配管用継手及び継手構造
【課題】継手を構成する部品点数が少なく、接続も簡単に行うことができる配管用継手と、この配管用継手を用いた継手構造を提供する。
【解決手段】配管用継手10は、内孔14を有した略々筒状であり、その一端側が配管接続部11となっており、他端側が機器等への接続部12となっており、両者の間が六角部13となっている。装着溝15にOリング17を装着しておき、樹脂管30を配管接続部11に樹脂管30を差し込んで外嵌させる。樹脂管30の先端が六角部13に突き当るまで樹脂管30を差し込んだ後、バンド40を樹脂管30の外周に装着し、樹脂管30を締め付けてその内周面に突部16を食い込ませる。
【解決手段】配管用継手10は、内孔14を有した略々筒状であり、その一端側が配管接続部11となっており、他端側が機器等への接続部12となっており、両者の間が六角部13となっている。装着溝15にOリング17を装着しておき、樹脂管30を配管接続部11に樹脂管30を差し込んで外嵌させる。樹脂管30の先端が六角部13に突き当るまで樹脂管30を差し込んだ後、バンド40を樹脂管30の外周に装着し、樹脂管30を締め付けてその内周面に突部16を食い込ませる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂管(中間層に金属を積層した金属複合樹脂管であってもよい。)を接続する配管用継手と、該配管用継手に樹脂管を接続した継手構造に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂よりなる合成樹脂管や、適宜の補強層を備えた補強層付き樹脂管(例えば中間層をアルミニウム合金層としその両側にポリエチレン層を積層した金属複合樹脂管)は、給水給湯配管やファンコイルユニットと冷温水管の接続などに広く用いられている。
【0003】
樹脂管の接続に用いられる管継手としては、圧縮式継手、締め込み式継手、差し込み式継手などがある。これらの継手の内、製品の単価、接続部の信頼性、施工性等を総合的に考慮して、圧縮式継手が用いられることが多い。圧縮式継手は管口径の大小によらず上記性能を安定的に発現する管継手である。
【0004】
第7図に従来の圧縮継手の一例を示す(特開2006−125523)。この圧縮継手1は、筒状の本体部の外周に鍔状部7が一体に設けられ、この鍔状部7に圧縮リング6が嵌着されている。圧縮リング6は管接続部2と同軸状となっている。この管接続部2と該圧縮リング6との間の隙間に樹脂管Pを挿入し、圧縮リング6を専用工具を用いて圧縮(カシメ)する。そうすると、管接続部2の外周に装着された止水パッキン4に対し樹脂管Pの内面が強く押し付けられて、樹脂管Pが固定されると共に、止水性能が得られる。この従来例においては、圧縮リング6と配管用圧縮継手本体部とが別体である。圧縮リング6は、その基端側が鍔状部7の内周側の周回溝5にきつく嵌め込まれて配管用圧縮継手本体部に取り付けられている。
【0005】
この圧縮継手にあっては、圧縮リング6をカシメるために大きなカシメ工具が必要である。また、圧縮リングとしても、高価なステンレス製品を用いることが必要であり、コスト高である。
【0006】
特開平11−94168(特許3333435)には、袋ナットを用いた袋ナット継手が記載されている。この袋ナット継手は、金属部が大きく材料費が高い。また、袋ナットを締め付けるために大きなトルクを掛ける必要があるなどの短所がある。
【0007】
特開2000−46282(特許2920146)には、ロックリングを用いた継手が記載されているが、部品点数が多い。また、挿入を確認するために透明樹脂を設けたり、覗き穴を設けたりする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−125523号公報
【特許文献2】特開平11−94168号公報
【特許文献3】特開2000−46282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来の問題点を解消し、継手を構成する部品点数が少なく、接続も簡単に行うことができる配管用継手と、この配管用継手を用いた継手構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の配管用継手は、一端側に配管接続部を有し、他端側に機器接続部を有し、該配管接続部に樹脂管が外嵌される配管用継手において、該配管接続部の先端側の外周面にOリング装着溝が設けられ、基端側の外周面に、樹脂管の内周面を係止するための突部が設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2の配管用継手は、請求項1において、前記突部は、配管接続部の先端側に向って縮径するテーパ状斜面を有していることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3の配管用継手は、請求項2において、突部同士の間に円筒面が存在することを特徴とするものである。
【0013】
請求項4の配管用継手は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記配管接続部のうち前記Oリング装着溝の後縁に沿う箇所の外径D2が前縁に沿う箇所の外径D1よりも大きいことを特徴とするものである。
【0014】
請求項5の継手構造は、請求項1ないし4のいずれか1項の配管用継手と、該配管用継手の配管接続部に外嵌された樹脂管と、該樹脂管を外周から締め付け、樹脂管の内周面を前記突部に係止させているバンドとを備えてなるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の配管用継手及び継手構造にあっては、配管接続部に樹脂管を外嵌させ、この樹脂管を外周からバンドによって締め付けるだけで配管用継手と樹脂管とが接続される。この配管接続部の先端側にはOリングが設けられており、止水性が良好である。配管接続部の基端側には突部が周方向に延設されており、この突部が樹脂管の内周面に食い込むことにより、樹脂管の抜けが防止される。
【0016】
本発明の配管用継手及び継手構造は、部品点数が少なく、構造もシンプルである。また、配管用継手に対する樹脂管の接続作業も簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態に係る配管用継手の構成図であり、(a)図は継手軸心線方向の断面図、(b)図はその側面図、(c)図は(a)図のC−C矢視図である。
【図2】図1の配管用継手に樹脂管を接続した継手構造の断面図である。
【図3】バンドの斜視図である。
【図4】別の実施の形態に係る配管用継手の構成図であり、(a)図は継手軸心線方向の断面図、(b)図はその側面図、(c)図は(a)図のC−C矢視図である。
【図5】配管用継手の外周面の断面図である。
【図6】さらに別の実施の形態に係る配管用継手の構成図であり、(a)図は継手軸心線方向の断面図、(b)図はその側面図、(c)図は(a)図のC−C矢視図である。
【図7】従来の配管用圧縮継手の断面図である。
【図8】別の実施の形態に係る配管用継手の構成図であり、(a)図は機器等への接続部側の背面図、(b)図は側面図である。
【図9】図8のIX−IX線断面図である。
【図10】図9の一部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図は本発明の実施の形態に係る配管用継手10の断面図である。第2図はこの配管用継手10に配管30を接続した状態を示す断面図、第3図はバンドの斜視図である。
【0019】
この配管用継手10は、内孔14を有した略々筒状であり、その一端側が配管接続部11となっており、他端側が機器等への接続部12となっており、両者の間が六角部13となっている。この機器等への接続部12の外周面には、雄ねじが設けられているが、クイックファスナ等の留付具の係止溝(図示略)が設けられてもよい。
【0020】
配管接続部11の先端側の外周面にはOリング19(第2図)の装着溝15が設けられ、基端側の外周面には、配管(この実施の形態では樹脂管)30を係止するための突部16が設けられている。
【0021】
この実施の形態では、装着溝15は2条設けられているが、1条又は3条以上であってもよい。通常は2〜3条程度が好適である。
【0022】
突部16は、配管接続部11の外周を周回する凸条よりなる。この突部16は、配管接続部11の先端側に向って縮径するテーパ状である。この実施の形態では、突部16は、配管用継手10の軸心線方向の断面が直角三角形状であり、配管接続部11の先端側が斜面となっており、基端側が該軸心線と垂直面となっている。突部16は、この実施の形態では2条設けられているが、これに限定されない。突部16同士の間隔は、1〜5mm特に2〜3mm程度が好適である。突部16の高さは、該外径の5〜15%特に8〜12%程度が好適である。
【0023】
樹脂管30は、この実施の形態ではアルミ三層管であり、樹脂内層と、中間のアルミ層と、樹脂外層とを有しているが、これに限定されない。樹脂としては架橋ポリエチレン、耐熱ポリエチレン、ポリブテンなどが好適である。
【0024】
なお、配管用継手10は真鍮などの銅合金製とされるのが好ましい。配管用継手10は、銅合金の筒状素材に切削加工を施して製作されるのが好ましいが、配管用継手10の材質や製作法はこれに限定されない。
【0025】
樹脂管30を配管用継手10に接続するには、各装着溝15にOリング17を装着しておき、樹脂管30を配管接続部11に樹脂管30を差し込んで外嵌させる。なお、この差し込みに際しては、スムーサ(商品名)と称される樹脂管差込用工具を用いて行うのが好ましい。樹脂管30の先端が六角部13に突き当るまで樹脂管30を差し込んだ後、バンド40を樹脂管30の外周に装着し、樹脂管30を締め付けてその内周面に突部16を食い込ませる。なお、バンド40は予め樹脂管30に外嵌の先端から所要距離(配管接続部11の長さ)以上離隔した箇所に外嵌させておき、樹脂管30を差し込んだ後、配管接続部11の基端側まで移動させる。
【0026】
このバンド40は、リング部41と、該リング部41の両端にそれぞれ設けられたつまみ部42,43とを有している。リング部11の一端側にはスリット44が周方向に延設され、リング部41の他端側の小幅の舌片部45が該スリット44内に入り込んでいる。この舌片部45の先端につまみ部43が設けられている。つまみ部42,43はリング部41の中心から離反する略々放射方向に立設されている。作業者がつまみ部42,43を指又は工具でつまんで接近方向に移動させることにより、リング部41が拡径する。つまみ部42,43から指又は工具を離すと、リング部41がそれ自身の弾性により縮径し、樹脂管30が締め付けられる。
【0027】
なお、第3図では、リング部41は一重となっているが、二重環状となっている二重バンドを用いてもよい。
【0028】
上記したように、この配管用継手10は配管接続部11、機器接続部12及び六角部13を有し、配管接続部11に装着溝15と突部16とを設けたものであり、構造がシンプルである。また、樹脂管30の接続も、該樹脂管30を配管接続部11に差し込み、バンド40で樹脂管30を締め付けるだけでよく、簡単である。この配管接続構造にあっては、Oリング17に樹脂管30の内周面が強く押し付けられ、止水性も良好である。
【0029】
[別の実施の形態]
第1図では、突部16同士の間は、配管接続部11の軸心線方向に等径の円筒面となっているが、第4図及び第5図(a)の配管用継手10Aのように、円筒面のない竹の子状の突部17を設けてもよい。この突部17は、配管用継手10Aの軸心線方向の断面が、第5図(a)に拡大して示すように、なだらかな斜面17aと、該軸心線方向と略垂直な垂直面17bとからなり、1つの突部17の斜面17aの末端が隣接する突部17の垂直面17bに到達している。ただし、第5図(b)のように、隣接する突部17,17同士の間に若干の円筒面17cが存在していてもよい。このように円筒面17cを設けた場合、円筒面17cに樹脂管30の内周面が接触し、止水性が向上する。
【0030】
第6図の配管用継手10Bでは、配管接続部11Bの外周面の突部18が、螺旋状となっている。
【0031】
第4,6図のその他の構成は第1図と同様であり、同一符号は同一部分を示している。これらの突部17,18を有する配管用継手10A、10Bによっても、上記配管用継手10と同様の効果が奏される。
【0032】
第8図は本発明のさらに別の実施の形態に係る配管用継手20の背面図と側面図、第9図は第8図のIX−IX線断面図、第10図は第9図の一部の拡大図である。
【0033】
この配管用継手20は、内孔24を有した略々筒状であり、その一端側が配管接続部21となっており、他端側が機器等への接続部22となっており、両者の間が四角部23となっている。この機器等への接続部22の外周面には、Oリングが入る溝22aが設けられているが、第1図〜第6図の実施の形態のように雄ねじが設けられてもよい。この配管用継手20は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)製であるが、材料はこれに限定されない。
【0034】
配管接続部21の先端側の外周面にはOリングの装着溝25が設けられ、基端側の外周面には、配管30(第8図〜第10図では図示略)を係止するための突部26が設けられている。この実施の形態では、Oリング装着溝25は1条設けられている。
【0035】
第10図の通り、配管接続部21のうち、Oリング装着溝25の後縁側すなわち機器等への接続部22側の外径D1は前縁側すなわち先端側の外径D2よりも大きい。これは、配管接続部21に配管30を差し込むときにOリングが脱輪しないようにするためである。D1とD2との差は0.1〜0.5mm特に0.1〜0.2mm程度が好ましい。この実施の形態では、D1=11.9mm、D2=11.7mm、D2−D1=0.2mmである。
【0036】
突部26は、配管接続部21の外周を螺旋状に周回する凸条よりなる。この実施の形態では、突部26は、配管用継手10の軸心線方向の断面が三角形状であり、配管接続部21の先端側が傾斜の緩い斜面となっており、後端側が該軸心線と垂直に近い急斜面となっている。この実施の形態では、図のθ1は好ましくは45〜90°特に好ましくは約60°、θ2は好ましくは0〜45°特に好ましくは約15°である。合成樹脂製の配管用継手の場合、金属製の配管用継手に比べて角縁のシャープさが小さくなり、突部26の樹脂配管への食いつきが甘くなり、配管30が抜け易いので、上記のようにθ2を小さくして配管30の抜けを防止するようにしている。突部26同士の間のピッチPは、1.5〜2mm程度が好ましい。突部の高さhは0.3〜0.5mm程度が好ましい。
【0037】
この実施の形態では、前述の実施の形態における六角形状の六角部13の代わりに、四角形状の四角部23を設けている。スパナ等の工具は、四角部23の外周の平面部23fに係合させる。配管接続クリップ(図示略)を四角部23にかけるために、この四角部23の4個の突角部を円弧状部23rとしている。
【0038】
この配管用継手20は、接続部22を配管接続クリップを用いて接続相手方部材に対し接続すること以外は前記実施の形態の配管用継手と同様に用いられる。なお、配管接続クリップによる接続方式の代わりに、ユニオンナットを用いるようにしてもよい。
【0039】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態とされてもよい。例えば、突部16,17,18,26の突出高さはすべて同一であるものに限定されるものではなく、六角部13又は四角部23に近いものほど高さが大きくなるように構成されてもよい。具体例としては、第4図(a),(b)において、右側の突部17の外径を12.7mmとし、左側(六角部13側)の突部17の外径を12.8mmとしたものが挙げられる。このように構成した場合、樹脂管30が引き抜きに対してさらに強くなるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0040】
10,20 継手
11,21 配管接続部
12,22 機器接続部
13 六角部
15,22a,25 Oリング装着溝
16,17,18,26 突部
19 Oリング
23 四角部
30 樹脂管
40,50 バンド
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂管(中間層に金属を積層した金属複合樹脂管であってもよい。)を接続する配管用継手と、該配管用継手に樹脂管を接続した継手構造に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂よりなる合成樹脂管や、適宜の補強層を備えた補強層付き樹脂管(例えば中間層をアルミニウム合金層としその両側にポリエチレン層を積層した金属複合樹脂管)は、給水給湯配管やファンコイルユニットと冷温水管の接続などに広く用いられている。
【0003】
樹脂管の接続に用いられる管継手としては、圧縮式継手、締め込み式継手、差し込み式継手などがある。これらの継手の内、製品の単価、接続部の信頼性、施工性等を総合的に考慮して、圧縮式継手が用いられることが多い。圧縮式継手は管口径の大小によらず上記性能を安定的に発現する管継手である。
【0004】
第7図に従来の圧縮継手の一例を示す(特開2006−125523)。この圧縮継手1は、筒状の本体部の外周に鍔状部7が一体に設けられ、この鍔状部7に圧縮リング6が嵌着されている。圧縮リング6は管接続部2と同軸状となっている。この管接続部2と該圧縮リング6との間の隙間に樹脂管Pを挿入し、圧縮リング6を専用工具を用いて圧縮(カシメ)する。そうすると、管接続部2の外周に装着された止水パッキン4に対し樹脂管Pの内面が強く押し付けられて、樹脂管Pが固定されると共に、止水性能が得られる。この従来例においては、圧縮リング6と配管用圧縮継手本体部とが別体である。圧縮リング6は、その基端側が鍔状部7の内周側の周回溝5にきつく嵌め込まれて配管用圧縮継手本体部に取り付けられている。
【0005】
この圧縮継手にあっては、圧縮リング6をカシメるために大きなカシメ工具が必要である。また、圧縮リングとしても、高価なステンレス製品を用いることが必要であり、コスト高である。
【0006】
特開平11−94168(特許3333435)には、袋ナットを用いた袋ナット継手が記載されている。この袋ナット継手は、金属部が大きく材料費が高い。また、袋ナットを締め付けるために大きなトルクを掛ける必要があるなどの短所がある。
【0007】
特開2000−46282(特許2920146)には、ロックリングを用いた継手が記載されているが、部品点数が多い。また、挿入を確認するために透明樹脂を設けたり、覗き穴を設けたりする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−125523号公報
【特許文献2】特開平11−94168号公報
【特許文献3】特開2000−46282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来の問題点を解消し、継手を構成する部品点数が少なく、接続も簡単に行うことができる配管用継手と、この配管用継手を用いた継手構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の配管用継手は、一端側に配管接続部を有し、他端側に機器接続部を有し、該配管接続部に樹脂管が外嵌される配管用継手において、該配管接続部の先端側の外周面にOリング装着溝が設けられ、基端側の外周面に、樹脂管の内周面を係止するための突部が設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2の配管用継手は、請求項1において、前記突部は、配管接続部の先端側に向って縮径するテーパ状斜面を有していることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3の配管用継手は、請求項2において、突部同士の間に円筒面が存在することを特徴とするものである。
【0013】
請求項4の配管用継手は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記配管接続部のうち前記Oリング装着溝の後縁に沿う箇所の外径D2が前縁に沿う箇所の外径D1よりも大きいことを特徴とするものである。
【0014】
請求項5の継手構造は、請求項1ないし4のいずれか1項の配管用継手と、該配管用継手の配管接続部に外嵌された樹脂管と、該樹脂管を外周から締め付け、樹脂管の内周面を前記突部に係止させているバンドとを備えてなるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の配管用継手及び継手構造にあっては、配管接続部に樹脂管を外嵌させ、この樹脂管を外周からバンドによって締め付けるだけで配管用継手と樹脂管とが接続される。この配管接続部の先端側にはOリングが設けられており、止水性が良好である。配管接続部の基端側には突部が周方向に延設されており、この突部が樹脂管の内周面に食い込むことにより、樹脂管の抜けが防止される。
【0016】
本発明の配管用継手及び継手構造は、部品点数が少なく、構造もシンプルである。また、配管用継手に対する樹脂管の接続作業も簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態に係る配管用継手の構成図であり、(a)図は継手軸心線方向の断面図、(b)図はその側面図、(c)図は(a)図のC−C矢視図である。
【図2】図1の配管用継手に樹脂管を接続した継手構造の断面図である。
【図3】バンドの斜視図である。
【図4】別の実施の形態に係る配管用継手の構成図であり、(a)図は継手軸心線方向の断面図、(b)図はその側面図、(c)図は(a)図のC−C矢視図である。
【図5】配管用継手の外周面の断面図である。
【図6】さらに別の実施の形態に係る配管用継手の構成図であり、(a)図は継手軸心線方向の断面図、(b)図はその側面図、(c)図は(a)図のC−C矢視図である。
【図7】従来の配管用圧縮継手の断面図である。
【図8】別の実施の形態に係る配管用継手の構成図であり、(a)図は機器等への接続部側の背面図、(b)図は側面図である。
【図9】図8のIX−IX線断面図である。
【図10】図9の一部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図は本発明の実施の形態に係る配管用継手10の断面図である。第2図はこの配管用継手10に配管30を接続した状態を示す断面図、第3図はバンドの斜視図である。
【0019】
この配管用継手10は、内孔14を有した略々筒状であり、その一端側が配管接続部11となっており、他端側が機器等への接続部12となっており、両者の間が六角部13となっている。この機器等への接続部12の外周面には、雄ねじが設けられているが、クイックファスナ等の留付具の係止溝(図示略)が設けられてもよい。
【0020】
配管接続部11の先端側の外周面にはOリング19(第2図)の装着溝15が設けられ、基端側の外周面には、配管(この実施の形態では樹脂管)30を係止するための突部16が設けられている。
【0021】
この実施の形態では、装着溝15は2条設けられているが、1条又は3条以上であってもよい。通常は2〜3条程度が好適である。
【0022】
突部16は、配管接続部11の外周を周回する凸条よりなる。この突部16は、配管接続部11の先端側に向って縮径するテーパ状である。この実施の形態では、突部16は、配管用継手10の軸心線方向の断面が直角三角形状であり、配管接続部11の先端側が斜面となっており、基端側が該軸心線と垂直面となっている。突部16は、この実施の形態では2条設けられているが、これに限定されない。突部16同士の間隔は、1〜5mm特に2〜3mm程度が好適である。突部16の高さは、該外径の5〜15%特に8〜12%程度が好適である。
【0023】
樹脂管30は、この実施の形態ではアルミ三層管であり、樹脂内層と、中間のアルミ層と、樹脂外層とを有しているが、これに限定されない。樹脂としては架橋ポリエチレン、耐熱ポリエチレン、ポリブテンなどが好適である。
【0024】
なお、配管用継手10は真鍮などの銅合金製とされるのが好ましい。配管用継手10は、銅合金の筒状素材に切削加工を施して製作されるのが好ましいが、配管用継手10の材質や製作法はこれに限定されない。
【0025】
樹脂管30を配管用継手10に接続するには、各装着溝15にOリング17を装着しておき、樹脂管30を配管接続部11に樹脂管30を差し込んで外嵌させる。なお、この差し込みに際しては、スムーサ(商品名)と称される樹脂管差込用工具を用いて行うのが好ましい。樹脂管30の先端が六角部13に突き当るまで樹脂管30を差し込んだ後、バンド40を樹脂管30の外周に装着し、樹脂管30を締め付けてその内周面に突部16を食い込ませる。なお、バンド40は予め樹脂管30に外嵌の先端から所要距離(配管接続部11の長さ)以上離隔した箇所に外嵌させておき、樹脂管30を差し込んだ後、配管接続部11の基端側まで移動させる。
【0026】
このバンド40は、リング部41と、該リング部41の両端にそれぞれ設けられたつまみ部42,43とを有している。リング部11の一端側にはスリット44が周方向に延設され、リング部41の他端側の小幅の舌片部45が該スリット44内に入り込んでいる。この舌片部45の先端につまみ部43が設けられている。つまみ部42,43はリング部41の中心から離反する略々放射方向に立設されている。作業者がつまみ部42,43を指又は工具でつまんで接近方向に移動させることにより、リング部41が拡径する。つまみ部42,43から指又は工具を離すと、リング部41がそれ自身の弾性により縮径し、樹脂管30が締め付けられる。
【0027】
なお、第3図では、リング部41は一重となっているが、二重環状となっている二重バンドを用いてもよい。
【0028】
上記したように、この配管用継手10は配管接続部11、機器接続部12及び六角部13を有し、配管接続部11に装着溝15と突部16とを設けたものであり、構造がシンプルである。また、樹脂管30の接続も、該樹脂管30を配管接続部11に差し込み、バンド40で樹脂管30を締め付けるだけでよく、簡単である。この配管接続構造にあっては、Oリング17に樹脂管30の内周面が強く押し付けられ、止水性も良好である。
【0029】
[別の実施の形態]
第1図では、突部16同士の間は、配管接続部11の軸心線方向に等径の円筒面となっているが、第4図及び第5図(a)の配管用継手10Aのように、円筒面のない竹の子状の突部17を設けてもよい。この突部17は、配管用継手10Aの軸心線方向の断面が、第5図(a)に拡大して示すように、なだらかな斜面17aと、該軸心線方向と略垂直な垂直面17bとからなり、1つの突部17の斜面17aの末端が隣接する突部17の垂直面17bに到達している。ただし、第5図(b)のように、隣接する突部17,17同士の間に若干の円筒面17cが存在していてもよい。このように円筒面17cを設けた場合、円筒面17cに樹脂管30の内周面が接触し、止水性が向上する。
【0030】
第6図の配管用継手10Bでは、配管接続部11Bの外周面の突部18が、螺旋状となっている。
【0031】
第4,6図のその他の構成は第1図と同様であり、同一符号は同一部分を示している。これらの突部17,18を有する配管用継手10A、10Bによっても、上記配管用継手10と同様の効果が奏される。
【0032】
第8図は本発明のさらに別の実施の形態に係る配管用継手20の背面図と側面図、第9図は第8図のIX−IX線断面図、第10図は第9図の一部の拡大図である。
【0033】
この配管用継手20は、内孔24を有した略々筒状であり、その一端側が配管接続部21となっており、他端側が機器等への接続部22となっており、両者の間が四角部23となっている。この機器等への接続部22の外周面には、Oリングが入る溝22aが設けられているが、第1図〜第6図の実施の形態のように雄ねじが設けられてもよい。この配管用継手20は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)製であるが、材料はこれに限定されない。
【0034】
配管接続部21の先端側の外周面にはOリングの装着溝25が設けられ、基端側の外周面には、配管30(第8図〜第10図では図示略)を係止するための突部26が設けられている。この実施の形態では、Oリング装着溝25は1条設けられている。
【0035】
第10図の通り、配管接続部21のうち、Oリング装着溝25の後縁側すなわち機器等への接続部22側の外径D1は前縁側すなわち先端側の外径D2よりも大きい。これは、配管接続部21に配管30を差し込むときにOリングが脱輪しないようにするためである。D1とD2との差は0.1〜0.5mm特に0.1〜0.2mm程度が好ましい。この実施の形態では、D1=11.9mm、D2=11.7mm、D2−D1=0.2mmである。
【0036】
突部26は、配管接続部21の外周を螺旋状に周回する凸条よりなる。この実施の形態では、突部26は、配管用継手10の軸心線方向の断面が三角形状であり、配管接続部21の先端側が傾斜の緩い斜面となっており、後端側が該軸心線と垂直に近い急斜面となっている。この実施の形態では、図のθ1は好ましくは45〜90°特に好ましくは約60°、θ2は好ましくは0〜45°特に好ましくは約15°である。合成樹脂製の配管用継手の場合、金属製の配管用継手に比べて角縁のシャープさが小さくなり、突部26の樹脂配管への食いつきが甘くなり、配管30が抜け易いので、上記のようにθ2を小さくして配管30の抜けを防止するようにしている。突部26同士の間のピッチPは、1.5〜2mm程度が好ましい。突部の高さhは0.3〜0.5mm程度が好ましい。
【0037】
この実施の形態では、前述の実施の形態における六角形状の六角部13の代わりに、四角形状の四角部23を設けている。スパナ等の工具は、四角部23の外周の平面部23fに係合させる。配管接続クリップ(図示略)を四角部23にかけるために、この四角部23の4個の突角部を円弧状部23rとしている。
【0038】
この配管用継手20は、接続部22を配管接続クリップを用いて接続相手方部材に対し接続すること以外は前記実施の形態の配管用継手と同様に用いられる。なお、配管接続クリップによる接続方式の代わりに、ユニオンナットを用いるようにしてもよい。
【0039】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態とされてもよい。例えば、突部16,17,18,26の突出高さはすべて同一であるものに限定されるものではなく、六角部13又は四角部23に近いものほど高さが大きくなるように構成されてもよい。具体例としては、第4図(a),(b)において、右側の突部17の外径を12.7mmとし、左側(六角部13側)の突部17の外径を12.8mmとしたものが挙げられる。このように構成した場合、樹脂管30が引き抜きに対してさらに強くなるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0040】
10,20 継手
11,21 配管接続部
12,22 機器接続部
13 六角部
15,22a,25 Oリング装着溝
16,17,18,26 突部
19 Oリング
23 四角部
30 樹脂管
40,50 バンド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側に配管接続部を有し、他端側に機器接続部を有し、
該配管接続部に樹脂管が外嵌される配管用継手において、
該配管接続部の先端側の外周面にOリング装着溝が設けられ、基端側の外周面に、樹脂管の内周面を係止するための突部が設けられていることを特徴とする配管用継手。
【請求項2】
請求項1において、前記突部は、配管接続部の先端側に向って縮径するテーパ状斜面を有していることを特徴とする配管用継手。
【請求項3】
請求項2において、突部同士の間に円筒面が存在することを特徴とする配管用継手。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記配管接続部のうち前記Oリング装着溝の後縁に沿う箇所の外径D2が前縁に沿う箇所の外径D1よりも大きいことを特徴とする配管用継手。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項の配管用継手と、
該配管用継手の配管接続部に外嵌された樹脂管と、
該樹脂管を外周から締め付け、樹脂管の内周面を前記突部に係止させているバンドと
を備えてなる継手構造。
【請求項1】
一端側に配管接続部を有し、他端側に機器接続部を有し、
該配管接続部に樹脂管が外嵌される配管用継手において、
該配管接続部の先端側の外周面にOリング装着溝が設けられ、基端側の外周面に、樹脂管の内周面を係止するための突部が設けられていることを特徴とする配管用継手。
【請求項2】
請求項1において、前記突部は、配管接続部の先端側に向って縮径するテーパ状斜面を有していることを特徴とする配管用継手。
【請求項3】
請求項2において、突部同士の間に円筒面が存在することを特徴とする配管用継手。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記配管接続部のうち前記Oリング装着溝の後縁に沿う箇所の外径D2が前縁に沿う箇所の外径D1よりも大きいことを特徴とする配管用継手。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項の配管用継手と、
該配管用継手の配管接続部に外嵌された樹脂管と、
該樹脂管を外周から締め付け、樹脂管の内周面を前記突部に係止させているバンドと
を備えてなる継手構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−106662(P2011−106662A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98007(P2010−98007)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】
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