説明

部品の傷付き防止材

【課題】 本発明は部品の所定個所の傷付きを防止することを課題とする。
【解決手段】熱可塑性合成樹脂シートを部品6の所定個所Cの形状に沿う形状に成形し、周縁には該部品6に対して着脱可能な取付け手段3,4を設けた傷付き防止材1を部品6の所定個所Cに取付け、工具や部品等が当たっても該所定個所Cの傷付きを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば自動車や家庭電化製品等の組立て作業中にバンパーやキャビネット等の所定個所に工具や部品等が当たって傷が付くのを防止する部品の傷付き防止材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の車体に種々の部品を組付ける場合、工具や部品がバンパー等の角部等に当たり、該角部等に傷が付くと云う問題点がある。そこで従来は、作業員が車体に組付ける場合に、バンパー等の角部等に工具や部品等が当たらないよう、細心の注意を払って作業することが求められていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このような細心の注意を払って作業することは、作業員の負担になり、かつ作業効率ひいては生産効率にも悪影響をもたらすものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、熱可塑性合成樹脂シートを部品6の所定個所の形状に沿う形状に成形し、周縁には該部品6に対して着脱可能な取付け手段3,4を設けた部品6の傷付き防止材1を提供するものである。
上記熱可塑性合成樹脂シートの材料の熱可塑性合成樹脂は、ロックウェル硬度R30〜150の範囲であることが望ましく、また上記熱可塑性合成樹脂シートの厚みは0.2mm以上であることが望ましい。
【発明の効果】
【0005】
〔作用〕
取付け部3,4を介して該傷付き防止材1を部品6の所定個所(角部C)に組付けた上で、部品の組付け作業を行う。該所定個所Cに工具や部品等が当たっても、該所定個所Cには該傷付き防止材1が取付けられているので、該所定個所Cは直接工具や部品によって傷付くことはない。
熱可塑性合成樹脂シートの材料の熱可塑性合成樹脂は、ロックウェル硬度R30〜150の範囲であり、また該熱可塑性合成樹脂シートの厚みが0.2mm以上であると、該所定個所Cに工具や部品等が当たった衝撃が効率よく吸収され、傷付きがより確実に防止される。
【0006】
〔効果〕
本発明では部品組付け作業中に、既に物品に組立てられている部品の所定個所に工具や部品等が当たっても、該傷付き防止材1によって該所定個所の傷付きが防止されるから、部品組付けに細心の注意を払う必要がなくなり、作業員の負担が軽減され、作業効率ひいては生産効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1〜図3に本発明の一実施例を示す。図1に示す傷付き防止材1は断面略コの字形の本体2と、該本体2の上面端縁部に設けられている取付け手段としての挿着部3と、下面端縁部に設けられている鉤形の係合部4とからなり、自動車5のフロントバンパー6の角部形状に沿う形状に成形されている。
【0008】
上記傷付き防止材1は、熱可塑性合成樹脂シートを真空成形、圧空成形、あるいは真空−圧空成形することによって製造されるが、射出成形、プレス成形等によって製造してもよい。
【0009】
上記熱可塑性合成樹脂シートの材料の熱可塑性合成樹脂としては、ロックウェル硬度R30〜150の範囲のものが望ましい。上記熱可塑性合成樹脂としては、例えばポリプロピレン(ホモR80〜102、コポリR65〜96)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)(R85〜106)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)(R50〜82)、ポリアミド6(R119)、ポリアミド66(R120)、ポリアミド46(R122)、ポリアミドPA9T(R118)、スチレン変性ポリフェニレンエーテル(R115〜116)、ポリフェニレンスルフィド(R123〜125)、ポリアリレート(R104〜125)、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン樹脂(AES)(R102〜109)、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン樹脂(AAS)(R96〜108)、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン樹脂(ACS)(R100〜107)、ポリアセタール(R120)等である。
【0010】
上記熱可塑性合成樹脂シートは二層以上積層した積層シートでもよいし、熱可塑性合成樹脂発泡体シートでもよい。また非発泡熱可塑性合成樹脂シートと熱可塑性合成樹脂発泡体シートとの積層シートであってもよい。
【0011】
上記熱可塑性合成樹脂シートの厚みは0.2mm以上に設定することが望ましい。厚みが0.2mm以上で該傷付き防止材1は傷付き防止効果が確実に発揮される。
【0012】
上記合成樹脂には、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、燐酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、ケイ藻土、ドロマイト、石膏、タルク、クレー、アスベスト、マイカ、ガラス繊維、カーボン繊維、ケイ酸カルシウム、ベンナイト、ホワイトカーボン、カーボンブラック、鉄粉、アルミニウム粉、石粉、高炉スラグ、フライアッシュ、セメント、ジルコニア粉等の無機充填材、木綿、麻、竹繊維、ヤシ繊維、羊毛、絹等の天然繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ビスコース繊維、アセテート繊維、塩化ビニル繊維、塩化ビニリデン繊維、ビニロン繊維、アセテート繊維等の有機合成繊維、アスベスト繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維、ウィスカー等の無機繊維、リンター、リネン、サイザル、木粉、ヤシ粉、クルミ粉、でん粉、小麦粉等の有機充填材等の補強材を添加して形状保持性、寸法安定性、圧縮および引張強度等を向上せしめてもよい。上記充填材は通常上記マスキング材の樹脂原料に対して0.5〜200重量%程度添加される。
また更に顔料や染料、DOP,DBP等の可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶化促進剤、難燃剤、防炎剤、防虫剤、防腐剤、ワックス類、滑剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、化学発泡剤またはカプセル型発泡剤のような発泡剤等を添加してもよい。これらの成分は一種または二種以上相互に混合して添加せられてもよい。
【0013】
上記傷付き防止材1は、図2、図3に示すように、自動車5のフロントバンパー6の角部Cに取付けられるが、この際上面挿着部3を車体5とバンパー6との間隙に挿着し、下面係合部4をバンパー6下面内縁に係合する。このようにして該バンパー6の角部Cは該傷付き防止材1によって保護されているから車体5に部品を組付けるような作業をする場合に、工具や部品がバンパー6の角部Cに当たって該角部Cが傷付くことが確実に防止される。
【0014】
図4〜図6には本発明の他の実施例が示される。本実施例では傷付き防止材11は前実施例と同様な熱可塑性合成樹脂を材料とし、断面略コの字形の本体2の上面端縁部は上方へ折曲げられて内側に左右一対の吸盤13A,13Aが取付けられて取付け手段13を構成しており、下面内側にも左右一対の吸盤14A,14Aが取付けられて取付け手段14を構成している。本実施例の傷付き防止材11は自動車5のリアバンパー7の中央部形状に沿った形状に成形されている。
【0015】
本実施例の傷付き防止材11は、図5および図6に示すように上側の吸盤13Aをリアバンパー7上側の車体5に吸着させ、下側の吸盤14Aをリアバンパー7の下面に吸着させることによって、該リアバンパー7の中央部Cに取付け傷付きを保護する。
【0016】
上記実施例以外、取付け手段としては磁石等が適用されてもよい。
また本発明は自動車のバンパー等以外、家庭電化製品、事務機器等の角部等の所定個所に適用されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明の傷付き防止材は部品の傷付きを確実に防止することによって、作業員の労力を省き、作業効率を向上させるので、産業上有用に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1〜図3は本発明の一実施例を示すものである。
【図1】傷付き防止材斜視図
【図2】バンパー取付け状態説明図
【図3】バンパー取付け状態説明断面図図4〜図6は本発明の他の実施例を示すものである。
【図4】傷付き防止材斜視図
【図5】リアバンパー取付け状態説明断面図
【図6】リアバンパー取付け状態説明図
【符号の説明】
【0019】
1,11 傷付き防止材 2 本体
3 挿着部(取付け手段)
4 係合部(取付け手段)
5 車体
6 バンパー(部品)
7 リアバンパー(部品)
13,14 取付け手段
13A,14A 吸盤(取付け手段)
C 角部(所定個所)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性合成樹脂シートを部品の所定個所の形状に沿う形状に成形し、周縁には該部品に対して着脱可能な取付け手段を設けたことを特徴とする部品の傷付き防止材。
【請求項2】
上記熱可塑性合成樹脂シートの材料の熱可塑性合成樹脂は、ロックウェル硬度R30〜150の範囲である請求項1に記載の部品の傷付き防止材。
【請求項3】
上記熱可塑性合成樹脂シートの厚みは0.2mm以上である請求項1または2に記載の部品の傷付き防止材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−38907(P2007−38907A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−226551(P2005−226551)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(000243892)名古屋油化株式会社 (78)