説明

還元焼成水素化金属類からなる消臭剤、その製造方法、脱臭・消臭作用を有する装身具類、及びアルカリイオン水の簡易製造方法

【課題】水と接触することによりマイナスイオンを発生し、その結果、優れた消臭効果を有する還元焼成水素化金属類からなる消臭剤、その製造方法、脱臭・消臭作用を有する装身具類、及びアルカリイオン水の簡易製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の還元焼成水素化金属類からなる消臭剤は、アルカリ土類金属の一つもしくは幾つかの金属を含む素材として、カキ殻、ホタテ貝殻などの貝類、石灰化サンゴ、ドロマイトの一種又は二種以上を選択し、選択した貝類、石灰化サンゴ又はドロマイトを粉砕して微粉末とし、窒素気流中で無酸素状態を完全に作成し、徐々に水素を気流として流入させながら温度を上昇させ、窒素:水素の比率が8:2〜6:4までなるように調整すると共に、温度を600〜800℃迄上昇させて還元焼成を行って得られることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水と接触することによりマイナスイオンを発生し、その結果、優れた消臭効果を有する還元焼成水素化金属類からなる消臭剤、その製造方法、脱臭・消臭作用を有する装身具類、及びアルカリイオン水の簡易製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、酸化物質や過酸化物質による健康障害が問題となり、極めて広範な分野において抗酸化作用のある素材の開発・研究がなされ、多種の消臭に関する文献が発表され、それに基づく健康関連食品やグッズが販売されている。
【0003】
例えば特許文献1には、住居や家畜舎、工場等から発生する悪臭を消臭する目的で、貝殻粒と、焼成した炭を粉砕した炭素粒と、結合材とからなる多機能消臭剤が提案されている。
【0004】
特許文献2には、口臭や体臭の予防及び消臭を目的として、デキストリンを有効成分とする体臭予防及び消臭剤が提案されている。
【0005】
特許文献3には、パーマネントやブリーチング等の毛髪処理時に発生するアンモニア週に対して有効な効果を発揮する組成物として、炭素数2〜6の有機酸、炭素数2〜6の有機酸のアルカリ金属塩、シクロデキストリン、及び非イオン界面活性剤を含み、pHが3〜8である毛髪処理用水系液体消臭剤組成物が提案されている。
【0006】
特許文献4には、モノクロロトリアジノシクロデキストリンまたはそのアンモニウム塩を主成分とし、必要に応じて、フィトンチッドの部分アルキル化シクロデキストリンを含有させた消臭組成物としている。
【0007】
特許文献5には、非生物表面で悪臭印象を減少させる組成物として、水溶性化したシクロデキストリン誘導体、香料、金属塩などから構成される水性組成物が悪臭印象を減少させるための水性組成物として開示されており、このような組成物で処理され、白帛が湿潤時に香料を放出することに基づく消臭組成物が開示されており、この組成物は、家庭用品表面、キャビネット、壁、浴室表面、あるいは白帛及び/または白帛物品にスプレーすることを開示している。
この他、シクロデキストリンを含む類似の組成物が特許文献6、特許文献7、特許文献8などにも開示されている。しかし、これらの方法によっても満足すべき消臭効果は得られず、悪臭成分を効果的に除去消臭する消臭方法が望まれている。
【0008】
また、マイナスイオンは、酸化物質や過酸化物質に対し、還元作用を有するものとして注目され、家電品において消臭・殺菌・癒し効果などを切り口として販売されており、その発生原理として高電圧の磁場に空気をさらすことによってマイナスイオンを発生させている。また、滝の水の勢いによって水の中からマイナスイオンを発生させることなども応用されている。
【0009】
さらに、特許文献9には、水溶液中に水溶液イオン化物質を添加した消臭剤が開示されている。それによれば、水溶液中に水溶液イオン化物質を添加した消臭剤を容器に収納し、開口部にトリガースプレーを取り付けた消臭剤噴霧装置によって消臭スプレーを作成している。また、上記消臭剤を周囲空間に散布する消臭方法も記載されている。
この特許文献9によると、マイナスイオンを発生させる物質を配合させて水分子のクラスターを小さくさせ、その水分子のクラスターの大きさを維持することにより、水の脱臭、消臭力を高め、これを室内空気に適用させることにより、生活環境中のプラスイオンを中和若しくはマイナスイオン化させ、悪臭を改善できるとされている。
【0010】
【特許文献1】特開2004−65889公報
【特許文献2】特開2002−47163公報
【特許文献3】特開2003−192540公報
【特許文献4】特開2001−314493公報
【特許文献5】特表平10−503958号公報
【特許文献6】特表平10−505257号公報
【特許文献7】特表平10−503952号公報
【特許文献8】特表平10−503953号公報
【特許文献9】特開2003−205021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記特許文献9にて、トルマリン及び麦飯石等も例示されているが、実施例などにて水溶液イオン化物質として具体的に用いられている物質は炭であって、この木炭や竹炭などの炭はポーラス構造を有し、空気中においてプラスイオンを吸着することにより、マイナスイオンを相対的に増やす作用を果たす効果は知られているが、水中において水分子のクラスターを小さくする効果やそれによる消臭作用が十分に確認されたとは言い難いものであった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意研究の末、ポーラス構造を有する水素化金属が水(水分)と接触することにより、有効な消臭作用を果たすマイナスイオンを発生させることを見出し、該水素化金属は、カキ殻などの貝類、石灰化サンゴやドロマイトを原材料とするアルカリ土類金属を、特定の条件にて還元焼成する(無酸素状態で水素を反応させる)ことにより、製造されることを見出した。
【0013】
本発明は上記に鑑み提案されたものであって、アルカリ土類金属の一つもしくは幾つかの金属を含む素材として、カキ殻、ホタテ貝殻などの貝類、石灰化サンゴ、ドロマイトの一種又は二種以上を選択し、選択した貝類又は石灰化サンゴ又はドロマイトを水素との接触面積を大きくするため粉砕して微粉末とし、窒素気流中で無酸素状態を完全に作成し、徐々に水素を気流として流入させながら温度を上昇させ、窒素:水素の比率が8:2〜6:4までなるように調整すると共に、温度を600〜800℃迄上昇させて還元焼成を行って得られることを特徴とする還元焼成水素化金属類からなる消臭剤、及びその製造方法に関するものである。
【0014】
また、本発明は、前記還元焼成水素化金属類を10wt%以上のデキストリン水溶液に加えてなることを特徴とする消臭剤をも提案するものである。
【0015】
さらに、本発明は、前記消臭剤を付着させたことを特徴とする消臭作用のある装身具類をも提案するものである。尚、装身具類とは、具体的にはマスク、靴下、下着等の繊維類を指すものである。
【0016】
また、本発明は、前記還元焼成水素化金属を水と接触させることを特徴とするアルカリイオン水の簡易製造方法をも提案するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の還元焼成水素化金属類からなる消臭剤は、水と接触することによりマイナスイオンを発生するものであって、優れた消臭効果を有するものである。そして、各種の態様の消臭剤(材)として用いられることは勿論、例えば抗菌材料などと共に適用することにより、消臭機能を持たせることができる。
【0018】
前記還元焼成水素化金属類を10wt%以上のデキストリン水溶液に加えてなる消臭剤は、液状(水溶液)であるため、例えば霧状に噴霧して消臭効果を速やかに発揮させるような用途に好適に適用できる。
【0019】
前記消臭剤を付着させたマスク、靴下、下着等の装身具類は、汗や呼気中の水分との接触により、マイナスイオンが発生し、悪臭を消臭する効果を発揮すると共に、リラックス効果や抗アレルギー効果ももたらすものである。
【0020】
また、本発明のアルカリイオン水の簡易製造方法は、前記還元焼成水素化金属類を水と接触させるだけでよいため、例えばコップ等に注がれた水の中に還元焼成水素化金属類を投入してもよいし、或いは還元焼成水素化金属類をフィルター状に保持し、該フィルターに水を通すようにしてもよく、極めて容易にアルカリイオン水を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
前述のように本発明らは、ポーラス構造を有する水素化金属が有効な消臭作用を果たすということを見出したが、これらの水素化金属は、生体にとって無害である金属のうちから選ばれることが望ましく、例えばMg,Ca,Se,Mo,Zn,Mn,Cu,Tiなどあらゆるアルカリ土類金属が挙げられる。
上述のMgやCaの供給源である原材料として、カキ殻、ホタテ貝殻などの貝類や石灰化サンゴおよびドロマイトの一種又は二種以上を用いる。
カキ殻などの貝類は、食用とされるカキやホタテ等の肉部分は除いた貝殻でもよいし、食用とされないフジツボ等では肉部分を含んでいてもよい。この貝類は、周知のように有機金属化合物としてMgやCa及びSiなどを含有する天然物質であり、現在一部がCa補給剤として利用されているものの、そのほとんどが産業廃棄物として廃棄されている。
石灰化サンゴは、正確にはサンゴ虫がいなくなった白色石灰化したサンゴであり、サンゴカルシウムとして入手可能である。
また、ドロマイトは、貝殻や紡錘虫の化石から製造され、かつてはセメント材料や鉄鋼(フラックス)に利用していたが、カルシウムとマグネシウムを約2:1の割合で含み、最近ではCaとMgの補給のために食用素材として利用されるようになってきているものの、それ以外の有効な活用方法が見出されていない。
【0022】
前述のように水素化金属の製造は、アルカリ土類金属を無酸素状態で水素添加することによって製造することができる。
水素化金属の製造に際しては、窒素気流の無酸素状態でアルカリ土類金属を高温にて焼成しながら水素を添加することが必須の条件である。
焼成は、窒素:水素比率を8:2〜6:4に保った状態にして温度を600〜800℃迄上昇させて還元焼成することで水素化金属化合物を製造する。
効率よく水素を吸蔵させるための焼成条件を検討した結果、窒素:水素比率を8:2〜6:4および焼成温度600〜800℃にすることによって十分に水素を吸蔵させることを可能とした。本条件以外の水素濃度や温度条件においても水素を吸蔵させる事が出来るが実験の結果効率が悪いことが確認されたことと無駄なエネルギーを使うことになる。例えば温度については、設定条件の温度以下だと焼成温度が低いためにアルカリ土類金属が十分に焼成されず水素を気流として与えてもアルカリ土類金属に水素を吸蔵させることが十分に出来ない。また、焼成温度を条件異常の高温にすることによっての吸蔵については、可能であるが温度を高温にするのに多くのエネルギーが無駄に使用されるだけで最適な条件ではない。したがって、本条件での水素吸蔵が効果的であるものとして見出された。
出来上がった還元焼成水素化金属は、常温まで戻し、無酸素状態から通常の空気の状態にさらす。このとき、水素化金属を安定させる為に数種類のアルカリ土類金属が存在することで、一種類のアルカリ土類金属より安定なヒドリド錯体を形成できるので、原材料(アルカリ土類金属の供給源)として貝類、石灰化サンゴ、ドロマイト類を素材とすることが望ましい。
【0023】
このように本発明の消臭剤、及びその製造方法は、アルカリ土類金属の二種以上を含む貝殻、石灰化サンゴ、ドロマイトを選択して特定の条件にて還元焼成する(無酸素状態で水素を反応させる)ことによって水素化金属を製造することで問題解決できるのである。
【0024】
例えば前記還元焼成水素化金属の製造では、水素化金属の例として、MgOを水素気流中で焼成することにより、還元性を有する水素化マグネシウム(MgH2)とすることが可能である。
また、水素化金属の例として、CaCo3を水素気流中で焼成することにより、還元性を有する水素化カルシウム(CaH2)とする事が可能である。
このような水素化金属(MH2;Mはアルカリ土類金属)は、水(H2O)に触れると、すぐさま水酸化金属(M(OH)2)と水素(H2)に変化してしまう為、できるだけ水との反応を避けるため、水素化金属の錯体構造を安定化させたり水素化金属を保護する必要がある。その問題を解決する手段として水素化金属を製造する際によりポーラスな構造を有するポーラス構造を作成することが望ましい。
【0025】
本発明では、無酸素状態で数種類のアルカリ土類金属を粉末化し、適度な水分を与えて練り上げて成形(成形する際に小麦粉や澱粉などを加えることで粘土状にすると成形しやすい。)して無酸素状態(窒素気流中)の条件下で徐々に温度を上昇させ、600〜800℃として水素を気流として添加して還元焼成を行うことでアルカリ土類金属の水素化化合物を製造することを可能とした。
【0026】
こうして得られる本発明の還元焼成水素化金属類は、水と触れることでH-(マイナスイオン)を発生し、瞬間的に水素ガスとなるか、或いは水の中に溶け込んで安定なOH-(ヒドロキシマイナスイオン)になると同時に酸化物質や過酸化物質を還元することによって、酸化物質を中和してあらゆる物質の酸化生成物の産生を抑制したり、過酸化物質を還元することで過酸化物質を還元でき、その結果、脱臭、防腐、異臭の改善、生体内過酸化物質の還元作用を有する。
【0027】
例えばCaH2(水素化カルシウム)がH2O(水)と触れた場合には、瞬間的に水素ガスとなる反応が生ずると考えられる。
【化1】

また、H-が、水の中にとけ込んだ場合には、OH-を生じる。
【化2】

このように、H-が水中で反応してOH-を生じることにより、アルカリになる。
【0028】
本発明の還元焼成水素化金属類が水と触れることにより発生するマイナスイオンは、数多くの有効利用が考えられるが、本発明では各種の消臭剤として、即ち消臭効果を果たすものとして利用することができる。
例えば、靴底の敷き革や靴下にこれらの水素化金属を封じ込めることによって皮膚から生じた汗による水分との接触によりマイナスイオンを発生させるようにし、それにより靴の中の悪臭を消臭する。
また、風邪の時期やアレルギー性鼻炎などの発生時期にマスクの中にこれらの水素化金属を抗菌材料と共に封じ込めることによってマスクを通して出る呼気中の水分との接触によりマイナスイオンを発生させるようにし、それにより吸気と共に吸い込むことで、口臭を抑制すると共に、リラックス効果や抗アレルギー効果、さらにはウイルスなどの細菌による感染を予防できる
さらに、液状の消臭剤としてもよく、この場合、後述する実施例にて示すように10wt%以上のデキストリン水溶液に混合することにより、マイナスイオンを速やかに発生させて十分な消臭効果を得ることができる。例えば後述する実施例にて示すように洗剤に混合して用いる態様が好適である。
また、毛髪処理用液体消臭剤として用いてもよく、この場合、前記水素化金属類と、炭素数2〜6の有機酸、炭素数2〜6の有機酸のアルカリ金属塩、シクロデキストリン、及び非イオン界面活性剤を含み、pHが3〜8の組成物とすることにより、パーマネントウェーブ等の毛髪処理時に発生する高濃度のアンモニアを主とする臭気に対して極めて優れた消臭効果を発揮し得ると共に、人体及び環境に対する安全性の高い、経日安定性に優れたものとなる。
尚、食品への応用を考えた場合には、食品特有の臭気を消臭し、さらには食品の酸化を防止することから日持ち向上作用を有する。また、健康食品や健康維持のための食品に応用すれば、消臭作用と共に、抗酸化食品として無害な食品が製造される。
【実施例】
【0029】
〔還元焼成水素化金属類(還元焼成水素化珊瑚カルシウム;二水素カルシウム)の製造〕
市販されている珊瑚カルシウムを粉末化して水を少量加えて粘土状とし(尚、粘土状にすることが難しい場合には、澱粉や小麦粉など加えて粘土状とする。)成型加工して無酸素状態とするため、窒素気流中で700℃間で加熱して焼成した。
その後、窒素気流に水素気流を徐々に与えて窒素:水素を6:4になるように調整して焼成を6時間行い、窒素・水素気流中で常温まで冷却して、冷却後、気流を通常の空気条件として製造し、還元焼成水素化珊瑚カルシウム(二水素カルシウム)を得た。
【0030】
〔脱臭効果実験〕
〈試料条件〉
悪臭物質としてイソ吉草酸(イソプロピル酢酸:和光純薬)5500ppmを混合したエタノール溶液(悪臭標準液)を使用した。
テストチューブにデキストリン水溶液{含水0,10,30%(0%は水のみ)}を10ml入れた。
デキストリンを加えたサンプルに、前記のように製造した還元焼成水素化珊瑚カルシウム(二水素カルシウム)をデキストリンに対して1,2%添加した。溶けにくい物は少し加熱して溶解させ、室温に戻した。
さらに、前記悪臭標準液1mlを加え、デキストリン水溶液に対して悪臭物質が500ppmとなるようにした。
蓋をして30℃24時間後に、70℃恒温槽で30分加熱後のヘッドスペースガス5mlをガスクロマトグラフィー(GC)に供した。ここで、ガスを吸引するシリンジも70℃に加熱して、GCに注入するまでガスの温度が低下しないようにした。
ブランクとして、デキストリン水溶液を加えずに、悪臭標準液1mlのみ加えたものの分析も行った。
尚、使用デキストリンは水分5.6%のアミコールNo.7H(日澱化学)である。
【0031】
〈GC測定条件〉
GC:島津GC−14B
カラム:TC−WAX(30m×0.25mmI.D.)
カラム温度:100-200℃(100℃5分、昇温10℃/分、200℃5分)
検出器:F.I.D.(Range1)
検出器温度:250℃
キャリアガス:ヘリウム(150KPa)
注入量:ヘッドスペースガス5ml
【0032】
〈測定結果〉
結果を表1,2及び図1に示した。
【表1】

【表2】

【0033】
〈実験結果〉
表1,2及び図1より明らかなように、同一濃度に保った悪臭成分であるイソ吉草酸(500ppm)に対して消臭剤などに使用しているデキストリンに1〜2%の還元焼成水素化珊瑚カルシウム(二水素カルシウム)を加えた場合のイソ吉草酸の濃度は、悪臭成分が検出限界以下となっており、明らかな悪臭除去効果があることが確認された。
これに対し、二水素カルシウムを添加していないデキストリン水溶液では、デキストリン濃度が10wt%程度までは、悪臭成分がブランクより増加し、それよりデキストリン濃度が増加するにつれて、悪臭成分が減少する傾向が見られた。
【0034】
〔消臭効果実験1〕
前記脱臭効果実験に用いたデキストリンに1〜2%の二水素カルシウムを加えた水溶液中に、マスク用繊維を含浸させ、乾燥させ、この繊維を用いてマスクを作製した。尚、比較のために、同じ条件で二水素カルシウムを加えずにデキストリン水溶液に含浸させたものも作製した。
そして、上記のように作製した二種のマスクを、同じ時間(1〜3時間)だけ着用して比較したところ、二水素カルシウムを加えたデキストリン水溶液で処理したマスクは、明らかに消臭効果があることが確認された。
【0035】
〔消臭効果実験2〕
前記脱臭効果実験に用いたデキストリンに1〜2%の二水素カルシウムを加えた水溶液中に、靴下用繊維を含浸させ、乾燥させ、この繊維を用いて靴下を作製した。その際、水溶液の作成は、絶えず新しいものを作成することで効果が得られるので、連続的に行う場合には水溶液のpHや還元電位を測定してpHがアルカリ性を示し還元電位がマイナスを示すことを確認して作業を行った。尚、比較のために、同じ条件で二水素カルシウムを加えずにデキストリン水溶液に含浸させたものも作製した。
具体的なアルカリ性は、pH11,還元電位−100mv以下を示した。
そして、上記のように作製した二種の靴下を、左右の足に着用して比較したところ、二水素カルシウムを加えたデキストリン水溶液で処理した靴下は、明らかに消臭効果があることが確認された。
【0036】
〔消臭効果実験3〕
前記脱臭効果実験に用いたデキストリンに1〜2%の二水素カルシウムを加えた水溶液をトイレ用洗剤と混合して用いた。尚、比較のために、同じ条件で二水素カルシウムを加えずにデキストリン水溶液に含浸させたものも作製した。
水溶液の作成は、実験実施直前に行いpH11、還元電位−200mvを示していた。
そして、上記のように作製した二種のトイレ用洗剤を用いてトイレを洗浄したところ、二水素カルシウムを加えたデキストリン水溶液を加えた洗剤にて洗浄した場合には、明らかに消臭効果があることが確認された。
【0037】
尚、前記消臭効果実験1〜3に示した方法は、使用方法を簡単にすることが出来るので実施したが、より効果的な結果を得るためには、水素化金属を水溶化しない状態での使用が望ましい。例えば実施例1の場合には、マスクの製造の際にマスクの構造二重以上の構造にして構造の間にシクロデキストリン、デキストリンなどに重量比で1〜2%の水素化金属を混合した粉末を縦横5センチメートル程度の和紙や化学合成紙等で前述した混合物を3g程度平面状にティーバック状に包装したものを挟み込んで使用することによって、より効果的な消臭殺菌効果が得られた。
【0038】
〔アルカリイオン水の製造〕
還元焼成水素化金属(二水素化カルシウム)をポリデキストロース、デキストリン、セルロースに重量比で1〜2%含有させて錠剤、顆粒または混合粉末を作成し、その錠剤、顆粒及び混合粉末の何れかを水1Lに対して重量で500mg投入し、よく振って20分間静置した後、pH及び還元電位を測定した。
その結果、還元焼成水素化金属(二水素化カルシウム)をポリデキストロース、デキストリン、セルロースに重量比で1〜2%含有させて錠剤、顆粒または混合粉末を投入する前の水では、pH:7.8、還元電位:130mvであったが、投入後20分経過した水ではpH11.3,還元電位:−200mvを示した。
また、その継続時間を6時間の間経時的測定した結果、pH11.3,還元電位−200mvを維持していた。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施例における実験結果を示すガスクロマトグラフィーのチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ土類金属の一つもしくは幾つかの金属を含む素材として、カキ殻、ホタテ貝殻などの貝類、石灰化サンゴ、又はドロマイトの一種又は二種以上を選択し、選択した貝類又は石灰化サンゴ又はドロマイトを粉砕して微粉末とし、窒素気流中で無酸素状態を完全に作成し、徐々に水素を気流として流入させながら温度を上昇させ、窒素:水素の比率が8:2〜6:4までなるように調整すると共に、温度を600〜800℃迄上昇させて還元焼成を行って得られることを特徴とする還元焼成水素化金属類からなる消臭剤。
【請求項2】
請求項1に記載の還元焼成水素化金属類を10wt%以上のデキストリン水溶液に加えてなることを特徴とする消臭剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の消臭剤を付着させたことを特徴とする脱臭・消臭作用を有する装身具類。
【請求項4】
アルカリ土類金属の一つもしくは幾つかの金属を含む素材として、カキ殻、ホタテ貝殻などの貝類、石灰化サンゴ、ドロマイトの一種又は二種以上を選択し、選択した貝類又は石灰化サンゴ又はドロマイトを粉砕して微粉末とし、窒素気流中で無酸素状態を完全に作成し、徐々に水素を気流として流入させながら温度を上昇させ、窒素:水素の比率が8:2〜6:4までなるように調整すると共に、温度を600〜800℃迄上昇させて還元焼成を行うことを特徴とする還元焼成水素化金属類からなる消臭剤の製造方法。
【請求項5】
請求項4にて得られた還元焼成水素化金属を水と接触させることを特徴とするアルカリイオン水の簡易製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−236851(P2007−236851A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−67238(P2006−67238)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(504151402)株式会社ゴトーコーポレーション (2)
【出願人】(599045408)
【Fターム(参考)】