を表す信号は、除去対象と判定される毎に、除去駆動回路に出力される。除去部駆動回路は、判定部からの出力信号を受けて、除去部に駆動信号を出力する。
【0005】
除去対象の粒状物の検出間隔が非常に短い場合、除去部の動作が間に合わなくなることが生じる。除去対象粒状物を除去することができないと、非除去対象粒状物に除去対象粒状物が混在することになる。特許文献1が開示する装置では、除去部を2段階設けて、除去部の動作頻度負荷に応じて使用する流路を切替えている。流路は第1の除去部の動作頻度が一定以上になると、切り替わる。この結果、第1の除去部と第2の除去部が併用されて、除去対象粒状物が除去される。しかし、第1の除去部の動作頻度は高いままであり、除去部または除去部駆動回路にかかる負荷は非常に大きい。
【0006】
除去部または除去部駆動回路にかかる負荷が高負荷の状態のまま一定時間以上継続すると、除去部または除去部駆動回路が故障する。除去部または除去部駆動回路が故障した場合、除去対象粒状物を検出しても除去部または除去部駆動回路は動作しない。除去対象粒状物を除去できない結果、非除去対象粒状物に除去対象粒状物が混在することになる。
【0007】
光源の表面や検出器の検出面にゴミが付着すると、検出される光量の強度信号値が低下する。また検出した強度信号値が周期的に判定閾値を上下する場合、判定部での除去対象判定回数頻度が増加する。その結果、非除去対象の粒状物が除去されるため、回収量が減少する。
【0008】
検出した強度信号値が判定閾値を常時下回る場合、判定部は常時除去対象が存在すると判定するため、除去部駆動回路に駆動信号を出力し続ける。このときの除去部の動作は除去部駆動回路の構成によって以下の三通りの場合が考えられる。
【0009】
一番目は除去部駆動回路が判定部からの出力信号の立ち上がりを検知して除去部に信号を出力し、立下りを検知して信号を停止する場合である。除去部は最初に伝達された信号で、一度だけ駆動し、その後通過する除去対象の粒状物は検知されない。除去対象の粒状物は除去されずに、回収側を通過する結果、除去対象粒状物と非除去対象粒状物が混在することになる。
【0010】
二番目は除去部駆動回路が判定部からの出力信号のHiレベルを検知して除去部に任意の設定出力幅と任意の設定休止幅のパルスを出力する場合である。除去部駆動回路は駆動信号を一定周期で連続して出力するため、除去部は一定周期で連続して動作する。その結果、除去部の動作周期で除去部を通過した粒状物を除去対象含有の有無に関係なく除去するため、回収量が減少する。
【0011】
三番目は除去部駆動回路が判定部の出力信号をそのまま除去部に出力する場合である。除去部は動作し続けるため、除去部を通過した粒状物を除去対象含有の有無に関係なく除去する。この場合も、回収量が減少する。
【0012】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、選別装置において、安定した回収量の保持と回収物の品質維持を達成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明に係る選別装置は、選別対象物を搬送する搬送装置と、選別対象物に光線を照射する光源と、選別対象物からの反射光を検出する検出器と、検出した光線の強度信号値と判定閾値とを比較し、判定閾値以下であれば検出した選別対象物を除去対象物と判定する判別部と、判別部の判定結果に基づいて選別対象物を分別する分別部とを備えている。判別部は除去対象物と判定した回数をカウントし、単位時間当りの判定回数が設定頻度を超えるとともに、設定頻度を超える時間が設定時間以上継続すると、停止信号を発するものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、回収量の減少および選別対象物の混在を防止できる。さらに除去部を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1による選別装置の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1による光源と検出器の配置図である。
【図3】除去対象物質の有無による検出信号の違いを示した図である。
【図4】本発明の実施の形態1による判別部の基本構成を示す図である。
【図5】除去部駆動回路監視部に関する第1の動作説明図である。
【図6】除去部駆動回路監視部に関する第2の動作説明図である。
【図7】本発明の実施の形態2による選別装置の構成図である。
【図8】本発明の実施の形態2による判別部の基本構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による選別装置を示す図である。選別装置100はホッパ2、ベルトコンベア3、光源4、検出器5、判別部6、除去部7、非除去対象物格納容器8a、除去対象物格納容器8bから構成されている。ホッパ2は、粒状物1を堆積し、ベルトコンベア3に供給する。ベルトコンベア3はホッパ2から降りてきた粒状物1を所定の場所まで搬送する。光源4は、搬送されてきた粒状物1に光線21を照射する。検出器5は、粒状物1で反射された光線を検出する。実施の形態1では、光源4と検出器5は、ベルトコンベア3の進行方向先端部付近に設置されている。
【0017】
判別部6は検出器5で検出した光線の強度信号値に基づいて粒状物1を判別する。除去部7は、例えばエアガンを用いて粒状物1を分別する。粒状物1が判別部6で除去対象粒状物9bであると判別されると、除去部7は粒状物1に圧縮空気を吹き付ける。非除去対象物9aは非除去対象物格納容器8aに格納される。除去対象物9bは除去対象物格納容器8bに格納される。
【0018】
図2は、粒状物が分別される状況を表現している。選別装置100では粒状物1からの反射光が粒状物1の表面の色調によって異なることを利用して、選別対象粒状物を検出している。光源4から照射された光線21は検出器5に入射する。検出器5には検出素子25が線状に配置されている。検出器5は粒状物1からの反射光量の強度を検出する。非除去対象物9aと除去対象物9bはベルトコンベア3から放出されたあと軌道23を描いて検出器5を通過する。
【0019】
図3は検出器で観察された光量を表している。検出器5としては、ライン内や面内の光線強度分布の測定が可能な、例えばラインセンサカメラ、イメージングインテンシファイア、CCDカメラなどを用いる。検出信号31は検出器5の検出領域に何も存在しない場合一定値を示すが、検出領域に粒状物1が存在すると、強度が低下する。検出信号33は閾値32よりも強度が強いため、判別部6は非除去対象物9aと判断する。検出信号34は閾値32よりも強度が弱いため、判別部6は除去対象物9bと判断する。
【0020】
図4は判別部6の構成を表している。判別部6はデータ処理部11、判定部12、除去部駆動回路13、除去部駆動回路監視部14から構成されている。データ処理部11は検出器5が検出した光線の強度信号を信号処理する。判定部12は予め決めた判定基準値と比較して基準値を下回る信号は除去対象と判定する。除去部駆動回路13は判定部12で除去対象と判定された粒状物1を除去するよう除去部7に信号を送る。除去部駆動回路監視部14は除去部駆動回路13と除去部7の間に設けられていて、除去部駆動回路13の動作を監視している。
【0021】
除去部駆動回路監視部14は除去部駆動回路13から除去部7に出力される駆動信号の出力回数頻度を監視する機能と除去部駆動回路13から除去部7に出力される駆動信号継続時間を監視する機能と、異常時に警告を発し、場合によっては除去部駆動回路13から除去部7に出力される駆動信号を遮断し、装置を停止させる機能を持っている。除去部駆動回路監視部14から選別装置100に停止信号が送られると、ホッパ2、ベルトコンベア3、光源4、除去部7が全て停止する。
【0022】
除去部駆動回路13から除去部7に出力される駆動信号の出力回数頻度が除去部駆動回路監視部14で設定する回数頻度を超えるとともに、設定頻度を超える時間が設定時間以上継続する場合、除去部駆動回路監視部14は警告を発し、除去部駆動回路13から除去部7に出力される駆動信号を遮断し、装置の稼働を停止させる(図5参照)。
【0023】
除去部駆動回路13から除去部7に出力される駆動信号の継続時間が除去部駆動回路監視部14で設定する継続時間を超えた場合、除去部駆動回路監視部14は警告を発する(図6参照)。
【0024】
実施の形態2.
図7は本発明の実施の形態2による選別装置を示す図である。実施の形態2では、検出器5はベルトコンベア3のベルト面上に設置されていて、粒状物1がベルトコンベア3の上を通過する時に検出する。図8は、実施の形態2による判別部の構成を示している。除去部駆動回路監視部14は判定部12と除去部駆動回路13との間に設けている。
【0025】
検光源4には、放射線発生器を用いても良く、その検出器5としては例えば放射線ラインセンサカメラ、放射線イメージングインテンシファイア、放射線CCDカメラ、放射線シンチレータ、位置感度型比例計数管などを用いる。この構成によれば、回収量減少および回収物の混在を防止できる。
【符号の説明】
【0026】
1 粒状物、2 ホッパ、3 ベルトコンベア、4 光源、5 検出器、6 判別部、7 除去部、8a 非除去対象物格納容器、8b 除去対象物格納容器、9a 非除去対象物、9b 除去対象物、12 判定部、13 除去部駆動回路、14 除去部駆動回路監視部、21 光線、23 軌道、25 検出素子、31 検出信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選別対象物を搬送する搬送装置と、前記選別対象物に光線を照射する光源と、前記選別対象物からの反射光を検出する検出器と、検出した光線の強度信号値と判定閾値とを比較し、判定閾値以下であれば検出した前記選別対象物を除去対象物と判定する判別部と、前記判別部の判定結果に基づいて前記選別対象物を分別する分別部とを備えた選別装置において、
前記判別部は除去対象物と判定した回数をカウントし、単位時間当りの判定回数が設定頻度を超えるとともに、設定頻度を超える時間が設定時間以上継続すると、停止信号を発することを特徴とする選別装置。
【請求項2】
判別部は除去対象物と判定した回数をカウントし、単位時間当りの判定回数が設定頻度を超えるとともに、設定頻度を超える時間が設定時間以上継続すると、警告信号を発することを特徴とする請求項1に記載の選別装置。
【請求項3】
判別部は除去対象物と判定した判定継続時間をカウントし、設定時間以上継続すると、警告信号を発することを特徴とする請求項1に記載の選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−170947(P2012−170947A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38514(P2011−38514)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】