説明

酒類粕の固液分離方法およびそれらの固液分離装置

【課題】生物学的に光合成細菌を用いて、酒類粕を短時間に凝集分離し、固液分離することで、固形分を減容すること、分離液のBODを低減すること、多量のエネルギーコストの負担がなく、プラント建設の初期投資やランニングコストを低く抑え、臭気を抑え、処理時間が短かく酒類粕の固液分離処理する方法およびそれらの処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】光合成細菌を含んだ希釈水溶液に酒類粕原液を、希釈させながら混合し、及び/又は同時混合し、撹拌し、短時間で凝集分離し、固液分離装置を用いて、この凝集分離した凝集分離液を固形分と分離液とにする固液分離工程とにより、固形分を減容する。さらに得られた分離液をミキシング工程を経て、連続遠心分離装置を用いて、短時間で酒類粕を固液分離処理する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酒類粕を固液分離する方法ならびにそれらの固液分離装置に関するものである。より詳しくは酒類粕を生物学的に短時間に凝集分離し、固液分離する方法、ならびにそれらの固液分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開平5−194067(以下、特許文献1という)に、「濾過法などの方法によって焼酎廃液を濃縮し、ペースト状化させた焼酎粕50部に配合飼料、或いは穀物末・米糠・フスマ・魚粉・蛹粉・油粕などを計50部以下の割合で適宜混練し、ペレット状や顆粒状などの形状に造粒して乾燥させ、或いは粉末状に乾燥させて、畜産や養鶏に必要な飼料・養魚や観賞魚などに必要な餌・園芸に必要な肥料などに化することを特徴とする焼酎粕の公害防止処理方法。(特許文献1の請求項1)」の記載がある。
【0003】
特開2002−80022号(以下、特許文献2という)に、「焼酎蒸留粕の処理で発生する分離固形物をもちいた生分解性容器。請求項2 澱粉に植物性樹脂を混合した連設剤を焼酎粕の乾燥固形物に加温混合し熱圧縮成形した生分解性容器(特許文献1の請求項1、請求項2)」の記載がある。
【0004】
特開2003−199555号(以下、特許文献3という)に、焼酎粕を真空乾燥機で乾燥させ、乾燥物は飼料とするが蒸発冷却された凝縮水は未だ0.7%の残留アルコールと、独特の香気成分を有する0.02%のβ−フェネチルアルコール及び0.08%の酢酸を残留しているので、再溜塔を用いて96VOL%のエチルアルコールを抽出すると共にサイドカットした0.2VOL%のβ−フェネチルアルコール、0.8VOL%の酢酸を精溜塔を用いて96VOL%のβ−フェネチルアルコールと96VOL%の酢酸にした後、放流水の水質を工業用水1級の再生水にする(特許文献3の図面の簡単な説明)及び凝縮液タンクに収容された凝縮液を(27)泡鐘トレイ式再溜塔で、96VOL%のエチルアルコールにすると共に、(20)酢酸サイドカット装置で0.08VOL%の酢酸、(21)β−フェネチルアルコールサイドカット装置で、0.02VOL%のβ−フェネチルアルコールを取出し、各々を(33)充填式精溜塔で精溜して96VOL%のβ−フェネチルアルコールと、96VOL%の酢酸にし、(34)スカート部に貯まった分離水は、(37)排水管、(38)逆浸透膜を経て工業用水1級水となる装置。(特許文献3の請求項1)の記載がある。
【0005】
特開平11−63455号(以下、特許文献4という)に、「真空乾燥機から出た焼酎粕乾燥物を粉体燃料とするボイラーと凝縮液に含まれるエタノールを蒸発さす蒸発装置からなる焼酎粕処理法。すなわち、真空乾燥機より排出された、(22)の焼酎粕乾燥物を、(6)の微粉化装置 で微粉化し、(21)の送風機で一次空気を供給して粉体燃料とし、(4)の粉体バーナー付ボイラーで燃焼させ、灰は良質の瓦の原料とする焼酎粕処理法。また、(2)の真空乾燥機より蒸発した水蒸気は、(11)のコンデンサーで冷却され凝縮液化される。この際、凝縮液中に少量のエタノールが含まれるので、(26)のエタノール蒸発缶でエタノールを蒸発させ凝縮水のCODを100mg/L以下とし更に、(19)の冷却水復管の冷却水と混合希釈して放流する焼酎粕処理法。(特許文献4の
請求項1、請求項2)」の記載がある。
【0006】
特開平11−262382号(以下、特許文献5という)に、「(1)焼酎粕廃液に米糠、その他穀類の糠、及び穀類の茎や葉を粉砕したものを混入し、水分を粗抜きしてペースト状にした焼酎粕を粒状に分散させて、乾燥させてなることを特徴とする焼酎粕の処理方法である。
(2)水分を粗抜きしてペースト状にした焼酎粕に、粒状に分散させた乾燥処理済みの焼酎粕を添加してなることを特徴とする前記(1)記載の焼酎粕の処理方法である。
(3)粒状に分散させた焼酎粕を搬出して、緩やかな傾斜台の上に敷き拡げ、裏返し撹きならしながら、傾斜面を下方向へ撹き移動させて、天日乾燥させてなることを特徴とする前記(1)又は(2)記載の焼酎粕の処理方法である。(特許文献5の第0008〜0010段落)」の記載がある。
【0007】
特開2005−95715号(以下、特許文献6という)に、「上面が開放した処理槽内に濾過用土を装填し、この装填された濾過用土の中央部に焼酎粕を投入・滞留させるための凹部を形成すると共に、前記処理槽の底部には濾過用土で濾過された分離液を分離液槽へと導く導水路を設けた焼酎粕分離装置。(特許文献1の請求項1)及び処理槽3及び分離液槽5は、焼酎粕3Dの分離液5Aが外にしみ出して土壌汚染することがない構造であればよく、コンクリート、モルタル等から成る。また導水路6は、分離液5Aを分離液槽5に導く樋の役割を担い、分離液5Aを抽出しやすいように、傾斜して設ける構成としてもよく、その材質は処理槽3等同様、コンクリートやモルタルでもよいし、その他プラスチック等でもよい。(特許文献1の第0029段落の実施例1)の記載がある。
【0008】
特開2005−305398号(以下、特許文献7という)に、「焼酎粕を含む焼酎蒸留廃水に同量の他の廃水を混合し、静置法により上澄液を得る方法、この上澄液をPH無調整、無希釈のままこの液に馴養した好酸性微生物群を接種して好気条件下で曝気処理する方法、さらにPH8前後で活性汚濁処理する方法が知られている(例えば、特開平11−188370号)及び条件:W/H>4は、オゾンを加えると特に脱臭効果を高めるのに有効である。本発明の効果をより高めるために、キャビテーションで発生する渦の中心に塩素やオゾンなどの殺菌効果のある物質を導入するようにしている。キャビテーションで廃液中の大腸菌類などの塊をばらばらに分解し、オゾンの導入により廃液にオゾンを溶解し脱臭させる効果を生む。オゾン等の殺菌効果のある物質を導入することによって廃液を効率よく溶解し細胞を破壊し殺菌、脱臭する。廃液を改質する方法は、基本的に前述の構成になる扁平空間に液体を導入し、前述の前者の条件を適用した場合には液体に奇数個又は偶数個のキャビテーション渦流を形成する。少なくとも1個の渦が常態的に発生する。後者の条件は、渦流が共振的に2つ発生する。本発明のキャビテーションを含む噴流崩壊は、焼酎粕を含めた有機性廃棄物の廃液の改質のために広く有効に利用されるのである。(特許文献7の第0027段落)」の記載がある。
【0009】
特開2002−272445号(以下、特許文献8という)に、「焼酎粕廃液に米糠、その他穀類の糠、及び穀類の茎や葉を粉砕したものを混合撹拌してペースト状にし、粒状に分散した焼酎粕をタンクの上方から降らせ、該タンクは底部が漏斗状に形成され、漏斗状の底部の上方にはタンクの中心より斜下方へ段々に多数のフイン板が配設されて、前記漏斗状の底部よりタンク内にエアーを噴出させると共に、前記フイン板とフイン板の間にエアーを通気させて、タンク内に降り積もる焼酎粕を乾燥させてなることを特徴とする焼酎粕の処理方法。(特許文献8の第請求項1)及びエアーをタンク内に噴出させて乾燥させることにより、熱エネルギーを消費することなく乾燥させることができるので、ランニングコストの低減が図られ、焼酎粕の処理費用を安価にすることができる。(特許文献8の第0020段落の発明の効果)」の記載がある。
【0010】
特開2002−233889号(以下、特許文献9という)に、酒類残さを乾燥し濃縮して凝縮水を生成し、得られた凝縮水と生物とを用いて、高濃度の窒素またはリンを含む排水から窒素またはリンを減少・除去する方法である。本来除去すべきBODなどを多く含有する凝縮水をさらに添加するという新しい発想に基づく、高濃度の窒素またはリンを含む排水から窒素またはリンを減少・除去する方法である。(特許文献9の第0004段落)」の記載がある。
【0011】
特開2000−23656号(以下、特許文献10という)に、澱粉質原料を発酵させた後蒸留して焼酎原酒とする焼酎製造装置において、蒸留釜1、ガラス繊維又は炭素繊維製であって嫌気性微生物が付着した中空筒状担体2を縦に並べた固定床3付き反応槽4、蒸留釜1と反応槽4とに接続されて蒸留釜1内の焼酎粕16を前記微生物の活性温度に冷却して反応槽4へ送る冷却器5、及び反応槽4に接続したバイオガス燃焼式の蒸気発生機6を備え、蒸留後に残る焼酎粕16を反応槽4で分解すると共にその分解時に生じるバイオガスの燃焼により蒸留釜1加熱用の蒸気を発生させてなるものである。(特許文献10の第0014段落)及びガラス繊維又は炭素繊維は嫌気性微生物の捕捉性に優れており、とくに従来は担体へ固定することが困難であるとされていた嫌気性高温微生物をも効率よく捕捉・担持することができる。嫌気性高温微生物は50〜60℃で高い活性を示す微生物であり、36〜38℃近辺が適温である従来の嫌気性中温微生物に比し約2倍の活性を有し、被処理液中の固形分をも効率よく分解することができる。好ましくは本発明で用いる嫌気性微生物を嫌気性高温微生物、例えば高温メタン生成菌とする。(特許文献10の第0016段落)」の記載がある。
【0012】
特開2002−233353号(以下、特許文献11という)に、「蒸留開始直後の凝縮液50mlに含まれる成分である。凝縮液の主成分は1〜2%のエタノールであり、他にメタノール、βフェネチルアルコール(β−ph−OH)等が微量含まれる。また、この凝縮液は、窒素分が全く含まれておらず、PHは3.4〜3.6であった。(特許文献12の第0010段落)及び焼酎カスを蒸留釜にて蒸留し、ついで上記蒸留釜からの蒸気を冷却し、その凝縮液を有効液槽に収集する焼酎カスの蒸留工程において、上記蒸留開始から、得られる凝縮液中に窒素分を含まず且つ主成分としてエタノール分を高濃度に含む蒸留初期段階を経過したとき上記蒸留を停止する、焼酎カスから有効液をうるための焼酎カスの処理方法を提供し、(特許文献12の第0015段落)」の記載がある。
【0013】
特許3699987号(以下、特許文献12という)に、「本発明にいう耐アルカリ性光合成細菌Rhodopseudomonaとは、光合成非硫黄でありBergey’s Manual of Determinative bacteriology 3巻、1661−1682に記載の種の一種である。これらはアルカリ性でよく増殖し、バクテリアクロロフィルa、ノイロスポレン、リオコピンを有する。本発明にいう耐アルカリ性ラン色細菌Synechococcusとは、CyanobacteriaでありBergey’s Manual of Determinative bacteriology 3巻、1728−1746に記載の種の一種である。これはアルカリ性でよく増殖し、クロロフィルa、およびβカロチンを有する。本発明にいう耐アルカリ性とは、主にpH8−10で最大増殖速度を持つものである。本発明にいう有機物分解とは、主に家庭有機排水ならびに畜産糞尿をいう。(特許文献12の第0007段落)」の記載がある。
【0014】
特開平6−315369(以下、特許文献13という)に、「焼酎の蒸留廃液に麹菌を加えて、これを培養して、当該培養物を固液分離することを特徴とする、焼酎の蒸留廃液の処理方法である。
培養時間は、24〜72時間であり、好ましくは48時間程度である。
培養装置として内筒回転型醗酵装置を用いる場合この場合における初発pHは5.0 〜7.0 であり、好ましくはpH5.5 程度である。培養温度は、30〜37℃であり、好ましくは35℃付近である。そして、内筒の回転数は、100 〜600rpmであり、好ましくは340rpm程度である。
培養時間は、24〜72時間であり、好ましくは48時間程度である。次に、上記により得られる培養物を固液分離する、かかる固液分離分離手段として、例えば自然沈澱法、遠心脱水法等の通常公知の手段を用いることができる。特に遠心脱水法は、蒸留廃液の迅速な処理が可能であるという点において好ましい。なお、当該遠心脱水法においては、2000〜5000rpm 程度で遠心脱水を行うのが好ましい。(特許文献13の第0014、0015段落)」の記載がある。
【0015】
特開平7−148497(以下、特許文献14という)には、「本発明は、このような新知見に基づきなされたものであって、その基本的技術思想は、植物繊維または植物繊維を主成分とする混合物とともにトリコスポロン属菌を、固形分を含む食品廃水に添加して速やかに固形分を凝集させ、容易に固形分を分離除去する点である。(段落番号0006)また、微生物処理に当り、処理対象廃液に植物繊維及び/又はその含有物を添加しておくことが必要である。(段落番号0009)」の記載がある。
これを裏付ける「麦焼酎及びソバ焼酎の蒸留廃液それぞれ75mlに植物性繊維、菌体懸濁液の順に添加して、固液分離のための濾過性の改善の評価を行った。植物性繊維としてKC−フロックW−50(武田薬品工業株式会社製品)を1.0g添加し攪拌後、Trichosporon sp. M111(FERM P−11960)(以下、M111と略称する)菌体懸濁液を最終濃度が3×10cells/mlとなるよう添加し、総量100mlとした。(濾過条件)桐山ロートS−60(有限会社 桐山製作所製品)(直径6cm)の底面にステンレス製網(330mesh、45μm)を敷き、その上に凝集させた廃液を注ぎ、500mmHgで吸引濾過した。試験は室温(20℃)で行い、所定時間に得られた濾過液を測定して、その結果を図1及び図2に示した。(実施例1段落番号0015、0016)」の記載がある。
【0016】
特開2002−142686(以下、特許文献15という)には、「焼酎蒸留粕に稲わらを混合して粉砕することにより、粉砕物の粒度分布の範囲が0.1〜3500μm程度に広がり、この広範囲の粒度分布の焼酎蒸留粕と稲わらとの混合・粉砕物を圧搾濾過すると、かかる混合・粉砕物が濾過層を形成し、高粘度の焼酎蒸留粕においても効率のよい固液分離が達成しうることを見い出し、また、混合・粉砕物を圧搾濾過することにより得られる圧搾残渣が家畜等の優れた飼料として利用可能であり、また、濾過液も飼料や有用有機物源として有効に利用しうることを見い出し、本発明を完成するに至った。(段落番号0007)」の記載がある。
【0017】
特願2006−112336(以下、特許文献16という)には、以下の記載がある。「 〔凝集沈降工程2〕 酒類粕の原液と菌培養液とを等量づつ混合し、攪拌機で1〜3分撹拌する。混合液は数時間すると焼酎粕の悪臭が激滅する。6〜12時間放置すれば自然に凝集沈降し、上澄層と沈降層の二層に分離する。二層の分離比は約6対4となる。
または、菌培養液中に酒類粕の原液を滴下しながらゆっくりと攪拌する。酒類粕の原液の粘凋さが消失し、急速に凝集作用が生じて、つぶつぶ状のものが発生する。間歇的に濾過し、濾液に酒類粕の原液を滴下しながらゆっくりと攪拌する。これを繰り返して処理し、処理量を貯槽に静置する。二層の分離比は約20対1となる。濾液をそのまま上澄液として用いても処理速度に大きな差はない。(段落番号0045)」の記載がある。
【0018】
また、「 〔貯槽4〕 図1の菌培養液槽1と酒粕の原液3を等量づつ混合し攪拌したのち凝集沈降させるため凝集沈降工程2を経て貯槽4に蓄える。貯槽4に4時間〜6時間すると固液部と分離液部に分離される、このとき上澄液は攪拌槽6へ固液部は固液分離工程へ送るための貯槽である。(段落番号0046)」の記載がある。
さらに、「 〔固液部分離工程10〕 あらかじめ貯槽4にある下部の固液部を遠心分離器または電動振動分類機および搾り器等で液部と固形部に分離する工程である。
〔固形物11〕
固液部分離工程10で遠心分離器または電動振動分類機および搾り器等で液体部を分離した残りの固形物をいう。(段落番号0053〜0055)」の記載がある。
本発明は特許3699987号で得られた耐アルカリ性光合成細菌を拡大培養した菌体浄化資材で製造した光合成細菌培養液で焼酎粕と1/2づつ撹拌混合しして混合液をつくる。混合液は2〜3時間で消臭される。以下、焼酎粕の基本処理フロー図(図1)で説明する。はじめに焼酎工場から焼酎粕を運ぶ、あらかじめ培養された光合成細菌培養液(以下菌培養液で示す)を1/2づつ攪拌機で1〜3分撹拌混合する。混合液は数時間すると焼酎粕の悪臭が消滅する、
次に混合液は凝集沈降工程で6〜12時間放置すれば自然凝集沈降し固液分離が生ずる。(段落番号0053〜0055)」の記載がある。
【0019】
山本 和夫ら(以下、非特許文献1という)によれば、「紅色非硫黄細菌は光合成細菌であり、種々の高濃度有機性廃水の処理に活用できることが知られている。しかし、従来の方法では、混合培養系となる実際の処理の現場で、この非硫黄細菌を選択的に増殖させることが難しく、一時期注目を浴びたものの、残念ながら普及するまでに至っていない。
本研究室では、赤外線フィルターを用いると、処理槽内での紅色非硫黄細菌の増殖を選択的に行え、しかも増殖した菌体は魚のエサなどの有価物として有効利用できる一石二鳥の廃水処理プロセスを開発している。このプロセスは食品生産工場などの廃水処理に適用すれば、消費エネルギーが少なく、低コストで、かつ環境に優しい廃水処理プロセスとなる。」とのインターネットによる記載がある。
【0020】
【特許文献1】特開平5−194067号公報
【特許文献2】特開2002−80022号公報
【特許文献3】特開2003−199555号公報
【特許文献4】特開平11−63455号公報
【特許文献5】特開平11−262382号公報
【特許文献6】特開2005−95715号公報
【特許文献7】特開2005−305398号公報
【特許文献8】特開2002−272445号公報
【特許文献9】特開2002−233889号公報
【特許文献10】特開2000−23656号公報
【特許文献11】特開2002−233353号公報
【特許文献12】特許3699987号公報
【特許文献13】特開平6−315369号公報
【特許文献14】特開平7−148497号公報
【特許文献15】特開2002−142686号公報
【特許文献16】特願2006−112336号
【非特許文献1】山本 和夫ら、環境安全研究センター「光合成細菌を用いた高濃度有機性廃水の処理と有価物生産との同時水処理システムの開発」、インターネット。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、特許文献1には、「濾過法などの方法」が具体的に示されてなく、「焼酎廃液を濃縮」するには、多量のエネルギーが必要であり、「ペースト状化させた焼酎粕」の保存に問題点があり、混合して飼料や肥料にするにしても、販路や地下水の汚染、土壌の酸性化への対処が求められる。
特許文献2には、「分離固形物をもちいた生分解性容器」への用途開発が記載してあるが、このようなものに成形できる原料にするまでの具体的な方法が示されてなく、焼酎生産現場からの焼酎粕を処理するものではない。
【0022】
特許文献3には、「焼酎粕を真空乾燥機で乾燥させ、乾燥物をさらに再溜塔を用いて、貯まった分離水を逆浸透膜を経て工業用水1級水とする」処理方法で、真空乾燥機で乾燥させる高エネルギー消費の固液分離方法であり、プラント建設の初期投資やランニングコストに問題がある。
【0023】
特許文献4には、「真空乾燥機から出た焼酎粕乾燥物を粉体燃料として、凝縮液に含まれるエタノールを蒸発させること、冷却水復管の冷却水と混合希釈して放流すること」とあるが、焼酎粕乾燥物ですべてのエタノールを蒸発することができず、多量のエネルギーコストの負担があり、水との共沸点から多量の有機物を放流することとなり、環境保全の問題を解決していない。
【0024】
特許文献5には、「焼酎粕廃液に米糠、その他穀類の糠等を混入し、水分を粗抜きして、天日乾燥させる」方法であるが、多量の混入物が必要であり、天日乾燥するための広大な面積の土地が必要であり、臭気等の環境保全に多くの問題がある。
【0025】
特許文献6には、「上面が開放した処理槽内に濾過用土を装填し、濾過された分離液を分離液槽へと導く」とあるが、粘凋な焼酎粕は容易に濾過されないこと、広大な面積の土地が必要であり、大量のコンクリートやモルタルが必要となり、その処分にも問題がある。特許文献7には、「焼酎粕を含む焼酎蒸留廃水に同量の他の廃水を混合し、静置法により上澄液を得る方法、この上澄液をPH無調整、無希釈のままこの液に馴養した好酸性微生物群を接種して好気条件下で曝気処理する方法、さらにPH8前後で活性汚濁処理する方法が知られている」とあるが、沈降する「他の廃水」を的確に、安定的に供給することが明確でなく、又オゾン等の殺菌装置等による細胞を破壊、殺菌、脱臭をする必要があり、その曝気処理、オゾン等の殺菌装置等が必要となり、その処理にも問題がある。
【0026】
特許文献8には、「焼酎粕廃液に米糠、その他穀類の糠、及び穀類の茎や葉を粉砕したものを混合撹拌してペースト状にし、粒状に分散した焼酎粕をタンクの上方から降らせ、該タンクは底部が漏斗状に形成され、漏斗状の底部の上方にはタンクの中心より斜下方へ段々に多数のフイン板が配設されて、前記漏斗状の底部よりタンク内にエアーを噴出させる
と共に、前記フイン板とフイン板の間にエアーを通気させて、タンク内に降り積もる焼酎粕を乾燥させてなることを特徴とする焼酎粕の処理方法。(特許文献8の第請求項1)及びエアーをタンク内に噴出させて乾燥させることにより、熱エネルギーを消費することなく乾燥させることができるので、ランニングコストの低減が図られ、焼酎粕の処理費用を安価にすることができる。(特許文献8の第0020段落の発明の効果)」の記載があるが、焼酎粕とその他粉砕したものを混合撹拌して焼酎粕を乾燥させてなることを特徴とする焼酎粕の処理方法は、大量処理に対応する「その他粉砕したもの」を大量に用意すること、乾燥した物質を廃棄することの問題点がある。
【0027】
特許文献9には、「得られた凝縮水と生物とを用いて、高濃度の窒素またはリンを含む排水から窒素またはリンを減少・除去する方法」であり、凝縮水を処理する方法として優れているが、凝縮水にするための多量のエネルギーコストの負担が問題であり、実用化に今一歩という状態である。
【0028】
特許文献10には、澱粉質原料を発酵させた後蒸留して焼酎原酒とする焼酎製造装置において、前記微生物の活性温度に冷却して反応槽4へ送る冷却器5、及び反応槽4に接続したバイオガス燃焼式の蒸気発生機6を備え、バイオガスの燃焼により蒸留釜1加熱用の蒸気を発生させてなるものである。・・・好ましくは本発明で用いる嫌気性微生物を嫌気性高温微生物、例えば高温メタン生成菌とする」の記載があるが、加熱乾燥による固液分離の方法であり、過熱や、メタン発酵等は、安定処理とコストに問題がある。
【0029】
特許文献11には、「蒸留開始直後の凝縮液50mlに含まれる成分である。凝縮液の主成分は1〜2%のエタノールであり、他にメタノール、βフェネチルアルコール(β−ph−OH)等が微量含まれる。また、この凝縮液は、窒素分が全く含まれておらず、PH3.4〜3.6で、焼酎カスを蒸留釜にて蒸留し、ついで上記蒸留釜からの蒸気を冷却し、その凝縮液を有効液槽に収集する焼酎カスの蒸留工程において、上記蒸留開始から、得られる凝縮液中に窒素分を含まず且つ主成分としてエタノール分を高濃度に含む蒸留初期段階を経過したとき上記蒸留を停止する、焼酎カスから有効液をうるための焼酎カスの処理方法を提供の記載があるが、凝縮液にするための多量のエネルギーコストの負担が問題であり、固形分である焼酎粕処理物を完全に廃棄する、消費する、消滅する問題がある。
【0030】
特許文献12には、「本発明にいう耐アルカリ性とは、主にpH8−10で最大増殖速度を持つものである。本発明にいう有機物分解とは、主に家庭有機排水ならびに畜産糞尿をいう。」ものであり、家庭有機排水ならびに畜産糞尿に対するものであり、焼酎粕がpH4という酸性なので、対象としていない。
【0031】
特許文献13には、「焼酎の蒸留廃液に麹菌を加えて、これを培養して、当該培養物を固液分離することを特徴とする、焼酎の蒸留廃液の処理方法である。培養時間は、24〜72時間であり、好ましくは48時間程度である。」とあり、本来、焼酎を製造するための麹菌を用いているので、これを加えて、48時間程度培養し、発酵する必要がある。培養し、発酵するために焼酎を製造すると同様の設備とエネルギーとを必要とする問題がある。
【0032】
特許文献14には、「植物繊維または植物繊維を主成分とする混合物とともにトリコスポロン属菌を」併用することにより、固液分離が可能となることを実施例と結果のグラフ図で示し、トリコスポロン属菌のみではほとんど固液分離されないことなど、発明を開陳している。しかしながら、植物繊維または植物繊維を添加してもなお、ろ液量は60%であり、固液分離は不十分であり、添加物による固形分の利用の制限や廃棄の問題、コストアップの問題がある。
【0033】
特許文献15には、「焼酎蒸留粕に稲わらを混合して粉砕することにより、粉砕物の粒度分布の範囲が0.1〜3500μm程度に広がり、この広範囲の粒度分布の焼酎蒸留粕と稲わらとの混合・粉砕物を圧搾濾過する」方法であるが、焼酎粕は九州地区だけで46万トン/年排出されるので、その量に見合う稲わらを用意すること、この膨大な量を粉砕すること、さらにこれを圧搾濾過することの労力、コスト、エネルギーを考えると現実味は薄く、得られた圧搾残渣をすべて飼料、肥料に利用することには難しく、廃棄処分にますます問題を残すことになる。
【0034】
特許文献16には、「酒類粕の原液と菌培養液とを等量づつ混合し、攪拌機で1〜3分撹拌する。混合液は数時間すると焼酎粕の悪臭が激滅する。6〜12時間放置すれば自然に凝集沈降し、上澄層と沈降層の二層に分離する。二層の分離比は約6対4となる。」とあり、菌体のみで固液分離することを見出したこと、6〜12時間で凝集沈降することは、従来にない進歩的な技術であるが、分離時間と分離比の点で、さらに向上することが求められる。
【0035】
本願発明は、生物学的に光合成細菌を用いて、酒類粕原液を、希釈させながら混合し、及び/又は同時混合し、撹拌して凝集分離し、固液分離することで、固形分を減容すること、分離液のBODを低減すること、多量のエネルギーコストの負担がなく、プラント建設の初期投資やランニングコストを低く抑え、臭気を抑え、処理時間が短かく酒類粕の固液分離処理する方法およびそれらの処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0036】
本願発明者は、鋭意研究の結果、生物学的に、光合成細菌とくに、紅色光合成細菌を水により希釈した処理水に酒類粕原液を、希釈させながら混合し、及び/又は同時混合し、撹拌して短時間(5時間以内好ましくは10分間以内)で凝集分離し、この凝集分離液を、固液分離装置を用いて、固液分離すること、さらに得られた分離液をエアレーションしながら高速撹拌し、連続遠心分離装置を用いて、固液分離することにより発明を完成し、上記課題を解決した。すなわち、
【0037】
本願発明は、光合成細菌とくに、紅色光合成細菌及び/又はラン色細菌(Synechococcus)を含んだ希釈水溶液に酒類粕原液を、希釈させながら混合及び/又は同時混合し、撹拌し、5時間以内で好ましくは10分間以内で凝集分離し、固液分離装置を用いて、この凝集分離した凝集分離液を固形分と分離液とにする固液分離工程とにより、固形分を減容すること、さらに得られた分離液をエアレーションしなから高速撹拌するミキシング工程を経て、連続遠心分離装置を用いて、固液分離することにより分離液のBODを低減することができる、短時間で固液分離処理する方法を実現したものである。
【0038】
本願発明にいう光合成細菌としては、ロドスピリラム ルブラム(Rhodospirillum rubrum )などのロドスピリラム属( Rhodospirillum )、ロドシュードモナス ビリディス( Rhodopseudomonas viridis )、ロドシュードモナス ゲラチノーサ( Rhodopseudomonas gelatinos )、ロドシュードモナス プラストリス( Rhodopseudomonas palustris )、ロドシュードモナス スルフィドフィラ( Rhodopseudomonas sulfidophila )、ロドシュードモナス カプシュラタス(C0psulatus)、ロドシュードモナス シェフロイデス(Spheroides)、ロドシュードモナス ジェラテイコバ(Gelatikoba)などのロドシュードモナス属( Rhodopseudomonas )及びロドバクター スフェロイデス( Rhodobacter sphaeroides )、ロドバクター キャプスレイタ( Rhodobacter capsulata )などのロドバクター属( Rhodobacter )、クロマチューム ビノサム(Chromatium vinosum)などのクロマチューム属があげられる。
【0039】
本願発明にいう紅色光合成細菌(プロテオバクテリア)は、紅色非硫黄性細菌、紅色硫黄性細菌、ラン色細菌であり、紅色非硫黄性細菌は、光合成細菌に属する細菌のうちのロドスピリラセエ科(Rhodospirillaceae)に分類されるもので、例えば、ロドバクター属(Rhodobacter)、ロドシュードモナス属(Rhodopseudomonas)、ロドスピリルム属(Rhodospirillum)、ロドミクロビウム属(Rhodomicrobium)、ロドチラス属(Rhodocyclus)等の細菌であれば BR>A特に限定されることなく利用することができる。かかる細菌の具体例としては、ロドシュードモナス パルスチルス(Rhodopseudomonas palstris)、ロドバクター カプスラタス(Rhodobacter capsulatus)、ロドバクター スファエロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、ロドシクルス ゲラチノサス(Rhodocyclus gelatinosus)、ロドスピリウム ラバーム(Rhodospirillum rubrum)、ロドシュードモナス シュフエロイデス(Rhodopseudmonas shfreroides)などの細菌、及び耐アルカリ性光合成細菌が挙げられる。
【0040】
本願発明にいう耐アルカリ性光合成細菌とは、特許3639905号に記載された耐アルカリ性光合成細菌(Rhodopseudomonasに属する)、耐アルカリ性ラン色細菌(Synechococcusに属する)であり、より具体的には、耐アルカリ性でバクテリアクロロフィルa、ノイロスポレン、リオコピンを有する光合成細菌(Rhodopseudomos)A株、耐アルカリ性でバクテリアクロロフィルa、ノイロスポレンを有する光合成細菌(Rhodopseudomos)B株、耐アルカリ性でクロロフィルa、およびβカロチンを有すラン色細菌(Synechococcus)C株から選ばれた少なくとも一つを含む微生物群をいう。
【0041】
本願発明にいう共生菌株として、乳酸菌、アルコール酵母、ビール酵母、パン酵母、酒酵母、葡萄酒酵母、バチルス(Bacillus)、ストレプトコックス(Streptcoccus)、スタフイロコックス(Staphylococcus)、クリプトコックス(Cryptcoccus)、デバリオマイセス(Debaryomyces)、エンドマイコプシス(Endomycopcis)、ハンセニュラ(Hansenula)、クロッケラ(Kloekera)、ピシヤ(Pichia)、ロドトルラ(Rhodotorula)、サッカロマイセス(soccharomyces)、シゾサッカロマイシス(sehisosaccharomyces)、トルロプシス(Torulopsis)、シュードモナス(Psedomonas)、アスペルギルス(Aspergillus)、リゾプス(Rhisopus)、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)、プリューロタス(Pleurotus)、キューネロマイセス(Kuehneromyces)、プラムリナ(Plammulina)、アセトベクター(Acetobacter)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、ノカルデア(Nocardia)が挙げられる。
【0042】
本願発明にいう酒類粕は、酒類製造時に、酒類を得たのちに発生する残分である。ここで、酒類として、清酒、ビール、リキュール、雑酒、焼酎などが挙げられる。焼酎として、芋焼酎、麦焼酎、米焼酎、ごま焼酎、ひえ焼酎、とうもろこし焼酎、黒糖焼酎などが挙げられる。たとえば、熊本県、大分県の発表した焼酎粕の成分分析の結果を表1、表2に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
本願発明は、光合成細菌(10の4乗〜10の13乗個/mL)を水で希釈し、希釈して得た光合成細菌処理水(10の3乗〜10の12乗個/mL)に対して焼酎粕50vol%未満1vol%以上を混合し、攪拌し、5時間以内で凝集分離を生じせしめて凝集分離液とし、これを固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離方法である。

また、光合成細菌(10の4乗〜10の13乗個/mL)を水で希釈し、希釈して得た光合成細菌処理水(10の2乗〜10の12乗個/mL)に対して酒類粕75vol%以下1vol%以上を同時混合し、10分以内で、攪拌しながら凝集分離を生じせしめて凝集分離液とし、これを固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離方法でふる。一部を同時混合し、残部を撹拌しながら混合する2工程を組み合わせて固液分離するものも本願発明に含まれる。
前記の凝集分離を生じせしめた凝集分離液を、固液分離装置を用いて、固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離方法することも本願発明である。
【0046】
本願発明は、前記の固液分離装置が、フィルターメッシュ#100〜#350の単体又はそれらを組み合わせて構成した分離フィルターを持つ回転濾過器と、圧搾スクリーンの細孔径50〜150μmであるスクリュープレス型圧搾装置とを連設することを特徴とする固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離方法である。この回転濾過器のメッシュとして#150〜#250が好ましく、また、番手の大きなものから小さなものへ複数の領域に組み合わせて構成したものも好ましい。スクリュープレス型圧搾装置の圧搾スクリーンの細孔径として80〜130μmが好ましい。
【0047】
また、本願発明は、前記の固液分離装置が、フィルターメッシュ#100〜#350の単体又はそれらを組み合わせて構成した分離フィルターを持つ回転濾過器と連続遠心分離装置と連設することを特徴とする固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離方法であり、分離フィルターメッシュ#100〜#350の回転濾過器と、圧搾スクリーンの細孔径50〜150μmであるスクリュープレス型圧搾装置とを連設し、さらに連続遠心分離装置と連設させることを特徴とする固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離方法である。連続遠心分離装置は、回転濾過器とスクリュープレス型圧搾装置の網目を抜けた微小の固形物を分離液からさらに取り除くために設置するものである。
勿論、連続遠心分離装置のみならず、遠心脱水機、ツインクロス式脱水機、濾過器などの市販の固液分離機に直接投入し、固液分離の処理をおこなうことも本願発明に含まれる。
前記の固液分離装置が、フィルターメッシュ#100〜#350の単体又はそれらを組み合わせて構成した分離フィルターを持つ回転濾過器と、圧搾スクリーンの細孔径50〜150μmであるスクリュープレス型圧搾装置とを連設し、さらに連続遠心分離装置と連設することを特徴とする固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離方法も含まれる。
【0048】
本願発明は、フィルターメッシュ#100〜#350の単体又はそれらを組み合わせて構成した分離フィルターを持つ回転濾過器を用いないで、前記のスクリュープレス型圧搾装置を改良した液体ベントスクリューフィーダ付きスクリュープレス型圧搾装置を固液分離装置とすることを特徴とする固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離方法である。
本願発明は、前記の固液分離装置が、液体ベントスクリューフィーダ付きスクリュープレス型圧搾装置と連続遠心分離装置と連設することを特徴とする固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離方法である。
【0049】
本願発明は、希釈して得た光合成細菌処理水(10の2乗〜10の12乗個/mL)に対して前記のいずれかにより得られた分離液75vol%以下1vol%以上を、回転数1000〜5000rpmの攪拌機を用いて、空気を激しく取り込みながら撹拌し、pHが6.0以下に下がらないまで投入するミキシング工程を経て、連続遠心分離することを特徴とする固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離方法である。
【0050】
本願発明は、希釈して得た光合成細菌処理水(10の2乗〜10の12乗個/mL)に対して前記のいずれかにより得られた分離液75vol%以下1vol%以上を、回転数1000〜5000rpmの攪拌機を用いて、空気を激しく取り込みながら撹拌し、波長400〜700nmを主として含む光線を照射しながら、pHが6.0以下に下がらないまで投入するミキシング工程を経て、連続遠心分離することを特徴とする固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離方法である。
【0051】
本願発明の酒類粕の固液分離装置は、フィルターメッシュ#100〜#350の単体又はそれらを組み合わせて構成した分離フィルターを持つ回転濾過器と、圧搾スクリーンの細孔径50〜150μmであるスクリュープレス型圧搾装置とを連設することを特徴とする固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離装置であり、また、フィルターメッシュ#100〜#350の単体又はそれらを組み合わせて構成した分離フィルターを持つ回転濾過器と連続遠心分離装置と連設することを特徴とする固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離装置である。
【0052】
さらに、本願発明の酒類粕の固液分離装置は、液体ベントスクリューフィーダ付きスクリュープレス型圧搾装置と連続遠心分離装置と連設することを特徴とする固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離装置も含まれる。
【0053】
本願発明の酒類粕の固液分離装置は、同時混合攪拌装置と、フィルターメッシュ#100〜#350の単体又はそれらを組み合わせて構成した分離フィルターを持つ回転濾過器と、圧搾スクリーンの細孔径50〜150μmであるスクリュープレス型圧搾装置と、ミキシング装置と、連続遠心分離装置とを連設することを特徴とする固形物と分離液とに固液分離する装置である。
また、同時混合攪拌装置と、フィルターメッシュ#100〜#350の単体又はそれらを組み合わせて構成した分離フィルターを持つ回転濾過器と、ミキシング装置と、連続遠心分離装置とを連設することを特徴とする固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離装置も本願発明に含まれる。
さらに、同時混合攪拌装置と、液体ベントスクリューフィーダ付きスクリュープレス型圧搾装置と、ミキシング装置と、連続遠心分離装置とを連設することを特徴とする固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離装置も本願発明に含まれる。
【0054】
本願発明の酒類粕の固液分離方法に用いる光合成細菌が紅色光合成細菌及び/又はラン色細菌(Synechococcus)であることを特徴とする凝集分離し、固形物と分離液とに固液分離する方法も本願発明である。この紅色光合成細菌が紅色非硫黄細菌である酒類粕の固液分離方法も本願発明に含まれる。
さらに、本願発明の酒類粕の固液分離方法、前記の光合成細菌処理水に共生菌株を含む培養液を菌数で50%以下混合した混合菌を用いることを特徴とする。
【0055】
前記共生菌株として、バチルス菌(Bacillus)、乳酸菌、アルコール酵母、ビール酵母、パン酵母、酒酵母、葡萄酒酵母、ストレプトコックス(Streptcoccus)、スタフイロコックス(Staphylococcus)、クリプトコックス(Cryptcoccus)、ハンセニュラ(Hansenula)、サッカロマイセス(soccharomyces)、シゾサッカロマイシス(sehisosaccharomyces)、トルロプシス(Torulopsis)から選ばれた少なくとも一つであることを特徴とする酒類粕の固液分離方法も本願発明に含まれる。
【0056】
本願発明の酒類粕の固液分離方法は、前記のいずれかに記載の方法により得られた分離液及び/又はこの分離液を紫外線照射して光合成細菌以外の細菌を滅菌した分離液(滅菌分離液ともいう)に対して、あるいはこの滅菌分離液及び/又は前記の分離液と培養した光合成細菌とを混合した混合処理水に対して焼酎粕75vol%以下1vol%以上を、逐次添加し撹拌しながら5時間以内で混合し、または同時混合し、10分以内で、攪拌しながら凝集分離を生じせしめて凝集分離液とし、これを固形物と分離液とに固液分離するものである。
【0057】
本願発明の酒類粕の固液分離方法は、前記の方法により得られた分離液と培養した光合成細菌とを混合した混合処理水に対して焼酎粕75vol%以下1vol%以上を混合及び/又は同時混合し、5時間以内で、攪拌しながら凝集分離を生じせしめて凝集分離液とし、これを固形物と分離液とに固液分離するものである。
【0058】
本願発明の酒類粕の固液分離方法は、前記の方法により得られた分離液を紫外線照射して光合成細菌以外の細菌を滅菌した分離液(滅菌分離液ともいう)に対して、あるいはこの滅菌分離液と培養した光合成細菌とを混合した混合処理水に対して焼酎粕75vol%以下1vol%以上を同時混合し、5時間以内で、攪拌しながら凝集分離を生じせしめて凝集分離液とし、これを固形物と分離液とに固液分離するものである。
【0059】
本願発明は、培養した光合成細菌(10の4乗〜10の13乗個/mL)を用いて酒類粕を前記のいずれかに記載の分離液をミキシングし、連続遠心分離装置でさらに固液分離したミキシング分離液を、微生物により酒類粕を分解浄化処理する方法。
本願発明は、前記の固液分離したミキシング分離液を、気泡回収槽と、回転ドラムとを有した分解処理槽から構成されることを特徴とする分解浄化処理する分解浄化処理装置も含まれる。
【発明の効果】
【0060】
以上述べたように本願発明は、生物学的な処理のみによって、酒類製造工場から排出される酒類粕をこれまで困難とされてきた固液分離を容易に、極めて短時間で処理することができる。さらに固液分離装置を用いることにより、分離液に含まれる高濃度のBODを減少できる。光合成細菌の働きにより臭気を抑えることができる。さらに、バチルス菌、乳酸菌、アルコール酵母等の共生菌を添加することにより、凝集分離能は低下するがより臭気を抑えることができる。
本願発明は、蒸留や乾燥することがなく、多量のエネルギーコストの負担がない。
静置沈降槽を設置することなく、さらに撹拌貯蔵槽も設置することなく、希釈混合機から直接固液分離装置に投入する構成であるので、操作が容易である上、制御し易く、プラント建設の初期投資を低く抑えることができる。所要エネルギーが混合機や循環のためのポンプ電力などであるからランニングコストを低く抑えることができる。
【0061】
固液分離装置として市販の単体分離機を用いることもできるが、省スペースであり、目詰まりもほとんどなく、処理能力を向上させた回転濾過器とスクリュープレス型圧搾装置とを組み合わせて用いることもできる。組み合わせて用いることによりバランスよく固液分離ができる。
混合機から直接液体ベントスクリューフィーダ付きスクリュープレス型圧搾装置及び/又は連続遠心分離装置に搬送することができるので、固液分離する工程において、外気との接触もなく、雑菌の混入を防止することができ、臭気も低く抑えられる。
得られた分離液のBODは6000から10000ppmであるが、必要に応じて連続遠心分離装置をさらに組み合わせて、BODを5000ppm以下に低下させることもできる。
【0062】
分離液には光合成細菌が生存するので、これを再び光合成細菌処理水に添加して用いることができるので、光合成細菌の培養ランニングコストをさらに低く抑えることができる。殺菌分離液とすることにより、菌体の異常増殖を抑制し、一定の条件で操業できる。
固形物には有害物質が含まれていないこと、無害な光合成細菌と酒類の原料に関するものだけであることなど、すべてを有効活用することができる。
有効活用しないで、産業廃棄物としても、減容できる(例えば、芋焼酎粕で5wt%以下に)ので、廃棄コストを著しく低下できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
本願発明の実施の形態を、図1に示す酒類粕固液分離処理の基本フローに基づいて説明する。
培養した光合成細菌(10の4乗〜10の13乗個/mL)を貯蔵する培養菌貯蔵槽と、所定の菌体数(10の3乗〜10の12乗個/mL)になるまで水で希釈し、得た光合成細菌処理水を貯蔵する処理水貯蔵槽と、酒類製造所から搬送した酒類粕の原液を貯蔵する酒類粕原液槽と、光合成細菌処理水に酒類粕の原液を混合し、攪拌する凝集分離槽とからなる凝集分離工程と、得られた凝集分離液を固液分離装置に投入して分離液と固形物とに固液分離処理する工程とからなる。
【0064】
まず、酒類製造所から搬送した酒類粕の原液を酒類粕原液槽に貯蔵する。このとき貯蔵した酒類粕の原液の上面に数センチの光合成細菌の菌培養液で覆う。こうすることによって、2週間以上臭気を発散しなくなる。作業環境のために非常によい。
所定の処理量に応じて酒類粕の原液を計量して光合成細菌処理水槽に投入する。所定の濃度に希釈した培養佐藤菌処理水に酒類粕の原液50vol%未満1vol%以上を混合し、攪拌機で3〜5分撹拌する。わずかに泡が発生し、粘凋さが順次なくなり、凝集分離する。10分間以上撹拌し、凝集分離を完結させる。6時間以上の静置沈降する必要がないけれども、2週間程度無臭の状態を保つことができるので、6時間以上の放置を禁止するものではない。
【0065】
〔固液部分離工程〕
得られた凝集分離液を固液分離装置に投入する。
固液分離装置の一例として、回転濾過器と、スクリュープレス型圧搾装置と、遠心分離器とを組み合わせて、連設したフローを示している。
凝集分離液を回転濾過器に落とし込み、フィルターで水切りしながら、固形分を含んだ泥状の液体(半固体物という)をスクリュープレス型圧搾装置のホッパーに注ぎ込む。スクリュープレス部のスクリューで押し込みながら圧搾スクリーンの細孔から液体を搾り出す(搾り出液という)。細孔径と凝集分離条件により搾り出液中に固形分を含有しているので、これを再度回転濾過器に戻す。固形物はスクリュー先端部から吐出され、タンクに収納する。
回転濾過器のフィルターで濾過された分離液は、分離液中の微少の粒子の含有状態を判断しながら、そのまま、分離液槽に貯蔵するか、又は遠心分離器を通してさらに固液分離し、分離液を分離液槽へ、固形物はタンクへ送る。
【0066】
酒類粕の種類、光合成細菌処理水の濃度等により、また、圧搾スクリーンの細孔径、ステンレスフィルターのメッシュによる装置の設備費により、固液分離処理の効率を勘案しながら、圧搾スクリーンの細孔径、ステンレスフィルターのメッシュを設定する。
圧搾スクリーンの細孔径が小さくなるほど、スクリュープレス型圧搾装置が高価となり、圧搾スクリーンの細孔径が大きくなると価格は下がるが、分離液の方に微少な粒子が増加し、BODを高くする。圧搾スクリーンの細孔径として50〜150μm、好ましくは80〜130μmである。ステンレスフィルターのメッシュも同様に、#100〜#350、好ましくは#120〜#250である。
分離液の微少な粒子を取り除く遠心分離器を用いることが、固液分離処理の効率を高めるので、連設するとよい。
【0067】
固液分離処理した分離液には、有機酸、可溶性タンパク質、微少な粒子(繊維素など)、および光合成細菌などが含まれていて、BODが4000〜10000ppmである。
有機酸、可溶性タンパク質、微少な粒子(繊維素など)は、光合成細菌の富栄養素であり、培養菌貯蔵槽に戻して増殖し、再利用を図ること、処理水貯蔵槽に戻して光合成細菌の直接的に再利用を図ることを行う。
【0068】
市販の回転濾過器を改良した回転濾過器Aとスクリュープレス型圧搾装置Bとを連設した固液分離装置の構成概略図の平面図を図2に、側面図を図3に、正面図を図4に示す。分離フィルタードラムの改良したポイントを図5に示す。スクリュープレス型圧搾装置の改良したポイントを図6に示す。
市販の回転濾過器は、栗原鉄工株式会社製(特開平10−234327(豆腐製造用の圧搾機、))のものである。この市販装置を用いて、焼酎粕の凝集分離液を処理することができなかった。焼酎粕の凝集分離液を処理できるように改良した。豆腐の場合、スクリュープレス型圧搾装置Bから回転濾過器Aの順に流しているのを、焼酎粕の場合、逆に、回転濾過器Aからスクリュープレス型圧搾装置Bの順に流す。
【0069】
機器内部の改良した点は、回転濾過器について、次の通りである。
1. 分離フィルタードラム114の半径D1を大きくする(〜200mm)。
2. 分離フィルタードラム114の長さLを長くする(〜1000mm)。
3. 分離フィルタードラム114の回転軸の中心線を水平からθ度上向きに傾ける(3〜8)。
4. 分離フィルタードラム114のフィルターをステンレスフィルターとし、メッシュ番手を上げ、組み合わせる(#100〜#350)。
5. 螺旋しきり板119の高さ(D1−D2)を高くする(40〜100mm)。
6. 螺旋しきり板119のピッチを狭くする(150〜80mm)。
7. 回転数を早くする(30〜100rpm)。
【0070】
スクリュープレス型圧搾装置についての改良点は、次の通りである。
1. ノズル形状とノズル開口部形状
2. 流体の滞留部の溜まり止め
3. 圧縮バネの圧縮力の範囲を拡げる。
【0071】
凝集分離液を投入口111から配管を通して分離フィルタードラム117の下部に注ぐ。分離フィルタードラム117の下部端に逆流防止兼ローラー受129を設け、液体の飛散を防止する回転濾過器カバー127を設けている。回転モーター125で分離フィルタードラム117を回転しながら、凝集分離液を分離フィルターで濾過する。液状物を螺旋しきり板119に沿ってせり上げていく。水分を完全に濾過しないドロドロした状態である半固形物になったところ(半固形物排出口115)で、半固形物シューター131に流し込み、これを半固形物受タンク123に貯蔵する。所定の量が溜まると、半固形物ポンプ513により、半固形物配送管を通してスクリュープレス型圧搾装置Bの投入ホッパー311に投入する。
【0072】
一方、濾過された液体(分離液)は分離液受け皿114に溜まり、液体排出口113から液体受タンク121に貯蔵され、排出ポンプ511により液体配送管519を通り、液体配送口521から処理水貯蔵槽又は培養菌貯蔵槽に送られる。
【0073】
投入ホッパー311に投入された半固形物は、スクリュープレス313内のスクリュー羽根355で圧縮、移動しながら、圧搾スクリーン351の細孔から液を排出しつつ、固液分離される。スクリュー軸353をスクリュープレスモーターにより駆動し、背圧をかける圧縮バネ391の強さを搾り調整ハンドル319で調整する。
軸受けメタル379でスクリュー軸353を受け止め、ノズル口373をノズル受けメタル377で押さえる。固形物はスクリュー羽根355で圧縮力を受け、ノズル371のノズル孔を通り、ノズル受けメタル377に突き当たる。圧縮バネ391の強さに打ち勝って、排出部375に排出され、搾り粕排出口315から落下して固形物受け箱(図なし)に捕集する。
【0074】
圧搾スクリーン351の細孔から排出された液(搾り液)は、搾り液排出配管515を通って搾り液受タンク523に一旦貯めて、搾り液投入ポンプにより搾り液排出配管515を通って投入口111から回転濾過器に注がれる。
【0075】
図6中の斜線の領域が改良した部分である。スクリュー先端部の滞留領域を無くす溜まり止め711、排出物が溜まる欠掻き領域を無くす埋め込み713、ノズル孔の平行部を三角錐状にしたノズル孔715を表している。
【0076】
さらに、本願発明の実施の形態の例として、酒類粕固液分離処理の基本フローの概念図を、図13に示す。この酒類粕固液分離処理の基本フローに基づいて説明する。
培養した光合成細菌(10の4乗〜10の13乗個/mL)を貯蔵する培養菌貯蔵槽と、所定の菌体数(10の2乗〜10の12乗個/mL)になるまで水で希釈し、得た光合成細菌処理水を貯蔵する処理水貯蔵槽と、酒類製造所から搬送した酒類粕の原液を貯蔵する酒類粕原液槽と、光合成細菌処理水に酒類粕の原液とを所定の混合比になるように定量ポンプにより搬送し、同時混合し、攪拌し凝集分離する同時混合撹拌凝集分離装置と、得られた凝集分離液を分離液と固形物とに固液分離処理する固液分離装置とから構成される。必要に応じて、得られた分離液の光合成細菌以外の雑菌を滅菌する紫外線照射装置を追加して、培養菌貯蔵槽及び/又は処理水貯蔵槽に分離液を滅菌分離液として還流する構成も示している。
【0077】
同時混合撹拌凝集分離装置として、市販の2液混合反応器などを用いても良い。一例として、シーレットポンプ、マグネットドライブシールレスポンプなど200〜5000rpmの回転数の性能を有する、混合できる、撹拌できる装置である。ギヤポンプ等の定量ポンプにより所定の混合比となるようにして、たとえば、光合成細菌処理水と酒類粕の原液とが75vol%以下1vol%以上の容量比となるようにして、同時混合撹拌凝集分離装置に供給する。
【0078】
固液分離装置として、遠心分離装置、遠心脱水機、ツインクロス式脱水機、濾過器などの市販の固液分離機を単独で又は組み合わせて用いることもできる。
図13では、二系統の固液分離処理についてフローを示している。第一の系統は、分離フィルターメッシュ#100〜#350の回転濾過器と、圧搾スクリーンの細孔径50〜150μmであるスクリュープレス型圧搾装置とを連設し、得られた分離液をミキシング装置に投入し、さらにミキシングした分離液を固液分離処理する連続遠心分離装置とを連設させることを特徴とするものである。
【0079】
第二の系統は、同時混合撹拌凝集分離装置により凝集分離した凝集分離液を液体ベントスクリューフィーダ付きスクリュープレス型圧搾装置のみを用いて固液分離し、得られた分離液をミキシング装置に投入し、さらにミキシングした分離液を固液分離処理する連続遠心分離装置とを連設させることを特徴とするものである。
【0080】
得られた分離液のBODをさらに減少させ、固液分離を促進する方法として、希釈して得た光合成細菌処理水をエアレーションしながら高速撹拌(1000〜5000rpm)又は空気を巻き込みながら高速撹拌(1000〜5000rpm)している中に、前記の固液分離装置により固液分離された分離液を連続的に又は間歇的に投入し、PHが6.0に、好ましくは6.5になるまで投入する。このとき、波長400〜700nmを主として含む光線を照射しながら投入すると処理能力(投入量、BODの低下など)が向上する。この操作をミキシング工程といい、構成する機器類をミキシング装置という。
【0081】
この撹拌された分離液をミキシング液といい、モヤモヤと浮遊する固形分と沈降する固形分を含む。これらの固形分の粒子を顕微鏡で観察すると非常に小さく、10〜100μmである。連続遠心分離装置を用いて、このミキシング液を固液分離する。得られた分離液をミキシング分離液ともいう。このミキシング分離液を一昼夜静置してpHを測定しても、その値は変化しなかった。前記の分離液のBODが5000ppm以上であるのに対して1000ppm以下である。
ミキシング工程を終えたままの分離液は、時間の経過とともにpHが低下する。これを再度ミキシングするとpH値が回復する。
【0082】
ミキシング分離液も含めて固液分離した分離液は、次工程にて処理されるか及び/又は紫外線照射装置により光合成細菌以外の菌を滅菌する。これは、共生菌以外の菌を排除する効果がある。滅菌した滅菌分離液を培養菌処理水槽及び/又は培養菌貯蔵槽に還流し、光合成細菌を再利用する。
【0083】
まず、酒類製造所から搬送した酒類粕の原液を酒類粕原液槽に貯蔵する。このとき貯蔵した酒類粕の原液の上面に数センチの光合成細菌の菌培養液で覆う。こうすることによって、2週間以上臭気を発散しなくなる。作業環境のために非常によい。
所定の処理量に応じて酒類粕の原液を定量ポンプから搬送し、所定の濃度に希釈した培養佐藤菌処理水を定量ポンプから搬送し、酒類粕の原液75vol%以下1vol%以上の混合比率で混合機にて同時混合し、攪拌する。10分以内に凝集分離が完結する。
【0084】
酒類製造工場において、本願発明を実施する場合、発酵に伴う温度上昇、蒸留による温度上昇のため、酒類粕の温度は、50〜95度Cであるから、これを希釈した培養佐藤菌処理水と同時混合撹拌するとき、光合成細菌の活性の高い温度領域20〜35度Cの範囲になるように混合比を設定することが好ましい。
酒類製造工場外において、本願発明を実施する場合、酒類粕の貯蔵槽に貯蔵されるので、酒類粕の温度を測定し、50度C以下に下がっておれば、所定の混合比で希釈した培養佐藤菌処理水と同時混合撹拌するとよい。
光合成細菌の活性の高い温度領域20〜35度Cの範囲を逸脱する同時混合撹拌するときは、この温度範囲になってから10分間以内で凝集分離が完結する。
【0085】
得られた凝集分離液を固液分離装置に投入する。
固液分離装置の一例として、回転濾過器と、スクリュープレス型圧搾装置と、連続遠心分離装置とを組み合わせて、連設したフローを示している。
凝集分離液を回転濾過器に落とし込み、フィルターで水切りしながら、固形分を含んだ泥状の液体(半固体物という)をスクリュープレス型圧搾装置のホッパーに注ぎ込む。スクリュープレス部のスクリューで押し込みながら圧搾スクリーンの細孔から液体を搾り出す(搾り出液という)。細孔径と凝集分離条件により搾り出液中に固形分を含有しているので、これを再度回転濾過器に戻す。固形物はスクリュー先端部から吐出され、タンクに収納する。
回転濾過器のフィルターで濾過された分離液は、分離液中の微少の粒子の含有状態を判断しながら、そのまま、分離液槽に貯蔵するか、又は連続遠心分離装置を通してさらに固液分離し、分離液を分離液槽へ、固形物はタンクへ送る。
【0086】
酒類粕の種類、光合成細菌処理水の濃度等により、また、圧搾スクリーンの細孔径、ステンレスフィルターのメッシュによる装置の設備費により、固液分離処理の効率を勘案しながら、圧搾スクリーンの細孔径、ステンレスフィルターのメッシュを設定する。
圧搾スクリーンの細孔径が小さくなるほど、スクリュープレス型圧搾装置が高価となり、圧搾スクリーンの細孔径が大きくなると価格は下がるが、分離液の方に微少な粒子が増加し、BODを高くする。圧搾スクリーンの細孔径として50〜150μm、好ましくは80〜130μmである。ステンレスフィルターのメッシュも同様に、#100〜#350、好ましくは#120〜#250である。
分離液の微少な粒子を取り除く連続遠心分離装置を用いることが、固液分離処理の効率を高めるので、連設するとよい。
【0087】
固液分離処理した分離液には、有機酸、可溶性タンパク質、微少な粒子(繊維素など)、および光合成細菌などが含まれていて、BODが4000〜10000ppmである。
有機酸、可溶性タンパク質、微少な粒子(繊維素など)は、光合成細菌の富栄養素であり、培養菌貯蔵槽に戻して増殖し、再利用を図ること、処理水貯蔵槽に戻して光合成細菌の直接的に再利用を図ることを行う。
【0088】
〔光合成細菌(佐藤菌)の培養法〕
三河環境微生物 さとう研究所の市販する光合成細菌液(元菌)を用いる。これは水田の表面の土壌から分離し、拡大培養した光合成細菌である。紅色で、「たんぼ」のドブ臭いにおいがし、pH=8.5前後であり、次のような性質を有する。1.土壌中の硫化水素など分解産物の無毒化。2.ビタミンB12、カロチン、核酸など菌体産物の利用。3.土壌や堆肥中の放線菌の増殖促進「フザリウムなどとの拮抗」。4.大腸菌、サルモネラ菌など腸内細菌の自然界からの消滅促進。5.土壌,汚水、堆肥などの脱窒素作用また反対の窒素固定作用。
したがって、紅色硫黄細菌を主体とする紅色光合成細菌である。これを佐藤元菌と称する。
この佐藤元菌の拡大培養法をするにあたり、原体菌水溶液(ワインのロゼ色、pH=8.35)を顕微鏡で観察すると、光合成細菌の他多種類の多数の雑菌が確認された。
原体菌水溶液(ワインのロゼ色、pH=8.35)を10倍に希釈し、紫外線照射して雑菌を死滅させ、佐藤元菌のみの水溶液とした。
培地組成として、水50L対して
塩化アンモニウム 40〜60g
炭酸水素ナトリウム 40〜60g
酢酸ナトリウム 40〜60g
塩化ナトリウム 40〜60g
リン酸水素二カリウム 8〜12g
硫酸マグネシウム 8〜12g
DL−リンゴ酸 10〜15g
ペプトン 8〜12g
酵母エキス 4〜6g
を混合するものである。
【0089】
添加した後、2,3min撹拌し、培地水を作製する。
25〜40度に温調することができる、空気を遮断することができる、雑菌を混入しないようにできる培養釜であって、光を照射できるものを用意する。
この培養釜に培地水を所定量投入し、佐藤元菌水溶液(ワインのロゼ色、pH=8.35)を添加し、撹拌する。水温ヒータにて温度約32度で温調し、日の当たるところで、12日間培養する。ロゼ色透明のものが濃紅色に変化する。pH=8.5となる。
これを培養佐藤菌という。
【0090】
〔佐藤バチルス菌の培養法〕
愛知県岡崎市のさとう研究所の市販する耐熱性バチルス菌の原体(寒天状、A,Bの二種類)を用意する。シャーレの半分づつを採取し、これと40度の湯水1Lを20L水槽に入れ、30秒間撹拌する。さらに18Lの水(25度)を添加する。
糖蜜1Lを添加する。糖蜜の代わりに蜂蜜で培養してもよい。1〜2min撹拌する。ヒーターで32度で温調し、エアポンプにて3L/minで曝気する。24hrで暗黒色、pH=3.6となる。冷暗所に保管する。これを培養バチルス菌という。
蜂蜜で培養した場合、乳白色、pH=4.1である。
【0091】
〔耐アルカリ性光合成細菌の培養法〕
特許3699987号で得られた耐アルカリ性光合成細菌を拡大培養した菌体浄化資材を用いた。この菌体浄化資材(エコ菌と称して市販)は、紅色非硫黄性細菌、ラン色細菌及び土壌菌を混合したものであり、特願2006−112336の実施例に用いたものである。
たとえば、水20Lにエコ菌2Kgを混合し、32度に昇温し、24Hr放置後、濾過する。濾液を紫外線照射(1200μW、40秒間)して、土壌菌を滅菌する。
得られた耐アルカリ性光合成細菌の水溶液を培養佐藤菌の培養法と同様に行った。ただし、濃紅色に変化するまでに3週間を要した。pH=8.3〜8.7である
これを培養殺菌エコ菌という。
【実施例1】
【0092】
〔光合成細菌(佐藤菌)の培養法〕
愛知県岡崎市の佐藤研究所の市販する原体菌pH=8.35を20L60Lの水槽に注入し、水40Lを加える。
培地組成として、
塩化アンモニウム 40g
炭酸水素ナトリウム 40g
酢酸ナトリウム 40g
塩化ナトリウム 40g
リン酸水素二カリウム 8g
硫酸マグネシウム 8g
DL−リンゴ酸 10g
ペプトン 8g
酵母エキス 4g
を添加し、2,3min撹拌して培地水を作製する。
【0093】
空気を遮断することができる、25〜40度に温調することができる、雑菌を混入しないようにできる培養釜であって、光を照射できるものを用意する。
この培養釜に培地水を所定量投入し、培地水の半分の量の光合成細菌の原体菌水溶液(pH=8.35)を添加し、撹拌する。水温ヒータにて温度約32度で温調し、日の当たるところで12日間培養する。無色透明のものが紅色に変化する。pH=8.5となる。
【実施例2】
【0094】
〔佐藤バチルス菌の培養〕
愛知県岡崎市の佐藤研究所の市販する佐藤バチルス原体(寒天状、A,Bの二種類)を用意する。シャーレの半分づつを採取し、これと40度の湯水1Lを20L水槽に入れ、30sec撹拌する。さらに18Lの水(25度)を添加する。
糖蜜1Lを添加し、1〜2min撹拌する。
ヒーターで32度で温調し、エアポンプにて3L/minで曝気する。暗黒色となり、24hrで冷暗所に保管する。
【実施例3】
【0095】
〔耐アルカリ性光合成細菌(培養殺菌エコ菌)の培養法〕
特許3699987号で得られた耐アルカリ性光合成細菌を拡大培養した菌体浄化資材で製造した光合成細菌培養液に紫外線を照射して土壌菌を滅菌した。
水20Lにエコ菌2Kgを混合し、32度に昇温し、24Hr放置後、濾過する。濾液を紫外線照射(1200μW、40秒間)して、土壌菌を滅菌した。
得られた耐アルカリ性光合成細菌の水溶液を培養佐藤菌の培養法と同様に行った。ただし、濃紅色に変化するまでに3週間を要した。
【実施例4】
【0096】
芋焼酎会社OG社から、芋焼酎粕の原液を200L入手する。これから100gを採取し、乾燥機90〜110度にて乾燥した。直ちに250g秤を用いて、重量を測定し、3.74gの結果を得た。この焼酎粕の固形物の含有率は3.74wt%である。
培養佐藤菌20mLを2Lペットボトルに入れ、水1Lを加えて振盪させ、培養佐藤菌の50倍希釈した処理水を作製する。この2Lペットボトルに芋焼酎粕の原液500mLを投入し、5分間振盪する。5分間静置した後、120メッシュの布袋に注ぐ。簡単に手で搾ることができる。手で搾りながら、濾別し、固形物が粘土状になった時点で搾り終えた。濾液を分離液として2Lペットボトルに詰め、計量した。この分離液のpHをpHメータにより測定した。12時間静置し、微少な粒子が沈降した沈殿物の高さを測定した。上澄液をBODの測定用サンプルとして500mL採取した。
一方、速やかに搾り終えた布袋を計量した。その後、乾燥機に入れて乾燥し、計量した。
結果を表3に示す。
【0097】
【表3】

【実施例5】
【0098】
培養佐藤菌20mLに替えて、10mL、100mL、200mLとする以外は、実施例4と同様に行った。結果を表3に示す。
いずれの濃度の光合成細菌を用いても、短時間で凝集分離することが分かった。
培養佐藤菌200mLの分離液の残分を撹拌し、600mLを採取して遠心分離器により固液分離した液のBODを測定した。4900ppmであった。遠心分離器により微少の粒子が取り除かれ、BODが低下することが分かった。
【実施例6】
【0099】
培養佐藤菌に替えて、培養殺菌エコ菌を20mL、100mLとする以外は、実施例4と同様に行った。結果を表3に示す。
いずれの濃度の光合成細菌(紅色非硫黄細菌、耐アルカリ性でバクテリアクロロフィルaとノイロスポレンを有する光合成細菌(Rhodopseudomos)、耐アルカリ性でクロロフィルaおよびβカロチンを有すラン色細菌(Synechococcus))を用いても、短時間で凝集分離することが分かった。
【0100】
〔比較例1〕
焼酎粕を2L計り、これを綿布の袋に入れて、手で搾った。搾り切れなかった。ペースト状にしかならなかった。
【0101】
〔比較例2〕
培養佐藤菌に替えて、培養バチルス菌を200mLとする以外は、実施例4と同様に行った。手で搾る力を強くしないと搾れない。編み目から泥状の固形物が浸みだした時点で終える。分離固形物が粘土状にならないで、ペースト状であった。焼酎粕の原液よりも搾り易かったが、凝集分離し難いことがわかった。
測定結果を表4に示す。
【0102】
【表4】

【実施例7】
【0103】
培養佐藤菌100mLに培養バチルス菌50mL又は100mLを混合し用いた以外は実施例4と同様に行った。測定結果を表4に示す。いずれも短時間で凝集分離することが分かった。分離液比の値が小さいことから、バチルス菌の及ぼす影響もあることが分かる。
【実施例8】
【0104】
麦焼酎会社SP社から、麦焼酎粕の原液を200L入手する。これから100gを採取し、乾燥機90〜110度にて乾燥した。直ちに重量を測定し、13.0gの結果を得た。この焼酎粕の固形物の含有率は13wt%である。
培養佐藤菌20mL、200mLをそれぞれ2Lペットボトルに入れ、水1Lを加えて振盪させ、培養佐藤菌の処理水を作製する。同様に、培養殺菌エコ菌20mL、200mLをそれぞれ2Lペットボトルに入れ、水1Lを加えて振盪させ、培養殺菌エコ菌の処理水を作製する。それぞれに麦焼酎粕の原液を500mL投入した。5分間振盪し、5分間静置した後、120メッシュの布袋に注ぐ。簡単に手で搾ることができる。
濾液を分離液として2Lペットボトルに詰め、計量した。この分離液のpHをpHメータにより測定した。12時間静置し、微少な粒子が沈降した沈殿物の高さを測定した。上澄液をBODの測定用サンプルとして500mL採取した。
【0105】
一方、速やかに搾り終えた布袋を計量した。その後、乾燥機に入れて乾燥し、計量した。
測定結果を表5に示す。
【0106】
【表5】

【0107】
微少な粒子が沈降した沈殿物の高さも高く、粒径が非常に細かいことが分かった。
別に、培養殺菌エコ菌処理水(10の4乗個/mL)150mLに麦焼酎粕の原液10mLを投入し撹拌すると凝集分離した。
いずれの濃度の光合成細菌(紅色非硫黄細菌、耐アルカリ性でバクテリアクロロフィルaとノイロスポレンを有する光合成細菌(Rhodopseudomos)、耐アルカリ性でクロロフィルaおよびβカロチンを有すラン色細菌(Synechococcus))を用いても、短時間で凝集分離することが分かった。
【実施例9】
【0108】
芋焼酎会社OG社から、芋焼酎粕の原液を200L入手する。これから100gを採取し、乾燥機90〜110度にて乾燥した。直ちに250g秤を用いて、重量を測定し、3.35gの結果を得た。この焼酎粕の固形物の含有率は3.35wt%である。
培養佐藤菌1.5Lに水150Lを1ton槽に入れ、5分間撹拌した。これに焼酎粕の原液100Lを80L/minの流速でポンプにて投入した。30分間水中ポンプを用いて80L/minの流速で撹拌した。その後、回転濾過器Aに8.5L/minの流速で投入した。
回転濾過器の濾過条件は、回転数42rpm、120メッシュステンレスフィルター、回転軸の傾きθ=4.2、螺旋しきり板119の高さ50mm、螺旋ピッチ150mmである。30分間運転した。
凝集分離液を、分離フィルターで濾過しながら、分離フィルタードラム117を回転する。液状物を螺旋しきり板119に沿ってせり上げていく。水分を完全に濾過しないドロドロした状態である半固形物を半固形物受タンク123に貯蔵する。10分後に、半固形物を半固形物用ポンプにてスクリュープレス型圧搾装置Bの投入ホッパー311に投入した。20分間運転した。スクリュープレス型圧搾装置の運転条件は、スクリュー回転数90rpm、圧搾スクリーン351の細孔径120μmである。
【0109】
固形物を固形物受け容器に貯めた。直ちに、固形物を計量し、3.386Kgを得た。これを乾燥機90〜110度にて乾燥した。乾燥した固形物は1.185Kgあった。
固液分離した搾り液を搾り液受けタンク523に貯蔵した。搾り液投入ポンプ525にて、回転濾過器Aに再投入した。
分離液のpHは、4.92であった。分離液の高さ275mm(1800mL)に対して、12hr後の沈殿高さ11mm(87mL)であった。
この固液分離システムの処理能力は、焼酎粕の原液7ton/daysと概算される。
【0110】
〔比較例3〕
培養殺菌エコ菌処理水(10の4乗個/mL)40Lに水40Lを混合し、これにOG社の焼酎粕の原液40Lを投入し、10分間かくはんして、凝集分離液を作製した。
栗原鉄工株式会社に設置してある豆腐用の回転濾過器一体型スクリュープレス型圧搾装置にこの凝集分離液を投入した。豆腐の場合と同様に、スクリュープレス型圧搾装置で圧搾後に、回転濾過器で濾過した。
運転条件は、スクリュープレス型圧搾装置として、スクリュー回転数90rpm、圧搾スクリーンの細孔200μmであり、回転濾過器として分離フィルタードラムの長さ800mm、ドラム径350mm、ステンレス分離フィルター#100、回転数14rpmである。
固形分として繊維物質が絡まりながら吐出し、しばらくすると、吐出部から煙りが発生した。回収した液体は投入時の凝集分離液と変わらなかった。この回収した液体を、120メッシュの布袋式フィルターにて濾したところ、3kg程度のこしあん状態の固形物が回収できた
このことから、凝集分離されているものの、スクリュー搾り機の孔直径が200μmでは大きすぎて、繊維質以外の固形物は回収できないことがわかった。
【実施例10】
【0111】
培養佐藤菌(10の8乗個/L)500mLに水80Lを混合し、これにOG社の焼酎粕の原液40Lを投入し、10分間撹拌して、凝集分離液を作製した。
栗原鉄工株式会社に設置してあるスクリュープレス型圧搾装置のみを用い、その圧搾スクリーンの細孔の直径を120μmとし、スクリュー回転数90rpmで搾った。
繊維質以外の固形物の回収もでき、回収した液体を120メッシュの布袋式フィルターにて濾した結果、固形物はわずかであった。固液分離することができた。しかし、処理能力が大幅に低下し、その他の問題も残した。
【実施例11】
【0112】
凝集分離液として実施例10と同様のものを用いた。
スクリュープレス型圧搾装置で搾る前に、回転濾過器で粗い濾別をする手順とした。回転濾過器の分離フィルターメッシュを#120とした。螺旋しきり板の高さ30mm、ドラム径350mm、長さ800mm、回転数14rpmで行った。スクリュープレス型圧搾装置の圧搾スクリーンの細孔120μm、スクリュー回転数90rpmで搾った。
固液分離は上手くいったが、終わり頃、吐出が脈動し、詰まった。
回転濾過器にもいくつかの問題点を見出した。改良して実験した。実施例9である。
【0113】
装置内部の改良した点は、回転濾過器について、次の通りである。
1.分離フィルタードラム114の半径D1を200mmと大きくした。
2.分離フィルタードラム114の長さLを1000mmと長くした。
3.分離フィルタードラム114の回転軸の中心線を水平から4.2度上向きに傾けた。
4.分離フィルタードラム114のフィルターをステンレスフィルターとし、メッシュ番手を#120上げた。
5.螺旋しきり板119の高さ(D1−D2)を50mmと高くした。
6.回転数を42rpmと早くした。
【0114】
スクリュープレス型圧搾装置についての改良点は、次の通りである。
1.ノズル形状を平行から三角錐状にし、ノズル開口部をへちま状にして大きくした。
2.流体の滞留部の溜まり止めの処理を施した。
3.圧縮バネの圧縮力の範囲を拡げた。
【実施例12】
【0115】
凝集分離及ぼす光合成細菌の濃度と分離時間の影響を実施した。まず菌体数の異なる培養佐藤菌処理水を作成した。
1.培養佐藤菌処理水
1−a. 1.8Lペットボトルを14個用意し、それぞれ計量する。
1−b. 培養佐藤菌を160g、1.8Lペットボトルに入れ、水を加えて1600gとする。
1−c. bから400gを別の1.8Lペットボトルに入れ、これに水を加えて1600gとする。
1−d. cから400gを別の1.8Lペットボトルに入れ、これに水を加えて1600gとする。
1−e. dから400gを別の1.8Lペットボトルに入れ、これに水を加えて1600gとする。
1−f. eから400gを別の1.8Lペットボトルに入れ、これに水を加えて1600gとする。
1−g. fから400gを別の1.8Lペットボトルに入れ、これに水を加えて1600gとする。
1−h. gから400gを別の1.8Lペットボトルに入れ、これに水を加えて1600gとする。
1−j. hから400gを別の1.8Lペットボトルに入れ、これに水を加えて1600gとする。
1−k. jから400gを別の1.8Lペットボトルに入れ、これに水を加えて1600gとする。
1−l. kから400gを別の1.8Lペットボトルに入れ、これに水を加えて1600gとする。
1−m. lから400gを別の1.8Lペットボトルに入れ、これに水を加えて1600gとする。
1−n. nから400gを別の1.8Lペットボトルに入れ、これに水を加えて1600gとする。
1−o. mから400gを別の1.8Lペットボトルに入れ、これに水を加えて1600gとする。
1−p. oから400gを別の1.8Lペットボトルに入れ、これに水を加えて1600gとする。
得られた培養佐藤菌処理水の光合成細菌数を表6に示した。
【0116】
【表6】

【0117】
次に、遠心分離器を用いて凝集分離の実験をした。用いた遠心分離器は、遠心分離器用の容器(カプセルという)を8本セットできるものである。
2−a.1−bの2Lペットボトルに焼酎粕400gを入れ、3分間振盪攪拌し、直ちにカプセルに入れる。
2−b.1−dの2Lペットボトルに焼酎粕400gを入れ、3分間振盪攪拌し、直ちにカプセルに入れる。
2−c.1−fの2Lペットボトルに焼酎粕400gを入れ、3分間振盪攪拌し、直ちにカプセルに入れる。
2−d.1−hの2Lペットボトルに焼酎粕400gを入れ、3分間振盪攪拌し、直ちにカプセルに入れる。
2−e.1−kの2Lペットボトルに焼酎粕400gを入れ、3分間振盪攪拌し、直ちにカプセルに入れる。
【0118】
2−f.2−a〜2−eと焼酎粕の1ロットを遠心分離器に入れて、回転数3000rpm、1min固液分離操作をする。
2−g.2−a〜2−eと焼酎粕の1ロットを遠心分離器に入れて、回転数3000rpm、3min固液分離操作をする。
2−h.2−a〜2−eと焼酎粕の1ロットを遠心分離器に入れて、回転数3000rpm、5min固液分離操作をする。
2−j.2−a〜2−eと焼酎粕の1ロットを遠心分離器に入れて、回転数3000rpm、10min固液分離操作をする。
【0119】
2−k.1−lの2Lペットボトルに焼酎粕400gを入れ、3分間攪拌し、直ちにカプセルに入れる。
2−l.1−mの2Lペットボトルに焼酎粕400gを入れ、3分間攪拌し、直ちにカプセルに入れる。
2−m.1−nの2Lペットボトルに焼酎粕400gを入れ、3分間攪拌し、直ちにカプセルに入れる。
2−n.1−oの2Lペットボトルに焼酎粕400gを入れ、3分間攪拌し、直ちにカプセルに入れる。
2−o.1−pの2Lペットボトルに焼酎粕400gを入れ、3分間攪拌し、直ちにカプセルに入れる。
2−s 別に水1200gを入れた2Lペットボトルに焼酎粕400gを入れ、3分間振盪攪拌し、直ちにカプセルに入れる。
【0120】
2−u.2−l〜2−sと焼酎粕の1ロットを遠心分離器に入れて、回転数3000rpm、1min固液分離操作をする。
2−v.2−l〜2−sと焼酎粕の1ロットを遠心分離器に入れて、回転数3000rpm、3min固液分離操作をする。
2−w.2−l〜2−sと焼酎粕の1ロットを遠心分離器に入れて、回転数3000rpm、5min固液分離操作をする。
2−x.2−l〜2−sと焼酎粕の1ロットを遠心分離器に入れて、回転数3000rpm、10min固液分離操作をする。
【0121】
振盪撹拌後12時間経過した時点のペットボトル中の沈殿高さを1−b〜1−pについて測定した。結果を表6に示す。このときのペットボトル中の上澄液のpHも併せて測定し、結果を表6に示す。
【0122】
酒類粕の原液を計量したアルミホイルケース(住軽アルミ箔株式会社製)に100g採取し、プレートヒーターを100度Cに設定して、プレートに載せて、乾燥した。重量を測定すると18.07gであった。風袋13.05gであったから酒類粕の原液中の固形分は5.02gであり、5.02wt%であることが分かった。
同様の測定方法により、1−b、d、f、h、kについて固形物の量を測定した。結果を表7に示す。いずれもほぼ5wt%であった。
【0123】
【表7】

【0124】
遠心分離器による固液分離したカプセルの固形物の高さを測り、その状態を観察した。
結果を表8に示す。酒類粕の原液が44〜50mmの高さで、固形分はカプセルの底に沈殿はするが半固形状で少しの振動でも舞い上がる。上澄み液も少し濁っていた。
2−b、d、f、h、kは遠心分離後固形分がカプセルの底に固着し、液体分をこぼしてもカプセルの底に固まった状態で残った。
2−l、m、n、o、p、源、源/4は遠心分離後、固形分はカプセルの底に沈殿はするが半固形状で少しの振動でも舞い上がる。
これらの結果から、酒類粕の原液は、水で希釈すると分離されやすくなり、光合成細菌などの微生物を含むと凝集分離することがわかる。しかも3分間という短時間の振盪撹拌で容易に凝集分離することがわかる。菌体数10の−3乗個/mg以下でも短時間の凝集分離を生じることがわかる。
菌体数個10の−1乗個/mgオーダー(1−o,p)では、水の4倍希釈とわずかに相違するだけあり、固形物のもやもやにヌメリがあるように見えた。
希釈して得た光合成細菌処理水(10の2乗〜10の12乗個/mL)を用いても、短時間で凝集分離することが分かった。
【0125】
【表8】

【0126】
分離液の残分を撹拌し、600mLを採取して遠心分離器により固液分離した液のBODを測定した。4500〜4900ppmであった。遠心分離器により微少の粒子が取り除かれ、BODが低下することが分かった。
【実施例13】
【0127】
培養佐藤菌に替えて耐アルカリ性耐アルカリ性光合成細菌を用いた以外、実施例12と同様な実験を行った。
いずれの濃度の光合成細菌(紅色非硫黄細菌、耐アルカリ性でバクテリアクロロフィルaとノイロスポレンを有する光合成細菌(Rhodopseudomos)、耐アルカリ性でクロロフィルaおよびβカロチンを有すラン色細菌(Synechococcus))を用いても、短時間で凝集分離することが分かった。
【実施例14】
【0128】
芋焼酎会社OG社から、芋焼酎粕の原液を200L入手する。これから100gを採取し、乾燥機90〜110度にて乾燥した。直ちに250g秤を用いて、重量を測定し、3.90gと4.05gの結果を得た。この焼酎粕の固形物の含有率は3.98wt%である。
同時混合攪拌による焼酎粕の凝集分離、固液分離の実験図を図14に示す。焼酎粕の原液貯槽に定量ポンプP1を、培養佐藤菌処理水槽に定量ポンプP2を接続し、配管を接合した直後に水車羽根により撹拌できる混合パイプを接続し、出口を回転濾過器の回転ドラムに差し込む。出口に滞留配管を施し、この滞留時間を2分以内に設定した。水圧により水車羽根が回転し、撹拌するので、その回転数は200rpm以下であった。50倍希釈の培養佐藤菌処理水と焼酎粕との混合比を3:1となるように設定した。
【0129】
回転濾過器に8.5L/minの流速で投入した。
回転濾過器の濾過条件は、回転数42rpm、150と120メッシュステンレスフィルターとの組み合わせ、回転軸の傾きθ=4.2、螺旋しきり板119の高さ50mm、螺旋ピッチ150mmである。焼酎粕の原液がなくなるまで運転した。
凝集分離液を、分離フィルターで濾過しながら、分離フィルタードラムを回転する。液状物を螺旋しきり板に沿ってせり上げていく。2分間以内で、水分を完全に濾過しないドロドロした状態である半固形物を半固形物受タンクに貯蔵する。10分後に、半固形物を半固形物用ポンプにてスクリュープレス型圧搾装置の投入ホッパーに投入した。間歇的に20分間運転した。スクリュープレス型圧搾装置の運転条件は、スクリュー回転数90rpm、圧搾スクリーンの細孔径120μmである。
【0130】
固形物を固形物受け容器に貯めた。直ちに、固形物を計量し、3.172Kgを得た。このサンプルを200gづつ採取し、これを乾燥機90〜110度にて乾燥した。乾燥した固形物は54.72gと55.18gあった。固形物含有量はそれぞれ27.36wt%と27.59wt%であった。スクリュープレス型圧搾装置からの吐出固形物は0.871Kgと算出された。回転濾過器のタンク内、スクリュープレス型圧搾装置シリンダー内のものを集めた残分固形重量は8.669Kgであった。このサンプルを300gづつ採取し乾燥後固形物重量を測定し、固形物含有量はそれぞれ3.14wt%と2.92wt%であった。固形物は0.263Kgと算出した。
固液分離した搾り液を搾り液受けタンクに貯蔵した。搾り液投入ポンプにて、回転濾過器Aに再投入した。
分離液のpHは、4.94であった。分離液の高さ260mmに対して、12hr後の沈殿高さ23mmであった。分離液のBODは3800ppmであった。
同時混合攪拌することで、5分間以内で凝集分離し、その後数分間で固液分離することができた。以上の検討結果を表9に示す。
【0131】
【表9】

【実施例15】
【0132】
実施例13で得られた分離液をミキシング工程により処理した。
〔テスト1〕
50倍希釈の培養佐藤菌処理水25Lを500Lポリ槽に入れ、3000rpmの回転数の攪拌機を用いて、空気を巻き込みながら、撹拌した。これに688gの分離液を10分間隔で投入し、水温とpHを測定した。結果を表5に示す。pHの処理時間変化を図15に示す。10分間でpHが回復し、80分の撹拌、分離液5.5Lの投入してもpHの低下は少なかった。このミキシング分離液のBODは650ppmであった。
このミキシング分離液を遠心分離器により固液分離した。カプセルに入れた状態と遠心分離した後の状態を図16に示す。ミキシングしたミキシング分離液は分離液よりも濁度が低く、遠心分離したのちはかなり透明である。分離液は微少粒子が浮遊しており、濁度が高く、遠心分離しても薄茶色をしている。分離した固形物の量もミキシング工程を経ると大幅に減少することが分かる。遠心分離した上澄み液のBODは610ppmであった。
分離液を5.5L投入後に180分3000rpmで撹拌し続けた。BODは620ppmであった。
【実施例16】
【0133】
〔テスト2〕
回転数を2000rpmにする以外は実施例14と同様に実験した。結果を表10に、pHの処理時間変化を図15に示す。
【0134】
【表10】

【実施例17】
【0135】
〔テスト3〕
分離液688gを連続で10分投入して、温度とpHを測定し、引き続きこれを繰り返すこと以外は、実施例15と同様にした。結果を表11に、pHの処理時間変化を図11に示す。
〔テスト4〕
さらに、ハロゲンランプを照射しながら同様な実験をした。
結果を表11に、pHの処理時間変化を図11に示す。
【実施例18】
【0136】
〔テスト5〕
回転数を2000rpmにし、分離液5.5Lを一括投入し、10分毎に温度とpHを測定した。結果を表11に、pHの処理時間変化を図11に示す。
【0137】
【表11】

【0138】
〔比較例4〕
1700ccの水に34ccの培養佐藤菌をベースにする(50倍に希釈)処理水に焼酎粕1H分をまとめて48ccを注入し撹拌した。5分毎にpHを測定した。
50倍希釈の培養佐藤菌処理水に焼酎粕4ccを5分毎に滴下し攪拌し、5分毎にpHを測定した。このときの培養佐藤菌のpH=7.90、50倍希釈の培養佐藤菌処理水のpH=7.29であった。
結果を表12に、pHの処理時間変化を図12に示す。ミキシング工程の処理をしないと、pHは低下と続け、一括投入すると回復に長時間を要することがわかる。
【0139】
【表12】

【実施例19】
【0140】
同時混合攪拌装置としてシーレックスポンプ(エレポン化工機(株)製 シールレスポンプ SLー40N)を用いた実験の概略図を図13に示す。
安全のために40Lタンクと調整バルブを取り付けた。定量ポンプ、タンク、シーレックスポンプ、調整バルブを経由して回転濾過器に投入するまでの時間は1分以内であった。焼酎粕500Kgを搬入し、焼酎粕貯蔵槽に蓄えた。50倍希釈の培養佐藤菌処理水を作成し、培養佐藤菌処理水槽に蓄えた。定量ポンプにより50倍希釈の培養佐藤菌処理水と焼酎粕との混合比が5:1になるように設定した。シーレックスポンプの回転数を1000,2000,3000,3490,4000,5000rpmに設定して凝集分離した。
いずれも凝集分離し、回転濾過器による固液分離をすることができた。
【実施例20】
【0141】
本願発明の酒類粕の分解処理システムの分解処理槽の一例を正面図として図14、側面図として図15に示す。気泡回収槽と、回転ドラムとを有した分解処理槽から構成される。曝気装置は分解の促進に結うようである。接触分解活性炭は光合成細菌の住み処として効果を発揮する。これらは必要に応じて構成すればよい。
正面図中で、攪拌機(11)から送り出された水流(51)は、水中接触分解活性炭(15)と接触し水流(53)の様に上方向に流れる。水中に混入した空気は気泡となって水面上に浮き上がり、水流(55)の流れと共に気泡回収槽(19)へ水位高さの低い槽内(57)へと入る。ポンプ吸い上げ口(35)からポンプ(33)へと吸い上げられ、送水パイプ(37)へと送り込まれ、ドラム内放水口(39)から回転ドラム(13)内へと放水される。液体は分離フィルタードラム(71)を抜け、接触分解活性炭(17)へと流れ、気泡及び気泡と共に回収された固形分は、螺旋しきり板(73)にてドラム内を送り出され、固形排出口(75)から排出される。液体は接触分解活性炭(17)を通って、ドラム排出口(77)から水槽内へと戻り循環する。
【0142】
50倍希釈の培養佐藤菌処理水と酒類粕のミキシング分離液(BOD=740ppmと680ppm)を3:1の混合比で20Lの分解処理槽に挿入し、分解浄化処理した。
曝気しながら処理すると、BOD=740ppmのミキシング分離液が、24H後にBODが89ppmに、48H後に18ppmに低下した。そのときのpHの変化を表13に示し、変化のグラフを図16に示す。処理されてpH値が高くなっていることからも分解浄化されていることが分かる。
【0143】
【表13】


曝気しない場合は、BOD=680ppmのミキシング分離液が、24H後にBODが110ppmに、40H後に26ppmに低下した。そのときのpHの変化を表14に示す。
24時間以内に放流許容値の160ppmに処理できることが分かる。
【0144】
【表14】

【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】酒類粕の固液分離処理基本フロー図である。
【図2】回転濾過器Aとスクリュープレス型圧搾装置Bとを連設した固液分離装置の構成概略図の平面図である。
【図3】連設した固液分離装置の構成概略図の側面図である。
【図4】連設した固液分離装置の構成概略図の正面図である。
【図5】分離フィルタードラムの改良したポイントを示した図である。
【図6】スクリュープレス型圧搾装置の改良したポイントを示した図である。
【0146】
【図7】酒類粕の固液分離フロー図である。
【図8】同時混合攪拌装置が混合パイプの図である。
【図9】ミキシング工程のpHの変化をしめすグラフである。
【図10】遠心分離器により固液分離をする前(A)と後(B)の液の状態である。
【図11】連続、一括投入によるpHの変化を示すグラフである。
【図12】低撹拌で分離液を滴下したときのpHの変化を示すグラフである。
【図13】同時混合攪拌装置がシーレックスポンプの図である。
【図14】分解浄化装置の正面図である。
【図15】分解浄化装置の側面図である。
【図16】pHの変化のグラフ
【符号の説明】
【0147】
111 投入口
113 液体排出口
115 半固形物排出口
117 分離フィルタードラム
119 螺旋しきり板
121 液体受タンク
123 半固形受タンク
125 回転モーター
127 回転濾過器カバー
129 逆流防止兼ローラー受
131 半固形物シューター
311 投入ホッパー
313 スクリュープレス
314 分離液受け皿
315 搾り粕排出口
317 スクリュープレスモーター
319 搾り調整ハンドル
351 圧搾スクリーン
353 スクリュー軸
355 スクリュー羽根
371 ノズル
373 ノズル口
375 排出部
377 ノズル受けメタル
379 軸受けメタル
391 圧縮バネ
511 排出ポンプ
513 半固形ポンプ
515 搾り液排出配管
517 半固形配送管
519 液体配送管
521 液体配送口
523 搾り液受タンク
525 搾り液投入ポンプ
711 溜まり止め
713 埋め込み
715 三角錐状にしたノズル孔
【0148】
11 攪拌機
13 回転ドラム
15 水中接触分解活性炭
17 接触分解活性炭
19 気泡回収槽
31 ドラムモーター
33 ポンプ
35 ポンプ吸い上げ口
37 送水パイプ
39 ドラム内放水口
71 分離フィルタードラム
73 螺旋しきり板
75 半固形物シューター
77 液体排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光合成細菌(10の4乗〜10の13乗個/mL)を水で希釈し、希釈して得た光合成細菌処理水(10の3乗〜10の12乗個/mL)に対して焼酎粕50vol%未満1vol%以上を混合し、攪拌し、5時間以内で凝集分離を生じせしめて凝集分離液とし、これを固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離方法。
【請求項2】
光合成細菌(10の4乗〜10の13乗個/mL)を水で希釈し、希釈して得た光合成細菌処理水(10の2乗〜10の12乗個/mL)に対して酒類粕75vol%以下1vol%以上を同時混合し、10分以内で、攪拌しながら凝集分離を生じせしめて凝集分離液とし、これを固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離方法。
【請求項3】
前記の凝集分離を生じせしめた凝集分離液を、固液分離装置を用いて、固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離方法。
【請求項4】
請求項3に記載の固液分離装置が、フィルターメッシュ#100〜#350の単体又はそれらを組み合わせて構成した分離フィルターを持つ回転濾過器と、圧搾スクリーンの細孔径50〜150μmであるスクリュープレス型圧搾装置とを連設することを特徴とする固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離方法。
【請求項5】
請求項3に記載の固液分離装置が、フィルターメッシュ#100〜#350の単体又はそれらを組み合わせて構成した分離フィルターを持つ回転濾過器と連続遠心分離装置と連設することを特徴とする固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離方法。
【請求項6】
請求項3に記載の固液分離装置が、フィルターメッシュ#100〜#350の単体又はそれらを組み合わせて構成した分離フィルターを持つ回転濾過器と、圧搾スクリーンの細孔径50〜150μmであるスクリュープレス型圧搾装置とを連設し、さらに連続遠心分離装置と連設することを特徴とする固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離方法。
【請求項7】
請求項3に記載の固液分離装置が、液体ベントスクリューフィーダ付きスクリュープレス型圧搾装置であることを特徴とする固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離方法。
【請求項8】
請求項3に記載の固液分離装置が、液体ベントスクリューフィーダ付きスクリュープレス型圧搾装置と連続遠心分離装置と連設することを特徴とする固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離方法。
【請求項9】
希釈して得た光合成細菌処理水(10の2乗〜10の12乗個/mL)に対して請求項1から請求項8のいずれかにより得られた分離液75vol%以下1vol%以上を、回転数1000〜5000rpmの攪拌機を用いて、空気を取り込みながら激しく撹拌し、pHが6.0以下に下がらないまで投入するミキシング工程を経て、連続遠心分離することを特徴とする固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離方法。
【請求項10】
希釈して得た光合成細菌処理水(10の2乗〜10の12乗個/mL)に対して請求項1から請求項8のいずれかにより得られた分離液75vol%以下1vol%以上を、回転数1000〜5000rpmの攪拌機を用いて、空気を激しく取り込みながら撹拌し、波長400〜700nmを主として含む光線を照射しながら、pHが6.0以下に下がらないまで投入するミキシング工程を経て、連続遠心分離することを特徴とする固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離方法。
【請求項11】
光合成細菌が紅色光合成細菌及び/又はラン色細菌(Synechococcus)である請求項1から請求項10のいずれかに記載の酒類粕の固液分離方法。
【請求項12】
紅色光合成細菌が紅色非硫黄細菌である請求項11に記載の酒類粕の固液分離方法。
【請求項13】
前記の光合成細菌処理水に共生菌株を含む培養液を菌数で50%以下混合した混合菌を用いることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれかに記載の酒類粕の固液分離方法。
【請求項14】
前記共生菌株がバチルス菌(Bacillus)、乳酸菌、アルコール酵母、ビール酵母、パン酵母、酒酵母、葡萄酒酵母、ストレプトコックス(Streptcoccus)、スタフイロコックス(Staphylococcus)、クリプトコックス(Cryptcoccus)、ハンセニュラ(Hansenula)、サッカロマイセス(soccharomyces)、シゾサッカロマイシス(sehisosaccharomyces)、トルロプシス(Torulopsis)から選ばれた少なくとも一つであることを特徴とする請求項13に記載の酒類粕の固液分離方法。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれかに記載の方法により得られた分離液と培養した光合成細菌とを混合した混合処理水に対して焼酎粕75vol%以下1vol%以上を混合及び/又は同時混合し、5時間以内で、攪拌しながら凝集分離を生じせしめて凝集分離液とし、これを固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離方法。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれかに記載の方法により得られた分離液を紫外線照射して光合成細菌以外の細菌を滅菌した分離液(滅菌分離液ともいう)に対して、あるいはこの滅菌分離液と培養した光合成細菌とを混合した混合処理水に対して焼酎粕75vol%以下1vol%以上を同時混合し、5時間以内で、攪拌しながら凝集分離を生じせしめて凝集分離液とし、これを固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離方法。
【請求項17】
同時混合攪拌装置と、フィルターメッシュ#100〜#350の単体又はそれらを組み合わせて構成した分離フィルターを持つ回転濾過器と、圧搾スクリーンの細孔径50〜150μmであるスクリュープレス型圧搾装置とを連設することを特徴とする固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離装置。
【請求項18】
同時混合攪拌装置と、メッシュ#100〜#350の単体又はそれらを組み合わせて構成した分離フィルターを持つ回転濾過器と、連続遠心分離装置とを連設することを特徴とする固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離装置。
【請求項19】
同時混合攪拌装置と、液体ベントスクリューフィーダ付きスクリュープレス型圧搾装置と、連続遠心分離装置とを連設することを特徴とする固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離装置。
【請求項20】
請求項17から請求項19のいずれかに記載の酒類粕の固液分離装置に、ミキシング装置を連設することを特徴とする固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離装置。
【請求項21】
培養した光合成細菌(10の4乗〜10の13乗個/mL)を用いて酒類粕を請求項1から請求項16のいずれかに記載の分離液をミキシングし、連続遠心分離装置でさらに固液分離したミキシング分離液を、微生物により酒類粕を分解浄化処理する方法。
【請求項22】
気泡回収槽と、回転ドラムとを有した分解処理槽から構成されることを特徴とする分解浄化処理する分解浄化処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−178864(P2008−178864A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298914(P2007−298914)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(304045457)サンコーテック株式会社 (5)
【Fターム(参考)】