説明

配管カバー用切断具

【課題】 冷暖房用の空調機等の屋内機と屋外機とを連結する配管をカバーする配管カバーを容易に切断することができる配管カバー用切断具を提供すること。
【解決手段】 第二の本体120に形成されている凸部123に配管カバー170を嵌め込んだ状態で、第一の本体110に形成されている刃112で、この配管カバー170を切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管カバーを切断するための配管カバー用切断具に関する。
【背景技術】
【0002】
冷暖房用の空調機は、通常、屋内に配置される屋内機と屋外に置かれる屋外機とからなり、これらの屋内機と屋外機とは空調用の配管(冷媒の往復用配管、電気配線、ドレイン配管等)で連結されている。
【0003】
そして、この配管については、近年、その美観や取り付けの容易性から配管カバーの中に収納されるようになっている。
【0004】
図12に表されているように、配管カバー700は、本体710及び蓋体720により形成されており、本体710は、壁面に固定される底面部711と、その両端縁から突出する側面部712と、からなり、蓋体720は、この側面部712に嵌め込むことができる側壁部722と、側壁部722の一端同士を連結する上面部721と、から形成されていた。
【0005】
そして、これらの本体710及び蓋体720は、従来、ハサミやカッターなどで切断することで所望の長さに加工されていた。
【特許文献1】実開平5−17427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの本体710及び蓋体720は、ともに、縦断面がコの字状に形成されているため、容易に切断することができず、不便であった。
【0007】
そこで、本発明は、配管カバー700を容易に切断することができる配管カバー用切断具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、本発明は、第一の本体と、第二の本体と、を一点において回動自在に連結し、前記一点の一方側に形成されている把手を開閉させることにより、前記一点の他方側で配管カバーを切断することができるようにした配管カバー用切断具であって、前記第一の本体には、前記一点の他方側であって前記第二の本体に対向した位置に刃が形成されており、前記第二の本体には、前記刃に対向する位置に配管カバーを嵌め込むことができる嵌め込み部が形成されており、前記嵌め込み部に前記配管カバーを嵌め込んだ状態で、前記刃を前記嵌め込み部の方向に前記一点において回動させることにより、前記配管カバーを切断することができるようにしたことを特徴とする配管カバー用切断具を提供する。
【0009】
このように、配管カバーを嵌め込み部に嵌め込んだ状態で切断することにより、容易にこの配管カバーを切断することができるようになる。
【0010】
なお、嵌め込み部は、刃の回動面の両側方において配管カバーを嵌め込むことができるようにすることで、刃で切断する際に配管カバーがより強固に固定されるため、より容易にこの配管カバーを切断することができるようになる。
【0011】
ここで、嵌め込み部の形状については、配管カバーを嵌め込むことができる範囲で適宜選択すればよいが、通常、配管カバーは、縦断面がコの字状になるように形成されているため、嵌め込み部は、刃に向かって延びる少なくとも一つの凸部となるように形成し、この凸部に配管カバーの凹部を嵌め込むようにすることができる。
【0012】
なお、この凸部を複数形成し、それぞれの凸部の形状・大きさを変えておくことで、様々な大きさ・形状の配管カバーを嵌め込むことができるようになる。
【0013】
また、この凸部を三つ以上形成した場合には、配管カバーの大きさ・形状に合わせて、配管カバーに嵌め込む凸部の数や配管カバーを嵌め込む凸部の位置を変更することで、様々な大きさ・形状の配管カバーを嵌め込むことができるようになる。
【0014】
なお、凸部のうち少なくとも一つは、配管カバーの幅に対応させて、その幅、即ち、刃の回動面と平行な方向における幅を変えることができるようにすることによっても、様々な大きさ・形状の配管カバーを嵌め込むことができるようになる。
【0015】
ここで、嵌め込み部を第一の部材と、この第一の部材に対して摺動自在に連結された第二の部材と、により構成し、第一の部材には第一の凸部材を形成し、第二の部材には、第二の凸部材を形成し、これらの第一の凸部材と第二の凸部材を重ね合わせることにより凸部を形成しておくことで、第二の部材を第一の部材の先端方向又は第一の本体と第二の本体とが連結されている一点の方向に摺動させ、第一の凸部材と第二の凸部材の重なり合う部分の面積を変えて、凸部の幅を変えることができるようになる。
【0016】
また、第二の部材には、第二の凸部材よりも高さが低く、かつ、隣接する領域同士の高さが異なる側壁を形成しておくことで、この第二の部材を摺動させて、この側壁の何れの領域を第一の凸部材の側縁に連続するようにするかを選択できるようにすることで、この側壁の上端から凸部の上端までの距離を変えることができる。
【0017】
このような側壁を形成しておくことで、凸部に嵌め込まれる配管カバーの凹部の深さに合わせて、側壁の上端から凸部の上端までの距離を変えることができるようになる。
【0018】
また、このような側壁を第二の部材に形成する代わりに、このような側壁を有する第三の部材をさらに備えておくことも可能である。
【0019】
ここで、第一の本体を、刃が形成されている刃部と、把手が形成されている把手部と、により形成し、これらの刃部と把手部とをラチェット構造で連結することで、刃部を挟み持ち部から開いた状態で、把手部を第二の本体側に閉じる動作を繰り返すことにより、刃部が挟み持ち部の側に徐々に回動するようにすることも可能である。
【0020】
このようなラチェット構造により、刃が徐々に第二の本体側に回動するようにすることで、把手部の一度の開閉動作で刃が回動する距離が短くなるため、一度の開閉動作に要する力が小さくなり、円滑に配管カバーを切断することができるようになる。
【0021】
なお、このようなラチェット構造を使用する場合、刃部が第二の本体に対して回動自在にされている一点以外の点において、把手部を第二の本体に対して回動自在にすることが望ましい。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明によれば、配管カバーを嵌め込み部に嵌め込んだ状態で切断するため、容易に切断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明の第一の実施形態に係る配管カバー用切断具100の斜視図である。
【0024】
本実施形態に係る配管カバー用切断具100は、第一の本体110と、第二の本体120と、軸部材160と、により構成されている。
【0025】
第一の本体110と第二の本体120とは、軸部材160により回動自在に連結されており、この軸部材160の一方側に形成されている把手111、121を開閉させることにより、軸部材160の他方側に形成されている刃112と嵌め込み部122との間の間隔も開閉させることができるようにされている。
【0026】
第一の本体110には、後述する嵌め込み部122に対向する位置に、刃112が形成されている。
【0027】
なお、図2(配管カバー用切断具100の使用状態を表す側面図)に表されているように、刃112の長さSについては、後述する嵌め込み部122に嵌め込んだ配管カバー170を切断することができる範囲で適宜選択すればよい。
【0028】
第二の本体120には、刃112に対向する位置に嵌め込み部122が形成されている。
【0029】
本実施形態における嵌め込み部122には、刃112の方向に向かって凸となるような凸部123が、刃112の回動面の片側に一つ形成されている。
【0030】
ここで、図2に表されているように、凸部123の形状は、刃112の延びる方向に対して垂直(図2の紙面に対して垂直)となるように配管カバー170を嵌め込むことができるような大きさ・形状となるように適宜選択すればよい。
【0031】
以上のように、本実施形態に係る配管カバー用切断具100を形成したので、図2に表されているように、刃112と嵌め込み部122の間の間隔を開いた状態で、刃112の延びる方向とは垂直となるように配管カバー170を凸部123に嵌め込み、把手111、121の間の間隔を閉じて刃112を嵌め込み部の方向に回動させることにより、配管カバー170を容易に切断することができる。
【0032】
本実施形態においては、凸部123を一つ設けたが、この数については一つに限定されるわけではない。
【0033】
図3は、本発明の第二の実施形態に係る配管カバー用切断具200の斜視図である。
【0034】
本実施形態に係る配管カバー用切断具200は、第一の実施形態と同様に、第一の本体110と、第二の本体220と、軸部材160と、により構成されている。
【0035】
ここで、本実施形態における第一の本体110及び軸部材160は第一の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0036】
本実施形態における第二の本体220には、刃112に対向する位置に嵌め込み部222が形成されている。
【0037】
図4(嵌め込み部222の分解斜視図)に表されているように、本実施形態における嵌め込み部222は、第一の部材224と、第二の部材229と、により形成されている。
【0038】
第一の部材224には、底部225の側方から刃112に向かって延び、かつ、刃112の回動面の両側に配置された第一の凸部材226A、226Bが形成されている。
【0039】
また、底部225には、後述する第二の部材229を固定するためのネジ227用のネジ穴228が形成されている。
【0040】
第二の部材229も、底部231の側方から刃112に向かって延び、かつ、刃112の回動面の両側に配置された第二の凸部材232A、232Bが形成されている。
【0041】
ここで、第二の凸部材232A、232Bの高さについては、第一の部材224の外側に第二の部材229を重ね合わせた際に、第一の凸部材226A、226Bと同じ高さになるように形成するのが望ましい。
【0042】
そして、この第二の部材229の底部231は、第一の部材224の底部225の外側を覆い、また、第二の部材229の第二の凸部材232A、232Bは、第一の部材224の第一の凸部材226A、226Bの外側を覆うように形成し、第一の部材224の外側に第二の部材229を重ね合わせることができるようにしているため、第二の部材229は、第一の部材224の底面225及び第一の凸部材226A、226Bの外側面に沿って摺動させることができるようにされている。
【0043】
なお、第二の部材229の底部231には、スリット状の貫通孔233が形成されており、この貫通孔233を介して、第一の部材224に形成されているネジ穴228にネジ227を螺合させることにより、第一の部材224と第二の部材229は任意の位置で固定することができるようにされている。
【0044】
従って、図5(配管カバー用切断具200の側面図)に表されているように、第二の部材229を軸部材160の方向(図5のT方向)に摺動させて、これらの部材をネジ227で固定することにより、第一の凸部材226A、226B及び第二の凸部材232A、232Bにより形成される凸部223の幅Xを小さくしたり〔図4(a)参照〕、第二の部材229を第一の部材224の先端方向(図5のT’方向)に摺動させて、これらの部材をネジ227で固定することにより、第一の凸部材226A、226B及び第二の凸部材232A、232Bにより形成される凸部223の幅Xを大きくしたり〔図4(a)参照〕、することができる。
【0045】
なお、この凸部223の幅Xは、この凸部223を嵌め込む配管カバー170の大きさに合わせればよい。
【0046】
以上のように、本実施形態に係る配管カバー用切断具200を形成したので、刃112と嵌め込み部222の間の間隔を開いた状態で、切断する配管カバーの大きさに合わせて凸部223の幅Xの幅を変え、刃112とは垂直方向となるように配管カバーを凸部223に嵌め込み、把手111、221の間の間隔を閉じて刃112を嵌め込み部222の方向に回動させることにより、配管カバーを容易に切断することができる。
【0047】
図6は、本発明の第三の実施形態に係る配管カバー用切断具300の正面図である。
【0048】
本実施形態に係る配管カバー用切断具300も、第一の実施形態と同様に、第一の本体310と、第二の本体320と、軸部材360と、により構成されている。
【0049】
本実施形態における第一の本体310は、図7(配管カバー用切断具300の分解斜視図)に表されているように、刃部313と、把手部315と、により構成されており、これらの刃部313と把手部315とは後述のようにラチェット構造(ラチェット歯351、押圧爪352及びラチェット爪355)で連結されている。
【0050】
刃部313には、軸部材360を貫通させるための軸部材用貫通孔314が形成されており、軸部材用貫通孔314を挟んで一方側に、嵌め込み部322に対向するように刃312が形成されている。
【0051】
また、刃部313には、軸部材用貫通孔314を挟んで刃312の反対側にラチェット歯351が形成されている。
【0052】
ラチェット歯351は、軸部材用貫通孔314を中心とする円弧状に形成されており、後述する把手部315を第二の本体320に対して回動させることにより、刃部313が嵌め込み部322に対してほぼ垂直に立てられた位置から平行に寝かされた位置にまで回動されるように形成されている。
【0053】
把手部315は、その貫通孔315aと、保持部材334に形成されている貫通孔334aと、に軸334bを通すことで連結されている。そして、この保持部材334をピン334cで第二の部材320に固定することで、把手部315は、第二の部材320に対して回動自在に連結されている。
【0054】
把手部315には、押圧爪352が軸352aにより回動自在に取り付けられている。
【0055】
そして、押圧爪352は、巻バネ353によりラチェット歯351の方向に付勢されており、把手部315を第二の部材320の把手321の方向に閉じると刃部313に形成されているラチェット歯351に噛み合い、刃部313を嵌め込み部322の方向に所定の距離だけ回動させる。
【0056】
なお、押圧爪352には、レバー352bが取り付けられており、このレバー352bを巻バネ353の付勢方向とは逆の方向に押し込むことで、押圧爪352とラチェット歯351との噛み合わせを解くことができるようにされている。
【0057】
第二の部材320には、ラチェット歯351に対応する位置にラチェット爪355が軸355aを介して回動自在に連結されている。
【0058】
そして、ラチェット爪355は、巻バネ355bを介してラチェット歯351の方向に付勢されており、このラチェット爪355がラチェット歯351に噛み合うことにより、刃部313が嵌め込み部322の方向とは反対方向に回動してしまうことを防止している。
【0059】
なお、ラチェット爪355に形成されているレバー355cを巻バネ355bの付勢方向とは逆の方向に押し込むことで、ラチェット爪355とラチェット歯351との間の噛み合わせを解いて、刃部313を嵌め込み部322の方向とは反対方向に回動させることができる。
【0060】
また、ラチェット爪355は、ロック用レバー356でラチェット歯351に噛み合った状態を保持することができるようにされている。
【0061】
本実施形態における第二の本体320には、刃312に対向する位置に嵌め込み部322が形成されている。
【0062】
図7に表されているように、本実施形態における嵌め込み部322は、第一の部材324と、第二の部材329と、により形成されている。
【0063】
第一の部材324には、底部325から刃312に向かって延び、かつ、刃312の回動面の両側に配置された第一の凸部材325A、325Bと、第三の凸部材335A、335Bと、第四の凸部材336A、336Bと、第五の凸部材337A、337Bと、が形成されている。
【0064】
従って、配管カバーの大きさに合わせて、配管カバーを第一の凸部材326A、326Bに嵌め込むか、第一の凸部材326A、326B及び第三の凸部材335A、335Bに嵌め込むか、第一の凸部材326A、326B、第三の凸部材335A、335B及び第四の凸部材336A、336Bに嵌め込むか、第一の凸部材326A、326B、第三の凸部材335A、335B、第四の凸部材336A、336B及び第五の凸部材337A、337Bに嵌め込むか、第三の凸部材335A、335B及び第四の凸部材336A、336Bに嵌め込むか、第三の凸部材335A、335B、第四の凸部材336A、336B及び第五の凸部材337A、337Bに嵌め込むか、第四の凸部材336A、336B及び第五の凸部材337A、337Bに嵌め込むか、を適宜選択することができる。
【0065】
また、例えば、配管カバーに複数の凹部がある場合に、これらの複数の凸部に配管カバーの凹部をそれぞれ嵌め込むことも可能である。
【0066】
さらに、底部325には、後述する第二の部材329を固定するためのネジ327用のネジ穴328が形成されている。
【0067】
なお、第一の部材324の内側には、V字状の補強板362を取り付けておくことで、配管カバーを切断する際に掛かる力で第一の部材324が破損してしまうことを防止できる。
【0068】
本実施形態における第二の部材329は、底部331と、この底部331から刃312に向かって延び、かつ、刃312の回動面の両側に配置された第二の凸部材332A、332Bと、側壁338と、により形成されている。
【0069】
ここで、第二の凸部材332A、332Bの高さについては、第一の部材324の外側に第二の部材329を重ね合わせた際に、第一の凸部材326A、326Bと同じ高さになるように形成するのが望ましい。
【0070】
第二の凸部材332A、332Bの両側方には、この第二の凸部材332A、332Bよりも高さの低い側壁338が、この第二の凸部材332A、332Bに連続して設けられている。
【0071】
側壁338は、図8(第二の部材329の側面図)に表されているように、図8の向かって右側から第一の領域338a、第二の領域338b、第三の領域338c、第四の領域338d、第五の領域338e、第六の領域338f及び第七の領域338gが形成されており、第二の領域338bと第三の領域338cとの間に第二の凸部材332A、332Bが形成されている。
【0072】
そして、第一の領域338a、第二の領域338b、第三の領域338c、第四の領域338d、第五の領域338e、第六の領域338f及び第七の領域338gは、隣接する領域同士の高さがそれぞれ異なるように形成されている。
【0073】
従って、第二の部材329を第一の部材324に対して摺動させることにより、この側壁338の何れの領域を第一の凸部材325A、325B、第三の凸部材335A、335B、第四の凸部材336A、336B又は第五の凸部材337A、337Bの側縁に連続するようにするかを選択することで、この側壁338の上端から第一の凸部材325A、325B、第三の凸部材335A、335B、第四の凸部材336A、336B又は第五の凸部材337A、337Bの上端までの距離を変えることができる。
【0074】
即ち、第一の凸部材325A、325B、第三の凸部材335A、335B、第四の凸部材336A、336B又は第五の凸部材337A、337Bに嵌め込まれる配管カバーの凹部の深さに合わせて、側壁338の上端から第一の凸部材325A、325B、第三の凸部材335A、335B、第四の凸部材336A、336B又は第五の凸部材337A、337Bの上端までの距離を変えることができるようになる。
【0075】
なお、第二の部材329の底部331には、第二の実施形態と同様にスリット状の貫通孔333が形成されており、この貫通孔333を介して、第一の部材324に形成されているネジ穴328にネジ327を螺合させることにより、第一の部材324と第二の部材329は任意の位置で固定することができるようにされている。
【0076】
従って、本実施形態においても、第二の実施形態と同様に、第一の部材324の外側面に沿って第二の部材329を摺動させることで、第一の凸部材332A、332B及び第二の凸部材332A、332Bにより形成される凸部323の幅を小さくしたり、大きくしたりすることができる。
【0077】
以上のように、本実施形態に係る配管カバー用切断具300を形成したので、刃部313のラチェット歯351からラチェット爪355の噛み合わせを解いて、刃部313を嵌め込み部322に対してほぼ垂直に開いた状態で、切断する配管カバーの大きさに合わせて凸部323の幅Xの幅を変えたり、配管カバーを嵌め込む凸部材326、335、336、337を選択したり、側壁338の領域338a、338b、338c、338d、338e、338f、337gを選択したりすることで、嵌め込み部322に配管カバーを嵌め込み、把手部315を必要な回数だけ回動させることで、刃312と嵌め込み部322の間の間隔を閉じることにより、配管カバーを容易に切断することができる。
【0078】
図9は、本発明の第四の実施形態に係る配管カバー用切断具400の正面図である。
【0079】
本実施形態に係る配管カバー用切断具400は、第三の実施形態と比較して、嵌め込み部422のみが異なっているため、以下、嵌め込み部422についてのみ説明する。
【0080】
図10(嵌め込み部422の分解斜視図)に表されているように、本実施形態における嵌め込み部422は、第一の部材324と、第二の部材429と、第三の部材440と、により形成されている。
【0081】
第一の部材324は、第三の実施形態と同様に形成されているため説明を省略する。
【0082】
本実施形態における第二の部材429には、底部431と、この底部431から刃312に向かって延び、かつ、刃312の回動面の両側に配置された第二の凸部材432A、432Bが形成されている。
【0083】
第二の凸部材432A、432Bの高さについては、第一の部材324の外側に第二の部材429を重ね合わせた際に、第一の凸部材326A、326Bと同じ高さになるように形成するのが望ましい。
【0084】
ここで、第二の部材429の底部431には、第二の実施形態と同様にスリット状の貫通孔433が形成されており、この貫通孔433を介して、第一の部材324に形成されているネジ穴328にネジ327を螺合させることにより、第一の部材324と第二の部材429は任意の位置で固定することができるようにされている。
【0085】
従って、本実施形態においても、第二の実施形態と同様に、第二の部材429を第一の部材324に沿って摺動させて、任意の位置でこれらの部材をネジ327で固定することで、第一の凸部材332A、332B及び第二の凸部材432A、432Bにより形成される凸部423の幅を小さくしたり、大きくしたりすることができる。
【0086】
本実施形態においては、この第二の部材429の外側に第三の部材440が第二の部材429に対して摺動自在に連結されている。
【0087】
第三の部材440は、底部441と、底部441から直立する側壁442と、を備えており、この側壁442は、図11(第三の部材440の側面図)に表されているように、図11の向かって右側から第一の領域442a、第二の領域442b、第三の領域442c、第四の領域442d、第五の領域442e、第六の領域442f及び第七の領域442gが形成されている。
【0088】
そして、第一の領域442a、第二の領域442b、第三の領域442c、第四の領域442d、第五の領域442e、第六の領域442f及び第七の領域442gは、隣接する領域同士の高さがそれぞれ異なるように形成されている。
【0089】
従って、第三の部材440を第一の部材324及び第二の部材429に重ね合わせて、これらの部材に対して摺動させることにより、この側壁442の何れの領域を第一の凸部材325A、325B、第三の凸部材335A、335B、第四の凸部材336A、336B又は第五の凸部材337A、337Bの側縁に連続させるようにするかを選択することができ、この側壁442の上端から第一の凸部材325A、325B、第三の凸部材335A、335B、第四の凸部材336A、336B又は第五の凸部材337A、337Bの上端までの距離を適宜変えることができる。
【0090】
即ち、第一の凸部材325A、325B、第三の凸部材335A、335B、第四の凸部材336A、336B又は第五の凸部材337A、337Bに嵌め込まれる配管カバーの凹部の深さに合わせて、側壁442の上端から第一の凸部材325A、325B、第三の凸部材335A、335B、第四の凸部材336A、336B又は第五の凸部材337A、337Bの上端までの距離を変えることができるようになる。
【0091】
なお、第三の部材440の底部441には、スリット状の貫通孔443が形成されており、この貫通孔443を介して、第一の部材324に形成されているネジ穴328にネジ327を螺合させることにより、第三の部材440は第一の部材324に任意の位置で固定することができるようにされている。
【0092】
以上のように、本実施形態に係る配管カバー用切断具400を形成したので、第三の実施形態よりもより自由に配管カバーを嵌め込む凸部材326、335、336、337の上端と側壁440の上端との間の距離を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】第一の実施形態に係る配管カバー用切断具100の斜視図。
【図2】配管カバー用切断具100の使用状態を表す側面図。
【図3】第二の実施形態に係る配管カバー用切断具200の斜視図。
【図4】嵌め込み部222の分解斜視図。
【図5】配管カバー用切断具200の側面図。
【図6】第三の実施形態に係る配管カバー用切断具300の正面図。
【図7】配管カバー用切断具300の分解斜視図。
【図8】第二の部材329の側面図。
【図9】第四の実施形態に係る配管カバー用切断具400の正面図。
【図10】嵌め込み部422の分解斜視図。
【図11】第三の部材440の側面図。
【図12】従来の配管カバー700を表す斜視図。
【符号の説明】
【0094】
100、200、300、400 配管カバー用切断具
110、310、410 第一の本体
111 把手
112、312、412 刃
313 刃部
315 把手部
120、220、320、420 第二の本体
121 把手
122、222、322、422 嵌め込み部
123、223、323、423 凸部
224、324 第一の部材
226、326 第一の凸部材
229、329、429 第二の部材
232、332、432 第二の凸部材
440 第三の部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の本体と、第二の本体と、を一点において回動自在に連結し、前記一点の一方側に形成されている把手を開閉させることにより、前記一点の他方側で配管カバーを切断することができるようにした配管カバー用切断具であって、
前記第一の本体には、前記一点の他方側であって前記第二の本体に対向した位置に刃が形成されており、
前記第二の本体には、前記刃に対向する位置に配管カバーを嵌め込むことができる嵌め込み部が形成されており、
前記嵌め込み部に前記配管カバーを嵌め込んだ状態で、前記刃を前記嵌め込み部の方向に前記一点において回動させることにより、前記配管カバーを切断することができるようにしたことを特徴とする配管カバー用切断具。
【請求項2】
前記嵌め込み部は、前記刃の回動面の両側方において前記配管カバーを嵌め込むことができるようにされていることを特徴とする請求項1に記載の配管カバー用切断具。
【請求項3】
前記嵌め込み部は、前記刃に向かって延びる凸部が少なくとも一つ形成されており、
前記凸部に前記配管カバーの凹部を嵌め込むことができるようにされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の配管カバー用切断具。
【請求項4】
前記凸部のうち少なくとも一つは、前記配管カバーの幅に対応させてその幅を変えることができるようにされていることを特徴とする請求項3に記載の配管カバー用切断具。
【請求項5】
前記嵌め込み部は、第一の部材と、前記第一の部材に対して摺動自在に連結された第二の部材と、により構成されており、
前記第一の部材には、第一の凸部材が、前記第二の部材には、第二の凸部材が形成されており、前記第一の凸部材と前記第二の凸部材を重ね合わせることにより前記凸部が形成されており、
前記第二の部材を前記第一の部材の先端方向又は前記一点の方向に摺動させることにより、前記凸部の幅を変えることができるようにされていることを特徴とする請求項4に記載の配管カバー用切断具。
【請求項6】
前記第二の部材には、前記第二の凸部材よりも高さが低く、かつ、隣接する領域同士の高さが異なる側壁が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の配管カバー用切断具。
【請求項7】
前記第一の部材及び前記第二の部材に対して摺動自在に連結された第三の部材をさらに有し、
前記第三の部材は、前記第一の凸部材及び前記第二の凸部材よりも高さが低く、かつ、隣接する領域同士の高さが異なる側壁が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の配管カバー用切断具。
【請求項8】
前記第一の本体は、刃が形成されている刃部と、把手が形成されている把手部と、により形成されており、
前記刃部と前記把手部は、ラチェット構造により連結されており、
前記刃部を前記挟み持ち部から開いた状態で、前記把手部を第二の本体側に閉じる動作を繰り返すことにより、前記刃部は、前記挟み持ち部の側に徐々に回動するようにされていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の配管カバー用切断具。
【請求項9】
前記刃部は、前記一点において前記第二の本体に対して回動自在にされており、
前記把手部は、前記一点以外の点において前記第二の本体に対して回動自在にされていることを特徴とする請求項8に記載の配管カバー用切断具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−281336(P2006−281336A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−101728(P2005−101728)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000137546)株式会社マルト長谷川工作所 (7)
【出願人】(394026611)水戸工機株式会社 (5)
【Fターム(参考)】