説明

配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ記録システム

【課題】 通信設備の新設や増設を必要とせずに、各店舗の業種に応じて適切な雰囲気を作り出すことが可能なデジタル音楽データ及びメッセージデータを提供する。
【解決手段】 デジタル音楽データを受信するデジタル放送受信機10と、メッセージデータ格納手段17と、可搬型記録媒体20を接続する出力ポート11と、楽曲ID取得手段13と、接続された可搬型記録媒体20の業種選定種別を識別する接続記録媒体識別手段14と、楽曲・メッセージ選定データテーブル16を参照し、受信したデジタル音楽データの楽曲IDに対応する業種選定種別の可搬型記録媒体20が接続されている出力ポート11に対してデジタル音楽データを出力すると共に、所定曲数又は所定累積時間の出力が行われた場合に、当該業種選定種別に対応したメッセージデータを出力する出力制御手段15と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストリーム配信されるデジタル音楽データ及びメッセージデータを記録するためのシステムに関するものであり、例えば、種々の業種が入店しているテナントビルにおいて、各業種に好適に対応したデジタル音楽データを選択的に記録すると共に、曲間にメッセージデータを記録することが可能な配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ記録システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の店舗、オフィス、クリニック等に設置された再生端末を利用して、BGM(background music)やBGV(background video)を提供するサービスが普及している。このようなサービスでは、例えば、配信するデジタル音楽データを、クラシック、ジャズ、演歌、JPOP等のジャンルに分類し、複数のチャンネルにそれぞれジャンル別のBGMデータやBGVデータを割り当てて、有線放送、衛星放送、地上放送等により配信するようになっている。そして、再生装置が設置された店舗等では、それぞれ好みのジャンルに該当するチャンネルを選択して、当該チャンネルに割り当てられた音楽や映像をBGMやBGVとして再生していた。また、BGMやBGVを提供する合間に、顧客の購買意欲を増進させたり、顧客にとって有益な情報を提供したりするためのメッセージを提供するシステムも存在する。
【0003】
このようなシステムとして、例えば、ユーザーが受信を所望する音楽放送データを予約して、サーバにおいて予約された音楽放送データを記録しておき、ユーザーは任意の時刻に記録された音楽放送データを視聴することができる技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、カラオケ演奏装置において、曲間に広告などのサービス情報を画面表示する技術が開示されている(特許文献2参照)。特許文献2に記載された技術は、カラオケ演奏装置において、前回のサービス情報が表示手段に表示されてから一定時間が経過した後に、初めて楽曲の演奏が終了したときに、次のサービス情報をサービス情報記憶手段から読み出して、表示手段に表示するようになっている。
【0005】
また、カラオケ演奏装置の利用状況、サブコンテンツ(例えば、セールス情報、コンサート情報、新譜情報、ゲーム)の内容や性格、カラオケ店経営者の意向などに合わせて、多彩なサブコンテンツ出力計画制御を簡単な設定操作に実現することができる技術が開示されている(特許文献3参照)。特許文献3に記載された技術は、所定時間当たりにサブコンテンツを出力すべき回数に相関した出力頻度計画値を設定する手段と、所定時間当たりに演奏されると予測される曲数に相関した演奏頻度推定値を過去の演奏実績に基づいて算出する手段と、出力頻度計画値と演奏頻度推定値とに基づいて、サブコンテンツの出力機会が時間的にほぼ均等に分布するように、各曲間においてサブコンテンツを出力するか否かを決定するとともに、出力する場合には1回の曲間でいくつのサブコンテンツを出力するのかを決定する手段と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−287193号公報
【特許文献2】特開平6−102892号公報
【特許文献3】特開2003−316370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、予めジャンルが設定されたチャンネルを選択することにより、当該チャンネルに割り当てられたジャンルの音楽や映像をBGMやBGVとして再生する技術では、おおまかには各店舗等の雰囲気に合った音楽を再生することができるが、元々、ジャンル別の分類は個々の業種に対応したものではないため、各店舗の雰囲気にそぐわない楽曲が含まれている場合もあった。すなわち、各業種ではそれぞれ好適なジャンルの音楽や映像があり、例えば、アパレル店では活気のある楽曲、クリニックでは患者の気持ちを鎮める楽曲、美容院では爽やかな印象を与える楽曲等が好まれる傾向にある。しかし、従来のチャンネル別のジャンル設定では、クラシック、ジャズ、演歌、JPOP等のジャンルにより配信する楽曲及び背景映像を区分しており、必ずしも各チャンネルに設定されたジャンルが各店舗の雰囲気に合致しているとは言えなかった。
【0008】
また、ユーザーが受信を所望する音楽放送データを予約してサーバに記録させるようにした技術では、ユーザー側で一々予約操作を行わなければならず、ユーザーの手間が増大するという問題があった。特に、楽曲再生の合間にコマーシャルメッセージやその他のメッセージを提供する場合には、メッセージの挿入箇所を手入力で設定しなければならず、さらにユーザーの手間が増大するという問題があった。
【0009】
また、テナントビルにおいて各店舗にそれぞれデジタル音楽データの受信設備を設置したのでは、各店舗まで受信ケーブルを敷設しなければならない等、設備費用が嵩むことになる。このため、共通のデジタル音楽データの受信設備を設置し、各店舗の雰囲気に合致するようにデジタル音楽データを選択して可搬型記録媒体に記録し、この可搬型記録媒体を各店舗に設置された再生装置に装着して、デジタル音楽データの再生を行うことも考えられる。しかし、この場合にも、マニュアル操作により、受信したデジタル音楽データを各店舗の雰囲気に合致するように分類して抽出しなければならず、効率が悪く現実的ではない。
【0010】
さらに、業種に応じて楽曲を抽出するためのインデックスデータをデジタル音楽データに組み込むことも考えられるが、これではデジタル音楽データの作成に手間がかかる。また、各デジタル音楽データを異なる業種に適用することができなくなり、汎用性に欠けることになる。
【0011】
なお、特許文献2及び特許文献3に記載された技術は、カラオケ演奏装置において、曲間にコマーシャル等の情報を提供するための技術であり、ストリーム配信されるデジタル音楽データを選択的に記録するための技術に対してそのまま適用することはできない。
【0012】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、通信設備の新設や増設を必要とせずに、各店舗の業種に応じて適切な雰囲気を作り出すことが可能なデジタル音楽データを抽出して、適切なメッセージと共に提供するシステムを構築することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ記録システムは、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を備えている。すなわち、本発明の配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ記録システムは、ストリーム配信されるデジタル音楽データを受信するデジタル放送受信機と、当該デジタル音楽データを出力する少なくとも1つの出力ポートと、メッセージデータを格納するメッセージデータ格納手段とを有し、受信したデジタル音楽データ及び格納されているメッセージデータを所定の業種の種別に対応付けた選定条件に従い出力ポートに出力するための配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ記録システムであって、楽曲ID取得手段と、接続記録媒体識別手段と、出力制御手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0014】
楽曲ID取得手段は、ストリーム配信されるデジタル音楽データに含まれる楽曲IDデータを取得するための手段である。接続記録媒体識別手段は、任意の出力ポートに接続された可搬型記録媒体の業種選定種別を識別するための手段である。出力制御手段は、業種選定種別と楽曲ID及びメッセージIDとが紐付けされた所定の楽曲・メッセージ選定データテーブルを参照し、受信したデジタル音楽データの楽曲IDに対応する業種選定種別の可搬型記録媒体が接続されている出力ポートがある場合には、当該出力ポートに対してデジタル音楽データを出力すると共に、出力されたデジタル音楽データが所定の曲数又は所定の累積出力時間となった場合に、当該可搬型記録媒体の業種選定種別に対応したメッセージIDを有するメッセージデータを当該出力ポートに対して出力するための手段である。
【0015】
このような構成からなる配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ記録システムでは、例えば、有線放送や無線放送によりデジタル音楽データがストリーム配信され、デジタル放送受信機により受信される。また、デジタル放送受信機には、複数の業種にそれぞれ対応したメッセージデータが格納されている。そして、受信したデジタル音楽データ及び格納されたメッセージデータの中から、各業種にそれぞれ適切なデジタル音楽データを選択して該当する出力ポートに出力して、可搬型記録媒体に記録する共に、出力したデジタル音楽データが所定の曲数又は所定の累積出力時間となった場合に、各業種に対応したメッセージデータを出力ポートに出力して、可搬型記録媒体に記録する。その後、各店舗にそれぞれ設置された再生装置に可搬型記録媒体を接続することにより、デジタル音楽データ及びメッセージデータを再生するようになっている。
【0016】
本発明では、テナントビルの管理室等にデジタル放送受信機を設置して、各店舗で使用するデジタル音楽データを一括して受信する。また、デジタル放送受信機は少なくとも1つの出力ポートを有しており、この出力ポートに接続された可搬型記録媒体にデジタル音楽データ及びメッセージデータを記録することができる。また、可搬型記録媒体には、記録する音楽データ及びメッセージデータを選定するための業種選定種別データが記録されており、出力ポートに可搬型記録媒体が接続されると、接続記録媒体識別手段の機能により、当該可搬型記録媒体の業種選定種別が識別される。
【0017】
そして、ストリーム配信されるデジタル音楽データを受信し、このデジタル音楽データに含まれる楽曲IDを楽曲ID取得手段により取得する。また、デジタル放送受信機は、業種選定種別と楽曲ID及びメッセージIDとが紐付けされた楽曲・メッセージ選定データテーブルを備えており、出力制御手段の機能により、楽曲・メッセージ選定データテーブルを参照し、受信したデジタル音楽データの楽曲IDに対応する業種選定種別の可搬型記録媒体が接続されている出力ポートがある場合には、当該出力ポートに対してデジタル音楽データを出力する。さらに、出力されたデジタル音楽データが所定の曲数又は所定の累積出力時間となった場合に、当該可搬型記録媒体の業種選定種別に対応したメッセージIDを有するメッセージデータを当該出力ポートに対して出力する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ記録システムによれば、予め、各店舗に可搬型記録媒体を接続可能な再生装置を設置し、各可搬型記録媒体には、当該店舗の業種に応じて適切な雰囲気を作り出すことが可能な業種選定種別を設定しておくだけで、デジタル放送受信機の出力ポートに可搬型記録媒体を接続すると、当該可搬型記録媒体の業種選定種別に対応したデジタル音楽データ及びメッセージデータが、自動的に選別されて当該出力ポートに出力される。
【0019】
したがって、面倒な手間を要することなく、各店舗の業種に応じて適切な雰囲気を作り出すことが可能なデジタル音楽データや、各店舗の利用者にとって有益なメッセージデータを可搬型記録媒体に記録することができるので、通信設備の新設や増設を必要とせずに、効率よく適切なデジタル音楽データ及びメッセージデータの配信を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ記録システムの構成を示す機能ブロック図。
【図2】楽曲・メッセージ選定データテーブルの構成を示す説明図。
【図3】デジタル音楽データの構成を示す説明図。
【図4】記録媒体識別処理のフローチャート。
【図5】データ出力処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ記録システムの実施形態を説明する。図1は本発明の実施形態に係る配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ記録システムの構成を示す機能ブロック図、図2は楽曲・メッセージ選定データテーブルの構成を示す説明図、図3はデジタル音楽データの構成を示す説明図、図4は記録媒体識別処理のフローチャート、図5はデータ出力処理のフローチャートである。
【0022】
<配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ記録システムの概要>
本発明の実施形態に係る配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ記録システムは、テナントビル等に入居している各種の店舗、オフィス、クリニック等に設置された再生装置を利用して、BGMやBGV等のデジタル音楽データ及びコマーシャル等のメッセージデータを提供するためのシステムであり、ストリーム配信されるデジタル音楽データを受信し、予め設定された業種の種別に対応付けた選定基準に従い、受信したデジタル音楽データを抽出すると共に、曲間にメッセージデータを挿入して出力ポートに出力し、可搬型記録媒体に記録させることができるようになっている。
【0023】
<配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ記録システムの構成>
本発明の実施形態に係る配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ記録システムは、図1に示すように、テナントビルの管理室等に設置されたデジタル放送受信機10により構成されるシステムであり、複数の出力ポート11a〜11fと、受信手段12と、楽曲ID取得手段13と、接続記録媒体識別手段14と、出力制御手段15と、楽曲・メッセージ選定データテーブル16と、メッセージデータ格納手段17と、を備えており、出力制御手段15はカウンタ18を含んでいる。なお、メッセージデータ格納手段17には、パーソナルコンピュータ等からなるメッセージデータ入力手段によりメッセージデータが入力される。
【0024】
各手段は、CPU、ROM、RAM等の機能を有するコンピュータがプログラムに従って動作すると共に、周辺機器の動作を制御することにより、その機能を発揮するようになっている。なお、本実施形態においてプログラムとは、ソフトウエア又はこれと同等の機能を発揮する論理回路のことをいう。また、図示しないが、本実施形態で利用するデジタル放送受信機10は、上述した本発明に特有の機能手段の他に、ストリーム配信されるデジタル音楽データを受信するための周知の機能を備えている。
【0025】
<受信手段>
受信手段12は、ストリーム配信されるデジタル音楽データを受信するための手段であり、電子回路及びプログラムからなる。なお、デジタル音楽データのストリーム配信は、公衆電話回線、専用通信回線、インターネット回線、無線放送等、どのような方式で配信されるものであってもよい。この受信手段12で受信するデジタル音楽データは、図3に示すように、楽曲毎にヘッダ部及びペイロード部を主要なデータ要素とするものであり、ヘッダ部に楽曲IDデータや演奏時間データが含まれており、ペイロード部に楽曲演奏データが含まれている。ここで、楽曲演奏データとは、演奏音等を発生させるMIDI規格のデジタルデータであってもよいし、これに背景映像データや文字データを加えたものであってもよい。
【0026】
<楽曲ID取得手段>
楽曲ID取得手段13は、受信手段12で受信したデジタル音楽データに含まれる楽曲IDデータを取得するためのプログラムからなる。この楽曲ID取得手段13の機能により、ストリーム配信されるデジタル音楽データのヘッダ部に含まれる楽曲IDデータを取得する。取得した楽曲IDデータは、デジタル音楽データ及びメッセージデータの抽出に利用される。
【0027】
<接続記録媒体識別手段>
接続記録媒体識別手段14は、任意の出力ポート11a〜11fに接続された可搬型記録媒体20a〜20eの業種選定種別を識別するためのプログラムからなる。本実施形態の可搬型記録媒体20a〜20eには、当該可搬型記録媒体20a〜20eを用いて音楽再生を行う店舗の業種に応じて、適切な雰囲気を作り出すと共に、利用者にとって有益なメッセージを提供することが可能な業種選定種別データが記録されている。デジタル放送受信機10の出力ポート11a〜11fに可搬型記録媒体20a〜20eが接続されると、接続記録媒体識別手段14の機能により、可搬型記録媒体20a〜20eに記録された業種選定種別データが読み出されて識別記憶される。
【0028】
<可搬型記録媒体>
可搬型記録媒体20a〜20eとは、USBメモリ、SDカード、CD、DVD、シリコンハードディスク等のように、所定容量のデータを記録して持ち運ぶことが可能な記録媒体のことであり、各店舗に設置された再生装置(図示せず)及びデジタル放送受信機10の出力ポート11a〜11fに接続することができれば、その種別は特に限定されるものではない。また、本発明で用いる可搬型記録媒体20a〜20eは、ポータブルプレイヤーのように、記録手段と再生手段の機能を併せ持っていてもよい。なお、本実施形態で用いる可搬型記録媒体20a〜20eは、複数楽曲のデジタル音楽データを記録することが可能な記憶容量を備えていることが好ましい。
【0029】
<メッセージデータ格納手段>
メッセージデータ格納手段17は、メッセージデータを格納するための手段であり、例えば、HDDやRAM等により構成される。メッセージデータとは、コマーシャル、イベント情報、新製品情報、店舗情報等、各店舗が顧客に対して提供するためのデータであり、業種に応じて複数種類が用意されている。また、各メッセージデータは、固有のメッセージIDを有している。メッセージデータ格納手段17には、メッセージデータ入力手段からメッセージデータが入力される。
【0030】
なお、業種毎に異なるメッセージデータを用意してもよいが、例えば、テナントビルの休館情報やイベント情報のように複数の業種に共通のメッセージデータを用いてもよい。また、各業種に対応するメッセージデータは、それぞれ複数用意することが好ましい。メッセージデータの時間長は特に限定されるものではないが、曲間に挿入した場合に、利用者に不快感や焦燥感を与えない程度の時間長のメッセージであることが好ましい。また、複数種類の時間長からなる複数のメッセージデータを用意することにより、メッセージの提供にバリエーションを持たせることができる。さらに、複数種類のメッセージデータを用意した場合には、各メッセージデータについて提供優先順位を設定してもよく、この場合には、提供優先順位の高い順にメッセージデータを提供したり、提供優先順位の高いメッセージデータの挿入回数を増やしたりすることができる。
【0031】
<カウンタ>
カウンタ18は、各出力ポート11a〜11fにそれぞれ出力される楽曲数又は楽曲の累積出力時間をカウントするための電子回路又はプログラムであり、本実施形態では、出力制御手段15の一機能として構成されている。後に詳述するが、楽曲数をカウントする場合には、各出力ポート11a〜11fに楽曲が出力される毎に、当該出力ポート11a〜11fに対応するカウンタ値に「1」を加算し、カウンタ値が所定値となってメッセージデータが出力されると、カウンタ値をリセットする。また、楽曲の累積出力時間をカウントする場合には、各出力ポート11a〜11fに楽曲が出力される毎に、当該楽曲データに含まれる演奏時間を、当該出力ポート11a〜11fに対応するカウンタ値に加算し、カウンタ値が所定値となってメッセージデータが出力されると、カウンタ値をリセットする。メッセージデータの出力については、後に詳述する。
【0032】
<業種選定種別>
可搬型記録媒体20a〜20eに設定されている業種選定種別とは、従来のチャンネル別の楽曲選定で行われていたように、クラシック、ジャズ、演歌、JPOP等のジャンル別に区分したものではなく、例えば、アパレル店では活気のある楽曲の種別、クリニックでは患者の気持ちを鎮める楽曲の種別、美容院では爽やかな印象を与える楽曲の種別のことであり、本発明では、さらに各業種に適切なメッセージを選定するための基準となるものである。すなわち、本発明では、音楽ジャンルに拘ることなく、各業種の雰囲気にあった楽曲及び各業種に適切なメッセージを選定するために業種選定種別が設定されている。この業種選定種別に基づいて、楽曲・メッセージ選定データテーブル16が構築される。
【0033】
<楽曲・メッセージ選定データテーブル>
楽曲・メッセージ選定データテーブル16は、図2に示すように、業種選定種別と、複数の楽曲ID及び複数のメッセージIDとを紐付けして構成したデータテーブルである。本実施形態では、A〜Gの7つの業種選定種別が設定されており、各業種選定種別は、それぞれ異なる業種に対応している。この楽曲・メッセージ選定データテーブル16は、デジタル放送受信機10を構成するRAMやHDD等に記憶されている。
【0034】
本実施形態では、図2に示すように、レストラン、アパレル、ホテル、銀行・証券、喫茶店、クリニック、雑貨店にそれぞれ対応して業種選定種別が設定されているが、業種選定種別はこれらに限られず、他の業種に対応するものであってもよいし、「海」、「山」、「虫」、「鳥」、「季節」等、どのようなテーマに対応したものであってもよい。この場合には、各店舗において、その業種にもっともふさわしいと思われるテーマの業種選定種別を選択し、当該業種選定種別が設定された可搬型記録媒体20a〜20eを使用すればよい。
【0035】
<出力制御手段>
出力制御手段15は、業種選定種別と楽曲IDとが紐付けされた楽曲・メッセージ選定データテーブル16を参照し、受信したデジタル音楽データの楽曲IDに対応する業種選定種別の可搬型記録媒体20a〜20eが接続されている出力ポート(11a〜11fのいずれか)がある場合には、当該出力ポート(11a〜11fのいずれか)に対してデジタル音楽データを出力すると共に、出力されたデジタル音楽データが所定の曲数又は所定の累積出力時間となった場合に、当該可搬型記録媒体20a〜20eの業種選定種別に対応したメッセージIDを有するメッセージデータを当該出力ポート(11a〜11fのいずれか)に対して出力するためのプログラムからなり、カウンタ18の機能を含んでいる。この出力制御手段15の機能により、各出力ポート11a〜11fに対して、接続された可搬型記録媒体20a〜20eの業種選定種別に対応したデジタル音楽データ及びメッセージデータが出力され、可搬型記録媒体20a〜20eに当該デジタル音楽データ及びメッセージデータが記録される。そして、デジタル音楽データ及びメッセージデータが記録された可搬型記録媒体20a〜20eを、各店舗に設置された再生装置(図示せず)に装着することにより、各店舗の雰囲気にあった楽曲や映像及び各店舗の利用者にとって有用なメッセージデータが再生される。
【0036】
図1に示す例では、出力ポート(1)11aに接続された可搬型記録媒体20aの業種選定種別は「A」であるため、対応業種は「レストラン」であると識別され、楽曲・メッセージ選定データテーブル16を参照して対応楽曲及びメッセージデータが出力される。同様に、出力ポート(2)11bに接続された可搬型記録媒体20bの業種選定種別は「B」であるため、対応業種は「アパレル」であると識別され、出力ポート(3)11cに接続された可搬型記録媒体20cの業種選定種別は「C」であるため、対応業種は「ホテル」であると識別され、出力ポート(4)11dに接続された可搬型記録媒体20dの業種選定種別は「F」であるため、対応業種は「クリニック」であると識別され、出力ポート(5)11eに接続された可搬型記録媒体20eの業種選定種別は「A」であるため、対応業種は「レストラン」であると識別され、それぞれ楽曲・メッセージ選定データテーブル16を参照して対応楽曲及びメッセージデータが出力される。また、図1に示す例では、出力ポート(6)11fには、可搬型記録媒体が接続されていないため、この出力ポート(6)11fにはデジタル音楽データ及びメッセージデータは出力されない。
【0037】
<記録媒体識別処理/データ出力処理>
次に、本実施形態における制御処理について説明する。本実施形態における制御処理は、記録媒体識別処理と、データ出力処理とからなる。
【0038】
記録媒体識別処理では、図4に示すように、いずれかの出力ポート11a〜11fに可搬型記録媒体20a〜20eが接続されると(S11)、接続記録媒体識別手段14の機能により、接続された可搬型記録媒体20a〜20eの業種選定種別を識別し(S12)、出力ポート11a〜11fと業種選定種別とを対応付けて記憶する(S13)。
【0039】
また、データ出力処理では、図5に示すように、受信手段12の機能により、ストリーム配信されるデジタル音楽データを受信し(S21)、楽曲ID取得手段13の機能により、受信したデジタル音楽データに含まれる楽曲IDを取得する(S22)。続いて、出力制御手段15の機能により、楽曲・メッセージ選定データテーブル16を参照して、取得した楽曲IDに対応する業種選定種別が対応付けられた出力ポート(11a〜11fのいずれか)が存在するか否かを判断する(S23)。ここで、取得した楽曲IDに対応する業種選定種別が対応付けられた出力ポート(11a〜11fのいずれか)が存在する場合には、当該出力ポート(11a〜11fのいずれか)に対してデジタル音楽データを出力する(S24)。
【0040】
続いて、対応する出力ポート(11a〜11fのいずれか)に出力したデジタル音楽データの曲数をカウントし(S25)、出力曲数が所定曲数(例えば5曲)となったか否かを判断する(S26)。ここで、出力曲数が所定曲数(例えば5曲)となった場合には、当該出力ポート(11a〜11fのいずれか)に対して対応するメッセージデータを出力し(S27)、出力曲数のカウンタをリセットする(28)。なお、デジタル音楽データの累積出力時間に対応してメッセージデータの出力を行う場合には、対応する出力ポート(11a〜11fのいずれか)に出力したデジタル音楽データの累積出力時間をカウントし(S25)、累積出力時間が所定時間(例えば15分)となったか否かを判断する(S26)。ここで、累積出力時間が所定時間(例えば15分)となった場合には、当該出力ポート(11a〜11fのいずれか)に対して対応するメッセージデータを出力し(S27)、累積出力時間のカウンタをリセットする(28)。
【0041】
ここで、所定の累積出力時間に達した場合に、デジタル音楽データの出力を中止して直ちにメッセージデータを出力してもよいが、所定の累積出力時間となった際に出力しているデジタル音楽データの出力処理が終了した後にメッセージデータを出力してもよい。また、デジタル音楽データの出力を中止して直ちにメッセージデータを出力する際には、当該デジタル音楽データをフェードアウトしてメッセージデータの出力を開始し、メッセージデータの出力が終了したら、次のデジタル音楽データをフェードインして出力することにより、視聴者に対して違和感なくデジタル音楽及びメッセージを提供することができる。
【0042】
各ポート11a〜11fにそれぞれ出力されたデジタル音楽データ及びメッセージデータは、接続された可搬型記録媒体20a〜20eに記録され、この可搬型記録媒体20a〜20eを装着した再生装置により、デジタル音楽データ及びメッセージデータが再生されて、BGMやBGV及びコマーシャル等のメッセージとして提供される。
【符号の説明】
【0043】
10 デジタル放送受信機
11a〜11f 出力ポート
12 受信手段
13 楽曲ID取得手段
14 接続記録媒体識別手段
15 出力制御手段
16 楽曲・メッセージ選定データテーブル
17 メッセージデータ格納手段
18 カウンタ
20a〜20e 可搬型記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストリーム配信されるデジタル音楽データを受信するデジタル放送受信機と、当該デジタル音楽データを出力する少なくとも1つの出力ポートと、メッセージデータを格納するメッセージデータ格納手段と、を有し、前記デジタル音楽データ及び前記メッセージデータを所定の業種の種別に対応付けた選定条件に従い出力ポートに出力するための配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ記録システムであって、楽曲ID取得手段と、接続記録媒体識別手段と、出力制御手段と、を備え、
前記楽曲ID取得手段は、前記デジタル音楽データに含まれる楽曲IDデータを取得し、
前記接続記録媒体識別手段は、任意の出力ポートに接続された可搬型記録媒体の業種選定種別を識別し、
前記出力制御手段は、業種選定種別と楽曲ID及びメッセージIDとが紐付けされた所定の楽曲・メッセージ選定データテーブルを参照し、前記受信したデジタル音楽データの楽曲IDに対応する業種選定種別の可搬型記録媒体が接続されている出力ポートがある場合には、当該出力ポートに対して前記デジタル音楽データを出力すると共に、出力された前記デジタル音楽データが所定の曲数又は所定の累積出力時間となった場合に、当該可搬型記録媒体の業種選定種別に対応したメッセージIDを有するメッセージデータを当該出力ポートに対して出力する、
ことを特徴とする配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ記録システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−53224(P2012−53224A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195002(P2010−195002)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)