説明

配電機器

【課題】配電機器を損傷することなく、容易に取り付けることができる配電機器を提供する。
【解決手段】配電機器としての開閉器1本体の背面1cに電柱に装柱可能な装柱部材7を取り付ける。装柱部材7は、取付壁74と両側壁71と両折曲部71aとから断面C字状に形成し、上側端部に掛止部材73、下側端部に規制部材75が固定される。電柱14に開閉器1を取り付ける際には、電柱14に固定した電柱取付部材8に装柱部材7を被せ、装柱部材7の両側壁71及び規制部材75で誘導させながら電柱取付部材8の掛止部82に、装柱部材7の掛止部材73を上方から掛止した。そして、装柱部材7の規制部材75を電柱取付部材8の背面に当接させた状態で固定具により固定した。よって、取り付け作業時等に開閉器1の電柱14への取り付けが容易になるとともに、開閉器1の移動が規制され、確実に固定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、開閉器等の配電機器を電柱に取付可能な取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
開閉器等の配電機器には、電柱に取り付けられる際に用いる装柱部材を設けたものがある。装柱部材は、通常配電機器の電柱と対向する面(背面)に固定されている。電柱取付部材は、両側壁を電柱に当接させて鎖により巻装して固定されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開平3−26226号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特に上記の配電機器の取り付け作業等においては、クレーン等のフックを配電機器の吊金具に引っ掛け、配電機器を電柱取付部材に対して上方から移動し係合させる際、配電機器が前後、左右に揺れるので不安定であり、係合が容易にできず、作業が煩雑となっていた。また、不安定であるので配電機器を損傷するおそれがあった。
【0004】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電柱に損傷することなく容易に取り付けることができる配電機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、配電機器本体が電柱に取り付けられた際に電柱側となる面である背面に取り付けられ、電柱に装着可能な装柱部材が備えられた配電機器において、電柱に固定された電柱取付部材への装着時、前記装柱部材が同電柱取付部材を覆った状態で固定されることをその要旨としている。
【0006】
同構成によれば、電柱に固定された電柱取付部材に対して装着する際には、前記装柱部材が同電柱取付部材を覆うため、電柱への取り付け作業時等に配電機器は左右方向、電柱方向へ揺れることがなくなり安定するので安全に作業することができる。また、電柱に配電機器を損傷することなく取り付けることができる。そして、電柱取付部材に対して装着した際には、開閉器の左右方向への移動が規制されるので、確実に取り付けることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の配電機器において、前記装柱部材は、配電機器本体の前記背面に固定される取付壁と、同取付壁の両端から立設する両側壁とから形成したことをその要旨としている。
【0008】
同構成によれば、装柱部材は、配電機器本体の背面に固定される取付壁と、同取付壁の両端から立設する両側壁とから形成した。このため、電柱取付部材に対して装着する際には、装柱部材の両側壁に誘導させながら電柱取付部材に取り付けることができる。よって、配電機器の電柱への取り付けが容易になる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の配電機器において、前記電柱取付部材と当接する規制部材を前記装柱部材の下側端部に設けたことをその要旨としている。
同構成によれば、電柱取付部材が当接する規制部材を装柱部材の下側端部に設けたため、電柱に固定された電柱取付部材に対して装着する際には、装柱部材を規制部材で誘導させながら電柱取付部材に容易に装着することができる。よって、取り付け作業時等に配電機器の電柱への取り付けが容易になる。また、電柱取付部材に対して装着した際には、電柱取付部材に装柱部材を被せるとともに、装柱部材の規制部材を電柱取付部材の背面に当接させた状態で取り付けられる。よって、配電機器の上下、前後、左右の各方向への移動が規制されるので、確実に取り付けることができる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の配電機器において、前記電柱取付部材に掛止される掛止部材を前記装柱部材の上側端部に設けたことをその要旨としている。
【0011】
同構成によれば、電柱取付部材に掛止される掛止部材を装柱部材の上側端部に設けたため、電柱に固定された電柱取付部材に対して装着する際に、装柱部材の掛止部材が配電機器本体に隠れず、電柱取付部材の掛止部への掛止状況を確認しながら作業することができる。このため、配電機器の電柱への取り付けが容易になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、配電機器を損傷することなく容易に取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明にかかる配電機器を開閉器に具体化した一実施形態について図1〜図4を参照して説明する。
図1に示されるように、開閉器1の内部には図示しない固定電極と可動電極とが備えられるとともに、開閉器1の正面1aには前記固定電極に対して前記可動電極を接離させるべく操作される操作ハンドル10が設けられている。開閉器1の操作ハンドル10が設けられている正面1aに対して垂直方向の両側面1d(1e)には、ブッシング11(12)がそれぞれ突設されている。
【0014】
図3に示されるように、開閉器1本体の上面1bには、同開閉器1をクレーン等により吊り上げられる際に用いるとともに、電柱上の腕金に取り付けられる際に用いる腕金取付部材2が上面1bに沿って配置されて、開閉器1本体に取り付けられた4本のボルト27と4つのナット28とにより開閉器1本体に固定されている。
【0015】
図1に示されるように、腕金取付部材2は、開閉器1の上面1bに固定された本体取付部材20、吊部材32、本体取付部材20に回動可能に軸支される2本の吊下げボルト22、両吊下げボルト22の間に架設される板状の支え部材23、円筒状のスペーサ25、座金24a、ナット24を備えている。右側の吊下げボルト22の支え部材23とスペーサ25との間には、固定金具29が取り付けられている。
【0016】
本体取付部材20は、両側部としての両側壁20aが長方形板材の両端部が上方へ折り曲げられることにより形成され、両側壁20aに軸受孔20bがそれぞれ形成されている。本体取付部材20の上面において前端寄りの部位には、電柱上の腕金15を保持する凹部20dが形成された前側腕金保持部材20cが立設されている。本体取付部材20の前端には、前方、すなわち正面1a側へ延出した規制片20eが形成されている。規制片20eは、吊下げボルト22を前側へ吊部材32の軸部31を中心として回動させた際に支え部材23若しくは吊下げボルト22が当接し、回動を規制する。
【0017】
図2に示されるように、本体取付部材20の上面1bにおいて後端寄りの部位には、電柱上の腕金15を保持する凹部20gが形成された後側腕金保持部材20fが立設されている。なお、後側腕金保持部材20fは、腕金取付部材2の開閉器1の背面側端部を構成している。腕金取付部材2の背面側端部は、後述する装柱部材7の背面と同じ位置まで延出して形成されている。すなわち、腕金取付部材2の開閉器1の背面側端部は、開閉器1本体の正面1aの反対側にあたる開閉器1本体の電柱に取り付けられた際に電柱側となる面である背面1cよりも後方へ延出して形成されている。
【0018】
左側の吊下げボルト22と右側の吊下げボルト22との間には、支え部材23が両吊下げボルト22に沿って上下動可能に架設されている。支え部材23には、左側の吊下げボルト22を挿通する孔23aと右側の吊下げボルト22を挿入する溝23bとが形成されている。支え部材23の左側の吊下げボルト22の上方には、円筒状のスペーサ25、座金24a、ナット24が取り付けられている。支え部材23の右側の吊下げボルト22の上方には、固定金具29、円筒状のスペーサ25、座金24a、ナット24が取り付けられている。すなわち、吊下げボルト22の支え部材23とナット24との間にスペーサ25が環装されている。
【0019】
開閉器1が電柱上の腕金15に取り付けられる際には、本体取付部材20の前側腕金保持部材20c、後側腕金保持部材20fの各凹部20d,20gに腕金15を位置させ、左側の吊下げボルト22を中心に支え部材23を回動させ、支え部材23の溝23b内に右側の吊下げボルト22を挿入し、固定金具29を支え部材23に係合させる。そして、両吊下げボルト22に環装されたスペーサ25を介してナット24を締め付けることにより、支え部材23が開閉器1の本体側へ変位され、吊下げ状態で電柱上の腕金15に取り付けられる。
【0020】
図1に二点鎖線で示されるように、収納される際には、支え部材23は規制片20eに当接されるとともに、スペーサ25を介してナット24を締め付けることにより、前側腕金保持部材20cに当接固定されている。なお、両側壁20a、前側腕金保持部材20c、後側腕金保持部材20fの高さ寸法は、支え部材23の幅寸法と同一寸法に形成されている。
【0021】
図1に示されるように、吊部材32は、本体取付部材20の両軸受孔20bに吊下げボルト22を回動可能に軸支する軸部31と、その右端部に連結される接続部34と、接続部34に連結されて吊下げボルト22の先端面よりも下方に位置する環状の吊部33とから構成され、単一の棒材が湾曲されることにより一体に形成されている。
【0022】
具体的には、吊部材32の軸部31は、本体取付部材20の両側壁20aの両軸受孔20bに挿通するとともに、両側壁20aの内側に両吊下げボルト22は回動可能に軸支されている。吊部材32の吊部33は、両吊下げボルト22の間隙の中央、且つ支え部材23の上方に位置している。また、吊部材32の頂部、すなわち吊部33の上部は、両吊下げボルト22の上方先端以下の高さに設定されている。
【0023】
吊部材32の接続部34は、軸部31の右側端部に連結し、同右側端部から右側の吊下げボルト22に沿って支え部材23より上方へ延びる鉛直部34aと、鉛直部34aの上端から支え部材23より上部で、且つナット24より下部の間で左側へ水平に延び、両吊下げボルト22の中間位置で吊部33へ連結する水平部34bとから構成されている。接続部34の鉛直部34aは、吊下げボルト22と接触しないように吊下げボルト22に対して開閉器1の背面1c側へ傾いている。本体取付部材20の両側壁20aの両軸受孔20bに挿通された軸部31は、両側壁20aの外側にピン等を設けて抜け防止されている。また、ブッシング11(側面1d)から見て、吊部33の円の中心Pは、開閉器1を水平にした状態において開閉器1の重心Gの鉛直上の位置より正面1a側に偏移されている。これにより、開閉器1を吊部材32の吊部33によって吊り上げると開閉器1本体は背面1c側が正面1a側よりも下がった状態、すなわち装柱部材7側に傾斜している。
【0024】
図2に示されるように、開閉器1本体の背面1cには、開閉器1を電柱に取り付ける際に用いる装柱部材7が背面1cに沿って配置されている。装柱部材7は、開閉器1本体に固定された2本のボルト76と2つのナット77とにより開閉器1本体に固定されている。
【0025】
図3に示されるように、装柱部材7の装柱部材本体70は、長方形板材よりなる取付壁74と、その左右両端部が側方へ折り曲げられた両側壁71と、両側壁71から内側へ折り曲げられた両折曲部71aとから断面C字状に形成されている。なお、装柱部材7の取付壁74と、両側壁71との断面形状は、コ字状となっている。装柱部材7は、取付壁74の背面側が開閉器1本体に固定されている。すなわち、開閉器1本体に対し装柱部材7は、外側に向けて開口するように固定されている。図1に示されるように、装柱部材7の上側端部は、腕金取付部材2の後側腕金保持部材20fの凹部20gの底辺と同じ位置まで延出して形成されている。すなわち、装柱部材7の上側端部は、開閉器1本体の上面1bよりも上方へ延出して形成されている。両側壁71の上側端部の角には両軸孔72がそれぞれ形成され、両軸孔72には棒状の掛止部材73が挿通固定されている。両側壁71の下側端部には、板状の規制部材75が架設固定されている。装柱部材7の上側端部の底面と腕金取付部材2の後側腕金保持部材20fの側面とが当接され、ボルト78とナット79とにより締付固定されて、腕金取付部材2と装柱部材7とが連結されている。すなわち、装柱部材7と腕金取付部材2とは、開閉器1本体の背面1cから上面1bに亘りL字状の一体構造となっている。
【0026】
図3に示されるように、電柱取付部材8の両側壁81は、長方形板材の左右両端部が側方へ折り曲げられた断面コ字状に形成され、その両側壁20aには電柱14の外周に沿って巻装固定するための鎖83が取り付けされている。
【0027】
ここで、図1に矢印で示されるように、装柱部材7は、電柱14に巻装固定された電柱取付部材8に掛止されることにより電柱14に取り付けられる。詳しくは、電柱取付部材8の側壁81上部には、装柱部材7の掛止部材73が掛止される掛止部82としての凹部が形成されている。電柱取付部材8は、開口側を電柱14側へ向けて両側壁81の先端を電柱14に当接させて、鎖83を電柱14の外周に沿って巻装固定される。装柱部材7は、掛止部材73が上方から電柱取付部材8の掛止部82に掛止されて、装柱部材7の両折曲部71aの内側が電柱取付部材8の両側壁81の外側に嵌合して覆うように装着され、図示しない固定具により電柱14に取り付けられる。
【0028】
次に、前述のように構成された開閉器1の腕金取付部材2及び装柱部材7との取り付け態様について説明する。
図1に二点鎖線で示されるように、開閉器1の輸送時には、腕金取付部材2は、両側の吊下げボルト22及び吊部材32が腕金取付部材2の上面に対して平行となるように軸部31を回動中心として回動し、収納された状態とされる。この際、吊下げボルト22に取り付けられている支え部材23は、腕金取付部材2の規制片20eに当接し、前側腕金保持部材20cよりも外側に位置している。そして、支え部材23は、両側のナット24が手で締め付けられることで、スペーサ25により前側腕金保持部材20cの外側面に押し付けられ固定されている。また、吊部材32は、支え部材23の上方に位置して、両側のナット24が手で締め付けられることにより、軸部31が両吊下げボルト22により両軸受孔20bの内面に押し付けられ、固定されている。
【0029】
開閉器1を電柱14上の腕金15若しくは電柱14に取り付ける際には、両側のナット24を緩め、吊部材32と両吊下げボルト22とが軸部31に対して回動可能な状態とする。また、固定金具29を支え部材23から外すとともに、右側の吊下げボルト22から支え部材23の溝23bを外し、支え部材23を左側の吊下げボルト22に対して回動可能な状態とする。その後、吊部材32を開閉器1の背面1c側へ回動させ、吊部材32を立設させる。そして、クレーン等のフックを吊部材32の吊部33に引っ掛け電柱の取り付け位置近傍まで持ち上げる。図1に示されるように、吊部材32の吊部33の中心Pは、開閉器1を水平にした状態において開閉器1の重心Gの鉛直上の位置より正面1a側に偏移されているので、開閉器1を吊部材32の吊部33によって吊り上げると開閉器1は背面1c側に傾斜した状態となる。すなわち、開閉器1は、装柱部材7側に傾斜した状態となる。
【0030】
開閉器1を電柱上の腕金15に取り付ける際には、電柱上の腕金15まで開閉器1を持ち上げ、腕金15を腕金取付部材2の前側腕金保持部材20cの凹部20dに当接させる。そして、右側の吊下げボルト22を開閉器1の背面1c側へ回動させ、右側の吊下げボルト22を吊部材32の水平部34bに当接させ仮置きする。また、左側の吊下げボルト22を開閉器1の背面1c側へ回動させた後、支え部材23を回動させ、支え部材23の溝23b内に右側の吊下げボルト22を挿入し、固定金具29を支え部材23に係合させる。これにより、前側腕金保持部材20cの凹部20dと支え部材23との間に腕金15を挟み、ナット24をラチェット工具により締め付けることにより、腕金15を腕金取付部材2の後側腕金保持部材20fの凹部20gに当接させて、開閉器1が電柱上の腕金15に取り付けられる。その後、クレーン等のフックを吊部材32の吊部33から外し、吊部材32の吊部33を開閉器1の背面1c側へ回動し、腕金15に当接して倒しておく。
【0031】
電柱に取り付ける際には、まず電柱取付部材8を電柱14の任意の位置に、その開口側を電柱14側へ向けて両側壁81の先端を電柱14に当接させて、鎖83により巻装固定する。電柱14に固定された電柱取付部材8の上方まで開閉器1を移動させる。そして、クレーン等のフックを緩め、開閉器1を下方に移動させ、装柱部材7の両折曲部71aを電柱取付部材8の両側壁81の外面に被せて、装柱部材7の側壁71の両折曲部71a及び電柱取付部材8の両側壁81で開閉器1を下方に誘導させる。
【0032】
更に、図4(a)、(b)に示されるように、クレーン等のフックを緩め、装柱部材7の規制部材75に当接させ、装柱部材7の両折曲部71aの内側面及び規制部材75で開閉器1を下方に誘導させながら、電柱取付部材8の掛止部82としての凹部に、装柱部材7の掛止部材73を上方から掛止させる。この時、装柱部材7の掛止部材73を両側壁71の上側端部に設けるとともに、開閉器1が装柱部材7側に傾斜しているため、電柱取付部材8の掛止部82への掛止状況を確認しながら作業することが可能となる。すなわち、掛止部材73は開閉器1の上部の角に位置させるとともに、開閉器1を装柱部材7側に傾斜させて、掛止部材73の位置を視認できるようにしたため、取り付け作業が容易となる。そして、更にクレーン等のフックを緩め、開閉器1を下方に移動させ、装柱部材7の規制部材75を電柱取付部材8の背面に当接させ、装柱部材7を電柱取付部材8に被せた状態で電柱取付部材8の下部にある図示しない固定具にて固定させる。具体的には、先ず装柱部材7の両折曲部71aの下端部内側面を電柱取付部材8の両側壁81の上端部外側面に当接させる。そして、これら2箇所に当接した状態で開閉器1を下方に更に移動させ、規制部材75を当接させる。その後、これら3箇所に当接した状態で開閉器1を下方に更に移動させ、この開閉器1の下降にともない装柱部材7は電柱取付部材8の両側壁81及び規制部材75に沿ってスライドし、そのまま電柱取付部材8の掛止部82に装柱部材7の掛止部材73は掛止されることとなる。なお、装柱部材7の両側壁71の両折曲部71a及び規制部材75は、誘導機能を有する誘導部を構成する。これにより、開閉器1が電柱14に取り付けられる。その後、クレーン等のフックを吊部材32の吊部33から外し、吊部材32を開閉器1の背面1c側へ回動し、腕金に当接して倒しておく。
【0033】
このように、電柱取付部材8の背面を装柱部材7の規制部材75に当接させ、装柱部材7を電柱取付部材8に被せた状態で電柱取付部材8の下部に設けた図示しない固定具にて固定させる。その後、クレーン等のフックを吊部材32の吊部33から外して、開閉器1が電柱14に取り付けられる。
【0034】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)電柱に固定された電柱取付部材8への装着時、電柱取付部材8が装柱部材7を覆うようにして、開閉器1の装柱部材7が電柱取付部材8に取り付けられるようにした。このため、電柱14への取り付け作業時等に電柱取付部材8に対して装着する際には、開閉器1は左右方向、電柱方向へ揺れることがなくなり安定するので安全に作業することができる。また、開閉器1を損傷することなく電柱14に取り付けすることができる。そして、電柱取付部材8に対して装着した際には、開閉器1本体の左右方向への移動が規制されるので、確実に取り付けることができる。
【0035】
(2)装柱部材7は、開閉器1本体の背面に固定される取付壁74と、取付壁74の両端から立設する両側壁71とから形成した。このため、電柱取付部材8に対して装着する際には、装柱部材7の両側壁71の内側面で誘導させながら電柱取付部材8の掛止部82に、装柱部材7の掛止部材73を上方から掛止させるようにできる。よって、装柱部材7の掛止部材73の電柱取付部材8の掛止部82への掛止が容易にできるので、取り付け作業時等に開閉器1の電柱14への取り付けが容易になる。
【0036】
(3)電柱取付部材8に当接する規制部材75を装柱部材7の下側端部に設けた。すなわち、規制部材75の両側壁71の下側端部に規制部材75が架設固定した。このため、電柱取付部材8に対して装着する際には、装柱部材7の両側壁71の内側面とともに、規制部材75で誘導させながら装柱部材7の掛止部材73の電柱取付部材8の掛止部82への掛止が更に容易にできる。よって、取り付け作業時等に開閉器1の電柱14への取り付けが更に容易になる。そして、電柱取付部材8に対して装着した際に、電柱取付部材8に装柱部材7を被せるとともに、装柱部材7の規制部材75を電柱取付部材8の背面に当接させた状態で固定具にて固定させるようにした。このため、開閉器1の上下、前後、左右の各方向への移動が規制されるので、確実に固定することができる。
【0037】
(4)電柱取付部材8に掛止される掛止部材73を装柱部材7の上側端部に設けた。すなわち、装柱部材7の両側壁71の上側端部の角に掛止部材73を挿通固定した。このため、電柱14に固定された電柱取付部材8に対して装着する際に、装柱部材7の掛止部材73が開閉器1本体に隠れず、電柱取付部材8の掛止部82への掛止状況を確認しながら作業することができる。このため、取り付け作業時等に開閉器1の電柱14への取り付けが容易になる。
【0038】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記実施形態では、電柱取付部材8に掛止される掛止部材73を装柱部材7の上側端部に挿通固定したが、必ずしも上側端部に設けなくともよい。
【0039】
・上記実施形態では、電柱取付部材8が当接する規制部材75を装柱部材7の下側端部に架設するようにしたが、必ずしも下側端部に設けなくともよい。
・上記実施形態では、装柱部材7の断面形状をC字状としたが、装柱部材7が電柱取付部材8を覆うような形状であれば、側壁71の先端に設けた折曲部71aをなくした断面コ字状等に任意に変更してもよい。
【0040】
・上記実施形態では、開閉器に具体化したが、遮断器等の配電機器に適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】開閉器の側面図。
【図2】開閉器の背面図。
【図3】開閉器の上面図。
【図4】(a)開閉器の電柱への装着状態を示す側面の部分拡大図、(b)開閉器の電柱への装着状態を示す上面の部分拡大図。
【符号の説明】
【0042】
1…開閉器、1a…正面、1b…上面、1c…背面、1d,1e…側面、2…腕金取付部材、7…装柱部材、8…電柱取付部材、10…操作ハンドル、11,12…ブッシング、14…電柱、15…腕金、20…本体取付部材、20a…側壁、20b…軸受孔、20c…前側腕金保持部材、20d…凹部、20e…規制片、20f…後側腕金保持部材、20g…凹部、22…吊下げボルト、23…支え部材、23a…孔、23b…溝、24…ナット、24a…座金、25…スペーサ、27…ボルト、28…ナット、29…固定金具、31…軸部、32…吊部材、33…吊部、34…接続部、34a…鉛直部、34b…水平部、70…装柱部材本体、71…側壁、71a…折曲部、72…軸孔、73…掛止部材、74…取付壁、75…規制部材、76…ボルト、77…ナット、78…ボルト、79…ナット、81…側壁、82…掛止部、83…鎖、G…重心、P…中心。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電機器本体が電柱に取り付けられた際に電柱側となる面である背面に取り付けられ、電柱に装着可能な装柱部材が備えられた配電機器において、
電柱に固定された電柱取付部材への装着時、前記装柱部材が同電柱取付部材を覆った状態で取り付けられる
ことを特徴とする配電機器。
【請求項2】
請求項1に記載の配電機器において、
前記装柱部材は、配電機器本体の前記背面に固定される取付壁と、同取付壁の両端から立設する両側壁とから形成した
ことを特徴とする配電機器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の配電機器において、
前記電柱取付部材と当接する規制部材を前記装柱部材の下側端部に設けた
ことを特徴とする配電機器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の配電機器において、
前記電柱取付部材に掛止される掛止部材を前記装柱部材の上側端部に設けた
ことを特徴とする配電機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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