配光制御シート及びそれを利用した配光制御パネル並びに表示装置
【課題】 比較的高い正面輝度を得るとともに不要な視野角度への射出を低減させる配光制御を実現する。
【解決手段】 透光性を有するシート状の基材11に1又は複数の条状の凸状部12を備えた配光制御シート10において、基材面となす角度αが5度以上40度以下である第1の配光制御面12と、基材面となす角度βが60度以上90度以下である第2の配光制御面13を有する端面三角形状の凸状部14とし、当該第2の配光制御面13に光の透過を遮断する黒色膜などの遮光膜や酸化ケイ素膜などの反射防止膜からなる光制御部材15を設ける。
【解決手段】 透光性を有するシート状の基材11に1又は複数の条状の凸状部12を備えた配光制御シート10において、基材面となす角度αが5度以上40度以下である第1の配光制御面12と、基材面となす角度βが60度以上90度以下である第2の配光制御面13を有する端面三角形状の凸状部14とし、当該第2の配光制御面13に光の透過を遮断する黒色膜などの遮光膜や酸化ケイ素膜などの反射防止膜からなる光制御部材15を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配光制御シート、具体的には光源からの光を効率よく特定の方向に出射するための配光制御シート及び当該シートを利用した配光制御パネル並びに表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車に代表される移動体には、様々な情報を運転者などに提示する表示装置、例えばカーナビゲーションシステムなどが搭載されることが多い。こうした表示装置は、通例、運転席の前にあるダッシュボード上に配置される。このとき、自動車のフロントガラスの設置角度によっては、表示装置に表示された画像がフロントガラスに映り込むことがあり、夜間にあっては映り込んだ画像が明確に視認される。この結果、運転の障害となる場合があった。
【0003】
このような状況下において、例えば、特開2001−305312号公報(特許文献1)には、第1と第2の主要面を有するルーバフィルムとこのルーバフィルムの第1の主要面に偏光フィルムに積層固着された偏光フィルムを含む光学素子を、バックライトと液晶パネルとの間に配置した液晶表示パネルが開示されている。この液晶表示パネルでは、光学素子内のルーバが、ルーバフイルムを透過する光の進行方法を所定の射出角度範囲に制御する効果を発揮することにより、左右側面方向への液晶パネル透過光の不要な射出が抑制されている。そして、偏光フィルムの存在によって、液晶パネル透過光の輝度が向上されている。また、この表示パネルにおいてはバックライトからの光に対するルーバフィルム内のルーバの角度を変化させることにより、液晶パネル透過光の射出角度範囲を制御することができる。
【0004】
特開2000−193809号公報(特許文献2)には、光源側の一面に微細形状による配光制御用の第1の光制御手段を備えた板状又はシート状の配光制御シートであって、当該光制御手段の少なくとも一面にさらに微細形状による第2の光制御手段を設けた配光制御シートが開示されている。この配光制御シートでは、第1の光制御手段であるプリズムや回折格子がシート外から入射した光を屈折させてシート透過光の出射方向を制御している。また、第2の光制御手段として、例えば微少なプリズム、微小な錐状突起物、光拡散面が例示されている。そして、この第2の光制御手段が、第1の光制御手段と相俟って、第1の光制御手段が制御したい方向へ光を配光し、シート透過光の配光性を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−305312号公報
【特許文献2】特開2000−193809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、図13は、ルーバフィルムが用いられた液晶表示装置の表示面における輝度を示すグラフである。この図は、ルーバフィルムを用いた効果の一例を示したグラフである。図の破線で示すように、ルーバフィルムを用いない場合には、液晶パネルを透過した光は正面から左右方向に向けてほぼ左右対称に広い射出角度で広がるが、ルーバフィルムを用いた場合には、図の実線で示すように、液晶パネルを透過した光は狭い射出角度にしか広がらず、光の配光性が高められている。この射出角度、つまり光が到達する視野角度は、ルーバの配置間隔やルーバの角度、ルーバの厚み(光軸方向の長さ)によって決まる。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された液晶表示パネルでは、ルーバフィルムがバックライトからの光を遮るので、表示装置の正面輝度が低下するだけでなく、光の利用効率は著しく低く、パネル表示面の輝度が不足する。このために、バックライトの輝度を高めなければならず、消費電力の増加や液晶表示パネルの温度上昇を防止する手段が必要となるという問題があった。
【0008】
一方、特許文献2に記載された配光制御シートでは、第2の光制御手段は、第1の光制御手段が制御する方向に第2の光制御手段に入射した光を射出制御しているので、光の利用効率は高くなり正面輝度を高く維持できる。そして、シートの正面から見た輝度分布のピークは正面から左右何れかにシフトした位置に移動する。つまり、第1の光制御手段によって制御したい方向に輝度分布のピークがシフトしている。
【0009】
しかしながら、この配光制御シートでは、制御したい方向とは異なる方向にも光が通過するため、本来必要としない視野角度にも光が射出されてしまう。従って、この配光制御シートを表示パネルに用いたとしても上方への出射を防ぎ切れず、自動車のフロントガラスへの映り込みを充分に防止できないことが予想された。
【0010】
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであって、比較的高い正面輝度を得るとともに不要な視野角度への射出を低減させる配光制御を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の配光制御シートは、透光性を有するシート状の基材に1又は複数の条状の凸状部を備えた配光制御シートであって、前記凸状部は、基材表面となす角度が鋭角又は直角であって、その角度が互いに異なる少なくとも2つの配光制御面を有し、2つの前記配光制御面のうち、前記基材面となす角度が大きい配光制御面の少なくとも一部領域に光制御部材が備えられたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、基材表面となす角度が異なる2つの配光制御面を有する条状の凸状部を有し、2つの前記配光制御面のうち、前記基材表面となす角度が大きい配光制御面の少なくとも一部領域に光制御部材が備えられるので、高い正面輝度を維持しながら、左右いずれかの視野への配光性が高まり、他方の視野、つまり不要な視野角度への射出がほとんど抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態である配光制御パネルの分解斜視図である。
【図2】同上の配光制御パネルに用いられている配光制御シートを一部破断した端面図である。
【図3】同上の配光制御パネル正面における視野角度と輝度との関係を例示した模式図である。
【図4】本発明の他の実施形態である配光制御シートを一部破断した端面図である。
【図5】本発明の配光制御パネルをシミュレーションした場合の視野角度と輝度の関係を示す図であって、第1の配光制御面と基材面がなす角度αが30度の場合を示す。
【図6】本発明の配光制御パネルをシミュレーションした場合の視野角度と輝度の関係を示す図であって、第1の配光制御面と基材面がなす角度αが25度の場合を示す。
【図7】本発明の配光制御パネルをシミュレーションした場合の視野角度と輝度の関係を示す図であって、第1の配光制御面と基材面がなす角度αが20度の場合を示す。
【図8】本発明の配光制御パネルをシミュレーションした場合の視野角度と輝度の関係を示す図であって、第1の配光制御面と基材面がなす角度αが15度の場合を示す。
【図9】本発明の配光制御パネルと参考例である光制御部材を備えない配光制御パネルを使用した場合の視野角度と輝度の関係を示す図である。
【図10】本発明の移動体搭載用表示装置を備えた移動体の一例を示す説明図である。
【図11】本発明のさらに別な実施形態である配光制御シートの一部を破断した端面図である。
【図12】(a)(b)はそれぞれ本発明のさらに別な実施形態である配光制御シートの凸状部を拡大した端面図である。
【図13】従来例であるルーバフィルムを用いた液晶表示パネルにおける視野角度と輝度の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。図1は本発明の一実施形態である配光制御パネルの分解斜視図、図2は当該配光制御パネルを一部破断した端面図である。もっとも、以下に示された実施形態は例示であって、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲及びこれと均等に含まれるすべての変更が本発明に含まれることが意図される。
【0015】
図1に示す配光制御パネル1は液晶表示パネルであって、この配光制御パネル1は、光源であるバックライト30と、画像を映し出す液晶パネル20と、バックライト30からの光を配光制御して液晶パネル20に向けて射出する配光制御シート10を備えている。
【0016】
配光制御シート10は、透光性を有する板状又はシート状の基材11の一面に、条状の凸状部12を有するものであって、いわゆるプリズムシート又はプリズムアレーと称されるものである。図1に示す配光制御パネル1では、配光制御シート10は、凸状部12をバックライト30側に向け、バックライト30と液晶パネル20との間に配置されている。もっとも、本発明では、液晶パネル20の表示面に、凸状部12を液晶パネル20側に向けて、配光制御シート10を配置しても差し支えない。バックライト30や液晶パネル20の構成は特に制約を受けるものではなく、それぞれ従来の液晶表示パネルに使用されている各種公知のバックライトや液晶パネルが例示される。
【0017】
本発明において条状の凸状部12とは、直線状に伸びた長さのある凸状部12であって、少なくとも1本、好ましくは多数の凸状部12が平行に配設されていることを意味する。配光制御パネル1には、図1に示すように好ましくはシート幅(図ではシートの奥行きに相当)と同じ長さ幅の凸状部12が備えられる。凸状部12の長さは、必ずしもシート幅と同じ長さである必要はなく、その使用目的、例えば、バックライトの構造等に応じて適宜設計される。また、配光制御シート10は、基材11の周縁部に基材11が露出した領域があっても差し支えない。図示したように凸状部12と凸状部12を隙間なく配置するのが好ましいが、凸状部12と凸状部12との間に隙間を設け、一定の間隔で配置しても差し支えない。
【0018】
この配光制御シート10は、例えばガラスやポリカーボネート樹脂やポリイミド樹脂などの透光性材料から、基材11と凸状部12が一体形成される。特に、液晶パネル20の解像度の向上に対応するため、微細な凸状部12が必要とされており、このためには微細な転写パターンが形成された金型を用いた転写が可能な樹脂材料が好適に用いられる。
【0019】
図1に示す配光制御シート10は、図2に示すようにその側端面(横断面)が三角形状をしており、その側面に2つの配光制御面、すなわち第1の配光制御面13と第2の配光制御面14を有している。第1の配光制御面13と基材11の表面(以下「基材面」と言う)がなす角度αと、第2の配光制御面14と基材面がなす角度βは異なり、何れか一方が直角又は鋭角であって他方が鋭角となっている。例えば、図2に示すものでは、第1の配光制御面13と基材面がなす角度αが、第2の配光制御面14と基材面がなす角度βよりも小さい。
【0020】
本発明の配光制御シート10は、さらに基材面とのなす角度が大きい方の配光制御面、図示例では第2の配光制御面14が光制御部材15を備えている。この光制御部材15は、第2の配光制御面14の光の透過や反射を抑え、不要な視野角度における輝度を低減する。この光制御部材15は、透過や反射を抑える膜であれば特に限定されるものではないが、例えば、可視領域の光を吸収する黒色の膜や、酸化ケイ素膜のような反射防止膜からなり、前者であれば例えば黒鉛の蒸着により、また後者であれば例えば酸化ケイ素をスパッタリングすることによって形成されうる。また、上記微細な転写パターンが形成された金型の必要な領域に黒色膜を形成しておき、それを転写させることもできる。この光制御部材15は、不要な視野角度における輝度を低減するだけでは不十分であり、輝度をほぼゼロに抑えることが望まれる。従って、特許文献2に記載されたような光拡散面では不十分であって、前記光を吸収する黒色膜や酸化ケイ素膜のような反射防止膜が望ましい。もちろん、不要な視野角度における輝度をほぼゼロにすることができるものであれば、その構成は問われるものではない。
【0021】
この光制御部材15は、好ましくは第2の配光制御面14の全体に形成するのが望ましいが、不要な視野角度における輝度を低減、望ましくはほぼゼロにすることができれば、一部領域に形成しても差し支えない。
【0022】
図3は配光制御パネル1の正面における視野角度と輝度の関係を例示する模式図である。図3の実線アは第2の配光制御面14の全面に光制御部材15が設けられた本発明の配光制御シート10を用いた場合を、破線ウは第1の配光制御面13と基材面がなす角度αと第2の配光制御面14と基材面がなす角度βが等しい配光制御シート10を用いた場合(光制御部材15を有しない場合)を、一点破線イは第1の配光制御面13と基材面がなす角度αが第2の配光制御面14と基材面がなす角度βが異なるが、第2の配光制御面14は光制御部材15を有しない配光制御シート10を用いた場合を示している。図3の縦軸は相対輝度を、横軸は正面からの視野角度を示しており、第1の配光制御面13から光が射出され、視野角度が負の方向(図2の矢印に示す出射方向)に光が射出されていることを示している。
【0023】
図3の破線ウで示すように、角度αと角度βが等しい場合、つまり、第1の配光制御面13と第2の配光制御面14が左右対称となった配光制御シート10では、正面から見て左右対称となる輝度分布が得られるが、角度αと角度βを異ならせることによって、図の一点破線イで示すように、何れか一方の視野角度の方、図では負の視野角度側に輝度分布がシフトする。しかしながら、この場合には、図示するように、正の視野角度、つまり不要な視野角度側の輝度が比較的高く、自動車のフロントガラスへの映り込みを十分に防ぐことができない。
【0024】
ところが、本発明のように第2の配光制御面14に遮光膜や反射防止膜からなる光制御部材15を備えた場合には、ルーバフィルムを用いた場合のように光の広がりをカット(シェイプアップ)する効果を生じさせないが、輝度分布の中心軸が一方の視野側にシフトしながら、他方の視野側にテーリングする光がカットされる。すなわち、図2に示す構造の配光制御シート10を用いた場合には、図3の実線アで示すように、視野角度が負の方に輝度分布がシフトするとともに、正の視野角度、特に小さい視野角度から輝度を低減させることができ、視野角度が例えば25度ないし30度以上における輝度をほぼゼロに近づけることができる。この結果、カーナビゲーションシステムにおける液晶表示パネルに用いると、上方への不要な射出をなくすことができ、フロントガラスへの映り込みが防止される。
【0025】
第1の配光制御面13と基材面がなす角度αや第2の配光制御面14と基材面がなす角度βはそれぞれ要求される配光特性によって適宜設定される。この角度αと角度βを変化させて、暗領域となる視野角度、すなわち輝度がほぼゼロとなる角度を調整できる。なお、輝度が低下する視野角度における輝度は、光制御部材15の形成精度、いわば光制御部材15の透光度(遮光度)や光反射度に依存する傾向にあって、光制御部材15を精度よく形成すれば、不要な視野角度における輝度はほぼゼロに近づき、光制御部材15の遮光性や光反射性が落ちると輝度はゼロにならない。下記のシミュレーションからも理解されるが、不要な視野角度側において輝度をゼロとするためには、小さい方の角度、つまり第1の配光制御面13と基材面となす角度αが5度以上40度以下、大きい方の角度、つまり第2の配光制御面14と基材面となす角度βが60度以上90度未満に設定するのが好ましい。この範囲で調整すると、所望の視野角度よりも大きい角度(片側)の範囲における輝度をほぼゼロにできる。
【0026】
もちろん、本発明の配光制御シート10は、図2に示すように光源側に凸状部12を配置するだけでなく、図4に示すように光源側と反対側に凸状部12を配置しても差し支えない。この場合においても、基材面となす角度βが大きい第2の配光制御面14に光制御部材15が形成される。
【0027】
図5〜8は本発明の配光制御パネル1をシミュレーションした場合の視野角度と輝度の関係を示す図であって、第1の配光制御面13と基材面がなす角度αと第2の配光制御面14と基材面がなす角度βをそれぞれ変化させた場合を示している。各図はそれぞれ第1の配光制御面13と基材面がなす角度αを30度、25度、20度、15度とした場合において、第2の配光制御面14と基材面がなす角度βを70度、75度、80度、85度、90度に変化させた場合を示している。各図中、BLで示される線はバックライト光源を示している。また、図9には参考として、本発明の配光制御シート10を用いた場合(本発明品:α=25度、β=85度)と、光制御部材15を備えない配光制御シートを用いた場合(参考例1:α=25度、β=85度)並びに角度αと角度βが等しい配光制御シートを用いた場合(参考例2:160°プリズム)との比較を示している。配光制御シート10は、図2に示す構成とし、素材の屈折率が1.53、基材11の厚みが200μm、凸状部12の幅(ピッチ)が100μm、第2の配光制御面14における光透過率がゼロであるとして、凸状部12側から光を当てた状態でシミュレーションを行った。
【0028】
このシミュレーションによると、本発明の配光制御シート10では、第1の配光制御面13と基材面がなす角度αや第2の配光制御面14と基材面がなす角度βに依存することなく、出射角度が+25度以上の範囲において輝度がほぼゼロとなることが理解される。
【0029】
図10は、本発明の配光制御パネル1を自動車などの移動体に用いた例を示す図である。例えば、本発明の配光制御パネル1は、移動体搭載用表示装置、例えばカーナビゲーションシステムの表示部2やスピードメータ等の表示部3などに用いられる。以上説明したように、本発明の配光制御シート10は、配光制御パネル1のほぼ正面から、必要とする視野角度側に輝度分布のピークをシフトさせるとともに、不要とする視野角度側の輝度をほぼゼロに近づけることを可能にする。従って、カーナビゲーションシステムの表示部2やスピードメータやエンジンの回転数を表示するいわゆるタコメータなどの表示部3に示された画像のフロントガラスへ映り込みが防止され、安全運転に貢献する。
【0030】
なお、上記実施形態においては凸状部12を端面三角形状とした場合について示しているが、基材11となす角度αとなる第1の配光制御面13と基材11となす角度βとなる第2の配光制御面14を有していれば、例えば図11に示すように、光出射側に第3の配光制御面16を有する端面略台形状となる凸状部12を形成しても差し支えない。この場合でも、基材11となす角度が大きい第2の配光制御面14に光制御部材15を形成すれば、不要な視野角度における輝度をほぼゼロにすることができる。また、この場合、不要な視野角度への出射を防ぐように第3の配光制御面16は、光の出射方向に向けるのが好ましい。
【0031】
第1の配光制御面13と第2の配光制御面14は、通例、図1や図2に示されるように平面状に形成されるが、必ずしも平面状に形成する必要もなく、例えば図12(a)に示すように、各配光制御面13,14が凸状に膨らむように形成されていても、同図(b)に示すように凹状にへこむように形成されていても差し支えない。また、図示しないがいずれか一方の配光制御面を膨らまし、他方の配光制御面をへこませることもできる。なお、これら場合における基材11となす角度α又はβとは、図示するように第1の配光制御面13又は第2の配光制御面14の各中心点18における接線(接平面)と基材面がなす角度を意味するものとする。
【0032】
上記の実施形態においては、画像表示パネルとしてバックライト30を備えた配光制御パネル1について説明したが、本発明においては、自発光型の画像表示パネル(図示せず)を用いることもできる。自発光型の画像表示パネルは、上記のバックライト30により液晶表示パネル20に画像を表示させるものとは異なり、バックライト30が不要で、画像表示パネル内に備えられた発光体を光源として画像を表示可能にしたものである。本発明の配光制御シート10はこのような自発光型の画像表示パネルにも適用可能なものであって、発光体として有機材料(有機Electroluminescence)を用いた有機ELパネル、無機材料(無機Electroluminescence)を用いた無機ELパネルのいずれにも適用できる。配光制御シート10は、自発光型の画像表示パネルの画像表示面側に配置される。このとき、凸状部12を画像表示面側にして配置することも、光出射側にして配置することができる。このように、本発明において画像表示パネルとはバックライト光源を用いる液晶パネル、有機ELパネルや無機ELパネルなどの自発光型の表示パネルなど各種の画像表示パネルを含む広義の意味で用いられ、画像表示パネルと本発明の配光制御シートを組み合わせることにより、配光性をより一層高めることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 配光制御パネル
2 カーナビゲーションシステムの表示部
3 スピードメータなどの表示部
10 配光制御パネル
11 基材
12 凸状部
13 第1の配光制御面
14 第2の配光制御面
15 光制御部材
20 液晶パネル
30 バックライト
【技術分野】
【0001】
本発明は配光制御シート、具体的には光源からの光を効率よく特定の方向に出射するための配光制御シート及び当該シートを利用した配光制御パネル並びに表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車に代表される移動体には、様々な情報を運転者などに提示する表示装置、例えばカーナビゲーションシステムなどが搭載されることが多い。こうした表示装置は、通例、運転席の前にあるダッシュボード上に配置される。このとき、自動車のフロントガラスの設置角度によっては、表示装置に表示された画像がフロントガラスに映り込むことがあり、夜間にあっては映り込んだ画像が明確に視認される。この結果、運転の障害となる場合があった。
【0003】
このような状況下において、例えば、特開2001−305312号公報(特許文献1)には、第1と第2の主要面を有するルーバフィルムとこのルーバフィルムの第1の主要面に偏光フィルムに積層固着された偏光フィルムを含む光学素子を、バックライトと液晶パネルとの間に配置した液晶表示パネルが開示されている。この液晶表示パネルでは、光学素子内のルーバが、ルーバフイルムを透過する光の進行方法を所定の射出角度範囲に制御する効果を発揮することにより、左右側面方向への液晶パネル透過光の不要な射出が抑制されている。そして、偏光フィルムの存在によって、液晶パネル透過光の輝度が向上されている。また、この表示パネルにおいてはバックライトからの光に対するルーバフィルム内のルーバの角度を変化させることにより、液晶パネル透過光の射出角度範囲を制御することができる。
【0004】
特開2000−193809号公報(特許文献2)には、光源側の一面に微細形状による配光制御用の第1の光制御手段を備えた板状又はシート状の配光制御シートであって、当該光制御手段の少なくとも一面にさらに微細形状による第2の光制御手段を設けた配光制御シートが開示されている。この配光制御シートでは、第1の光制御手段であるプリズムや回折格子がシート外から入射した光を屈折させてシート透過光の出射方向を制御している。また、第2の光制御手段として、例えば微少なプリズム、微小な錐状突起物、光拡散面が例示されている。そして、この第2の光制御手段が、第1の光制御手段と相俟って、第1の光制御手段が制御したい方向へ光を配光し、シート透過光の配光性を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−305312号公報
【特許文献2】特開2000−193809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、図13は、ルーバフィルムが用いられた液晶表示装置の表示面における輝度を示すグラフである。この図は、ルーバフィルムを用いた効果の一例を示したグラフである。図の破線で示すように、ルーバフィルムを用いない場合には、液晶パネルを透過した光は正面から左右方向に向けてほぼ左右対称に広い射出角度で広がるが、ルーバフィルムを用いた場合には、図の実線で示すように、液晶パネルを透過した光は狭い射出角度にしか広がらず、光の配光性が高められている。この射出角度、つまり光が到達する視野角度は、ルーバの配置間隔やルーバの角度、ルーバの厚み(光軸方向の長さ)によって決まる。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された液晶表示パネルでは、ルーバフィルムがバックライトからの光を遮るので、表示装置の正面輝度が低下するだけでなく、光の利用効率は著しく低く、パネル表示面の輝度が不足する。このために、バックライトの輝度を高めなければならず、消費電力の増加や液晶表示パネルの温度上昇を防止する手段が必要となるという問題があった。
【0008】
一方、特許文献2に記載された配光制御シートでは、第2の光制御手段は、第1の光制御手段が制御する方向に第2の光制御手段に入射した光を射出制御しているので、光の利用効率は高くなり正面輝度を高く維持できる。そして、シートの正面から見た輝度分布のピークは正面から左右何れかにシフトした位置に移動する。つまり、第1の光制御手段によって制御したい方向に輝度分布のピークがシフトしている。
【0009】
しかしながら、この配光制御シートでは、制御したい方向とは異なる方向にも光が通過するため、本来必要としない視野角度にも光が射出されてしまう。従って、この配光制御シートを表示パネルに用いたとしても上方への出射を防ぎ切れず、自動車のフロントガラスへの映り込みを充分に防止できないことが予想された。
【0010】
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであって、比較的高い正面輝度を得るとともに不要な視野角度への射出を低減させる配光制御を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の配光制御シートは、透光性を有するシート状の基材に1又は複数の条状の凸状部を備えた配光制御シートであって、前記凸状部は、基材表面となす角度が鋭角又は直角であって、その角度が互いに異なる少なくとも2つの配光制御面を有し、2つの前記配光制御面のうち、前記基材面となす角度が大きい配光制御面の少なくとも一部領域に光制御部材が備えられたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、基材表面となす角度が異なる2つの配光制御面を有する条状の凸状部を有し、2つの前記配光制御面のうち、前記基材表面となす角度が大きい配光制御面の少なくとも一部領域に光制御部材が備えられるので、高い正面輝度を維持しながら、左右いずれかの視野への配光性が高まり、他方の視野、つまり不要な視野角度への射出がほとんど抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態である配光制御パネルの分解斜視図である。
【図2】同上の配光制御パネルに用いられている配光制御シートを一部破断した端面図である。
【図3】同上の配光制御パネル正面における視野角度と輝度との関係を例示した模式図である。
【図4】本発明の他の実施形態である配光制御シートを一部破断した端面図である。
【図5】本発明の配光制御パネルをシミュレーションした場合の視野角度と輝度の関係を示す図であって、第1の配光制御面と基材面がなす角度αが30度の場合を示す。
【図6】本発明の配光制御パネルをシミュレーションした場合の視野角度と輝度の関係を示す図であって、第1の配光制御面と基材面がなす角度αが25度の場合を示す。
【図7】本発明の配光制御パネルをシミュレーションした場合の視野角度と輝度の関係を示す図であって、第1の配光制御面と基材面がなす角度αが20度の場合を示す。
【図8】本発明の配光制御パネルをシミュレーションした場合の視野角度と輝度の関係を示す図であって、第1の配光制御面と基材面がなす角度αが15度の場合を示す。
【図9】本発明の配光制御パネルと参考例である光制御部材を備えない配光制御パネルを使用した場合の視野角度と輝度の関係を示す図である。
【図10】本発明の移動体搭載用表示装置を備えた移動体の一例を示す説明図である。
【図11】本発明のさらに別な実施形態である配光制御シートの一部を破断した端面図である。
【図12】(a)(b)はそれぞれ本発明のさらに別な実施形態である配光制御シートの凸状部を拡大した端面図である。
【図13】従来例であるルーバフィルムを用いた液晶表示パネルにおける視野角度と輝度の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。図1は本発明の一実施形態である配光制御パネルの分解斜視図、図2は当該配光制御パネルを一部破断した端面図である。もっとも、以下に示された実施形態は例示であって、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲及びこれと均等に含まれるすべての変更が本発明に含まれることが意図される。
【0015】
図1に示す配光制御パネル1は液晶表示パネルであって、この配光制御パネル1は、光源であるバックライト30と、画像を映し出す液晶パネル20と、バックライト30からの光を配光制御して液晶パネル20に向けて射出する配光制御シート10を備えている。
【0016】
配光制御シート10は、透光性を有する板状又はシート状の基材11の一面に、条状の凸状部12を有するものであって、いわゆるプリズムシート又はプリズムアレーと称されるものである。図1に示す配光制御パネル1では、配光制御シート10は、凸状部12をバックライト30側に向け、バックライト30と液晶パネル20との間に配置されている。もっとも、本発明では、液晶パネル20の表示面に、凸状部12を液晶パネル20側に向けて、配光制御シート10を配置しても差し支えない。バックライト30や液晶パネル20の構成は特に制約を受けるものではなく、それぞれ従来の液晶表示パネルに使用されている各種公知のバックライトや液晶パネルが例示される。
【0017】
本発明において条状の凸状部12とは、直線状に伸びた長さのある凸状部12であって、少なくとも1本、好ましくは多数の凸状部12が平行に配設されていることを意味する。配光制御パネル1には、図1に示すように好ましくはシート幅(図ではシートの奥行きに相当)と同じ長さ幅の凸状部12が備えられる。凸状部12の長さは、必ずしもシート幅と同じ長さである必要はなく、その使用目的、例えば、バックライトの構造等に応じて適宜設計される。また、配光制御シート10は、基材11の周縁部に基材11が露出した領域があっても差し支えない。図示したように凸状部12と凸状部12を隙間なく配置するのが好ましいが、凸状部12と凸状部12との間に隙間を設け、一定の間隔で配置しても差し支えない。
【0018】
この配光制御シート10は、例えばガラスやポリカーボネート樹脂やポリイミド樹脂などの透光性材料から、基材11と凸状部12が一体形成される。特に、液晶パネル20の解像度の向上に対応するため、微細な凸状部12が必要とされており、このためには微細な転写パターンが形成された金型を用いた転写が可能な樹脂材料が好適に用いられる。
【0019】
図1に示す配光制御シート10は、図2に示すようにその側端面(横断面)が三角形状をしており、その側面に2つの配光制御面、すなわち第1の配光制御面13と第2の配光制御面14を有している。第1の配光制御面13と基材11の表面(以下「基材面」と言う)がなす角度αと、第2の配光制御面14と基材面がなす角度βは異なり、何れか一方が直角又は鋭角であって他方が鋭角となっている。例えば、図2に示すものでは、第1の配光制御面13と基材面がなす角度αが、第2の配光制御面14と基材面がなす角度βよりも小さい。
【0020】
本発明の配光制御シート10は、さらに基材面とのなす角度が大きい方の配光制御面、図示例では第2の配光制御面14が光制御部材15を備えている。この光制御部材15は、第2の配光制御面14の光の透過や反射を抑え、不要な視野角度における輝度を低減する。この光制御部材15は、透過や反射を抑える膜であれば特に限定されるものではないが、例えば、可視領域の光を吸収する黒色の膜や、酸化ケイ素膜のような反射防止膜からなり、前者であれば例えば黒鉛の蒸着により、また後者であれば例えば酸化ケイ素をスパッタリングすることによって形成されうる。また、上記微細な転写パターンが形成された金型の必要な領域に黒色膜を形成しておき、それを転写させることもできる。この光制御部材15は、不要な視野角度における輝度を低減するだけでは不十分であり、輝度をほぼゼロに抑えることが望まれる。従って、特許文献2に記載されたような光拡散面では不十分であって、前記光を吸収する黒色膜や酸化ケイ素膜のような反射防止膜が望ましい。もちろん、不要な視野角度における輝度をほぼゼロにすることができるものであれば、その構成は問われるものではない。
【0021】
この光制御部材15は、好ましくは第2の配光制御面14の全体に形成するのが望ましいが、不要な視野角度における輝度を低減、望ましくはほぼゼロにすることができれば、一部領域に形成しても差し支えない。
【0022】
図3は配光制御パネル1の正面における視野角度と輝度の関係を例示する模式図である。図3の実線アは第2の配光制御面14の全面に光制御部材15が設けられた本発明の配光制御シート10を用いた場合を、破線ウは第1の配光制御面13と基材面がなす角度αと第2の配光制御面14と基材面がなす角度βが等しい配光制御シート10を用いた場合(光制御部材15を有しない場合)を、一点破線イは第1の配光制御面13と基材面がなす角度αが第2の配光制御面14と基材面がなす角度βが異なるが、第2の配光制御面14は光制御部材15を有しない配光制御シート10を用いた場合を示している。図3の縦軸は相対輝度を、横軸は正面からの視野角度を示しており、第1の配光制御面13から光が射出され、視野角度が負の方向(図2の矢印に示す出射方向)に光が射出されていることを示している。
【0023】
図3の破線ウで示すように、角度αと角度βが等しい場合、つまり、第1の配光制御面13と第2の配光制御面14が左右対称となった配光制御シート10では、正面から見て左右対称となる輝度分布が得られるが、角度αと角度βを異ならせることによって、図の一点破線イで示すように、何れか一方の視野角度の方、図では負の視野角度側に輝度分布がシフトする。しかしながら、この場合には、図示するように、正の視野角度、つまり不要な視野角度側の輝度が比較的高く、自動車のフロントガラスへの映り込みを十分に防ぐことができない。
【0024】
ところが、本発明のように第2の配光制御面14に遮光膜や反射防止膜からなる光制御部材15を備えた場合には、ルーバフィルムを用いた場合のように光の広がりをカット(シェイプアップ)する効果を生じさせないが、輝度分布の中心軸が一方の視野側にシフトしながら、他方の視野側にテーリングする光がカットされる。すなわち、図2に示す構造の配光制御シート10を用いた場合には、図3の実線アで示すように、視野角度が負の方に輝度分布がシフトするとともに、正の視野角度、特に小さい視野角度から輝度を低減させることができ、視野角度が例えば25度ないし30度以上における輝度をほぼゼロに近づけることができる。この結果、カーナビゲーションシステムにおける液晶表示パネルに用いると、上方への不要な射出をなくすことができ、フロントガラスへの映り込みが防止される。
【0025】
第1の配光制御面13と基材面がなす角度αや第2の配光制御面14と基材面がなす角度βはそれぞれ要求される配光特性によって適宜設定される。この角度αと角度βを変化させて、暗領域となる視野角度、すなわち輝度がほぼゼロとなる角度を調整できる。なお、輝度が低下する視野角度における輝度は、光制御部材15の形成精度、いわば光制御部材15の透光度(遮光度)や光反射度に依存する傾向にあって、光制御部材15を精度よく形成すれば、不要な視野角度における輝度はほぼゼロに近づき、光制御部材15の遮光性や光反射性が落ちると輝度はゼロにならない。下記のシミュレーションからも理解されるが、不要な視野角度側において輝度をゼロとするためには、小さい方の角度、つまり第1の配光制御面13と基材面となす角度αが5度以上40度以下、大きい方の角度、つまり第2の配光制御面14と基材面となす角度βが60度以上90度未満に設定するのが好ましい。この範囲で調整すると、所望の視野角度よりも大きい角度(片側)の範囲における輝度をほぼゼロにできる。
【0026】
もちろん、本発明の配光制御シート10は、図2に示すように光源側に凸状部12を配置するだけでなく、図4に示すように光源側と反対側に凸状部12を配置しても差し支えない。この場合においても、基材面となす角度βが大きい第2の配光制御面14に光制御部材15が形成される。
【0027】
図5〜8は本発明の配光制御パネル1をシミュレーションした場合の視野角度と輝度の関係を示す図であって、第1の配光制御面13と基材面がなす角度αと第2の配光制御面14と基材面がなす角度βをそれぞれ変化させた場合を示している。各図はそれぞれ第1の配光制御面13と基材面がなす角度αを30度、25度、20度、15度とした場合において、第2の配光制御面14と基材面がなす角度βを70度、75度、80度、85度、90度に変化させた場合を示している。各図中、BLで示される線はバックライト光源を示している。また、図9には参考として、本発明の配光制御シート10を用いた場合(本発明品:α=25度、β=85度)と、光制御部材15を備えない配光制御シートを用いた場合(参考例1:α=25度、β=85度)並びに角度αと角度βが等しい配光制御シートを用いた場合(参考例2:160°プリズム)との比較を示している。配光制御シート10は、図2に示す構成とし、素材の屈折率が1.53、基材11の厚みが200μm、凸状部12の幅(ピッチ)が100μm、第2の配光制御面14における光透過率がゼロであるとして、凸状部12側から光を当てた状態でシミュレーションを行った。
【0028】
このシミュレーションによると、本発明の配光制御シート10では、第1の配光制御面13と基材面がなす角度αや第2の配光制御面14と基材面がなす角度βに依存することなく、出射角度が+25度以上の範囲において輝度がほぼゼロとなることが理解される。
【0029】
図10は、本発明の配光制御パネル1を自動車などの移動体に用いた例を示す図である。例えば、本発明の配光制御パネル1は、移動体搭載用表示装置、例えばカーナビゲーションシステムの表示部2やスピードメータ等の表示部3などに用いられる。以上説明したように、本発明の配光制御シート10は、配光制御パネル1のほぼ正面から、必要とする視野角度側に輝度分布のピークをシフトさせるとともに、不要とする視野角度側の輝度をほぼゼロに近づけることを可能にする。従って、カーナビゲーションシステムの表示部2やスピードメータやエンジンの回転数を表示するいわゆるタコメータなどの表示部3に示された画像のフロントガラスへ映り込みが防止され、安全運転に貢献する。
【0030】
なお、上記実施形態においては凸状部12を端面三角形状とした場合について示しているが、基材11となす角度αとなる第1の配光制御面13と基材11となす角度βとなる第2の配光制御面14を有していれば、例えば図11に示すように、光出射側に第3の配光制御面16を有する端面略台形状となる凸状部12を形成しても差し支えない。この場合でも、基材11となす角度が大きい第2の配光制御面14に光制御部材15を形成すれば、不要な視野角度における輝度をほぼゼロにすることができる。また、この場合、不要な視野角度への出射を防ぐように第3の配光制御面16は、光の出射方向に向けるのが好ましい。
【0031】
第1の配光制御面13と第2の配光制御面14は、通例、図1や図2に示されるように平面状に形成されるが、必ずしも平面状に形成する必要もなく、例えば図12(a)に示すように、各配光制御面13,14が凸状に膨らむように形成されていても、同図(b)に示すように凹状にへこむように形成されていても差し支えない。また、図示しないがいずれか一方の配光制御面を膨らまし、他方の配光制御面をへこませることもできる。なお、これら場合における基材11となす角度α又はβとは、図示するように第1の配光制御面13又は第2の配光制御面14の各中心点18における接線(接平面)と基材面がなす角度を意味するものとする。
【0032】
上記の実施形態においては、画像表示パネルとしてバックライト30を備えた配光制御パネル1について説明したが、本発明においては、自発光型の画像表示パネル(図示せず)を用いることもできる。自発光型の画像表示パネルは、上記のバックライト30により液晶表示パネル20に画像を表示させるものとは異なり、バックライト30が不要で、画像表示パネル内に備えられた発光体を光源として画像を表示可能にしたものである。本発明の配光制御シート10はこのような自発光型の画像表示パネルにも適用可能なものであって、発光体として有機材料(有機Electroluminescence)を用いた有機ELパネル、無機材料(無機Electroluminescence)を用いた無機ELパネルのいずれにも適用できる。配光制御シート10は、自発光型の画像表示パネルの画像表示面側に配置される。このとき、凸状部12を画像表示面側にして配置することも、光出射側にして配置することができる。このように、本発明において画像表示パネルとはバックライト光源を用いる液晶パネル、有機ELパネルや無機ELパネルなどの自発光型の表示パネルなど各種の画像表示パネルを含む広義の意味で用いられ、画像表示パネルと本発明の配光制御シートを組み合わせることにより、配光性をより一層高めることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 配光制御パネル
2 カーナビゲーションシステムの表示部
3 スピードメータなどの表示部
10 配光制御パネル
11 基材
12 凸状部
13 第1の配光制御面
14 第2の配光制御面
15 光制御部材
20 液晶パネル
30 バックライト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有するシート状の基材に1又は複数の条状の凸状部を備えた配光制御シートであって、
前記凸状部は、基材表面となす角度が鋭角又は直角であって、その角度が互いに異なる少なくとも2つの配光制御面を有し、
2つの前記配光制御面のうち、前記基材面となす角度が大きい配光制御面の少なくとも一部領域に光制御部材が備えられた配光制御シート。
【請求項2】
前記配光制御面の全面に光制御部材が備えられた請求項1に記載の配光制御シート。
【請求項3】
前記光制御部材は黒色膜である請求項1又は2の何れかに記載の配光制御シート。
【請求項4】
前記光制御部材は反射防止膜である請求項1又は2の何れかに記載の配光制御シート。
【請求項5】
前記凸状部は断面三角形状である請求項1〜4の何れか1項に記載の配光制御シート。
【請求項6】
一方の配光制御面と基材表面がなす角度が5度以上40度以下、他方の配光制御面と基材表面がなす角度が60度以上90度以下である請求項1〜5の何れか1項に記載の配光制御シート。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の配光制御シートと、
画像表示パネルを備えた配光制御パネル。
【請求項8】
前記画像表示パネルは光源と液晶表示パネルを備えた表示パネルである請求項7記載の配光制御パネル。
【請求項9】
前記画像表示パネルは自発光型画像表示パネルである請求項7に記載の配光制御パネル。
【請求項10】
請求項7〜9の何れか1項に記載の配光制御パネルを備えた移動体搭載用表示装置。
【請求項1】
透光性を有するシート状の基材に1又は複数の条状の凸状部を備えた配光制御シートであって、
前記凸状部は、基材表面となす角度が鋭角又は直角であって、その角度が互いに異なる少なくとも2つの配光制御面を有し、
2つの前記配光制御面のうち、前記基材面となす角度が大きい配光制御面の少なくとも一部領域に光制御部材が備えられた配光制御シート。
【請求項2】
前記配光制御面の全面に光制御部材が備えられた請求項1に記載の配光制御シート。
【請求項3】
前記光制御部材は黒色膜である請求項1又は2の何れかに記載の配光制御シート。
【請求項4】
前記光制御部材は反射防止膜である請求項1又は2の何れかに記載の配光制御シート。
【請求項5】
前記凸状部は断面三角形状である請求項1〜4の何れか1項に記載の配光制御シート。
【請求項6】
一方の配光制御面と基材表面がなす角度が5度以上40度以下、他方の配光制御面と基材表面がなす角度が60度以上90度以下である請求項1〜5の何れか1項に記載の配光制御シート。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の配光制御シートと、
画像表示パネルを備えた配光制御パネル。
【請求項8】
前記画像表示パネルは光源と液晶表示パネルを備えた表示パネルである請求項7記載の配光制御パネル。
【請求項9】
前記画像表示パネルは自発光型画像表示パネルである請求項7に記載の配光制御パネル。
【請求項10】
請求項7〜9の何れか1項に記載の配光制御パネルを備えた移動体搭載用表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−160360(P2010−160360A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2968(P2009−2968)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(599109906)住友電工ファインポリマー株式会社 (203)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(599109906)住友電工ファインポリマー株式会社 (203)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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