説明

部材の組み付け構造

【課題】固定体を基台に組み付ける際に工具を必要とせず、また部品点数を削減可能な部材の組み付け構造を提供する。
【解決手段】基台に固定体を固定する組み付け構造であって、前記基台は、枢軸と、複数の爪部が形成され、前記固定体は、前記枢軸が挿入される貫通孔と、前記爪部と係合する鍔部及びリブが形成され、前記固定体は、前記貫通孔に前記枢軸を挿通した後、前記枢軸の周方向に回転させて前記鍔部及びリブに前記爪部を係合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材の組み付け構造に係り、特に、基台に対して固定体を組み付ける組み付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基台に固定体を組み付ける方法として種々の方法が知られている。例えば、図5に示すように、基台100にボルト130によって固定体120を締結固定する方法が知られている。この場合、ボルト130を中心とした固定体120の回転防止手段として、基台100から突出した回り止め140を固定体120に係合させることで、固定体120の回転防止を行っている。
【0003】
特許文献1に記載の2ウェイバルブの組み付け方法についても同様にキャニスタ2にボルトによって2ウェイバルブ3を連結する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−53790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の部材の組み付け構造の構成によると、固定体120をボルト130で締結固定しているため、工具を使用して組み付け作業を行わなくてはならず、作業工数の抑制を図ることができないといった問題があった。また、ボルト130を用いることで部品点数の増加につながり、さらにボルト130は通常金属で形成されるため、重量を軽減することが難しいといった問題もあった。
【0006】
そこで、本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、固定体を基台に組み付ける際に工具を必要とせず、また部品点数を削減可能な部材の組み付け構造を提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る組み付け構造は、基台に固定体を固定する組み付け構造であって、前記基台は、枢軸と、複数の爪部が形成され、前記固定体は、前記枢軸が挿入される貫通孔と、前記爪部と係合する鍔部及びリブが形成され、前記固定体は、前記貫通孔に前記枢軸を挿通した後、前記枢軸の周方向に回転させて前記鍔部及びリブに前記爪部を係合させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る組み付け構造において、前記爪部は、少なくとも前記リブに係合する第1の爪部と、前記鍔部に係合する第2の爪部とを有すると好適である。
【0009】
また、本発明に係る組み付け構造において、前記鍔部は、前記枢軸の径方向に沿って突出して形成されており、前記第1の爪部及び前記第2の爪部の少なくとも一方は、前記鍔部の前記枢軸の回転方向の端面に係合すると好適である。
【0010】
また、本発明に係る組み付け構造において、前記第1の爪部及び第2の爪部の少なくとも一方は、前記リブの延設方向に沿った溝が形成されていると好適である。
【0011】
また、本発明に係る組み付け構造において、前記第1の爪部及び第2の爪部の一方は、前記固定体に対して、前記枢軸と略対称となる位置に形成されると好適である。
【0012】
上記発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた発明となり得る。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る組み付け構造は、ボルトを用いることなく、枢軸と複数の爪部によって固定体を基台に固定するので、部品点数の削減及び軽量化を図ることができる。また、固定体は、貫通孔に枢軸を挿通した後、枢軸の周方向に回転させて爪部に係合させるので、工具を用いることなく固定体を基台に組み付けることができ、取付工数の削減を図ることができる。さらに、自動車の車体などに固定体を組み付けた場合であっても、車体の振動によって組み付けが解除されることなく確実に固定体を基台に組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る部材の組み付け構造を説明するための斜視図。
【図2】本実施形態に係る部材の組み付け構造に用いられる基台の斜視図。
【図3】本実施形態に係る部材の組み付け構造に用いられる固定体の斜視図。
【図4】本実施形態に係る部材の組み付け構造を説明するための組付作業図。
【図5】従来の部材の組み付け構造を説明するための斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0016】
図1は、本実施形態に係る部材の組み付け構造を説明するための斜視図であり、図2は、本実施形態に係る部材の組み付け構造に用いられる基台の斜視図であり、図3は、本実施形態に係る部材の組み付け構造に用いられる固定体の斜視図であり、図4は、本実施形態に係る部材の組み付け構造を説明するための組付作業図であり、図5は、従来の部材の組み付け構造を説明するための斜視図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る部材の組み付け構造は、基台10に固定体20として2ウェイバルブを組み付けた場合について説明を行う。固定体20は、基台10に形成された枢軸11,第1の爪部12及び第2の爪部13によって基台10に組み付けられている。
【0018】
図2に示すように、基台10は、取付面10aに枢軸11,第1の爪部12及び第2の爪部13が立設している。枢軸11は、固定体20を周方向に回転可能に軸止するように円柱状に形成されている。また、第1の爪部12は、取付面10aから立設する本体部15と、本体部15の端部から水平方向に延設する係止部16とを有している。係止部16には、図1に示すように、後述する固定体20のリブ23の延設方向に沿って溝14が形成されている。
【0019】
さらに、第2の爪部13は、第1の爪部12と同様に取付面10aから立設する本体部17と、本体部17の端部から水平方向に延設する係止部18とを有している。なお、第2の爪部13の係止部18には、溝14は形成されていない。さらにまた、図1に示すように、第1の爪部12は、固定体20に対して枢軸11と略対称となる位置に形成されている。
【0020】
図3に示すように、固定体20は従来の2ウェイバルブと同様の形状で形成される。固定体20には、枢軸11が挿入される貫通孔21が形成されている。この貫通孔21は、従来の組み付け構造では、ボルトを締結するために用いられていた貫通孔と同様のものである。また、固定体20の側面には、枢軸11の径方向(固定体20の側面から外方に向かう方向)に沿って突出するように鍔部22が形成されている。さらに、固定体20には固定体20の略中央部から放射状に延設して形成されたリブ23,23を有している。このリブ23,23は、従来から形成されていたものであり、固定体20の補強・剛性向上のために形成されたものである。
【0021】
なお、基台10及び固定体20は共にポリプロピレン系樹脂やポリアミド系樹脂等の熱可塑性の合成樹脂によって形成されており、基台10の枢軸11,第1の爪部12及び第2の爪部13や固定体20の鍔部22及びリブ23,23は一体的に形成されている。
【0022】
次に、本実施形態に係る部材の組み付け構造について、その組付方法の説明を行う。図4に示すように、本実施形態に係る部材の組み付け構造は、固定体20の貫通孔21に枢軸11を挿通する。その後、固定体20を枢軸11を中心として回転方向Rに沿って回転させ、鍔部22を第1の爪部12及び第2の爪部13と係合させる。この時、第1の爪部12に形成された溝14は固定体20のリブ23に係合する。
【0023】
このように組み付けられた固定体20は、第1の爪部12及び第2の爪部13の係止部16,18に鍔部22が係合しているので枢軸11の軸方向に固定され、さらに、鍔部22の回転方向Rの端面が第1の爪部12及び第2の爪部13の本体部15,17に当接し且つ、リブ23が溝14に係合しているので、枢軸11の周方向(回転方向R)に固定される。さらに、枢軸11と固定体20に対して略対称となる位置に第1の爪部12を形成している。このように本実施形態に係る部材の組み付け方法は、枢軸11の軸方向及び周方向に固定体20を確実に固定することができるので、基台10に対して固定体20をガタツキなく組み付けることができる。
【0024】
本実施形態に係る部材の組み付け構造によれば、固定体20を回転して組み付ける作業のみで基台10に固定体20を組み付けることができるので、工具を用いることなくワンタッチで組み付け作業を行うことができる。
【0025】
また、固定体20として用いられた2ウェイバルブは、従来の形状をそのまま利用できるので、本組み付け構造を適用するために固定体20の設計変更を行う必要がなく、従来の形状を流用できるので、製造コストを抑制することができる。
【0026】
さらに、基台10にはボルトを締結するためのナットを備える必要がないので、ボルトの削減と同時に基台10に形成されたナットも削減することができ、金属部品を用いない組み付け方法を適用することができる。なお、従来はナットを基台10にインサート成型によって組み込んでいたが、ナットの削減によりこのインサート成型工程を削減することができ、成形工数を削減して製造コストを抑制することができる。
【0027】
なお、本実施形態に係る部材の組み付け構造においては、固定体20として2ウェイバルブを適用した場合について説明したが、固定体20はこれに限られず、自動車に用いられるあらゆる部材に適用可能である。
【0028】
また、基台10は従来のようにキャニスタと一体に形成しても構わないし、燃料タンクからキャニスタまでの間の配管において設置場所を確保できればキャニスタと別体に形成しても構わない。
【0029】
さらに、本実施形態に係る部材の組み付け構造においては、第1の爪部12のみに溝14を形成した場合について説明したが、溝は第2の爪部13に形成しても構わないし、第1の爪部12及び第2の爪部13の両方に形成しても構わない。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれうることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0030】
10,100 基台, 10a 取付面, 11 枢軸, 12 第1の爪部, 13 第2の爪部, 14 溝, 15,17 本体部, 16,18 係止部, 20,120 固定体(バルブ), 21 貫通孔, 22 鍔部, 23 リブ, 130 ボルト, 140 回り止め, R 回転方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台に固定体を固定する組み付け構造であって、
前記基台は、枢軸と、複数の爪部が形成され、
前記固定体は、前記枢軸が挿入される貫通孔と、前記爪部と係合する鍔部及びリブが形成され、
前記固定体は、前記貫通孔に前記枢軸を挿通した後、前記枢軸の周方向に回転させて前記鍔部及びリブに前記爪部を係合させることを特徴とする組み付け構造。
【請求項2】
請求項1に記載の組み付け構造において、
前記爪部は、少なくとも前記リブに係合する第1の爪部と、前記鍔部に係合する第2の爪部とを有することを特徴とする組み付け構造。
【請求項3】
請求項2に記載の組み付け構造において、
前記鍔部は、前記枢軸の径方向に沿って突出して形成されており、
前記第1の爪部及び前記第2の爪部の少なくとも一方は、前記鍔部の前記枢軸の回転方向の端面に係合することを特徴とする組み付け構造。
【請求項4】
請求項3又は4に記載の組み付け構造において、
前記第1の爪部及び第2の爪部の少なくとも一方は、前記リブの延設方向に沿った溝が形成されていることを特徴とする組み付け構造。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1項に記載の組み付け構造において、
前記第1の爪部及び第2の爪部の一方は、前記固定体に対して、前記枢軸と略対称となる位置に形成されることを特徴とする組み付け構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−24088(P2013−24088A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158174(P2011−158174)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000223034)株式会社ROKI (51)
【Fターム(参考)】