説明

選択的に活性化可能な食品貯蔵ラップシート

選択的に活性化可能なシート材料が、向かい合わせの関係にされた少なくとも1つの薄膜及び少なくとも1つの非活性化物質から形成される。少なくとも1つの薄膜は、本質的に連続した網状組織及び少なくとも1つの薄膜の少なくとも1つの面を含み少なくとも1つの非活性化物質はその上に配置された活性物質を有する。活性物質は、選択的に活性化可能なシート材料に対する外力の印加に応答して、薄膜又は非活性化物質を超えて配置されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用時に対象表面上に配置可能な活性物質を有する、選択的に活性化可能な食品貯蔵ラップに関する。選択的に活性化可能なシートは、食品貯蔵ラップなど多数の品物を形成するフィルムシートとして、有用であり得る。
【背景技術】
【0002】
シート様の材料は既知であって、多様な品物の包含及び保護のため、特に食品などの傷みやすい物質を保存するために使用されている。そのような材料は、品物を個別に包むために利用することができ、及び/又は半密閉容器のための閉鎖手段を形成するために利用することができる。特に、食品貯蔵ラップは、ボウル、残り物の皿を覆うために、及び冷蔵する、冷凍する、ゆでる、ないしは別の方法で保存又は調理される食品を完全に包むために、使用することができる。
【0003】
そのような材料の1つの部類には、一般にはロールの形態で供給される薄く順応性のあるウェブに形成された、ポリマー組成物が含まれる。そのような材料の一般的な例として、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、及びポリエチレン(PE)のシートがある。これらの材料は、それらを形成するポリマー材料の特性によって、少なくとも1つの表面に貼り付くという特徴を呈する。さらに、可塑剤及び粘着剤などの添加剤によって、これらの材料を品物に被うかそれを包み、次いで品物及び/又は材料自体に貼り付くようにすることができる。これらの材料の貼り付くという特徴によって、さらに、硬い、半剛体の、又は可撓性の半密閉容器と組み合わせて使用して、完全に密閉された容器の構造を提供することができる。これらの材料のバリア特性(即ち、酸素、蒸気/水蒸気、及び臭い)によって、食品及び/又は連続して環境に曝されることでより急速に酸化、脱水、ないしは別の方法で分解され得る品物などの、傷みやすい品物に対する所望の保存特性を提供することができる。
【0004】
これらの材料はある程度受入れられているものの、ディスペンサー・カートンに入った連続したロールとして供給された材料で分配作業を開始することは困難である。これは、分配作業を開始するために、ロールに巻かれたウェブの現在の末端部分の場所を見つけて分離することが、一般に難しいためである。ロールに巻かれたウェブの現在の端部を確認及び/又は分離するための多数の方法が開発されてきた。これには、タブ、色、及び端部を把持するディスペンサーの特徴を提供することが含まれる。ロールに巻かれたウェブの端部に触れても、材料がそれ自体に貼り付く傾向によっても、ウェブを広げて分配する部分を接線方向に分離するために必要な分配力が増大する。この分配力が過剰である場合、「ロール粘着(roll blocking)」として知られる現象が発生する。ロール粘着によって、このような過剰な分配力からウェブの長手方向への裂けが発生し得る。このことは、ロールに巻かれたウェブが、狭く不均一に裂けた部分で分配されることにつながり得る。加えて、ユーザはしばしば、材料が使用前にそれ自体に貼り付いて(即ち、所望の結合表面に接触する前)、貼り付いた部分を手で剥がす及び/又は新しい部分を出すために材料を廃棄することが必要となるような状況に直面する。
【0005】
この問題を解決するために、ウェブの接着剤で被覆された表面に、開放ストリップ(release strip)(カバーストリップ(cover strip)としても当該技術分野において既知である)が適用された。使用前に、開放ストリップは取り外されて廃棄される。しかしながら、開放ストリップにより、最終製品に大幅な費用及び複雑性が付加され得る。
【0006】
開放ストリップの使用は、使い捨ておむつのテープ状タブに関する技術分野において見出されることがある。そのようなテープ状タブは小さく、また、非協力的な乳児のおむつを交換する際に便利に使用するのに適切な配置を確実にするために、製造中に操作されなければならない。テープ状タブの参照は、次の米国特許:第3,967,624号(ミルナモウ(Milnamow));第3,853,129号(コザック(Kozak));第4,067,337号(ニーズ(Nees));第4,063,559号(トリッシュ(Tritsch));第4,010,753号(トリッシュ(Tritsch));及び第3,853,129号(コザック(kozak))に見出すことができる。
【0007】
現行の食品貯蔵ラップの別の問題は、最初に折り畳まれた時に、あるいは容器又は包まれた品物を取り扱った後で、材料が適切な封止を形成できないことである。ラップが、少なくともラップ自体に対するのと同程度の良好なバリア特性を有する封止を形成できない場合、貯蔵ラップとして使用するためのラップの最大能力を実現することができない。したがって、ユーザが、ゴムバンド及びテープなどの追加の機構を使って固定を確実にすることがある。ラップがそれ自体又は対象表面に付着する場所で形成されるしわによって、ラップと対向する表面との間の領域にチャンネルが残り、封止の性質が損なわれることがあり得る。封止の性質の欠陥に対処するための試みとして、所望の品物を二重又は三重に包んで、長い封止経路を形成することが挙げられる。しかしながら、これには過剰な材料を使用する必要がある。
【0008】
改善された貯蔵ラップ材料が、米国特許第6,194,062号(ハミルトン(Hamilton)ら)に見出される。他の貯蔵ラップ材料が、米国特許第5,334,693号(サンダース(Sanders))、及び同第5,948,493号(グロージャー(Groeger))に開示されている。
【0009】
加えて、現行の貯蔵ラップはそれ自体及び他の表面に「貼り付き」得るだけではないため、補足的な表面に対する親和性は、化学的組成、電気伝導度、表面エネルギー、及び表面仕上げなど、ラップの特性に大きく依存している。したがって、これらのラップは、使用することが困難であり得、また傷みやすい食品を保存するために不適切な封止を形成することがある。多くの例において、これらのラップに貼り付く特性を提供するために用いられる可塑剤、粘着剤、及び他の付着性の添加物によって、最終ラップ製品に、臭いや環境に対する懸念などの望ましくない特質がもたらされることがあり得る。
【0010】
アルミホイル及びコート(ワックス)紙は、一般に独立したシート又はロールに巻かれた形態で供給される、薄く順応性のある多様な組成物のウェブを含む別の部類の材料である。これらの材料は、典型的には接着剤又は表面に貼り付く特性を持たず、代わりに、それらが形成される材料の永久折り目特性(即ち、それらは品物を包むかそれに巻きつけられて、包まれた又は巻きついた形状を保持する)に依存している。これらの材料が折り畳まれた又は折り目付けられた形状を維持する能力により、半密閉性である硬い、半剛体の、又は可撓性の容器と組み合わせて使用して、完全に封止されているが空気を含まない又は緊密に閉止された構造を提供することが容易になり得る。このような材料のバリア特性、特に酸素、蒸気/水蒸気、及び臭いに対するバリア特性により、食品及び/又は通常の環境条件に連続して曝されるとより急速に酸化するかないしは別の方法で分解される品物などの、傷みやすい品物に対する知られていない保存特性が提供される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、連続したロール又はディスペンサー・カートンの状態で提供することができる、選択的に活性化可能なシート材料を提供することが有利である。さらに、このような選択的に活性化可能なシート材料を、半密閉性である硬い、半剛体の又は可撓性の容器と組み合わせて使用して、完全密閉構造を提供し、また食品の貯蔵期間を延長する優れたバリア特性を提供することを容易にするような、貼り付き特性を有することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、第1の面を有する少なくとも1つの薄膜及び第1の面を有する少なくとも1つの非活性化物質を含む、選択的に活性化可能なシート材料である。薄膜の第1の面と非活性化物質の第1の面とが、向かい合わせの関係で接合される。さらに、薄膜は本質的に連続した網状組織を含む。また、薄膜及び非活性化物質の少なくとも1つの第1の面は、その上に配置された活性物質を有する。活性物質は、薄膜及び/又は非活性化物質を越えて配置可能である。加えて、選択的に活性化可能なシート材料に外力が印加されると、活性物質は対象表面と接触する。
【0013】
あるいは、本発明は選択的に活性化可能なシート材料を含む食品貯蔵ラップである。選択的に活性化可能なシート材料は、向かい合わせの関係で接合された少なくとも1つの薄膜及び少なくとも1つの非活性化物質と、少なくとも1つの薄膜と少なくとも1つの非活性化物質との間に配置された活性物質とを含む。選択的に活性化可能なシート材料は、選択的に活性化可能なシート材料に対する外力の印加に応答して、対象表面に取り外し可能に接着可能である。加えて、選択的に活性化可能なシート材料は、8.66g/cm(約22g/インチ)〜約33.9g/cm(約86g/インチ)の範囲のポリプロピレンの表面剥離力と、約16.9g/cm(約43g/インチ)〜約46.1g/cm(約117g/インチ)の範囲の活性物質対活性物質の剥離力と、少なくとも約60秒の漏れ試験値を有する。
【0014】
本発明はまた、選択的に活性化可能なシート材料を作成するプロセスに関する。プロセスは、第1の面を有する第1の基材を準備し、第1の基材の第1の面上に活性物質を配置し、また第1の基材の第1の面上に配置された活性物質上に非活性化物質を付与する工程を含む。さらに、選択的に活性化可能なシート材料に対する外力の印加に応答して、活性物質は非活性化物質を越えて配置することができる。加えて、選択的に活性化可能なシート材料は、8.66g/cm(約22g/インチ)〜約33.9g/cm(約86g/インチ)の範囲のポリプロピレン容器の表面剥離力と、約16.9g/cm(約43g/インチ)〜約46.1g/cm(約117g/インチ)の範囲の活性物質対活性物質の剥離力と、少なくとも約60秒の漏れ試験値を有する。
【0015】
すべての引用された文書は、関連部分において、参考として本明細書に組み込まれるが、いずれの文書の引用も、それが本発明に関して先行技術であるという承認として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1及び図2を参照すると、選択的に活性化可能なシート材料10は、少なくとも1つの薄膜(薄膜)12、非活性化物質の配列(非活性化物質)14、及び中間の活性物質(活性物質)16を含む。薄膜12は、本質的に連続した網状組織を含むことができる。「本質的に連続した網状組織」は、選択的に活性化可能なシート材料10のMD及び/又はCDの縁部まで延在する連続した経路を提供する、いずれかの幾何学的配列を包含する。「本質的に非連続の網状組織」は、選択的に活性化可能なシート材料10のMD及び/又はCDの縁部まで延在する少なくとも1つの連続しない経路を提供する、いずれかの幾何学的配列を包含する。図1に示すように、本質的に連続した網状組織は、フィルムシートに類似することができる。本質的に連続した網状組織はまた、隙間のない不透過性シートである薄膜12、並びに全体に不連続の開口を有するシート材料を提供することができる。
【0017】
同様に、非活性化物質14は、不連続、連続、本質的に不連続、本質的に連続、及びそれらの組み合わせであることができ、また活性物質16は、不連続、連続、本質的に不連続、本質的に連続、及びそれらの組み合わせであることができる。薄膜12及び非活性化物質14の各々は、対向する第1の面及び第2の面を含み、薄膜12の第1の面と非活性化物質14の第1の面が向かい合わせの関係で接合されるような関係である。したがって、薄膜12の第1の面は、対応する非活性化物質14の第1の面の方に向いており、対応する非活性化物質14の第1の面と接触することができ、その逆もまた同様である(即ち、活性物質16が連続している場合、非活性化物質14は薄膜12と必ずしも接触しない)。薄膜12及び非活性化物質14の第2の面は、外側に向いている。選択的に活性化可能なシート材料10及び薄膜12の両方は、機械方向(MD)、MDと直交してそれと同一平面上にある機械横方向(CD)、及びMD/CD平面と直交するZ方向を有する。
【0018】
活性物質16は、選択的に活性化可能なシート材料10に付与される、又はそれと一体化されるいずれかの物質であることができ、薄膜12又は非活性化物質14の個々のいずれかから、あるいは薄膜12及び非活性化物質14を併せて得ることができない機能上の利益も提供することができる。換言すれば、活性物質16は、選択的に活性化可能なシート材料10の特性に影響を及ぼし、また薄膜12又は非活性化物質14のみからは厳密には得られない利益を実現する物質であると考えることができる。活性物質16はまた、薄膜12及び非活性化物質14が付与されるかあるいは接触して置かれてもよい対象表面に影響を及ぼすことができる。当業者であれば、本発明にしたがって複数の活性物質16が使用されてもよいことが理解されるであろう。
【0019】
活性物質16は、薄膜12の第1の面、非活性化物質14の第1の面、又はその両方の上に配置されるか、ないしは別の方法で関連付けられてもよい。加えて、活性物質16は、非活性化物質14の第2の面の上に配置されるか、別の方法で関連付けられることができる。当業者であれば、活性物質16は薄膜12及び/又は非活性化物質14のいずれかの第1の面と関連付けられることができ、また所望により同じもの及び/又は第2の活性物質17が非活性化物質14の第2の面に関連付けられてもよいことが、理解されるであろう。活性物質16は、薄膜12及び/又は非活性化物質14に、連続した規則的なパターン、連続した不規則なパターン、不連続の規則的なパターン、不連続の不規則なパターン、及びそれらの組み合わせで、MD、CD、あるいはそれらの組み合わせで付与することができる。
【0020】
(薄膜)
好ましい実施形態では、薄膜12は一定の坪量及び密度を有する。薄膜12は、ホイル、ポリマーシート、フィルム、布、織布又は不織布、紙、セルロース繊維シート、共押出し型材、積層体、及びこれらの組み合わせを含む、又はこれらを包含することができる。好適な薄膜12は、ポリマーフィルムから作成されることができる。特に好適な薄膜12は、約0.013mmの厚さを有するHDPEなどのポリオレフィンフィルムから作成され得ることが見出されている。
【0021】
さらに、薄膜12は、好ましくは変形可能であり、非活性化物質14に関してCD、MD及び/又はZ方向に動くことができる。CD−MD方向の変形は、CD−MD方向の伸縮に対応するものであり得る。Z方向の動きは、選択的に活性化可能なシート材料10に印加される圧縮力又はせん断力に対応するものであり得る。このような動きにより、好ましくは、薄膜12が非活性化物質14を越えて対象表面上に活性物質16を分配することができる。選択的に変形可能な材料は、多孔性、ミクロ孔質、気体透過性、液体透過性、親水性、疎水性、吸湿性、親油性、高い臨界表面張力、予め非平滑化された表面、塑性体の生産性、電気伝導度、及びこれらの組み合わせの組み合わせ又は度合を含むことができるが、それらに限定されない。薄膜12、非活性化物質14を通る移動、及びこれらの透過性又は不透過性は、これらの上に配置される活性物質16に関連する特性を指すことが理解されるべきである。
【0022】
薄膜12が通気性である場合、好ましくは、約10%を超えない、より好ましくは約15%を超えない、最も好ましくは約20%を超えない孔面積を有する。例えば、選択的に活性化可能なシート材料10の意図される最終用途が、包帯又は蒸気が透過することが適切であってもよい他の適用である場合に、通気性の薄膜12が望ましいことがある。しかしながら、酸素又は他の周囲の物質との接触が好ましくない場合には、選択的に活性化可能なシート材料10は、封止の目的のために、隙間のない又は不透過性の積層体12を利用することができる。
【0023】
(非活性化物質)
好ましくは、非活性化物質14は微粒子である。微粒子は、活性物質16を貫通して全体に延在することができ、それにより、薄膜12の第1の面上、非活性化物質14の第1の面上、又は別の方法で薄膜12と非活性化物質14との間の別の場所に配置された活性物質16は、非活性化物質14を越えて配置されるか、押し出されるか、別の方法で移送されることができる。非活性化物質14を越える押出し、又は移送により、活性物質16を非活性化物質14の第2表面に近接させることができる。活性物質16が非活性化物質14の第2表面に近接しているとき、活性物質16は対象表面と接触してその上で作用してもよい。
【0024】
非活性化物質14及び薄膜12は、上述したように、印加された圧縮力又はせん断力に応答して、CD、MD、及び/又はZ方向に変形可能であることができる。選択的に活性化可能なシート材料10の変形により、選択的に活性化可能なシート材料10内の中間体に配置された1以上の活性物質16が、薄膜12及び/又は非活性化物質14の外側に向いた面に向かって動くことができる。薄膜12及び/又は非活性化物質14の変形は、弾性的であることができ、また活性物質16が対象表面に接触するのに十分な持続時間を有することができる。あるいは、好ましい実施形態では、印加された圧縮力が取り除かれたときに、非活性化物質14がその当初の厚さまで完全に復帰せず、それによっていかなる変形も可塑性及び相対的に恒久的となる。好ましい実施形態では、選択的に活性化可能なシート材料10は、約6,890kPa(70.3kg/m2)以下の圧縮力が印加されると、対象表面に付着する。加えて、非活性化物質14は、活性物質16に対して少なくとも部分的に浸水可能であることができ、それにより、活性物質16は、非活性化物質14の外側表面を越えて暴露されることができる。
【0025】
薄膜12、非活性化物質14、及び活性物質16は、各々第1、第2、及び第3の厚さを有することができる。好ましい実施形態では、活性物質16の厚さは、変形前及び変形後の非活性化物質14の厚さより大きいべきであると考えられる。しかしながら、活性物質16はなお、非活性化物質14を越えて対象表面に対して押し出し可能であるべきである。
【0026】
代表的であるが非限定的な微粒子は、塊、粉、粒子、小球、ビーズ、又はこれらの組み合わせから成る群から選択されることができる。非活性化物質14に好適な代表的な微粒子の形状は、球状、楕円形、血小板様、針様、又はこれらの組み合わせを含むことができる。非活性化物質14として使用するのに好適な、代表的であるが非限定的な材料は、ジャガイモのデンプン、コーンスターチ、他のデンプン類、タルク、二酸化ケイ素、二酸化チタン、ゼオライト、他の鉱物類、ポリマー類、ガラス、セラミック、及びこれらの組み合わせから成る群から選択されることができる。理論に束縛されることは望まないが、非活性化物質14に求められるこれらの材料の量及びサイズは、個々の活性物質16の種類、厚さ、及び粘着性に依存すると考えられる。
【0027】
好適な小さい粒子は、水などの媒質中に懸濁されることができ、マイヤー(Meyer)ロッドを介して表面上にスプレーされるか付与される。理論に束縛されることは望まないが、結果として得られるスプレーが連続的でない場合、スプレーされた粒子は乾燥して塊又は凝集体になる傾向があると考えられる。さらに、粒子を含む溶液が連続したフィルムとしてもたらされるかスプレーされる場合、粒子は独立して作用し、大きい塊の形成に抵抗する傾向を持つ。また、電気的特性が静電スプレーに適合するのであれば、粒子は粉又は溶液として静電気的に付与されることができる。このことにより、粒子間の空隙が均一になり、また粒子の分配も均一になると考えられる。その際、金属のグリッド又はパターンが基材のすぐ後に置かれていれば、粒子がそれに引き付けられて粒子のパターンができる。非活性化物質14は、所望によって、均一な又は不均一なパターンで付与されることができる。
【0028】
代表的な実施形態では、薄膜12は、少なくとも約12,500nm(0.5ミル)の厚さで提供される。接着剤の形態の活性物質16の層が、薄膜12の少なくとも一面に付与され、ここで接着剤は、約5,000nm〜約20,000nmの範囲の、より好ましくは約5,000nm〜約8,000nmの範囲の厚さで付与される。対象表面上に置かれる前に製品が接着されることを防止するために、非活性化物質14が、活性物質16の暴露された外側表面に付与されることができる。
【0029】
1つの方策は、活性物質16の厚さより実質的に小さい粒径を有する非活性化物質14を使用することである。これらの粒子は、好ましくは少なくとも約1nm〜少なくとも約2,000nmの範囲の、より好ましくは少なくとも約1nm〜少なくとも約500nmの範囲の厚さを有する。早過ぎる接着を防ぐのに十分な数の粒子が付与されてもよい。その際、粒子が活性物質16の上に配置されていれば、粒子はいずれかの材料と活性物質16との早過ぎる接触を防ぐことができる。対象表面への接着が望ましいとき、薄膜12に対して、薄膜12の平面に垂直な方向に比較的小さい力が印加され得る。この力によって、非活性化物質14の外側面が活性物質16の外側表面の位置かそれより下になるまで、非活性化物質14が活性物質16の層内に動くことができる。非活性化物質14が活性物質16の層の本質的に内部まで動くことで、活性物質16の外側表面が対象表面に対して暴露され、所望の接着を達成することができる。非活性化物質14が活性物質16層の内部まで動いた後に、活性物質16が非活性化物質14の周りを流れることができるように、活性物質16の特性が提供されることもできる。これにより、改善された性能が提供され、また活性物質16が暴露される表面積を最大化することができる。
【0030】
あるいは、非活性化物質14は、活性物質16の厚さより実質的に大きいサイズを有する粒子として供給されることができる。好ましい実施形態では、粒子として供給された非活性化物質14は、好ましくは約10,000nm〜約200,000nm、より好ましくは約10,000nm〜約25,000nmの範囲の厚さを有することができる。早過ぎる接着を防ぐのに十分な数の粒子が付与され得る。本実施例では、粒子は活性物質16の上に配置されて、活性物質16の外側表面より実質的に大きい外側表面を有するため、いずれかの材料と活性物質16との早過ぎる接触を防ぐことができる。対象表面への接着が望ましいとき、薄膜12に対して、薄膜12の平面に垂直な方向に比較的小さい力が印加され得る。この力によって次いで、非活性化物質14が薄膜12に隣接するか、薄膜12に近接するまで、非活性化物質14が変形及び/又は活性物質16の層内に動くことができる。好ましい本実施形態では、非活性化物質14の厚さが活性物質16の厚さより実質的に大きいため、非活性化物質14の外側表面は、依然として活性物質16の層の外側表面より大幅に高いままであり得る。しかしながら、薄膜12及び活性物質16は、活性物質16の外側表面が対象表面に接触する点に対する垂直方向の力によって、非活性化物質14の周りで変形するように十分に可撓性であるべきであり、その結果所望の接着が生じる。
【0031】
別の実施形態では、非活性化物質14は、押出しプロセスにより直接付与される繊維又は繊維様の材料を含む。この実施形態では、非活性化物質14は、連続した、不連続の、本質的に連続した、本質的に不連続の、及び/又は不規則なパターンあるいは網状組織を形成することができる。このパターンは、規則的及び/又は変則的であることができる。
【0032】
好ましくは、非活性化物質14として使用するために好適な繊維、又は繊維様の材料は、繊維様の形態に形成できる材料から選択される。代表的であるが非限定的な材料としては、鉱物類、ポリマー類、植物の繊維類、動物の毛、及びこれらの組み合わせが挙げられる。代表的な鉱物類は、ガラス及び/又はセラミックが挙げられる。代表的なポリマー類としては、ポリエチレンホモポリマー類、ポリエチレンコポリマー類、ポリプロピレンホモポリマー類、ポリプロピレンコポリマー類、ポリメチルペンテンホモポリマー類、ポリメチルペンテンコポリマー類、ポリスチレンホモポリマー類、ポリスチレンコポリマー類、ポリエステルホモポリマー類、ポリエステルコポリマー類、ポリアミドホモポリマー類、ポリアミドコポリマー類、及びこれらの組み合わせを含むポリオレフィン類が挙げられる。ポリマー類は、シリコーンオイル、シリコーン界面活性剤、シリコーンホモポリマー、シリコーンコポリマー、フルオロカーボンオイル、フルオロカーボン界面活性剤、フルオロカーボンホモポリマー、フルオロカーボンコポリマー(即ち、フルオロ−アクリレートホモポリマー、フルオロ−アクリレートコポリマー)、及びこれらの組み合わせなどの、少なくとも1つの剥離型添加物を包含してもよい。
【0033】
非活性化物質14のリガメント(ligament)の繊維の孔面積、ストランド直径、及び/又はストランドの厚さを特定することが有用であることもまた見出されている。非活性化物質14は、好ましくは約40%〜約95%、より好ましくは約60%〜約95%、最も好ましくは約80%〜約95%の範囲の孔面積を有する。選択的に活性化可能なシート材料10の孔面積は、印加力によって非活性化物質14が対象表面に接触するか別の方法で対象表面の影響を受けた後、維持されるべきであると考えられる。シート材料の孔面積は、当業者にとって既知であるような標準的な画像解析技術を使用して測定されることができる。
【0034】
非活性化物質14の孔面積と非活性化物質14の厚さとの間には比例関係があることもまた考えられる。理論に束縛されることは望まないが、活性物質16が変形後に対象表面と接触するか別の方法で対象表面に影響を及ぼすのに十分な孔面積を維持するために、非活性化物質14の厚さが増大するにつれて、非活性化物質14の孔面積も増大すべきであると考えられる。しかしながら、要求される活性物質16の厚さと非活性物質14の孔面積との間に、反比例関係があることもできると考えられる。活性物質16の厚さが増大するにつれて、非活性化物質14は、活性物質16が対象表面と接触するか別の方法で対象表面に影響を及ぼすための、より少ない孔面積を要してもよいと考えられる。
【0035】
(活性物質)
好適な活性物質16は、抗ウィルス剤及び殺菌剤を包含する抗菌剤類、洗浄剤、香料、吸収剤、吸着剤、接着剤、及びこれらの組み合わせを含むことができる。好ましくは、活性物質16は、接着剤;例えば、感圧接着剤である。しかしながら、材料の付与に対する必要性に適するいずれの接着剤も使用できる。好適な感圧接着剤は、ATOフィンドレー社(ATO Findley Company)(ウィスコンシン州ワワトサ(Wauwatosa))からLX7110.02、HX−2630−08、及びHX−5630−03の表記で入手可能である。さらに好適な接着剤は、H.B.フラー社(H.B.Fuller Company)(ミネソタ州ヴァドネスハイツ(Vadnais Heights))からHL1711X、HL1711XZP,HL−2115X、及びNW1007XZPの表記で入手可能である。
【0036】
代表的な感圧接着剤は、水ベース接着剤、水性接着剤、溶媒ベース接着剤、及び/又はホットメルト接着剤を包含し得る。好ましい接着剤は、選択的に活性化可能なシート材料10を使用中に対象表面に対して保持するのに適切な接着力を有するべきである。しかしながら、接着剤は、選択的に活性化可能なシート材料10を対象表面から取り除くのに過度の労力を要するほど強いものであるべきではない。好ましくは、接着剤は残留物を残さず、食品用に付与するのにFDAによって認可されたものである。接着剤は、再締着可能、剥離可能、再密閉可能、及び/又は恒久的であることができる。剥離可能及び再密閉可能な接着剤は、同じ選択的に活性化可能なシート材料10が複数回使用されることが意図される場合に好ましい。接着剤は、紫外線、及び/又は電子ビームエネルギーを使用して、熱によって硬化可能である。
【0037】
活性物質16は、選択的に活性化可能なシート材料10における位置から不必要に移動することなく貯蔵及び配送に耐えるのに、十分な粘度を有するべきであると考えられる。活性物質16として使用するのに好適な代表的なホットメルト接着剤は、選択的に活性化可能なシート材料10を食品容器を封止するのに使用することが意図される場合、120℃で約0.75Pa.s(750センチポアズ)〜約3Pa.s(3,000センチポアズ)の粘度を有するべきである。活性物質16として使用するのに好適な代表的な水ベースの接着剤は、21℃で約0.025Pa.s(25センチポアズ)〜約0.1Pa.s(100センチポアズ)の粘度を有することができる。当然、当業者であれば、選択的に活性化可能なシート材料10がその所望の機能を実施するための剥離力の総量は、必要に応じて増減させることができることが認識されるであろう。しかしながら、活性物質16が、対象表面上における残留物の付着を最小化させるのに十分な凝集強度を有することが好ましい。驚くべきことに、薄膜12をコロナ放電で処理することによって、選択的に活性化可能なシート材料10から対象表面に移動される残留物の量が低減され得ることが見出されている。この点に関して、驚くべきことに、コロナ放電処理によって薄膜12の表面エネルギーを増大させることができ、それにより活性物質16の、対象表面と比較して薄膜12への優先的な接着が促進されることが見出されている。好ましい実施形態では、薄膜12は、約0.034N/m(34ダイン/cm)〜約0.050N/m(50ダイン/cm)の範囲以下の表面エネルギーを有して提供されることができる。
【0038】
別の好ましい実施形態では、活性物質16は、選択的に活性化可能なシート材料10内での保護された配置からの単体分離が可能になるように、本質的に粘度及び/又は流量特性を有してもよく、又は単体分離及び分散を可能にするように粘度調整を要してもよい。粘度調整は、選択された賦活法に応じた粘度の変化に耐え得る活性物質16を選択することによって、得ることができる。例証として、圧縮力などの機械的活性化が、一般に「ずり減粘性」(例えば、擬似塑性又はチオキソトロピー性)と称される活性物質16に用いられることがある。ずり減粘性活性物質16の例としては、ポリマー溶液、歯磨剤及びボディクリームなどの多くのゲル類及びペースト類、塗料、及びゲル状のウッドステインが挙げられる。他の材料は、せん断応力のある閾値(降伏応力)に達するかそれを超過した後にのみ、ずり減粘性材料として作用してもよい。このような材料は、一般に「ビンガム」塑性体材料と称される。そのような作用を呈する代表的な活性物質16は、ケチャップである。
【0039】
選択的に活性化可能な材料10からの活性物質の分配を容易にすると考えられている特性は、活性物質16の、薄膜12及び非活性化物質14に対するのと比較した、対象表面に対する相対的な親和性を包含する。それほどではないにせよ、活性物質16が、選択的に活性化可能なシート材料10及び/又は活性物質16自体の部分に対してよりも、対象表面に付着することもまた好ましい。換言すれば、活性物質16は、それ自体及び/又は選択的に活性化可能なシート材料10に対してよりも、対象表面に対してより高い親和性を有するべきである。
【0040】
活性物質16及び薄膜12の組み合わせは、対象表面に付与されたときに、選択的に活性化可能なシート材料10の3次元構造内から活性物質16が分散されることを可能にする、特定の物理的特性を呈することができる。このような分散は、部分的、実質的、又は完全であり得る。例えば、選択的に活性化可能なシート材料10がタンパーエビデントシール(tamper evident seal)として使用される場合、活性物質16の部分が対象表面上に残留物として残ることが好ましい場合がある。別の実施形態では、選択的に活性化可能なシート材料10が皮膚に薬剤を分配するために使用される場合、活性物質16が完全に対象表面上に移動できることが好ましい。選択的に活性化可能なシート材料10に付随して残留できる代表的な活性物質16は、ホットメルト接着剤の層である。薄膜12が透過性である場合、活性物質16の特性は、活性物質16が薄膜12の第2の面に達することができるように、薄膜12を含む透過性材料を通して延在することを容易にするのに十分であることができる。好ましくは、活性物質16は、約1g/m2〜約10g/m2、より好ましくは約3g/m2〜約8g/m2、最も好ましくは約5g/m2〜約6g/m2の範囲の量で薄膜12に付与される。
【0041】
活性物質16の対象表面上での分散を容易にし、活性物質16が局所的な分布パターンで残留する傾向を弱めるために、対象表面上で湿潤性になるように調整された活性物質16を用いることが好ましい。活性物質16を対象表面上で分散させることができる他の方法としては、ずり減粘性作用を有し、選択的に活性化可能なシート材料10に機械横方向に広がる動きを提供する活性物質16を使用することが挙げられる。機械横方向に広がる作用により、ずり減粘性活性物質16に、泡立て、泡形成、洗浄、及び研磨作用とともに、追加の相互作用が提供される。
【0042】
図2aに示すように、選択的に活性化可能なシート材料10は、第2の活性物質17も含むことができる。第2の活性物質17は、活性物質16の特性を補足する、補完する、又は増補する、あるいは活性物質16とまったく異なる機能を果たすことができる。第2の活性物質17は、複数の活性物質を含むことができ、また活性物質16と異なる特性を提供することができる。第2の活性物質17は、接着剤ブロック材料を含んで、活性物質16によって提供される粘着を低減させることができる。あるいは図2bに示されるように、第2の活性物質17は、封入された接着剤を含むことができる。封入された接着剤は、選択的に活性化可能なシート材料10に圧力が印加されて対象表面に押し付けられたときに、破裂することができる。封入された接着剤の破裂によって、選択的に活性化可能なシート材料10の対象表面に対する追加の接着が提供され得る。いずれの場合も、第2の活性物質17は、活性物質16によって提供される接着量を、同時に増減させることができる。
【0043】
代表的ではあるが非限定的な活性物質16及び第2の活性物質17は、クレンジング剤(例、石鹸及び洗剤)、皮膚軟化剤(例、ローション)、薬剤(例、軟膏)、抗炎症クリーム、並びに健康及び美容ケア製品(例、制汗剤、防臭剤、時間放出可能な薬剤、経皮的な薬剤、局所的に有効な薬剤、加湿剤、化粧品、及び芳香剤)を包含し得る。選択的に活性化可能なシート材料10のための他の代表的な応用には、潤滑剤などの自動車用及び家庭用製品のアプリケータ、臭い吸収剤、食品用防腐剤、着色剤、保護剤(例、オイル、ワックス、及び接着剤)、ならびに香辛料(例、マスタード及びケチャップ)などの食品向けの付与を包含することができる。
【0044】
上記に記載された選択的に活性化可能なシート材料10は、食品貯蔵ラップとして使用するのに特によく適している。この目的のために、選択的に活性化可能なシート材料10は、当業者には既知であるような、芯の周りに巻かれた不定の長さを有するものであることができる。あるいは、選択的に活性化可能なシート材料10は、必要に応じて個々に又は複数で分配される別個のシートを含むことができる。したがって、選択的に活性化可能なシート材料10は、少なくとも約15cm、より好ましくは少なくとも約20cm、さらにより好ましくは少なくとも約25cm、最も好ましくは少なくとも約30cmの幅を有することが好ましい。選択的に活性化可能なシート材料10の長さは、選択的に活性化可能なシート材料10が切断されて重ねられた(cut-and-stack)体裁で分配される場合、幅に比例して(いずれかの配向で)約2:1より小さい縦横比を提供することができる。求められる縦横比は、芯に巻かれた製品の切断部間の差を選択することによって得ることができる。選択的に活性化可能なシート材料10は、衛生的で、食品と直接接触することが承認されており、冷蔵温度から室温までの範囲の温度に適合することが好ましい。いくつかの手法では、当業者には既知であるように、冷凍温度から電子レンジ温度及び/又は沸点までが好ましい。例証として、本発明の選択的に活性化可能なシート材料10は、袋、箱、又は熱湯環境で食品を調理するために食品の周囲で密封された包装などの容器に形成されることができる。
【0045】
(方法)
代表的なプロセスでは、活性物質16は一般に薄膜12の第1の面に付与される。非限定的な例では、活性物質16は、活性物質16を薄膜12の表面全体に均一に転写することによって、薄膜12に付与される。活性物質16は薄膜12に対して、パターンで転写する、薄膜12の第1の面全体にスプレーコーティングする、薄膜12の第1の面上にパターンをスプレーコーティングする、活性物質16を1つのノズル又は複数のノズルから薄膜12上に押し出す、活性物質16を薄膜12とともに共押し出しする、及び当業者には既知の他の方法によって、付与することができる。代表的であるが非限定的なパターン転写は、当業者には既知であるように、グラビアコーティング又はインクジェット印刷によって達成することができる。
【0046】
非活性化物質14は、20nm〜100nmの範囲の平均粒径を有するSiO2/TiO2粒子を水/界面活性剤溶液中に懸濁することによって調製することができる。好ましくは、界面活性剤は、非活性化物質14粒子のアグロメレーションを防ぐために添加される。非活性化物質14粒子は、次いで、薄膜12上に配置された活性物質16の表面上に付与することができる。非限定的なプロセスでは、非活性化物質14は、圧縮空気噴霧器を用いたスプレープロセスによって活性物質16の表面上に付与されるか、当業者にとって既知のいずれかのスプレー又は転写方法によって付与されることができる。非活性化物質14の粒子は、非活性化物質14の粒子間の空隙が均一であり、ならびに非活性化物質14の粒子が均一に配布された選択的に活性化可能なシート材料10を提供するために電気特性が静電スプレーに適合する場合、粉又は溶液のいずれかとして静電気によって付与することもできると考えられる。その際、金属のグリッド又はパターンが基材(即ち、薄膜12)のすぐ後に置かれていれば、粒子がそれに引き付けられて非活性化物質14の粒子のパターンができる。このことにより、非活性化物質14の粒子間の空隙が均一になり、ならびに非活性化物質14の粒子が均一に配布されることができると考えられる。
【0047】
代替実施形態では、薄膜12は伸張可能なシート材料として提供される。さらに、非活性化物質14は、それを貫通して活性物質16が暴露されないような低坪量の領域を有して、薄膜12を本質的に連続して被覆することができる。選択的に活性化可能なシート材料10が張力によって伸張すると、非活性化物質14の低坪量の領域が次いで分離又は破裂する。低坪量の領域が分離することで、次に活性物質16を対象表面への付与のために暴露することができる。あるいは、非活性化物質14は、薄膜12より伸張性の低い複数の領域を含むことができる。これらの領域が破裂することで、次に活性物質16がそこを貫通して暴露されることができる。驚くべきことに、本実施形態によって、使用時まで活性物質16を保護及び隠すという利点が提供できることが見出された。
【0048】
本発明の別の実施形態では、薄膜12及び非活性化物質14の両方は液体不透過性である。しかしながら、薄膜12又は非活性化物質14の少なくとも1つは、印加される力に応じて蒸気透過性である。驚くべきことに、本実施形態によって、メントール又はアロマセラピーの活性成分に使用され得るように、蒸気質の活性物質16の放出が可能になることが見出された。
【0049】
(代表的な実施形態)
トレデガー(Tredegar)(登録商標)12.5μmポリエチレン(PE)フィルムが、当業者には既知であるように、コロナ処理によって提供された。PEフィルムの表面張力が、ディバーシファイド・エンタープライズ(Diversified Enterprises)(ニューハンプシャー州クレアモント(Claremont))から入手可能なアキュダイン(Accudyne)(登録商標)試験マーカーペンを用いて測定された。ペンの各々は、特定の表面張力値(ダイン/cm)用に設計されており、一般に、直径およそ6.25mmの丸いフェルトチップを有するフェルトマーカーとして提供される。使用中、ペンのキャップは取り除かれて、ペン先が、試験液で飽和するまで塗布面に対して保持される。マーカーは次いで、PEフィルム試験サンプルの表面上を3回通過させられる。最終の通過のみが評価される。最後の帯状のインク跡が試験表面上に濡れたまま残り、また2秒以内に玉状になったり、分裂したり、収縮して細い線になったりしない場合、フィルムの表面張力は使用されたマーカーの指定より大きい。帯状のインク跡が2秒以内に玉状になるか収縮して細い線になる場合、次に低いダインレベルのマーカーが使用される。PE試験サンプルのダインレベルは、帯状のインク跡が乾燥する前に少なくとも3秒間玉状にならずに保持されるようなマーカーと一致するレベルであると解釈される。各PEフィルムの表面張力は、コロナ処理によって、約0.034N/m(34ダイン/cm)〜0.050N/m(50ダイン/cm)の範囲に上昇した。
【0050】
コロナ処理されたPEフィルムは次いで、希釈したATOフィンドレー(Findley)LX7110−02の水ベースの接着剤を用いてスプレーコーティングされた。原料接着剤は、スプレー前に体積測定的に水と1:1で希釈された。接着剤は、スプレーイングシステムズ社(Spraying Systems Co.)のエアーアトマイザー(Air Atomizer)1/4−Jノズルにモデル2050のステンレススチール流体キャップ及びモデル73320のエアキャップを組み合わせたものを使用して、各PEフィルム上に3層スプレーされた。エアキャップは、ノズル開口部から出る前に圧縮空気(138kPa(20psi))と接着剤溶液を混合する。
【0051】
接着剤は、次に10分以上、室温(21℃)及び50%以下の湿度で乾燥された。このプロセスによって、厚さ10〜20μm、平均厚さ12μmであって、SEMで測定したときPEフィルムのおよそ60%の面積を被覆する接着剤層が得られることが見出された。上記の被覆面積及びおよそ1,032kg/m3(8.65lb/gal)の接着剤密度に基づいて、接着剤の被覆は、平均接着剤厚さに対応して、接着剤6.2〜12.4g/m2、より好ましくは6.2〜8g/m2であると算出された。計算により、50%のフィルムの被覆が達成された場合、これにより5.1〜10.2g/m2の接着剤、より典型的には5.1〜6.12g/m2がフィルムに付与されることができる。
【0052】
100〜300nmの数値範囲の直径、及び平均150nmの直径を有するTiO2を10重量パーセント含む、水中に分散させたTiO2を、上述したノズルの組み合わせを用いて接着剤上にスプレーした。その結果、直径5〜20μmの範囲の半球状の液滴が厚さ2〜10μmで、粒子の総被覆面積のおよそ10%を被覆したことが見出された。0.82〜4.1g/m2のTiO2が接着剤上に付与されたことが算出された。
【0053】
(試験方法)
以下は、上述の実施形態の、容器表面に対して又はそれ自体に関する性能を評価するのに使用された、180度の剥離力試験及び計算の一般的な説明である。
【0054】
(一般的な剥離試験方法):
1.製品は、幅3.3cm(1.3インチ)のサンプルストリップの状態に準備された。
【0055】
2.容器表面の剥離試験(後述)用のサンプルストリップは、長さ15.24cm(6インチ)であった。活性物質対活性物質の剥離試験(後述)用のサンプルストリップは、長さ30.48cm(12インチ)であった。
【0056】
3.各サンプルは、硬度35ショアAのジュロ硬度計ローラによって対象表面(第2表面、又は接着剤対接着剤)上に置かれた。ローラは、フォースゲージに付着させながら、サンプルの長さに沿って6.35〜7.62cm/秒(2.5〜3インチ/秒)の速度で並進された。3lb(13.3N)の力が、ローラによってサンプルストリップの幅3.3cm(1.3インチ)にわたって印加された。
【0057】
4.イマダ(Imada)DPS11デジタルフォースゲージが使用されて、剥離値が収集された。PS232Cアナログ出力を使用してデータがコンピュータにダウンロードされた。タルテック(Taltech)のウィンウェッジ(WinWedge)データ取得ソフトウェアを使用して、マイクロソフトウィンドウズ(登録商標)エクセル(Microsoft Windows(登録商標) Excel)の集計表にデータがダウンロードされた。すべての試験に100msのサンプリング速度が使用された(即ち、力の測定値が、試験中フォースゲージから100ms毎に、ソフトウェアによってコンピュータにダウンロードされた)。すべての場合において、ゲージは引張モードで使用された。
【0058】
5.サンプルを剥離によって取り除くため、各サンプルの2.54cm(1インチ)が、幅2.54cm(1インチ)の3Mスコッチ(登録商標)マスキングテープ#235を使用して、フォースゲージのフックに固着された。長さ3.3cm(1.3インチ)のテープのストリップが切り取られて、まずサンプルに固着されて、テープの長さがサンプル幅に一致するようにされた。次いで、テープの0.64cm(0.25インチ)が薄膜サンプル上に重ねられた。テープの残りはフォースゲージの引張フックに固着された。
【0059】
6.フォースゲージにテープ止めされたサンプルは、次にサンプルの長さに平行に、手で剥離された。これにより、各サンプルは、サンプルを表面に対して付与した方向から180度で剥離された。
【0060】
7.試験データが収集された後、剥離試験プロセス全体の間に印加された総力を算出するために、コンピュータで収集された力データの相加平均が算出された。算出された平均値は次に、サンプル幅(3.3cm(1.3インチ))で除算され、容器表面剥離試験及び接着剤対接着剤剥離試験の両方に対する、単位長さ当りの剥離力が算出された。コンピュータによってまた、算出された相加平均の標準偏差が算出された。得られた算出結果は、後述の表1及び表2に示される。
【0061】
(a.容器表面剥離試験):
1.上述のように準備された15.24cm(6インチ)のサンプルが、上述の室温21〜24℃(70〜75°F)において、パイレックス(登録商標)(Pyrex)、ステンレススチール、及びステップ3で説明するポリプロピレンの3種類の容器の底部表面に対して付与された。ポリプロピレン容器は、フレーバーセイバー(Flavor Savers)ポリプロピレン容器5カップにスタリライト(Sterilite)(登録商標)で蓋をしたものであった。
【0062】
2.各種類の容器に対して付与された5個のサンプルが、4℃(40°F)、室温21〜24℃(70〜75°F)、又は40.6℃(105°F)のいずれかで、17〜27時間保存された。
【0063】
3.サンプルが保存温度から取り除かれて、剥離試験を実施する前に、30分以上2時間以下の間で表面温度が室温(70〜75°F)と釣り合うようにされた。
【0064】
4.剥離試験は、上述したように、次いで各サンプルに対して実施された。引張速度は10.1cm/秒(4インチ/秒)〜42.3cm/秒(17インチ/秒)の範囲であった。
【0065】
(b.活性物質対活性物質剥離試験):
1.長さ30.48cm(12インチ)の各サンプルの接着剤側が上述のように準備され、長さ方向に折り畳まれて、接着剤で被覆された表面の両方の部分が長さ方向で向かい合わせの関係になるようにされた。結果得られる折り畳まれて封止されたサンプルは、長さ15.24cm(6インチ)、幅3.3cm(1.3インチ)であった。
【0066】
2.折り畳まれて封止されたサンプルの2.54cm(1インチ)部分が手で剥離されて、2つの部分:幅2.54cm(1インチ)の3Mスコッチ(登録商標)マスキングテープ、モデル#235を使用して表面に固着された部分と、自由部分、が提供された。長さ3.3cm(1.3インチ)のテープストリップが切り取られて、サンプルに固着され、切り取り長さがサンプルの幅3.3cm(1.3インチ)と一致するようにされた。次いで、テープの幅0.64cm(0.25インチ)がサンプルに接触されてその上に重ねられ、テープの幅の残り(1.91cm(0.75インチ))が水平表面に固着された。
【0067】
3.上記のステップ3と同じ寸法を有する第2のテープ片が、上記のステップ3で説明したようにサンプルの自由部分に固着された。第2のテープ片の残りは、上述したようにフォースゲージの引張フックに固着された。
【0068】
4.上述した剥離試験が、次に各サンプルに対して実施された。引張速度は、4.7cm/秒(1.85インチ/秒)〜25.4cm/秒(10インチ/秒)の範囲であった。
【0069】
(c.容器漏れ試験):
1.磁器のコーヒーマグを118ml(4液量オンス)の水道水で満たした。カップは、8.26cm(3.25インチ)の縁ピッチ直径及び0.318cm(0.125インチ)の壁面厚さを有していた。カップの縁は、半径0.159cm(0.063インチ)であった。
【0070】
2.上述で準備した、カップの直径より大きい製品の方形のサンプルが、13.1N(3ポンド)の力で硬度35ショアAのゴムローラを使用して、縁の半径全体に付与された(即ち、材料はカップの外壁に垂れ下がって覆わなかった)。
【0071】
3.カップの側壁が水平から10〜15°下になるようにカップが逆さにされて、取り込まれた水がその容積と一致して封止領域に対して下向きの圧力を印加するようにされた。
【0072】
4.封止された水が漏れる(例えば、封止を破る)までの時間が記録された。記録された時間は、水が封止を破る時間、及びもしあれば、水が完全に封止を破壊して、カップからカップの縁の下30.48cm(12インチ)のところにある水平表面上に滴る時間を包含する。試験の最大持続時間は60秒であった。したがって、試験の開始から60秒以内に漏れが発生しない場合、試験サンプルは少なくとも60秒の漏れ試験値を生成した。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

容器漏れ試験において試験されたサンプルのいずれも、60秒まで漏れ(封止の破れ)を呈さなかった。さらに、試験されたサンプルのいずれも、封止の破壊が開始される視覚的な証拠を呈さなかった(例えば、容器内の水はその周縁に沿って封止が占める面積を破壊しなかった)。したがって、すべての試験サンプルは、少なくとも約60秒の漏れ試験値を示した。
【0075】
本発明の特定の実施形態について説明し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、その他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明である。最新技術を超える利点を提供する本発明の多くの態様が、個々にあるいはいずれかの好適な組み合わせによって、本明細書に開示される発明のいくつか又はすべての利益を達成するために使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】代表的なシートを部分的に切り取って示した断片の平面図。
【図2】図1の線2−2に沿って取った断面図。
【図2A】代表的なシートの代替実施形態の断面図。
【図2B】代表的なシートの代替実施形態の断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面を有する少なくとも1つの薄膜と;
第1の面を有する少なくとも1つの非活性化物質と;を含み
ここで、前記少なくとも1つの薄膜の前記第1の面と前記少なくとも1つの非活性化物質の前記第1の面とが、向かい合わせの関係にあり;
ここで、前記少なくとも1つの薄膜が、連続した網状組織を含み;
ここで、前記少なくとも1つの薄膜の前記第1の面と前記少なくとも1つの非活性化物質の前記第1の面との少なくとも1つが、接して配置された活性物質を有し;
ここで、前記活性物質が、前記選択的に活性化可能なシート材料に対する外力の印加に応答して、前記少なくとも1つの薄膜と前記少なくとも1つの非活性化物質との少なくとも1つを越えて配置可能である、選択的に活性化可能なシート材料。
【請求項2】
前記活性物質が、連続した網状組織を含む、請求項1に記載の選択的に活性化可能なシート材料。
【請求項3】
前記非活性化物質が、連続した網状組織を含む、請求項2に記載の選択的に活性化可能なシート材料。
【請求項4】
前記非活性化物質が、不連続の網状組織を含む、請求項2に記載の選択的に活性化可能なシート材料。
【請求項5】
前記活性物質が、不連続の網状組織を含む、請求項1に記載の選択的に活性化可能なシート材料。
【請求項6】
前記非活性化物質が、連続した網状組織を含む、請求項5に記載の選択的に活性化可能なシート材料。
【請求項7】
前記非活性化物質が、不連続の網状組織である、請求項5に記載の選択的に活性化可能なシート材料。
【請求項8】
前記活性物質が、前記少なくとも1つの薄膜に対する前記外力の前記印加に応答して、前記少なくとも1つの非活性化物質を貫通して配置可能である、請求項6に記載の選択的に活性化可能なシート材料。
【請求項9】
前記非活性化物質が、前記活性物質よりも薄い、請求項1に記載の選択的に活性化可能なシート材料。
【請求項10】
前記非活性化物質が複数の繊維を含む、請求項1に記載の選択的に活性化可能なシート材料。
【請求項11】
前記非活性化物質が、前記活性物質よりも厚い、請求項1に記載の選択的に活性化可能なシート材料。
【請求項12】
前記活性物質が、封入された、請求項1に記載の選択的に活性化可能なシート材料。
【請求項13】
前記シート材料が、第2の活性物質を含む、請求項1に記載の選択的に活性化可能なシート材料。
【請求項14】
前記第2の活性物質が、クレンジング剤、皮膚軟化剤、薬剤、抗炎症クリーム、並びに健康及び美容ケア製品、自動車用製品、家庭用製品、潤滑剤、臭い吸収剤、食品用防腐剤、着色剤、保護剤、食品向けの適用、香辛料、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13に記載の選択的に活性化可能なシート材料。
【請求項15】
選択的に活性化可能なシート材料を含む食品貯蔵ラップであって、前記選択的に活性化可能なシート材料が:
向かい合わせの関係で接合された、少なくとも1つの薄膜及び少なくとも1つの非活性化物質と;
前記少なくとも1つの薄膜と前記少なくとも1つの非活性化物質との間に配置された活性物質;を含み、
ここで、前記選択的に活性化可能なシート材料が、前記選択的に活性化可能なシート材料に対する外力の印加に応答して、対象表面に取り外し可能に接着可能であり;
ここで、前記選択的に活性化可能なシート材料が、8.66g/cm〜33.9g/cmの範囲のポリプロピレンの表面剥離力と、16.9g/cm〜46.1g/cm(約117g/インチ)の範囲の活性物質対活性物質の剥離力と、少なくとも約60秒の漏れ試験値とを有する、食品貯蔵ラップ。
【請求項16】
少なくとも2つの活性物質を含み、ここで前記少なくとも2つの活性物質の各々が、前記選択的に活性化可能なシート材料に対する前記外力の印加に応答して、前記対象表面上で作用することが可能である、請求項15に記載の食品貯蔵ラップ。
【請求項17】
前記少なくとも2つの活性物質が、前記対象表面上で同時に作用する、請求項16に記載の食品貯蔵ラップ。
【請求項18】
前記2つの活性物質の少なくとも1つが接着剤である、請求項16に記載の食品貯蔵ラップ。
【請求項19】
前記少なくとも1つの非活性化物質が、微粒子である、請求項15に記載の食品貯蔵ラップ。
【請求項20】
前記食品貯蔵ラップが、容器の形状をなす、請求項15に記載の食品貯蔵ラップ。
【請求項21】
選択的に活性化可能なシート材料を作成するプロセスであって、
(a)第1の面を有する第1の基材を準備する工程と;
(b)前記第1の基材の第1の面上に活性物質を配置する工程と;
(c)前記第1の基材の前記第1の面上に配置された前記活性物質の上に非活性化物質を付与する工程と、を含み;
ここで、前記活性物質が、前記選択的に活性化可能なシート材料に対する外力の印加に応答して、前記非活性化物質を越えて配置可能であり;
ここで、前記選択的に活性化可能なシート材料が、8.66g/cm〜33.9g/cmの範囲のポリプロピレン容器の剥離力と、16.9g/cm〜46.1g/cmの範囲の活性物質対活性物質の剥離力と、少なくとも約60秒の漏れ試験値とを有する、プロセス。


【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図2B】
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【公表番号】特表2006−517872(P2006−517872A)
【公表日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501015(P2006−501015)
【出願日】平成16年1月16日(2004.1.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/001247
【国際公開番号】WO2004/065239
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】