説明

配線盤の組み立て方法及びプレス型

【課題】組み立てにかかる手間を減少でき、組み立てにかかる所要時間を短縮できる配線盤の組み立て方法を提供することにある。
【解決手段】ステップS1でプレス型の下型に着脱型をセットする。ステップS2で着脱型に板金をセットする。ステップS3で板金にせん断加工を施してバスバに成型する。ステップS4でバスバに一方の絶縁カバーを被せる。ステップS5でバスバと一方の絶縁カバーをひっくり返す。ステップS6で着脱型を下型から取り外す。ステップS7でバスバに他方の絶縁カバーを被せる。ステップS8で一対の絶縁カバー同士を固定して配線盤を組み立てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、バスバと該バスバを収容する一対の絶縁カバーとを備えた電気接続箱の配線盤を組み立てる配線盤の組み立て方法及び配線盤を組み立てる際に用いられるプレス型に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車には、種々の電子機器が搭載される。前述した自動車は、前述した電子機器に電力などを供給するために、電気接続箱を適宜箇所に対置してきた。なお、この電気接続箱は、ジャックションブロック、ヒューズブロック、リレーボックスなどとも呼ばれる。
【0003】
前述した電気接続箱は、ヒューズ、リレー及びワイヤハーネスのコネクタなどを装着する箱本体と、この箱本体内に収容される配線盤などを備えている。配線盤は、導電性の板金などからなるバスバと、前記バスバの大部分を収容する一対の絶縁カバーと、を備えている。
【0004】
配線盤は、前述したバスバが、前記コネクタの各端子と、ヒューズ及びリレーとを、予め定められたパターンにしたがって、互いに接続する。前述した絶縁カバーは、前記バスバ同士が電気的に短絡することを防止する。前述した電気接続箱は、バスバにより、ワイヤハーネスの各電線と、ヒューズ及びリレーとを予め定められたパターンにしたがって、電気的に接続することで、前述した各電子機器に所望の電力を供給するようになっている。
【0005】
また、前述したバスバは、板金などにせん断加工などが施されて得られる。前述したバスバは、前述したコネクタの各端子とヒューズ及びリレーとを予め定められたパターンにしたがって接続するために、互いに絶縁された(間隔をあけて配された)導電片などを複数備えている。導電片は、前述した板金にせん断加工が施された際に、互いに分離されて、互いに電気的に絶縁される。
【0006】
前述した配線盤は、前述した板金などにせん断加工を施した後、該せん断加工により成形されたバスバの導電片などを前述した一方の絶縁カバーの所定の位置に位置決めした後、絶縁カバー同士を固定して組み立てられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した配線盤は、前述した板金などにせん断加工を施した後、該せん断加工により成形されたバスバの導電片などを一方の絶縁カバーの所定の位置に位置決めする。このため、前述した従来の配線盤の組み立て方法は、互いに別体となった複数の導電片を、それぞれ、一方の絶縁カバーに位置決めする必要が生じ、組み立てにかかる手間が増加して、組み立てにかかる所要時間が長時間化する傾向であった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、組み立てにかかる手間を減少でき、組み立てにかかる所要時間を短縮できる配線盤の組み立て方法及びプレス型を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の配線盤の組み立て方法は、導電性の板金にせん断加工を施して得られるバスバと、前記バスバの少なくとも一部を互いの間に挟む一対の絶縁カバーと、を備えた配線盤の組み立て方法において、第1の金型と、この第1の金型に接離自在に設けられた第2の金型と、前記第1の金型と前記第2の金型のうち一方に着脱自在でかつ前記板金とバスバとの双方を保持可能な着脱型と、を備えたプレス型を用いるとともに、前記着脱型上に位置付けられた前記板金に前記せん断加工を施して、前記板金を前記バスバに成型した後、前記着脱型上に前記バスバを位置付けた状態で前記一対の絶縁カバーのうち一方の絶縁カバーを重ね、前記一方の絶縁カバーと前記バスバとをひっくり返して、前記バスバに他方の絶縁カバーを重ねて、前記バスバを前記一対の絶縁カバー間に挟んで、これら一対の絶縁カバー同士を互いに固定することを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の本発明の配線盤の組み立て方法は、導電性の板金にせん断加工を施して得られるバスバと、前記バスバの少なくとも一部を互いの間に挟む一対の絶縁カバーと、を備えた配線盤の組み立て方法において、第1の金型と、この第1の金型に接離自在に設けられた第2の金型と、前記第1の金型と前記第2の金型のうち一方に着脱自在でかつ前記板金とバスバとの双方を保持可能な着脱型と、を備えたプレス型を用いるとともに、前記着脱型を前記第1の金型と前記第2の金型のうち一方に取り付ける工程と、前記板金を前記第1の金型と前記第2の金型のうち一方に取り付けられた前記着脱型上に載置する工程と、前記第1の金型と前記第2の金型とを互いに近づけて、前記板金にせん断加工を施して、前記板金を前記バスバに成型する工程と、前記着脱型に載置されたバスバに前記一対の絶縁カバーのうちの一方の絶縁カバーを被せる工程と、前記着脱型上のバスバと一方の絶縁カバーとを、前記一方の絶縁カバーが前記着脱型と前記バスバとの間に挟まれるように、反転する工程と、前記バスバに前記一対の絶縁カバーのうちの他方の絶縁カバーを被せる工程と、前記一対の絶縁カバー同士を固定する工程と、を含むことを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の本発明の配線盤の組み立て方法は、請求項1又は請求項2に記載の配線盤の組み立て方法において、前記一対の絶縁カバー同士を、熱溶着により互いに固定することを特徴としている。
【0012】
請求項4に記載の本発明のプレス型は、導電性の板金にせん断加工を施して得られるバスバと、前記バスバの少なくとも一部を互いの間に挟む一対の絶縁カバーと、を備えた配線盤を組み立る際に用いられるプレス型において、第1の金型と、この第1の金型に接離自在に設けられた第2の金型と、前記第1の金型と前記第2の金型のうち一方に着脱自在でかつ前記板金とバスバとの双方を保持可能な着脱型と、を備えたことを特徴としている。
【0013】
請求項5に記載の本発明のプレス型は、請求項4に記載のプレス型において、板金及びバスバと、前記一対の絶縁カバーのうち一方の絶縁カバーと、のそれぞれに、互いに重なると互いに連通する孔が設けられ、前記着脱型は、前記板金及びバスバと前記一方の絶縁カバーとのそれぞれに設けられた孔内に侵入して、前記着脱型に前記板金及びバスバと前記一方の絶縁カバーとを位置決めする突起を備えたことを特徴としている。
【0014】
請求項1に記載の本発明の配線盤の組み立て方法によれば、板金にせん断加工を施した後、着脱型上でバスバに一方の絶縁カバーを重ねる。このため、一方の絶縁カバーに、せん断加工により互いに別体となったバスバの導電片を一つずつ位置決めする必要が生じない。
【0015】
請求項2に記載の本発明の配線盤の組み立て方法によれば、板金にせん断加工を施して該板金をバスバに成型した後、着脱型上に載置されたバスバに一方の絶縁カバーを重ねる。このため、一方の絶縁カバーに、せん断加工により互いに別体となったバスバの導電片を一つずつ位置決めする必要が生じない。
【0016】
請求項3に記載の本発明の配線盤の組み立て方法によれば、一対の絶縁カバーを熱溶着により互いに固定するので、一対の絶縁カバー同士を固定するために、これら一対の絶縁カバーの他に部品を設ける必要が生じない。
【0017】
請求項4に記載の本発明のプレス型によれば、着脱型が板金とバスバとの双方を保持可能であるので、着脱型に保持されたバスバに一方の絶縁カバーを取り付けることができる。このため、一方の絶縁カバーに、せん断加工により互いに別体となったバスバの導電片を一つずつ位置決めする必要が生じない。
【0018】
請求項5に記載の本発明のプレス型によれば、着脱型が板金及びバスバと一方の絶縁カバーを位置決めする突起を備えている。このため、着脱型上でバスバと一方の絶縁カバーとを位置決めすることができる。したがって、着脱型上で一方の絶縁カバーにバスバの各導電片などを位置決めすることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように請求項1に記載の本発明は、一方の絶縁カバーに、せん断加工により互いに別体となったバスバの導電片を一つずつ位置決めする必要が生じない。このため、一方の絶縁カバーにバスバを取り付けるためにかかる手間を減少でき、該一方の絶縁カバーにバスバを取り付けるためにかかる所要時間を短縮できる。
【0020】
請求項2に記載の本発明は、一方の絶縁カバーに、せん断加工により互いに別体となったバスバの導電片を一つずつ位置決めする必要が生じない。このため、一方の絶縁カバーにバスバを取り付けるためにかかる手間を減少でき、該一方の絶縁カバーにバスバを取り付けるためにかかる所要時間を短縮できる。
【0021】
請求項3に記載の本発明は、一対の絶縁カバーを熱溶着により互いに固定するので、一対の絶縁カバー同士を固定するために、これら一対の絶縁カバーの他に部品を設ける必要が生じない。したがって、配線盤の部品点数の増加を防止でき、該配線盤のコストの高騰を防止できる。
【0022】
請求項4に記載の本発明は、一方の絶縁カバーに、せん断加工により互いに別体となったバスバの導電片を一つずつ位置決めする必要が生じない。このため、一方の絶縁カバーにバスバを取り付けるためにかかる手間を減少でき、該一方の絶縁カバーにバスバを取り付けるためにかかる所要時間を短縮できる。
【0023】
請求項5に記載の本発明は、着脱型上で一方の絶縁カバーにバスバの各導電片などを位置決めすることができる。このため、一方の絶縁カバーにバスバを取り付けるためにかかる手間を減少でき、該一方の絶縁カバーにバスバを取り付けるためにかかる所要時間を短縮できるとともに、一方の絶縁カバーに正確にバスバを位置決めでき、所望の配線盤を確実に組み立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態を、図1ないし図24に基づいて説明する。本発明の一実施形態は、図1に示す電気接続箱2の配線盤6を組み立てる方法である。
【0025】
電気接続箱2は、図1に示すように、箱本体4と、コネクタブロック5と、一対の配線盤6とを備えている。箱本体4は、箱状に形成されている。箱本体4には、ヒューズ7a、ヒュージブルリンク7bやリレー7cなどの電気部品を装着する電気部品装着部8が複数設けられている。図示例では、電気部品装着部8は、箱本体4の上部に設けられている。
【0026】
コネクタブロック5は、箱本体4に着脱自在である。コネクタブロック5は、図示例では、箱本体4の下部に取り付けられる。コネクタブロック5は、自動車に配索される図示しないワイヤハーネスのコネクタが嵌合するコネクタ嵌合部9を複数備えている。前記ワイヤハーネスは、勿論、複数の電線と、該電線の端部などに取り付けられたコネクタなどを備えている。ワイヤハーネスは、自動車に配索されて、該自動車に搭載される複数の電子機器や前述した電気接続箱2のコネクタブロック5のコネクタ嵌合部9にコネクタが勘合して、電子機器同士や該電子機器と電気接続箱2のヒューズ7a、ヒュージブルリンク7bやリレー7cなどの電気部品とを予め定められたパターンにしたがって電気的に接続する。
【0027】
配線盤6は、箱本体4内に収容される。配線盤6は、それぞれ、バスバ3を少なくとも備えている。一対の配線盤6のうち図1中奥側に位置する一方の配線盤6(以下、符号6aで示す)は、図2及び図4に示すように、前述したバスバ3(以下、符号3aで示す)と、一対の絶縁カバー10とを備えている。また、一対の配線盤6のうちの図1中手前側に位置する他方の配線盤6(以下、符号6bで示す)は、前述したバスバ3(以下、符号3bで示す)のみを備えている。
【0028】
バスバ3a,3bは、導電性の板金11(図6に示す)からなり、該板金11に打ち抜き加工などのせん断加工などのプレス加工を施して得られる。バスバ3aは、図3ないし図5に示すように、互いに別体の複数の導電片12からなる。導電片12は、前述した板金11の一部が打ち抜かれて(せん断加工されて)、得られる。導電片12は、それぞれ、所望の形状に屈曲した又は直線状の帯板状に形成されている。
【0029】
導電片12は、配線盤6aの中央寄りの位置する導電片本体13と、この導電片本体13の図1中の上下に位置する両縁に設けられた複数の端子部14と、を一体に備えている。導電片12は、前述した端子部14を少なく一つ備えている。端子部14は、導電片本体13と面一に形成されている。端子部14は、配線盤6aが箱本体4内に収容されると電気部品装着部8及びコネクタ嵌合部9内に位置する。端子部14は、前述したヒューズ7a、ヒュージブルリンク7b、リレー7c及びコネクタの端子と接続する。また、複数の導電片12のうち一部には、孔15が設けられている。
【0030】
絶縁カバー10は、それぞれ、絶縁性の合成樹脂からなり、平板状に形成されている。絶縁カバー10は、バスバ3a,3b同士を電気的に絶縁する。一対の絶縁カバー10のうちの図2及び図4中手前側の一方の絶縁カバー10(以下、符号10aで示す)は、該一方の絶縁カバー10aにバスバ3aが重なると、前記バスバ3aの孔15と連通する則ち合致する孔16を備えている。孔16は、勿論、一方の絶縁カバー10aを貫通している。
【0031】
また、一対の絶縁カバー10のうち図2及び図4中奥側の他方の絶縁カバー10(以下、符号10bで示す)は、前記バスバ3aの孔15と前記一方の絶縁カバー10aの孔16との双方に侵入可能なボス17を備えている。ボス17は、前述した他方の絶縁カバー10bから立設している。前述したボス17は、孔15,16内に侵入して、バスバ3aと一対の絶縁カバー10a,10bとを互いに位置決めする。
【0032】
また、ボス17は、前述した孔15,16内に侵入すると、その先端が前述した一方の絶縁カバー10aから突出する。ボス17の先端は、前述した孔15,16内に侵入して一方の絶縁カバー10aから突出した状態で、加熱されたかしめ工具18(図22に示す)が押し付けられて、押しつぶされる。こうして、一対の絶縁カバー10a,10b同士が固定される。このように、一対の絶縁カバー10a,10bは、所謂熱かしめ則ち熱溶着により、互いに固定される。
【0033】
一対の配線盤6a,6bのうち一方の配線盤6aは、バスバ3aの前述した導電片12の導電片本体13が一対の絶縁カバー10a,10b間に挟まれている。前述した一方の配線盤6aのバスバ3aの端子部14は、前述した一対の絶縁カバー10a,10b間に挟まれることなく、該一対の絶縁カバー10a,10b外に露出している。このため、一対の絶縁カバー10a,10bは、前記バスバ3aの少なくとも一部を互いの間に挟む。
【0034】
また、他方の配線盤6bは、前述したバスバ3bのみ備え、該バスバ3bが剥き出しとなっている。バスバ3bは、図1に示すように、平板状のバスバ本体30と、前述した複数の端子部14と、を一体に備えている。端子部14は、バスバ本体30の図1中上下に位置する縁に設けられている。端子部14は、バスバ本体30と面一に形成されている。端子部14は、他方の配線盤6bが箱本体4内に収容されると電気部品装着部8及びコネクタ嵌合部9内に位置する。端子部14は、前述したヒューズ7a、ヒュージブルリンク7b、リレー7c及びコネクタの端子と接続する。
【0035】
前述した構成の配線盤6a,6bは、箱本体4内に収容されると、前述した端子部14が、ヒューズ7a、ヒュージブルリンク7b及びリレー7cの端子やワイヤハーネスのコネクタの端子と接続する。こうして、配線盤6a,6b則ち電気接続箱2は、ヒューズ7a、ヒュージブルリンク7b及びリレー7cなどの電気部品と、ワイヤハーネスの各電線とを予め定められたパターンにしたがって電気的に接続する。
【0036】
前述した構成のバスバ3aは、図6に示す平面形状が矩形状の板金11に打ち抜き加工などのせん断加工(プレス加工ともいう)を施して、図7に示す板金19に成型し、さらに、図7に示す板金19に打ち抜き加工などのせん断加工や曲げ加工(プレス加工ともいう)を施して得られる。図7に示す板金19は、前述した複数の導電片12と、前述した複数の導電片12を囲む枠部20と、導電片12同士に連なり又は導電片12と枠部20とに連なる連結片21と、を備えている。板金19は、導電片12と枠部20と連結片21以外の部分が、前述した板金11から除去されて、形成されている。さらに、板金19には、前述した孔15が形成されている。
【0037】
図7に示す前述した板金19は、該板金19から枠部20と連結片21とが除去されて、前述したバスバ3aに成型される。このように、バスバ3aは、図6及び図7に示す板金11,19に、少なくとも1回のせん断加工などのプレス加工を施して、得られる。なお、本発明でいうバスバ3aに成型される板金11,19とは、完成品のバスバ3a以外の原材料となる平板状の板金11と、中間製品の板金19との双方を示している。
【0038】
前述したバスバ3aは、図8に示すプレス装置1を用いることで、図7に示す板金19から不要部分が除去されるとともに、一対の絶縁カバー10a,10bが取り付けられて、配線盤6aに組み立てられる。
【0039】
プレス装置1は、図8に示すように、図示しない装置本体と、図示しないスライドベースと、図示しないプレス機と、プレス型22とを備えている。
【0040】
装置本体は、工場のフロア上などに設置される。スライドベースは、装置本体に水平方向に沿って、移動自在に支持されている。プレス機は、スライドベースの上方などに配され、プレス型22の後述する上型24を昇降させて、該上型24を下型23に接離させる。
【0041】
プレス型16は、図8に示すように、第1の金型としての下型23と、第2の金型としての上型24と、着脱型25とを備えている。下型23は、金属からなり、厚手の平板状に形成されている。下型23は、スライドベースの上面に取り付けられている。下型23は、上型24の下方に位置して該上型24と相対する加工位置と、上型24の下方から抜け出る作業位置とに亘って、水平方向に沿って移動自在である。また、下型23の上面には、着脱型25を着脱自在とする着脱部26が設けられている。
【0042】
上型24は、金属からなり、厚手の平板状に形成されている。上型24は、前述した加工位置の下型23の上方に配されている。上型24は、前述したプレス機により、昇降自在則ち加工位置の下型23に接離自在に設けられている。なお、接離とは、互いに近づいたり離れることを示している。上型24は、下型23に近づいて、該下型23との間に前述した板金19を挟み、該板金19の枠部20と連結片21を除去して、該板金19をバスバ3aに成型する。
【0043】
また、上型24は、着脱型25の外形に沿った凹み27を備えている。凹み27は、勿論、上型24の下型23と相対する表面から凹に形成されている。凹み27は、下型23と上型24とが互いに近づいた際に、内側に着脱型25などを侵入させて、前述した着脱型25が破損することを防止する。
【0044】
着脱型25は、図8に示すように、厚手の平板状の本体部28と、この本体部28から立設した複数の突起29と、を備えている。本体部28則ち着脱型25は、下型23の着脱部26に取り付けられる。
【0045】
突起29は、円柱状に形成され、かつ前記本体部28から上型24に向かって立設している。突起29は、前述した他方の絶縁カバー10bのボス17則ち一方の絶縁カバー10aの孔16とバスバ3aの孔15に対応する位置(合致する位置)に配されている。突起29は、板金19の孔15、該板金19から成型されるバスバ3aの孔15及び前述した一方の絶縁カバー10aの孔16内に侵入して、前述した板金19、バスバ3a及び一方の絶縁カバー10aを本体部28則ち着脱型25に位置決めする。
【0046】
前述した着脱型25は、前述した突起29を孔15,16内に挿入し、本体部28上に位置付けることで、前述した板金19、バスバ3a及び一方の絶縁カバー10aを保持する。前述した着脱型25は、板金19を表面上に位置付けた状態で、前述した下型23と上型24とが互いに近づいて、板金19にせん断加工を施すことを許容する。
【0047】
前述したプレス装置1を用いて、前述した板金19にせん断加工を施して、該板金19をバスバ3aに成型し、前述した一方の配線盤6aを以下のように組み立てる。このとき、図9に示すように、前述したスライドベース則ち下型23は、作業位置に位置付けられているとともに、下型23から着脱型25が取り外された格好となっている。さらに、前述した上型24は、上昇している。
【0048】
そして、図24中のステップS1で、図10に示すように、前述した作業位置の下型23の着脱部26に着脱型25を取り付けて、ステップS2に進む。このように、ステップS1では、着脱型25を下型23にセットする。ステップS1は、本明細書に記した着脱型25を第1の金型と第2の金型のうち一方に取り付ける工程をなしている。
【0049】
ステップS2では、図11に示すように、板金19の孔15内に突起29を通して、板金19を本体部28則ち着脱型25上に位置付けて、ステップS3に進む。このように、ステップS2では、板金19を着脱型25にセット(載置)する。ステップS2は、本明細書に記した板金19を第1の金型と第2の金型のうち一方に取り付けられた着脱型25上に載置する工程をなしている。
【0050】
ステップS3では、まず、図12に示すように、前述したスライドベース則ち下型23を前述した加工位置に移動する。そして、図13に示すように、前記プレス機が上型24を降下して、下型23と上型24とを互いに近づけて、前述した下型23、上型24及び着脱型25間に板金19を挟んで、該板金19から枠部20と連結片21とを除去して、該板金19をバスバ3aに成型する。こうして、下型23と上型24とを互いに近づけて、板金19にせん断加工を施して、該板金19をバスバ3aに成型する。
【0051】
さらに、図14に示すように、上型24をプレス機が上昇させて、下型23と上型24とを互いに離して、ステップS4に進む。ステップS3は、本明細書に記した第1の金型と第2の金型とを互いに近づけて、板金19にせん断加工を施して、板金19をバスバ3aに成型する工程をなしている。
【0052】
ステップS4では、まず、図15に示すように、スライドベース則ち下型23を着脱型25毎、前述した作業位置に移動する。そして、図16に示すように、前述した枠部20や連結片21などの不要部分を下型23上から除去する。そして、図17に示すように、前記突起29が孔16内に侵入するように、着脱型25上のバスバ3aに前述した一方の絶縁カバー10aを被せて、ステップS5に進む。ステップS4は、本明細書に記した着脱型25に載置されたバスバ3aに一対の絶縁カバー10a,10bのうちの一方の絶縁カバー10aを被せる工程をなしている。
【0053】
ステップS5では、図18に示すように、着脱型25上のバスバ3aと一方の絶縁カバー10aとをひっくり返す。このとき、勿論、孔15,16内に突起29を挿入して、着脱型25上に一方の絶縁カバー10aとバスバ3aを位置決めする。また、着脱型25に一方の絶縁カバー10aとバスバ3aを順に載置する則ち一方の絶縁カバー10aを着脱型25とバスバ3aとで挟む。そして、ステップS6に進む。ステップS5は、本明細書に記した着脱型25上のバスバ3aと一方の絶縁カバー10aとを、一方の絶縁カバー10aが着脱型25とバスバ3aとの間に挟まれるように、反転する工程をなしている。
【0054】
ステップS6では、図19に示すように、着脱型25を下型23から取り外して、ステップS7に進む。ステップS7では、図20に示すように、突起29とボス17とが重なる格好で、前記着脱型25上のバスバ3aに前述した他方の絶縁カバー10bを重ねる。そして、図21に示すように、ボス17を孔15,16内に挿入するように、他方の絶縁カバー10bにバスバ3a及び一方の絶縁カバー10aを近づける。こうして、着脱型25上のバスバ3aに他方の絶縁カバー10bを被せて、ステップS8に進む。ステップS7は、本明細書に記したバスバ3aに一対の絶縁カバー10a,10bのうちの他方の絶縁カバー10bを被せる工程をなしている。
【0055】
ステップS8では、まず、図22に示すように、他方の絶縁カバー10bのボス17が一方の絶縁カバー10aから突出した格好となっている。そして、加熱されたかしめ工具18を前述した一方の絶縁カバー10aから突出したボス17の先端に押し付ける。すると、ボス17の先端が溶けて、押しつぶされる。こうして、図23に示すように、熱かしめ則ち熱溶着により、一対の絶縁カバー10a,10b同士は、互いに固定されて、前述した構成の配線盤6aが組み立てられる。このように、ステップS8では、絶縁カバー10a,10b同士を固定する。ステップS8は、本明細書に記した一対の絶縁カバー10a,10b同士を固定する工程をなしている。
【0056】
このように、本実施形態では、着脱型25上に位置付けられた板金19にせん断加工を施して、板金19をバスバ3aに成型する。その後、着脱型25上にバスバ3aを位置付けた状態で一対の絶縁カバー10a,10bのうち一方の絶縁カバー10aを重ねる。一方の絶縁カバー10aとバスバ3aとをひっくり返して、バスバ3aに更に他方の絶縁カバー10bを重ねて、バスバ3aの少なくとも一部を一対の絶縁カバー10a,10b間に挟む。そして、これら一対の絶縁カバー10a,10b同士を互いに固定して、前述した配線盤6aを組み立てる。
【0057】
本実施形態によれば、板金19にせん断加工を施した後、着脱型25上でバスバ3aに一方の絶縁カバー10aを重ねる。このため、一方の絶縁カバー10aに、せん断加工により互いに別体となったバスバ3aの導電片12を一つずつ位置決めする必要が生じない。このため、一方の絶縁カバー10aにバスバ3aを取り付けるためにかかる手間を減少でき、該一方の絶縁カバー10aにバスバ3aを取り付けるためにかかる所要時間を短縮できる。したがって、配線盤6aの組み立てにかかる手間を減少でき、配線盤6aの組み立てにかかる所要時間を短縮できる。
【0058】
一対の絶縁カバー10a,10bを熱溶着により互いに固定するので、一対の絶縁カバー10a,10b同士を固定するために、これら一対の絶縁カバー10a,10bの他に部品を設ける必要が生じない。したがって、配線盤6aの部品点数の増加を防止でき、該配線盤6aのコストの高騰を防止できる。
【0059】
着脱型25が板金19とバスバ3aとの双方を保持可能であるので、着脱型25に保持されたバスバ3aに一方の絶縁カバー10aを取り付けることができる。このため、一方の絶縁カバー10aに、せん断加工により互いに別体となったバスバ3aの導電片12を一つずつ位置決めする必要が生じない。したがって、配線盤6aの組み立てにかかる手間を減少でき、配線盤6aの組み立てにかかる所要時間を短縮できる。
【0060】
着脱型25が板金19及びバスバ3aと一方の絶縁カバー10aを位置決めする突起29を備えている。このため、着脱型25上でバスバ3aと一方の絶縁カバー10aとを位置決めすることができる。したがって、着脱型25上で一方の絶縁カバー10aにバスバ3aの各導電片12などを位置決めすることができる。このため、一方の絶縁カバー10aにバスバ3aを取り付けるためにかかる手間を減少でき、該一方の絶縁カバー10aにバスバ3aを取り付けるためにかかる所要時間を短縮できるとともに、一方の絶縁カバー10aに正確にバスバ3aを位置決めでき、所望の配線盤6aを確実に組み立てることができる。
【0061】
前述した実施形態では、着脱型25を下型23に取り付けている。しかしながら、本発明では、着脱型25を上型24に取り付けても良い。前述した熱溶着として所謂熱かしめにより一対の絶縁カバー10a,10b同士を固定している。しかしながら、本発明では、前述した熱溶着として所謂超音波溶着により一対の絶縁カバー10a,10b同士を固定しても良い。
【0062】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態に係る組み立て方法で得られる配線盤を備えた電気接続箱を分解して示す斜視図である。
【図2】図1に示された電気接続箱の配線盤を示す斜視図である。
【図3】図2に示された配線盤の平面図である。
【図4】図2に示された配線盤の分解斜視図である。
【図5】図2に示された配線盤のバスバの平面図である。
【図6】図5に示されたバスバの材料としての板金を示す平面図である。
【図7】図6に示された板金にせん断加工などを施して成型された板金を示す平面図である。
【図8】図2に示された配線盤を組み立てる際に用いられるプレス装置を模式的に示す断面図である。
【図9】図8に示されたプレス装置の作業位置の下型を模式的に示す断面図である。
【図10】図9に示された下型に着脱型を取り付けた状態を模式的に示す断面図である。
【図11】図10に示された着脱型に板金を取り付けた状態を模式的に示す断面図である。
【図12】図11に示された着脱型を取り付けた下型を加工位置に移動した状態を模式的に示す断面図である。
【図13】図12に示された下型と上型とを互いに近づけて板金にせん断加工を施した状態を模式的に示す断面図である。
【図14】図13に示された上型が上昇した状態を模式的に示す断面図である。
【図15】図14に示された下型を作業位置に移動した状態を模式的に示す断面図である。
【図16】図15に示された下型上の板金の枠部などを除去した状態を模式的に示す断面図である。
【図17】図16に示されたバスバに一方の絶縁カバーを被せた状態を模式的に示す断面図である。
【図18】図17に示されたバスバと一方の絶縁カバーをひっくり返した状態を模式的に示す断面図である。
【図19】図18に示された着脱型を下型から取り外した状態を模式的に示す断面図である。
【図20】図19に示された着脱型上のバスバに他方の絶縁カバーを重ねた状態を模式的に示す断面図である。
【図21】図20に示されたバスバに他方の絶縁カバーを被せた状態を模式的に示す断面図である。
【図22】図21に示された他方の絶縁カバーのボスに加熱されたかしめ工具を押し付ける状態を模式的に示す断面図である。
【図23】図22に示されたボスの先端を押しつぶした状態を模式的に示す断面図である。
【図24】図8に示されたプレス装置で配線盤を組み立てる工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
3a バスバ
6a 配線盤
10 絶縁カバー
10a 一方の絶縁カバー
10b 他方の絶縁カバー
15 孔
16 孔
19 板金
22 プレス型
23 下型(第1の金型)
24 上型(第2の金型)
25 着脱型
29 突起
S1 着脱型を第1の金型と第2の金型のうち一方に取り付ける工程
S2 板金を第1の金型と第2の金型のうち一方に取り付けられた着脱型上に載置する工程
S3 第1の金型と第2の金型とを互いに近づけて、板金にせん断加工を施して、板金をバスバに成型する工程
S4 着脱型に載置されたバスバに一対の絶縁カバーのうちの一方の絶縁カバーを被せる工程
S5 着脱型上のバスバと一方の絶縁カバーとを、一方の絶縁カバーが着脱型とバスバとの間に挟まれるように、反転する工程
S7 バスバに一対の絶縁カバーのうちの他方の絶縁カバーを被せる工程
S8 一対の絶縁カバー同士を固定する工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の板金にせん断加工を施して得られるバスバと、前記バスバの少なくとも一部を互いの間に挟む一対の絶縁カバーと、を備えた配線盤の組み立て方法において、
第1の金型と、この第1の金型に接離自在に設けられた第2の金型と、前記第1の金型と前記第2の金型のうち一方に着脱自在でかつ前記板金とバスバとの双方を保持可能な着脱型と、を備えたプレス型を用いるとともに、
前記着脱型上に位置付けられた前記板金に前記せん断加工を施して、前記板金を前記バスバに成型した後、前記着脱型上に前記バスバを位置付けた状態で前記一対の絶縁カバーのうち一方の絶縁カバーを重ね、前記一方の絶縁カバーと前記バスバとをひっくり返して、前記バスバに他方の絶縁カバーを重ねて、前記バスバの少なくとも一部を前記一対の絶縁カバー間に挟んで、これら一対の絶縁カバー同士を互いに固定することを特徴とする配線盤の組み立て方法。
【請求項2】
導電性の板金にせん断加工を施して得られるバスバと、前記バスバの少なくとも一部を互いの間に挟む一対の絶縁カバーと、を備えた配線盤の組み立て方法において、
第1の金型と、この第1の金型に接離自在に設けられた第2の金型と、前記第1の金型と前記第2の金型のうち一方に着脱自在でかつ前記板金とバスバとの双方を保持可能な着脱型と、を備えたプレス型を用いるとともに、
前記着脱型を前記第1の金型と前記第2の金型のうち一方に取り付ける工程と、
前記板金を前記第1の金型と前記第2の金型のうち一方に取り付けられた前記着脱型上に載置する工程と、
前記第1の金型と前記第2の金型とを互いに近づけて、前記板金にせん断加工を施して、前記板金を前記バスバに成型する工程と、
前記着脱型に載置されたバスバに前記一対の絶縁カバーのうちの一方の絶縁カバーを被せる工程と、
前記着脱型上のバスバと一方の絶縁カバーとを、前記一方の絶縁カバーが前記着脱型と前記バスバとの間に挟まれるように、反転する工程と、
前記バスバに前記一対の絶縁カバーのうちの他方の絶縁カバーを被せる工程と、
前記一対の絶縁カバー同士を固定する工程と、
を含むことを特徴とする配線盤の組み立て方法。
【請求項3】
前記一対の絶縁カバー同士を、熱溶着により互いに固定することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の配線盤の組み立て方法。
【請求項4】
導電性の板金にせん断加工を施して得られるバスバと、前記バスバの少なくとも一部を互いの間に挟む一対の絶縁カバーと、を備えた配線盤を組み立る際に用いられるプレス型において、
第1の金型と、
この第1の金型に接離自在に設けられた第2の金型と、
前記第1の金型と前記第2の金型のうち一方に着脱自在でかつ前記板金とバスバとの双方を保持可能な着脱型と、を備えたことを特徴とするプレス型。
【請求項5】
板金及びバスバと、前記一対の絶縁カバーのうち一方の絶縁カバーと、のそれぞれに、互いに重なると互いに連通する孔が設けられ、
前記着脱型は、前記板金及びバスバと前記一方の絶縁カバーとのそれぞれに設けられた孔内に侵入して、前記着脱型に前記板金及びバスバと前記一方の絶縁カバーとを位置決めする突起を備えたことを特徴とする請求項4記載のプレス型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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