説明

配線情報管理システム

【課題】 従来の識別タグへの配線情報の書込作業では、書込作業に手間がかかると共に、人為的ミスが生じるおそれがある。
【解決手段】 配線管理端末21が備える入力手段により光コネクタプラグ6aについての配線情報が入力されると、配線管理端末21の情報書込手段は、入力された配線情報をRFIDタグ8aのアンテナ部14に送信し、EEROM13に書き込む。その後、入力手段により入力された配線情報は、ジャンパ光コード7を介して光コネクタプラグ6bに送信され、配線管理端末22が備える情報受信手段によって受信される。配線管理端末22の情報書込手段は、受信した配線情報に基づく光コネクタプラグ6bの配線情報をRFIDタグ8bのアンテナ部14に送信し、EEROM13に書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、識別タグを用いた配線情報管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
通信局舎内や通信局舎間等において、通信装置相互間、通信装置と主配線盤(MDF)端子間、MDF相互間、MDFと中間配線盤(IDF)端子間、またはIDF相互間などを信号伝送線で接続する際には、両端がコネクタ処理されたコネクタ付光ファイバコードやコネクタ付光通信ケーブル(以下、両端コネクタ付コードと記す)などが用いられる。このような両端コネクタ付コードには、配線作業時などに各コードを容易に識別できるように、予め、各コネクタ付近に接続元装置情報、接続先装置情報、回線速度などの配線情報を記載した識別タグを付しておくのが一般的である。従来、このような識別タグとしては、例えば、配線情報を記載した丸札などが用いられ、コード両端のコネクタ付近に結びつけられている。識別タグとして丸札を用いる場合、作業者は、丸札に記載された配線情報を直接目視により確認し、作業対象となる信号伝送線を特定して配線作業を行うことになる。
【0003】
しかし、近年では、いわゆるFTTH(Fiber to the home)サービスなどの情報インフラの整備や情報通信量の増加に伴い、局内における配線の高密度化が進んでおり、信号伝送線の配線作業や接続替え作業などが困難になってきている。例えば、信号伝送線として光ファイバコードを収容する配線盤では、配線盤内の光ファイバコードの収容数が増加すると、配線情報を記載した丸札などが配線盤内で密集してかさばるようになる。従って、これら丸札の配線盤内における収容スペースの確保が次第に困難になると共に、丸札による各光ファイバコードの識別作業も手間がかかるようになってくる。また、このように配線盤内の高密度化が進むと、配線盤での配線作業時に識別タグを確認する際、丸札を取り出すときに丸札のひも部分が誤って光ファイバコードに引っ掛かり、光ファイバコードが曲がってしまうこともある。この場合、光ファイバコードの曲がりに起因する損失から回線障害が発生することもあり、ネットワークの安定性・信頼性に支障をきたすおそれが生じる。
【0004】
そこで、近年では、丸札に代わって、1次元シンボルや2次元シンボルなどのバーコードを用いた識別タグや、ICチップを内蔵した無線周波数識別(Radio Frequency Identification:RFID)タグ(以下、RFIDタグと記す)などを用いて、信号伝送線を識別する方法が採用され始めている。
【0005】
バーコードを用いた識別タグによる配線情報の管理は、データを符号化したバーコードが記載されたラベルを信号伝送線のコネクタ付近に貼り付けることで行われる。バーコードの符号化されたデータは、PC(パーソナル・コンピュータ)等に記憶された信号伝送線の配線情報と1対1に対応付けられており、バーコードリーダによって読み取られることで、配線情報の内容が確認される。信号伝送線の接続替え作業の際には、バーコードの符号化されたデータに対応するPC内の配線情報を書き替えることで、配線情報の更新が行われる。
【0006】
また、RFIDタグによる配線情報の管理は、信号伝送線のコネクタ付近に設けられたRFIDタグが有するICチップ内のメモリに対して、電子化した配線情報データの読み書きを無線で行うことで行われる。例えば、下記の特許文献1には、配線盤識別用の第1のRFIDタグ、トレイ識別用の第2のRFIDタグ、および配線端末部識別用の第3のRFIDタグを備え、リーダ/ライタを用いて各RFIDタグに対する配線情報の読み書きを無線で行う配線管理システムが開示されている。この配線管理システムによれば、丸札などに配線情報を記載して配線管理を行う場合に比べて、配線盤内を整然とさせることができると共に、配線箇所の確認を容易に間違いなく行うことができるようになる。
【0007】
上記のバーコードやRFIDタグなどの識別タグは丸札などに比べて小型化されているので、丸札などのように配線盤内でかさばって配線作業に支障が生じてしまうといったことはない。
【特許文献1】特開2005−204412号公報(段落[0038],[0041]〜[0050])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のようなバーコードを用いた識別タグやRFIDタグは、従来の丸札と同様、信号伝送線の両端のコネクタ付近にそれぞれ取り付け、対象とする1本の信号伝送線の両端の2箇所でそれぞれ対応する配線情報の書込作業を行う必要がある。従って、配線盤内の高密度化などにより信号伝送線の本数が増加すると、対象とする1本の信号伝送線の一端に設けられたコネクタと、対象とする1本の信号伝送線の他端に設けられたコネクタとの対応関係を把握するのが難しくなり、各コネクタ付近に設けられた識別タグに対する配線情報の書込作業に手間がかかるようになる。また、このように配線盤内が高密度化した状態では、対象とする1本の信号伝送線の一端に設けられたコネクタと、対象とする1本の信号伝送線の他端に設けられたコネクタとの対応関係の把握を誤り、1本の信号伝送線の両端の各識別タグに対してそれぞれ異なる配線情報を書き込むといった人為的なミスが生じるおそれもある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、信号伝送線の両端に備えられた各配線接続部を識別する一対の識別タグと、信号伝送線の各配線接続部が接続される配線管理端末とから構成され、
上記各識別タグは、各配線接続部の配線情報が書き込まれる書込部を有し、
上記配線管理端末は、一方の配線接続部についての配線情報が入力される入力手段と、この入力手段によって入力された配線情報を信号伝送線を介して他方の配線接続部に送信する情報送信手段と、この情報送信手段によって送信された配線情報を他方の配線接続部を介して受信する情報受信手段と、入力手段によって入力された配線情報および情報受信手段によって受信した配線情報に基づく他方の配線接続部についての配線情報を書込部に書き込む情報書込手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、一方の配線接続部についての配線情報が入力手段により入力されると、この入力された配線情報が情報送信手段により信号伝送線を介して他方の配線接続部に送信される。信号伝送線の両端の各配線接続部に設けられた各識別タグの書込部には、入力手段によって入力された一方の配線接続部についての配線情報、および情報受信手段によって受信した配線情報に基づく他方の配線接続部についての配線情報が、配線管理端末の情報書込手段によって書き込まれる。このため、入力手段により一方の配線接続部についての配線情報が配線管理端末に入力されるだけで、1本の信号伝送線両端の各識別タグの書込部に対応する配線情報が自動的に書き込まれる。従って、1本の信号伝送線の両端に設けられた各コネクタの対応関係を人手によって把握する必要がなくなるため、信号伝送線の本数が多い場合であっても、手間がかかることなく配線情報の書込作業を行うことができるようになる。また、人為的なミスにより、1本の信号伝送線の両端に設けられた各コネクタの対応関係の把握を誤らなくなるため、配線情報を書き込む際の人為的なミスを防止することができるようになる。
【0011】
また、本発明は、配線管理端末が、入力手段と情報送信手段と情報書込手段とを備えた第1の配線管理端末と、情報受信手段と情報書込手段とを備えた第2の配線管理端末とからなり、
第1の配線管理端末が備える情報書込手段が、一方の配線接続部を識別する識別タグの書込部に、入力手段によって入力された配線情報を書き込み、
第2の配線管理端末が備える情報書込手段が、他方の配線接続部を識別する識別タグの書込部に、情報受信手段によって受信した配線情報に基づく他方の配線接続部についての配線情報を書き込むことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、第1の配線管理端末の入力手段により一方の配線接続部の配線情報が入力されると、一方の配線接続部側の識別タグの書込部に、入力手段によって入力された一方の配線接続部についての配線情報が書き込まれる。また、第1の配線管理端末の入力手段により入力された配線情報は、第1の配線管理端末の情報送信手段により信号伝送線を介して他方の配線接続部に送信され、この送信された配線情報が、第2の配線管理端末の情報受信手段によって受信される。そして、他方の配線接続部側の識別タグの書込部に、この情報受信手段によって受信した一方の配線接続部についての配線情報に基づき、他方の配線接続部の配線情報が書き込まれる。このため、配線情報は、信号伝送線の両端の各配線接続部にそれぞれ異なる第1および第2の配線管理端末が接続された状態で、信号伝送線の両端にある各識別タグの書込部に書き込まれる。従って、既に配線された信号伝送線を配線盤等から取り外すことなく、信号伝送線が配線されたままの状態で容易に配線情報の書込作業を行うことができる。
【0013】
また、本発明は、配線管理端末が、書込部に書き込まれている配線情報を読み込む情報読込手段を備えることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、情報書込手段によって書込部に書き込まれた配線情報が、情報読込手段によって読み込まれる。このため、書込部への配線情報の書込作業の際に、書込部に書き込まれた配線情報を読み込むことで、その識別タグが識別する配線接続部の確認や、読み込まれた配線情報と入力手段により入力された配線情報との照合などを行うことができ、書込部への配線情報の書込作業の精度を高めることができるようになる。
【0015】
また、本発明は、識別タグが、通信部を有するRFIDタグからなり、配線管理端末が、通信部と通信する通信手段を備え、
情報書込手段が、入力手段によって入力された配線情報および情報受信手段によって受信した配線情報に基づく他方の配線接続部についての配線情報を通信手段によって通信部に送信して、書込部に配線情報を書き込んで記憶させることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、入力手段によって入力された配線情報および情報受信手段によって受信した配線情報は、通信手段によってRFIDタグの通信部に無線で送信され、RFIDタグの書込部に書き込まれて記憶される。このため、配線情報は、無線で瞬時に書き込まれるので、配線情報の書込作業が容易になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明による配線情報管理システムによれば、上記のように、配線情報の書込作業が容易になると共に、配線情報を書き込む際の人為的なミスを防止することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0019】
図1は、本実施形態による配線情報管理システムによって配線管理される光配線盤1の構成を示す正面図である。
【0020】
光配線盤1は、26個の線路成端トレイ2からなる線路成端ユニット3が上下方向に6個設けられて構成されている。
【0021】
図2は、この線路成端トレイ2を構成するアダプタモジュール4の正面斜視図である。アダプタモジュール4には、光コネクタアダプタ5が上下方向一列に8個配設されており、このようなアダプタモジュール4が図3に示すように上下一対に配設されて1つの線路成端トレイ2が構成されている。従って、1つの線路成端ユニット3は、横方向に26個の線路成端トレイ2が配設されて構成されているため、合計416(=8×2×26)個の光コネクタアダプタ5を備えている。
【0022】
図3は、図2に示すアダプタモジュール4を上下一対に備えた線路成端トレイ2が密に配設された線路成端ユニット3の一部を示す斜視図である。なお、図3において、図1および図2と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0023】
箱形状の線路成端ユニット3には、26個の線路成端トレイ2が互いに隣接して整然と収納されている。一の線路成端ユニット3における線路成端トレイ2の光コネクタアダプタ5は、これと対応する他の線路成端ユニット3における所定の他の光コネクタアダプタ5とジャンパ光コード7によって接続される。ジャンパ光コード7は、両端に光コネクタプラグ6a,6b(図6参照)を有する光ファイバコードからなる信号伝送線を構成しており、光コネクタプラグ6a,6bは、ジャンパ光コード7の両端に備えられた配線接続部を構成している。
【0024】
このように、光配線盤1では、各線路成端ユニット3間において、対応する一対の光コネクタアダプタ5が複数組、多くのジャンパ光コード7によって接続される。配線接続されたジャンパ光コード7の配線接続の変更は、光コネクタプラグ6a,6bの各光コネクタアダプタ5への挿入位置を変更することによって行われる。
【0025】
また、各線路成端トレイ2上部の線路成端ユニット3の前側面には、各線路成端トレイ2毎、つまり16本のジャンパ光コード7の束毎に、電子化した配線情報データの読み書きを無線で行う一つのRFIDタグ18が取り付けられている。
【0026】
また、各ジャンパ光コード7両端の光コネクタプラグ6a,6b付近には、上記のRFIDタグ18とは別に、一対のRFIDタグ8a,8b(図6参照)が取り付けられている。RFIDタグ8a,8bは、ジャンパ光コード7の両端に備えられた各光コネクタプラグ6a,6bを識別する一対の識別タグを構成している。各RFIDタグ8a,8bのジャンパ光コード7への取付方法としては、図4(a)に示すように、予めRFIDタグ8a,8bに接着または一体成型しておいた弾性を有するバネ体9により、ジャンパ光コード7をその弾性によって挟み込むようにして取り付ける方法がある。また、同図(b)に示すように、結束バンド10を用いてRFIDタグ8a,8bをジャンパ光コード7の周囲に縛り付ける方法もある。この他、粘着テープでジャンパ光コード7の周囲に巻き付けたり、両面粘着テープや面ファスナーでRFIDタグ8a,8bの端面とジャンパ光コード7の外周面とを貼り付けたり係合させて取り付けてもよく、特定の取付方法に限定されることはない。
【0027】
図5は、上記のRFIDタグ8a,8b内部の回路構成の概略を示す図である。
【0028】
各RFIDタグ8a,8bは、光源であるLED(発光ダイオード)11、データの消去および書き込みが可能なEEROM(Electrically Eraseble ROM)13、LED11の発光を制御するCPU(中央演算処理装置)12、および外部と通信するアンテナ部14を有している。各RFIDタグ8a,8bは、自身で電源を備えておらず、後述する各配線管理端末21,22(図6参照)の通信手段から配線情報が送信される際に発生する誘導電磁界を、電源として動作する。
【0029】
CPU12およびアンテナ部14は、各光コネクタプラグ6a,6bの配線情報を受信する通信部を構成している。また、EEROM13は、この通信部が受信した各光コネクタプラグ6a,6bの配線情報が書き込まれる書込部を構成している。本実施形態では、配線情報は、配線接続部である光コネクタプラグ6a,6bが光コネクタアダプタ5を介して接続される接続先の装置の種別情報、光コネクタプラグ6a,6bがジャンパ光コード7,相手方の光コネクタプラグ6a,6bおよび光コネクタアダプタ5を介して接続される相手先の装置の種別情報、ジャンパ光コード7を介して伝送される信号の回線速度情報、およびジャンパ光コード7を介して伝送される信号が経由する接続経路情報などのデータからなる。
【0030】
図6は、RFIDタグ8a,8bの書込部であるEEROM13へ配線情報を書き込むための第1および第2の配線管理端末21,22に、上述したジャンパ光コード7の両端の各光コネクタプラグ6a,6bが接続された状態を示す図である。
【0031】
各RFIDタグ8a,8bへの配線情報の書込作業は、各光コネクタプラグ6a,6bをそれぞれ線路成端ユニット3の光コネクタアダプタ5から抜いて、同図に示すように、第1および第2の配線管理端末21,22に接続した状態で行われる。
【0032】
第1の配線管理端末21は、光コネクタプラグ6aについての配線情報が入力される入力手段を構成する入力操作部と、この入力操作部によって入力された配線情報をジャンパ光コード7を介して光コネクタプラグ6bに送信する情報送信手段を構成する配線情報送信部と、入力操作部によって入力された配線情報をRFIDタグ8aのEEROM13に書き込む情報書込手段を構成する配線情報書込部とを備えている。また、第2の配線管理端末22は、第1の配線管理端末21が備える配線情報送信部によって送信された配線情報を光コネクタプラグ6bを介して受信する情報受信手段を構成する配線情報受信部と、この配線情報受信部によって受信した配線情報に基づく光コネクタプラグ6bについての配線情報をRFIDタグ8bのEEROM13に書き込む情報書込手段を構成する配線情報書込部とを備えている。
【0033】
また、第1の配線管理端末21は、RFIDタグ8aのアンテナ部14からなる上記通信部と通信する通信手段、およびRFIDタグ8aのEEROM13に書き込まれている配線情報を読み込む情報読込手段を構成する配線情報読込部を備えている。第2の配線管理端末22も、第1の配線管理端末21と同様に、RFIDタグ8bの上記通信部と通信する通信手段、およびRFIDタグ8bのEEROM13に書き込まれている配線情報を読み込む情報読込手段を構成する配線情報読込部を備えている。
【0034】
本実施形態では、第1の配線管理端末21が備える情報書込手段は、第1の配線管理端末21が備える入力操作部によって入力された配線情報を、通信手段によってRFIDタグ8aのアンテナ部14に送信して、RFIDタグ8aのEEROM13にこの送信した配線情報を書き込んで記憶させる。また、第2の配線管理端末22が備える情報書込手段は、第2の配線管理端末22が備える情報受信手段によって受信した配線情報に基づく光コネクタプラグ6bについての配線情報を、通信手段によってRFIDタグ8bのアンテナ部14に送信して、RFIDタグ8bのEEROM13にこの送信した配線情報を書き込んで記憶させる。
【0035】
上記の構成において、各RFIDタグ8a,8bのEEROM13への配線情報の書き込みは、以下のようにして行われる。
【0036】
まず始めに、第1の配線管理端末21が備える入力操作部により光コネクタプラグ6aについての配線情報が入力されると、第1の配線管理端末21が備える情報書込手段は、入力された配線情報を、RFIDタグ8aのアンテナ部14に送信し、そのEEROM13に書き込む。このとき、RFIDタグ8aのEEROM13には、図6の下方左側の矩形状枠内に示すように、光コネクタプラグ6aが光コネクタアダプタ5を介して接続される接続先の装置の種別情報として“装置A”、光コネクタプラグ6aがジャンパ光コード7,相手方の光コネクタプラグ6bおよび光コネクタアダプタ5を介して接続される相手先の装置の種別情報として“装置B”、回線速度情報として“2.4G[bps]”、および接続経路情報として“東京第2右”といった配線情報データが書き込まれる。
【0037】
第1の配線管理端末21が備える入力操作部により入力された配線情報は、上記のようにしてRFIDタグ8aのEEROM13に書き込まれると共に、ジャンパ光コード7を介して光搬送波と共に光コネクタプラグ6bに送信され、第2の配線管理端末22が備える配線情報受信部によって受信される。第2の配線管理端末22が備える情報書込手段は、受信した配線情報に基づいて得られる光コネクタプラグ6bについての配線情報を、RFIDタグ8bのアンテナ部14に送信し、そのEEROM13に書き込む。このとき、RFIDタグ8bのEEROM13には、図6の下方右側の矩形状枠内に示すように、光コネクタプラグ6bが光コネクタアダプタ5を介して接続される接続先の装置の種別情報として“装置B”、光コネクタプラグ6bがジャンパ光コード7,相手方の光コネクタプラグ6aおよび光コネクタアダプタ5を介して接続される相手先の装置の種別情報として“装置A”、回線速度情報として“2.4G[bps]”、および接続経路情報として“東京第2右”といった配線情報データが書き込まれる。
【0038】
また、新規配線の配線接続確認や、配線接続を変更する際には、図示しないタグリーダ/ライタによって各ジャンパ光コード7の両端に取り付けられたRFIDタグ8a,8bに問い合わせ信号が送信される。この問い合わせ信号が有する固有配線情報と一致する配線情報を持つRFIDタグ8a,8bのLED11は発光するので、この発光を頼りに、目的とする光コネクタプラグ6a,6bを探し出して特定することができる。特定された光コネクタプラグ6a,6bは、それぞれ光コネクタアダプタ5から抜かれて第1および第2の配線管理端末21,22に差し込まれる。そして、各RFIDタグ8a,8bのEEROM13に書き込まれた配線情報は、各配線管理端末21,22がそれぞれ備える配線情報読込部によって読み込まれ、各配線管理端末21,22により、この読み込まれた各RFIDタグ8a,8bがそれぞれ識別する各光コネクタプラグ6a,6bの確認や、読み込まれた配線情報と入力操作部によって入力された配線情報との照合を行うことができる。
【0039】
このような本実施形態による配線情報管理システムによれば、上述したように、光コネクタプラグ6aについての配線情報が入力操作部により入力されると、この入力された配線情報が配線情報送信部によりジャンパ光コード7を介して光コネクタプラグ6bに送信される。ジャンパ光コード7の両端の各光コネクタプラグ6a,6bの付近に設けられた各RFIDタグ8a,8bのEEROM13には、入力操作部によって入力された光コネクタプラグ6aについての配線情報、および配線情報受信部によって受信した配線情報に基づく光コネクタプラグ6bについての配線情報が、それぞれ各配線管理端末21,22の配線情報書込部によって書き込まれる。このため、入力操作部により光コネクタプラグ6aについての配線情報が配線管理端末21に入力されるだけで、1本のジャンパ光コード7両端の各RFIDタグ8a,8bのEEROM13に、対応する配線情報が自動的に書き込まれる。従って、1本のジャンパ光コード7の両端に設けられた各光コネクタプラグ6a,6bの対応関係を人手によって把握する必要がなくなるため、ジャンパ光コード7の本数が多い場合であっても、手間がかかることなく配線情報の書込作業を行うことができるようになる。また、人為的なミスにより、1本のジャンパ光コード7の両端に設けられた各光コネクタプラグ6a,6bの対応関係の把握を誤らなくなるため、各RFIDタグ8a,8bに配線情報を書き込む際の人為的なミスを防止することができるようになる。
【0040】
また、本実施形態では、配線管理端末21の入力操作部により光コネクタプラグ6aの配線情報が入力されると、RFIDタグ8aのEEROM13に、入力操作部によって入力された配線情報が書き込まれる。また、配線管理端末21の入力操作部により入力された配線情報は、配線管理端末21の配線情報送信部によりジャンパ光コード7を介して光コネクタプラグ6bに送信され、この送信された配線情報が、配線管理端末22の配線情報受信部によって受信される。そして、光コネクタプラグ6b側のRFIDタグ8bのEEROM13に、この配線情報受信部によって受信した配線情報に基づき、光コネクタプラグ6bの配線情報が書き込まれる。このため、配線情報は、ジャンパ光コード7の両端の各光コネクタプラグ6a,6bにそれぞれ異なる配線管理端末21,22が接続された状態で、ジャンパ光コード7の両端にある各RFIDタグ8a,8bのEEROM13に書き込まれる。従って、既に配線されたジャンパ光コード7を光配線盤1から取り外すことなく、ジャンパ光コード7が配線されたままの状態で容易に配線情報の書込作業を行うことができる。
【0041】
また、本実施形態では、各RFIDタグ8a,8bのEEROM13に書き込まれた配線情報は、各配線管理端末21,22の配線情報読込部によってそれぞれ読み込まれる。このため、各RFIDタグ8a,8bのEEROM13への配線情報の書込作業の際に、EEROM13に書き込まれた配線情報を読み込むことで、この読み込まれた各RFIDタグ8a,8bがそれぞれ識別する各光コネクタプラグ6a,6bの確認や、読み込まれた配線情報と入力操作部により入力された配線情報との照合などを行うことができ、EEROM13への配線情報の書込作業の精度を高めることができるようになる。
【0042】
また、本実施形態では、各識別タグ8a,8bが、アンテナ部14からなる通信部を有し、配線管理端末21の入力操作部によって入力された配線情報、および配線管理端末22の配線情報受信部によって受信した配線情報は、各配線管理端末21,22の通信手段によって各RFIDタグ8a,8bのアンテナ部14に無線で送信され、各EEROM13に書き込まれて記憶される。このため、配線情報は、無線で瞬時にEEROM13に書き込まれるので、配線情報の書込作業が容易になる。
【0043】
なお、上記実施形態においては、識別タグとしてRFIDタグ8a,8bを用いた場合を説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、識別タグとして、RFIDタグ8a,8bの代わりに、1次元シンボルや2次元シンボルなどのバーコードを用いた識別タグを使用し、配線情報が入力されると、配線管理端末が、配線情報を示すバーコードが記載されたラベルを各光コネクタプラグ6a,6b付近に自動的に貼り付けたり、配線情報を示すバーコードを各光コネクタプラグ6a,6b付近のジャンパ光コード7の外周面に直接印刷するといった構成とすることも可能である。
【0044】
また、上記実施形態においては、各配線管理端末21,22が情報読込手段を備え、入力手段により入力された配線情報と、情報読込手段により読み込まれた配線情報との照合が行われる場合を説明したが、このような照合作業が行われない構成とすることも可能である。
【0045】
また、上記実施形態においては、配線管理端末が互いに異なる2つの配線管理端末21,22からなる場合を説明したが、本発明はこれに限られるものではない。
【0046】
例えば、配線管理端末が、1台の端末からなり、上述した各配線管理端末21,22が有する双方の手段、つまり、一方の光コネクタプラグ6aについての配線情報が入力される入力手段と、この入力手段によって入力された配線情報をジャンパ光コード7を介して他方の光コネクタプラグ6bに送信する情報送信手段と、この情報送信手段によって送信された配線情報を他方の光コネクタプラグ6bを介して受信する情報受信手段と、入力手段によって入力された一方の光コネクタプラグ6aについての配線情報および情報受信手段によって受信した配線情報に基づく他方の光コネクタプラグ6bについての配線情報を、各RFIDタグ8a,8bのEEROM13に書き込む情報書込手段とを備えた構成とすることも可能である。
【0047】
また、この同じ配線管理端末を2台ジャンパ光コード7の両端に取り付ける構成とすることも可能である。
【0048】
これらの構成においても、1本のジャンパ光コード7両端の各RFIDタグ8a,8bのEEROM13に、対応する配線情報は自動的に書き込まれ、上記実施形態と同様の効果が奏される。
【0049】
また、上記実施形態においては、異なる配線管理端末21,22を用いることにより、配線情報が、RFIDタグ8aのEEROM13に書き込まれた後でRFIDタグ8bのEEROM13に書き込まれる場合を説明したが、各RFIDタグ8a,8bのEEROM13に配線情報が書き込まれる順序は適宜変更可能である。
【0050】
例えば、同じ端末を2台ジャンパ光コード7の両端に取り付ける構成の場合、一方の端末に入力された配線情報を他方の端末に送信し、これを受信した端末が、光コネクタプラグ6bを識別するRFIDタグ8bに、受信した情報に基づく光コネクタプラグ6bの配線情報を書き込む。その後、入力された配線情報がジャンパ光コード7を介して光搬送波と共に返信され、返信された配線情報を受信した端末が、光コネクタプラグ6aを識別するRFIDタグ8aに、受信した配線情報を書き込む。このように構成しても、上記実施形態と同様な作用効果が奏される。
【産業上の利用可能性】
【0051】
上記実施形態においては、本発明による配線情報管理システムを、信号伝送線として光ファイバコードを用いる光配線盤に適用した場合について説明したが、このような光ファイバコード以外の例えばメタルケーブルなどを用いて電気信号を伝搬する他の配線盤などにも適用可能である。このような場合においても、上記実施形態と同様な作用効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態による配線情報管理システムによって配線管理された光配線盤の正面図である。
【図2】図1に示す光配線盤の線路成端トレイを構成するアダプタモジュールの正面斜視図である。
【図3】図2に示すアダプタモジュールを上下一対に備えた線路成端トレイが密に配設された線路成端ユニットの一部を示す斜視図である。
【図4】(a)はRFIDタグがバネ体によってジャンパ光コードに取り付けられている状態を示す図であり、(b)はRFIDタグが結束バンドによってジャンパ光コードに取り付けられている状態を示す図である。
【図5】図3,図4に示すRFIDタグの内部の回路構成の概略を示す図である。
【図6】配線管理端末に、ジャンパ光コードの両端の各光コネクタプラグが接続された状態を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1…光配線盤
2…線路成端トレイ
3…線路成端ユニット
4…アダプタモジュール
5…光コネクタアダプタ
6a,6b…光コネクタプラグ
7…ジャンパ光コード
8a,8b…無線周波数識別タグ(RFIDタグ)
9…バネ体
10…結束バンド
11…LED
12…CPU
13…EEROM
14…アンテナ部
21,22…配線管理端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号伝送線の両端に備えられた各配線接続部を識別する一対の識別タグと、
前記信号伝送線の前記各配線接続部が接続される配線管理端末とから構成され、
前記各識別タグは、前記各配線接続部の配線情報が書き込まれる書込部を有し、
前記配線管理端末は、一方の前記配線接続部についての前記配線情報が入力される入力手段と、この入力手段によって入力された前記配線情報を前記信号伝送線を介して他方の前記配線接続部に送信する情報送信手段と、この情報送信手段によって送信された前記配線情報を他方の前記配線接続部を介して受信する情報受信手段と、前記入力手段によって入力された前記配線情報および前記情報受信手段によって受信した前記配線情報に基づく他方の前記配線接続部についての前記配線情報を前記書込部に書き込む情報書込手段とを備えることを特徴とする配線情報管理システム。
【請求項2】
前記配線管理端末は、前記入力手段と前記情報送信手段と前記情報書込手段とを備えた第1の配線管理端末と、前記情報受信手段と前記情報書込手段とを備えた第2の配線管理端末とからなり、
前記第1の配線管理端末が備える前記情報書込手段は、一方の前記配線接続部を識別する前記識別タグの前記書込部に、前記入力手段によって入力された前記配線情報を書き込み、
前記第2の配線管理端末が備える前記情報書込手段は、他方の前記配線接続部を識別する前記識別タグの前記書込部に、前記情報受信手段によって受信した前記配線情報に基づく他方の前記配線接続部についての前記配線情報を書き込むことを特徴とする請求項1に記載の配線情報管理システム。
【請求項3】
前記配線管理端末は、前記書込部に書き込まれている前記配線情報を読み込む情報読込手段を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の配線情報管理システム。
【請求項4】
前記識別タグは、通信部を有する無線周波数識別タグからなり、
前記配線管理端末は、前記通信部と通信する通信手段を備え、
前記情報書込手段は、前記入力手段によって入力された前記配線情報および前記情報受信手段によって受信した前記配線情報に基づく他方の前記配線接続部についての前記配線情報を前記通信手段によって前記通信部に送信して、前記書込部に前記配線情報を書き込んで記憶させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の配線情報管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−221316(P2007−221316A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−37742(P2006−37742)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(000205661)大崎電気工業株式会社 (61)
【Fターム(参考)】