説明

配電装置

【課題】本発明は、常時電源を必要とする電子機器への電源供給を行う2次電路に接続されたブレーカを交換するに当たり、当該電子機器への電源供給を停止することのない配電装置を提案することを目的とする。
【解決手段】配電装置1は、1次電路12と2次電路14との間の電気的な接離を成すブレーカ15を交換する際に2次電路14への電源供給を遮断しないように、1次電路12及び2次電路14との間でブレーカ15と並列に接続されるバイパスユニット16を備える。ブレーカ15を交換する際、バイパスユニット16をONとした後に、既設のブレーカ15をOFFとして取り外す。そして、新設のブレーカ15を取り付けてONとした後に、バイパスユニット16をOFFとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1次電路と2次電路との間をブレーカで接続した配電装置に関するもので、特に、2次電路側に常時電源を必要とする電子機器が接続される配電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋外から引き込んだ電力線を屋内で分岐配線するための配電装置は、電源が供給される1次電路と電源を供給する2次電路との間にブレーカが接続されて構成される。このような配電装置を構成するためのブレーカとして、外部から住戸に供給される電源を1次側で受ける主幹ブレーカと、主幹ブレーカの2次側より供給される電源を1次側で受けて2次側に出力する分岐ブレーカとがある。そして、複数に分岐して配線が行える配電装置として、1つの主幹ブレーカと複数の分岐ブレーカが設けられた分電盤が、従来より一般に用いられている。
【0003】
このような配電装置において、ブレーカは、1次電路や2次電路と接続する電極の経年劣化或いは突入電流による溶着などにより、時間と共にその機能が低下する。このブレーカの機能低下に対して、新しいブレーカに交換することで、配電装置自体の機能が保持される。又、配電装置の1つとして、照明機器への配電を行う電灯分電盤が使用されるが、照明機器の遠隔開閉制御を可能とするために、この電灯分電盤内にリモコンブレーカが設置される場合がある。
【0004】
リモコンブレーカは、その開閉による突入電流などが原因となり、接点の溶着などが発生するため、機能劣化となる寿命がある。このように寿命を備えたリモコンブレーカは、適正な交換時期を確認する必要がある。そして、適正な交換時期を表示できるリモコンブレーカとして、寿命値として所定の開閉回数を記憶して現在の開閉回数との比較を行うものが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平04−084400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、配電装置に設けられたブレーカは、配電装置の機能保持や機種変更などのために交換される。そして、このブレーカの交換時においては、交換作業を行う作業者に対する感電などの事故を防ぐため、配電装置の1次側に対する電源供給を停止した後に、ブレーカの交換が行われる。即ち、対象となるブレーカの1次側よりも上位において電源供給を停止して、対象となるブレーカへの電源供給がない状態で交換される。
【0006】
しかしながら、常時電源を必要とするサーバなどの電子機器に対して電源供給を行う配電装置については、常時電源が必要となる電子機器への電源供給を停止することなく、ブレーカの交換を行う必要がある。即ち、常時電源を必要とする電子機器に対して2次側より電源供給を行っているブレーカを交換する際、交換対象となるブレーカの1次側と2次側とを電気的に接続したままの状態で、対象のブレーカを交換することが要求される。
【0007】
このような問題を鑑みて、本発明は、常時電源を必要とする電子機器への電源供給を行う2次電路に接続されたブレーカを交換するに当たり、当該電子機器への電源供給を停止することのない配電装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の配電装置は、電源供給側の1次側電線に接続された1次電路と、負荷側の2次側電線に接続された2次電路と、該1次電路及び該2次電路との間の電気的な接離を成すブレーカと、を備え、前記2次側電線より常時電源を供給する配電装置において、前記1次電路と前記2次電路との間で前記ブレーカと並列に接続され、前記ブレーカによる前記1次電路と前記2次電路との間の通電が遮断されたときに、前記1次電路と前記2次電路との間を通電させるバイパスユニットを備えることを特徴とする。
【0009】
このとき、前記バイパスユニットが、前記1次電路と前記2次電路との間に接続された開閉器で構成されるものとしてもよい。
【0010】
又、前記1次電路及び前記2次電路それぞれが、板状の導電バーで構成され、前記ブレーカが、前記1次電路及び前記2次電路のそれぞれを構成する導電バーに係合するプラグイン構造の1次側端子及び2次側端子を有するものとしてもよい。これにより、プラグイン構造の端子を備えたブレーカとすることで、前記導電バーからの脱着時に、端子に触れずにブレーカの交換作業が行える。このとき、前記バイパスユニットが前記開閉器で構成されるとき、当該開閉器も、前記1次電路及び前記2次電路のそれぞれを構成する導電バーに係合するプラグイン構造の1次側端子及び2次側端子を有するものとしてもよい。
【0011】
更に、前記1次電路及び前記2次電路のそれぞれを構成する導電バーが平行に設置され、前記ブレーカが、前記導電バーの設置方向に対して交差する方向で、前記前記1次電路及び前記2次電路の間に跨設されるものとしてもよい。これにより、前記バイパスユニットと前記1次電路及び前記2次電路とを接続するための電路構成を、前記第1電路及び前記第2電路から分岐させる必要がない。このとき、前記バイパスユニットが前記開閉器で構成されるとき、当該開閉器も、前記導電バーの設置方向に対して交差する方向で、前記1次電路及び前記2次電路の間に跨設されるものとしてもよい。
【0012】
又、前記ブレーカが、自機器の交換時期を検知する検知部と、該検知部が前記交換時期を検知したときに報知する報知部と、を有するものとしてもよい。そして、前記ブレーカが、前記検知部が前記交換時期を検知したときに自機器を遮断するとともに前記バイパス回路を通電させる制御部を、更に有するものとしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、バイパスユニットを設けているため、バイパスユニットによって2次側電線への電源供給を停止することなく、ブレーカを交換することができる。又、ブレーカを遮断したときには、バイパスユニットによる通電がなされるため、ブレーカを遮断させて交換することができ、交換作業を安全に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<基本構成>
本発明の配電装置の基本構成について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の配電装置の基本構成を示す概略図である。
【0015】
図1に示すように、本発明の配電装置1は、外部電源2からの電源供給を受ける1次側電線21に接続された1次側端子台11と、1次側端子台11と接続された1次電路12と、負荷3へ電源を供給する2次側電線31に接続された2次側端子台13と、2次側端子台13と接続された2次電路14と、1次電路12と2次電路14との間の電気的な接離を成すブレーカ15と、1次電路12及び2次電路14との間でブレーカ15と並列に接続されるバイパスユニット16と、を備える。
【0016】
配電装置1は、1次側電線21を介して外部電源2から供給される電源を、1次側端子台11で受けるため、この外部電源2からの電源は1次電路12を介してブレーカ15の1次側に供給される。そして、ブレーカ15がON(閉)とされて、1次電路12と2次電路14との間がブレーカ13を介して電気的に接続されると、外部電源2からの電源が、このブレーカ15を介して2次電路14に供給される。これにより、2次側端子13を介して2次電路14に接続された2次側電線31を通じて、外部電源2からの電源が負荷3に供給される。
【0017】
このようにブレーカ15をONとする通常時では、ブレーカ15によって1次電路12と2次電路14との間が通電しているため、バイパスユニット16をOFF(開)とし、バイパスユニット16による通電は遮断された状態とする。又、ブレーカ15は、1次電路12と2次電路14とが通電しているときの電流量が所定値より超えたとき、OFFとなり、1次電路12と2次電路14との間を遮断する。このブレーカ15の動作により、2次側電線31に所定値以上の電流が流れることを防ぐ。
【0018】
この配電装置1において、ブレーカ15の交換を行うとき、まず、バイパスユニット16をONとして、バイパスユニット16によっても、1次電路12と2次電路14との間を通電させる。その後、ブレーカ15をOFFとし、ブレーカ15による通電を遮断し、配電装置1に設置されたブレーカ15を取り外した後、OFFの状態とした新しいブレーカ15に交換する。そして、交換後のブレーカ15をONとして、新しいブレーカ15による1次電路12と2次電路14との間の通電を開始すると、バイパスユニット16をOFFとして、バイパスユニット16による通電を遮断する。
【0019】
このように、ブレーカ15の交換時にブレーカ15による通電を遮断する際に、バイパスユニット16を機能させることで、1次電路12と2次電路14との間の通電を維持できる。これにより、ブレーカ15の通電を遮断して交換できるため、ブレーカ15の交換作業における安全性を確保できると同時に、電源を常時供給する必要がある負荷3が接続されていたとしても、その電源の供給を停止することがなくなる。このバイパスユニット16は、交換時に1次電路12と2次電路14との間に取り付けられることで、1次電路12と2次電路14とを通電させるものであってもよいし、ブレーカなどを初めとする開閉器によって構成されるものとしてもよい。
【0020】
以下の各実施形態においては、図1の基本構成を共通の構成として備えるものであり、又、バイパスユニットとして開閉器が用いた構成を例に挙げて説明する。更に、以下の各実施形態の配電装置におけるブレーカの交換は、上述の手順に従って行われる。よって、以下の各実施形態では、特徴となる各配電装置の構成部分を中心に説明する。
【0021】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について、図面を参照して以下に説明する。図2は、本実施形態の配電装置の構成を示す概略図である。図3は、図2の構成における配電装置に用いるブレーカの構成を示す外観斜視図である。図4は、図3のブレーカにおける端子と電路との関係を示す図である。尚、図4は、図3のブレーカを設置面側(裏面側)から見た図であり、本体内部に構成される導体部については破線で図示する。
【0022】
図2に示す本実施形態の配電装置100は、単相三線式の外部電源2からの電源供給がなされる3本の1次側電線21と接続された3つの端子より成る1次側端子台11と、1次側端子台11において3本の1次側電線21と接続される3枚の1次側導電バー121〜123と、負荷3側への電源供給を行う3本の2次側電線31と接続された3つの端子より成る2次側端子台13と、2次側端子台13において3本の2次側電線31と接続される3枚の2次側導電バー141〜143と、1次側導電バー121〜123及び2次側導電バー141〜143のそれぞれと接続するブレーカ151と、3枚の1次側導電バー121〜123それぞれと接続される3本のバイパス用1次電路161〜163と、3枚の2次側導電バー141〜143それぞれと接続される3本のバイパス用2次電路164〜166と、バイパス用1次電路161〜163及びバイパス用2次電路164〜166のそれぞれと接続する開閉器167と、を備える。
【0023】
このように構成されるとき、図2に示すように、3枚の1次側導電バー121〜123及び3枚の2次側導電バー141〜143がそれぞれ平面上で平行であり、且つ、1次側導電バー121〜123のそれぞれの設置方向を延長させた位置に、2次側導電バー141〜143が設置される。この1次側通電バー121〜123と2次側通電バー141〜143によって挟まれた位置に、ブレーカ151が設置される。よって、ブレーカ151がONであるとき、1次側導電バー121〜123はそれぞれ、ブレーカ151を介して、2次側導電バー141〜143のそれぞれと通電する。
【0024】
又、バイパス用1次電路161〜163はそれぞれ、1次側導電バー121〜123のそれぞれと電気的に接続されるとともに、バイパス用の開閉器167の1次側に接続するために、1次側導電バー121〜123に交差して設置される。このとき、バイパス用1次電路161〜163を導電バーで構成するとき、1次側導電バー121〜123に対して空間的に設置される。即ち、バイパス用1次電路161〜163の設置位置が、1次側導電バー121〜123の設置面に対して、その上側又は下側(図2の紙面上側又は下側)とされる。
【0025】
そして、バイパス用1次電路161は、1次側導電バー121とのみ電気的に接続される。又、バイパス用1次電路161と1次側導電バー122,123との交差位置では、バイパス用1次電路161と1次側導電バー122,123と間に絶縁物が設けられる。これにより、バイパス用1次電路161と1次側導電バー122,123との間で通電が防がれるとともに、バイパス用1次電路161を固定できる。尚、バイパス用1次電路162については、1次側通電バー122と電気的に接続するとともに、1次側通電バー121,123との交差位置で絶縁され、バイパス用1次電路163については、1次側通電バー123と電気的に接続するとともに、1次側通電バー121,122との交差位置で絶縁される。
【0026】
このバイパス用1次電路161〜163と1次側導電バー121〜123と同様の関係となるようにして、バイパス用2次電路164〜166と2次側導電バー141〜143とが設置される。即ち、バイパス用2次電路164〜166を導電バーで構成するとき、バイパス用2次電路164〜166の設置位置が、2次側導電バー141〜143の設置面に対して、その上側又は下側とされる。そして、バイパス用2次電路164が2次側導電バー141とだけ通電し、バイパス用2次電路165が2次側導電バー142とだけ通電し、バイパス用2次電路166が2次側導電バー143とだけ通電するように、バイパス用2次電路164〜166と2次側導電バー141〜143との交差部分が絶縁物又は導体で物理的に接続される。
【0027】
このように、バイパス用1次電路161〜163及びバイパス用2次電路164〜166はそれぞれ、1次側導電バー121〜123及び2次側導電バー141〜143と交差させて、ブレーカ151に対して迂回させた形状となる。そして、バイパス用1次電路161〜163及びバイパス用2次電路164〜166はそれぞれ、ブレーカ151に対して迂回した位置で、1次側導電バー121〜123及び2次側導電バー141〜143と平行に設置される。
【0028】
このブレーカ151に対する迂回位置では、バイパス用1次電路161〜163それぞれの設置方向に延長された位置に、バイパス用2次電路164〜166が設置される。そして、そして、バイパス用1次電路161〜163とバイパス用2次電路164〜166によって挟まれた位置に、開閉器167が設置される。よって、開閉器167がONであるとき、バイパス用1次電路161〜163はそれぞれ、開閉器167を介して、バイパス用2次電路164〜166のそれぞれと通電する。即ち、ブレーカ151に対する迂回位置において、バイパス用1次電路161〜163、開閉器167、及びバイパス用2次電路164〜166の関係が、1次側導電バー121〜123、ブレーカ151、及び2次側導電バー141〜143と同様の関係となる。
【0029】
このように構成されることで、図1に示す基本構成におけるバイパスユニット16は、バイパス用1次電路161〜163、バイパス用2次電路164〜166、及び開閉器167によって構成される。よって、通常時においては、開閉器167がOFFとされて、ブレーカ151による1次側と2次側の通電がなされる。又、ブレーカ151の交換時においては、まず、開閉器167をONとした後に、既設のブレーカ151をOFFとして取り外す。そして、OFFの状態の新設のブレーカ151を取り付けてONとした後に、開閉器167をOFFとする。
【0030】
尚、開閉器167を新設のブレーカとしても構わない。このとき、例えば、交換時において、既設のブレーカ151を取り外す前に、交換対象となる新設のブレーカをOFFの状態で開閉器167の位置に取り付ける。そして、この新設のブレーカをONとした後に、既設のブレーカ151をOFFとして取り外す。これにより、開閉器167の位置に取り付けられた新設のブレーカが、次に交換されるまで、配電装置100におけるブレーカとして機能する。即ち、次にブレーカを交換する際には、開閉器167の位置に取り付けられたブレーカが外され、ブレーカ151の位置に新設のブレーカが取り付けられることとなる。
【0031】
更に、ブレーカ151の構成について、図3及び図4を参照して説明する。図3に示すように、1次側導電バー121〜123が互いに平行に設置されるとともに、この1次側導電バー121〜123のそれぞれの端部に対向した位置にその端部が位置するように、2次側導電バー141〜143が設置される。これにより、2次側導電バー141〜143は、1次側導電バー121〜123の延設された方向の延長線上となる位置に設置されるため、互いに平行に設置される。そして、1次側導電バー121〜123の端部と2次側導電バー141〜143の端部の間に、ブレーカ151が設置される。
【0032】
このブレーカ151は、図3及び図4に示すように、1次側導電バー121〜123それぞれの端部が挿入されるプラグイン端子511〜513を有する1次端子501と、2次側導電バー141〜143それぞれの端部が挿入されるプラグイン端子521〜523を有する2次端子502と、1次側と2次側の通電/遮断を操作するためのハンドル503と、を備える。又、1次側端子501が、プラグイン端子511〜513それぞれと電気的に接続される1次側固定接点となる接点用導体514〜516(図4で破線で示す)を備え、2次側端子502が、プラグイン端子521〜523それぞれと電気的に接続される2次側固定接点となる接点用導体524〜526(図4で破線で示す)を備える。
【0033】
そして、ブレーカ151本体において、ハンドル503を中心として対称となる端部位置に、1次側端子501と2次側端子502とが設置される。よって、1次側導電バー121〜123それぞれが挿入されるプラグイン端子511〜513が、ブレーカ151本体の一方の端部に設けられるとき、この端部と反対側の端部に、2次側導電バー141〜143それぞれが挿入されるプラグイン端子521〜523が設けられる。そして、ハンドル503により不図示の可動切片が連動して、接点用導体514〜516のそれぞれと接点用導体524〜526のそれぞれとの電気的な接離が決定される。又、ブレーカ151本体は、1次側と2次側とを通電している際の電流量を測定し、その電流量が所定値以上となったときに、上記の可動切片による接続を切断させる不図示の制御部を備える。
【0034】
このようなブレーカ151におけるプラグイン端子511〜513、521〜523の構造について、プラグイン端子511を代表して簡単に説明する。プラグイン端子511は、1次側導電バー121が設置される設置面側に対して開口した溝形状であり、1次側導電バー121の設置面に対して垂直な方向(以下、「高さ方向」)に掘削された溝形状となる。又、プラグイン端子511は、1次側導電バー121の延設される方向に垂直な面となるブレーカ151本体の端面においても開口し、2次側端子502側に延びた溝形状となる。更に、図3のように、1次側導電バー121が設置幅に対して高さ方向の長さが長くなる場合、プラグイン端子511を構成する溝についても、この1次側導電バー121と同様の形状とされるため、その深さがその幅に比べて深くなる。
【0035】
そして、プラグイン端子511を構成する溝の幅は、その深さ方向(上記「高さ方向」と同じ方向)に対して、開口面から底に向かって狭くなる。即ち、開口面においては、プラグイン端子511の幅を1次側導電バー121の幅よりも広くすることで、1次側導電バー121が挿入しやすい形状とされる。又、開口面よりも深さ方向に進んだ位置に向かって、プラグイン端子511を構成する溝の幅を狭くするとき、その幅を1次側導電バー121の幅よりも狭くする。これにより、プラグイン端子511に挿入された1次側導電バー121を係止することができるだけでなく、プラグイン端子511を構成する溝と1次側導電バー121との接触面積を広くすることができる。尚、このプラグイン端子511において、深さ方向に対する、その幅が狭くなる領域については、開口面以外の領域の一部としてもよい。
【0036】
又、プラグイン端子511は、金属など導電性材料が、構成する溝の表面に露出した構造とされるとともに、この露出した導電性材料が、接点用導体514と電気的に接続される。尚、プラグイン端子511を構成する溝が、接点用導体514に設けられる構成として、接点用導体514を構成する材料が、プラグイン端子511を構成する溝の表面に露出するものとしてもよい。このように構成することで、プラグイン端子511に1次側導電バー121が挿入されると、接点用導体514と1次側導電バー121とが電気的に接続される。
【0037】
プラグイン端子512,513,521〜523のそれぞれについても、上記したプラグイン端子511と同様の構造とすることで、1次側導電バー122,123及び2次側導電バー141〜143のそれぞれが挿入されたとき、それぞれと電気的に接続される。このように構成されるとき、ブレーカ151本体を絶縁材料で構成することで、プラグイン端子511〜513が互いに絶縁されるとともに、プラグイン端子521〜523が互いに絶縁される。又、接点用導体514〜516、524〜526についても、互いに絶縁されるように、それぞれがブレーカ151本体で離れた位置に設置される。
【0038】
このような構成のプラグイン端子511〜513,521〜523を備えた構成とすることで、ブレーカ151は、図4のように設置された1次側導電バー121〜123及び2次側導電バー141〜143それぞれを、プラグイン端子511〜513,521〜523のそれぞれに挿入させて係止できる。これにより、配電装置100におけるブレーカ151の交換が、1次側導電バー121〜123及び2次側導電バー141〜143に対する着脱だけで可能となり、その交換作業が安全なものとなる。
【0039】
尚、開閉器167についても、上述のように、バイパス用1次電路161〜163及びバイパス用2次電路164〜166を導電バーで構成する場合、ブレーカ151と同様、図3及び図4に示す構成のような構成としてもよい。即ち、開閉器167における、導電バーであるバイパス用1次電路161〜163及びバイパス用2次電路164〜166のそれぞれと接続する1次側端子及び2次側端子が、プラグイン構造となる端子接続部を備える。これにより、開閉器167についても、図3及び図4のような構成としたブレーカ151と同様、バイパス用1次電路161〜163及びバイパス用2次電路164〜166への着脱時に端子部を触れる必要がない。
【0040】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について、図面を参照して以下に説明する。図5は、本実施形態の配電装置の構成を示す概略図である。図6は、図5の構成における配電装置に用いるブレーカの構成を示す外観斜視図である。図7は、図6のブレーカにおける端子と電路との関係を示す図である。尚、図5〜図7の構成において、図2〜図4の構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。又、図7は、図6のブレーカを設置面側(裏面側)から見た図であり、本体内部に構成される導体部については破線で図示する。
【0041】
図5に示す本実施形態の配電装置101は、第1の実施形態の配電装置100(図1参照)の構成から、バイパス用1次電路161〜163及びバイパス用2次電路164〜166が除かれた構成となるとともに、ブレーカ151及び開閉器167の代わりに、1次側導電バー121〜123と2次側導電バー141〜143との間で跨設されたブレーカ152及び開閉器168を備える。即ち、図1に示す基本構成におけるバイパスユニット16は、開閉器168のみによって構成される。
【0042】
又、1次側導電バー121〜123及び2次側導電バー141〜143のそれぞれが平行になるように設置されるが、第1の実施形態の配電装置100と異なり、1次側導電バー121〜123のそれぞれの設置方向の延長方向とは異なる位置に、2次側導電バー141〜143が設置される。そして、ブレーカ152及び開閉器168のそれぞれは、1次側導電バー121〜123及び2次側導電バー141〜143に交差する方向に設置されることで、1次側導電バー121〜123及び2次側導電バー141〜143と平行な方向に沿って並設される。
【0043】
即ち、1次側導電バー121〜123及び2次側導電バー141〜143は、それぞれが延設される方向に対して垂直な方向に順番に並設されるとともに、それぞれの延設方向に対して重なるように設置される。そして、それぞれの延設方向に対して1次側導電バー121〜123及び2次側導電バー141〜143が重なる位置に、ブレーカ152及び開閉器168が並設されている。これにより、第1の実施形態の配電装置100(図1参照)におけるバイパス用1次電路161〜163及びバイパス用2次電路164〜166による迂回した電路を構成する必要がない。よって、バイパス用1次電路161〜163及びバイパス用2次電路164〜166を設けたときの立体構造が不要となり、配電装置100と比較して、配電装置101の構成を単純化できる。
【0044】
更に、ブレーカ152の構成について、図6及び図7を参照して説明する。図6に示すように、1次側導電バー121〜123が互いに平行に設置されるとともに、この1次側導電バー121〜123から離れた位置で、2次側導電バー141〜143が1次側導電バー121〜123と平行に設置される。そして、ブレーカ152は、1次側導電バー121〜123及び2次側導電バー141〜143の延設される方向に交差する方向に設置されて、1次側導電バー121〜123と2次側導電バー141〜143との間に跨設される。
【0045】
このブレーカ152は、図6に示すように、第1の実施形態におけるブレーカ151(図3及び図4参照)と同様の位置関係となる、プラグイン構造とされた1次側端子501及び2次側端子502と、ハンドル503と、を備える。一方、1次側導電バー121〜123及び2次側導電バー141〜143の延設方向とブレーカ152の設置方向が交差するため、ブレーカ152における1次側端子501及び2次側端子502のプラグイン構造が、ブレーカ151と異なる。よって、以下では、ブレーカ152における1次側端子501及び2次側端子502の構造について、詳細に説明する。
【0046】
ブレーカ152は、ブレーカ151と同様、1次側端子501が、互いに絶縁された接点用導体514〜516を有するとともに、2次側端子502が、互いに絶縁された接点用導体524〜526を有する。又、1次側端子501は、接点用導体514〜516のぞれぞれと電気的に接続されたプラグイン端子531〜533を備える。そして、プラグイン端子531は、接点用導体515,516と絶縁され、プラグイン端子532は、接点用導体514,516と絶縁され、プラグイン端子533は、接点用導体514,515と絶縁される。同様に、2次側端子502は、接点用導体524〜526のぞれぞれと電気的に接続されたプラグイン端子541〜543を備える。そして、プラグイン端子541は、接点用導体525,526と絶縁され、プラグイン端子542は、接点用導体524,526と絶縁され、プラグイン端子543は、接点用導体524,525と絶縁される。
【0047】
そして、プラグイン端子531〜533,541〜543はそれぞれ、プラグイン端子511〜513,521〜523(図3参照)と同様、1次側導電バー121〜123及び2次側導電バー141〜143のそれぞれ設置面から高さ方向に掘削された溝形状とされる。又、1次側導電バー121〜123及び2次側導電バー141〜143のそれぞれが挿入されたときに係止するために、プラグイン端子511〜513,521〜523と同様、その高さ方向に対する幅についても、開口面から底に向かって狭くなるように構成される。
【0048】
このプラグイン端子531〜533,541〜543は、1次側導電バー121〜123及び2次側導電バー141〜143が延設される方向に対して垂直な面となるブレーカ152本体の2端面を横切るように形成される。そのため、プラグイン端子531〜533,541〜543が横切るブレーカ152本体の2端面は、プラグイン端子531〜533,541〜543が構成する溝による開口部を備える。又、プラグイン端子531〜533が延設される方向に、接点用導体514〜516が並んで設置されるとともに、プラグイン端子541〜543が延設される方向に、接点用導体524〜526が並んで設置される。
【0049】
よって、プラグイン端子531〜533がいずれも、接点用導体514〜516のうちの複数を跨ぐように設置されることとなり、同様に、プラグイン端子541〜543がいずれも、接点用導体524〜526のうちの複数を跨ぐように設置されることとなる。このとき、上述のように、プラグイン端子531〜533はそれぞれ、接点用導体514〜516のいずれかのみと電気的に接続され、プラグイン端子541〜543はそれぞれ、接点用導体524〜526のいずれかのみと電気的に接続される。尚、プラグイン端子531〜533のそれぞれと接点用導体514〜516のそれぞれとが電気的に接続される領域、及び、プラグイン端子541〜543のそれぞれと接点用導体524〜526のそれぞれとが電気的に接続される領域は、図7の斜線で示す領域となる。
【0050】
即ち、プラグイン端子531を構成する溝の表面は、接点用導体514の設置される領域のみを導電性材料で露出させて、その他の領域については絶縁材料で覆うことで、プラグイン端子531は接点用導体514とのみに電気的に接続される構造とする。同様に、プラグイン端子532を構成する溝の表面は、接点用導体515の設置される領域のみを導電性材料で露出させ、又、プラグイン端子533を構成する溝の表面は、接点用導体516の設置される領域のみを導電性材料で露出させる。又、プラグイン端子541〜543についても同様にして、それぞれが構成する溝の表面において、それぞれが電気的に接続される接点用導体524〜526それぞれの設置位置のみを導電性材料で露出させる。そして、プラグイン端子532,533,541〜543は、この導電性材料で露出させた領域以外の領域については絶縁材料で覆う。
【0051】
このような構成のプラグイン端子531〜533,541〜543をブレーカ152が備えることによって、プラグイン端子531〜533,541〜543がそれぞれ、接点用導体514〜516,524〜526それぞれと電気的に接続される。よって、プラグイン端子531を代表して説明すると、1次側導電バー121がプラグイン端子531に挿入されると、このプラグイン端子531に接続された接点用導体514に対して、1次側導電バー121を電気的に接続できる。又、接点用導体515,516とプラグイン端子531との間は絶縁されているため、1次側導電バー121と接点用導体515,516との間を絶縁できる。このように構成することで、本実施形態のブレーカ152についても、第1の実施形態のブレーカ151と同様、その交換を安全に行える。
【0052】
尚、本実施形態においても、第1の実施形態と同様、開閉器168を、ブレーカ152と同様、図6及び図7に示す構成のような構成としてもよい。又、第1の実施形態において開閉器167を新設のブレーカとして交換する場合と同様、開閉器168を常に設置するものとせずに、交換時において、既設となるブレーカ152の代わりに、開閉器168の設置位置に新設のブレーカを設置するものとしてもよい。
【0053】
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態について、図面を参照して以下に説明する。図8は、本実施形態の配電装置に用いるブレーカの内部構成を示すブロック図である。尚、本実施形態の配電装置は、ブレーカの内部構成に特徴があるものであり、配電装置の全体構成は、第1又は第2の実施形態のいずれの構成であってもよい。
【0054】
本実施形態の配電装置におけるブレーカ153は、図8に示すように、1次電路12及び2次電路14のそれぞれに接続される1次側端子501及び2次側端子502と、1次側端子501及び2次側端子502のそれぞれと接続された1次側固定接点301及び2次側固定接点302と、ハンドル503によって連動する可動切片303と、過電流となるときに可動切片303による通電を遮断させる制御部304と、を備える。尚、1次側固定接点301が、第1及び第2の実施形態におけるブレーカ151,152(図4及び図6参照)の接点溶導体514〜516によって構成され、2次側固定接点302が、ブレーカ151,152の接点溶導体524〜526によって構成される。
【0055】
このブレーカ153は、1次側端子501及び2次側端子502のそれぞれに1次電路12及び2次電路14のそれぞれが接続される。そして、ハンドル503により可動切片303が1次側固定接点301と2次側固定接点302と接続されると、外部電源1からの電源が負荷2に供給される。このとき、制御部304は、1次側固定接点301と2次側固定接点302とが接続されることで流れる電流値を検出し、過電流を検出したとき、可動切片303に制御信号を与えて、1次側固定接点301と2次側固定接点302との間の通電を遮断する。
【0056】
更に、ブレーカ153は、可動切片303による開閉回数や製造時からの経過時間などを測定する測定部305と、自機器の交換時期となる基準値を記憶するメモリ306と、測定部305による測定値とメモリ306に記憶した基準値と比較して交換の要否を判断する検知部307と、検知部307による判断結果などを制御部304を介して受けて外部に報知する報知部308と、を備える。このとき、測定部305は、可動切片303による開閉回数を測定する場合、ハンドル503又は可動切片303の物理的な遷移を位置センサなどにより検出するものとしてもよい。又、測定部305が、ブレーカ153内に設けられたコンデンサの容量を測定することで、検知部307がブレーカ153の交換時期を判断してもよい。
【0057】
このように構成されるブレーカ153は、第1及び第2の実施形態におけるブレーカ151,152のように配電装置100,101に設置されると、ハンドル503が操作されて、可動切片303によりONとされると、測定部305による測定が開始される。このように測定部305による測定が開始されると同時に、検知部307が、定期的に測定部305による測定値を取得し、メモリ306に記憶した基準値との比較を行う。
【0058】
そして、測定部305による測定値がメモリ306内の基準値を超えたとき、検知部307は、ブレーカ153を交換する必要があると判断して、制御部304に信号を出力する。即ち、可動切片303による開閉回数を測定している場合は、その開閉回数が基準回数より多くなったときに、又、製造時からの経過時間を測定している場合は、その経過時間が基準時間より長くなったときに、更に、コンデンサ容量を測定している場合は、基準値との差が大きくなったときに、それぞれ、ブレーカ153を交換する必要があると判断する。
【0059】
このように、検知部307が、制御部304に対して、ブレーカ153の交換を求める信号を出力すると、制御部307は、報知部308に対して制御信号を与える。これにより、報知部308が、音声や画像や点灯などによって、ブレーカ153の交換を外部に報知するための出力を行う。即ち、図9(a)に示すような液晶ディスプレイ308aで報知部308を構成したときは、ブレーカ153の交換を画像表示によって報知できる。このとき、ブレーカ153の交換時期までの時間を液晶ディスプレイ308a上に表示されるものとしてもよい。又、このブレーカ153の交換だけでなく、ブレーカ153の状態などが液晶ディスプレイ308aに表示されるものとしてもよい。
【0060】
又、図9(b)に示すような発光ダイオード308bで報知部308を構成したときは、ブレーカ153の交換を、その点灯表示又は点滅表示によって報知できる。このとき、発光ダイオード308bの点灯の有無により、ブレーカ153のON/OFFが報知できるものとし、発光ダイオード308bの表示態様が点滅に変化したときに、ブレーカ153の交換を報知するものとしてもよい。更に、図9(c)に示すようなスピーカ308cで報知部308を構成したときは、ブレーカ153の交換を、その音声の出力によって報知できる。
【0061】
<第4の実施形態>
本発明の第4の実施形態について、図面を参照して以下に説明する。図10は、本実施形態の配電装置に用いるブレーカと開閉器の内部構成を示すブロック図である。尚、本実施形態の配電装置は、ブレーカ及び開閉器の構成に特徴があるものであり、配電装置の全体構成は、第1又は第2の実施形態のいずれの構成であってもよい。又、図10の構成において、図8の構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0062】
本実施形態の配電装置におけるブレーカ154は、図10に示すように、図8に示すブレーカ153の構成に更に、開閉器169と通信を行うための通信部401が追加された構成となる。又、開閉器169は、1次電路12及び2次電路14のそれぞれに接続される1次側端子901及び2次側端子902と、1次側端子901及び2次側端子902のそれぞれと接続された1次側固定接点903及び2次側固定接点904と、1次側固定接点903と2次側固定接点904との電気的な接離を成す可動切片905と、可動切片905によるON/OFFを制御する制御部906と、ブレーカ154の通信部401と通信する通信部907と、を備える。
【0063】
このように構成することで、ブレーカ154は、その通信部401が開閉器169の通信部907と接続されることで、開閉器169との間で通信を行うことができる。これにより、本実施形態の配電装置は、交換時期となった既設のブレーカ154が、開閉器169に対してONとする指示を与えた後に、自機器をOFFとすることができる。一方、ブレーカ154の交換後について、交換後の新設されたブレーカ154が、自機器をONとした後に、開閉器169に対してOFFとする指示を与えることができる。
【0064】
即ち、第3の実施形態と同様、ブレーカ154は、可動切片303により1次側固定接点301と2次側固定接点302とが通電されているとき、測定部305による測定値とメモリ306内の基準値とが、検知部304により定期的に比較される。そして、測定部305による測定値がメモリ306内の基準値を超えたとき、検知部307が、交換が必要であると判断し、制御部304に通知する。制御部304は、検知部307からの通知を受けると、報知部308に制御信号を与えて報知部308を駆動して、ブレーカ154の交換を外部に報知する。このとき、通信部401を通じて開閉器169に、制御部304からの制御信号が送信される。
【0065】
この制御信号を通信部907で受信した開閉器169では、制御部906が、ブレーカ154の交換時期であることを認識するため、可動切片905に制御信号を与えて、1次側固定接点903と2次側固定接点904とを接続する。これにより、開閉器169がONとなり、開閉器169による1次電路12と2次電路14との通電が開始する。制御部906は、開閉器169がONとなったことをブレーカ154に通知するために、その通知信号を通信部907よりブレーカ154に送信する。
【0066】
ブレーカ154は、開閉器169からの通知信号を通信部401で受信すると、開閉器169がONとなったことを制御部304で認識する。よって、制御部307は、可動切片303に制御信号を与えて、1次側固定接点301と2次側固定接点302との間の通電を遮断し、ブレーカ154をOFFとする。このとき、ブレーカ154がOFFであることを、報知部308によって報知されるものとしてもよい。
【0067】
そして、既設のブレーカ154が配電装置から取り外された後、新しいブレーカ154が取り付けられると、この新設のブレーカ154のハンドル503が操作されてONとされる。これにより、1次側固定接点301と2次側固定接点302とが、可動切片303を介して通電する。これにより、制御部304は、1次側固定接点301と2次側固定接点302との間における通電を確認し、新設のブレーカ154がONとなったことを検知する。そして、制御部304は、新設のブレーカ154がONとなったことを示す通知信号を生成して、通信部401より開閉器169に送信する。このとき、ブレーカ154がONであることを、報知部308によって報知されるものとしてもよい。
【0068】
開閉器169は、ブレーカ154からの通知信号を通信部907で受信すると、新設のブレーカ154に交換されるとともにこのブレーカ154がONとなったことを制御部906で認識する。よって、制御部906は、可動切片905に制御信号を与えて、1次側固定接点903と2次側固定接点904との間の通電を遮断し、開閉器169をOFFとする。このとき、開閉器169は、制御部906が、開閉器169がOFFになったことを示す通知信号を生成して、通信部907よりブレーカ154に送信することで、ブレーカ154に交換が正常に行われたことを通知するものとしてもよい。
【0069】
尚、第3及び第4の実施形態において、第1及び第2の実施形態と同様、バイパスユニット16の一部とされる開閉器を、ブレーカ153,514によって構成するものとしてもよい。そして、第4の実施形態においては、バイパスユニット16の一部とされる開閉器をブレーカ154で構成する場合、この開閉器とされるブレーカ154は、第4の実施形態で説明した開閉器169による動作を行う。
【0070】
又、第4の実施形態において、ブレーカ154の交換時において、ブレーカ154と開閉器169との間で電気的に通信を行うことで、交換時のブレーカ154のOFFと開閉器169のON/OFFとが自動で行われるものとしたが、機械的に行われるものとしてもよい。即ち、交換対称となる既設のブレーカについて、作業者によるハンドルが操作されてON/OFFされるとき、このブレーカのON/OFFに対するハンドル操作に連動して、開閉器がOFF/ONとなる。このとき、ブレーカをOFFとする場合は、OFFとするハンドル操作がなされると同時に開閉器がONとなり、その後、ブレーカが電気的にOFFとなることが望ましい。同様に、ブレーカをONとする場合は、ONとするハンドル操作がなされると同時にブレーカがONとなり、その後、開閉器が電気的にOFFとなることが望ましい。
【0071】
尚、上述した各実施形態の配電装置は、主幹ブレーカと分岐ブレーカとを備えた分電盤に適用できる。この分電盤に適用した例について、図1に示す基本構成に基づいて説明する。図11に示すように、外部電源2から電源供給される分電盤103において、1次側電路12及び2次側電路14との間に接続された主幹ブレーカ15aと、2次側電路14に接続されて分岐された分岐用1次電路12aと、2次側電線31と接続される分岐用2次電路14aと、分岐用1次電路12aと分岐用2次電路14aとの間に接続された分岐ブレーカ15bとが設置される。又、1次側端子台11において、1次側電線21と1次側電路12とが接続されて、外部電源2からの電源が主幹ブレーカ15aの1次側に供給される。そして、2次側端子台13において、分岐用2次電路14aと2次側電線31とが接続されて、分岐ブレーカ15bにより負荷3への電源供給が成される。
【0072】
そして、図11の構成例に示すように、主幹ブレーカ15aに対して並列となるようにバイパスユニット16aが設置されるとともに、分岐ブレーカ15bに対して並列となるように、バイパスユニット16bが設置される。これにより、バイパスユニット16bと並列に接続された分岐ブレーカ15bの2次側に接続された負荷3へ電源を常時供給する必要がある場合であっても、主幹ブレーカ15aと分岐ブレーカ15bそれぞれの交換を行うことができる。尚、電源を常時供給する必要がない負荷3が2次側に接続された分岐ブレーカ15bに対しては、バイパスユニット16bを設置しなくてもよい。
【0073】
この図11の構成となる分電盤103は、バイパスユニット16a,16bとして、第1〜第4の実施形態の配電装置における開閉器167〜169のいずれかを用いた構成とすることで、各実施形態で説明したそれぞれの効果が得られる。このとき、バイパスユニット16a,16bが並列に接続される主幹ブレーカ15a及び分岐ブレーカ15bは、第1〜第4の実施形態の配電装置におけるブレーカ151〜154のいずれかの構成を備える。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、ブレーカを備えた分電盤などによる配電装置に適用することができる。又、交換対象とするブレーカが主幹ブレーカとなる配電装置であってもよいし、交換対象とするブレーカが分岐ブレーカとなる配電装置であってもよい。更に、配電装置として、単相三線式の外部電源から電源供給される配電装置だけでなく、単相二線式や三相式の外部電源から電源供給される配電装置や、直流電源を供給する配電装置であっても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】は、本発明の配電装置の基本構成を示す概略図である。
【図2】は、第1の実施形態の配電装置の構成を示す概略図である。
【図3】は、図2の構成における配電装置に用いるブレーカの構成を示す外観斜視図である。
【図4】は、図3のブレーカにおける端子と電路との関係を示す図である。
【図5】は、第2の実施形態の配電装置の構成を示す概略図である。
【図6】は、図5の構成における配電装置に用いるブレーカの構成を示す外観斜視図である。
【図7】は、図6のブレーカにおける端子と電路との関係を示す図である。
【図8】は、第3の実施形態の配電装置に用いるブレーカの内部構成を示すブロック図である。
【図9】は、図8のブレーカの構成を示す概略外観図であり、(a)が、ディスプレイを設けた構成例、(b)が、発光ダイオードを設けた構成例、(c)が、スピーカを設けた構成例である。
【図10】は、第4の実施形態の配電装置に用いるブレーカと開閉器の内部構成を示すブロック図である。
【図11】は、本発明の配電装置による構成を分電盤に適用した構成を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
1 配電装置
2 外部電源
3 負荷
11 1次側端子台
12 1次電路
13 2次側端子台
14 2次電路
15 ブレーカ
16 バイパスユニット
21 1次側電線
31 2次側電線
100,101 配電装置
103 分電盤
121〜123 1次側導電バー
141〜143 2次側導電バー
151〜154 ブレーカ
161〜163 バイパス用1次電路
164〜166 バイパス用2次電路
167〜169 開閉器
301,903 1次側固定接点
302,904 2次側固定接点
303,905 可動切片
304,906 制御部
305 測定部
306 メモリ
307 検知部
308 報知部
401,907 通信部
501,901 1次側端子
502,902 2次側端子
503 ハンドル
511〜513 プラグイン端子
514〜516 接点用導体(1次側固定接点)
521〜523 プラグイン端子
524〜526 接点用導体(2次側固定接点)
531〜533 プラグイン端子
541〜543 プラグイン端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源供給側の1次側電線に接続された1次電路と、負荷側の2次側電線に接続された2次電路と、該1次電路及び該2次電路との間の電気的な接離を成すブレーカと、を備え、前記2次側電線より常時電源を供給する配電装置において、
前記1次電路と前記2次電路との間で前記ブレーカと並列に接続され、前記ブレーカによる前記1次電路と前記2次電路との間の通電が遮断されたときに、前記1次電路と前記2次電路との間を通電させるバイパスユニットを備えることを特徴とする配電装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記バイパスユニットが、前記1次電路と前記2次電路との間に接続された開閉器で構成されることを特徴とする配電装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記1次電路及び前記2次電路それぞれが、板状の導電バーで構成され、
前記ブレーカが、前記1次電路及び前記2次電路のそれぞれを構成する導電バーに係合するプラグイン構造の1次側端子及び2次側端子を有することを特徴とする配電装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記1次電路及び前記2次電路のそれぞれを構成する導電バーが平行に設置され、
前記ブレーカが、前記導電バーの設置方向に対して交差する方向で、前記前記1次電路及び前記2次電路の間に跨設されることを特徴とする配電装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記ブレーカが、自機器の交換時期を検知する検知部と、該検知部が前記交換時期を検知したときに報知する報知部と、を有することを特徴とする配電装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記ブレーカが、前記検知部が前記交換時期を検知したときに自機器を遮断するとともに前記バイパス回路を通電させる制御部を、更に有することを特徴とする配電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−11548(P2010−11548A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164704(P2008−164704)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】