説明

配管溶接部の予防保全方法

【課題】配管の溶接部内面に圧縮残留応力を付与するまでに要する時間を短縮できる配管溶接部の予防保全方法を提供する。
【解決手段】沸騰水型原子力プラントの再循環系配管10の一部であるライザー管15A,15B及び15Cのき裂存在部分を切断して除去する。研磨装置を有する配管内アクセス装置25を、切断箇所の開口部からライザー管15A内に挿入し、ライザー管15A内でその切断箇所の近くで待機させる。切断箇所に挿入された新配管41の両端部がライザー管15Aと溶接にて接合される。配管内アクセス装置25が、溶接終了後、ライザー管15A内を移動し、研磨装置を溶接部42の内面付近に位置させる。研磨装置はその内面付近を研磨して圧縮残留応力を付与する。作業終了後、配管アクセス装置25は、隣りのライザー管15Bの切断箇所から取り出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管溶接部の予防保全方法に係り、特に、沸騰水型原子炉の再循環系配管の溶接部内面に圧縮残留応力を付与するのに好適な配管溶接部の予防保全方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電プラント、例えば、沸騰水型発電プラント(BWRプラントという)では、原子炉に接続されている再循環配管等の配管に対して、超音波探傷装置等を用いた検査が定期的に行われる。この検査によって、配管にき裂が発見された場合には、配管のき裂が存在している部分を切断して取り除き、新たらしい配管と交換する補修作業が行われる。新たらしい配管は溶接にて接合される。新しい配管を接合した後、配管の溶接部の内面付近に引張り残留応力が生じる。この引張り残留応力が一因となり、交換された配管の溶接部の内面に応力腐食割れ(以下、SCCという)が発生する可能性がある。
【0003】
原子力発電プラントでは、稼動率向上の観点から構造材の応力腐食割れ(以下、SCCという。)の発生を抑制することが重要な課題となっている。
【0004】
BWRプラントの原子炉圧力容器(以下、RPVという)内に設けられた再循環入口ノズルに接続され、RPVの内外に配置されたライザー管(再循環系配管の一部)の溶接部内面に実施する表面改質方法が、特開2002−277582号公報に記載されている。この表面改質方法は、磨き装置、レーザ照射装置及び検査装置を用いて行われる。再循環入口ノズルに接続されているライザー管がRPVの外側で切断され、磨き装置、レーザ照射装置及び検査装置が切断により生じた、ライザー管の開口部から、順次、再循環入口ノズルを介してRPV内に位置するライザー管内に挿入される。SCCの発生を抑制するための、ライザー管の溶接部内面の改質が行われる。
【0005】
特開平10−197679号公報は、RPVに設けられたノズルの内面を研磨して検査し、その後、その内面にクラッド層を形成するノズル内面の補修方法を記述している。このノズル内面の補修は、RPVの内側に遮水ケースを押し付けてノズル内への水の流入を阻止して行われる。ノズルに接続される配管がRPVの外側で切断され、研磨装置がノズル内に挿入される。ノズル内面は研磨装置に設けられた研磨具で研磨される。研磨後に検査装置によるノズル内面の検査が行われ、クラッド層が形成される。
【0006】
特開平4−69596号公報は、自走式の点検補修用ロボットを原子力発電所の配管内で走らせ、このロボットで配管内の点検及び補修を行うことを記載している。
【0007】
【特許文献1】特開2002−277582号公報
【特許文献2】特開平10−197679号公報
【特許文献3】特開平4−69596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
配管の交換作業終了後における配管の溶接部には、その内面付近に引張り残留応力が生じる。特開2002−277582号公報でも、ライザー管等の溶接部内面の改質作業が終了した後にそれぞれの装置が切断された再循環系配管の開口部から取り出され、再循環系配管の切断箇所に新たな配管が接合される。特開平10−197679号公報においても、同様に、ノズル内面の補修終了後に配管の切断箇所に新しい配管が接合される。このような特開2002−277582号公報及び特開平10−197679号公報でも、接続された配管の溶接部内面付近に引張り残留応力が発生する。
【0009】
ステンレス製配管の溶接部近傍はSCC感受性を有しており、SCCの要因は材質、応力及び環境の3つと言われている。耐SCC性は、前述の3つの要因のうち少なくとも1つを取り除くことによって向上する。特開2002−277582号公報は、溶接部内面へのレーザ照射によって引張り残留応力を圧縮残留応力に変え、ライザー管及びサーマルスリーブ等におけるSCCの発生を防止している。しかしながら、その作業を行うために再循環系配管を切断し、その作業終了後にその配管の切断箇所に新しい配管を接合している。再循環系配管の別の場所に、内面に引っ張り残留応力を生じている新たな溶接部を生成していることになる。特開平10−197679号公報においても、同様な問題が生じる。
【0010】
特開2002−277582号公報及び特開平10−197679号公報において行われているように研磨装置で溶接部の内面付近を研磨することによっても、引張り圧縮残留応力を圧縮残留応力に変えることができる。BWRプラントの再循環系配管においては、再循環系配管に設けられた再循環ポンプまたはバルブを取り外すことにより形成された開口部から研磨装置を挿入して配管の溶接部内面付近の研磨を行う場合には、その開口部から溶接部内面まで研磨装置を移動させる必要がある。したがって、配管の溶接部内面に圧縮残留応力を付与する作業を開始するまでに長時間を要している。
【0011】
本発明の目的は、配管の溶接部内面に圧縮残留応力を付与するまでに要する時間を短縮できる配管溶接部の予防保全方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した目的を達成する本発明の特徴は、圧縮残留応力を付与する圧縮残留応力付与装置を有する移動体を、配管系を構成している配管の切断されて形成された開口部からその配管内に挿入し、移動体が配管内に存在する状態で配管の切断箇所に配管部材の両端部を溶接して配管系を修復し、圧縮残留応力付与装置を用いて配管部材の溶接部の内面付近に圧縮残留応力を発生させることにある。
【0013】
本発明は、切断されて形成された開口部から配管内に挿入した移動体が配管内に存在する状態で配管部材の両端部を配管の切断箇所に溶接して配管系を修復するので、その配管部材の溶接部の内面まで移動体を移動させ、圧縮残留応力付与装置を用いた圧縮残留応力を付与する作業を開始するまでに要する時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、配管の溶接部内面に圧縮残留応力を付与するまでに要する時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
発明者らは、配管溶接部内面付近に研磨装置等の圧縮残留応力付与装置を配管の溶接部内面付近に早く圧縮残留応力を付与できる方法を種々検討した。この結果、発明者らは、補修のために切断された配管内に、切断によって生じた開口部から圧縮残留応力付与装置を予め挿入し、切断箇所の近くに待機させておけばよいことに気がついた。これによって、配管の切断箇所に新しい配管を接続した後、その圧縮残留応力付与装置を溶接部内面に位置させるまでに要する時間が著しく短縮することができる。
【実施例1】
【0016】
本発明の好適な一実施例である実施例1の配管溶接部の予防保全方法を、図1〜図8を用いて説明する。まず、本実施例が適用される沸騰水型発電プラント(BWRプラント)の原子炉付近の構成の概略を説明する。BWRプラントの原子炉1は、RPV2、及びRPV2内に配置されている炉心3、炉心シュラウド4、気水分離器5及び蒸気乾燥器6を備えている。炉心3は、炉心シュラウド4によって取り囲まれ、複数の燃料集合体が装荷されている。気水分離器5は、炉心3の上方に配置されて炉心シュラウド4に設置される。蒸気乾燥器6は、気水分離器5の上方に配置されている。複数のジェットポンプ7が、RPV2と炉心シュラウド4の間に形成されるダウンカマ8内に配置されている。主蒸気配管18及び給水配管19がRPV2に接続されている。
【0017】
BWRプラントは、2系統の再循環系9を備えている。各再循環系9は、再循環系配管10に再循環ポンプ11及びバルブ12A,12Bを設置している。バルブ12Aは再循環ポンプ11の上流に配置され、バルブ12Bは再循環ポンプ11の下流に配置される。再循環系配管10は、上流側の端部18がRPV2に接続され、ダウンカマ8の底部に連絡される。再循環系配管10の下流側の端部は、RPV2内においてジェットポンプ7のノズル7Aに接続される。再循環系配管10は、図2及び図3に示すように、クロス配管13、リングヘッダー管14、複数のライザー管(分岐配管)15及び分岐された接続管16を有する。クロス配管13及びリングヘッダー管14はRPV2の外側に配置される。クロス配管13は、再循環系配管10の垂直配管部17に接続される。一対のリングヘッダー管14は、水平方向に伸びており、クロス配管13の左右の開口部にそれぞれ接続される。複数のライザー管15は、リングヘッダー管14に接続される。ライザー管15は、RPV2の内外に配置される。ライザー管15は、RPV2内で接続管16に接続される。接続管16は、ダウンカマ8内で隣り合って配置されている2本のジェットポンプ7の各ノズル7Aに接続されている。
【0018】
ダウンカマ8の底部の冷却水(冷却材)は、再循環ポンプ11の駆動によって再循環系配管10内に流入し、再循環ポンプ11によって昇圧されてクロス配管13から左右のリングヘッダー管14内に流入する。リングヘッダー管14内に達した冷却水は、各ライザー管15内に配分され、それぞれのライザー管15内を通って該当する接続管16内に導かれる接続管16からノズル7A内に達した冷却水は、ジェットポンプ7の本体内に噴出される。この噴出流の作用によって、ダウンカマ7内でノズル7Aの周囲に存在する冷却水は、ジェットポンプ7内に吸引され、ジェットポンプ7から吐出されて下部プレナム20内に達する。この冷却水は、炉心3内に供給されて燃料集合体内に存在する各燃料物質の核分裂により発生する熱で加熱され、一部が蒸気になる。炉心から排出された蒸気を含む冷却水は、気水分離器4内に導かれる。気水分離器4は、冷却水に含まれている蒸気を分離する。分離された蒸気は、蒸気乾燥器6に導かれ、湿分がさらに分離される。
【0019】
湿分が分離された蒸気は、主蒸気配管18によってタービン(図示せず)に供給される。タービンは、蒸気によって回転され、連結されている発電機(図示せず)を回転させる。タービンから排出された蒸気は、復水器(図示せず)で凝縮されて水になる。この凝縮水は、給水として、給水配管19を通ってRPV2内に戻される。
【0020】
上記したBWRプラントにおける再循環系配管10において実施される予防保全方法を説明する。この予防保全方法は、例えば、3本のライザー管15、すなわち、ライザー管15A,15B及び15Cを対象とした、ライザー管15の一部を交換する作業において実行されるものである。
本実施例の予防保全方法で用いられる自走式の配管内アクセス装置(移動体)25は、第1走行体(移動体エレメント)26、第2走行体(移動体エレメント)34及び研磨装置(圧縮残留応力付与装置)27を備えている。配管内アクセス装置25は予防保全装置である。第1走行体26と第2走行体34はユニバーサルジョイント40で連結されている。研磨装置27は第1走行体26の前面に設置される。第1走行体26は一対の駆動輪28を有している。駆動輪28は第1走行体26に設けられた第1モータ(図示せず)によって駆動される。それぞれの駆動輪28は一対のリンク部材(支持部材)30A,30Bに回転可能に取り付けられる。これらのリンク部材30A,30Bは、第1走行体26の軸方向(前後方向)に移動可能な保持部材29A,29Bに取り付けられている。保持部材29A,29Bは、第1走行体26に設けられる保持部材移動装置31に取り付けられる。保持部材移動装置31は、例えば、保持部材29A,29Bと噛み合うネジ部材及びネジ部材を回転させる第3モータを含んでいる。そのネジ部材は、保持部材29Aと噛み合う部分及び保持部材29Bと噛み合う部分に互いに逆方向になるネジが形成されている。固定ピン33を移動させるエアシリンダ32が第1走行体26に設けられる。固定ピン33はエアシリンダ32に設けられる。監視用のテレビカメラ(図示せず)が第1走行体26に設置されている。
【0021】
第2走行体34は、一対の駆動輪35、保持部材36A,36B及び保持部材移動装置38を有する。駆動輪35は第2走行体34に設けられた第1モータ(図示せず)によって駆動される。それぞれの駆動輪35は一対のリンク部材(支持部材)37A,37Bに回転可能に取り付けられる。これらのリンク部材37A,37Bは、第2走行体34の軸方向(前後方向)に移動可能な保持部材36A,36Bに取り付けられている。保持部材36A,36Bは、第2走行体34に設けられる保持部材移動装置38に取り付けられる。保持部材移動装置38は、例えば、保持部材36A,36Bと噛み合うネジ部材及びネジ部材を回転させる第4モータを含んでいる。そのネジ部材は、保持部材36Aと噛み合う部分及び保持部材36Bと噛み合う部分に互いに逆方向になるネジが形成されている。固定ピン33が挿入されるピン孔39が第2走行体34に形成される。
【0022】
各ライザー管15の表面からの超音波検査によって、ライザー管15A,15B及び15Cにき裂の存在が発見された場合には、各ライザー管15のき裂が存在している部分を切断して新しい配管に交換する必要がある。ライザー管15Aにおいて、取替え箇所45Aの部分が切断されて取り除かれる。その後、ライザー管15Aの開口部からライザー管15A内に配管内アクセス装置25が挿入される。ライザー管15A内で配管内アクセス装置25は、ライザー管15A内で保持部材移動装置31の第3モータを駆動させてネジ部材を回転させ、保持部材29Aと保持部材29Bの間隔を狭くするように保持部材29A,29Bを移動させる。一対の駆動輪28がライザー管15Aの内面に押し付けられ、第1走行体26が保持される。保持部材移動装置38の第4モータも駆動されてネジ部材が回転される。保持部材36A,36Bはお互いの間隔が狭くなるように移動される。一対の駆動輪35がライザー管15Aの内面に押し付けられ、第2走行体34が保持される。このようにして、配管内アクセス装置25がライザー管15A内に保持される。配管内アクセス装置25に接続されているワイヤ及びケーブル44が、ライザー管15Aの下方のリングヘッダー管14内まで垂れ下がっている。ライザー管15B,15Cも、同じ位置である取替え箇所45B,45Cが切断して取り除かれる。
【0023】
取替え箇所45Aの位置に新配管41の両端がライザー管15Aに溶接にて接合される。42,43がそれぞれの溶接部である。新配管41の接合によって、ライザー管15Aが修復される。新配管41を溶接している間に、作業員が、ライザー管15Bの切断によって生じた開口部からフレキシブルなマジックハンド(図示せず)を、ライザー管15Bを経てリングヘッダー管14内に挿入する。リングヘッダー管14内に垂れ下がっているワイヤ及びケーブル44が、マジックハンドによって掴まれてライザー管15Bの開口部から引き出される(図6参照)。ケーブル44は、第1からだ意4の各モータ及び研磨装置27に設けられた第5モータ(図示せず)に電力を供給するケーブルである。
【0024】
新配管41が接合された後、第1及び第2モータがそれぞれ駆動されて駆動輪28,35がそれぞれ回転し、配管内アクセス装置25がライザー管15A内を上方へ向かって移動する(図5参照)。図5に示された配管内アクセス装置25は第1走行体26及び第2走行体34が省略されている。研磨装置27が溶接部42の内面付近に到達したとき、配管内アクセス装置25の移動が停止される。研磨装置27が駆動されて溶接部42の内面付近が研磨される。この研磨は、研磨装置27を溶接部42の内面に沿って回転させることによって、溶接部42の内面を周方向全面にわたって行うことができる。研磨が終了した後、第1走行体26に設けられている検査装置による検査が行われる。その後、第1及び第2モータが駆動され、研磨装置27が溶接部43の内面に達するまで、配管内アクセス装置25が移動される。溶接部43の内面付近においても、同様に、研磨装置27による研磨及び検査装置による検査が行われる。溶接部42,43のそれぞれの内面付近を研磨することによって、溶接部42,43のそれぞれの内面付近に生じていた引張り残留応力が圧縮残留応力に改善される。
【0025】
溶接部42,43のそれぞれの内面付近での研磨及び検査が終了した後、第1及び第2モータを逆回転させて駆動輪28,35を回転させ、配管内アクセス装置25をリングヘッダー管14に向かって移動させる。配管内アクセス装置25がリングヘッダー管14内に到達したとき、第3モータ及び第4モータを駆動してそれぞれのネジ部材を回転させ、保持部材29Aと保持部材29Bの間の間隔、及び保持部材36Aと保持部材36Bの間の間隔がそれぞれ広げられる。これにより、一対の駆動輪28の間の距離、および一対の駆動輪35の間の距離が狭められる。ライザー管15Bの開口部から引き出されているワイヤ及びケーブル44、特にワイヤ44を引っ張ることによって、配管内アクセス装置25は、リングヘッダー管14、及びリングヘッダー管14に接続されているライザー管15Bを経て、ライザー管15Aに隣接しているライザー管15Bから外に引き出される(図7参照)。
【0026】
配管内アクセス装置25がリングヘッダー管14内に移った後、第1及び第4モータを駆動して駆動輪28,35をリングヘッダー管14の内面に接触させ、駆動輪28,35を回転させて配管内アクセス装置25をライザー管15Bの方に向かって移動させることも可能である。さらに、配管内アクセス装置25がライザー管15B内に移った後、第1及び第4モータを駆動して駆動輪28,35をライザー管15Bの内面に接触させ、駆動輪28,35を回転させて配管内アクセス装置25をライザー管15Bの開口部の方に向かって移動させることも可能である。
【0027】
ライザー管15Bにも新配管41を接合する必要があるため、配管内アクセス装置25がライザー管15Bの開口部からライザー管15B内に挿入される。ワイヤ及びケーブル44が下向きになっており、配管内アクセス装置25よりも先にライザー管15B内に挿入される。ライザー管15Aの場合と同様に一対の駆動輪28及び一対の駆動輪35をそれぞれライザー管15Bの内面に押し付けることによって、配管内アクセス装置25がライザー管15B内で新配管41の接合部の近くに保持される。この状態で、新配管41の両端部がライザー管15Bにそれぞれ溶接によって接合される。新配管41の接合によってライザー管15Bも修復される。新配管41の両端部とライザー管15Bのそれぞれの溶接部の内面付近が、前述したように研磨装置27によって研磨される。そして、実施例2で述べるPT検査が行われる。
【0028】
この検査が終了した後、ライザー管15Aの場合と同様に、既に、ライザー管15Cの開口部から引き出されているワイヤ及びケーブル44を引っ張ることによって、配管内アクセス装置25をライザー管15Cの開口部から外に取り出すことができる。
【0029】
ライザー管15Cに新配管41を接合する前に、ワイヤ及びケーブル44を下に向けて配管内アクセス装置25をライザー管15C内に挿入し、ライザー管15Aの場合と同様に駆動輪28,35をライザー管15Cの内面に接触させて、配管内アクセス装置25をライザー管15C内に保持する。この状態で、新配管41の両端部をライザー管15Cにそれぞれ溶接する。新配管41の両端部とライザー管15Cとの二箇所の溶接部の内面付近を研磨装置27で研磨する。検査を行った後、配管内アクセス装置25を再循環系配管10の外側に取り出す。すなわち、再循環系配管10に設けられたバルブ12Bが再循環系配管10から取り外されている。の垂直配管部17内を下方に垂れ下がったワイヤ及びケーブル44は、フレキシブルなマジックハンドを用いてバルブ12Bが取り外されて形成された再循環系配管10の開口部から外側に引き出されている。
【0030】
垂直配管部17の内径がライザー管15Cの内径よりも大きくなっている。このため、ライザー管15Cから垂直配管部17への配管内アクセス装置25の移動は以下のようにして行われる。ライザー管15C内を移動している配管内アクセス装置25の第2走行体34の駆動輪35がクロス配管13内に到達したときは、配管内アクセス装置25は、第1走行体26の一対の駆動輪28がライザー管15Cの内面に押し付けられて保持されているので、下方に落下することを防止できる。配管内アクセス装置25がさらに下降して駆動輪35がクロス配管13の垂直部13A(図8参照)内に到達したとき、第4モータが駆動されて一対の駆動輪35が垂直部13Aの内面に押し付けられる。この状態においても、一対の駆動輪28はライザー管15Cの内面に押し付けられている。一対の駆動輪35が垂直部13Aの内面に押し付けられた後、保持部材移動装置31のバネ部材を回転させることにより、一対の駆動輪28がライザー管15Cの内面から離される。駆動輪28が垂直部13A内に達した後、一対の駆動輪28も垂直部13Aの内面に押し付けられる。ワイヤ44を引っ張りながら駆動輪28,35を駆動させて、配管内アクセス装置25を、垂直配管部17内を下降させる。配管内アクセス装置25は再循環系配管10の開口部から外に取り出される(図8参照)。
【0031】
配管内アクセス装置25を取り出した後、バルブ12Bが再循環系配管10に取り付けられる。
【0032】
以上の作業によって、本実施例におけるライザー管15の取替え作業、及び新配管41の両端部における各溶接部の内面付近の研磨作業(圧縮残留応力付与作業)が終了する。
【0033】
本実施例は、切断したライザー管(配管)15の開口部からライザー管15内に配管内アクセス装置25を挿入してライザー管15Aの切断箇所近くに待機させ、新配管41の両端部と残っているライザー管15Aをそれぞれ溶接して接合する。溶接が完了して溶接部42,43の温度が設定温度(例えば、100℃以下)まで低下した後、ライザー管15A内で待機している配管内アクセス装置25を移動させて研磨装置27を溶接部42,43の内面付近に順次位置させ、それぞれの内面付近を研磨装置27によって研磨する。したがって、溶接部42,43の内面付近で発生している引張り残留応力を圧縮残留応力に改善することができる。本実施例は、配管内アクセス装置25を、新配管41とライザー管15Aを溶接している間、ライザー管15A内でその溶接部の近く待機させるので、溶接終了後に溶接部に素早く到達させることができる。したがって、本実施例は、溶接部42,43に圧縮残留応力を付与する作業に着手するまでの時間を、新配管の両端部を溶接した後にアクセスする開口部(例えば、バルブ12Bを取り外して形成される開口部)から配管内アクセス装置25を再循環系配管10内に挿入して溶接部42,43まで移動させる従来の場合に比べて、著しく短縮することができる。このような本実施例はBWRプラントの定期検査の期間を短縮することができる。
【0034】
本実施例は、切断した配管の溶接部の近くで配管内に配管内アクセス装置25を待機させるので、配管内アクセス装置25によって圧縮残留応力を付与できる溶接部の数が著しく増大する。
【0035】
BWRプラントの再循環系配管10において、ライザー管15Aの溶接部42,43への研磨作業が終了した後、ライザー管15A内に存在する配管内アクセス装置25を、ライザー管15Aに隣接する他のライザー管15Bに形成された開口部から取り出される。このため、配管内アクセス装置25のライザー管内からの取り出しを、簡単に短時間に行うことができる。特に、配管の交換箇所が隣りのライザー管15Bに存在する場合には、ライザー管15Bの切断箇所に形成された開口部を利用して、ライザー管15A内に存在する配管内アクセス装置25を取り出すことができる。
【0036】
クロス配管13の上端に接続されるライザー管15C、及びこのライザー管15Cに隣接する他のライザー管(例えば、ライザー管15B)が切断されて開口部が形成される場合には、配管内アクセス装置25を、ライザー管15Bが切断されて形成された開口部からライザー管15B内に先に挿入して待機させ、ライザー管15Bの切断箇所に新配管41を溶接にて接合することが望ましい。これによって、ライザー管15Bと新配管41の溶接部の内面付近を研磨装置27で研磨した後に配管内アクセス装置25をライザー管15Cの切断箇所から取り出すことができる。また、ライザー管15Cの切断箇所に新配管41を溶接する際にライザー管15C内に予め挿入されて待機している配管内アクセス装置25は、ライザー管15Cと新配管41の溶接部の内面付近を研磨した後、ライザー管15Cの真下に位置する垂直配管部17を通して再循環系配管10に形成された開口部から容易にかつ短時間に取り出すことができる。この開口部は、再循環系配管10に取り付けられた機器(バルブ12A,12B及び再循環ポンプ11等)を取り外すことによって形成される。
【0037】
ライザー管15Cの切断箇所を先に新配管41を溶接してその後にライザー管15Bの切断箇所に新配管41を溶接した場合には、ライザー管15B内に挿入されている配管内アクセス装置25は、ライザー管15Bとリングヘッダー管14の分岐部、及びリングヘッダー管14とクロス配管13の分岐部の二箇所の分岐部を通して再循環系配管10に形成された上記開口部から取り出す必要がある。配管内アクセス装置25が二箇所の分岐部を通過するために、長い時間を必要とする。したがって、ライザー管15Cから垂直配管部17への配管内アクセス装置25の移動に要する時間は、ライザー管15Bから垂直配管部17へのその移動に要する時間よりも短縮される。
【0038】
配管内アクセス装置25は、一対の駆動輪及びこれらの駆動輪を配管の半径方向に移動させる装置(車輪移動装置)がそれぞれ設けられた複数の走行体を有しているので、ライザー管15C、及びクロス配管13の垂直部13Aのように、内径の異なる2つの配管内での移動を容易に行うことができる。配管内アクセス装置25にはワイヤ44が取り付けられているため、配管内アクセス装置25が異常状態になった場合でも、ワイヤ44を引っ張ることによって配管内アクセス装置25をライザー管15内から引き出すことができる。一対の駆動輪を配管の半径方向に移動させる装置が駆動輪をライザー管15Aの内面に押し付けることができるので、ライザー管15A内で待機している配管内アクセス装置25を、垂直であるライザー管15A内に保持することができる。また、本実施例は、配管内アクセス装置25を移動させる移動装置(例えば、駆動輪28)をライザー管15の内面に押し付けるので、配管内アクセス装置25をライザー管15内に保持する新たな機構を設ける必要がない。このため、配管内アクセス装置25の構造を単純化することができ、それのコンパクト化を図ることができる。
【0039】
ライザー管15A内に挿入する前の状態では、第1走行体26に設けられたエアシリンダ32の先端に取り付けられている固定ピン33が、第2走行体34に形成されたピン孔39内に挿入されている。しかしながら、配管内アクセス装置25を切断された開口部からライザー管15A内に挿入する前に、エアシリンダ32を操作することによって固定ピン33がピン孔39から引抜かれる。固定ピン33がピン孔39から引き抜かれることよって、第1走行体26と第2走行体34の連結が解除される。このため、ユニバーサルジョイント40の動きが自由になるため、リングヘッダー管14からのライザー管15の分岐部、及びライザー管15の曲管部内を、それらの形状に沿って配管内アクセス装置25を容易に移動させることができる。配管内アクセス装置25のライザー管15A内からの回収作業を容易に行うことができる。また、配管内アクセス装置25をライザー管15内から回収した後、エアシリンダ32を操作して固定ピン33をピン孔39内に挿入する。これによって、ユニバーサルジョイント40の機能が拘束されるため、第1走行体26及び第2走行体34がふらつかないので、配管内アクセス装置25の搬送等における取り扱いが容易になる。
【0040】
エアシリンダ32、固定ピン33及びピン孔39は、隣り合う走行体29,34の動きを拘束しかつこの拘束を解除する操作装置である。
【0041】
配管内アクセス装置25は、第1走行体26と第2走行体34がユニバーサルジョイント40によって連結されているため、固定ピン33がピン孔39から引抜かれた状態では、第1走行体26及び第2走行体34はお互いに自由に動くことができる。したがって、配管内アクセス装置25の、分岐部、及びライザー管15の曲管部内における移動をスムーズにかつ容易に行うことができる。管内アクセス装置25のライザー管15A内からの回収がさらに容易になる。
【0042】
管内アクセス装置25には、研磨装置27の替りに他の圧縮残留応力付与装置を取り付けることが可能である。この圧縮残留応力付与装置として、例えば、液体研磨剤噴射装置を用いることができる。液体研磨剤噴射装置を管内アクセス装置25に設置した場合には、液体研磨剤を液体研磨剤噴射装置に供給するホースが必要になる。このホースは、ワイヤ44に取り付けられ、ワイヤ44が隣りのライザー管15の切断箇所から引き出される際に一緒に引き出される。引き出されたホースの一端に液体研磨剤供給装置が接続される。液体研磨剤供給装置から供給される液体研磨剤が、ホースを介して例えばライザー管15Aの溶接部42の内面付近に位置している液体研磨剤噴射装置に供給され、その内面付近に向かって噴射される。このような液体研磨剤の噴出によって、溶接部の内面付近の引張り圧縮残留応力を圧縮残留応力に変えることができる。
【実施例2】
【0043】
本発明の他の実施例である実施例2の配管溶接部の予防保全方法を、図9を用いて説明する。本実施例における配管溶接部の予防保全方法の基本的な概念は、実施例1のその方法と同じである。本実施例の予防保全方法は、配管内アクセス装置25以外に、配管内アクセス装置48を用いている。配管アクセス装置48は、配管アクセス装置25において研磨装置27の替りにPTヘッドを設置している。
【0044】
PTヘッドは、浸透探傷試験(PT)を行う際に用いられる。PTは、材料表面に開口した傷(クラック)を探し出す非破壊検査の一種である。PTによる検査は、以下のようにして行われる。検査対象の構造材の表面に検査用の浸透液(赤色など)を塗布し、この浸透液を構造材表面に存在するクラックに染みこませる。設定された浸透時間の経過後に構造材表面から一旦浸透液を除去し、その表面が乾燥した後、構造材表面に現像液(白色など)を塗布する。これによってクラック内に染み込んでいた浸透液が構造材表面ににじみだし指示模様を描く。この指示模様を見ることによってクラックの存在及びクラックの状態を知ることができる。
配管アクセス装置48の他の構成は、配管アクセス装置25と同じである。配管アクセス装置48も、テレビカメラを搭載している。配管アクセス装置48はPT検査装置である。
【0045】
例えば、ライザー管15Aの切断箇所からライザー管15A内に、配管アクセス装置48が配管アクセス装置25の前に位置するように、配管アクセス装置25,48が挿入される。これらの装置は、実施例1における配管アクセス装置25と同様に、ライザー管15Aと新配管41の溶接が終了するまでライザー管15A内に待機している。それらの溶接が終了した後、配管アクセス装置48を溶接部42に向かって移動させ、PTヘッドをその溶接部の内面付近に対向させる。PTヘッドから溶接部42の内面に向かってPT液が噴射される。PT液は前述した浸透液及び現像液である。浸透液、現像液の順にライザー管15Aの内面に順次噴射される。現像液の噴射後にライザー管15Aの内面に形成された指示模様をテレビカメラで撮影して表示装置(図示せず)に表示させることによって、クラックの存在を確認することができる。
溶接部42の内面に対するPT検査が終了した後、溶接部43の内面に対するPT検査が同様に行われる。それらのPT検査が終了した後、配管アクセス装置25の研磨装置27を用いた、溶接部42,43のそれぞれの内面付近へ圧縮残留応力を発生させる作業が、実施例1と同様に実行される。この作業に対して支障が生じないように、配管アクセス装置48は溶接部43より前方に移動されている。配管アクセス装置48に接続されるワイヤ及びケーブル44Aは、ワイヤ及びケーブル44と同様に、マジックハンドを用いてライザー管15Bの開口部49から引き出されている。研磨による溶接部42,43の内面付近への圧縮残留応力の付与が終了した後、配管アクセス装置25,48は、実施例1での配管アクセス装置25と同様に、開口部49から取り出される。その後、ライザー管15Bの開口部49に新配管41が溶接される。
【0046】
本実施例は、実施例1で生じる効果を得ることができる。さらに、圧縮残留応力を発生させる作業の前後に溶接部42,43の各内面に対してPT検査を実行するので、検査装置等を別途用いることなく同時作業を行うことが可能となる為、施工時間短縮の効果を得ることができる。本実施例は、配管アクセス装置25,48をライザー管15A内に予め挿入しライザー管15Aの切断箇所の近くに待機させているので、溶接部内面付近のPT検査終了後にPTヘッドを搭載した配管アクセス装置をライザー管15Bの開口部49から溶接部内面付近まで移動させ、溶接部内面でのPT検査終了後にその配管アクセス装置を開口部49から取り出し、PTヘッドを研磨装置27に付け替えた配管アクセス装置を、再度、溶接部42,43まで移動させるという作業が不要になる。したがって、本実施例は、溶接部42,43に対してPT検査を行い、それらの溶接部への圧縮残留応力の付与が終了するまでに要する時間を著しく短縮することができる。
【0047】
実施例2では配管アクセス装置25,48を用いているが、PTヘッドを配管アクセス装置25に搭載することも可能である。PTヘッドを搭載した配管アクセス装置を、図10を用いて説明する。その配管アクセス装置25Aは、図10には示されていないが、配管アクセス装置25と同様に、ユニバーサルジョイント40で連結された第1走行体26及び第2走行体34を有している。研磨装置27は第1走行体26の前面に設置され、PTヘッド50が第2走行体34の後面に設置されている。実施例2において、配管アクセス装置25,48の替りに配管アクセス装置25Aを用いることによって、PT検査及び圧縮残留応力の付与を行うことができる。配管アクセス装置25Aの使用は、配管アクセス装置25,48の2つの装置を配管から取り出すことがなくなるので、配管アクセス装置の配管からの取り出し作業に要する時間を短縮することができる。
【0048】
前述の各実施例は、き裂が生じた配管を新配管と交換した際における新配管と元の配管との溶接部内面付近への圧縮残留応力の付与を行うものであるが、特開2002−277582号公報及び特開平10−197679号公報に記載された作業を実施した後、配管の切断箇所に配管を溶接して生じる溶接部の内面への圧縮残留応力の付与にも適用することができる。すなわち、配管の切断箇所からレーザー照射装置等の装置を挿入して配管内面への該当する作業を実施した後、その装置をその切断箇所から取り出す。その後、レーザー照射装置等を挿入した切断箇所に対向する他方の切断箇所から配管内に配管アクセス装置25を挿入してその切断箇所の近くに待機させる。切断箇所に新配管を挿入してこの新配管の両端部を配管に溶接する。溶接終了後の適切な時期に、配管内に待機していた配管アクセス装置25を用いて溶接部内面付近に対して研磨作業を施し、この内面付近に圧縮残留応力を発生させる。配管内の配管アクセス装置25は、その溶接部に近い部分で配管に設置されている機器を取り外して形成される開口部から外に取り出される。
【0049】
配管アクセス装置25を用いた配管溶接部の予防保全方法は、再循環系配管以外のステンレス配管(例えば、残留熱除去系配管及び原子炉冷却材浄化系配管等)にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施例である配管溶接部の予防保全方法が適用される沸騰水型発電プラントの概略構成図である。
【図2】図1に示すジェットポンプ付近の詳細構成図である。
【図3】本発明の好適な一実施例である実施例1の配管溶接部の予防保全方法を示す説明図である。
【図4】図3に示す配管内アクセス装置の詳細構成図である。
【図5】図3に示す新しい配管の溶接部にアクセスする配管内アクセス装置の状態を示す説明図である。
【図6】実施例1において新しい配管の溶接部の内面付近に対する研磨作業が終了した後、配管内アクセス装置を外へ引き出す途中の過程を示す説明図である。
【図7】実施例1において新しい配管の溶接部の内面付近に対する研磨作業が終了した後、配管内アクセス装置をライザー管の外へ引き出した状態を示す説明図である。
【図8】実施例1において新しい配管の溶接部の内面付近に対する研磨作業が終了した後、配管内アクセス装置をライザー管の外へ引き出した他の状態を示す説明図である。
【図9】本発明の好適な一実施例である実施例2の配管溶接部の予防保全方法を示す説明図である。
【図10】PTヘッドを設置した配管内アクセス装置の他の実施例の概略構成図である。
【符号の説明】
【0051】
2…原子炉圧力容器、3…炉心、7…ジェットポンプ、9…再循環系、10…再循環系配管、11…再循環ポンプ、12A,12B…バルブ、13…クロス配管、14…リングヘッダー管、15,15A,15B,15C…ライザー管、25,25A…配管内アクセス装置、26…第1走行体、27…研磨装置、28,35…駆動輪、32…エアシリンダ、35…第2走行体、40…ユニバーサルジョイント、41…新配管、42,43…溶接部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮残留応力を付与する圧縮残留応力付与装置を有する移動体を、配管系を構成している配管の切断されて形成された開口部から前記配管内に挿入し、前記移動体が前記配管内に存在する状態で前記配管の切断箇所に配管部材の両端部を溶接して前記配管系を修復し、前記圧縮残留応力付与装置を用いて前記配管部材の溶接部の内面付近に圧縮残留応力を発生させることを特徴とする配管溶接部の予防保全方法。
【請求項2】
前記移動体は前記配管系に形成された他の開口部から取り出される請求項1に記載の配管溶接部の予防保全方法。
【請求項3】
前記他の開口部は、前記配管系における前記配管の他の切断箇所及び前記配管に設置された機器を取り外すことにより形成される開口部のいずれかである請求項2に記載の配管溶接部の予防保全方法。
【請求項4】
使用される前記移動体は、前記配管の内面と接触して回転する車輪をそれぞれ有しかつ互いに連結された複数の移動エレメントを備えている請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の配管溶接部の予防保全方法。
【請求項5】
前記移動体エレメントは、前記車輪を前記配管内面に押し付ける車輪移動装置を有する請求項4に記載の配管溶接部の予防保全方法。
【請求項6】
前記移動体エレメントは前記車輪を回転させる駆動装置を有している請求項4または請求項5に記載の配管溶接部の予防保全方法。
【請求項7】
前記複数の移動体エレメントは互いにユニバーサルジョイント手段によって連結されている請求項4に記載の配管溶接部の予防保全方法。
【請求項8】
前記移動体エレメントは、隣り合う相互の前記移動体エレメントの動きを拘束しかつこの拘束を解除する操作手段を備えている請求項4または請求項7に記載の配管溶接部の予防保全方法。
【請求項9】
前記移動体はPT装置を備えている請求項4に記載の配管溶接部の予防保全方法。
【請求項10】
圧縮残留応力を付与する圧縮残留応力付与装置を有する移動体を、原子力プラントの再循環系配管を構成している複数の分岐配管のうち切断された前記分岐配管に形成された開口部から前記分岐配管内に挿入し、前記移動体が前記分岐配管内に存在する状態で前記分岐配管の切断箇所に配管部材の両端部を溶接して前記分岐配管を修復し、前記圧縮残留応力付与装置を用いて前記配管部材の溶接部の内面付近に圧縮残留応力を発生させることを特徴とする配管溶接部の予防保全方法。
【請求項11】
前記移動体は、この移動体が存在している前記分岐配管に隣り合っている別の前記分岐配管の切断箇所から取り出される請求項10に記載の配管溶接部の予防保全方法。
【請求項12】
前記移動体は、前記再循環系配管に設置されている機器が取り外されて前記再循環系配管に形成された開口部から取り出される請求項10に記載の配管溶接部の予防保全方法。
【請求項13】
前記複数の分岐配管のうち1つは前記再循環系配管に含まれるクロス配管の上端部の接続部に接続され、残りの前記分岐配管は前記クロス配管に接続されたヘッダー管に接続されている請求項10に記載の配管溶接部の予防保全方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−249578(P2008−249578A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−92848(P2007−92848)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)