説明

配車計画装置及び配車計画方法

【課題】車両の配車計画を効率化した上で、各乗務員における手当や業務負荷の平準化を行い、さらに勤務条件の遵守を考慮した乗務員の割当てを行う。
【解決手段】配車計画装置1の配車計画部12は、受信した配送依頼情報と配送を行う車両とを対応付けて配送計画を作成する。そして、勤務時間計算部(編成作成部)13が、各車両の回次毎の配送計画について乗務員の勤務時間を計算する。次に、編成計画部(編成作成部)14は、各乗務員が所定労働時間内で勤務可能となるように、各車両の配送計画をまとめて編成を作成する。そして、運賃・料金計算部15は、各編成毎の運賃または料金を計算する。さらに、乗務員割当部16が、その編成に勤務可能な乗務員について所定期間内での累積手当を参照し、手当の最も少ない乗務員を、運賃又は料金の最も高い編成に順次割当てる乗務員割当処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車計画装置及び配車計画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流通や物流に関する業務を行う運送会社において実用化されている装置として、配送業務の効率化を目的とした配車計画装置、または乗務員の割当計画装置は、各々個別に実用化されている。通常、トラックでの配送を計画する際には、運行1回、即ち1回転毎に乗務員を乗り換える乗務を行っていた。
【0003】
特許文献1には、乗務員割当規則データに従って、車両整理案データのうち、未割当の列車の運用に対して、乗務員の割当処理を実行する技術が記載されている。
また、特許文献2には、複数台の車両において、運行1回毎の配送業務に分解し、運行1回毎に各乗務員を割当てる技術が記載されている。さらに、配送業務を各乗務員に割当てる際に、乗務を行った場合の乗務員の累積手当を平準化する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−118179号公報
【特許文献2】特開2006−139435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来技術においては、配車計画装置を用いて、配車の効率化を目指した配車計画を作成し、その配車計画に沿って乗務員を割当てることが可能になる。しかしながら、必ずしも運転手などの乗務員の割当てが適正に行えているとは言えない問題がある。運送会社で車両を効率的に割当てる処理は、積荷の輸送効率が最大になるように行うものであるのに対して、乗務員の割当ては、効率化の観点だけでは対応できない課題があり、特に、乗務員の業務負荷(乗務時間や走行距離)や収入の平準化についても考慮することが必要である。この点において、特許文献2には、乗務員の累積手当を平準化する技術が開示されているが、実際に乗務員を車両に割当てる場合には、さらに、乗務員の勤務形態、例えば、日勤、夜勤などの勤務時間帯、法規則あるいは社内規則を遵守した労働時間内で乗務可能か否かなどの勤務条件を考慮して、適正な乗務員の割当てを行わなければならない。
【0006】
このような背景に鑑みて本発明がなされたのであり、本発明は、車両の配車計画を効率化した上で、各乗務員における手当や業務負荷の平準化を行い、さらに勤務条件の遵守を考慮した乗務員の割当てを行う配車計画装置及び配車計画方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る配車計画装置及び配車計画方法は、受信した配送依頼情報と配送を行う車両とを対応付けて配送計画を作成する。次に、各車両の回次毎の配送計画について乗務員の勤務時間を計算し、各乗務員が所定労働時間内で勤務可能となるように、各車両の配送計画をまとめて編成を作成する。そして、各編成に対して割当てられた配送依頼情報に基づいて、編成毎の運賃または料金を計算し、さらに、その編成に勤務可能な乗務員について所定期間内での累積手当を参照する。そして、手当の最も少ない乗務員を、運賃又は料金の最も高い編成に順次割当てる乗務員割当処理を行う。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両の配車計画を効率化した上で、各乗務員における手当や業務負荷の平準化を行い、さらに勤務条件の遵守を考慮した乗務員の割当てを行う配車計画装置及び配車計画方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る配車センタと乗務員室の構成例を示す図である。
【図2】本実施形態に係る配車計画装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【図3】本実施形態に係る配車計画結果情報の表示例を示す図である。
【図4】本実施形態に係る編成計画結果情報の表示例を示す図である。
【図5】本実施形態に係る当月乗務員手当情報(乗務員手当情報)の一例を示す図である。
【図6】本実施形態に係る勤務時間帯情報の一例を示す図である。
【図7】本実施形態に係る勤務区分情報の一例を示す図である。
【図8】本実施形態に係る勤務時間帯情報と勤務区分情報とをガントチャートとして示す図である。
【図9】本実施形態に係る配車計画方法の全体の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】本実施形態に係る乗務員割当処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】本実施形態に係る編成計画結果情報の表示例を示す図である。
【図12】本実施形態に係る編成計画結果情報と乗務員割当結果情報とを組み合わせた表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態では、車両としてトラックを使用し、配送貨物に原料または商品、即ち、通常の意味で使用される調達物流、販売物流を例にとって説明するが、これらの例には、限定されない。
【0011】
図1は本実施形態に係る配車センタ4と乗務員室6の構成を示すものである。
図1に示す運送会社の配車センタ4は、荷主からの配送の依頼を受け付け、乗務員室6の乗務員に対して、翌日の配車及び乗務内容を案内する処理を行う。
【0012】
運送会社の配車センタ4には、配送依頼情報受付装置3と配車計画装置1とが設置してあり、配車計画装置1は、ハードディスクなどの記憶手段で構成される補助記憶装置60を備えている。配送依頼情報受付装置3と配車計画装置1は、通信ネットワーク2で接続されている。また、配送依頼情報受付装置3へは、外部から通信ネットワーク2を介して配送の依頼に関する情報である配送依頼情報100(図2参照)が届く。この配送依頼情報100は、例えば顧客が荷主に注文した商品の名称や数量、納入先の場所、日時などの情報である。
【0013】
また、配車計画装置1は、自身が備えるディスプレイ(後記する表示部30)に配車計画などを表示させることができると共に、この配車センタ4とは別室の乗務員室6に設置された表示装置5にも、配車計画などを表示させる。配車計画装置1で作成された配車計画は、補助記憶装置60に保存される。なお、本実施形態における配車計画装置1は、車両の配車計画だけでなく、配車計画された各車両への乗務員の割当てなども行うようにしてあり、以下の説明において、広い意味で配車計画と述べた場合には、乗務員の車両への割当ても含まれるものである。
【0014】
配送依頼情報受付装置3で受け付けた配送依頼情報100は、配車計画装置1へ送られ、補助記憶装置60に記憶される。配車計画装置1では、事前にマスタ情報として登録されている荷主の出荷拠点の位置情報(緯度経度)(後記する出荷拠点情報601)、荷主にとってのお客様(顧客)である配送先の位置情報(緯度経度)(後記する配送先情報602)から配送ルートを特定する。そして、その配送ルートと、荷量および配送先の制約条件に合致した車両を選択し、配送依頼情報100と車両とを対応付けすることによって配車計画を作成する。配車計画を作成した結果である配車計画結果情報200は補助記憶装置60に記憶される。
【0015】
そして、配送依頼情報100と、事前にマスタ情報として登録されている車両情報603および乗務員の勤務時間帯が設定される勤務時間帯情報606とから、配車計画装置1が作成した配車計画結果情報200における各車両の配車計画を、1人の乗務員が勤務時間内に乗務可能な編成にまとめた編成計画結果情報300を作成する。次に、配車計画装置1は、編成計画結果情報300を基に、各編成毎の運行によって生じる運賃または料金を計算し、補助記憶装置60に記憶する。続いて、配車計画装置1は、乗務員情報605、各乗務員の勤務区分(日勤・夜勤)が記憶される勤務区分情報607、および当月の乗務員の累積手当が記憶される当月乗務員手当情報(乗務員手当情報)400に基づき、乗務可能で積荷を扱うスキルを有した乗務員を選び出し、累積手当の少ない乗務員に、運賃または料金の高い編成を割当てる乗務員割当を実行する。そして、その結果である乗務員割当結果情報500を補助記憶装置60に記憶する。補助記憶装置60に記憶した編成計画結果情報300と乗務員割当結果情報500は、配車計画装置1が備えるディスプレイにガントチャートとして表示すると共に、乗務員室6の表示装置5にも表示させる。このように表示させることで、乗務員室6にいる乗務員は、翌日(あるいはそれ以降の日)の乗務すべき仕事の内容をビジュアルに確認することができる。
【0016】
図2は、本実施形態に係る配車計画装置1の構成例を示す機能ブロック図である。
なお、図1において、配車センタ4内に設置された配車計画装置1は、1台のコンピュータ装置を使用した例としているが、複数台のコンピュータ装置で構成されてもよい。また、配送依頼情報受付装置3の機能を配車計画装置1が備えてもよい。
【0017】
図2において、配車計画装置1は、制御部10と、通信部20と、表示部30と、入力部40と、メモリ部50と、記憶部(補助記憶装置)60とを含んで構成される。
【0018】
制御部10は、配送依頼情報受付装置3から通信部20を介して配送依頼情報100を受信し、配車計画の作成と、各車両の配車計画をまとめた編成毎の乗務員割当処理とを行う。そして、制御部10は、配送依頼情報受信部11と、配車計画部12と、勤務時間計算部13と、編成計画部14と、運賃・料金計算部15と、乗務員割当部16と、表示制御部17とを含んで構成される。なお、請求項における編成作成部は、勤務時間計算部13と編成計画部14とが相当する。また、この制御部10の機能は、例えば配車計画装置1の記憶部60に記憶されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)がメモリ部50に展開し実行することで実現される。
【0019】
配送依頼情報受信部11は、顧客の注文に応じた荷主からの配送依頼情報100を、配送依頼情報受付装置3から、通信部20を介して受信し、記憶部60に記憶する。
【0020】
配車計画部12は、記憶部60に記憶されている、出荷元となる出荷拠点情報601、届先の顧客情報である配送先情報602、配送トラックの情報(積載トン数や装備)である車両情報603および地図情報604を用いて、配送経路を決定し、その配送経路の距離と平均走行速度から配送にかかる所要時間を算出する。さらに配送依頼情報100から配送する商品とその量を特定し、配送車両を決定することができる。また、出荷拠点における積込開始/積込終了時刻、配送先までの移動時間、配送先到着/荷卸終了時刻、出荷拠点または車庫への帰着時刻もこの時点で決定される。そして、配車計画部12は、作成した配車計画結果情報200を、記憶部60に記憶する。
【0021】
図3は、本実施形態に係る配車計画結果情報200を表示部30にガントチャートとして表示した例を示す図である。
図3に示すように、車両番号0001〜車両番号Nまでの右側に、配送計画が時系列に示されている。具体的には、例えば、車両番号0003の車両についてみると、積込302から始まって移動303した後、荷降ろし304、再度移動303した後、出荷拠点へ帰着305する、この一連の配送計画による運行を1回転と呼ぶ。引き続き配送業務を継続する場合は、出荷拠点に戻った際に、再度積込302を行い、2回目に入っていく。3回目以降も同様である。ここで各回転の業務の1回目を1回次、2回目を2回次、と定義する。3回目以降も同様である。
図3においては、午前5時から配送を開始する計画で、既に車両番号0001の車両に3回転で5件の配送依頼情報100が割り付き、車両番号0002の車両に3回転6件、車両番号0003の車両に3回転5件の配送依頼情報100が割り付いてことを示している。
【0022】
図2に戻り、勤務時間計算部(編成作成部)13は、配車計画部12が作成した配車計画結果情報200(図3参照)に基づき、各車両の回次毎の配車計画について乗務員の勤務時間を計算する。
【0023】
編成計画部(編成作成部)14は、勤務時間計算部13により計算された各車両の回次毎の勤務時間に関する情報を用いて、乗務員の日勤、夜勤などの勤務区分毎に勤務時間帯情報606で定められた労働時間内で勤務可能な、各車両の回次毎の配車計画をまとめた編成計画を作成する。そして、編成計画部14は、その結果を編成計画結果情報300として記憶部60に記憶する。
【0024】
図4は、本実施形態に係る編成計画結果情報300を表示部30にガントチャートとして表示した例を示す図である。
図4に示すように、例えば、車両番号0001の車両は、日勤の乗務員が乗務する(編成1)と、夜勤の乗務員が乗務する(編成2)の2つの編成にまとめられることを示す。このようにすることで、各乗務員が所定の労働時間内で勤務可能な編成として配車計画を作成することができる。
【0025】
図2に戻り、運賃・料金計算部15は、編成計画部14によって作成された編成計画結果情報300(図4参照)に基づき、記憶部60に記憶されている運賃・料金情報608を用いて、各編成毎に、運賃または料金を計算する。また、運賃・料金計算部15は、計算した運賃または料金に基づいて乗務員の手当を計算し、記憶部60内の後記する当月乗務員手当情報(乗務員手当情報)400を更新する。なお、この乗務員の手当は、運賃・料金計算部15により計算される運賃または料金の増減に連動して、乗務員または乗務員が所属する会社などに支払われるものである。
【0026】
乗務員割当部16は、乗務員情報605、勤務区分情報607および当月乗務員手当情報400を用いて、乗務員の手当が平準化するように各編成に適切な乗務員を割当て、乗務員割当結果情報500を作成する。そして、乗務員割当部16は、作成した乗務員割当結果情報500を記憶部60に記憶させる。
【0027】
図5は、本実施形態に係る当月乗務員手当情報(乗務員手当情報)400のデータ構成の一例を示す図である。
図5に示すように、当月乗務員手当情報400は、乗務員名と当月の乗務員の月初から今現在までの手当の合計である累積手当とを含んで構成される。乗務員割当部16は、乗務員を各編成に割当てる際に、運賃・料金計算部15が計算した運賃または料金が最も高い編成に、この当月乗務員手当情報400を参照し、当月の累積手当が最も少ない乗務員を割当てる処理を行う。
【0028】
図2に戻り、表示制御部17は、配車計画部12によって作成された配車計画結果情報200、編成計画部14によって作成された編成計画結果情報300、および乗務員割当部16によって作成された乗務員割当結果情報500を表示部30に表示させる。また、表示制御部17は、編成計画結果情報300および乗務員割当結果情報500を、通信部20を介して乗務員室6の表示装置5に送信し表示させる。
なお、この乗務員割当結果情報500は、各乗務員と各車両の編成とを対応付けたリストとして表示してもよいし、後記するように、表示制御部17の制御により、編成計画結果情報300の表示画面において、各車両の編成とその編成に割当てられた乗務員とを対応付けて同じ画面内で表示させてもよい(図12参照)。
【0029】
次に、通信部20は、LAN(Local Area Network)などの通信ネットワーク2を介して各装置との情報の送受信を行うためのインタフェースからなる。
表示部30は液晶ディスプレイなどからなり、配車計画結果情報200や、編成計画結果情報300、乗務員割当結果情報500などを表示する。
入力部40は、キーボードやタッチパネルなどからなり、制御部10の処理に関する指示を与える。
また、メモリ部50は、RAM(Random Access Memory)などの記憶手段からなり、制御部10の処理に必要な情報を一時的に記憶する。
【0030】
記憶部(補助記憶装置)60は、ハードディスク、フラッシュメモリなどの記憶手段からなり、配車計画装置1が処理を行うために必要なマスタ情報である、出荷拠点情報601、配送先情報602、車両情報603、地図情報604、乗務員情報605、勤務時間帯情報606、勤務区分情報607、および運賃・料金情報608が予め記憶される。さらに、記憶部60には、制御部10の処理に伴ない、配送依頼情報100、配車計画結果情報200、編成計画結果情報300、当月乗務員手当情報(乗務員手当情報)400、および乗務員割当結果情報500が作成または更新されて記憶される。
【0031】
なお、本実施形態における運賃・料金計算部15が運賃または料金の計算に用いる運賃・料金情報608は、例えば、乗務員の手当が、荷主から配送先の顧客に請求する配達料に関連付けられている場合には、その配達料が抽出される。また、運賃・料金計算部15は、荷主が乗務員または乗務員を雇用し車両を所有する運送会社に支払う料金、例えば、移送料、地区割増料、冬季割増料、品目割増料、特大品割増料、遠距離手当などに連動して、手当を支払う場合には、これらの項目の料金を抽出して合計する。
【0032】
また、図6は、本実施形態に係る勤務時間帯情報606のデータ構成の一例を示す図である。
図6に示すように、勤務時間帯情報606は、例えば、日勤と夜勤との勤務区分毎に、標準勤務時間帯として8:00〜17:00が設定され、標準勤務時間以外の超過時間も含めた勤務可能な時間帯が、超過勤務時間帯5:00〜20:00として設定される。また、夜勤においては、標準勤務時間帯が20:00〜04:00、超過勤務時間帯が17:00から05:00と設定される。
【0033】
図7は、本実施形態に係る勤務区分情報607のデータ構成の一例を示す図である。
図7に示すように、勤務区分情報607は、勤務予定日において、乗務員の勤務区分である、日勤または夜勤かを示す情報を記憶する。
【0034】
この勤務時間帯情報606と勤務区分情報607とを併せて視覚化して表現すると図8に示すガントチャートのようになる。
「特許一郎」から「特許N郎」までの乗務員81毎に、日勤か夜勤かを示す勤務区分82と、その右側に勤務可能な時間帯の情報とが示されている。この勤務可能な時間帯の情報は、勤務時間帯情報606によって定められる。なお、この勤務時間帯に納まるように、編成計画部14が、各車両の運行計画を編成して編成計画結果情報300(図4参照)を作成する。
【0035】
次に、図1〜8を参照しつつ、図9〜12に沿って、本実施形態に係る配車計画方法について説明する。
図9は、本実施形態に係る配車計画方法の全体の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、配車計画装置1の配送依頼情報受信部11は、配送依頼情報受付装置3から配送依頼情報100を受信し、記憶部60に記憶する(ステップS901)。
次に、配車計画部12は、受信した個々の配送依頼情報100と車両とを対応付ける配車計画結果情報200を作成する(ステップS902)。
具体的には、配車計画部12は、事前にマスタ情報として登録されている、荷主の出荷拠点の位置情報を示す出荷拠点情報601、顧客の配送先の位置情報を示す配送先情報602、および地図情報604から、配送ルートを特定し、積み荷の数量や配送先の制約条件に合致した車両を選択し、配送依頼情報100と車両を対応付けることによって、配車計画結果情報200(図3参照)を作成し、記憶部60に記憶する。
【0036】
続いて、配車計画装置1は、各車両の回次毎の勤務時間を計算し、各乗務員が定められた労働時間で勤務可能な編成を計算し、編成計画結果情報300を作成する。そして、その編成毎に、乗務員を各車両に割当てる乗務員割当処理を行い(ステップS903)、その結果を乗務員室6の表示装置5に表示させる。
【0037】
次に、図9のステップS903の乗務員割当処理について具体的に説明する。
図10は、本実施形態に係る乗務員割当処理の流れを示すフローチャートである。
まず、配車計画装置1の勤務時間計算部13は、記憶部60に記憶された配車計画結果情報200を取得し、各車両の回次毎の勤務時間を計算する(ステップS1001)。
【0038】
次に、編成計画部14は、各車両の回次を、記憶部60内の勤務時間帯情報606に基づき、乗務員の勤務可能な時間幅でまとめて編成とし、編成計画結果情報300(図4参照)を作成する(ステップS1002)。
【0039】
続いて、運賃・料金計算部15は、記憶部60内の運賃・料金情報608を用いて、各編成毎の運賃または料金を計算する(ステップS1003)。
【0040】
そして、乗務員割当部16は、運賃・料金の高い配送依頼情報100が割り付いた編成から降順にソートする(ステップS1004)。
【0041】
次に、乗務員割当部16は、乗務員が未割当てであり、最も運賃または料金が高い編成を選択する(ステップS1005)。
【0042】
続いて、乗務員割当部16は、乗務が未決定の乗務員であり、選択した編成の勤務時間帯に勤務可能な乗務員のうち、当月乗務員手当情報400(図5参照)を用いて最も累積手当の少ない乗務員を選択する(ステップS1006)。
【0043】
そして、乗務員割当部16は、その乗務員が、その編成の車両に適合した運転免許を有しているか否かを判断する(ステップS1007)。
その乗務員が、その車両に適合した運転免許を持っていない場合には(ステップS1007→No)、ステップS1006へ戻り、次に、累積手当の少ない別の乗務員を選択する。
一方、その車両に適合した運転免許を持っている場合には(ステップS1007→Yes)、ステップS1008へ進む。
【0044】
ステップS1008において、乗務員割当部16は、その乗務員が積載予定の配送依頼の荷物を扱うスキル(社内資格やクレーン等の特殊免許など)を有しているか否かを判断する(ステップS1008)。
スキルを有していない場合には(ステップS1008→No)、ステップS1006へ戻り、次に累積手当の少ない別の乗務員を選択する。一方、スキルを有している場合には(ステップS1008→Yes)、その乗務員をステップS1005で選択した編成に割当てる(ステップS1009)。
【0045】
次に、乗務員割当部16は、すべての編成への乗務員の割当てが終了したか否かを判断する(ステップS1010)。ここで、まだ割当てていない編成がある場合には(ステップS1010→No)、ステップS1005へ戻り処理を続ける。一方、すべての編成の割当てが終わっている場合には(ステップS1010→Yes)、次にステップS1011へ進む。
【0046】
ステップS1011において、表示制御部17は、編成計画結果情報300と乗務員割当結果情報500とを配車計画装置1の表示部30と、乗務員室6の表示装置5に表示する(ステップS1011)。
【0047】
図11は、図10のステップS1003において、運賃・料金計算部15により、運賃または料金が計算され、編成計画結果情報300に示された編成と共に、運賃・料金を表示した例を示している。
この例では、乗務員の手当が最も高くなる運賃・料金は、車両番号0003(編成1)の80000円であることを示している。以下、車両番号0002(編成1)の75000円,車両番号0001(編成1),車両番号0003(編成2),車両番号0001(編成2),車両番号0002(編成2)の順番で安くなっている。
【0048】
また、図10のステップS1006において、乗務員割当部16は、記憶部60に記憶された当月乗務員手当情報400(図5)を参照し、例えば図5の例でみると、当月でこれまで最も手当が少ないのは、特許二郎の105000円であることがわかる。以下、特許三郎(117000円),特許四郎(125000円),特許一郎(138000円),…,特許N郎(250000円)の順番となっている。
【0049】
乗務員割当部16は、図10のステップS1006において、まず記憶部60に記憶された勤務区分情報607の乗務員毎の勤務区分(日勤・夜勤)を参照することにより、ステップS1005で選択した編成の配送時間帯に勤務可能な乗務員を抽出し、その抽出した乗務員のうち最も累積手当の少ない乗務員を選択する。
【0050】
具体的には、ステップS1005において、図11に示す最も運賃または料金の高い、車両番号0003(編成1)が選択されたとすると、乗務未決定の日勤の乗務員について、当月乗務員手当情報400を参照し、最も累積手当の少ない特許二郎を選択する。以下同様にして、各編成と乗務可能な乗務員とを結びつけ、乗務員割当結果情報500を作成する。
このようにすることで、乗務員の労働時間などの勤務条件を考慮した上で、乗務員の手当を平準化する乗務員の割当処理を行うことができる。
【0051】
図12は、編成計画結果情報300と乗務員割当結果情報500とを用いて、各編成に乗務員81を割当ててガントチャートとして表示する例を示す図である。各乗務員81は、自身の乗務員名の左側に示された車両番号を確認し、さらにその日の配送計画である、出発時刻や帰着時刻、何回転で何件の配送があるかなどを確認することができる。乗務員割当部16は、表示制御部17を介して、このガントチャートを作成し、配車計画装置1の表示部30に表示し、さらに、乗務員室6の表示装置5に表示させる。
なお、表示制御部17の制御により、乗務員室6の表示装置5には、図12に示した各編成に対応する運賃または料金については、表示しないようにしてもよい。また、例えば図12に示した乗務員81が車両に乗務できない事情がその後生じた場合には、入力部40を介した指示により、その編成に別の任意の乗務員81を割当てて表示させることもできるし、再度乗務員割当処理を実行し、各編成に改めて乗務員を割当てて表示させることもできる。
【0052】
本実施形態によれば、車両の配車計画を効率化した上で、各乗務員における手当や業務負荷の平準化を行い、さらに労働時間などの勤務条件の遵守を考慮した乗務員の割当てを行うことができる。
【0053】
なお、ここまで説明した処理は、各車両の運賃または料金と、乗務員の手当などの報酬をもとに、算出するようにしたが、同じような判断ができる別の情報を使用してもよい。
例えば、記憶部60内に、乗務員毎の所定期間内の配送業務における走行距離の合計である乗務走行距離が記憶される乗務員走行距離情報を格納し、本実施形態に係る各車両の運賃または料金を計算する運賃・料金計算部15の代わりに走行距離を用いて計算を行う走行距離計算部を設け、乗務員割当処理として、乗務員の手当の代わりに乗務走行距離を用いるようにする。そして、乗務員割当部16は、記憶部60に記憶された乗務員走行距離情報を参照し、現時点で最も乗務走行距離が短い乗務員を、最も走行路離が長い配送依頼情報100が割当てられた編成に割当てる処理を行う。この乗務員割当処理によれば、乗務員の走行距離を平準化することができる。
あるいは、記憶部60内に、乗務員毎の所定期間内の配送業務における走行稼動時間の合計である乗務稼動時間が記憶される乗務員稼動時間情報を格納し、本実施形態に係る運賃・料金計算部15の代わりに走行稼働時間を用いて計算を行う稼動時間計算部を設け、乗務員割当処理として、乗務員の手当の代わりに乗務稼働時間を用いるようにする。そして、乗務員割当部16は、記憶部60に記憶された乗務員稼働時間情報を参照し、最も乗務稼働時間が短い乗務員を、最も走行稼働時間が長い配送依頼情報100が割当てられた編成に割当てる処理を行う。この乗務員割当処理によれば、乗務員の乗務稼働時間を平準化することができる。
【0054】
また、ここまで説明した処理は、配車計画装置1に登録されている複数の車両や乗務員を一括して扱うようにした例について説明したが、例えば、複数の会社の管理を一括して行う場合には、それぞれの会社毎に車両の配車と乗務員の割当て処理とを行うようにしてもよい。
あるいは、同じ会社内でも、対象となる車両台数、乗務員が多い場合は、車両、乗務員共に複数チームに分割し、各々のチーム内で、ここまで説明した車両の配車と乗務員の割当て処理とを実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 配車計画装置
2 通信ネットワーク
3 配送依頼情報受付装置
4 配車センタ
5 表示装置
6 乗務員室
10 制御部
11 配送依頼情報受信部
12 配車計画部
13 勤務時間計算部(編成作成部)
14 編成計画部(編成作成部)
15 運賃・料金計算部
16 乗務員割当部
17 表示制御部
20 通信部
30 表示部
40 入力部
50 メモリ部
60 記憶部(補助記憶装置)
100 配送依頼情報
200 配車計画結果情報
300 編成計画結果情報
400 当月乗務員手当情報(乗務員手当情報)
500 乗務員割当結果情報
601 出荷拠点情報
602 配送先情報
603 車両情報
604 地図情報
605 乗務員情報
606 勤務時間帯情報
607 勤務区分情報
608 運賃・料金情報


【特許請求の範囲】
【請求項1】
配送を行うための複数の車両に対して、複数の配送依頼情報を割当てると共に、それぞれの前記車両に乗務員を割当てる配車計画装置であって、
前記配車計画装置は、
前記乗務員の労働可能な勤務時間帯が設定される勤務時間帯情報、及び前記乗務員毎の所定期間内における配送業務に対する手当の合計である累積手当が記憶される乗務員手当情報、を格納する記憶部と、
前記車両の出発拠点と前記配送依頼情報から得られる配送先とから配送にかかる所要時間を計算し、当該配送依頼情報を、当該配送依頼情報に基づく積荷について配送可能な前記車両に割当てて配車計画を作成する配車計画部と、
前記車両の前記出発拠点から配送を終え帰着するまでの1回次毎の配送計画について、前記乗務員の勤務時間を計算し、各乗務員の勤務時間が前記設定された勤務時間帯内となるように、前記車両の回次毎の配送計画をまとめて編成とする編成作成部と、
前記配送業務に対応する運賃または料金を、前記配送依頼情報に基づいて前記編成毎に計算する運賃・料金計算部と、
前記編成に勤務可能な乗務員についての前記乗務員手当情報を参照し、前記累積手当の最も少ない乗務員を、前記計算された運賃または料金の最も高い編成に割当てる乗務員割当部と、
を備えることを特徴とする配車計画装置。
【請求項2】
配送を行うための複数の車両に対して、複数の配送依頼情報を割当てると共に、それぞれの前記車両に乗務員を割当てる配車計画装置であって、
前記配車計画装置は、
前記乗務員の労働可能な勤務時間帯が設定される勤務時間帯情報、及び前記乗務員毎の所定期間内の配送業務における走行距離の合計である乗務走行距離が記憶される乗務員走行距離情報、を格納する記憶部と、
前記車両の出発拠点と前記配送依頼情報から得られる配送先とから配送にかかる所要時間を計算し、当該配送依頼情報を、当該配送依頼情報に基づく積荷について配送可能な前記車両に割当てて配車計画を作成する配車計画部と、
前記車両の前記出発拠点から配送を終え帰着するまでの1回次毎の配送計画について、前記乗務員の勤務時間を計算し、各乗務員の勤務時間が前記設定された勤務時間帯内となるように、前記車両の回次毎の配送計画をまとめて編成とする編成作成部と、
前記配送業務における前記走行距離を、前記配送依頼情報に基づいて前記編成毎に計算する走行距離計算部と、
前記編成に勤務可能な乗務員についての前記乗務員走行距離情報を参照し、前記乗務走行距離の最も短い乗務員を、前記計算された走行距離の最も長い編成に割当てる乗務員割当部と、
を備えることを特徴とする配車計画装置。
【請求項3】
配送を行うための複数の車両に対して、複数の配送依頼情報を割当てると共に、それぞれの前記車両に乗務員を割当てる配車計画装置であって、
前記配車計画装置は、
前記乗務員の労働可能な勤務時間帯が設定される勤務時間帯情報、及び前記乗務員毎の所定期間内の配送業務における走行稼動時間の合計である乗務稼動時間が記憶される乗務員稼動時間情報、を格納する記憶部と、
前記車両の出発拠点と前記配送依頼情報から得られる配送先とから配送にかかる所要時間を計算し、当該配送依頼情報を、当該配送依頼情報に基づく積荷について配送可能な前記車両に割当てて配車計画を作成する配車計画部と、
前記車両の前記出発拠点から配送を終え帰着するまでの1回次毎の配送計画について、前記乗務員の勤務時間を計算し、各乗務員の勤務時間が前記設定された勤務時間帯内となるように、前記車両の回次毎の配送計画をまとめて編成とする編成作成部と、
前記配送業務における前記走行稼動時間を、前記配送依頼情報に基づいて前記編成毎に計算する稼動時間計算部と、
前記編成に勤務可能な乗務員についての前記乗務稼動時間を参照し、前記乗務稼動時間の最も短い乗務員を、前記計算された走行稼動時間の最も長い編成に割当てる乗務員割当部と、
を備えることを特徴とする配車計画装置。
【請求項4】
前記複数の車両及び前記乗務員は、複数の運送会社またはチーム毎に括られた車両及び乗務員であり、
それぞれの前記運送会社または前記チーム毎に、前記車両の割当て処理及び前記乗務員の割当て処理を行うこと
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の配車計画装置。
【請求項5】
配送を行うための複数の車両に対して、複数の配送依頼情報を割当てると共に、それぞれの前記車両に乗務員を割当てる配車計画装置に用いられる配車計画方法であって、
前記配車計画装置は、
前記乗務員の労働可能な勤務時間帯が設定される勤務時間帯情報、及び前記乗務員毎の所定期間内における配送業務に対する手当の合計である累積手当が記憶される乗務員手当情報、を格納する記憶部を備え、
前記車両の出発拠点と前記配送依頼情報から得られる配送先とから配送にかかる所要時間を計算し、当該配送依頼情報を、当該配送依頼情報に基づく積荷について配送可能な前記車両に割当てて配車計画を作成するステップと、
前記車両の前記出発拠点から配送を終え帰着するまでの1回次毎の配送計画について、前記乗務員の勤務時間を計算し、各乗務員の勤務時間が前記設定された勤務時間帯内となるように、前記車両の回次毎の配送計画をまとめて編成とするステップと、
前記配送業務に対応する運賃または料金を、前記配送依頼情報に基づいて前記編成毎に計算するステップと、
前記編成に勤務可能な乗務員についての前記乗務員手当情報を参照し、前記累積手当の最も少ない乗務員を、前記計算された運賃または料金の最も高い編成に割当てるステップと、
を有することを特徴とする配車計画方法。
【請求項6】
配送を行うための複数の車両に対して、複数の配送依頼情報を割当てると共に、それぞれの前記車両に乗務員を割当てる配車計画装置に用いられる配車計画方法であって、
前記配車計画装置は、
前記乗務員の労働可能な勤務時間帯が設定される勤務時間帯情報、及び前記乗務員毎の所定期間内の配送業務における走行距離の合計である乗務走行距離が記憶される乗務員走行距離情報、を格納する記憶部を備え、
前記車両の出発拠点と前記配送依頼情報から得られる配送先とから配送にかかる所要時間を計算し、当該配送依頼情報を、当該配送依頼情報に基づく積荷について配送可能な前記車両に割当てて配車計画を作成するステップと、
前記車両の前記出発拠点から配送を終え帰着するまでの1回次毎の配送計画について、前記乗務員の勤務時間を計算し、各乗務員の勤務時間が前記設定された勤務時間帯内となるように、前記車両の回次毎の配送計画をまとめて編成とするステップと、
前記配送業務における前記走行距離を、前記配送依頼情報に基づいて前記編成毎に計算するステップと、
前記編成に勤務可能な乗務員についての前記乗務員走行距離情報を参照し、前記乗務走行距離の最も短い乗務員を、前記計算された走行距離の最も長い編成に割当てるステップと、
を有することを特徴とする配車計画方法。
【請求項7】
配送を行うための複数の車両に対して、複数の配送依頼情報を割当てると共に、それぞれの前記車両に乗務員を割当てる配車計画装置に用いられる配車計画方法であって、
前記配車計画装置は、
前記乗務員の労働可能な勤務時間帯が設定される勤務時間帯情報、及び前記乗務員毎の所定期間内の配送業務における走行稼動時間の合計である乗務稼動時間が記憶される乗務員稼動時間情報、を格納する記憶部を備え、
前記車両の出発拠点と前記配送依頼情報から得られる配送先とから配送にかかる所要時間を計算し、当該配送依頼情報を、当該配送依頼情報に基づく積荷について配送可能な前記車両に割当てて配車計画を作成するステップと、
前記車両の前記出発拠点から配送を終え帰着するまでの1回次毎の配送計画について、前記乗務員の勤務時間を計算し、各乗務員の勤務時間が前記設定された勤務時間帯内となるように、前記車両の回次毎の配送計画をまとめて編成とするステップと、
前記配送業務における前記走行稼動時間を、前記配送依頼情報に基づいて前記編成毎に計算するステップと、
前記編成に勤務可能な乗務員についての前記乗務稼動時間を参照し、前記乗務稼動時間の最も短い乗務員を、前記計算された走行稼動時間の最も長い編成に割当てるステップと、
を有することを特徴とする配車計画方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−282455(P2010−282455A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135811(P2009−135811)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(000153443)株式会社日立情報制御ソリューションズ (359)
【Fターム(参考)】