説明

遺伝子発現抑制のための方法及び組成物

【課題】
GnT−V遺伝子の発現を抑制する方法及び該方法のための組成物を用いて、有効性の高いがんの治療方法を提供することにある。
【解決手段】
GnT−V遺伝子の発現を制御するための2本鎖RNAであって、配列表の配列番号1〜8記載の塩基配列と当該配列に相補的な塩基配列のそれぞれに対応するRNAを含有する2本鎖RNA、前記2本鎖RNAを転写反応により生成することができる核酸、該核酸が挿入されたベクター、前記2本鎖RNA、核酸、ベクターから選択される有効成分を含有することを特徴とする組成物、ならびに当該組成物を用いたGnT−V遺伝子の発現抑制方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医学、薬学、畜産学の分野において、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼV(N−acetylglucosaminyltransferase V; GnT−V)の発現を抑制する方法並びに当該方法に使用する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
GnT−Vは糖タンパク質N−結合型糖鎖のトリマンノシルコアの、α−1,6結合により分岐したマンノース残基にβ−1,6結合によりN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)残基を転移する酵素である。ラット、ヒト及びマウスのGnT−V遺伝子がすでにクローニングされている(例えば、非特許文献1〜3参照)。
【0003】
糖タンパク質のN−結合型糖鎖の構造は様々な生物機能に関連することが報告されている。例えば、がん細胞において糖鎖の高分岐化が見られること(例えば、非特許文献4参照)、β1−6結合により分岐した細胞表面糖鎖の量とがん細胞の転移能が正の相関関係にあり、この分岐構造はGnT−Vにより形成されること(例えば、非特許文献5参照)が挙げられる。また、GnT−Vが発現している直腸がんは発現していないものよりも転移しやすく、予後が悪いこと(例えば、非特許文献6参照)、正常組織においてGnT−Vが発現している肺においては、GnT−V発現レベルの低い癌細胞の方が悪性度は高いこと(例えば、非特許文献7参照)等が報告されている。GnT−Vタンパク質は糖転移酵素活性に加えて血管新生促進活性を有しており、糖タンパク質糖鎖のβ1−6分岐の増加による転移能の上昇とあいまってがんを悪性化させる原因になると考えられている(例えば、非特許文献8参照)。
1998年に報告された線虫におけるRNA干渉(RNA interference、RNAi)は、二本鎖RNAによって配列特異的なmRNA分解が生じることによる遺伝子発現の抑制現象として注目されている(例えば、非特許文献9参照)。前記RNA干渉は、長鎖2本鎖RNAが、Dicerと呼ばれるRNaseIIIタイプリボヌクレアーゼの活性によりsiRNA(short interfering RNA)と呼ばれる21〜25ヌクレオチドの短鎖RNAに分解され、続いて、該siRNAが、RISC(RNA−induced silencing complex)と呼ばれるリボ核酸タンパク質複合体に組み込まれ、標的RNAにATP依存的に結合し、標的RNAを分解するというメカニズムにより起こると考えられている(例えば、非特許文献10、11参照)。哺乳動物細胞内に30bp以上の長鎖2本鎖RNAが存在すると、インターフェロン応答が起きて細胞死に至ることが知られている。その後、20bp前後の短い2本鎖RNA又は20bp前後の2本鎖を含有するRNAの細胞への導入又は発現により、哺乳動物細胞でもRNA干渉を応用して遺伝子発現を抑制することが可能であることが報告されている(例えば、非特許文献12、13参照)。
糖転移酵素遺伝子の発現をRNA干渉により抑制した例としては、α−1,6−フコシルトランスフェラーゼ(例えば、非特許文献14参照)、β−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼI(例えば、非特許文献15参照)、α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼ(例えば、非特許文献16、17参照)等が報告されている。しかしながら、RNA干渉法を用いてGnT−Vの遺伝子発現を抑制することについて報告はない。
【0004】
GnT−V遺伝子の発現を抑制する方法としては、アンチセンスRNA発現ベクターを細胞に導入する方法(例えば、非特許文献18参照)、all trans retinoic acidを添加する方法(例えば、非特許文献19参照)等が報告されているが、効果や特異性の点で十分とは言いがたいという問題があった。
【0005】
【非特許文献1】J.Biol.Chem.268(21),15381−15385(1993)
【非特許文献2】Biochem.Biophys.Res.Commun.198(1),318−327(1994)
【非特許文献3】Glycobiology 12(7),389−394(2002)
【非特許文献4】Cancer Res.44(9),3730−5(1984)
【非特許文献5】Science 236(4801),582−585(1987)
【非特許文献6】Clin Cancer Res.6(5),1772−1777(2000)
【非特許文献7】Clin Cancer Res.10(5),1773−1779(2004)
【非特許文献8】J Biol Chem 277(19),17002−17008(2002)
【非特許文献9】Nature、第391巻、第806〜811頁(1998)
【非特許文献10】Cell、第101巻、第1号、25〜33頁(2000)
【非特許文献11】Genes and Development、第15巻、第2号、188〜200頁(2001)
【非特許文献12】Nature、第411巻、第6836号、第494〜498頁(2001)
【非特許文献13】Nature Biotechnology、第23巻、第222−226(2005)
【非特許文献14】Biotechnol Bioeng.88(7),901−908(2004)
【非特許文献15】J Biol Chem.280(13),12503−12516(2005)
【非特許文献16】Transplantation.79(3),289−296(2005)
【非特許文献17】DNA Cell Biol.24(4),235−243(2005)
【非特許文献18】Biochem Biophys Res Commun.264(2),509−517(1999)
【非特許文献19】Biochim Biophys Acta.1495(3),297−307(2000)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術に鑑みて行われたものであり、より有効性の高いがんの治療方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者らは、鋭意研究を行った結果、配列表の配列番号1〜8記載の塩基配列を標的配列とすることによりGnT−V遺伝子の発現を効率よく抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明の第1の発明は、GnT−V遺伝子の発現を制御するための2本鎖RNAであって、配列表の配列番号1〜8記載の塩基配列と当該配列に相補的な塩基配列のそれぞれに対応するRNAを含有する2本鎖RNAに関する。
本発明の第1の発明において、該2本鎖RNAが、DNAから成る3’突出構造をさらに含有する、2本鎖RNA−DNAキメラオリゴヌクレオチドであってもよく、また該2本鎖RNAが、少なくとも一方のRNA鎖において塩基の置換、挿入、付加もしくは欠失を含有し、かつ細胞内で2本鎖RNAの構造を取ることができる2本鎖RNAであってもよい。また、塩基の置換、挿入、付加もしくは欠失を含有するRNA鎖が、配列表の配列番号1〜8記載の塩基配列に対応するRNA鎖であってもよい。さらに、該2本鎖RNAが、1本鎖RNA部分を有する、ヘアピン構造であってもよい。
【0009】
本発明の第2の発明は、GnT−V遺伝子の発現を制御するための核酸であって、プロモーターの下流に配置された配列表の配列番号1〜8記載の塩基配列と当該配列に相補的な塩基配列の核酸とを含有し、かつ前記プロモーターにより開始される転写反応によって、配列表の配列番号1〜8記載の塩基配列と当該配列に相補的な塩基配列のそれぞれに対応する2本鎖RNAを生成することができる核酸に関する。
本発明の第2の発明において、上記核酸を用いた転写反応後の2本鎖RNAが、少なくとも一方のRNA鎖において塩基の置換、挿入もしくは欠失を含有し、かつ細胞内で2本鎖RNAの構造を取ることができる核酸であってもよい。また塩基の置換、挿入、付加もしくは欠失を含有するRNA鎖が、配列表の配列番号1〜8記載の塩基配列に対応するRNA鎖であってもよい。
また、転写反応後の2本鎖RNAが、さらに1本鎖RNA部分を有する、ヘアピン構造をとるものが好適である。
【0010】
本発明の第3の発明は、本発明の第2の発明の核酸が挿入されたベクターに関する。
【0011】
本発明の第4の発明は、本発明の第1の発明の2本鎖RNA、第2の発明の核酸、第3の発明のベクターから選択される有効成分を含有することを特徴とする組成物に関する。
【0012】
本発明の第5の発明は、本発明の第4の発明の組成物を用いたGnT−V遺伝子の発現抑制方法に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、がん細胞の転移能を減少させ及び/又は増殖能を減少させることを可能にする組成物が提供される。前記の組成物は、がんの治療に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明について詳細に説明する。
(1)本発明の2本鎖RNA、核酸及びベクター
本発明は、GnT−V遺伝子(例えば、ヒトGenbank Acc.No.NM_002410)の発現を制御できるものが好ましく、2本鎖RNA、転写反応後に当該2本鎖RNAが生成するように構築された核酸、あるいはベクターである。本発明のGnT−V遺伝子発現を制御するための2本鎖RNA、核酸及びベクターに特に限定はなく、上記標的配列を標的としてGnT−V遺伝子の発現を抑制しうる核酸、好ましくはRNA干渉によりGnT−V遺伝子の発現を抑制しうる核酸であればよい。
上記2本鎖RNA、核酸及びベクターが有する塩基配列は、特に限定はされないが例えばヒトGnT−V遺伝子の部分配列である配列表の配列番号1〜8記載の塩基配列で示される領域の少なくとも一つが好適に使用できる。また、当該選択される領域は、複数を組み合わせてもよい。
【0015】
上記選択される領域を標的配列としてGnT−V遺伝子の発現を抑制するメカニズムに特に限定はないが、20〜30塩基前後の短鎖2本鎖RNAを用いたRNA干渉法が特に好ましい。すなわち、RNA干渉法はアンチセンスRNAを用いる方法に比べて効率よく遺伝子発現を抑制されていること、及び長鎖2本鎖RNAを哺乳類細胞に導入し、又は発現させると、インターフェロン応答が起きて細胞死を誘発すること等による。
【0016】
本明細書において、2本鎖RNAとは、標的配列の相補鎖の一部又は全部を含むアンチセンス鎖RNAと、標的配列に対応する部分においてアンチセンス鎖とハイブリダイズしうるセンス鎖RNAがハイブリダイズした2本鎖RNAを意味する。
本発明の2本鎖RNAの一つの形態としてsiRNAが挙げられる。当該siRNAの2本鎖部分は、哺乳動物細胞におけるインターフェロン応答抑制の観点から、例えば15〜35塩基の鎖長を有するもの、好ましくは15〜30塩基対の鎖長を有するもの、さらに好ましくは、20〜30塩基対の鎖長を有するものが例示される。また、前記鎖長の塩基配列がRNA干渉を起こしうるかぎり、標的配列のすべての塩基配列を含んでいてもよく、標的配列の一部を含んでいてもよく、標的配列以外の配列を含んでいてもよい。さらに、本発明の2本鎖RNAには、哺乳動物細胞におけるRNA干渉の有効性の観点から、例えば、3’末端側にデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドが2〜4塩基突出した2本鎖RNAの形状のもの、さらに好ましくは3’末端側に2塩基突出した2本鎖RNAの形状のものであっても良い。2〜4塩基としてはTT配列〜TTTT配列又はUU配列〜UUUU配列が例示される。なお、突出部分の塩基がデオキシリボヌクレオチドである場合、当該核酸を構成するオリゴヌクレオチドはDNA−RNAキメラオリゴヌクレオチドであるが、本明細書ではこれも2本鎖RNAと呼ぶ。また、前記2本鎖RNAが生理的条件下、細胞内において2本鎖構造をとりうる範囲内で、センス鎖に塩基の置換、挿入又は欠失を導入してもよい。この場合、siRNAはミスマッチ又はバルジを有する。さらに、センス鎖とアンチセンス鎖の間にループ構造を有するようにデザインされた核酸配列を含むものであってもよい。
【0017】
本発明の2本鎖RNAは、哺乳動物細胞においてGnT−V遺伝子の発現を抑制しうる配列の観点から、配列表の配列番号1〜8に示される塩基配列を有する領域からなる群より選ばれた少なくとも1種の標的配列に対応するsiRNAである。
言い換えれば、GnT−V遺伝子の発現を制御するための2本鎖RNAであって、配列表の配列番号1〜8記載の塩基配列と当該配列に相補的な塩基配列のそれぞれに対応するRNAを含有する2本鎖RNAが好ましい。また、該2本鎖RNAが、DNAから成る3’突出構造をさらに含有する、2本鎖RNA−DNAキメラオリゴヌクレオチドであってもよく、また該2本鎖RNAが、少なくとも一方のRNA鎖において塩基の置換、挿入、付加もしくは欠失を含有し、かつ細胞内で2本鎖RNAの構造を取ることができる2本鎖RNAであってもよい。また、塩基の置換、挿入、付加もしくは欠失を含有するRNA鎖が、配列表の配列番号1〜8記載の塩基配列に対応するRNA鎖であってもよい。さらに、該2本鎖RNAが、1本鎖RNA部分を有する、ループ構造であってもよい。
【0018】
本発明の2本鎖RNAは、特に限定されないが、2’−ACE(2’−bis(acetoxymethoxy)−methylether)又は2’−TBDMS(2’−t−butyldimethylsillyl)等の保護基を用いた化学合成法又はT7 RNAポリメラーゼ等のRNAポリメラーゼを使用する酵素合成法により合成することができる。
化学合成法又は酵素合成法により合成された2本鎖RNAは、特に限定は無いが、安定化や標識化のために、化学修飾基により修飾してもよい。本発明に使用できる修飾には特に限定は無いが、例えば、6−フルオレセイン付加、ビオチン付加、2’−O−メチル化、PNA(Peptide Nucleic Acid)化、アミノ化、等が挙げられる。当該修飾基は、RNA干渉作用を阻害しない限り、5’末端、3’末端あるいは内部塩基のいずれに付加してもよい。
【0019】
本発明の別の形態としては、転写反応後に上記2本鎖RNAを生成するように構築された核酸が例示される。例えば、配列表の配列番号1〜8に示される塩基配列を有する領域からなる群より選ばれた少なくとも1種の標的配列を、GnT−V遺伝子の発現を抑制しうる核酸を哺乳動物細胞内において発現しうる核酸が例示される。言い換えれば、GnT−V遺伝子の発現を制御するための核酸であって、プロモーターの下流に配置された配列表の配列番号1〜8記載の塩基配列と当該配列に相補的な塩基配列の核酸とを含有し、かつ前記プロモーターにより開始される転写反応によって、配列表の配列番号1〜8記載の塩基配列と当該配列に相補的な塩基配列のそれぞれに対応する2本鎖RNAを生成することができる核酸である。また、当該核酸を用いた転写反応後の2本鎖RNAが、少なくとも一方のRNA鎖において塩基の置換、挿入もしくは欠失を含有し、かつ細胞内で2本鎖RNAの構造を取ることができる核酸であってもよい。また、塩基の置換、挿入、付加もしくは欠失を含有するRNA鎖が、配列表の配列番号1〜8記載の塩基配列に対応するRNA鎖であってもよい。また、転写反応後の2本鎖RNAが、さらに1本鎖RNA部分を有する、ループ構造をとるものであってもよい。
【0020】
当該核酸により生成する2本鎖RNAは、GnT−V遺伝子の発現を制御しうる核酸の形態としては特に限定はされないが例えば、上記siRNA及びshort hairpin RNA(shRNA)であってもよい。shRNAはsiRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖が、RNAからなるループにより連結された部分的2本鎖構造を有する。当該shRNAにおいてGnT−V遺伝子の発現を抑制しうる限り、ループの鎖長及び塩基配列に限定はない。また、ベクターにより発現するsiRNA及びshRNAのセンス鎖は、化学合成法又は酵素合成法により合成した2本鎖RNAと同様に、塩基の置換、挿入又は欠失が導入されていてもよい。
【0021】
本発明の核酸は、直鎖状核酸の形態で目的の細胞内に導入し、細胞内で発現させて2本鎖RNAを生成させることができる。特に限定はされないが、例えば転写によりsiRNA又はshRNAを生じる塩基配列を有する核酸をPCR法等で作製し、プロモーター、好ましくはU6プロモーター、H1プロモーター等のRNAポリメラーゼIIIプロモーター、の下流に挿入して作製することができる。あるいは、下記ベクター形態であってもよい。
【0022】
本発明のさらに別の形態として、転写反応後に上記2本鎖RNAが生成される核酸を含有するベクターであっても良い。
本発明のベクターは、哺乳動物細胞内でGnT−V遺伝子の発現を抑制しうる核酸を発現させるためのベクターであり、当該細胞内で効率良く発現できるものであれば、骨格となるベクターは、特に限定されるものではない。前記骨格となるベクターとしては、特に限定はないが、例えば、プラスミドベクター、直鎖状2本鎖DNA並びに、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター及びレンチウイルスベクター等のウイルスベクターが挙げられる。前記プラスミドベクターとしては、特に限定されないが、例えばRNA干渉用の核酸を発現させるpBAsiシリーズベクター(商品名、タカラバイオ社製)、piGENE tRNAプラスミド(商品名、iGENE社製)、siLentGene(商品名、Promega社製)、pSEC Hygro Vector(商品名、Ambion社製)等が好適に使用できる。
さらに前記直鎖状2本鎖DNAベクターであっても良く、特に限定はされないが、siXpress PCR ベクターシステム(商品名、Mirus社製)等が好適に使用できる。また、前記アデノウイルスベクターとしては、BD Knockout Adenoviral RNAi System(商品名、Becton Dickinson社製)が挙げられる。さらに、レトロウイルスベクターとしては、pSINsiベクターシリーズ(商品名、タカラバイオ社製)及びpSIREN−RetroQ Vector(商品名、Becton Dickinson社製)等が挙げられる。
【0023】
当該ベクターの構築は、特に限定されないが、例えば、RNA干渉の場合(A)異なる2つのプロモーター制御下に、前記核酸に関するセンスRNAをコードする核酸とアンチセンスRNAをコードする核酸とをそれぞれ順方向に配置して、別個にセンスRNAとアンチセンスRNAとを転写するタンデムタイプとして、(B)1つのプロモーター制御下に本発明のRNA干渉剤に関するセンスRNAをコードする核酸とアンチセンスRNAをコードする核酸とをループをコードする核酸を挟んで配置して、センスRNAとアンチセンスRNAとがそれぞれループで連結されたステムループタイプ(又はヘアピンタイプ)のRNAを転写するタイプとして、(C)ベクターのセンス鎖にて機能するプロモーター制御下に一方のRNAをコードする核酸を、アンチセンス鎖にて機能するプロモーター制御下に該RNAに相補的なRNAをコードする核酸を配置して、それぞれ別個のプロモーター制御下でそれぞれのRNAを転写する対向タイプとして、あるいは、(D)センス鎖を発現するベクターとアンチセンス鎖を発現するベクターを別々に作製したのち同一の細胞に導入するセパレートタイプとして、構築することにより行われうる。本発明の組成物に含有されるRNA干渉ベクターの形態においては、特に限定されないが、好ましくは、反応条件、例えば、ベクターの種類、哺乳動物細胞の種類、センス配列とアンチセンス配列の種類等に応じ、タンデムタイプ、ステムループタイプ、対向タイプ、セパレートタイプを使い分けることが望ましい。さらに複数の標的配列を同時に発現させるものであっても良い。
【0024】
なお、前記ベクターにより発現する、GnT−V遺伝子の発現を抑制しうる核酸は、配列表の配列番号1〜8に示される塩基配列を有する領域からなる群より選ばれた少なくとも1種の標的配列であって、RNA干渉作用を示す塩基配列であれば特に限定されないが、RNAポリメラーゼIIIプロモーターを用いる場合、好ましくは、以下の2つの条件:
(i)転写開始点は、プリン残基〔グアニル酸残基(G)又はアデニル酸残基(A)〕とすること;及び
(ii)転写されるRNAの3’末端に連続した4個のウラシル残基が付加されるため、転写されるRNAの5'末端の2塩基はAAとすること;
を満たすことが望ましい。
【0025】
また、RNAポリメラーゼIIプロモーターを用いる場合、好ましくは、
(i)ステムループタイプにすること;及び
(ii)短いポリ(A)配列を付加すること;
が望ましい。
【0026】
以下にGnT−V遺伝子の発現を抑制しうる核酸を発現するベクターの作製方法について事例を挙げて説明する。
すなわち、配列表の配列番号1〜8に示される塩基配列を有する領域からなる群より選ばれた少なくとも1種の標的配列を選択し、これに対応するsiRNA又はshRNAが転写されるようにベクターを構築する。あるいは、配列表の配列番号1〜8記載の塩基配列と当該配列に相補的な塩基配列のそれぞれに対応するRNAの転写反応を異なるベクターで行うように構築してもよい。
ここで、siRNA又はshRNAの転写に用いる発現ベクターは転写によりsiRNA又はshRNAを生じる塩基配列を有する核酸をPCR法等で作製し、プロモーター、好ましくはU6プロモーター、H1プロモーター等のRNAポリメラーゼIIIプロモーター、の下流に挿入して、発現カセットを作製し、該カセットを適切な骨格となるベクター、例えばプラスミドベクター、ウイルスベクター等に連結することにより作成されたベクターも好適に使用できる。あるいは、転写によりsiRNA又はshRNAを生成するための塩基配列を有する核酸を化学合成し、必要に応じて制限酵素の認識配列のタグを付加し、得られた核酸を、ベクターに挿入することにより調製することができる。細胞へのトランスフェクション効率を改善する観点からは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター等のウイルスベクターが骨格となるベクターとして好適に使用できる。
【0027】
本発明に用いるプロモーターとしては、哺乳動物細胞内で機能しうるものであれば特に限定はなく、例えば、RNAポリメラーゼIIプロモーター、RNAポリメラーゼIIIプロモーター、テトラサイクリンで調節可能なプロモーター等が挙げられる。前記プロモーターは、野生型及び/又は変異体型のいずれであってもよい。また、組織特異的プロモーターを用いることにより、所望の部位、臓器等においてGnT−V遺伝子の発現を抑制しうる核酸の発現が可能となる。特に限定はされないが、例えば、前記RNAポリメラーゼIIプロモーターとしては、CMVプロモーター等が挙げられる。また、前記RNAポリメラーゼIIIプロモーターとしては、tRNAプロモーター、U6snRNAプロモーター、ヒストンH1プロモーター等が挙げられる。前記テトラサイクリンで調節可能なプロモーターとしては、テトラサイクリン調節型U6プロモーター、TRプロモーター等が挙げられる。また、上記プロモーターをCre−loxPシステムと組み合わせることにより、より厳密に発現を制御することもできる。
【0028】
(2)本発明の組成物
さらに本発明の組成物は、上記(1)の2本鎖RNA、当該2本鎖RNAを生成する核酸あるいはベクターを有効成分とする組成物である。また、本発明の組成物において、GnT−V遺伝子の発現を抑制しうる2本鎖RNA又は当該2本鎖RNAを哺乳動物細胞内において発現しうる核酸あるいはベクター以外に安定化剤、pH調整剤等の細胞内への導入を促進するような有効成分が含まれていてもよい。当該有効成分としては、特に限定はされないが例えばGnT−V遺伝子の発現を抑制しうる核酸を導入する場合および上記ベクターがプラスミドベクターである場合には、TransITシリーズのトランスフェクション試薬(Mirus社製)、GeneJuice Transfection Reagent(Novagen社製)、Lipofectamine 2000、Lipofectamine、Oligofectamine、Lipofectin、Optifect(いずれもInvitrogen社製)等のトランスフェクション試薬が例示される。また、上記ベクターがレトロウイルスベクターである場合には、フィブロネクチンまたはその断片、たとえば組換えヒトフィブロネクチンフラグメントであるCH−296が例示される。
【0029】
医薬品として本発明の組成物を使用する場合には、特に限定はされないが例えば、前記有効成分を薬学的に許容される公知の担体と組み合わせた組成物を調製することができ、また、その使用目的に応じて製剤化することもできる。例えば、注射剤、点滴用剤のような医薬組成物としてもよい。前記の医薬組成物は、例えば制ガン剤として有用である。なお、医薬組成物としての投与量は、その製剤形態、投与方法、使用目的及び投与される患者の年齢、体重、症状に応じて適宜設定されるのは当然のことである。
【0030】
(3)本発明のGnT−V遺伝子発現抑制方法
本発明の方法は、上記(2)記載の組成物を用いることを特徴とするGnT−V遺伝子発現抑制方法である。対象となる遺伝子は、ヒトGnT−V遺伝子に特に限定されない。すなわち、本発明の方法は、ヒトGnT−V遺伝子の部分配列である配列表の配列番号1〜8記載の塩基配列で示される領域の少なくとも一つを発現抑制の標的配列とする。また、当該標的配列は、複数を組み合わせてもよい。
特に限定はされないが例えば、GnT−V遺伝子の発現を制御するための2本鎖RNAであって、配列表の配列番号1〜8記載の塩基配列と当該配列に相補的な塩基配列のそれぞれに対応するRNAを含有する2本鎖RNA、あるいはDNAから成る3’突出構造をさらに含有する、2本鎖RNA−DNAキメラオリゴヌクレオチドである2本鎖RNA、また該2本鎖RNAが、少なくとも一方のRNA鎖において塩基の置換、挿入、付加もしくは欠失を含有し、かつ細胞内で2本鎖RNAの構造を取ることができる2本鎖RNA、塩基の置換、挿入、付加もしくは欠失を含有するRNA鎖が、配列表の配列番号1〜8記載の塩基配列に対応するRNA鎖である2本鎖RNA、さらに、該2本鎖RNAが、1本鎖RNA部分を有する、ヘアピン構造を有する2本鎖RNAを用いることができる。
【0031】
あるいは、GnT−V遺伝子の発現を制御するための核酸であって、プロモーターの下流に配置された配列表の配列番号1〜8記載の塩基配列と当該配列に相補的な塩基配列の核酸とを含有し、かつ前記プロモーターにより開始される転写反応によって、配列表の配列番号1〜8記載の塩基配列と当該配列に相補的な塩基配列のそれぞれに対応する2本鎖RNAを生成することができる核酸、当該核酸を用いた転写反応後の2本鎖RNAが、少なくとも一方のRNA鎖において塩基の置換、挿入もしくは欠失を含有し、かつ細胞内で2本鎖RNAの構造を取ることができる核酸、転写反応後に塩基の置換、挿入、付加もしくは欠失を含有するRNA鎖が、配列表の配列番号1〜8記載の塩基配列に対応するRNA鎖であることを特徴とする核酸、また、転写反応後の2本鎖RNAが、さらに1本鎖RNA部分を有する、ヘアピン構造をとることができる前記核酸のいずれもが好適に使用できる。また、前記核酸が挿入されたベクターも好適に使用できる。
【0032】
さらに、上記(2)の組成物の形態で使用してもよい。
【0033】
本発明の方法において、当該組成物をマイクロインジェクション法、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法、カチオン脂質法を用いて目的の組織あるいは細胞内に導入することができる。
【0034】
また、医薬組成物の場合では、遺伝子導入効率の観点からは、ウイルスベクター、たとえばアデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター等を用いてin vivoまたはex vivoにより投与することが好ましい。また、組成物調製の容易さ、増殖性ウイルスの出現等のウイルスベクター特有の危険を避けるという観点からは、siRNA含有組成物、プラスミドベクター含有組成物または直鎖状2本鎖DNAベクター含有組成物をin vivoまたはex vivoにより投与することが好ましい。
【実施例】
【0035】
以下、実施例により本発明を具体的に示すが、本発明は、かかる実施例に限定されるものではない。
【0036】
実施例1 siRNAの導入
(1)Huh6細胞へのsiRNAの導入
ヒトGnT−V(Genbank Acc.No.NM_002410) cDNA配列をもとに配列表の配列番号1〜10に記載の塩基配列を有するsiRNA構築領域を選択した。これらの塩基配列をもとに配列表の配列番号11〜30記載の塩基配列を有するキメラオリゴヌクレオチド(A1〜A20)を合成した。当該キメラオリゴヌクレオチドは、その3'末端に2塩基のデオキシリボヌクレオチドが配置されている。前記A1〜20のキメラオリゴヌクレオチドは、表1に示す組み合わせで常法によりリボヌクレオチド部分をアニールさせたあと、20μMとなるように滅菌水に溶解し、siRNA溶液として用いた。また、配列表の配列番号31及び32で表されるキメラオリゴヌクレオチド(C21、22)を、緑色蛍光タンパク質cDNA配列(Genbank Acc.No.M62654)をもとに合成し、同様の方法でアニールさせて陰性対照とした。
【0037】
【表1】

【0038】
Biochem.Biophys.Res.Commun.、第110巻、第837−841頁(1983)記載のHuh6細胞を8×10個/mlとなるように10%ウシ胎児血清(FBS)を含むRPMI1640培地に懸濁し、この細胞懸濁液2.5mlを6穴プレートの各ウェルに加えた。
次ぎに15μlのOligofectamine(インビトロジェン社製)と60μlのOPTI−MEM培地(インビトロジェン社製)を混合して室温で10分間放置した後、250μlのOPTI−MEM培地と15μlのsiRNA溶液を混合しておいたチューブに添加した。これを室温にて20分間放置した後、更に160μlのOPTI−MEM培地を加えて500μlにしたものをHuh6細胞の入ったプレートの各ウェルに加えた。これを37℃の5%COインキュベータ中で48時間培養した。
【0039】
(2)Real Time RT−PCRによるmRNAの定量
上記(1)で培養した細胞を回収し、RNeasy Micro Kit(QIAGEN社製)を用いてRNAを調製した。得られたRNAを鋳型とし、リアルタイムRT−PCRによるGnT−V mRNAの定量を行った。
逆転写時の反応液組成は次のとおりである:2μlのReverse Transcriptase M−MLV用5×添付緩衝液〔250mM Tris−HCl(pH8.3)、375mM KCl、50mM DTT、15mM MgCl〕(タカラバイオ社製)、0.5μlの10mM dNTP、0.5μlの100μM Random primer pd(N)(タカラバイオ社製)、0.25μlの40U/μl Ribonuclease Inhibitor(ヒト胎盤由来、タカラバイオ社製)、0.25μlの200U/μl Reverse Transcriptase M−MLV(タカラバイオ社製)、5μlの4ng/μl 鋳型RNA、1.5μlの蒸留水で反応容量を10μlとした。なお、鋳型RNAとして5μlの40ng/μl、4ng/μl、0.4ng/μl、0.04ng/μl、0.004ng/μlまたは0.0004ng/μl 陰性対照由来RNAを使用して同様の反応液を調製し、検量線作成用とした。これらの反応液を42℃で10分間インキュベートした後、95℃で2分間加熱した。
【0040】
PCR時の反応液組成は次のとおりである:2.5μlの10×ExTaq Buffer(20mM Mg2+ free)(タカラバイオ社製)、0.3μlの250mM MgCl、0.75μlの10mM dNTP、0.25μlの5U/μl ExTaq(タカラバイ社製)、0.5μlの各10μMプライマー混合物(配列表の配列番号33と34記載の塩基配列を有する)、2.5μlの3000倍希釈SYBR Green I(Cambrex社製)、1.25μlのジメチルスルホキシド、2.5μlの5Mベタイン、5μlの逆転写反応液、5μlのcDNA bufer〔50mM Tris−HCl(pH8.3)、75mM KCl、10mM DTT、3mM MgCl、0.5mM dNTP〕、4.45μlの蒸留水で反応容量を25μlとした。なお、配列表の配列番号35と36記載の塩基配列を有するヒトβ−アクチン特異的プライマーを用いて同様の反応液を調製した。これらの反応液をSmart Cycler II Systemにセットし、95℃で5秒間、55℃で20秒間、72℃で15秒間のサイクルを45回繰り返してPCRを行った。
検量線作成用の反応により、陰性対照由来RNA量とCt値との関係を示す検量線を作成し、これを用いて各試料に含まれるGnT−Vおよびヒトβ−アクチンのmRNA量を算出した。各試料のGnT−V mRNA量をヒトβ−アクチンmRNA量で除することにより補正し、GnT−V mRNA量補正値とした。各試料におけるGnT−V mRNA量補正値を、陰性対照におけるGnT−V mRNA量補正値に対する相対値として算出した。
【0041】
その結果を図1に示す。すなわち、図1は各siRNAを添加したときのHuh6細胞におけるGnT−V遺伝子の発現量を示す図であり、縦軸はGnT−V mRNA量補正値(相対値)を示す。図中、「nega」は、陰性対照を示す。
図1に示したように、si−1、si−5、si−11、si−14、si−18、si−24、si−26およびsi−71はいずれも顕著なRNAi効果を示した。一方、si−15およびsi−43はわずかなRNAi効果しか示さなかった。
【0042】
(3)GnT−V酵素活性の測定
上記(1)で調製した10−10個の細胞を遠心分離により回収し、100μlのCelLytiTMM Cell Lysis Reagent(シグマ社製)を加えた後、室温で15分間振盪して懸濁した。前記懸濁液を15,000rpm、15分間の遠心分離により上清を回収してGnT−V粗酵素液とし、活性測定を行った。活性測定は、以下の手順で行った。
すなわち、3μlのGnT−V粗酵素液、5μlの2×緩衝液(250mM MES−NaOH(pH6.25)、200mM EDTA、400mM N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、1.0%TritonX−100)、1μlの0.4M UDP−GlcNAc(シグマ社製)、1μlの385pmol/μl PA−Gn,Gn−bi糖鎖(タカラバイオ社製、PA−Sugar Chain 012)を混合し、37℃で16時間反応させた。反応終了後、98℃で5分間加熱して酵素を失活させ、15,000rpm、3分間遠心分離して上清を得た。その上清10μlをHPLCにより分析した。カラムはPALPAK Type R(4.6mmφ×250mm、タカラバイオ社製、CA8000)、溶離液は0.5%1−ブタノール含有100mM 酢酸−トリエチルアミン緩衝液(pH4.0)を使用し、カラム温度は40℃、流速は1.0ml/分に設定した。検出には蛍光検出器(RF−535、島津製作所社製)を使用し、励起波長を320nm、検出波長を400nmに設定した。この条件でPA−Gn,Gn−bi糖鎖は約9.6分に、PA−Gn,Gn−bi糖鎖にGnT−Vが作用することにより生成するPA−Gn,Gn,Gn−tri'糖鎖は約6.7分に溶出された。
その結果を図2に示す。すなわち、図2は各siRNAを添加したときのHuh6細胞におけるGnT−V活性を示す図であり、縦軸はGvT−V活性(pmol/mgタンパク質/h)を示す。図中、「nega」は、陰性対照を示す。
【0043】
図2に示したように、si−1、si−5、si−11、si−14、si−18、si−24、si−26およびsi−71はいずれも顕著なRNAi効果を示した。一方、si−15およびsi−43はわずかなRNAi効果しか示さなかった。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明のsiRNAを添加したときのHuh6細胞におけるGnT−V mRNA量を示す図である。
【図2】本発明のsiRNAを添加したときのHuh6細胞におけるGnT−V活性を示す図である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明により、GnT−V遺伝子の発現を抑制する方法が提供される。また、GnT−V遺伝子の発現抑制用組成物が提供される。さらに、本発明の組成物は、GnT−V遺伝子の過剰発現を伴う疾患、たとえばがんの治療薬として有用である。
【配列表フリーテキスト】
【0046】
SEQ ID NO:11;A synthetic chimera oligonucleotide A1. "nucleotide 20 and 21 are
deoxyribonucleotide-other nucleotides are ribonucleotides"
SEQ ID NO:12;A synthetic chimera oligonucleotide A2. "nucleotide 20 and 21 are
deoxyribonucleotide-other nucleotides are ribonucleotides"
SEQ ID NO:13;A synthetic chimera oligonucleotide A3. "nucleotide 20 and 21 are
deoxyribonucleotide-other nucleotides are ribonucleotides"
SEQ ID NO:14;A synthetic chimera oligonucleotide A4. "nucleotide 20 and 21 are
deoxyribonucleotide-other nucleotides are ribonucleotides"
SEQ ID NO:15;A synthetic chimera oligonucleotide A5. "nucleotide 20 and 21 are
deoxyribonucleotide-other nucleotides are ribonucleotides"
SEQ ID NO:16;A synthetic chimera oligonucleotide A6. "nucleotide 20 and 21 are
deoxyribonucleotide-other nucleotides are ribonucleotides"
SEQ ID NO:17;A synthetic chimera oligonucleotide A7. "nucleotide 20 and 21 are
deoxyribonucleotide-other nucleotides are ribonucleotides"
SEQ ID NO:18;A synthetic chimera oligonucleotide A8. "nucleotide 20 and 21 are
deoxyribonucleotide-other nucleotides are ribonucleotides"
SEQ ID NO:19;A synthetic chimera oligonucleotide A9. "nucleotide 20 and 21 are
deoxyribonucleotide-other nucleotides are ribonucleotides"
SEQ ID NO:20;A synthetic chimera oligonucleotide A10. "nucleotide 20 and 21
are deoxyribonucleotide-other nucleotides are ribonucleotides"
SEQ ID NO:21;A synthetic chimera oligonucleotide A11. "nucleotide 20 and 21
are deoxyribonucleotide-other nucleotides are ribonucleotides"
SEQ ID NO:22;A synthetic chimera oligonucleotide A12. "nucleotide 20 and 21
are deoxyribonucleotide-other nucleotides are ribonucleotides"
SEQ ID NO:23;A synthetic chimera oligonucleotide A13. "nucleotide 20 and 21
are deoxyribonucleotide-other nucleotides are ribonucleotides"
SEQ ID NO:24;A synthetic chimera oligonucleotide A14. "nucleotide 20 and 21
are deoxyribonucleotide-other nucleotides are ribonucleotides"
SEQ ID NO:25;A synthetic chimera oligonucleotide A15. "nucleotide 20 and 21
are deoxyribonucleotide-other nucleotides are ribonucleotides"
SEQ ID NO:26;A synthetic chimera oligonucleotide A16. "nucleotide 20 and 21
are deoxyribonucleotide-other nucleotides are ribonucleotides"
SEQ ID NO:27;A synthetic chimera oligonucleotide A17. "nucleotide 20 and 21
are deoxyribonucleotide-other nucleotides are ribonucleotides"
SEQ ID NO:28;A synthetic chimera oligonucleotide A18. "nucleotide 20 and 21
are deoxyribonucleotide-other nucleotides are ribonucleotides"
SEQ ID NO:29;A synthetic chimera oligonucleotide A19. "nucleotide 20 and 21
are deoxyribonucleotide-other nucleotides are ribonucleotides"
SEQ ID NO:30;A synthetic chimera oligonucleotide A20. "nucleotide 20 and 21
are deoxyribonucleotide-other nucleotides are ribonucleotides"
SEQ ID NO:31;A synthetic chimera oligonucleotide C21. "nucleotide 20 and 21
are deoxyribonucleotide-other nucleotides are ribonucleotides"
SEQ ID NO:32;A synthetic chimera oligonucleotide C22. "nucleotide 20 and 21
are deoxyribonucleotide-other nucleotides are ribonucleotides"
SEQ ID NO:33;A sequence of designed oligonucleotide PCR primer for amplifying
a human Gnt-V gene
SEQ ID NO:34;A sequence of designed oligonucleotide PCR primer for amplifying
a human Gnt-V gene
SEQ ID NO:35;A sequence of designed oligonucleotide PCR primer for amplifying
a human beta-actin gene
SEQ ID NO:36;A sequence of designed oligonucleotide PCR primer for amplifying
a human beta-actin gene

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GnT−V遺伝子の発現を制御するための2本鎖RNAであって、配列表の配列番号1〜8記載の塩基配列と当該配列に相補的な塩基配列のそれぞれに対応するRNAを含有する2本鎖RNA。
【請求項2】
該2本鎖RNAが、DNAから成る3’突出構造をさらに含有する、2本鎖RNA−DNAキメラオリゴヌクレオチドであることを特徴とする請求項1又は2記載の2本鎖RNA。
【請求項3】
該2本鎖RNAが、少なくとも一方のRNA鎖において塩基の置換、挿入、付加もしくは欠失を含有し、かつ細胞内で2本鎖RNAの構造を取ることができることを特徴とする請求項1又は2記載の2本鎖RNA。
【請求項4】
塩基の置換、挿入、付加もしくは欠失を含有するRNA鎖が、配列表の配列番号1〜8記載の塩基配列に対応するRNA鎖であることを特徴とする請求項3記載の2本鎖RNA。
【請求項5】
該2本鎖RNAが、さらに1本鎖RNA部分を有する、ループ構造であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の2本鎖RNA。
【請求項6】
GnT−V遺伝子の発現を制御するための核酸であって、プロモーターの下流に配置された配列表の配列番号1〜8記載の塩基配列と当該配列に相補的な塩基配列の核酸とを含有し、かつ前記プロモーターにより開始される転写反応によって、配列表の配列番号1〜8記載の塩基配列と当該配列に相補的な塩基配列のそれぞれに対応する2本鎖RNAを生成することができる核酸。
【請求項7】
転写反応後の2本鎖RNAが、少なくとも一方のRNA鎖において塩基の置換、挿入もしくは欠失を含有し、かつ細胞内で2本鎖RNAの構造を取ることができることを特徴とする請求項6記載の核酸。
【請求項8】
塩基の置換、挿入、付加もしくは欠失を含有するRNA鎖が、配列表の配列番号1〜8記載の塩基配列に対応するRNA鎖であることを特徴とする請求項7記載の核酸。
【請求項9】
転写反応後の2本鎖RNAが、さらに1本鎖RNA部分を有する、ループ構造であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の核酸。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか1項に記載の核酸が挿入されたベクター。
【請求項11】
GnT−V遺伝子の発現を抑制するための組成物であって、請求項1〜5のいずれか1項に記載の2本鎖RNA、請求項6〜9のいずれか1項に記載の核酸、あるいは請求項10記載のベクターから選択される有効成分を含有することを特徴とする組成物。
【請求項12】
請求項11記載の組成物を用いたGnT−V遺伝子の発現抑制方法。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−49901(P2007−49901A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−235044(P2005−235044)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【出願人】(302019245)タカラバイオ株式会社 (115)
【Fターム(参考)】