説明

部屋空間の消臭・芳香システム

【課題】 部屋空間を消臭し、また芳香する為のシステムの提供。
【解決手段】 消臭・芳香を行なう空間からダクト1aを延ばし、該ダクト1aは消臭・芳香処理機能空間Cへ導かれ、この消臭・芳香処理機能空間Cに消臭装置及び芳香装置を設置し、そして、上記消臭・芳香処理機能空間Cから延びる別のダクト1bは上記消臭・芳香対象空間Aへ導かれ、上記ダクト1a,1bを介して消臭・芳香対象空間Aと消臭・芳香処理機能空間Cを空気が循環する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空間(部屋)の空気を循環して消臭し、また芳香することが出来る消臭・芳香システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物の部屋空間には空調設備が備わっており、一年を通して室温並びに湿度がコントロールされて快適な環境に保たれている。そして近年では、各種の香りによる気分転換や精神鎮静などの効果が注目され、所定の部屋空間に香り発生器を空調設備と組み合わせ、空調と同時に香りを供給出来るようにしている。また、臭いも消臭する機能も併せ持った設備として構成している。
【0003】
実開平2−93376号に係る「部屋の芳香・消臭制御システム」は、芳香剤の芳香粒子を揮散させる芳香装置と、消臭剤の消臭粒子を揮散させる消臭装置と、部屋の入室・退室に連動して芳香装置を可動・停止させ、かつ芳香装置の停止に連動して消臭装置を一定期間稼動させる制御手段とを備えている。
この「部屋の芳香・消臭制御システム」によれば、入室時のみ芳香粒子を揮散させて経済的であり、また使用後は、悪臭を消臭すると共に芳香の揮散を停止して芳香粒子と悪臭とが混ざり合わないようにしている。
【0004】
ところで、従来の空調システムは仕切られた空間(部屋)ごとに行なわれているが、トータル的な設備も嵩み、コスト高になる。勿論、各空調設備を稼動する為のエネルギーも大きく成ってしまう。また、従来では消臭を行なう為に換気をしているが、場所によっては換気が出来ない場合もあり、例えば地下のトイレなど排気することが困難な場合も多い。そして、換気を行うと必然的にエネルギーの放出を招き、消費電力は大きくなってエネルギー効率は低下する。
【0005】
また、トイレなどで悪臭の強い空間を換気することで消臭することも多いが、悪臭を外部へ排出するならば、外に悪臭が漂うことになり、特に隣接する建物がある場合には迷惑となる。
【特許文献1】実開平2−93376号に係る「部屋の芳香・消臭制御システム」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来の空調システムには上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、消臭・芳香対象空間と消臭・芳香処理機能を備えた空間とを分離し、両空間を循環機能空間に設けたダクトを介して接続することで、効率よく消臭・芳香を行うことが出来る消臭・芳香システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る消臭・芳香システムは、消臭・芳香を行なう対象空間と消臭・芳香処理機能空間を切り離し、両空間をダクトにて接続している。ここで、上記消臭・芳香を行なう対象空間とは、トイレ、ホール、客室などであるが、限定するものではない。そして、消臭・芳香処理機能空間とは、消臭及び芳香を行なう消臭装置と芳香装置を備えた空間を言う。
【0008】
ただし、消臭装置及び芳香装置の具体的な構造は自由であり、限定するものではないが、芳香装置は芳香剤の芳香粒子を発散させるように機能する装置であり、消臭装置は消臭剤の消臭粒子を発散するように機能する装置として構成している。そして、消臭装置及び芳香装置は同時に稼動する場合と少なくとも片方が稼動するように制御される。
また、本発明では消臭・芳香対象空間と消臭・芳香処理機能空間とは分離している為に、間に循環機能空間を介在して空気を循環させる。
【0009】
上記循環機能空間には、消臭・芳香対象空間と消臭・芳香処理機能空間を接続する為のダクトが配置され、該ダクトにはファンを設けることで両空間の空気は循環することが出来る。勿論、ファンは消臭・芳香処理機能空間又は消臭・芳香対象空間との接続部に設けることでダクトを空気が流れて循環するように機能させてもよい。
【0010】
一方、本発明のシステムでは、消臭装置又は芳香装置が故障した場合に、ダクトを流れて消臭・芳香処理機能空間へ導かれた空気を外へ排出する為の排出ダクトを取付けている。また、上記消臭装置又は芳香装置が故障した際に稼動することが出来る補助消臭装置及び補助芳香装置を配置することもある。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る部屋空間の消臭・芳香空間システムは、ロビーやホール、又は大きなトイレ空間を消臭・芳香対象空間とし、この消臭・芳香対象空間と消臭・芳香処理機能空間に設置している消臭装置及び芳香装置をダクトを介して接続し、両空間を空気が循環する。従って、消臭・芳香対象空間は、嫌な臭いはせず、香が漂う心地良い空間と成る。
【0012】
そして、空気は両空間を循環させることで消臭・芳香対象空間は消臭・芳香されるが、空気の外部放出はない為に省エネシステムとなる。一方、消臭・芳香対象空間が複数ある場合であっても、1つの消臭・芳香処理機能空間の消臭装置と芳香装置によって処理され、全体の設備はコンパクト化されて設備費も安くなる。しかも、消臭装置又は芳香装置が故障した際には、消臭・芳香処理機能空間から排出ダクトを開口して排気することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る部屋空間の消臭・芳香システム。
【図2】本発明に係る部屋空間の消臭・芳香システム。
【図3】本発明に係る部屋空間の消臭・芳香システム。
【図4】本発明に係る部屋空間の消臭・芳香システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本発明に係る部屋空間の消臭・芳香システムを示す概略図である。同図において消臭・芳香対象空間Aとは、消臭及び芳香が行なわれる空間であり、本発明は特に限定しない。例えば、ホテルのロビー、ホール、高速道路のサービスエリアに設けている大きなトイレ、及び地下に設置されるトイレなどを対象とする。そして、消臭・芳香処理機能空間Cとは消臭及び芳香を行なう空間であり、この空間には消臭装置及び芳香装置が設置されている。
【0015】
そして、消臭・芳香対象空間Aと消臭・芳香処理機能空間Cとは、間に循環機能空間Bが介在しており、この循環機能空間Bにはダクト1a,1bが設けられていて、上記消臭・芳香対象空間Aと消臭・芳香処理機能空間Cとの間で空気が流れるように成っている。そこで、上記ダクト1a、1bは配管とファンとで構成しており、上記消臭・芳香対象空間Aには流出ダクト1aと流入ダクト1bが設けられていて、流出ダクト1aから空気が流出し、流入ダクト1bからは上記消臭・芳香処理機能空間Cにて消臭・芳香処理された新しい空気が流入する。
【0016】
ところで、上記消臭・芳香処理機能空間Cには、消臭装置及び芳香装置が設置されている。消臭装置は消臭剤となる消臭粒子を発散し、空気中に混在する悪臭粒子と結合して消臭することが出来る。すなわち、悪臭の元となる成分を消臭剤の成分と化学反応させ、無臭の成分にしてしまう。直接化学反応させる中和反応と酸化物を消臭成分に入れ、悪臭成分を無臭の酸化物に変える酸化反応があるが、本発明では特に限定はしない。
【0017】
また、芳香装置は芳香剤となる芳香粒子を発散するものであり、芳香剤は果物や花卉、樹木などの匂いで悪臭をマスキングしたり、また単純に香りを付けるものであり、基本的に消臭成分は入っていない。芳香として好まれるものはラベンダー、バラなどの花木、リンゴ、レモン、桃などの果物、また石鹸などであるが、近年は樹木の香りや素材そのものの消臭成分を生かした緑茶、竹、木炭といったものも使用されている。
【0018】
ところで、従来から消臭装置は色々知られているが、例えば、特開2005−185344号に係る「消臭装置」、特開2003−116977号に係る「消臭装置」、特開平10−94594号に係る「消臭装置」などがある。また、芳香装置としては、例えば、特開2011−87880号に係る「芳香装置」、特開2011−4885号に係る「芳香剤及び芳香装置」、特開平10−15049号に係る「芳香装置」などが知られている。
【0019】
このように、消臭装置及び芳香装置は色々存在している訳であって、本発明では消臭装置及び芳香装置の具体的な形態並びに構造は限定しないことにする。消臭・芳香対象空間Aからダクト1aを通過して消臭・芳香処理機能空間Cに流入した空気を消臭し、また芳香することが出来ればよく、具体的な消臭・芳香手段は問わない。
【0020】
図2は本発明に係る他の実施例であり、同図に示す部屋空間の消臭・芳香システムでは、補助消臭・芳香処理機能空間Dを設けている。この補助消臭・芳香処理機能空間Dは消臭・芳香処理機能空間Cに設置されている消臭装置及び芳香装置が故障した場合に機能することが出来るように、補助的に設けている。そこで、消臭・芳香対象空間Aから空気を流出するダクト1aには切替え弁2aが取付けられ、同じく消臭・芳香対象空間Aへ空気を流入するダクト1bには切替え弁2bを取付けている。
【0021】
従って、ダクト1aを流れる空気は開口した切替え弁2aを通過して補助消臭・芳香処理機能空間Dに設置してある消臭装置及び芳香装置が稼動して消臭及び芳香処理が行なわれる。そして、切替え弁2bを通過してダクト1bを流れ、消臭・芳香対象空間Aへ綺麗な空気を送り込むことが出来る。上記切替え弁2aが切り替わることでダクト1aを流れる空気は消臭・芳香処理機能空間Cへ入ることなく、補助消臭・芳香処理機能空間Dへ流入することが出来る。
【0022】
図3は本発明の更なる別実施例である。この部屋空間の消臭・芳香システムでは、ダクト1aに切替え弁3を設け、消臭・芳香処理機能空間Cに設置した消臭装置又は芳香装置が故障した場合に、該切替え弁3を切替して消臭・芳香対象空間Aからダクト1aを流れてきた空気を排出ダクト4から排出することが出来る。
【0023】
ところで、本発明に係る部屋空間の消臭・芳香システムは、上記図1〜図3に示す実施例では、消臭・芳香対象空間Aが1つの場合であるが、ダクトを介して特定の消臭・芳香処理機能空間Cへ導いて処理することで、複数の消臭・芳香対象空間A,A・・・を同時に消臭・芳香することも可能となり、トータル的に設備が簡素化される。
【0024】
図4は3ヶ所の消臭・芳香対象空間A,A,Aを1ヶ所の消臭・芳香処理機能空間Cに設けた消臭装置及び芳香装置により、消臭・芳香処理を行なうことが出来る実施例を示している。各消臭・芳香対象空間A,A,Aからダクト1a,1a,1aが延び、これら3本のダクト1a,1a,1aは1本のダクト1にまとめられ、このダクト1は消臭・芳香処理機能空間Cへ導かれる。
【0025】
そして、この消臭・芳香処理機能空間Cに設置した消臭装置及び芳香装置によって消臭・芳香処理が行われる。この消臭・芳香処理機能空間Cからダクト1が延び、このダクト1は3本のダクト1b,1b,1bに枝分かれして、各ダクト1b,1b,1bは上記消臭・芳香対象空間A,A,Aへ導かれる。
【符号の説明】
【0026】
A 消臭・芳香対象空間
B 循環機能空間
C 消臭・芳香処理機能空間
D 補助消臭・芳香処理機能空間
1 ダクト
2 切替え弁
3 切替え弁
4 排出ダクト













【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋空間を消臭し、また芳香する為のシステムにおいて、消臭・芳香を行なう空間からダクトを延ばし、該ダクトは消臭・芳香処理機能空間へ導かれ、この消臭・芳香処理機能空間に消臭装置及び芳香装置を設置し、そして、上記消臭・芳香処理機能空間から延びる別のダクトは上記消臭・芳香対象空間へ導かれ、上記ダクトを介して消臭・芳香対象空間と消臭・芳香処理機能空間を循環することを特徴とする部屋空間の消臭・芳香システム。
【請求項2】
上記消臭・芳香処理機能空間に補助消臭・芳香処理機能空間を併設し、ダクトに切替え弁を設けて消臭・芳香処理機能空間に設置した消臭装置又は芳香装置が故障した場合に、該補助消臭・芳香処理機能空間へ空気が導かれるようにした請求項1記載の部屋空間の消臭・芳香システム。
【請求項3】
上記消臭・芳香処理機能空間内の消臭装置又は芳香装置が故障した場合に、外へ排気する為の排出ダクトを設けた請求項1、又は請求項2記載の部屋空間の消臭・芳香システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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