説明

選択情報隠蔽カード

【課題】クジなどを、質感の高いものとし、折って開封することにより、従来にない快感が味わえ、しかも、開封時に隠蔽された情報を選択する興奮も得られるようにする。
【解決手段】柔軟性の少ない薄板状の背板3に選択されるべき情報を露出させるための折り目3aを設け、一対の剥離紙1、2にそれぞれミシン目1a又は1bを設け、折り目3aとミシン目1a及び1bが重なるようにして、背板3を挟んで、その両面に沿って一対の剥離紙1、2を剥離可能に貼り付ける。背板3を折り曲げた場合に、折り目3aの谷側に働く圧縮力に対向する、山側の伸張力により、一対の剥離紙1、2の一方のみが分断されるような構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉じられた内部に当落などの選択情報を隠蔽した状態で記載し折って開封する、クジなどに適した選択情報隠蔽カードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、販促戦略の一つとしてクジがよく使われる。その一例として、コンビニエンスストアのレジに置いたクジを会計時に引いてもらい、当たりがでると特定商品の割引が受けられるようなもの等が、最近よく行われている。通常この種のクジは、古くから存在する三角クジや塗られたペーストをコイン等で削るスクラッチカード(例えば特許文献1)、剥離性のノリで接着した片側をめくるようなクジ等が一般的である。
【0003】
上記のようなクジは広く知れ渡っているため、本来、クジの持っている開封時の開ける楽しみが薄れてきている。そのため、開封もしてもらえずに廃棄されてしまうものも少なくない。したがって、そのデザイン、形態、開封のさせ方等いろいろと趣向を凝らし、消費者の開封率、リピート率を上げることに専念する傾向にある。
しかし、多くのクジ又はスクラッチカードの中から一つを選ぶ、選んだものを開封、又はペーストを削る、などの動作によってクジの当り外れなどを表示させるが、開封ないしは削る動作を行うときには、すでにクジ又はカードに表示されている内容が決まっているから、これらの動作中に興奮を増大させる要素は小さい。
【特許文献1】特開2003−200682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、開封時に薄板状のものを折ってクラックするという従来にない快感が味わえ、しかも開封時に隠蔽された情報を選択できるようにして、従来には無かった高い興奮度が得られるような、選択情報隠蔽カードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、選択されるべき情報(5a、5b)が外部から見えない所に隠蔽されているカードであって、柔軟性の少ない薄板状の背板(3)と、周縁部の二点間を結ぶ線に沿って折り曲げるために前記背板(3)に設けた折り目(3a)と、前記背板(3)の両面に沿って剥離可能に接着された一対の剥離紙(1,2)と、前記選択されるべき情報(5a、5b)を露出させるために前記折り目(3a)に沿って前記背板(3)を折り曲げた場合に、前記折り目(3a)の谷側の圧縮力に対向する山側の伸張力により前記一対の剥離紙(1、2)の一方のみが分割されるよう前記剥離紙(1、2)に設けた分割線(1a、2a)と、を含む選択情報隠蔽カードである。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の選択情報隠蔽カードにおいて、前記一対の剥離紙の一方(1)に設けられた前記分割線(1a)と他方(2)に設けられた前記分割線(2a)が、前記折り目(3a)を挟んで重なる状態にあること、を特徴とする選択情報隠蔽カードである。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の選択情報隠蔽カードにおいて、前記情報(5a、5bなど)は、クジの当り外れ、又は、当りクジの景品の種別を含む抽選にかかわる情報であること、を特徴とする選択情報隠蔽カードである。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、以下のような効果がある。
(1)柔軟性の少ない薄板状の背板の両面に沿って剥離可能に一対の剥離紙を接着し、背板には折り目を、剥離紙には分割線を設け、背板を折り曲げた場合に、折り目の谷側の圧縮力に対向する山側の伸張力により一対の剥離紙の一方のみが分割されるよう構成することにより、厚くて硬質感があり、しかも、折って開くという従来にない快感が味わえ、また、多くの中から選んだものを開封する場合は、開封時の選択により2重の興奮を味わうことができる。
【0009】
(2)上記選択情報隠蔽カードにおいて、一対の剥離紙の一方に設けられた分割線と他方に設けられた分割線が、折り目を挟んで重なる状態に構成することにより、背板の折り目で山折りにするか谷折りにするかによって、異なった情報の選択が具体的に行えるようになる。
【0010】
(3)上記選択情報隠蔽カードにおいて、選択されるべき情報を、クジの当り外れ、又は、当りクジの景品の種別などの抽選情報とすることにより、開封時に快い感触が味わえ、しかも、多くの中から任意のものを選んでから、さらに、開封時の選択による興奮を重ねて味わうことができるので、従来にない新鮮味のある新しいクジを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、開封時に、従来にない感触が味わえ、しかも選択による興奮も味わえるようにするという目的を、例えば、当り付きのクジを、中央に折り目の入った背板となる厚紙、又は軽量な発泡薄板の両面に、当りや外れのクジを、剥離性の高い糊で貼り付けて構成し、開封時に、その背板をどちらの方向に折り曲げるかで、クジの一方のみのミシン目が破れるようにして、破れたクジは無効、破れなかったクジは有効とすることによって、通常の剥離クジより厚く、かつ、硬質感のあるもので、しかも、開封時に、今までに無い折って開けるという楽しみを持った新しいタイプのクジを実現する。
【実施例】
【0012】
以下に、図面等を参照して、発明を実施するための最良の形態を、実施例をあげて説明する。
図1は、本発明による折って開封する被選択情報隠蔽カードの実施例1(クジ)を示す説明図(斜視図)である。
図1では、実施例1の一部(小さい楕円で囲んだ部分)を、拡大して大きな楕円で囲んだ部分に示してある。
図2は、図1のクジを開封するために中央部が高くなる折り方(山折り)にした場合について、一部を拡大して示した断面図である。
図3は、図1のクジの構成を示すための説明図(分解斜視図)である。
なお、図中に点の列で示した鏡像文字は、裏面にそれに対応する文字が表示されていることを示す。以下の各図においても同様である。
【0013】
本発明の実施例1は、図1及び図3に示すように、背板3の上下両面に沿って、それぞれの面を覆うように、一対の剥離紙1及び2が図示しない接着剤で接着されている。この接着剤の接着力は、剥離紙1又は2の端部を指でつまんで引っ張ることによって、それらの剥離紙を背板3から剥がすことができる程度のものである。
背板3は、厚紙又は発泡樹脂の薄板などのように、それほど硬くなくてもよいが、柔軟性が低く、折り目を付けておきさえすれば、指先で容易に折り曲げ引きちぎることができるものがよい。
【0014】
背板3には、中央に折り目3aが設けられている。剥離紙1及び2にもそれぞれの中央部にミシン目1a又は2aが設けられている。背板3と剥離紙1及び2が貼り合わされた状態では、折り目3aにミシン目1a及び2aが重なっている。そこで、この部分を上から見て山折になるように折り曲げると、背板3の折り目3aに沿った断面の下側には、左右からの圧縮力が働き、上側には左右を引き離す伸張力が働く。そこで、図2のように、上側の剥離紙1は、ミシン目1aのところから切断される。なお、下側のミシン目2aに働く力は圧縮力であるので、剥離紙2は切り離されることは無い。
【0015】
もし、折り目3aの部分を上から見て谷折りになるように折り曲げると、断面の上側に圧縮力が働き、下側に伸張力が働くので、下側の剥離紙2は、ミシン目2aのところから切断される。そして、ミシン目1aに働く力は圧縮力であるので、上側の剥離紙1は切り離されることは無い。
【0016】
図4及び図5は、実施例1のクジが開封される過程を示す説明図(斜視図)である。
図2に示す山折りの状態から実施例1の全体を左右に引っ張ると、図4に示すように、背板3も折り目3aのところから切断されて左右の片13a、13bとなり、左右の片12a、12bで構成される下側の剥離紙2は、切断された背板3の左右の片13a、13bの端部から、それぞれ剥がされていく。
図5の状態では、下側の剥離紙2から背板3の片13a、13bの殆どの部分が剥がされて、選択された情報(この場合は当たりの文字5a)が見えている。
図6は、クジの開封が完了した状態を示す斜視図である。図では切断された上側の剥離紙の片11a、11bのそれぞれと、それに貼り付いたまま切断された背板の左右の片13aと13bを、切断されないで剥がされた下側の剥離紙2の両側に並べた状態で示してある。
【0017】
図7及び図8は、実施例1のクジが開封される別の過程を示す説明図(斜視図)である。
図2に示す山折りに対して上下関係が逆になる谷折りの状態から実施例1の全体を左右に引っ張ると、図7に示すように、背板3も折り目3aのところから切断され、上側の剥離紙1の左半分の片11a及び右半分の片11bは、切断された背板3の左右の片13a、13bの端部から、それぞれ剥がされていく。
図8の状態では、上側の剥離紙1から背板3の殆どの部分が剥がされている。
図9は、クジの開封が完了した状態を示す斜視図である。図では切断された下側の剥離紙12a、12bのそれぞれとそれに貼り付いたまま切断された背板の左右の片13aと13bを下に置き、上側で切断されなかった剥離紙1の内側に表示した情報(この場合は「はずれ」の文字5b)が見えるように持ち上げた状態で示してある。
【0018】
(変形例)
以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
上記の実施例では、選択されるべき情報としては、クジの当たり外れの場合について説明したが、クジ以外の情報を隠蔽するカードであってもよい。例えば、旅行会社のバスツアーなどにおいては、みやげ物の割り当てや部屋割りなどを、参加者に選択させる場合にも使用することができる。
【0019】
また、カードの構造についても種々な変形が可能である。
例えば、図10は、その変形例の一つである。図10は、上側の剥離紙21、背板23、下側の剥離紙22を、接着前の状態で、上から重ねる順に左から右方向に並べて示した平面図である。この例では、角型カードの対向する角の部分を、表側、又は裏側から背板23の折り目23a又は23bに沿って折ることによって、それぞれに対応した文字があらわれる。すなわち、折り目23aで折れば山折りとなり、ミシン目21aが切断されて、下側の剥離紙22の内側に印刷された「特等賞」などの文字25aが現れ、折り目23bで折れば谷折となり、ミシン目22bが切断されて「はずれ」などの文字25bが現れる。なお、点の列で表した文字25bは、上側の剥離紙21の内側に印刷されているので、剥がさなければ表からは見えない。
【0020】
図11は、他の変形例の一つである。図11は、上側の剥離紙31、背板33、下側の剥離紙32を、接着前の状態で、上から重ねる順に左から右方向に並べて示した平面図である。この例では、丸型カードの中央から左右の対向部分を、又は、上下の対向部分を、背板33の折り目33a又は33bに沿って折ることによって、それぞれに対応した文字があらわれる。すなわち、折り目33aで折れば山折りとなり、ミシン目31aが切断されて、下側の剥離紙32の内側に印刷された「景品X」などの文字35aが現れ、折り目33bで折れば谷折りとなり、ミシン目32bが切断されて「はずれ」などの文字35bが現れる。
【0021】
図12は、さらに他の変形例の一つである。図12は、構成要素のそれぞれを、接着前の状態で、左側に表面を、右側に裏面を示し、上から順に、上側の剥離紙41、背板43、下側の剥離紙42を並べて示した説明図である。
図において、F1、F3、F2、は、それぞれ上側の剥離紙41、背板43、下側の剥離紙42の表面であり、B1、B3、B2、は、それぞれ上側の剥離紙41、背板43、下側の剥離紙42の裏面である。
なお、44fは表側から見える情報、44bは裏側から見える情報であり、45f、45bは隠蔽された情報である。
【0022】
この変形例は、背板43を挟んで、その上下両面に上側の剥離紙41、下側の剥離紙42が貼り付けられるが、この例では、長方形のカードを、中央部とその左右の部分をほぼ3等分するように、上側の剥離紙41には、ミシン目41a、41bを、背板43には、折り目43a、43bを、下側の剥離紙42には、ミシン目42a、42bを設けている。背板43の折り目43a又は43bに沿って折ることによって、それぞれに対応して隠蔽されていた数字45f又は45bがあらわれる。すなわち、折り目43a、43bを山折りすると、ミシン目41a、41bが切断されて、下側の剥離紙42の内側に印刷された「1」、「4」などの数字45fが現れ、谷折りあるいは裏返して山折りすると、ミシン目42a、42bが切断されて「8」、「8」の数字45bが現れる。
【0023】
このとき、現れる数字のすべてが同一である場合や、数字が大きさの順に続いている場合などを、当たりクジとすれば、山折りにしてF2の情報表示面が現れる場合は、はずれで、谷折にしてB1の情報表示面が現れる場合は、当選ということになる。
図12の変形例において、印刷はF1とF2のみとし、下側の剥離紙42にミシン目42a及び42bを設けなければ、山折のみが可能で、選択される情報は固定されるが、それでも多くの中から選んだカードを、期待を持って順次開いていくスリルを味わうことができる。
【0024】
上記の実施例1及び各変形例のすべてに関し、それぞれの各要素の組み合わせを変えることによって、無数の変形例がえられる。また、印刷される選択情報は、文字や、数字以外の図柄、例えば、人気漫画のキャラクターや、動植物などを印刷しておき、それぞれの図柄に対応して、当たり外れや、当たりの場合の景品の種別などを決めて使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による折って開封する被選択情報隠蔽カードの例(クジ)を示す説明図(斜視図)である。
【図2】開封するために山折りした図1のクジの一部を拡大して示した断面図である。
【図3】図1のクジの構造を示すための説明図(分解斜視図)である。
【図4】図1のクジを山折りで開封する過程を示す説明図(斜視図)である。
【図5】図4に続き図1のクジを開封する過程を示す説明図(斜視図)である。
【図6】図1のクジの山折りの開封が完了した状態を示す斜視図である。
【図7】図1のクジを谷折りで開封する過程を示す説明図(斜視図)である。
【図8】図7に続き図1のクジを開封する過程を示す説明図(斜視図)である。
【図9】図1のクジの谷折りの開封が完了した状態を示す斜視図である。
【図10】一変形例のクジを分解して示す説明図(平面図)である。
【図11】他の変形例のクジを分解して示す説明図(平面図)である。
【図12】さらに他の変形例のクジを分解してその表裏を示す説明図である。
【符号の説明】
【0026】
1、21、31、41 上側の剥離紙
1a、2a、21a、22b、31a、32b、41a、41b、42a、42b ミシン目
2、22、32、42 下側の剥離紙
3、23、33、43 背板
3a、23a、23b、33a、33b、43a、43b 折り目
5a、5b、25a、25b、35a、35b 被選択情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択されるべき情報が外部から見えない所に隠蔽されているカードであって、
柔軟性の少ない薄板状の背板と、
周縁部の二点間を結ぶ線に沿って折り曲げるために前記背板に設けた折り目と、
前記背板の両面に沿って剥離可能に接着された一対の剥離紙と、
前記選択されるべき情報を露出させるために前記折り目に沿って前記背板を折り曲げた場合に、前記折り目の谷側の圧縮力に対向する山側の伸張力により前記一対の剥離紙の一方のみが分割されるよう前記剥離紙に設けた分割線と、
を含む選択情報隠蔽カード。
【請求項2】
請求項1に記載の選択情報隠蔽カードにおいて、
前記一対の剥離紙の一方に設けられた前記分割線と他方に設けられた前記分割線が、前記折り目を挟んで重なる状態にあること、
を特徴とする選択情報隠蔽カードである。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の選択情報隠蔽カードにおいて、
前記情報は、クジの当り外れ、又は、当りクジの景品の種別を含む抽選にかかわる情報であること、
を特徴とする選択情報隠蔽カード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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