説明

配線回路チェック器

【課題】直管形蛍光ランプ、直管形LEDランプの照明器具の配線回路のチェックを容易に行うことができる配線回路チェック器を提供する。
【解決手段】直管形ランプの照明器具の配線回路をチェックする配線回路チェック器1であって、本体2と、本体2の両端にそれぞれ設けられるとともに、照明器具の両端のソケットコンタクトに電気的に接続される一対の検出端子10〜13と、本体2の内部に設けられるとともに、検出端子10〜13に電気的に接続されるチェック回路15とを備える。チェック回路15は、本体2の各端の検出端子10から3間の電圧、及び本体2の両端の検出端子10〜13間の電圧を測定する端子間電圧測定回路16と、各検出端子10〜13の対地電圧を測定する対地電圧測定回路30と、端子間電圧測定回路16及び対地電圧測定回路30で測定した結果に基づいた表示を行う表示部23〜28、35〜38とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線回路チェック器に関し、特に、直管形蛍光ランプや直管型LEDランプの照明器具の配線回路のチェックに有効な配線回路チェック器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、直管形蛍光ランプに代わる光源として直管形LEDランプが注目されている。直管形LEDランプ(以下、LEDランプとする。)は、直管形蛍光ランプ(以下、蛍光ランプとする。)と同じ明るさで、蛍光ランプよりも消費電力が低く、寿命が長いため、省エネ対策に有効なものである。現在、電源回路等の構造が異なる2タイプ(商用電源直結形、既設安定器接続形)のLEDランプが開発され、市場に提供されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
商用電源直結形のLEDランプは、LEDランプの両端のピンコンタクト間、片側のピンコンタクト間に商用電源を直接印加するタイプのものであり、既設の蛍光ランプの照明器具をそのまま使用することができないため、既設の照明器具の配線回路を改造する必要がある。
【0004】
また、既設安定器接続形のLEDランプは、LEDランプの両端のピンコンタクト間に安定器を介して商用電源を印加するタイプのものであり、既設の蛍光ランプの照明器具をそのまま使用することができるが、既設の照明器具の安定器には、磁気式、電子式等の様々なタイプのものがあり、また、回路方式も様々であるため、既設の安定器と使用するLEDランプとの組合せが適正で、かつ安全に動作するか否かを事前に確認する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「LED照明の適正使用ガイド」、社団法人 日本電球工業会出版、2010年6月17日、p39−41
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したように、商用電源直結形のLEDランプと既設安定器接続形のLEDランプとは、電源の印加方式が異なるため、使用するLEDランプと照明器具との組合せが適正でない場合や、配線回路の改造後の照明器具に誤って蛍光ランプを装着した場合等に、点灯不能、電源短絡等の問題が生じる。
【0007】
このため、蛍光ランプに代えてLEDランプを使用する場合には、使用するLEDランプのタイプが商用電源直結形か既設安定器接続形かを確認する必要があり、また、商用電源直結形のLEDランプを使用する場合には、そのLEDランプの仕様に対応するように照明器具の配線回路が改造されているか否を確認する必要があり、さらに、既設安定器接続形のLEDランプを使用する場合には、そのLEDランプと照明器具の安定器との組合せが適正で、かつ安全に動作するか否かを確認する必要があり、さらに、LEDランプを蛍光ランプに戻す場合には、照明器具の配線回路が改造されているか否かを確認する必要があり、それらの作業に専門的な知識と手間がかかることになる。
【0008】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、専門的な知識を必要とすることなく、蛍光ランプ又はLEDランプの照明器具の配線回路を容易にチェックすることができる配線回路チェック器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、本発明は、直管形ランプの照明器具の配線回路をチェックする配線回路チェック器であって、本体と、該本体の両端にそれぞれ設けられるとともに、前記照明器具の両端のソケットコンタクトに電気的に接続される一対の検出端子と、前記本体の内部に設けられるとともに、前記検出端子に電気的に接続されるチェック回路とを備え、前記チェック回路は、前記本体の各端の検出端子間の電圧、及び前記本体の両端の検出端子間の電圧を測定する端子間電圧測定回路と、前記各検出端子の対地電圧を測定する対地電圧測定回路と、前記端子間電圧測定回路及び前記対地電圧測定回路で測定した結果に基づいた表示を行う表示部とを備えていることを特徴とする。
【0010】
本発明の配線回路チェック器によれば、本体の両端の検出端子を対象の照明器具の両端のソケットコンタクトに接続することにより、チェック回路の端子間電圧測定回路で本体の各端の検出端子間の電圧、及び本体の両端の検出端子間の電圧を測定することができる。また、チェック回路の対地電圧測定回路で各検出端子の対地電圧を測定することができる。そして、端子間電圧測定回路で測定した結果、及び対地電圧測定回路で測定した結果に基づいた表示が表示部で行われる。従って、表示部の表示を目視することにより、対象の照明器具の配線回路の種類を特定することができる。
【0011】
また、本発明において、前記表示部は、前記端子間電圧測定回路、及び前記対地電圧測定回路で測定した電圧値が所定の値を超えた場合に、点灯又は消灯することとしてもよい。
【0012】
本発明の配線回路チェック器によれば、端子間電圧測定回路、及び対地電圧測定回路が測定した電圧値が所定の値を超えた場合に、表示部が点灯又は消灯することになるので、表示部の点灯又は消灯を目視することにより、対象の照明器具の配線回路の種類を特定することができる。
【0013】
さらに、本発明において、前記表示部は、前記端子間電圧測定回路、及び前記対地電圧測定回路が測定した電圧値を表示することとしてもよい。
【0014】
本発明の配線チェック器によれば、前記端子間電圧測定回路、及び前記対地電圧測定回路が測定した電圧値が表示部に表示されることになるので、表示部に表示される電圧値を目視することにより、対象の照明器具の配線回路の種類を特定することができる。
【0015】
さらに、本発明において、前記表示部は、前記端子間電圧測定回路による測定結果、及び前記対地電圧測定回路による測定結果に基づいた前記照明器具の配線回路のパターンを表示するコンピュータであることとしてもよい。
【0016】
本発明の配線回路チェック器によれば、端子間電圧測定回路による測定結果、及び対地電圧測定回路による測定結果に基づいた照明器具の配線回路のパターンがコンピュータに表示されるので、コンピュータの表示を目視することにより、対象の照明器具の配線回路の種類を特定することができる。
【0017】
さらに、本発明において、前記端子間電圧測定回路は、前記本体の一端側の第1検出端子と第2検出端子との間の電圧を測定する第1回路と、前記本体の他端側の第3検出端子と第4検出端子との間の電圧を測定する第2回路と、前記第1検出端子と前記第3検出端子との間の電圧を測定する第3回路と、前記第2検出端子と前記第4検出端子との間の電圧を測定する第4回路と、前記第1検出端子と前記第4検出端子との間の電圧を測定する第5回路と、前記第2検出端子と前記第3検出端子との間の電圧を測定する第6回路とからなり、前記対地電圧測定回路は、前記本体の一端側の第1検出端子の対地電圧を測定する第1回路と、第2検出端子の対地電圧を測定する第2回路と、前記本体の他端側の第3検出端子の対地電圧を測定する第3回路と、第4検出端子の対地電圧を測定する第4回路とからなることとしてもよい。
【0018】
本発明の配線回路チェック器によれば、端子間電圧測定回路の第1回路により、第1検出端子と第2検出端子との間の電圧が測定され、第2回路により、第3検出端子と第4検出端子との間の電圧が測定され、第3回路により、第1検出端子と第3検出端子との間の電圧が測定され、第4回路により、第2検出端子と第4検出端子との間の電圧が測定され、第5回路により、第1検出端子と第4検出端子との間の電圧が測定され、第6回路により、第2検出端子と第3検出端子との間の電圧が測定される。また、対地電圧測定回路の第1回路により、第1検出端子の対地電圧が測定され、第2回路により、第2検出端子の対地電圧が測定され、第3回路により、第3検出端子の対地電圧が測定され、第4回路により、第4検出端子の対地電圧が測定される。
【0019】
さらに、本発明において、前記直管形ランプは、直管形蛍光ランプ及び直管形LEDランプであることとしてもよい。
【0020】
本発明の配線回路チェック器によれば、直管形蛍光ランプ、直管形LEDランプの照明器具の配線回路のチェックに適用することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上、説明したように、本発明の配線回路チェック器によれば、対象の照明器具のソケットコンタクトに本体の検出端子を接続することにより、端子間電圧測定回路を介して検出端子間の電圧が測定され、対地電圧測定回路を介して各検出端子の対地電圧が測定され、これらの測定結果に基づいた表示が表示部で行われることになる。従って、表示部の表示を目視することにより、対象の照明器具の配線回路の種類を特定できるので、対象の照明器具の配線回路のチェックに専門的な知識を必要とすることなく、容易に、かつ確実にチェックすることができ、照明器具の故障、電源短絡による事故の発生等を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による配線回路チェック器の一実施の形態を示した概略図である。
【図2】図1の端子間電圧測定回路、及び対地電圧測定回路の一例を示した概略図である。
【図3】照明器具の第1改造例に相当する配線回路チェック器の点灯パターンを示した説明図である。
【図4】照明器具の第2改造例に相当する配線回路チェック器の点灯パターンを示した説明図である。
【図5】照明器具の第3改造例に相当する配線回路チェック器の点灯パターンを示した説明図である。
【図6】照明器具の第4改造例に相当する配線回路チェック器の点灯パターンを示した説明図である。
【図7】照明器具の第5改造例に相当する配線回路チェック器の点灯パターンを示した説明図である。
【図8】照明器具の第6改造例に相当する配線回路チェック器の点灯パターンを示した説明図である。
【図9】照明器具の第7改造例に相当する配線回路チェック器の点灯パターンを示した説明図である。
【図10】照明器具の第8改造例に相当する配線回路チェック器の点灯パターンを示した説明図である。
【図11】照明器具の第1改造例を示した説明図である。
【図12】照明器具の第2改造例を示した説明図である。
【図13】照明器具の第3改造例を示した説明図である。
【図14】照明器具の第4改造例を示した説明図である。
【図15】照明器具の第5改造例を示した説明図である。
【図16】照明器具の第6改造例を示した説明図である。
【図17】照明器具の第7改造例を示した説明図である。
【図18】照明器具の第8改造例を示した説明図である。
【図19】配線回路チェック器の変形例を示した説明図である。
【図20】配線回路チェック器の変形例を示した説明図である。
【図21】図19及び図20のブロック図である。
【図22】表示部への表示例を示した説明図である。
【図23】表示部への表示例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1及び図2には、本発明による配線回路チェック器の一実施の形態が示されている。本実施の形態の配線回路チェック器1は、直管形蛍光ランプ(以下、蛍光ランプという。)や直管形LEDランプ(以下、LEDランプという。)を光源として用いる照明装置の照明器具の配線回路のチェックに適用可能なものである。
【0024】
すなわち、本実施の形態の配線回路チェック器1は、例えば、照明装置の光源としての蛍光ランプをLEDランプに代える場合や、照明装置の光源をLEDランプから蛍光ランプに戻す場合等に使用され、照明装置の照明器具の配線回路が使用する蛍光ランプやLEDランプの仕様に対応しているか否かをチェックするのに有効なものである。
【0025】
なお、照明器具45は、図11〜図18に示すように、両端にそれぞれ一対のソケットコンタクト(第1ソケットコンタクト46、第2ソケットコンタクト47、第3ソケットコンタクト48、第4ソケットコンタクト49)を有し、これらのソケットコンタクト(第1ソケットコンタクト46、第2ソケットコンタクト47、第3ソケットコンタクト48、第4ソケットコンタクト49)に本実施の形態の配線回路チェック器1の後述する検出端子(第1検出端子10、第2検出端子11、第3検出端子12、第4検出端子13)を接続することにより、照明器具45に配線回路チェック器1が取り付けられる。
【0026】
本実施の形態の配線回路チェック器1は、図1に示すように、円筒状の本体2と、本体2の両端に設けられる第1口金3及び第2口金6と、第1口金3に設けられる一対の検出端子10、11と、第2口金6に設けられる一対の検出端子12、13と、本体2の内部に設けられるチェック回路15とから構成されている。
【0027】
本体2は、外部から内部を透視可能な透明又は半透明の合成樹脂製又はガラス製の管状部材から形成されるものであって、この本体2の両端にそこを閉塞するように第1口金3及び第2口金6が一体に設けられ、この第1口金3及び第2口金6によって本体2の内部に密閉された空間が形成されている。
【0028】
第1口金3及び第2口金6は、筒状の本体部4、7と、本体部4、7の一端を閉塞する円板状の蓋部5、8とから構成されるものであって、本体部4、7を本体2の端部に嵌合させることにより、本体2の両端部にそれぞれ一体に設けられている。
【0029】
第1口金3の蓋部5には、蓋部5の内外を貫通する一対の孔(図示せず)が設けられ、この孔内に導電材からなる一対のピン状の第1検出端子10及び第2検出端子11が挿着されている。
【0030】
第2口金6の蓋部8には、蓋部8の内外を貫通する一対の孔(図示せず)が設けられ、この孔内に導電材からなる一対のピン状の第3検出端子12及び第4検出端子13が挿着されている。
【0031】
各検出端子10〜14は、両端が蓋部5、8の内外にそれぞれ所定の長さ突出し、各検出端子10〜14の蓋部5、8から内方に突出する部分がそれぞれ本体2の内部のチェック回路15に接続され、各検出端子10〜14の蓋部5、8から外方に突出する部分がそれぞれ照明器具45の各ソケットコンタクト46〜49(図11〜図18参照)に電気的に接続される。
【0032】
なお、本実施の形態においては、配線回路チェック器1を蛍光ランプ及びLEDランプの照明器具45に着脱可能とするために、配線回路チェック器1の各部の寸法を蛍光ランプ及びLEDランプの規格(JIS C7601等)に基づいて設定している。
【0033】
チェック回路15は、検出端子10〜13間の電圧を測定する端子間電圧測定回路16と、各検出端子10〜13の対地電圧を測定する対地電圧測定回路30とを備えている。
【0034】
端子間電圧測定回路16は、第1検出端子10と第2検出端子11との間に印加される電圧を測定する第1回路17と、第3検出端子12と第4検出端子13との間に印加される電圧を測定する第2回路18と、第1検出端子10と第3検出端子12との間に印加される電圧を測定する第3回路19と、第2検出端子11と第4検出端子13との間に印加される電圧を測定する第4回路20と、第1検出端子10と第4検出端子13との間に印加される電圧を測定する第5回路21と、第2検出端子11と第3検出端子12との間に印加される電圧を測定する第6回路22とから構成されている。
【0035】
端子間電圧測定回路16の各回路17〜22で測定した電圧値は、端子間電圧表示部(第1端子間電圧表示部23〜第6端子間電圧表示部28)に表示され、これらの端子間電圧表示部(第1端子間電圧表示部23〜第6端子間電圧表示部28)の表示を目視することにより、各回路17〜22の電圧値を確認することができる。
【0036】
また、端子間電圧表示部(第1端子間電圧表示部23〜第6端子間電圧表示部28)には、各回路17〜22の電圧値が所定の値を超えた場合に点灯又は消灯するランプが設けれ、このランプの点灯又は消灯を目視することにより、各回路17〜22の電圧値が所定の値を超えているか否かを確認することができる。
【0037】
なお、本実施の形態においては、各回路17〜22の電圧値が70Vを超えたときにランプを点灯させ、70Vに満たないときにランプを消灯させているが、各回路17〜22の電圧値が70Vを超えたときにランプを消灯させ、70Vに満たないときにランプを点灯させてもよい。
【0038】
対地電圧測定回路30は、第1検出端子10の対地電圧を測定する第1回路31と、第2検出端子11の対地電圧を測定する第2回路32と、第3検出端子12の対地電圧を測定する第3回路33と、第4検出端子13の対地電圧を測定する第4回路34とから構成されている。
【0039】
対地電圧測定回路30の各回路31〜34で測定した電圧値は、対地電圧表示部(第1対地電圧表示部35〜第4対地電圧表示部38)に表示され、これらの対地電圧表示部(第1対地電圧表示部35〜第4対地電圧表示部38)の表示を目視することにより、各回路31〜34の電圧値を確認することができる。
【0040】
また、対地電圧表示部(第1対地電圧表示部35〜第4対地電圧表示部38)には、各回路31〜34の電圧値が所定の値を超えたときに点灯又は消灯するランプが設けられ、このランプの点灯又は消灯を目視することにより、各回路31〜34の電圧値が所定の値を超えているか否かを確認することができる。
【0041】
なお、本実施の形態においては、各回路31〜34の電圧値が70Vを超えたときにランプを点灯させ、70Vに満たないときにランプを消灯させているが、各回路31〜34の電圧値が70Vを超えたときにランプを消灯させ、70Vに満たないときにランプを点灯させてもよい。
なお、対地電圧表示部(第1対地電圧表示部35〜第4対地電圧表示部38)において、ランプによる点灯又は消灯のみを行うように構成してもよい。
【0042】
図2に、端子間電圧測定回路16及び対地電圧測定回路30の一例を示す。図2において、符号10〜13は検出端子、39は抵抗、40は電圧レベル検出回路、41はランプ、42はコンデンサ、43は電池、44はテストボタンである。
【0043】
なお、端子間電圧測定回路16及び対地電圧測定回路30は、検出端子間10〜13の電圧、及び各検出端子10〜13の対地電圧を測定できるものであれば特に制限はなく、公知の各種の測定器や検電器の回路を用いることができる。
【0044】
そして、上記のように構成した本実施の形態の配線回路チェック器1を用い、対象の照明器具45の配線回路のチェックを行うには、対象の照明器具45の第1ソケットコンタクト46、第2ソケットコンタクト47、第3ソケットコンタクト48、及び第4ソケットコンタクト49に配線回路チェック器1の第1検出端子10、第2検出端子11、第3検出端子12、及び第4検出端子13をそれぞれ接続することにより、対象の照明器具45に配線回路チェック器1を取り付ける。
【0045】
ここで、対象の照明器具45の配線回路の改造例としては、例えば、図11〜図18に示す8つのパターンが考えられる。
【0046】
図11に示す改造例(第1改造例)は、対象の照明器具45の第1ソケットコンタクト46に電圧線R(電位100V、以下、同じ。)を接続し、第2ソケットコンタクト47に接地線N(電位0V、以下、同じ。)を接続し、第1ソケットコンタクト46と第2ソケットコンタクト47との間に電圧(100V、以下、同じ。)を印加するように構成したものである。
【0047】
また、図12に示す改造例(第2改造例)は、第3ソケットコンタクト48に電圧線Rを接続し、第4ソケットコンタクト49に接地線Nを接続し、第3ソケットコンタクト48と第4ソケットコンタクト49との間に電圧を印加するように構成したものである。
【0048】
さらに、図13に示す改造例(第3改造例)は、第1ソケットコンタクト46及び第2ソケットコンタクト47に電圧線Rを接続し、第3ソケットコンタクト48及び第4ソケットコンタクト49に接地線Nを接続し、第1ソケットコンタクト46及び第2ソケットコンタクト47と、第3ソケットコンタクト48及び第4ソケットコンタクト49との間に電圧を印加するように構成したものである。
【0049】
さらに、図14に示す改造例(第4改造例)は、第1ソケットコンタクト46に電圧線Rを接続し、第3ソケットコンタクト48に接地線Nを接続し、第1ソケットコンタクト46と第3ソケットコンタクト48との間に電圧を印加するように構成したものである。
【0050】
さらに、図15に示す改造例(第5改造例)は、第2ソケットコンタクト47に電圧線Rを接続し、第4ソケットコンタクト49に接地線Nを接続し、第2ソケットコンタクト47と第4ソケットコンタクト49との間に電圧を印加するように構成したものである。
【0051】
さらに、図16に示す改造例(第6改造例)は、第1ソケットコンタクト46に電圧線Rを接続し、第4ソケットコンタクト49に接地線Nを接続し、第1ソケットコンタクト46と第4ソケットコンタクト49との間に電圧を印加するように構成したものである。
【0052】
さらに、図17に示す改造例(第7改造例)は、第2ソケットコンタクト47に電圧線Rを接続し、第3ソケットコンタクト48に接地線Nを接続し、第2ソケットコンタクト47と第3ソケットコンタクト48との間に電圧を印加するように構成したものである。
【0053】
さらに、図18に示す改造例(第8改造例)は、第1ソケットコンタクト46に電圧線Rを接続し、第2ソケットコンタクト47に接地線Nを接続し、第3ソケットコンタクト48に電圧線Rを接続し、第4ソケットコンタクト49に接地線Nを接続し、第1ソケットコンタクト46と第2ソケットコンタクト47との間、第3ソケットコンタクト48と第4ソケットコンタクト49との間にそれぞれ電圧を印加するように構成したものである。
【0054】
そして、対象の照明器具45が図11の第1改造例に該当する場合には、図3に示すように、配線回路チェック器1の端子間電圧測定回路16の第1回路17の第1検出端子10と第2検出端子11との間に電圧が印加されることにより、表1に示すように、第1端子間電圧表示部23のランプが点灯するとともに、第1端子間電圧表示部23に測定した電圧が表示される。
【0055】
また、対象の照明器具45が図12の第2改造例に該当する場合には、図4に示すように、配線回路チェック器1の端子間電圧測定回路16の第2回路18の第3検出端子12と第4検出端子13との間に電圧が印加されることにより、表1に示すように、第2端子間電圧表示部24のランプが点灯するとともに、第2端子間電圧表示部24に測定した電圧が表示される。
【0056】
さらに、対象の照明器具45が図13の第3改造例に該当する場合には、図5に示すように、配線回路チェック器1の端子間電圧測定回路16の第3回路19の第1検出端子10と第3検出端子12との間、第4回路20の第2検出端子11と第4検出端子13との間、第5回路21の第1検出端子10と第4検出端子13との間、及び第6回路22の第2検出端子11と第3検出端子12との間に電圧が印加されることにより、表1に示すように、第3端子間電圧表示部25のランプ、第4端子間電圧表示部26のランプ、第5端子間電圧表示部27のランプ、及び第6端子間電圧表示部28のランプがそれぞれ点灯するとともに、それらに測定した電圧がそれぞれ表示される。
【0057】
さらに、対象の照明器具45が図14の第4改造例に該当する場合には、図6に示すように、配線回路チェック器1の端子間電圧測定回路16の第3回路19の第1検出端子10と第3検出端子12との間に電圧が印加されることにより、表1に示すように、第3端子間電圧表示部25のランプが点灯するとともに、第3端子間電圧表示部25に測定した電圧が表示される。
【0058】
さらに、対象の照明器具45が図15の第5改造例に該当する場合には、図7に示すように、配線回路チェック器1の端子間電圧測定回路16の第4回路20の第2検出端子11と第4検出端子13との間に電圧が印加されることにより、表1に示すように、第4端子間電圧表示部26のランプが点灯するとともに、第4端子間電圧表示部26に測定した電圧が表示される。
【0059】
さらに、対象の照明器具45が図16の第6改造例に該当する場合には、図8に示すように、配線回路チェック器1の端子間電圧測定回路16の第5回路21の第1検出端子10と第4検出端子13との間に電圧が印加されることにより、表1に示すように、第5端子間電圧表示部27のランプが点灯するとともに、第5端子間電圧表示部27に測定した電圧が表示される。
【0060】
さらに、対象の照明器具45が図17の第7改造例に該当する場合には、図9に示すように、配線回路チェック器1の端子間電圧測定回路16の第6回路22の第2検出端子11と第3検出端子12との間に電圧が印加されることにより、表1に示すように、第6端子間電圧表示部28のランプが点灯するとともに、第6端子間電圧表示部28に測定した電圧が表示される。
【0061】
さらに、対象の照明器具45が図18の第8改造例に該当する場合には、図10に示すように、配線回路チェック器1の端子間電圧測定回路16の第1回路17の第1検出端子10と第2検出端子11との間、第2回路18の第3検出端子12と第4検出端子13との間、第5回路21の第1検出端子10と第4検出端子13との間、及び第6回路22の第2検出端子11と第3検出端子12との間に電圧が印加されることにより、表1に示すように、第1端子間電圧表示部23のランプ、第2端子間電圧表示部24のランプ、第5端子間電圧表示部27のランプ、第6端子間電圧表示部28のランプがそれぞれ点灯するとともに、それらに測定した電圧がそれぞれ表示される。
【0062】
【表1】

【0063】
従って、配線回路チェック器1の各端子間電圧表示部23〜28の表示を目視し、表1に示す何れの改造例に該当するかを確認することにより、対象の照明器具45の配線回路が何れのパターンに該当するかを特定することができる。
【0064】
また、対象の照明器具45の各ソケットコンタクト46〜49の対地電圧は、配線回路チェック器1を対象の照明器具45に取り付けたときに、対地電圧測定回路30の各対地電圧表示部35〜38の表示を目視し、各対地電圧表示部35〜38のランプが点灯しているか否か、及び表示される電圧値を確認するとともにことにより、対象の照明器具45の各ソケットコンタクト46〜49の対地電圧が70Vを超えるか、或いは70Vに満たないかを確認することができる。
【0065】
従って、電圧線Rと接地線Nとが逆の場合にも対応することができる。また、例えば、図13に示す第3改造例の場合には、電圧線Rが接続される第1ソケットコンタクト46と、電圧線Rが接続される第2ソケットコンタクト47との間の電圧は0Vであるが、これらの対地電圧は100Vとなるので、そのような場合に配線回路のチェックを行う作業者の安全を確保することができる。
【0066】
なお、図19〜図21に示すように、配線回路チェック器1で測定した端子間電圧測定回路16の各回路17〜22で測定した検出端子間10〜13の電圧値、及び対地電圧測定回路30の各回路31〜34で測定した各検出端子10〜13の対地電圧値を測定データとして、無線又は有線によってコンピュータ50の演算部51に送り、この測定データに基づいて演算部51のデータベースに予め格納しておいた図11〜図18のパターンを選定し、図22又は図23に示すように、コンピュータ50の表示部52に表示させるように構成してもよい。なお、図22、図23中、L1は第1検出端子10、L2は第2検出端子11、R1は第3検出端子、R2は第4検出端子を示している。
【0067】
上記のように構成した本実施の形態の配線回路チェック器1にあっては、省エネを目的として、蛍光ランプに代えてLEDランプを使用する場合に、対象の照明器具45の配線回路が使用するLEDランプの仕様に対応しているか否かの確認を、専門的な知識を必要とすることなく、容易に確認することができる。また、LEDランプを蛍光ランプに戻す場合に、対象の照明器具45の配線回路が使用する蛍光ランプの使用に対応しているか否かの確認を、専門的な知識を必要とすることなく、容易に確認することができる。
【0068】
従って、照明器具45に蛍光ランプやLEDランプを取り付ける場合に、専門的な知識を有しない者であっても、照明器具45、蛍光ランプ、及びLEDランプを故障させたり、電源短絡による事故を発生させたりすることなく、安全に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0069】
1 配線回路チェック器
2 本体
3 第1口金
4 本体部
5 蓋部
6 第2口金
7 本体部
8 蓋部
10 第1検出端子
11 第2検出端子
12 第3検出端子
13 第4検出端子
15 チェック回路
16 端子間電圧測定回路
17 第1回路
18 第2回路
19 第3回路
20 第4回路
21 第5回路
22 第6回路
23 第1端子間電圧表示部
24 第2端子間電圧表示部
25 第3端子間電圧表示部
26 第4端子間電圧表示部
27 第5端子間電圧表示部
28 第6端子間電圧表示部
30 対地電圧測定回路
31 第1回路
32 第2回路
33 第3回路
34 第4回路
35 第1対地電圧表示部
36 第2対地電圧表示部
37 第3対地電圧表示部
38 第4対地電圧表示部
39 抵抗
40 電圧レベル検出回路
41 ランプ
42 コンデンサ
43 電池
44 テストボタン
45 照明器具
46 第1ソケットコンタクト
47 第2ソケットコンタクト
48 第3ソケットコンタクト
49 第4ソケットコンタクト
50 コンピュータ
51 演算部
52 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直管形ランプの照明器具の配線回路をチェックする配線回路チェック器であって、
本体と、該本体の両端にそれぞれ設けられるとともに、前記照明器具の両端のソケットコンタクトに電気的に接続される一対の検出端子と、前記本体の内部に設けられるとともに、前記検出端子に電気的に接続されるチェック回路とを備え、
前記チェック回路は、前記本体の各端の検出端子間の電圧、及び前記本体の両端の検出端子間の電圧を測定する端子間電圧測定回路と、前記各検出端子の対地電圧を測定する対地電圧測定回路と、前記端子間電圧測定回路及び前記対地電圧測定回路で測定した結果に基づいた表示を行う表示部とを備えていることを特徴とする配線回路チェック器。
【請求項2】
前記表示部は、前記端子間電圧測定回路、及び前記対地電圧測定回路で測定した電圧値が所定の値を超えた場合に、点灯又は消灯することを特徴とする請求項1に記載の配線回路チェック器。
【請求項3】
前記表示部は、前記端子間電圧測定回路、及び前記対地電圧測定回路が測定した電圧値を表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の配線チェック器。
【請求項4】
前記表示部は、前記端子間電圧測定回路による測定結果、及び前記対地電圧測定回路による測定結果に基づいた前記照明器具の配線回路のパターンを表示するコンピュータであることを特徴とする請求項1に記載の配線回路チェック器。
【請求項5】
前記端子間電圧測定回路は、前記本体の一端側の第1検出端子と第2検出端子との間の電圧を測定する第1回路と、前記本体の他端側の第3検出端子と第4検出端子との間の電圧を測定する第2回路と、前記第1検出端子と前記第3検出端子との間の電圧を測定する第3回路と、前記第2検出端子と前記第4検出端子との間の電圧を測定する第4回路と、前記第1検出端子と前記第4検出端子との間の電圧を測定する第5回路と、前記第2検出端子と前記第3検出端子との間の電圧を測定する第6回路とからなり、
前記対地電圧測定回路は、前記本体の一端側の第1検出端子の対地電圧を測定する第1回路と、第2検出端子の対地電圧を測定する第2回路と、前記本体の他端側の第3検出端子の対地電圧を測定する第3回路と、第4検出端子の対地電圧を測定する第4回路とからなることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の配線回路チェック器。
【請求項6】
前記直管形ランプは、直管形蛍光ランプ及び直管形LEDランプであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の配線回路チェック器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−221663(P2012−221663A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84666(P2011−84666)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】