説明

選択的炭化水素水素化触媒と方法

本発明は、アセチレン除去触媒と、水素及び触媒組成物の存在中、オレフィン富化炭化水素流中の高不飽和炭化水素から低不飽和炭化水素への、前記高不飽和炭化水素を低不飽和炭化水素に転化させるために有効な条件下での、水素化におけるそれらの使用に関する。前記触媒組成物は、パラジウム、銀、カリウム、及び無機担体物質を含み、この場合、該触媒組成物は約0.3重量%未満のカリウムを含有する。硫黄含有不純物の存在下で、本発明の触媒は、T1(クリーナップ温度)をごく僅かに上昇させるにすぎず、高いエチレン選択性が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、炭化水素の水素化のためのアセチレン除去触媒とそれらの改良方法に関する。別の態様では、本発明は、一般に、炭化水素の水素化方法に関し、特に、アルキン及び/又はジオレフィンをそれらの対応モノオレフィンに、カリウム化合物を含浸させたパラジウム/銀/アルミナ触媒を用いて選択的に水素化する方法に関する。本発明はまた、デプロパナイザー・フィード中における、硫黄含有不純物の存在下でフッ化カリウム含浸パラジウム/銀/アルミナ触媒を用いる炭化水素の改良水素化方法に関する。硫黄含有不純物の存在下で、本発明の触媒はより大きく活性であり、より高度なエチレン選択性を得る。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
一般に、アルケン含有流中に少量で存在するアルキン(例えば、熱エタン分解装置からのエチレン流中に含有されるアセチレン)の選択的水素化は、商業的には、担体付きパラジウム触媒の存在下で行なわれる。アセチレンからエチレンへの選択的水素化の場合には、米国特許第4,404,124号とその分割出願、米国特許第4,484,015号の開示に従って、アルミナ担体付きパラジウム/銀触媒を用いるのが好ましい。この水素化方法の操作温度は、実際に全てのアセチレンが水素化されて、エチレンになり(したがって、フィード流から除去される)、その上、取るに足りない量のエチレンのみがエタンに水素化されるので、エチレン損失を最小にし、上記特許で指摘されているような、制御が困難である「ランナウェイ(runaway)」反応を避けることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、HS、硫化カルボニル(COS)、メルカプタン(RSH)、有機硫化物(R−S−R)、有機二硫化物(R−S−S−R)、有機多硫化物(R−S−R、式中n>2)等のような、アルキン含有フィード流又は生成物流中に存在する可能性がある硫黄含有不純物がパラジウム含有触媒を汚染し、不活化しうることも、当業者に一般に知られている。多くのプラントが種々な硫黄不純物を絶えず存在させるか又は少なくとも間欠的なスパイク(spikes)として存在させるので、このような種々な硫黄不純物の存在下と不存在下の両方で運転できるならば、有利であろうと考えられる。硫黄不純物は、プラント及び操作の限界の結果として、デプロパナイザー及び未加工ガス水素化工程に通常見出される(但し、如何なる水素化工程においても発生しうる)。水素化されるフィード流は、低レベル及び/又は一過性スパイクの硫黄不純物を含有する可能性がある。したがって、硫黄不純物の存在下と不存在下の両方で、例えばジオレフィン(アルカジエン)又はアルキンのような高不飽和炭化水素を、例えばモノオレフィン(アルケン)のような低不飽和炭化水素に水素化するためのフロント−エンド・デプロパナイザーARUエチレン・プラントに用いるための触媒組成物の開発は、当該技術分野及び経済への重要な寄与になると考えられる。
【0004】
本発明の他の態様及び特徴は、詳細な説明及び特許請求の範囲の考察から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の詳細な説明
本発明の選択的水素化方法に用いる触媒は、銀成分と低レベルのカリウム成分を含み、場合によっては、フッ素成分をも含む担体付きパラジウム触媒組成物である。この触媒組成物は、新鮮なものであることも、既に使用したものであって、その後に酸化再生したものであることも可能である。この触媒は、任意の適当な無機担体物質を含有することができる。好ましくは、無機担体物質は、アルミナ、チタニア、ジルコニア、及びこれらの混合物から成る群から選択される。現在、より好ましい担体物質はアルミナであり、最も好ましい担体物質はα−アルミナである。この触媒は、一般に、パラジウム、銀成分、フッ素成分及びカリウム成分を含有する。この場合、パラジウムの重量%は、下記範囲:0.01〜1、0.01〜0.6、0.01〜0.2、0.01〜0.1等の1つから選択される。この場合に、銀の重量%は、下記範囲:0.005〜10、0.01〜10、0.005〜2、0.01〜2等の1つから選択される。この場合に、フッ素の重量%は、下記範囲:0.01〜1.5、0.05〜0.4等の1つから選択される。この場合に、カリウムの重量%は、下記範囲:0.3未満、0.2未満、0.1未満等のカリウム重量%の1つから選択される。この触媒の粒子は、一般に、1〜10mm(好ましくは、2〜6mm)のサイズを有し、任意の適当な形状を有することができる。適当な形状は、球形、円筒形、押出物、多円弧状押出物(multilobe extrudates)等から選択することができる。一般に、この触媒の表面積(Nを用いて、BET法によって測定)は1〜100m/gである。
【0006】
本発明の水素化方法に用いる上記触媒は、任意の適当な有効方法によって製造することができる。フッ化カリウムをパラジウム含浸工程と銀含浸工程との間で、又はパラジウム含浸工程と銀含浸工程の後で、又はパラジウム若しくは銀のいずれかと一緒に組み入れることができる。現在、好ましい触媒の製造は、Pd/Ag/Al触媒物質にフッ化カリウム水溶液を含浸させ、続いて乾燥させ、か焼することを含む。乾燥・か焼工程は、0.1〜100容量%の酸素を含有する任意の不活性ガス雰囲気下、下記範囲:300〜800℃、350〜600℃等の1つから選択される温度において、一般に0.1〜20時間にわたって行なわれる。「湿式還元(wet reducing)」工程(即ち、例えば、ヒドラジン、アルカリ金属ホウ水素化物、例えばホルムアルデヒドのようなアルデヒド類、例えば蟻酸若しくはアスコルビン酸のようなカルボン酸類、例えばデキストロースのような還元糖等のような、溶解した還元剤による処理)を適用することが可能である。
【0007】
乾燥されている(好ましくは、か焼もされている)、このようにして製造された触媒組成物は、次に、少なくとも1種類のアルキン、好ましくはアセチレンを少なくとも1種類の硫黄化合物の存在下及び不存在下の両方で、少なくとも1種類の対応アルケンに水素化するための本発明の方法に用いることができる。場合によっては、アルキン水素化の前に、触媒を最初に、実質的に不飽和炭化水素を含まない0〜95容量%の任意のガスで場合によっては希釈された水素ガスと、一般に20℃〜100℃の範囲内の温度において1〜20時間の時間にわたって接触させる。選択的アルキン水素化の開始前の水素とのこの接触中に、乾燥工程及び任意のか焼工程(上述)後に触媒組成物中に存在しうるパラジウム及び銀化合物は、実質的に還元されて、パラジウム金属と銀金属になる。この任意の還元工程が行なわれない場合には、反応混合物中に存在する水素ガスが、本発明のアルキン水素化反応の初期段階中にパラジウム及び銀の酸化物のこの還元を達成する。
【0008】
本発明の選択的水素化方法は、高不飽和炭化水素、水素ガスを、場合によっては1種類以上の硫黄含有不純物の存在下で、本発明の触媒組成物と接触させることによって行なわれる。これらの成分を、フロント−エンド・デプロパナイザーARUにおいて高不飽和炭化水素を低不飽和炭化水素に転化させることに有効な条件下で、反応させる。
【0009】
「高不飽和炭化水素」なる用語は、分子中の炭素原子間に1つの(又はそれより多い)三重結合又は2つ以上の二重結合を有する炭化水素を意味する。高不飽和炭化水素の例は、非限定的に、例えばベンゼンとナフタレンのような芳香族化合物;例えばアセチレン、プロピン(メチルアセチレンとも呼ばれる)及びブチンのようなアルキン;例えばプロパジエン、ブタジエン、ペンタジエン(イソプレンを包含する)、ヘキサジエン、オクタジエン及びデカジエンのようなジオレフィン;等並びにこれらの混合物を包含する。「低不飽和炭化水素」なる用語は、高不飽和炭化水素中の1つの(又はそれより多い)炭素−炭素三重結合が水素化されて炭素−炭素二重結合になっている炭化水素、又は炭素−炭素二重結合数が、高不飽和炭化水素中の炭素−炭素二重結合数よりも1つ少ない、若しくは少なくとも1つ少ない炭化水素、又は少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する炭化水素を意味する。低不飽和炭化水素の例は、非限定的に、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、デセン等、及びこれらの混合物のようなモノオレフィンを包含する。
【0010】
本発明の選択的水素化工程中に、場合によっては硫黄含有不純物の存在下で少なくとも1種類の高不飽和炭化水素と水素を含有する炭化水素フィードを、本発明の触媒組成物が存在するアセチレン水素化ユニットに供給する。
【0011】
高不飽和炭化水素は、ジオレフィン、アルキン、及びこれらの2種類以上の混合物を包含する。
【0012】
アルキンは、アセチレン、プロピン、1−ブチン、2−ブチン、1−ペンチン、2−ペンチン、3−メチル−1−ブチン、1−ヘキシン、1−ヘプチン、1−オクチン、1−ノニン、1−デシン、及びこれらの混合物を包含する。特に好ましいのは、アセチレンである。これらのアルキンは主として、対応するアルケンに水素化される、即ち、アセチレンは主として水素化されて、エチレンになり、プロピンは主として水素化されて、プロピレンになり、ブチンは主として水素化されて、対応するブテン(1−ブテン、2−ブテン)になる。
【0013】
ジオレフィンは、プロパジエン、1,2−ブタジエン、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,2−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2−メチル−1,2−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、ヘプタジエン、メチルヘキサジエン、オクタジエン、メチルヘプタジエン、ジメチルヘキサジエン、エチルヘキサジエン、トリメチルペンタジエン、メチルオクタジエン、ジメチルヘプタジエン、エチルオクタジエン、トリメチルヘキサジエン、ノナジエン、デカジエン、ウンデカジエン、ドデカジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、メチルシクロペンタジエン、シクロヘプタジエン、メチルシクロヘキサジエン、ジメチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、及びこれらの混合物を包含する。より好ましくは、ジオレフィンは、プロパジエン、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、イソプレン、1,3−シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、及びこれらの混合物である。特に好ましいのは、プロパジエンである。
【0014】
アルキン(単数又は複数)からアルケン(単数又は複数)への選択的水素化のために必要な温度は、主として、触媒の活性と選択性、フィード中の硫黄不純物の量に依存し、所望のアルキン除去度を達成するための任意の適当な温度でありうる。一般に、約30℃〜約200℃の範囲内の反応温度が用いられる。任意の適当な反応圧力を用いることができる。一般に、総圧力は、100〜1,000ポンド/平方インチ・ゲージ(psig)の範囲内である。炭化水素フィードガスの気体毎時空間速度(GHSV)も、広範囲にわたって変化することができる。典型的には、該気体毎時空間速度は、約1,000〜20,000の範囲内であろう。
【0015】
触媒組成物を、0.1〜100容量%の酸素を含有する任意の不活性雰囲気中で、該触媒組成物上に堆積していることがありうる、如何なる硫黄化合物、有機物質及び/又は炭化物(char)を焼き尽くすほどの、好ましくは700℃を超えない温度において加熱することによって、触媒組成物の再生を達成することができる。場合によっては、酸化再生された組成物を、本発明の選択的アルキン水素化に再配置する前に、不飽和炭化水素を実質的に含まない任意のガス0〜95容量%で希釈した水素によって還元する。
【0016】
本発明をさらに説明するために、下記実施例を提示するが、これらの実施例を本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【実施例】
【0017】
実施例I
この実施例は、水素化方法に用いるための、種々なパラジウム含有触媒組成物の製造を説明する。
【0018】
触媒A(対照)は、米国特許第5,489,565号に従って製造され、アルミニウム酸化物担体上に0.014重量%のPd、0.044重量%のAg、0.3重量%のK及び0.15重量%のFを含有した。
【0019】
触媒B(対照)は、米国特許第5,587,348号に従って製造され、アルミニウム酸化物担体上に0.013重量%のPd、0.044重量%のAg、0.3重量%のK及び0.3重量%のFを含有した。
【0020】
触媒C(本発明)は、米国特許第5,489,565号に従って製造され、アルミニウム酸化物担体上に0.02重量%のPd、0.04重量%のAg、0.1重量%のK及び0.05重量%のFを含有した。
【0021】
実施例II
この実施例は、硫黄の不存在下及び存在下での水素化工程における実施例Iにおいて上述した触媒の性能を説明する。
【0022】
上記触媒の各々約23g(即ち、約20cc)を、内径0.62インチ及び長さ約18インチを有するステンレス鋼反応管に入れた。触媒(反応管の中央に存在、反応管の両端には3mmガラスビーズ6mlを充填した)を、200ポンド/平方インチ・ゲージ(psig)において200ml/分で流動する水素ガス下、約100°Fにおいて約1時間にわたって還元した。その後、エチレンプラントにおけるデプロパナイザー精留塔の頂部からのフィードに典型的な、大体(特に指定しないかぎり、全て重量による)水素2.1%;メタン22%;エチレン54%;プロピレン21%;アセチレン4300ppm;プロパジエン4300ppm;プロピン4300ppm;及び一酸化炭素300ppm(容量による)を含有する炭化水素含有流体を、200psigにおいて900ml/分の流量で反応装置中に連続的に導入した。水素化がランナウェイするまで、即ち、エチレンの制御不能な水素化が起こりうるまで、反応温度を上昇させた。このランナウェイ中に、水素化熱は徐々に上昇して、反応装置温度が約250°Fを超えるほどになった。次に、反応装置を室温に冷却させてから、データ回収を開始した。
【0023】
ガスクロマトグラフィーによって流出流(exit stream)をサンプリングする前に、温度を一定に維持しながら、フィード(900ml/分@200psig)を触媒上に連続的に通過させた。サーモウェル中に熱電対を挿入し、最高温度が観察されるまでその位置を変えることによって、触媒温度を測定し、次に、加熱炉(furnace)を数度上昇させ、エタン3重量%が製造されるまで、試験サイクルを繰り返した。
【0024】
クリーナップ温度(cleanup temperature)T1は、アセチレン濃度が20ppm未満に低下する温度として定義される。T2、ランナウェイ温度は、エタン3重量%が製造される温度として定義される。この温度において、エチレンからエタンへの制御されない水素化が開始する。そして、デルタTはT2とT1との差である。この値は、選択性の尺度として又は運転可能性の表示(a window of operability)としてさえ見なすことができる。
【0025】
各触媒を高濃度の硫化カルボニル(COS)に種々な温度においてさらした。これを、T1COSがどうなるかを予測することによって、測定した。予測T1COSよりも10°F低い温度において、触媒を高濃度のCOSにさらすことによって、反応が定常状態に達するのに要した時間量は最小限に抑えられた。
【0026】
T1COSは、次のように測定した。最初に、12ppmのCOSをフィードに加えて、流量を90ml/分に低下させた。次に、窒素中5000ppmCOSの300ml(STP)部分をフィード流に導入した。5分間後に、流量を900ml/分に戻した。COSと触媒との間に充分な接触時間があることを保証するために、COSを低い流量で導入した。
【0027】
触媒をCOSに過度にさらした後に、流出流中のアセチレン濃度が定常状態に達するまで、反応装置温度を一定に維持した。この時点において、T1COSを測定するために、反応装置温度を低下させるか又は上昇させた。ラン全体を連続形式で、硫黄含有炭化水素フィードを常に触媒と接触させながら行なった。反応装置流出物、即ち、生成物流をガスクロマトグラフィーによって分析した。結果は表1に示す。さらに、表1における「T1における炭化水素選択性」とは、T1においてその対応炭化水素に変換した、アセチレンのパーセントを意味する。選択性はモル規模で算出した。
【0028】

【0029】
ラン101をラン103と比較すると、硫黄の不存在下では触媒AとBの性能には殆ど差がない。しかし、ラン102と104は、触媒に追加したフッ素がエチレン選択性を30%だけ改良することを実証する。
【0030】
ラン105をラン101と103に比較すると、硫黄の不存在下で2つのランの間には僅かな差が存在する。ラン105のT1の方が低い。硫黄が存在する場合には、触媒C(ラン106)は、触媒A(ラン102)よりも39%良好な、触媒B(ラン104)と同様な、エチレン選択性を有する。
【0031】
このように、これらの実施例は、総カリウム濃度の低下が触媒へのフッ素の追加の必要性を除去することを示す。
【0032】
上記考察は、本発明のある一定の実施態様の詳細な説明を提供するように意図したものであるが、本明細書で主張する特許請求の範囲内で他の実施態様も可能であることも、さらに理解されるであろう。また、数値と数値の範囲が、このような値からの小さい若しくは重要でない逸脱が、提示した数値及び範囲の要旨及び範囲内に含まれるように意図されるように、おおよその形で提示されていることも、理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高不飽和炭化水素をオレフィン富化炭化水素流中で低不飽和炭化水素に選択的に水素化する方法であって、精留塔からの高不飽和炭化水素を含む炭化水素流体流を、水素及び触媒組成物の存在中、前記高不飽和炭化水素を低不飽和炭化水素に転化させるために有効な条件下で、反応装置中に導入することを含み;前記触媒組成物がパラジウム、銀、カリウム及び無機担体物質を含み、該触媒組成物が約0.3重量%未満のカリウムを含有する方法。
【請求項2】
カリウム成分が、フッ化カリウムに由来する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
カリウムの、フッ化物に対するモル比率が2未満:1である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
カリウムの、フッ化物に対するモル比率が1未満:1である、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記触媒組成物が0.2重量%未満のカリウムを含有する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記触媒組成物が0.1重量%のカリウムを含有する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記銀が、酸化銀と銀金属から成る群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記無機担体物質が、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミノシリケート、アルミン酸亜鉛、チタン酸亜鉛、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記無機担体物質がアルミナである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
パラジウム含量が0.01〜1重量%、銀含量が0.01〜10重量%、及びフッ素含量が0.01〜1.5重量%である、請求項1記載の方法。
【請求項11】
パラジウム含量が0.01〜0.2重量%、銀含量が0.02〜2重量%、及びフッ素含量が0.05〜0.4重量%である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記高不飽和炭化水素が、ジオレフィン、アルキン及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項13】
ジオレフィンが、プロパジエン、1,2−ブタジエン、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,2−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2−メチル−1,2−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、ヘプタジエン、メチルヘキサジエン、オクタジエン、メチルヘプタジエン、ジメチルヘキサジエン、エチルヘキサジエン、トリメチルペンタジエン、メチルオクタジエン、ジメチルヘプタジエン、エチルオクタジエン、トリメチルヘキサジエン、ノナジエン、デカジエン、ウンデカジエン、ドデカジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、メチルシクロペンタジエン、シクロヘプタジエン、メチルシクロヘキサジエン、ジメチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記ジオレフィンが、プロパジエン、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、イソプレン、1,3−シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記ジオレフィンがプロパジエンである、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記アルキンが、アセチレン、プロピン、1−ブチン、2−ブチン、1−ペンチン、2−ペンチン、3−メチル−1−ブチン、1−ヘキシン、1−ヘプチン、1−オクチン、1−ノニン、1−デシン、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項12記載の方法。
【請求項17】
前記アルキンが、アセチレン、プロピン、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
該方法が、硫黄不純物の存在をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記硫黄不純物が、硫化水素、硫化カルボニル(COS)、二硫化炭素(CS)、メルカプタン(RSH)、有機硫化物(R−S−R)、有機二硫化物(R−S−S−R)、有機多硫化物(R−S−R、式中、n>2)、チオフェン、置換チオフェン、有機三硫化物、有機四硫化物、及びこれらの混合物から成る群から選択される硫黄化合物であり、この場合、Rは、炭素原子1〜10個を含有する、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す、請求項18記載の方法。
【請求項20】
デプロパナイザー精留塔から、水素と触媒組成物の存在下でアルキンと場合によってはジオレフィンをも含む流体流を、前記ジオレフィンとアルキンをそれらの対応モノオレフィンに転化させるために有効な条件下で反応装置中へ導入することを含む方法であって、
前記触媒組成物がパラジウム、銀成分、カリウム化合物及び無機担体物質を含み;この場合、該触媒組成物は0.3重量%未満のカリウムを含有する;
前記ジオレフィンが、プロパジエン、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、イソプレン、1,3−シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、及びこれらの混合物から成る群から選択される;
前記アルキンが、アセチレン、プロピン、1−ブチン、2−ブチン、1−ペンチン、2−ペンチン、3−メチル−1−ブチン、1−ヘキシン、1−ヘプチン、1−オクチン、1−ノニン、1−デシン、及びこれらの混合物から成る群から選択される;
前記無機担体物質が、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミノシリケート、アルミン酸亜鉛、チタン酸亜鉛、及びこれらの混合物から成る群から選択される方法。
【請求項21】
カリウムの、フッ化物に対するモル比率が2未満:1である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
カリウムの、フッ化物に対するモル比率が1未満:1である、請求項20記載の方法。
【請求項23】
前記触媒組成物が0.2重量%未満のカリウムを含有する、請求項20記載の方法。
【請求項24】
前記触媒組成物が0.1重量%未満のカリウムを含有する、請求項20記載の方法。
【請求項25】
前記銀成分が、酸化銀及び銀金属から成る群から選択される、請求項20記載の方法。
【請求項26】
パラジウム含量が0.01〜1重量%であり、銀成分が0.01〜10重量%であり、フッ素含量が0.01〜1.5重量%であり;
前記高不飽和炭化水素が、アセチレン、プロパジエン、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、イソプレン、1,3−シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項20記載の方法。
【請求項27】
パラジウム含量が0.01〜0.2重量%であり、銀成分が0.01〜2重量%であり、フッ素含量が0.05〜0.4重量%である、請求項20記載の方法。
【請求項28】
該方法が硫黄不純物の存在をさらに含む、請求項20記載の方法。
【請求項29】
前記硫黄不純物が、硫化水素、硫化カルボニル(COS)、二硫化炭素(CS)、メルカプタン(RSH)、有機硫化物(R−S−R)、有機二硫化物(R−S−S−R)、有機多硫化物(R−S−R、式中n>2)、チオフェン、置換チオフェン、有機三硫化物、有機四硫化物、及びこれらの混合物から成る群から選択される硫黄化合物であり、この場合、Rは、炭素原子1〜10個を有する、アルキル又はシクロアルキル又はアリール基を表す、請求項28記載の方法。
【請求項30】
デプロパナイザー精留塔から、場合によっては硫黄不純物の存在下で、ジオレフィンとアセチレンを含む流体流を、触媒組成物と共に、前記ジオレフィンとアセチレンをそれらの対応モノオレフィンに転化させるために有効な条件下で、反応装置中へ導入する工程を含む選択的水素化方法であって、
前記触媒組成物が、パラジウム金属、酸化パラジウム及びこれらの混合物から成る群から選択されるパラジウム含有物質、銀成分、アルカリ金属フッ化物、及び無機担体物質を含み;
前記アルカリ金属フッ化物がフッ化カリウムであり、前記無機担体物質が、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミノシリケート、アルミン酸亜鉛、チタン酸亜鉛、及びこれらの混合物から成る群から選択され;
前記触媒組成物が、0.01〜1重量%のパラジウム、0.005〜2重量%の銀成分、0.05〜0.4重量%のフッ素、及び0.3重量%未満のカリウムを含有し;
前記工程が、30〜200℃の範囲内の温度において及び15〜2000ポンド/平方インチ・ゲージ(psig)の範囲内の圧力下で行なわれる方法。
【請求項31】
カリウムの、フッ化物に対するモル比率が2未満:1である、請求項30記載の方法。
【請求項32】
カリウムの、フッ化物に対するモル比率が1:1である、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記触媒組成物が0.2重量%未満のカリウムを含有する、請求項30記載の方法。
【請求項34】
前記触媒組成物が0.1重量%のカリウムを含有する、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記無機担体物質がアルミナである、請求項30記載の方法。
【請求項36】
前記硫黄不純物が、硫化水素、硫化カルボニル(COS)、二硫化炭素(CS)、メルカプタン(RSH)、有機硫化物(R−S−R)、有機二硫化物(R−S−S−R)、有機多硫化物(R−S−R、式中n>2)、チオフェン、置換チオフェン、有機三硫化物、有機四硫化物、及びこれらの混合物から成る群から選択される硫黄化合物であり、この場合、Rは、炭素原子1〜10個を有する、アルキル又はシクロアルキル又はアリール基を表す、請求項30記載の方法。

【公表番号】特表2007−518676(P2007−518676A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517147(P2006−517147)
【出願日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/016580
【国際公開番号】WO2005/000773
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(502303175)シェブロン フィリップス ケミカル カンパニー エルピー (42)
【Fターム(参考)】