酵素の分離精製方法
【課題】 酵素を高純度かつ短時間に精製する方法の発明を提供する。
【解決手段】 コイル状カラムの公転軸と自転軸とが略直角をなした交軸型の高速向流クロマトグラフ装置を用いて酵素を分離精製することを特徴とする酵素の分離精製方法。
【解決手段】 コイル状カラムの公転軸と自転軸とが略直角をなした交軸型の高速向流クロマトグラフ装置を用いて酵素を分離精製することを特徴とする酵素の分離精製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速向流クロマトグラフ装置を用いて試料溶液から酵素の分離精製を行う方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な高速向流クロマトグラフ装置が提案され、様々な物質が分離精製されている。高速向流クロマトグラフ装置では固定相と移動相とに液体を使用することができ、試料を無駄にすることなく目的の物質を分離精製することができるという利点がある。
【0003】
高速向流クロマトグラフ装置は、試料溶液から効率良くその試料物質を分離するため、固定相となる溶媒と移動相となる溶媒との間の分配係数の差を利用して試料溶液から試料物質を分離する。向流クロマトグラフ装置は、固定相となる溶媒及び移動相となる溶媒とが導入されるチューブ(以降、フローチューブという)が螺旋状に巻き重ねられたコイル状カラムを有し、コイル状カラムは、カラムにおけるフローチューブの巻き重ね方向が公転軸に対して略平行をなすタイプのものや、カラムにおけるフローチューブの巻き重ね方向が、コイル状カラムの外部の公転軸に対して略垂直をなす、いわゆる交軸型の高速向流クロマトグラフ装置(特許文献1参照)がある。いずれのタイプの向流クロマトグラフ装置においても、コイル状カラムは、コイル状カラム外部の公転軸の周りを公転しながら、コイル状カラムの螺旋の内側を直通する自転軸線を中心に自転する。これにより、固定相としてコイル状カラム内に導入された溶媒がカラム内に保持され、コイル状カラムの作動後、コイル状カラム内に導入された試料溶液から固定相として導入された溶媒と移動相として導入された溶媒とのうちのいずれかに試料物質が溶出されていた。
【特許文献1】特開2006−064533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、各種蛋白質、ペプチド、酵素、DNA、RNAなどの核酸類などの生体関連物質について、不純物をなるべく含まないように高純度の精製が効率よく実行できることが以前から求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような要求に対して本発明者らは鋭意検討を重ね、その結果、交軸型の高速向流クロマトグラフ装置を利用することにより、酵素について短時間で高純度の精製が可能であることを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は、コイル状カラムの公転軸と自転軸とが略直角をなした交軸型の高速向流クロマトグラフ装置を用いて酵素を分離精製することを特徴とする酵素の分離精製方法である。
前記コイル状カラムに導入される溶媒としては、例えば水性二相溶媒が挙げられ、前記水性二相溶媒としては、例えばポリエチレングリコール溶媒及びリン酸系溶媒が挙げられる。さらに、本発明において精製の対象となる酵素は、リボヌクレアーゼが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、酵素(特にリボヌクレアーゼ)や生理活性ペプチドを短時間かつ高純度に精製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、交向流クロマトグラフィーにより酵素(特にリボヌクレアーゼ)を分離精製する方法に関するものである。リボヌクレアーゼを精製するには何段階もの精製工程を経る必要があり、最終生成物を得るまでに時間を要し、収率も低くなる。これに対し、本発明の方法を用いれば、市販品であってもより高純度に精製することができるようになる。
【0009】
本発明においては、コイル状カラムの公転軸と自転軸とが略直角をなした交軸型の高速向流クロマトグラフ装置として、特開2006-64533号公報に記載のカラム保持機構及びクロマトグラフ装置を用いて酵素を精製することができる。カラム保持機構及びクロマトグラフ装置は特開2006-64533号公報の図1〜11及びその説明記載(明細書、図面の簡単な説明等)を参照することができる。
本発明において分離対象となる物質は、酵素や生理活性タンパク質が挙げられる。酵素としては、生理活性を有するもの(酵素、ペプチド等)である限り、特に限定されるものではないが、リボヌクレアーゼが好ましい。
【0010】
本発明において使用されるクロマトグラフ装置を供えた分離システムを以下に示す。
図1に示すように、分離システム2は、水系等の二相溶媒を構成する上下層のいずれか一方の層(移動相)を供給する溶媒供給源4、溶媒供給源4からの移動相溶媒や酵素を含有する試料溶液を送り出すためのポンプ6、ポンプ6から送り出された試料溶液に含まれる酵素を分離する交軸型高速向流クロマトグラフ装置8(特開2006-64533号公報)、高速向流クロマトグラフ装置8からの分離された酵素を分取するフラクションコレクタ10などから構成される。
【0011】
溶媒供給源4とポンプ6とは、例えばホースよって接続され、ポンプ6と高速向流クロマトグラフ装置8とは送液チューブ(図示省略)によって接続されている。溶媒供給源4から移動相溶媒がポンプ6に送られ、ポンプ6によってクロマトグラフ装置8に移動相溶媒が液送される。高速向流クロマトグラフ装置8内へ送られた移動相溶媒は、コイル状カラムに導入される。コイル状カラムに導入された試料溶液中の酵素は、例えば、固定相と移動相との間で分配、分離され、移動相溶媒と共に溶出する。コイル状カラムから移動相溶媒と共に排出される酵素は排液チューブを介してフラクションコレクタ10に送られて分取され、吸光度等の測定に供される。
【0012】
上記のような構成から、高速向流クロマトグラフ装置8は、二相溶媒系の上層または下層の一方の液層を固定相としてコイル状カラム内に保持し、下層または上層の他方の液層を移動相として送液して試料溶液から酵素の分離を行うことができる。なお、この分離システム2は、両溶媒を全て回収できるほか、順相/逆相、分析/分取の切り替えも容易であるという利点も持つ。
【0013】
コイル状カラムを形成するチューブの材質としては、塩化ビニール、ポリエチレン、テフロン(登録商標)(以降、PTFEという)、ステンレスなど、チューブ状であって螺旋状に成型できる素材であれば特に問題なく用いることができる。このうち好適な例としては、内径0.5〜3mmのPTFEチューブを挙げることができる。送液ポンプはロータリー型、ペリスタ型など液体の送液に用いることのできるものであれば問題なく用いることができる。コイル状カラムに二相溶媒のどちらか一方を送液し、チューブを満たして固定相とする。そして、コイル状カラムを公転させつつ自転させ、固定相を保持する。このときの回転数(コイル状カラムの公転数および自転数)は0rpm〜3000rpmに設定することができる。好適な例としては、コイル状カラムの公転数および自転数は0rpm〜2000rpmであり、さらに好ましくは800rpm〜1000rpmに設定することができる。
【0014】
分析する試料を二相溶媒に溶解させたサンプルをコイル状カラムに導入し、二相溶媒の固定相に用いなかった他の相を移動相として送液する。移動相の送液速度は特に制限されないが、概ね作製したコイル状カラムの総容量の1/100程度、即ち0.1〜1.0ml/分に設定することが好ましく、0.8〜1.0ml/分がより好ましい。溶出する移動相は各種適当な分析装置で分析することができる。この分析装置としては、分光光度計、UV検出装置、ダイオードアレイ検出装置、IR検出装置、蛍光検出装置などを用いることができる。
【0015】
本発明の高速向流クロマトグラフ装置に用いる二相溶媒は、混合した際に二層に分離するものであればよく、試料物質に合わせて適宜選択することができる。二相溶媒としては、例えば、ポリエチレングリコール−リン酸塩水溶液やポリエチレングリコール−デキストラン系溶媒の水性二相溶媒があり、ポリエチレングリコール−デキストラン系溶媒には、ポリエチレングリコール、デキストラン、フィコール等のうちの少なくともいずれか1つが混合されて調製される。その他にも、水とブタノールなどのアルコールを混合して得られる液体、水と酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類を混合して得られる液体、水とt−ブチルメチルエーテルなどのエーテル類を混合して得られる液体などを溶媒として用いることができる。さらに、上記の二相溶媒を相互に混和した液体、さらに酢酸、アセトニトリル、無機金属塩水溶液などを添加することもできる。上記に挙げた溶媒のうち、酵素の変性を防止できる点で、水性二相溶媒が特に好ましい。
【0016】
コイル状カラムから排出される移動相は溶出時間毎に分画し、例えば逆相TLC、順相TLC、逆相HPLC、順相HPLC、GPC、アフィニティークロマトグラフィ、MS、LC-MS、TOF-MS、SDS-PAGEなどで分析を行うことによって、さらに詳細な分離、分析を行うこともできる。
【0017】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、実施例により本発明は何等制限されるものではない。
<概要>
小型交軸型CCC装置を用いた水性二相溶媒による各種リボヌクレアーゼ(RNase)の分離・精製法の開発を行った。まず、市販RNaseの分離を検討した結果、12.5%(w/w)ポリエチレングリコール(PEG)1000−12.5%(w/w)K2HPO4(溶媒系I)の上層を固定相、下層を移動相とすると、RNase BとRNase A(Sigma社製Type XII-A)が分離できた(分離度R s=1.1)。
次に16.0%(w/w) PEG 1000−6.3%(w/w)K2HPO4−6.3%(w/w)KH2PO4(溶媒系II)の下層を固定相、上層を移動相として市販各種RNase Aの分離・精製を検討した結果、Sigma社製Type IA-Sは共存物質とRNase Aに分離した(R s=1.9)。UV280 nm検出でのType IA-Sの純度は69.3%で、活性は維持され、SDS-PAGEでも単一バンドとして検出された。Sigma社製Type I-Aの純度は88.0%、Sigma社製Type III-Aと他2社(ナカライ及び和光純薬)製RNase Aは、UV280 nmでは単一ピークであったが、SDS-PAGEによりピーク溶出直後に共存物質の分離が確認された。Sigma社製Type XII-Aは共存物質の存在が認められなかった。
更に、大腸菌に発現させたシイタケ由来Recombinant RNase Po1の精製への応用を検討した結果、溶媒系I、II共に共存物質との分離が達成され、特に溶媒系IIはより短時間で高純度の精製が可能であった。
以下、上記概要の詳細を説明する。
【実施例1】
【0018】
精製対象のリボヌクレアーゼとして、市販のSigma社製リボヌクレアーゼを使用した。水性二相溶媒として、12.5%(w/w)ポリエチレングリコール(PEG)1000-12.5%(w/w)K2HPO4の上層を固定相、下層を移動相として実験を行なった。コイル状カラムは、内径(ID )1.5mm、(長さ57.8m)、容量102mLとした。コイル状カラムは1000rpmで回転させた。移動相は、流速が0.8ml/minとなるように送液した。
[結果]
図2に示される吸光度曲線が得られた。糖を含まず疎水性を備えたリボヌクレアーゼAと、N−結合型グリカンを含み親水性を備えたリボヌクレアーゼBとが分離した。分離度Rsは1.1であった。共存物質の存在は認められなかった。
【実施例2】
【0019】
精製対象のリボヌクレアーゼAとして、Sigma社製Type I-Aを使用した。水性二相溶媒として、16.0%(w/w)ポリエチレングリコール(PEG)1000-6.3%(w/w)K2HPO4-6.3%(w/w)KH2PO4の下層を固定相、上層を移動相として実験を行なった。コイル状カラムは、ID 1.5mm、(長さ57.8m)、容量102 mLとした。コイル状カラムは1000rpmで回転させた。移動相は、流速が0.8ml/minとなるように送液した。
【0020】
[結果]
図3に示される吸光度曲線が得られた。Sigma社製Type I-Aの純度は88.0%であった。SDS-PAGEの泳動像から共存物質の分離が確認された(図4左上パネル)。SDS-PAGEの結果によれば、精製前の酵素(IAのレーン)はバンドが2つ現れていた。これに対し、フラクション番号74〜90において単一のバンドが得られた(図4)。
【実施例3】
【0021】
精製対象のリボヌクレアーゼAとして、Sigma社製Type III-Aを使用した。水性二相溶媒として、16.0%(w/w)ポリエチレングリコール(PEG)1000-6.3%(w/w)K2HPO4-6.3%(w/w)KH2PO4の下層を固定相、上層を移動相として実験を行なった。コイル状カラムは、ID 1.5mm、(長さ57.8m)、容量102mLとした。コイル状カラムは1000rpmで回転させた。移動相は、流速が0.8ml/minとなるように送液した。
【0022】
[結果]
図5に示される吸光度曲線(単一のピーク)が得られた。また、SDS-PAGEの泳動像から共存物質の分離が確認された(図4、右上パネル)。図4より、精製前は2つのバンドが現れているのに対し、精製後(フラクション番号72〜92)では単一のバンドが得られた。
【実施例4】
【0023】
精製対象のリボヌクレアーゼAとして、Sigma社製Type XII-Aを使用した。水性二相溶媒として、16.0%(w/w)ポリエチレングリコール(PEG)1000-6.3%(w/w)K2HPO4-6.3%(w/w)KH2PO4を使用し、このうち下層を固定相とし、上層を移動相とした。コイル状カラムは、ID 1.5mm、(長さ57.8m)、容量102mLとした。コイル状カラムは1000rpmで回転させた。移動相は、流速が0.8ml/minとなるように送液した。
【0024】
[結果]
図6に示される吸光度曲線(単一のピーク)が得られた。また、SDS-PAGEの泳動像でいずれの画分も単一のバンドとして検出された(図4、左下パネル)。図4より、Type XII-Aは高純度に精製されていることが確認された。
【実施例5】
【0025】
精製対象のリボヌクレアーゼAとして、Sigma社製Type IA-Sを使用した。水性二相溶媒として、16.0%(w/w)ポリエチレングリコール(PEG)-6.3%(w/w)K2HPO4-6.3%(w/w)KH2PO4を使用し、このうち下層を固定相とし、上層を移動相とした。コイル状カラムは、ID 1.5mm、(長さ57.8m)、容量102mLとした。コイル状カラムは1000rpmで回転させた。移動相は、流速が0.8ml/minとなるように送液した。
【0026】
[結果]
図7に示されるように、リボヌクレアーゼ(RNase)Aと共存物質とが分離した。分離度Rsは1.9であった。UV280nmの吸光度から、Sigma社製Type IA-Sの純度は69.3%であったが、共存物質の画分に活性はなく、RNase A画分では活性は維持されていた。また、SDS-PAGEの泳動像から多数の共存物質が確認された(図4、右下パネル)。図4より、フラクション番号77-82では高純度に精製されていることが確認された。
【実施例6】
【0027】
精製対象のリボヌクレアーゼAとして、Wako社製を使用した。水性二相溶媒として、16.0 %(w/w)ポリエチレングリコール(PEG)1000-6.3%(w/w)K2HPO4-6.3%(w/w)KH2PO4の下層を固定相、上層を移動相として実験を行なった。コイル状カラムは、ID1.5mm、(長さ57.8m)、容量102mLとした。コイル状カラムは1000rpmで回転させた。移動相は、流速が0.8ml/minとなるように送液した。
【0028】
[結果]
図8に示される吸光度曲線が得られた。また、SDS-PAGEの泳動像から共存物質の分離が確認された(図9、左パネル)。精製後(フラクション番号72〜87)では単一のバンドが得られた(図9)。
【実施例7】
【0029】
精製対象のリボヌクレアーゼAとして、ナカライ社製を使用した。水性二相溶媒として、16.0%(w/w)ポリエチレングリコール(PEG)1000-6.3%(w/w)K2HPO4-6.3%(w/w)KH2PO4の下層を固定相、上層を移動相として実験を行なった。コイル状カラムは、ID 1.5mm、(長さ57.8m)、容量102mLとした。コイル状カラムは1000rpmで回転させた。移動相は、流速が0.8ml/minとなるように送液した。
【0030】
[結果]
図10に示される吸光度曲線(単一のピーク)が得られた。SDS-PAGEの泳動像から共存物質の分離が確認された(図9、右パネル)。精製後(フラクション番号70〜80)では単一のバンドが得られた。
【実施例8】
【0031】
精製対象のリボヌクレアーゼとして、大腸菌に発現させたヒラタケ由来リボヌクレアーゼ(T1タイプPO1)を使用した。水性二相溶媒として、16.0%(w/w)ポリエチレングリコール(PEG)1000-6.3%(w/w)K2HPO4-6.3%(w/w)KH2PO4、及び12.5%(w/w)ポリエチレングリコール(PEG)-12.5%(w/w)K2HPO4の両方を使用してそれぞれ実験を行なった。コイル状カラムは、ID 1.5mm、(長さ57.8m)、容量102mLとした。コイル状カラムは1000rpmで回転させた。移動相は、流速が0.8ml/minとなるように送液した。
【0032】
[結果]
図11には16.0%(w/w)ポリエチレングリコール(PEG)1000-6.3%(w/w)K2HPO4-6.3%(w/w)KH2PO4の上層を固定相、下層を移動相に用いて得られた吸光度曲線を示す。その結果、ヒラタケ由来リボヌクレアーゼ(T1タイフ゜PO1)と共存物質とが分離した。特に、水性二相溶媒として、16.0%(w/w)ポリエチレングリコール(PEG)1000-6.3%(w/w)K2HPO4-6.3%(w/w)KH2PO4を使用した場合は、12.5%(w/w)ポリエチレングリコール(PEG)-12.5%(w/w)K2HPO4を使用した場合に比べてより短時間で高純度の精製ができた。さらに、SDS-PAGEの結果、フラクション番号183〜269番において単一のバンドが得られた(図12)。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】酵素を分離精製するシステムの概略的な全体図である。
【図2】リボヌクレアーゼA(Sigma社製Type XII-A)及びリボヌクレアーゼB(Sigma社製)の分離結果を示す図(280nm吸光度曲線)である。
【図3】Sigma社製Type I-Aの精製結果を示す図(280nm吸光度曲線)である。
【図4】SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)の結果を示す図である。
【図5】Sigma社製Type III-Aの精製結果を示す図(280nm吸光度曲線)である。
【図6】Sigma社製Type XII-Aの精製結果を示す図(280nm吸光度曲線)である。
【図7】Sigma社製Type IA-Sの精製結果を示す図(280nm吸光度曲線)である。
【図8】Wako社製(Sigma社製Type III-Aに相当)の精製結果を示す図(280nm吸光度曲線)である。
【図9】SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)の結果を示す図である。
【図10】ナカライ社製リボヌクレアーゼA(Sigma社製Type III-Aに相当)の精製結果を示す図(280nm吸光度曲線)である。
【図11】大腸菌で発現されたヒラタケ由来リボヌクレアーゼ(T1タイプPO1)の精製結果を示す図(280nm吸光度曲線)である。
【図12】SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)の結果を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
2 分離システム
4 溶媒供給源
6 ポンプ
8 高速向流クロマトグラフ装置
10 フラクションコレクタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速向流クロマトグラフ装置を用いて試料溶液から酵素の分離精製を行う方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な高速向流クロマトグラフ装置が提案され、様々な物質が分離精製されている。高速向流クロマトグラフ装置では固定相と移動相とに液体を使用することができ、試料を無駄にすることなく目的の物質を分離精製することができるという利点がある。
【0003】
高速向流クロマトグラフ装置は、試料溶液から効率良くその試料物質を分離するため、固定相となる溶媒と移動相となる溶媒との間の分配係数の差を利用して試料溶液から試料物質を分離する。向流クロマトグラフ装置は、固定相となる溶媒及び移動相となる溶媒とが導入されるチューブ(以降、フローチューブという)が螺旋状に巻き重ねられたコイル状カラムを有し、コイル状カラムは、カラムにおけるフローチューブの巻き重ね方向が公転軸に対して略平行をなすタイプのものや、カラムにおけるフローチューブの巻き重ね方向が、コイル状カラムの外部の公転軸に対して略垂直をなす、いわゆる交軸型の高速向流クロマトグラフ装置(特許文献1参照)がある。いずれのタイプの向流クロマトグラフ装置においても、コイル状カラムは、コイル状カラム外部の公転軸の周りを公転しながら、コイル状カラムの螺旋の内側を直通する自転軸線を中心に自転する。これにより、固定相としてコイル状カラム内に導入された溶媒がカラム内に保持され、コイル状カラムの作動後、コイル状カラム内に導入された試料溶液から固定相として導入された溶媒と移動相として導入された溶媒とのうちのいずれかに試料物質が溶出されていた。
【特許文献1】特開2006−064533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、各種蛋白質、ペプチド、酵素、DNA、RNAなどの核酸類などの生体関連物質について、不純物をなるべく含まないように高純度の精製が効率よく実行できることが以前から求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような要求に対して本発明者らは鋭意検討を重ね、その結果、交軸型の高速向流クロマトグラフ装置を利用することにより、酵素について短時間で高純度の精製が可能であることを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は、コイル状カラムの公転軸と自転軸とが略直角をなした交軸型の高速向流クロマトグラフ装置を用いて酵素を分離精製することを特徴とする酵素の分離精製方法である。
前記コイル状カラムに導入される溶媒としては、例えば水性二相溶媒が挙げられ、前記水性二相溶媒としては、例えばポリエチレングリコール溶媒及びリン酸系溶媒が挙げられる。さらに、本発明において精製の対象となる酵素は、リボヌクレアーゼが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、酵素(特にリボヌクレアーゼ)や生理活性ペプチドを短時間かつ高純度に精製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、交向流クロマトグラフィーにより酵素(特にリボヌクレアーゼ)を分離精製する方法に関するものである。リボヌクレアーゼを精製するには何段階もの精製工程を経る必要があり、最終生成物を得るまでに時間を要し、収率も低くなる。これに対し、本発明の方法を用いれば、市販品であってもより高純度に精製することができるようになる。
【0009】
本発明においては、コイル状カラムの公転軸と自転軸とが略直角をなした交軸型の高速向流クロマトグラフ装置として、特開2006-64533号公報に記載のカラム保持機構及びクロマトグラフ装置を用いて酵素を精製することができる。カラム保持機構及びクロマトグラフ装置は特開2006-64533号公報の図1〜11及びその説明記載(明細書、図面の簡単な説明等)を参照することができる。
本発明において分離対象となる物質は、酵素や生理活性タンパク質が挙げられる。酵素としては、生理活性を有するもの(酵素、ペプチド等)である限り、特に限定されるものではないが、リボヌクレアーゼが好ましい。
【0010】
本発明において使用されるクロマトグラフ装置を供えた分離システムを以下に示す。
図1に示すように、分離システム2は、水系等の二相溶媒を構成する上下層のいずれか一方の層(移動相)を供給する溶媒供給源4、溶媒供給源4からの移動相溶媒や酵素を含有する試料溶液を送り出すためのポンプ6、ポンプ6から送り出された試料溶液に含まれる酵素を分離する交軸型高速向流クロマトグラフ装置8(特開2006-64533号公報)、高速向流クロマトグラフ装置8からの分離された酵素を分取するフラクションコレクタ10などから構成される。
【0011】
溶媒供給源4とポンプ6とは、例えばホースよって接続され、ポンプ6と高速向流クロマトグラフ装置8とは送液チューブ(図示省略)によって接続されている。溶媒供給源4から移動相溶媒がポンプ6に送られ、ポンプ6によってクロマトグラフ装置8に移動相溶媒が液送される。高速向流クロマトグラフ装置8内へ送られた移動相溶媒は、コイル状カラムに導入される。コイル状カラムに導入された試料溶液中の酵素は、例えば、固定相と移動相との間で分配、分離され、移動相溶媒と共に溶出する。コイル状カラムから移動相溶媒と共に排出される酵素は排液チューブを介してフラクションコレクタ10に送られて分取され、吸光度等の測定に供される。
【0012】
上記のような構成から、高速向流クロマトグラフ装置8は、二相溶媒系の上層または下層の一方の液層を固定相としてコイル状カラム内に保持し、下層または上層の他方の液層を移動相として送液して試料溶液から酵素の分離を行うことができる。なお、この分離システム2は、両溶媒を全て回収できるほか、順相/逆相、分析/分取の切り替えも容易であるという利点も持つ。
【0013】
コイル状カラムを形成するチューブの材質としては、塩化ビニール、ポリエチレン、テフロン(登録商標)(以降、PTFEという)、ステンレスなど、チューブ状であって螺旋状に成型できる素材であれば特に問題なく用いることができる。このうち好適な例としては、内径0.5〜3mmのPTFEチューブを挙げることができる。送液ポンプはロータリー型、ペリスタ型など液体の送液に用いることのできるものであれば問題なく用いることができる。コイル状カラムに二相溶媒のどちらか一方を送液し、チューブを満たして固定相とする。そして、コイル状カラムを公転させつつ自転させ、固定相を保持する。このときの回転数(コイル状カラムの公転数および自転数)は0rpm〜3000rpmに設定することができる。好適な例としては、コイル状カラムの公転数および自転数は0rpm〜2000rpmであり、さらに好ましくは800rpm〜1000rpmに設定することができる。
【0014】
分析する試料を二相溶媒に溶解させたサンプルをコイル状カラムに導入し、二相溶媒の固定相に用いなかった他の相を移動相として送液する。移動相の送液速度は特に制限されないが、概ね作製したコイル状カラムの総容量の1/100程度、即ち0.1〜1.0ml/分に設定することが好ましく、0.8〜1.0ml/分がより好ましい。溶出する移動相は各種適当な分析装置で分析することができる。この分析装置としては、分光光度計、UV検出装置、ダイオードアレイ検出装置、IR検出装置、蛍光検出装置などを用いることができる。
【0015】
本発明の高速向流クロマトグラフ装置に用いる二相溶媒は、混合した際に二層に分離するものであればよく、試料物質に合わせて適宜選択することができる。二相溶媒としては、例えば、ポリエチレングリコール−リン酸塩水溶液やポリエチレングリコール−デキストラン系溶媒の水性二相溶媒があり、ポリエチレングリコール−デキストラン系溶媒には、ポリエチレングリコール、デキストラン、フィコール等のうちの少なくともいずれか1つが混合されて調製される。その他にも、水とブタノールなどのアルコールを混合して得られる液体、水と酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類を混合して得られる液体、水とt−ブチルメチルエーテルなどのエーテル類を混合して得られる液体などを溶媒として用いることができる。さらに、上記の二相溶媒を相互に混和した液体、さらに酢酸、アセトニトリル、無機金属塩水溶液などを添加することもできる。上記に挙げた溶媒のうち、酵素の変性を防止できる点で、水性二相溶媒が特に好ましい。
【0016】
コイル状カラムから排出される移動相は溶出時間毎に分画し、例えば逆相TLC、順相TLC、逆相HPLC、順相HPLC、GPC、アフィニティークロマトグラフィ、MS、LC-MS、TOF-MS、SDS-PAGEなどで分析を行うことによって、さらに詳細な分離、分析を行うこともできる。
【0017】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、実施例により本発明は何等制限されるものではない。
<概要>
小型交軸型CCC装置を用いた水性二相溶媒による各種リボヌクレアーゼ(RNase)の分離・精製法の開発を行った。まず、市販RNaseの分離を検討した結果、12.5%(w/w)ポリエチレングリコール(PEG)1000−12.5%(w/w)K2HPO4(溶媒系I)の上層を固定相、下層を移動相とすると、RNase BとRNase A(Sigma社製Type XII-A)が分離できた(分離度R s=1.1)。
次に16.0%(w/w) PEG 1000−6.3%(w/w)K2HPO4−6.3%(w/w)KH2PO4(溶媒系II)の下層を固定相、上層を移動相として市販各種RNase Aの分離・精製を検討した結果、Sigma社製Type IA-Sは共存物質とRNase Aに分離した(R s=1.9)。UV280 nm検出でのType IA-Sの純度は69.3%で、活性は維持され、SDS-PAGEでも単一バンドとして検出された。Sigma社製Type I-Aの純度は88.0%、Sigma社製Type III-Aと他2社(ナカライ及び和光純薬)製RNase Aは、UV280 nmでは単一ピークであったが、SDS-PAGEによりピーク溶出直後に共存物質の分離が確認された。Sigma社製Type XII-Aは共存物質の存在が認められなかった。
更に、大腸菌に発現させたシイタケ由来Recombinant RNase Po1の精製への応用を検討した結果、溶媒系I、II共に共存物質との分離が達成され、特に溶媒系IIはより短時間で高純度の精製が可能であった。
以下、上記概要の詳細を説明する。
【実施例1】
【0018】
精製対象のリボヌクレアーゼとして、市販のSigma社製リボヌクレアーゼを使用した。水性二相溶媒として、12.5%(w/w)ポリエチレングリコール(PEG)1000-12.5%(w/w)K2HPO4の上層を固定相、下層を移動相として実験を行なった。コイル状カラムは、内径(ID )1.5mm、(長さ57.8m)、容量102mLとした。コイル状カラムは1000rpmで回転させた。移動相は、流速が0.8ml/minとなるように送液した。
[結果]
図2に示される吸光度曲線が得られた。糖を含まず疎水性を備えたリボヌクレアーゼAと、N−結合型グリカンを含み親水性を備えたリボヌクレアーゼBとが分離した。分離度Rsは1.1であった。共存物質の存在は認められなかった。
【実施例2】
【0019】
精製対象のリボヌクレアーゼAとして、Sigma社製Type I-Aを使用した。水性二相溶媒として、16.0%(w/w)ポリエチレングリコール(PEG)1000-6.3%(w/w)K2HPO4-6.3%(w/w)KH2PO4の下層を固定相、上層を移動相として実験を行なった。コイル状カラムは、ID 1.5mm、(長さ57.8m)、容量102 mLとした。コイル状カラムは1000rpmで回転させた。移動相は、流速が0.8ml/minとなるように送液した。
【0020】
[結果]
図3に示される吸光度曲線が得られた。Sigma社製Type I-Aの純度は88.0%であった。SDS-PAGEの泳動像から共存物質の分離が確認された(図4左上パネル)。SDS-PAGEの結果によれば、精製前の酵素(IAのレーン)はバンドが2つ現れていた。これに対し、フラクション番号74〜90において単一のバンドが得られた(図4)。
【実施例3】
【0021】
精製対象のリボヌクレアーゼAとして、Sigma社製Type III-Aを使用した。水性二相溶媒として、16.0%(w/w)ポリエチレングリコール(PEG)1000-6.3%(w/w)K2HPO4-6.3%(w/w)KH2PO4の下層を固定相、上層を移動相として実験を行なった。コイル状カラムは、ID 1.5mm、(長さ57.8m)、容量102mLとした。コイル状カラムは1000rpmで回転させた。移動相は、流速が0.8ml/minとなるように送液した。
【0022】
[結果]
図5に示される吸光度曲線(単一のピーク)が得られた。また、SDS-PAGEの泳動像から共存物質の分離が確認された(図4、右上パネル)。図4より、精製前は2つのバンドが現れているのに対し、精製後(フラクション番号72〜92)では単一のバンドが得られた。
【実施例4】
【0023】
精製対象のリボヌクレアーゼAとして、Sigma社製Type XII-Aを使用した。水性二相溶媒として、16.0%(w/w)ポリエチレングリコール(PEG)1000-6.3%(w/w)K2HPO4-6.3%(w/w)KH2PO4を使用し、このうち下層を固定相とし、上層を移動相とした。コイル状カラムは、ID 1.5mm、(長さ57.8m)、容量102mLとした。コイル状カラムは1000rpmで回転させた。移動相は、流速が0.8ml/minとなるように送液した。
【0024】
[結果]
図6に示される吸光度曲線(単一のピーク)が得られた。また、SDS-PAGEの泳動像でいずれの画分も単一のバンドとして検出された(図4、左下パネル)。図4より、Type XII-Aは高純度に精製されていることが確認された。
【実施例5】
【0025】
精製対象のリボヌクレアーゼAとして、Sigma社製Type IA-Sを使用した。水性二相溶媒として、16.0%(w/w)ポリエチレングリコール(PEG)-6.3%(w/w)K2HPO4-6.3%(w/w)KH2PO4を使用し、このうち下層を固定相とし、上層を移動相とした。コイル状カラムは、ID 1.5mm、(長さ57.8m)、容量102mLとした。コイル状カラムは1000rpmで回転させた。移動相は、流速が0.8ml/minとなるように送液した。
【0026】
[結果]
図7に示されるように、リボヌクレアーゼ(RNase)Aと共存物質とが分離した。分離度Rsは1.9であった。UV280nmの吸光度から、Sigma社製Type IA-Sの純度は69.3%であったが、共存物質の画分に活性はなく、RNase A画分では活性は維持されていた。また、SDS-PAGEの泳動像から多数の共存物質が確認された(図4、右下パネル)。図4より、フラクション番号77-82では高純度に精製されていることが確認された。
【実施例6】
【0027】
精製対象のリボヌクレアーゼAとして、Wako社製を使用した。水性二相溶媒として、16.0 %(w/w)ポリエチレングリコール(PEG)1000-6.3%(w/w)K2HPO4-6.3%(w/w)KH2PO4の下層を固定相、上層を移動相として実験を行なった。コイル状カラムは、ID1.5mm、(長さ57.8m)、容量102mLとした。コイル状カラムは1000rpmで回転させた。移動相は、流速が0.8ml/minとなるように送液した。
【0028】
[結果]
図8に示される吸光度曲線が得られた。また、SDS-PAGEの泳動像から共存物質の分離が確認された(図9、左パネル)。精製後(フラクション番号72〜87)では単一のバンドが得られた(図9)。
【実施例7】
【0029】
精製対象のリボヌクレアーゼAとして、ナカライ社製を使用した。水性二相溶媒として、16.0%(w/w)ポリエチレングリコール(PEG)1000-6.3%(w/w)K2HPO4-6.3%(w/w)KH2PO4の下層を固定相、上層を移動相として実験を行なった。コイル状カラムは、ID 1.5mm、(長さ57.8m)、容量102mLとした。コイル状カラムは1000rpmで回転させた。移動相は、流速が0.8ml/minとなるように送液した。
【0030】
[結果]
図10に示される吸光度曲線(単一のピーク)が得られた。SDS-PAGEの泳動像から共存物質の分離が確認された(図9、右パネル)。精製後(フラクション番号70〜80)では単一のバンドが得られた。
【実施例8】
【0031】
精製対象のリボヌクレアーゼとして、大腸菌に発現させたヒラタケ由来リボヌクレアーゼ(T1タイプPO1)を使用した。水性二相溶媒として、16.0%(w/w)ポリエチレングリコール(PEG)1000-6.3%(w/w)K2HPO4-6.3%(w/w)KH2PO4、及び12.5%(w/w)ポリエチレングリコール(PEG)-12.5%(w/w)K2HPO4の両方を使用してそれぞれ実験を行なった。コイル状カラムは、ID 1.5mm、(長さ57.8m)、容量102mLとした。コイル状カラムは1000rpmで回転させた。移動相は、流速が0.8ml/minとなるように送液した。
【0032】
[結果]
図11には16.0%(w/w)ポリエチレングリコール(PEG)1000-6.3%(w/w)K2HPO4-6.3%(w/w)KH2PO4の上層を固定相、下層を移動相に用いて得られた吸光度曲線を示す。その結果、ヒラタケ由来リボヌクレアーゼ(T1タイフ゜PO1)と共存物質とが分離した。特に、水性二相溶媒として、16.0%(w/w)ポリエチレングリコール(PEG)1000-6.3%(w/w)K2HPO4-6.3%(w/w)KH2PO4を使用した場合は、12.5%(w/w)ポリエチレングリコール(PEG)-12.5%(w/w)K2HPO4を使用した場合に比べてより短時間で高純度の精製ができた。さらに、SDS-PAGEの結果、フラクション番号183〜269番において単一のバンドが得られた(図12)。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】酵素を分離精製するシステムの概略的な全体図である。
【図2】リボヌクレアーゼA(Sigma社製Type XII-A)及びリボヌクレアーゼB(Sigma社製)の分離結果を示す図(280nm吸光度曲線)である。
【図3】Sigma社製Type I-Aの精製結果を示す図(280nm吸光度曲線)である。
【図4】SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)の結果を示す図である。
【図5】Sigma社製Type III-Aの精製結果を示す図(280nm吸光度曲線)である。
【図6】Sigma社製Type XII-Aの精製結果を示す図(280nm吸光度曲線)である。
【図7】Sigma社製Type IA-Sの精製結果を示す図(280nm吸光度曲線)である。
【図8】Wako社製(Sigma社製Type III-Aに相当)の精製結果を示す図(280nm吸光度曲線)である。
【図9】SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)の結果を示す図である。
【図10】ナカライ社製リボヌクレアーゼA(Sigma社製Type III-Aに相当)の精製結果を示す図(280nm吸光度曲線)である。
【図11】大腸菌で発現されたヒラタケ由来リボヌクレアーゼ(T1タイプPO1)の精製結果を示す図(280nm吸光度曲線)である。
【図12】SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)の結果を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
2 分離システム
4 溶媒供給源
6 ポンプ
8 高速向流クロマトグラフ装置
10 フラクションコレクタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル状カラムの公転軸と自転軸とが略直角をなした交軸型の高速向流クロマトグラフ装置を用いて酵素を分離精製することを特徴とする酵素の分離精製方法。
【請求項2】
前記コイル状カラムに導入される溶媒が水性二相溶媒である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記水性二相溶媒が、ポリエチレングリコール溶媒及びリン酸系溶媒である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記酵素がリボヌクレアーゼである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項1】
コイル状カラムの公転軸と自転軸とが略直角をなした交軸型の高速向流クロマトグラフ装置を用いて酵素を分離精製することを特徴とする酵素の分離精製方法。
【請求項2】
前記コイル状カラムに導入される溶媒が水性二相溶媒である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記水性二相溶媒が、ポリエチレングリコール溶媒及びリン酸系溶媒である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記酵素がリボヌクレアーゼである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−198218(P2009−198218A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37753(P2008−37753)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(899000057)学校法人日本大学 (650)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(899000057)学校法人日本大学 (650)
[ Back to top ]