説明

配車管理装置、配車システム、配車方法及びプログラム

【課題】配車計画で指定された車両の目的地と連携し、車両の利用者に対して、その目的地に応じた金銭価値を与える。
【解決手段】予定取得部111は、車両を運転して利用しようとする運転者の目的地を指定した車両の利用予定と、車両を運転しないで利用しようとする同乗者の目的地を指定した車両の利用予定とを取得する。配車部112は、運転者及び同乗者の利用予定を満たして稼動可能な車両を特定して、配車計画を決定する。ポイント管理部115は、配車部112により決定された配車計画の内容に従って利用される車両の目的地で金銭価値が発生するポイントを、車両の運転者及び同乗者に対して付与する。かかるポイントは、例えば、車両の目的地において金銭価値を発生するが、他の目的地などでは金銭価値を発生しないものである。これにより、車両の利用者が付与されたポイントを利用するために、同一の目的地に改めて来訪することを期待することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を共用するための管理に関する。
【背景技術】
【0002】
1台の車両を複数の利用者で利用する、いわゆるカーシェアリングというサービスがある。カーシェアリングにおいて車両の運転者に対して報酬を与えることが、例えば特許文献1,2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−258927号公報
【特許文献2】特開2003−281238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2に開示されたカーシェアリングで運転者に与えられる報酬は、車両の運転という役務の対価として与えられるものであり、通常は運転しない同乗者に対して与えられることはないものである。また、この報酬は、例えば車両の目的地に応じて金額が異なるなど、その目的地に応じた金銭価値とされることはあっても、目的地となる商業施設などと連携して与えられるものではない。
これに対し、本発明の目的は、配車計画で指定された車両の目的地と連携し、車両の利用者に対して、その目的地に応じた金銭価値を与えることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る配車管理装置は、車両を運転して利用しようとする運転者の目的地を指定した車両の利用予定と、車両を運転しないで利用しようとする同乗者の目的地を指定した車両の利用予定とを取得する予定取得手段と、前記予定取得手段により取得された運転者及び同乗者の利用予定を満たして稼動可能な車両を特定して、配車計画を決定する配車手段と、前記配車手段により決定された配車計画に従って利用される車両の目的地で金銭価値が発生するポイントを、当該車両の運転者及び同乗者に対して付与するポイント管理手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明において、前記配車手段は、あらかじめいずれかのグループに分類された複数の目的地のうちのいずれかを指定した利用予定に基づいて、前記配車計画を決定し、前記ポイント管理手段は、前記配車計画で指定された目的地と同一のグループに分類された目的地では共通の金銭価値が発生するが、他のグループに分類された目的地では金銭価値が発生しないポイントを付与してもよい。
【0007】
本発明において、前記車両を利用した運転者及び同乗者が前記車両の目的地に来訪したことを確認する来訪確認手段を備え、前記ポイント管理手段は、前記来訪確認手段により来訪が確認された場合に、前記ポイントを付与してもよい。
本発明において、前記車両を利用する運転者及び同乗者の乗車確認を行う乗車確認手段を備え、前記ポイント管理手段は、運転者及び同乗者の個々が保有するポイントを管理し、前記乗車確認手段により乗車確認が行われると、当該車両の利用により課される費用を、当該運転者及び同乗者の個々が保有するポイントで決済するようにしてもよい。
本発明において、前記配車計画が決定されると、前記車両の目的地に関する広告を、当該車両を利用する運転者の運転者端末、又は当該車両を利用する同乗者の同乗者端末に配信する配信手段を備えるようにしてもよい。
【0008】
本発明に係る配車システムは、通信手段と、配車手段と、出力手段と、ポイント管理手段とを備える配車管理装置と、前記配車管理装置と通信を行う手段をそれぞれ備える運転者端末及び同乗者端末とを有し、前記運転者端末は、車両を運転して利用しようとする運転者の目的地を指定した車両の利用予定を送信し、前記同乗者端末は、車両を運転しないで利用しようとする同乗者の目的地を指定した車両の利用予定を送信し、前記配車管理装置は、前記通信手段が、前記運転者端末から送信された利用予定と、前記同乗者端末から送信された利用予定とを受信し、前記配車手段が、受信した運転者及び同乗者の利用予定を満たして稼動可能な車両を特定して、配車計画を決定し、前記出力手段が、前記配車手段により決定された配車計画を報知するための報知情報を、前記運転者端末及び前記同乗者端末に出力し、前記ポイント管理手段が、前記配車手段により決定された配車計画に従って利用される車両の目的地で金銭価値が発生するポイントを、当該車両の運転者及び同乗者に対して付与することを特徴とする。
【0009】
本発明の配車システムにおいて、前記車両の目的地に来訪した運転者の運転者端末、又は前記車両の目的地に来訪した同乗者の同乗者端末と通信する手段と、前記配車管理装置と通信する手段とを有する目的地端末を備え、前記目的地端末は、前記運転者端末又は前記同乗者端末と通信した場合に、その旨を前記配車管理装置に通知し、前記配車管理装置は、前記目的地端末から前記通知を受け取った場合に、前記車両を利用した運転者及び同乗者が前記車両の目的地に来訪したことを確認する来訪確認手段を備え、前記ポイント管理手段が、前記来訪確認手段により来訪が確認された場合に、前記ポイントを付与するようにしてもよい。
【0010】
本発明の配車システムにおいて、前記車両に乗車した運転者の運転者端末、又は前記車両に乗車した同乗者の同乗者端末と通信する手段と、前記配車管理装置と通信する手段とを有する車載端末を備え、前記車載端末は、前記運転者端末又は前記同乗者端末と通信した場合に、その旨を前記配車管理装置に通知し、前記配車管理装置は、前記車載端末から前記通知を受け取った場合に、前記車両を利用する運転者及び同乗者の乗車確認を行う乗車確認手段を備え、前記ポイント管理手段が、運転者及び同乗者の個々が保有するポイントを管理し、前記乗車確認手段により乗車確認が行われると、当該車両の利用により課される費用を、当該運転者及び同乗者が保有するポイントで決済するようにしてもよい。
【0011】
本発明に係る配車方法は、配車管理装置が、車両を運転して利用しようとする運転者の目的地を指定した車両の利用予定と、車両を運転しないで利用しようとする同乗者の目的地を指定した車両の利用予定とを取得し、取得した運転者及び同乗者の利用予定を満たして稼動可能な車両を特定して、配車計画を決定し、決定した配車計画に従って利用される車両の目的地で金銭価値が発生するポイントを、当該車両の運転者及び同乗者に対して付与することを特徴とする。
【0012】
本発明に係るプログラムは、コンピュータに、車両を運転して利用しようとする運転者の目的地を指定した車両の利用予定と、車両を運転しないで利用しようとする同乗者の目的地を指定した車両の利用予定とを取得する予定取得ステップと、前記予定取得ステップで取得した運転者及び同乗者の利用予定を満たして稼動可能な車両を特定して、配車計画を決定する配車ステップと、前記配車ステップで決定した配車計画に従って利用される車両の目的地で金銭価値が発生するポイントを、当該車両の運転者及び同乗者に対して付与するポイント管理ステップとを実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、配車計画で指定された車両の目的地と連携し、車両の利用者に対して、その目的地に応じた金銭価値を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】配車システムの全体構成を示す図
【図2】車両利用者端末のハードウェア構成を示すブロック図
【図3】車載端末のハードウェア構成を示すブロック図
【図4】目的地端末のハードウェア構成を示すブロック図
【図5】管理装置のハードウェア構成を示すブロック図
【図6】利用者管理情報のデータ構造を示す図
【図7】ポイント管理情報のデータ構造を示す図
【図8】イベント管理情報のデータ構造を示す図
【図9】管理装置の制御部が実現する機能を示す機能ブロック図
【図10】商店等の加盟の流れを示すシーケンスチャート
【図11】配車の流れを概略的に示すシーケンスチャート
【図12】配車計画の決定の流れを示すシーケンスチャート
【図13】利用予定の入力画面を例示する図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の一実施形態である配車システムの全体構成を示す図である。
配車システム1は、運転をする者及びしない者が利用可能である車両の共用サービスを提供するためのシステムである。図1に示すように、配車システム1は、本サービスのサービス事業者が配車を管理するための管理装置100と、サービス事業者に代わって本サービスの利用者に関する管理を行う利用者代行端末200と、本サービスの一利用者が使用する運転者端末300a及び本サービスの一利用者が使用する同乗者端末300bと、車両に搭載される車載端末400と、車両の目的地となりうる場所(後述する、商店等)に設置され、本サービスの一利用者が使用する目的地端末500a及び500bとを備える。利用者代行端末200、運転者端末300a、同乗者端末300b、車載端末400、目的地端末500a及び500bは、ネットワーク900を介して管理装置100と接続し、相互に通信を行う。ネットワーク900は、インターネット、移動通信網等の有線又は無線の通信ネットワークである。ネットワーク900は、単独の通信ネットワークではなく、通信方式が異なる複数の通信ネットワークを相互接続したものであってもよい。
【0016】
配車システム1において、運転者端末300a及び同乗者端末300bは、実行する処理に相違があるが、発明を実施するために必要なハードウェア構成は共通である。そこで、以下においては、運転者端末300aと同乗者端末300bとを区別する必要がない場合に、これらを「車両利用者端末300」と総称することがある。また、目的地端末500a及び500bは、発明を実施するために必要なハードウェア構成は共通である。そこで、以下においては、目的地端末500aと目的地端末500bとを区別する必要がない場合に、これらを「目的地端末500」と総称することがある。
なお、図1には、運転者端末300a及び同乗者端末300bを1つずつ示すが実際にはより多数存在し、また、目的地端末500についても目的地端末500a及び目的地端末500bの2つだけでなく実際にはより多数存在する。
【0017】
本実施形態において、配車システム1の利用者は、運転者端末300aを所有し、車両を運転して利用しようとする「運転者」と、同乗者端末300bを所有し、運転を行うことなく車両を利用しようとする「同乗者」とを含む。運転者は、車両の運転免許を有し、本サービスの利用時に車両を運転することができる者である。同乗者は、例えば、車両の運転免許を有しない者や、車両の運転が困難な者であり、本サービスの利用時に車両を運転しない者である。以下では、運転者と同乗者とを区別する必要がない場合に、これらを「車両利用者」と総称することがある。
【0018】
また、本実施形態の配車システム1の利用者は、車両利用者のほかに、目的地端末500を所有する者を含む。目的地端末500を所有する者は、例えば、小売店やスーパーマーケットなどの商店、及び遊園地や映画館などの娯楽施設を含む商業施設や、病院などの公共施設などである。要するに、目的地端末500を所有する者は、個人・団体については特に問わず、商品やサービスを提供する代わりに、その対価として現金などの金銭価値を受け取る者であり、この者を以下では「商店等」と総称する。本実施形態では、1つの商店等は、目的地端末500を1つだけ所有するものとする。また、本実施形態の目的地は、例えば、「○○商店」のように、商店等そのものである場合もあるし、「△△商店街」や「××団地」のように複数の商店等が所属するグループ(後述する、利用者代行機関に管理されるグループ)である場合もある。要するに、目的地は、どの商店等が目的となる場所であるかを特定できるものである。
なお、車両利用者は、1名単位であってもよいし、複数名単位であってもよい。例えば、会社内の複数の社員や家族などを1つの単位として構成することも可能である。
【0019】
本実施形態において、配車とは、車両利用者の利用に供するように車両を割り当てることをいう。ここにおいて、車両とは、運転者の運転(なお、車両利用者が単独、複数或いは全員で代行運転者を雇い運転を依頼する場合についても運転者の運転と見做す。)により複数名を乗せて移動可能な乗り物をいう。本実施形態の車両は、典型的には自動車であるが、複数名が乗車して走行可能であれば、二輪車などであってもよい。車両は、例えば、本サービスの管理者が所有するものであるが、運転者や同乗者、商店等が所有するものであってもよく、その所有者については特に問わない。
【0020】
利用者代行端末200は、例えば、一般的なパーソナルコンピュータと同等の機能を有する。具体的には、利用者代行端末200は、通信機能や、演算装置がプログラムを実行することにより自端末の各部の動作を制御する機能を有している。利用者代行端末200は、町内会世話人やマンションやアパートなどの集合住宅の管理組合、NPO(NonProfit Organization)、商工会議所、各種法人などの機関(以下、「利用者代行機関」という。)により所有される。利用者代行機関は、或る規則に従って組織されたグループに所属する商店等を管理下におき、例えば、商店等の配車システム1への加盟に関する手続きを行う。このグループは、利用者代行機関がどのような機関であるかにより所属するための条件や、所属する商店等の種類が異なるが、以下では、商店街のような地域に関連したグループであるとする。
なお、実際には、利用者代行機関のそれぞれに対応してグループが存在するが、以下では、目的地端末500aと500bとが所属するグループを管理する利用者代行機関である場合について説明する。
【0021】
運転者端末300aは、運転者が使用する無線通信端末であり、同乗者端末300bは、同乗者が使用する無線通信端末である。運転者端末300a及び同乗者端末300bは、持ち運びが可能な無線通信端末であり、例えば、携帯電話機である。車載端末400は、車両に搭載され、車両とともに移動する無線通信端末である。車載端末400の機能は、本サービスのための専用の装置により実現されてもよいし、いわゆるカーナビゲーション装置の一機能として実現されたりしてもよい。
【0022】
図2は、車両利用者端末300のハードウェア構成を示すブロック図である。図2に示すように、車両利用者端末300は、制御部310と、記憶部320と、ネットワーク通信部330と、他端末通信部340と、表示部350と、操作部360とを備える。制御部310は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置やメモリを備え、車両利用者端末300に記憶されたプログラムを実行することにより車両利用者端末300の各部の動作を制御する。記憶部320は、フラッシュメモリ等の記憶媒体を備え、データを記憶する。
【0023】
ネットワーク通信部330は、ネットワーク900と通信を行うための通信インターフェースである。他端末通信部340は、車両利用者が乗車したときに車両の車載端末400と通信を行ったり、商店等への来訪時にその商店等の目的地端末500と通信を行ったりするための通信インターフェースである。他端末通信部340は、例えば、赤外線通信方式や、接触式又は非接触式のICチップを用いた通信方式や、近距離無線通信方式により車載端末400又は目的地端末500と通信を行う。
【0024】
表示部350は、液晶ディスプレイ等の表示装置を備え、車両利用者に情報を報知するための画像を表示する。操作部360は、ボタン等の操作子を備え、車両利用者の操作による情報の入力を受け付ける。なお、表示部350及び操作部360は、タッチスクリーン(タッチパネル)により一体に構成されてもよい。また、車両利用者への報知の態様は、画像による視覚的な報知のほか、音声による聴覚的な報知を含み得る。
【0025】
図3は、車載端末400のハードウェア構成を示すブロック図である。図3に示すように、車載端末400は、制御部410と、記憶部420と、ネットワーク通信部430と、他端末通信部440と、表示部450と、操作部460とを備える。制御部410、記憶部420、ネットワーク通信部430、表示部450及び操作部460は、車両利用者端末300の同名の各部と共通する構成を有する。ただし、制御部410が実行するプログラムは、制御部310が実行するプログラムと異なる。
ただし、他端末通信部440は、例えば車両の天井など、車両内のいずれかの場所に設置される。これにより、他端末通信部440は、車両内にある車両利用者端末300と通信を行うことができる。
【0026】
目的地端末500は、配車システム1に加盟し、配車計画に従って利用される車両の目的地となりうる商店等に設置される通信端末である。目的地端末500は、例えばパーソナルコンピュータを用いて実現される。目的地端末500は、例えば、配車システム1への加盟が承認された後に、後述する他端末通信部540が取り付けられ、更に、必要なアプリケーションプログラムがインストールされるなどして、本発明の目的地端末に相当するものとして機能するようになる。ただし、本実施形態では、説明の便宜のために、配車システム1への加盟が承認される前であっても、「目的地端末500」と称する。
【0027】
図4は、目的地端末500のハードウェア構成を示すブロック図である。目的地端末500は、図4に示すように、制御部510と、記憶部520と、ネットワーク通信部530と、他端末通信部540と、表示部550と、操作部560とを備える。制御部510、記憶部520、ネットワーク通信部530、他端末通信部540、表示部550及び操作部560は、車載端末400の同名の各部と共通する構成を有する。ただし、制御部510が実行するプログラムは、制御部410が実行するプログラムと異なる。また、表示部550による報知は、商店等の従業員などに対して行われるものである。
ただし、他端末通信部540は、例えば商店等の出入口に近い天井に設置される。これにより、他端末通信部540は、商店等に来訪した車両利用者が所有する車両利用者端末300と通信を行うことができる。
【0028】
図5は、管理装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。管理装置100は、稼働可能な車両に関する配車計画を決定するサーバ装置である。管理装置100は、本発明の配車管理装置の一例であり、図5に示すように、制御部110と、記憶部120と、通信部130とを備える。制御部110は、演算装置やメモリを備え、管理装置100に記憶されたプログラムを実行することにより管理装置100の各部の動作を制御する。記憶部120は、ハードディスク等の記憶媒体を備え、各種データを記憶する。記憶部120は、車両の目的地となる候補の一覧である目的地リストとともに、利用者管理情報121、ポイント管理情報122及びイベント管理情報123を記憶する。通信部130は、ネットワーク900と通信を行うための通信インターフェースである。通信部130は、利用者代行端末200、車両利用者端末300、車載端末400及び目的地端末500のそれぞれの通信方式に対応する。
【0029】
図6は、利用者管理情報121のデータ構造を示す図である。図6に示すように、利用者管理情報121は、「利用者ID」と、「利用者名」と、「利用者属性」とを対応付けたデータ構造である。「利用者ID」は、各利用者を識別する識別情報である。利用者は、配車システム1で遣り取りされるポイントを保有するすべての者を総称するものであり、具体的には、運転者、同乗者又は商店等である。「利用者名」は、利用者の名称を表すものであり、例えば車両利用者の氏名や商店等の名称(店舗名)である。「利用者属性」は、利用者の属性を表すものである。ここでは、属性「01」が割り当てられる利用者は、運転者であり、属性「02」が割り当てられる利用者は、同乗者であり、属性「03」が割り当てられる利用者は、商店等である。
【0030】
本実施形態において、「ポイント」は金銭価値を有し、そのポイント数は金銭価値の程度を数値化したものである。また、このポイントは、例えば貨幣(現金のほか、現金と同じ金銭価値を有する電子マネーと呼ばれる電子貨幣を含む。)に代えて、決済に用いることができるものである。ただし、本実施形態のポイントは、利用可能な範囲が利用者代行機関により定められるグループに応じて決まっている。具体的には、ポイントは、一の利用者代行端末200の管理下であるグループに分類される各商店等(例えば、目的地端末500a及び500bが設置された商店等)では決済に用いることができるが、このグループに属する商店等以外では決済に用いることができないものである。換言すると、ポイントは、一のグループに分類される各商店等で共通の金銭価値(つまり、同額の金銭価値)を発生するが、他のグループに分類される商店等では金銭価値を発生しないものである。例えば、目的地端末500aが設置された商店等で利用可能なポイントは、目的地端末500bが設置された商店等でも利用可能であるが、他の利用者代行機関の管理下のグループの商店等や、配車システム1に加盟しない商業施設では利用不可能である。
なお、1ポイントは、例えば1円相当の金銭価値を有している。
【0031】
図7は、ポイント管理情報122のデータ構造を示す図である。図7に示すように、ポイント管理情報122は、「イベントID」と、「現在ポイント」と、「変動発生日」とを対応付けて記述したデータ構造である。ポイント管理情報122は、利用者毎にこの構造の情報を管理する。図7は、利用者ID「00001」が割り当てられた利用者に関する情報を示したものである。つまり、ポイント管理情報122は、利用者個々の保有するポイントの変動の履歴を含む。「イベントID」は、ポイントに変動が生じる契機となったイベントを識別する識別情報である。「現在ポイント」は、そのイベントの発生後に利用者が保有するポイント数を表す。「変動発生日」は、イベントの発生によりポイントの変動が発生した日付を表す。例えば、イベントID「10001」は、配車計画に従った車両の利用に際して、車両利用者が車両に乗車したことを意味する。イベントID「10002」は、車両の目的地となる商店等に車両利用者が来訪したことを意味する。イベントID「10003」は、目的地端末500から車両利用者端末300に商店等の広告が配信されたことを意味する。
【0032】
図8は、イベント管理情報123のデータ構造を示す図である。図8に示すように、ポイント管理情報122は、「イベントID」と、「イベント名」と、「変動ポイント」とを対応付けたデータ構造である。
「イベントID」は、ポイント管理情報122に記述されるものに対応している。「イベント名」は、車両への乗車確認を意味する「乗車」や、目的地の商店等への来訪を意味する「来訪」、目的地の商店等から広告が配信されたことを意味する「広告配信」のように、イベントIDに対応するイベントの名称が記述される。「変動ポイント」は、イベントの発生により変動するポイントの大きさを表す。例えば、イベント管理情報123において、図8に示す第1行の内容は、イベントID「10001」が割り当てられた乗車確認が行われた場合には、500ポイントの変動が生じる(具体的には、車両利用者から車両維持費等に相当する費用として、500ポイントが使用される)ことを規定するものである。
なお、このイベント管理情報123に従えば、或るイベントを契機に変動するポイントは各商店等で同じであるが、各商店等で変動するポイントが相違するようにイベント管理情報123が記述されていてもよい。また、利用者にポイントが付与される(つまり、加算される)のか、又は利用者のポイントが使用される(つまり、減算される)のかについては、ポイント管理情報122に記述されていないものの、管理装置100の制御部110で用いられるプログラムに記述された内容に従う。
【0033】
図9は、管理装置100の制御部110が実現する機能を示す機能ブロック図である。制御部110は、プログラムを実行することにより、予定取得部111、配車部112、乗車確認部113、来訪確認部114、ポイント管理部115、出力部116及び広告配信部117に相当する機能を実現する。
予定取得部111は、運転者の目的地を指定した車両の利用予定と、同乗者の目的地を指定した車両の利用予定とを取得する。具体的には、予定取得部111は、運転者端末300aを介して通信により運転者の利用予定を取得し、同乗者端末300bを介して通信により同乗者の利用予定を取得する。すなわち、予定取得部111は、本発明の予定取得手段の一例である。
【0034】
配車部112は、予定取得部111により取得された運転者及び同乗者の利用予定を満たして稼動可能な車両を特定して、配車計画を決定する。ここにおいて、配車計画とは、稼働可能な車両の各々について、乗車地又は目的地や、乗車日時及び目的地への到着日時を記述したものをいう。また、説明の便宜上、配車計画を記述した情報についても、ここでは配車計画という。配車部112は、運転者及び同乗者の利用予定を満たすように稼働可能な車両を割り振り、配車計画を決定する。すなわち、配車部112は、本発明の配車手段の一例である。
【0035】
乗車確認部113は、配車計画に従って車両を利用する車両利用者の乗車確認を行う。乗車確認部113は、運転者端末300aと車載端末400との通信があった旨を、車載端末400から取得して、運転者の乗車確認を行う。また、乗車確認部113は、同乗者端末300bと車載端末400との通信があった旨を、車載端末400から取得して、同乗者の乗車確認を行う。すなわち、乗車確認部113は、どの車両利用者が実際に乗車したかを確認する機能を実現するものであり、本発明の乗車確認手段の一例である。
【0036】
来訪確認部114は、配車計画に従って車両を利用した車両利用者が目的地の商店等に来訪したことを確認する。来訪確認部114は、運転者端末300aと目的地端末500との通信があった旨を、目的地の商店等の目的地端末500から取得して、運転者がその商店等に来訪したしたことを確認する。また、来訪確認部114は、同乗者端末300bと目的地端末500との通信があった旨を、目的地端末500から取得して、同乗者が目的地の商店等に来訪したしたことを確認する。すなわち、来訪確認部114は、どの車両利用者が配車計画に従った目的地である商店等に来訪したかを確認する機能を実現するものであり、本発明の来訪確認手段の一例である。
【0037】
ポイント管理部115は、本発明のポイント管理手段の一例であり、配車システム1におけるポイント管理に関する機能を実現するものである。例えば、ポイント管理部115は、配車部112により決定された配車計画に従って利用される車両の目的地で金銭価値が発生するポイントを、その車両の車両利用者に対して付与する。具体的には、ポイント管理部115は、車両の目的地となる商店等で決済に利用することのできるポイントを付与する。ここにおいて、ポイント管理部115は、ポイント管理情報122の内容を更新することにより、各利用者に対してポイントを付与したり、各利用者の保有するポイントを使用したりするなどのポイント管理を行う。
【0038】
ポイント管理部115は、配車計画が決定された後に、車両を利用する運転者及び同乗者の双方にポイントを付与する。よって、このポイントは、運転という役務に対する報酬として、運転者に付与されるという概念のものと異なる。また、ポイントは、商品券などの金券のように、車両利用者の購入により付与されるものではない。ポイント管理部115は、配車計画に従う車両の目的地として指定したことを契機に、所定のイベントが発生する毎に、その目的地で金銭価値が発生するポイントを付与する。つまり、ポイントは、例えば、車両利用者が目的地となる商店等に来訪することを動機として付与されるものである。
また、ポイント管理部115は、乗車確認部113により乗車確認が行われた場合に、その車両の利用により課される費用を、車両利用者の個々が保有するポイントで決済する(費用の一部として賄うことを含む)。また、ポイント管理部115は、車両利用者が目的地に来訪したことが来訪確認部114により確認された場合に、その来訪に応じた分のポイントを車両利用者の個々に対して付与する。
【0039】
出力部116は、車両利用者端末300及び目的地端末500に各種情報を報知するための報知情報を出力する。出力部116は、配車部112により配車計画が決定されると、その車両利用者に対して、車両利用者端末300に配車計画を報知するための報知情報を出力する。例えば、出力部116は、運転者端末300aに対しては、どの車両を利用し、どの経由地でどの利用者を乗車させるかなどを報知し、同乗者端末300bに対しては、乗車地及び乗車日時、目的地及び到着日時などを報知する。また、出力部116は、ポイント管理部115により管理される利用者個々のポイント数を、各利用者に報知するための報知情報を出力する。出力部116が出力する報知情報は、通信部130を介して該当する宛先に送信される。すなわち、出力部116は、本発明の出力手段の一例である。
【0040】
広告配信部117は、配車部112により配車計画が決定されると、その配車計画に従う運転者の運転者端末300a又は同乗者の同乗者端末300bに、車両の目的地に関する広告を配信する。広告配信部117は、例えば、目的地の商店等の特売情報や開催すイベントの内容などの情報を記述した電子メールを通信部130に出力する。広告配信部117が配信する広告は、通信部130によって車両利用者端末300に送信(配信)される。すなわち、広告配信部117は、本発明の配信手段の一例である。
配車システム1の構成は、以上のとおりである。
【0041】
図10,11は、配車システム1で行われる処理の流れを示すシーケンスチャートである。図10は、商店等が配車システム1へ加盟するまでの流れを示す図である。図11は、配車システム1での配車の流れを示す図である。
まず、図10を参照して商店等の配車システム1への加盟の流れについて説明する。
例えば、商店等の従業員(例えば店主)は、自身の商店等を配車システム1に加盟しようとする際に、目的地端末500を用いて必要な作業を行う。まず、目的地端末500の制御部510は、従業員による操作部560の操作に応じて、ネットワーク通信部530を用いて加盟を申し込むためのwebページにアクセスする。そして、制御部510は、従業員により操作部560が操作されて必要事項の入力が行われると、配車システム1への加盟の申し込みを、管理装置100宛てにネットワーク通信部530を用いて送信する(ステップSA1)。この申し込みには、例えば、どの利用者代行機関のグループに所属するかや、商店等の名称や住所など、加盟の申し込みに必要なあらかじめ決められた事項が含まれる。
【0042】
次に、管理装置100の制御部110は、目的地端末500から加盟の申し込みを通信部130によって受信すると、加盟の申し込みがあった旨を把握する一方で、通信部130によって、所属する可能性のあるグループの利用者代行端末200にそれを送信(転送)する(ステップSA2)。
【0043】
利用者代行端末200は、管理装置100から送信されてきた加盟の申し込みを受け付けると、加盟を承認するか否かを決定するための審査を行う(ステップSA3)。ここでは、利用者代行端末200は、加盟申し込みの内容に応じて、利用者代行機関に加盟を承認するか否かを選択させる。利用者代行機関における審査はいかように行われてもよいが、例えば、利用者代行機関の構成員が商店等を現地調査したり、商店等の従業員と面接したりして、承認の可否を判断する。また、例えば、所定の地域に商店等が所在することだけが加盟条件である場合など、利用者代行端末200のみで審査できる場合には、利用者代行端末200が自動で承認の可否を判断してもよい。
なお、ステップSA3の処理における審査の方法は、利用者代行機関毎(つまり、グループ毎)に異なっていてよい。
【0044】
次に、利用者代行端末200は、審査結果の通知を管理装置100宛てに送信する(ステップSA4)。管理装置100の制御部110は、利用者代行端末200から通信部130によって通知を受信すると、その内容を把握するとともに、その通知を通信部130によって目的地端末500に送信(転送)する(ステップSA5)。
【0045】
ここで、加盟を承認する旨の通知を受け取った目的地端末500の制御部510は、続いて、ポイント付与に関する申請(つまり、ポイント付与申請)を管理装置100に対して行う(ステップSA6)。ここでは、制御部510は、自身の商店等でポイントを決済に用いることを承諾する旨などを記述したポイント付与申請を、ネットワーク通信部530によって管理装置100宛てに送信する。
【0046】
管理装置100の制御部110は、ポイント付与申請を受け付けると、続いて、目的地端末500と利用者代行端末200との間でポイント利用条件の設定を行う(ステップSA7)。例えば、制御部110は、商店等が1ヶ月当たりに付与するポイントの上限値の設定や、イベント管理情報123で定義されるポイントの変動量などを含むポイントの利用条件を設定する。制御部110は、設定したポイント利用条件に従って、利用者管理情報121、ポイント管理情報122及びイベント管理情報123の内容を更新する。この更新では、例えば、制御部110は、加盟を承認した商店等に利用者属性「03」を割り当てるとともに、利用者IDを割り当てて、利用者管理情報121にその内容を記述する。
【0047】
次に、制御部110は、加盟が承認された商店等を目的地リストへ組み込むように、目的地リストを更新する(ステップSA8)。目的地リストは、車両利用者端末300が配車を利用する際に目的地を指定する際に提示される。車両利用者端末300に登録された目的地リストの中からいずれかの目的地が指定されると、管理装置100はその目的地を指定した配車計画を決定する。すなわち、ステップSA8の処理では、制御部110は、新たに加盟した商店等を、車両利用者端末300が所有する目的地リストに含めるための更新を行う。
【0048】
次に、制御部110は、商店等に対してポイントを付与する(ステップSA9)。制御部110は、例えば、ポイント利用条件の設定内容に基づいて、商店等に対してポイントを付与する。ただし、このポイントの付与は有償で行われ、例えば、商店等から利用者代行機関やサービス事業者に支払われた加盟料などの金銭に応じた分だけ付与される。この金銭は、例えば、配車システム1の運用や保守に用いられることがあるものであり、商店等の負担額に応じた分のポイントが商店等に付与される。よって、例えば、制御部110は、支払額の多い商店等ほどポイント数が高くなるように、ポイントを付与する。
【0049】
次に、制御部110は、車両利用者に対してポイントを付与する(ステップSA10)。例えば、制御部110は、商店等に来訪するために必要な車両維持相当分のポイントを車両利用者に付与する。車両維持相当分は、目的地までの燃料代や車両のメンテナンスを考慮した額である。制御部110は、各車両利用者に対し同一額のポイントを付与してもよいし、過去の利用状況に照らして妥当な額のポイントを付与してもよい。このように付与されるポイントは、例えば、車両利用者が車両の維持のために用いられたり、配車システム1に対する管理費を負担して発生する利用権に相当したりするものである。
なお、制御部110は、ステップS10の処理によるポイントの付与を、例えば1ヶ月に1回など、決まった時期に行ってもよい。
以上が、商店等の配車システム1への加盟の流れの説明である。
【0050】
次に、図11を参照して配車の流れについて説明する。
まず、車両利用者端末300及び管理装置100は配車計画を決定するための処理を実行する(ステップSB1)。
図12は、配車計画の決定の流れを示すシーケンスチャートである。図12に示すように、運転者は、運転者端末300aを用いて利用予定を送信する(ステップSB101)。同乗者は、車両を利用する必要がある場合に、同乗者端末300bを用いて利用予定を送信する(ステップSB102)。
【0051】
図13は、利用予定の入力画面を例示する図である。車両利用者は、まず、図13に示す入力画面を用いて、乗車地、目的地、乗車日時及び到着日時を入力する。車両利用者は、図13に示す入力画面に従って操作を行うことにより、所望の日付や時刻を選択することができる。また、乗車地については、例えば、過去に入力されたもの(いわゆる入力履歴)や、目的地リストの一覧の中から車両利用者が選択する。また、車両利用者が手入力により乗車地を指定してもよい。一方、目的地については、車両利用者端末300の制御部310は、目的地リストを表示部350に表示させ、目的地リスト中のいずれかの目的地を車両利用者に指定させる。そして、制御部310は、操作部360の操作に応じて、目的地リストに登録されたいずれかの目的地を選択して、これを目的地に設定する。また、運転者及び同乗者は、予定名及び利用人数を入力する。
【0052】
以上の入力を受け付けると、車両利用者端末300は、これらの利用予定を管理装置100に送信する。管理装置100は、各車両利用者の利用予定を運転者端末300a及び同乗者端末300bのそれぞれから受信して取得すると、それぞれの利用予定を満たす車両があるか検索し(ステップSB103)、与えられた条件を満たす車両があれば、その旨を運転者及び同乗者に報知する(ステップSB107,SB108)。この報知が行われると、車両利用者による車両の予約が成立したことになる。
なお、管理装置100は、条件を満たす車両が複数ある場合には、複数の車両を選択候補として報知し(ステップSB104)、いずれの車両を利用するかを同乗者に選択させてもよい(ステップSB105)。また、ステップSB104及びSB105の処理は、同乗者に限らず、運転者について行ってもよい。管理装置100は、利用予定を取得した運転者及び同乗者のそれぞれについて以上の一連の処理を行い、運転者及び同乗者の希望を可能な限り満たし、車両の利用に無駄が生じないような配車計画を決定する(ステップSB106)。
以上が、配車計画の決定に係る処理手順の説明である。なお、本発明において配車計画の決定に係るアルゴリズムについては、上記内容から適宜変更されてよい。
【0053】
図11の説明に戻る。
管理装置100の制御部110は、配車計画を決定すると、その目的地となる商店等の目的地端末500に対して、配車計画の内容を報知するための報知情報を出力する(ステップSB2)。目的地端末500の制御部510は、ネットワーク通信部530により報知情報を受け取ると、報知情報に応じた内容を表示部550に表示させて配車計画の内容を報知する。次に、制御部510は、配車計画に関わる車両利用者端末300に広告配信するか否かを問い合わせる。そして、広告配信する旨の操作部560の操作が商店等の従業員により行われると、制御部510は、配信依頼を管理装置100宛てに送信する(ステップSB3)。管理装置100の制御部110は、通信部130により配信依頼を受け付けると、その商店等に関する広告を車両利用者端末300に配信する(ステップSB4)。例えば、制御部110は、運転者端末300a及び同乗者端末300bの双方に広告を配信する。
なお、ステップSB3の処理について、管理装置100は商店等の従業員等に問い合わせをせずに、予め設定された条件に従って自動で広告配信してもよい。
【0054】
制御部110は、広告を配信した場合には、商店等が保有するポイントから広告配信に応じた分のポイントを減算する(ステップSB5)。ここでは、制御部110は、イベント管理情報123に記述されたポイント数に従って商店等のポイントを減算するよう、ポイント管理情報122を更新する。具体的には、制御部110は、ポイント管理情報122で規定される、広告配信に応じて車両利用者に付与するポイント「2」に、配車計画で指定された乗車人数を乗算したポイント数を減算する。乗車人数が「4」人であれば、制御部110は、「2」ポイント×「4」人分=8ポイントを商店等のポイントから減算する。次に、制御部110は、商店等が保有するポイントを減算した旨を目的地端末500に報知する(ステップSB6)。そして、制御部110は、車両利用者個々に対して、ステップSB5の処理で減算した分のポイントを付与する(ステップSB7)。ここでは、制御部110は、車両利用者1人あたり2ポイントを付与するように、ポイント管理情報122を更新する。制御部110は、ポイントを付与した旨を車両利用者端末300に報知する(ステップSB8)。
つまり、ステップSB8の処理でのポイントの付与は、車両利用者に広告が閲覧されることを促進するために行われるもので、広告配信が行われない場合にはこのポイントの付与は行われない。
【0055】
続いて、制御部110は、車両利用者が乗車すると、車両利用者端末300と車載端末400とに通信を行わせ、乗車確認を行う(ステップSB9)。ここでは、車載端末400は、他端末通信部440によって運転者端末300a又は同乗者端末300bと通信した場合に、ネットワーク通信部430によってその旨を管理装置100に通知する。管理装置100の制御部110は、車載端末400からこの通知を受け取った場合に、運転者及び同乗者が乗車したことを確認する。
なお、管理装置100は、複数の車両利用者のうちの一人について乗車確認をすれば、配車計画に従っての車両利用者の全員が乗車したと見做してもよいし、個々の乗車確認をしてもよい。また、乗車確認は、車両利用者端末300と車載端末400とが通信を行うことで行われるが、単なる通信ではなく、パスワード入力等の所定の認証処理を伴ってもよい。
【0056】
そして、制御部110は、乗車確認を行った場合に、配車計画に従った車両利用により課される費用を、車両利用者個々が保有するポイントで決済する(ステップSB10)。このとき、制御部110は、ポイント管理情報122に従って車両利用者から減算するポイントを判断する。ここでは、制御部110は、車両利用に応じて500ポイントを車両利用者に負担させるため、個々の車両利用者の保有するポイントを500ポイントずつ減算するよう、ポイント管理情報122の内容を更新する。
なお、この車両利用により課される費用は、一部の費用のみがポイントで決済されてもよいし、ポイントによる決済自体が行われなくてもよい。
【0057】
そして、制御部110は、車両利用者が商店等に来訪すると、車両利用者端末300と目的地端末500とに通信を行わせ、車両利用者の来訪確認を行う(ステップSB11)。ここでは、目的地端末500の制御部510は、他端末通信部540によって運転者端末300a又は同乗者端末300bと通信した場合に、ネットワーク通信部530によってその旨を管理装置100に通知する。管理装置100の制御部110は、目的地端末500からこの通知を受け取った場合、車両利用者が目的地に来訪したことを確認する。
なお、管理装置100は、複数の車両利用者のうちの一人について来訪確認をすれば、配車計画に従っての車両利用者の全員が来訪したと見做してもよいし、個々の来訪確認をしてもよい。来訪確認は、車両利用者端末300と目的地端末500とが通信を行うことで行われるが、単なる通信ではなく、パスワード入力等の所定の認証処理を伴ってもよい。
【0058】
管理装置100の制御部110は、車両利用者が商店等に来訪したと確認すると、その来訪に応じたポイントを車両利用者に付与する(ステップSB12)。このとき、制御部110は、商店等から減算するポイント管理情報122に従って判断する。図8に示すように、制御部110は、1人あたり「50」ポイントを付与するようにポイント管理情報122を更新する。制御部110は、車両利用者に付与したポイントの合計を商店等が保有するポイントから減算する(ステップSB13)。ここでは、制御部110は、車両利用に応じたポイントを提供するので、「50」ポイント×(来訪確認した車両利用者の人数分)を減じるように、ポイント管理情報122を更新する。
【0059】
そして、制御部110は、ステップSB12,13の処理により変化したポイント数を報知するべく、目的地端末500及び車両利用者端末300の双方に保有するポイントの残高を報知する(ステップSB14,15)。
なお、以降においても、目的地端末500及び車両利用者端末300はいつでも管理装置100に対してポイント残高を確認することができる。このように付与されたポイントについては、車両利用者はグループ内(例えば、目的地端末500a,500bが設置された店舗)の商店等での決済に用いることができる。また、利用者代行機関が異なるグループの商店等では、車両利用者はこのポイントを決済に用いることができない。
ところで、上記処理の流れでは説明しなかったが、車両利用者も配車システム1の利用にあたり事前に会員登録される。会員登録された車両利用者については、利用者属性「01」又は「02」のいずれかと、利用者IDとが割り当てられ、利用者管理情報121に利用者に関する情報が記述される。また、会員登録された車両利用者については、ポイント管理情報122に個々の保有するポイントに関する情報が記述される。
【0060】
以上説明した実施形態によれば、管理装置100は、広告配信や車両利用者の商店等への来訪に応じて、その商店等で利用可能なポイントを車両利用者に付与する。かかるポイントは、車両の目的地において金銭価値を発生するが、例えば他の目的地などでは金銭か値を発生しないものである。これにより、車両利用者が付与されたポイントを利用するために、将来的に同じ目的地に来訪することが期待できるので、このポイントの付与が地域の経済的効果の発展に寄与し、地域の活性化などの効果を期待することができる。このようにして、管理装置100は車両の目的地と連携し、車両利用者に対して、その目的地に応じた金銭価値を与える。また、配車システム1の運用・維持に関する費用を、商店等が配車システム1に加盟する際に負担する費用で賄うことができ、一方で、その負担額に応じたポイントが商店等には付与されるので、サービス事業者及び利用者の双方に何らかの金銭的なメリットがある。また、管理装置100が行う広告配信については、配車計画に従って目的地への来訪を見込める車両利用者に絞って広告配信することができるので、来訪が見込めない者への広告配信を抑えることができ、例えば新聞の折り込み広告などに比べて高い費用対効果を期待することができる。
【0061】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態と異なる形態で実施することが可能である。本発明は、例えば、以下のような形態で実施することも可能である。また、以下に示す変形例は、各々を適宜に組み合わせてもよい。
[変形例1]
上述した実施形態において、管理装置100は、同一の利用者代行機関の管理下にあるグループ内の商店等のみで金銭価値が発生するポイントを付与していたが、例えば、目的地リストに登録されたすべての目的地の商店等で金銭価値が発生するポイントを付与してもよい。要するに、管理装置100は、配車計画に従う車両の目的地で少なくとも金銭価値が発生するポイントを付与すればよい。
また、管理装置100は、ポイント管理情報122の更新によりポイントを付与していたが、例えば利用者の保有するカード(例えば、磁気カード)への書き込みによって、ポイントを付与してもよい。また、ポイントは、プリペイドカードのような現物の提供によって付与されてもよい。また、ステップSB10の処理のように、ポイントは、商品やサービスの提供の対価として支払われるべき費用と相殺させる態様によって付与されてもよい。
【0062】
[変形例2]
上述した実施形態において、管理装置100は、広告配信後及び来訪確認後に車両利用者にポイントを付与していたが、ポイント付与の契機はこれ以外のものであってもよい。例えば、管理装置100は、車両が目的地に到着し、車両利用者が車両から下車したことを契機にポイントを付与してもよい。この場合、車載端末400がGPS(Global Positioning System)測位機能など自端末の位置を測定する機能を有しており、測位結果を管理装置100に繰り返し送信する。管理装置100は、この測位結果から車両が目的地に到着したことを確認してもよい。また、降車確認については、車載端末400は、乗車確認をした後において、目的地周辺で車両利用者端末300が車両内にないことを他端末通信部440による通信によって検知した場合に、その旨を管理装置100に通知する。管理装置100は、この通知を契機に降車確認をしてもよい。
これ以外にも、例えば、管理装置100は、配車計画を決定したことを契機に車両利用者に対してポイントを付与してもよく、ポイント付与の契機は前掲のものに限定されない。
【0063】
[変形例3]
上述した実施形態では、管理装置100は、広告の配信依頼を受け取ると、ステップSB4の処理で広告配信していたが、広告配信に係る構成を省略してもよい。この場合、制御部110が実現する機能のうち広告配信部117が不要である。
一方、上述した実施形態の広告配信に係る構成を以下のようにしてもよい。
管理装置100は、広告メールを作成するための材料を格納した作成材料データベースを格納し、商店等での広告の作成を支援する機能を有していてもよい。目的地端末500は、管理装置100のwebページにアクセスし、作成材料データベースを利用して広告メールを作成する。管理装置100は、作成された広告メールについてそのデータ容量を確認して、配信のための所要料金を算出し、同データとともに記憶部120に記憶した広告メールのデータベースに保存する。そして、管理装置100は、広告配信をするたびに所要料金分のポイントを商店等が保有するポイントから減算する。
【0064】
[変形例4]
上述した実施形態において、運転者自身が商店等に来訪することを目的としない場合、つまり、運転者がボランティアで運転するような場合には、管理装置100は、他の運転者とは違う態様でポイントを付与してもよい。この場合、運転者端末300aは、運転者がボランティア運転であるか否かを示す属性情報を利用予定に含めて、管理装置100に送信する。管理装置100は、利用予定に含まれる属性情報に応じて運転者がボランティアであると判断した場合には、配車計画を決定した後、例えばボランティア運転でない運転者よりもポイント数が高くなるようにポイントを付与してもよい。また、管理装置10が、車両利用者にポイントを付与する際に、運転者と同乗者とで付与するポイントのポイント数を異ならせる構成であってもよい。
【0065】
[変形例5]
上述した実施形態では、配車システム1に利用者代行端末200が含まれているが、利用者代行端末200が実現する機能の一部又は全部を管理装置100が実現してもよい。例えば、上述した実施形態の利用者代行機関で行われた手続きが、管理装置100の管理者側で一括して行われる場合、配車システム1において利用者代行端末200に相当する構成は不要である。また、配車管理装置100及び利用者代行端末200で行われる処理がどちらで行われるかについて、上述した実施形態の態様から適宜変形可能である。
【0066】
[変形例6]
また、上述した管理装置100の制御部110が実現する各機能は、複数のプログラムの組み合わせによって実現され、又は、複数のハードウェア資源の協働によって実現され得る。
【符号の説明】
【0067】
1…配車システム、100…管理装置、110…制御部、111…予定取得部、112…配車部、113…乗車確認部、114…来訪確認部、115…ポイント管理部、116…出力部、117…広告配信部、120…記憶部、121…利用者管理情報、122…ポイント管理情報、123…イベント管理情報、130…通信部、200…利用者代行端末、300…車両利用者端末、300a…運転者端末、300b…同乗者端末、310…制御部、320…記憶部、330…ネットワーク通信部、340…他端末通信部、350…表示部、360…操作部、400…車載端末、410…制御部、420…記憶部、430…ネットワーク通信部、440…他端末通信部、450…表示部、460…操作部、500,500a,500b…目的地端末、510…制御部、520…記憶部、530…ネットワーク通信部、540…他端末通信部、550…表示部、560…操作部,900…ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を運転して利用しようとする運転者の目的地を指定した車両の利用予定と、車両を運転しないで利用しようとする同乗者の目的地を指定した車両の利用予定とを取得する予定取得手段と、
前記予定取得手段により取得された運転者及び同乗者の利用予定を満たして稼動可能な車両を特定して、配車計画を決定する配車手段と、
前記配車手段により決定された配車計画に従って利用される車両の目的地で金銭価値が発生するポイントを、当該車両の運転者及び同乗者に対して付与するポイント管理手段と
を備えることを特徴とする配車管理装置。
【請求項2】
前記配車手段は、あらかじめいずれかのグループに分類された複数の目的地のうちのいずれかを指定した利用予定に基づいて、前記配車計画を決定し、
前記ポイント管理手段は、前記配車計画で指定された目的地と同一のグループに分類された目的地では共通の金銭価値が発生するが、他のグループに分類された目的地では金銭価値が発生しないポイントを付与する
ことを特徴とする請求項1に記載の配車管理装置。
【請求項3】
前記車両を利用した運転者及び同乗者が前記車両の目的地に来訪したことを確認する来訪確認手段を備え、
前記ポイント管理手段は、前記来訪確認手段により来訪が確認された場合に、前記ポイントを付与する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の配車管理装置。
【請求項4】
前記車両を利用する運転者及び同乗者の乗車確認を行う乗車確認手段を備え、
前記ポイント管理手段は、運転者及び同乗者の個々が保有するポイントを管理し、前記乗車確認手段により乗車確認が行われると、当該車両の利用により課される費用を、当該運転者及び同乗者の個々が保有するポイントで決済する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の配車管理装置。
【請求項5】
前記配車計画が決定されると、前記車両の目的地に関する広告を、当該車両を利用する運転者の運転者端末、又は当該車両を利用する同乗者の同乗者端末に配信する配信手段を備える
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の配車管理装置。
【請求項6】
通信手段と、配車手段と、出力手段と、ポイント管理手段とを備える配車管理装置と、
前記配車管理装置と通信を行う手段をそれぞれ備える運転者端末及び同乗者端末とを有し、
前記運転者端末は、
車両を運転して利用しようとする運転者の目的地を指定した車両の利用予定を送信し、
前記同乗者端末は、
車両を運転しないで利用しようとする同乗者の目的地を指定した車両の利用予定を送信し、
前記配車管理装置は、
前記通信手段が、前記運転者端末から送信された利用予定と、前記同乗者端末から送信された利用予定とを受信し、
前記配車手段が、受信した運転者及び同乗者の利用予定を満たして稼動可能な車両を特定して、配車計画を決定し、
前記出力手段が、前記配車手段により決定された配車計画を報知するための報知情報を、前記運転者端末及び前記同乗者端末に出力し、
前記ポイント管理手段が、前記配車手段により決定された配車計画に従って利用される車両の目的地で金銭価値が発生するポイントを、当該車両の運転者及び同乗者に対して付与する
ことを特徴とする配車システム。
【請求項7】
前記車両の目的地に来訪した運転者の運転者端末、又は前記車両の目的地に来訪した同乗者の同乗者端末と通信する手段と、前記配車管理装置と通信する手段とを有する目的地端末を備え、
前記目的地端末は、
前記運転者端末又は前記同乗者端末と通信した場合に、その旨を前記配車管理装置に通知し、
前記配車管理装置は、
前記目的地端末から前記通知を受け取った場合に、前記車両を利用した運転者及び同乗者が前記車両の目的地に来訪したことを確認する来訪確認手段を備え、
前記ポイント管理手段が、前記来訪確認手段により来訪が確認された場合に、前記ポイントを付与する
ことを特徴とする請求項6に記載の配車システム。
【請求項8】
前記車両に乗車した運転者の運転者端末、又は前記車両に乗車した同乗者の同乗者端末と通信する手段と、前記配車管理装置と通信する手段とを有する車載端末を備え、
前記車載端末は、
前記運転者端末又は前記同乗者端末と通信した場合に、その旨を前記配車管理装置に通知し、
前記配車管理装置は、
前記車載端末から前記通知を受け取った場合に、前記車両を利用する運転者及び同乗者の乗車確認を行う乗車確認手段を備え、
前記ポイント管理手段が、運転者及び同乗者の個々が保有するポイントを管理し、前記乗車確認手段により乗車確認が行われると、当該車両の利用により課される費用を、当該運転者及び同乗者が保有するポイントで決済する
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の配車システム。
【請求項9】
配車管理装置が、
車両を運転して利用しようとする運転者の目的地を指定した車両の利用予定と、車両を運転しないで利用しようとする同乗者の目的地を指定した車両の利用予定とを取得し、
取得した運転者及び同乗者の利用予定を満たして稼動可能な車両を特定して、配車計画を決定し、
決定した配車計画に従って利用される車両の目的地で金銭価値が発生するポイントを、当該車両の運転者及び同乗者に対して付与する
ことを特徴とする配車方法。
【請求項10】
コンピュータに、
車両を運転して利用しようとする運転者の目的地を指定した車両の利用予定と、車両を運転しないで利用しようとする同乗者の目的地を指定した車両の利用予定とを取得する予定取得ステップと、
前記予定取得ステップで取得した運転者及び同乗者の利用予定を満たして稼動可能な車両を特定して、配車計画を決定する配車ステップと、
前記配車ステップで決定した配車計画に従って利用される車両の目的地で金銭価値が発生するポイントを、当該車両の運転者及び同乗者に対して付与するポイント管理ステップと
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−53790(P2012−53790A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197151(P2010−197151)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【出願人】(599112504)北都システム株式会社 (1)
【Fターム(参考)】