説明

酸性液状調味料及びその製造方法

【課題】柑橘類果皮及び/又は香味野菜と、増粘材とが配合された低オイルタイプの酸性液状調味料であって、製造後の保存期間によらず、柑橘類果皮及び/又は香味野菜の良好な香りを有する低オイルタイプの酸性液状調味料及びその製造方法を提供する。
【解決手段】柑橘類果皮及び/又は香味野菜と、増粘材とが配合され、粘度が10〜1000mPa・sである食用油脂配合量5%以下又は食用油脂無配合の酸性液状調味料であって、柑橘類果皮由来及び/又は香味野菜由来の香気成分を含む水分散性香料と、柑橘類果皮及び/又は香味野菜とともに水系媒体中で60〜95℃に加熱されたゴマとが配合されている酸性液状調味料及びその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柑橘類果皮及び/又は香味野菜と、増粘材とが配合された低オイルタイプ又はノンオイルタイプの酸性液状調味料であって、製造後の保存期間によらず、柑橘類果皮及び/又は香味野菜の良好な香りを有する酸性液状調味料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
主に生野菜等のサラダに利用されるドレッシングは、食酢や調味料等で味付けされた水相原料にサラダ油等の油相原料を加えたもので、様々な風味のものが市販されている。例えば、バジル等の香味野菜や柚子等の柑橘類果皮を配合してさわやかな香りを付与したドレッシング等が市販されている。
【0003】
一方、近年の低カロリー指向に対応して、食用油脂の配合量を減らした低オイルタイプのドレッシングや、食用油脂を配合しないノンオイルタイプのドレッシングが市販されるようになっている。これらの低オイルタイプ又はノンオイルタイプの酸性液状調味料は、食用油脂配合量を減らしたことにより、生野菜等の食材と和えた際に食材表面に保持され難くなっているため、それを補うことを目的として、通常、増粘材が配合されて適度な粘性が付与されている。
【0004】
しかしながら、このような低オイルタイプ又はノンオイルタイプの酸性液状調味料として、上述した柑橘類果皮や香味野菜を配合した製品を製造した場合、得られた製品を保存後に喫食しても、柑橘類果皮や香味野菜の香りが弱いという問題があった。一般的に、香気成分は、時間の経過とともに分解、揮散などの変化を起こしやすく不安定であり、その安定した保持には香気成分を保持する溶媒や担体の種類等が影響を与えることが知られている。また、食品を咀嚼中に良好な香りを感じるためには、当該食品のフレーバーリリースがよいことが必要であり、一般的に増粘材は食品のフレーバーリリースを低下させることが知られている。このようなことから、柑橘類果皮や香味野菜を配合した低オイルタイプ又はノンオイルタイプの酸性液状調味料においては、食用油脂配合量が少ない又は無配合であることや、食用油脂の代わりに配合された増粘材の影響等が複合的に関与して、製品保存後に喫食した際に柑橘類果皮や香味野菜の香りが弱いという問題が生じていると考えられる。
【0005】
柑橘類の香りの増強に関しては、特開2009−203438(特許文献1)には、(E)−6−ノネナールを有効成分とする柑橘香味増強剤が、特開2008−79557(特許文献2)には、特定の化学式によって示される(−)−4β,10α−アロマデンドランジオール添加した香料組成物がそれぞれ提案されている。しかしながら、これらの合成香料を単に上述した低オイルタイプ又はノンオイルタイプの酸性液状調味料に配合しても、これらの香りは、製品保存中に経時的に減少していく傾向があり、また、柑橘類果皮の香りのバランスが崩れて良好な香りが得られないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−203438号公報
【特許文献2】特開2008−79557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、柑橘類果皮及び/又は香味野菜と、増粘材とが配合された低オイルタイプ又はノンオイルタイプの酸性液状調味料であって、製造後の保存期間によらず、柑橘類果皮及び/又は香味野菜の良好な香りを有する酸性液状調味料及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、増粘材を配合した低オイルタイプ又はノンオイルタイプの酸性液状調味料において、柑橘類果皮や香味野菜の不安定な香りを安定して保持するために必要な担体の種類や、喫食時に良好なフレーバーリリースを得る方法に着目して鋭意研究を行った結果、柑橘類果皮及び/又は香味野菜の香気成分を特定の処理によりゴマに移行させ、当該香気成分を保持したゴマを配合すること、更に、柑橘類果皮由来及び/又は香味野菜由来の香気成分を含む水分散性香料を配合することの2つの方法を併用するならば、意外にも、製造後の保存期間によらず柑橘類果皮及び/又は香味野菜の良好な香りを有する酸性液状調味料が得られることを見出し、遂に本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)、柑橘類果皮及び/又は香味野菜と、増粘材とが配合され、粘度が10〜1000mPa・sである食用油脂配合量5%以下又は食用油脂無配合の酸性液状調味料であって、柑橘類果皮由来及び/又は香味野菜由来の香気成分を含む水分散性香料と、柑橘類果皮及び/又は香味野菜とともに水系媒体中で60〜95℃に加熱されたゴマとが配合されている酸性液状調味料、
(2)、柑橘類果皮及び/又は香味野菜の合計配合量100部(生換算)に対して、前記水分散性香料が0.01〜300部、前記ゴマが2〜2000部配合されている(1)記載の酸性液状調味料、
(3)、柑橘類果皮及び/又は香味野菜と、増粘材とが配合され、粘度が10〜1000mPa・sである食用油脂配合量5%以下又は食用油脂無配合の酸性液状調味料の製造方法であって、ゴマを柑橘類果皮及び/又は香味野菜とともに水系媒体中で60〜95℃に加熱した後、該加熱したゴマと、柑橘類果皮由来及び/又は香味野菜由来の香気成分を含む水分散性香料とを混合する酸性液状調味料の製造方法、
(4)、柑橘類果皮及び/又は香味野菜とともに水系媒体中で加熱したゴマを品温0〜50℃に冷却した後、該品温0〜50℃のゴマと、柑橘類果皮由来及び/又は香味野菜由来の香気成分を含む水分散性香料とを混合する(3)記載の酸性液状調味料の製造方法、
である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、増粘材が配合された低オイルタイプ又はノンオイルタイプの酸性液状調味料でありながら、製造後の保存期間によらず、柑橘類果皮や香味野菜の良好な香りを有する酸性液状調味料を提供できる。したがって、近年の低カロリー製品に対する需要の増加にともなって、低オイルタイプ又はノンオイルタイプの酸性液状調味料の更なる市場の拡大が期待される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の酸性液状調味料及びその製造方法を詳述する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
【0012】
本発明は、食用油脂配合量が5%以下又は食用油脂が無配合の低オイルタイプ又はノンオイルタイプの酸性液状調味料である。ここで、前記食用油脂とは、トリアシルグリセロール又はジアシルグリセロールを主成分とする脂質のことである。前記食用油脂としては、従来の酸性液状調味料で使用される種々の食用油脂であれば特に制限は無く、具体的には、例えば、菜種油、大豆油、コーン油、サフラワー油、ひまわり油、綿実油、ごま油、こめ油、パーム油、パームオレイン、オリーブ油、落花生油、やし油、しそ油、牛脂、ラード、魚油等の動植物油又はこれらの精製油、MCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、エステル交換油等のような化学的あるいは酵素処理等を施して得られる油脂等の1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0013】
また、酸性液状調味料とは、食酢、柑橘類果汁、有機酸等の酸材を配合したpHが4.6以下の液状調味料のことであり、このような酸性液状調味料としては、具体的には、例えば、乳化液状ドレッシング、分離液状ドレッシング、あるいは、食用油脂を原材料として配合していないドレッシングタイプ調味料、更には、食酢や柑橘類果汁等を配合した種々のソース、たれ等が挙げられる。
【0014】
前記本発明の酸性液状調味料は、増粘材が配合され、粘度が10〜1000mPa・s、好ましくは50〜700mPa・sである。増粘材が配合され前記特定範囲に粘度が調整されていることにより、本発明の酸性液状調味料は、低オイルタイプ又はノンオイルタイプでありながら、野菜、茹卵等のサラダ食材を和えた際にこれら食材表面に保持されやすくなる。
【0015】
前記増粘材としては、一般的に酸性液状調味料で使用される増粘材であれば特に制限は無く、例えば、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、米澱粉等の澱粉、これらの澱粉にα化、架橋等の処理を施した加工澱粉、及び湿熱処理を施した澱粉等の澱粉類、キサンタンガム、グアーガム、カラギーナン、タマリンドシードガム、ジェランガム、アラビアガム等のガム質、並びにペクチン等の1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これら増粘材の中でも、製品において柑橘類果皮や香味野菜の良好な香りが得られやすい点から、ガム質、特に、キサンタンガム及び/又はグアーガムを用いることが好ましい。
【0016】
前記増粘材の配合量は、使用する増粘材の種類にもよるが、上述の粘度を達成する点から好ましくは0.01〜5%、より好ましくは0.05〜3%である。なお、前記酸性液状調味料の粘度は、目開き2mmのフルイにより具材を取り除いた液状調味料を試料とし、BH形粘度計で、品温20℃、回転数20rpmの条件で、粘度が375mPa・s未満のときローターNo.1、375mPa・s以上のときローターNo.2を使用し、測定開始後ローターが3回転した時の示度により求めた値である。また、本発明の酸性液状調味料が分離液状ドレッシングである場合の粘度に関し、当該分離液状ドレッシングは、食用油脂配合量が5%以下であるため、振とうして一次乳化しても乳化前後で粘度があまり変わらないことから、本発明においては、水相の粘度を測定しこれを酸性液状調味料の粘度とする。
【0017】
上述した本発明の酸性液状調味料には、柑橘類果皮及び/又は香味野菜が配合されている。これにより、酸性液状調味料に前記柑橘類果皮及び/又は香味野菜のさわやかな香りを付与することができる。
【0018】
前記本発明で用いる柑橘類果皮とは、柑橘類果実の果皮であり、例えば、ユズ、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、ライム、スダチ、カボス等の果皮が挙げられる。なお、本発明においては、果肉が付着した果皮を用いてもよいが、前記果皮とは果皮の部分を意味する。一方、前記香味野菜とは、調味料に香味を付与することができる野菜をいい、具体的には、例えば、ネギ、リーキ、シソ、ミツバ、ショウガ、ミョウガ、パセリ、バジル、レモングラス、フェンネル、ニンニク、セロリ、ワサビ等が挙げられる。これら香味野菜のうち、ショウガ及びニンニクは後述する特定の処理により特にゴマに香りが移行しやすく、これにより製造後の保存期間によらず大変さわやかな香りを有する酸性液状調味料が得られやすく好ましい。
【0019】
これら柑橘類果皮や香味野菜を食品に添加する際の形態は、特に制限は無いが、液状食品に柑橘類果皮や香味野菜の風味を付与しやすい点から、大きさが好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下の細片状物を用いることが好ましい。細片状物としては、例えば、截断、粉砕、すりおろし等の処理により得られたものが挙げられる。
【0020】
前記柑橘類果皮及び/又は香味野菜の配合量としては、用いる柑橘類果皮や香味野菜の種類にもよるが、さわやかな香りを適度に酸性液状調味料に付与する点から、前記柑橘類果皮及び/又は香味野菜の合計配合量は、製品に対して、生換算で、好ましくは0.5〜20%、より好ましくは1〜15%である。
【0021】
前記柑橘類果皮及び/又は香味野菜が配合された本発明の酸性液状調味料は、更に、以下に説明する「柑橘類果皮由来及び/又は香味野菜由来の成分を含む水分散性香料」と、「柑橘類果皮及び/又は香味野菜とともに水系媒体中で品温60〜95℃に加熱されたゴマ」とが配合されていることを特徴とする。本発明の低オイルタイプの酸性液状調味料は、これらの両方が配合されていることにより、増粘材が配合された低オイルタイプ又はノンオイルタイプの酸性液状調味料でありながら、製造後の保存期間によらず柑橘類果皮や香味野菜の良好な香りを有するものとなる。
【0022】
まず、「柑橘類果皮由来及び/又は香味野菜由来の成分を含む水分散性香料」について説明する。柑橘類果皮由来及び/又は香味野菜由来の香気成分とは、柑橘類果皮及び/又は香味野菜から分離された香気成分であり、その分離方法等に特に制限は無く、具体的には、例えば、柑橘類果皮及び/又は香味野菜から、常法により、抽出、蒸留等により分離されたアブソリュート、エキストラクト、オレオレジン等の抽出物、精油等である。また、前記香気成分を含む水分散性香料とは、当該香料を水中に略均一に分散できる香料であって、具体的には、例えば、前記香気成分のうち水溶性の成分を含む水溶性香料や、前記香気成分のうち油溶性の成分を乳化剤等により乳化状態とした乳化香料等が挙げられる。
【0023】
本発明の酸性液状調味料は、前記水分散性香料が配合されており、その結果、増粘材により適度な粘性が付与された酸性液状調味料の水溶液中に、柑橘類果皮及び/又は香味野菜の香気成分が略均一に分散した状態となっている。
【0024】
次に、「柑橘類果皮及び/又は香味野菜とともに水系媒体中で品温60〜95℃に加熱されたゴマ」について説明する。前記処理に用いるゴマとしては、その種類や産地は限定されるものではく、通常の白ゴマ、金ゴマ、黒ゴマ等を用いることができる。また、これらゴマの形態としては、特に制限はないが、香味野菜や柑橘類果皮の香りをゴマ特有の香りにより損ない難いことから、ホールのゴマ、切りゴマ、すりゴマを用いるのが好ましく、特に、ホールのゴマを用いるのが好ましい。ペースト状に磨砕処理されたいわゆる練りゴマを用いると、香味野菜や柑橘類果皮の香りをゴマ特有の香りにより損ないやすく好ましくない。
【0025】
前記処理に用いる柑橘類果皮及び/又は香味野菜としては、香味野菜や柑橘類果皮の香りをゴマに付与しやすい点から、截断、粉砕、すりおろし等の処理により得られた大きさが好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下の細片状物を用いることが好ましい。
【0026】
また、上述したゴマと、柑橘類果皮及び/又は香味野菜とを浸漬させる水系媒体としては、特に制限は無く、例えば、清水の他に、醤油、ブイヨン、増粘材等が配合された水溶液等であってもよい。水系媒体の水含量は、後述する加熱処理時に香味野菜や柑橘類果皮の香りをゴマに付与しやすい点から、好ましくは70〜100%、より好ましくは80〜100%である。
【0027】
ゴマを柑橘類果皮及び/又は香味野菜とともに水系媒体中に浸漬する際の水系媒体の量としては、あまり水系媒体の量が少なすぎると前記ゴマ、香味野菜、柑橘類果皮が浸漬状態となり難く、あまり水系媒体の量が多すぎても後述する加熱処理時に香味野菜や柑橘類果皮の香りをゴマに付与し難いことから、水系媒体100部に対して、ゴマ、並びに生換算した柑橘類果皮及び/又は香味野菜の合計量が好ましくは1〜50部、より好ましくは3〜30部である。また、後述する加熱処理時に香味野菜や柑橘類果皮の香りをゴマに移行させやすい点から、柑橘類果皮及び/又は香味野菜の合計量100部(生換算)に対して、前記ゴマを、好ましくは50〜1000部、より好ましくは100〜500部の割合で水系媒体中に浸漬した状態とする。
【0028】
ゴマを柑橘類果皮及び/又は香味野菜とともに水系媒体中で60〜95℃に加熱する方法としては、特に制限は無いが、具体的には、例えば、加熱装置付きのタンクや二重釜等に前記水系媒体、ゴマ、並びに柑橘類果皮及び/又は香味野菜を投入して水系媒体中にゴマと、柑橘類果皮及び/又は香味野菜とを浸漬した状態とし、これら混合物の温度を60〜95℃に加熱すればよい。
【0029】
このような処理、つまり、ゴマを柑橘類果皮及び/又は香味野菜とともに水系媒体中で品温60〜95℃に加熱することにより、後述の試験例に示すようにゴマに柑橘類果皮及び/又は香味野菜の香気成分を移行させることができる。つまり、本発明においては、ゴマを柑橘類果皮及び/又は香味野菜の香気成分の担体として用いる。これに対して、ゴマを柑橘類果皮及び/又は香味野菜とともに水系媒体中で加熱しても、加熱温度が前記範囲より低い場合は、ゴマに柑橘類果皮及び/又は香味野菜の香気成分を充分に移行させることができない。一方、加熱温度が前記範囲より高い場合は、柑橘類果皮及び/又は香味野菜の香気成分が熱により変質しやすくなる。
【0030】
前記加熱処理を施す際の温度としては、柑橘類果皮や香味野菜の香気成分がゴマに移行しやすいことから、品温65〜95℃に加熱することが好ましい。また、加熱時間としては、あまり短すぎても柑橘類果皮や香味野菜の香気成分をゴマに充分にゴマに移行させ難く、一方、あまり長すぎても柑橘類果皮や香味野菜の香気成分が熱により変質する場合があることから、ゴマを柑橘類果皮及び/又は香味野菜とともに水系媒体中で60〜95℃に保持する時間は、好ましくは5〜60分、より好ましくは10〜40分である。
【0031】
なお、本発明において、柑橘類果皮及び/又は香味野菜とともに水系媒体中で加熱された前記ゴマを酸性液状調味料に配合する方法としては、特に制限は無く、例えば、ゴマを柑橘類果皮及び/又は香味野菜とともに水系媒体中で加熱した後、柑橘類果皮及び/又は香味野菜とゴマの分散液から柑橘類果皮及び/又は香味野菜を取り除いて分離したゴマを配合する方法や、あるいは、柑橘類果皮及び/又は香味野菜とゴマの分散液をそのまま配合する方法等が挙げあれる。
【0032】
上述したように、本発明の酸性液状調味料は、柑橘類果皮及び/又は香味野菜の水分散性香料と、柑橘類果皮及び/又は香味野菜とともに加熱して香りを移行させた前記ゴマが配合されている。このような本発明の低オイルタイプの酸性液状調味料は、食用油脂配合量5%以下又は食用油脂無配合であり、また、増粘材により適度な粘性が付与されているにもかかわらず、製造直後であっても、あるいは、製造後の保存期間が長い場合であっても、保存期間によらず、食した際に柑橘類果皮及び/又は香味野菜の良好な香りを有するものとなる。
【0033】
このような効果が得られる理由は以下の理由によると推定する。つまり、本発明においては、まず、増粘材水溶液中に分散している水分散性香料と、香気成分を移行したゴマにより、製品中に柑橘類果皮や香味野菜のさわやかな香りが安定的に保持される。更に、保存後喫食した際に、前記水分散性香料の香りとゴマに保持された香りの両者があわさることで、保存後においても、柑橘類果皮や香味野菜の良好な香りを充分に感じることができる。これに対して、前記水分散性香料と、前記香気成分を移行したゴマのいずれも配合しなかった場合は、保存後の酸性液状調味料は柑橘類果皮の香りが弱くなる。また、前記水分散性香料のみを用いた場合や、前記香気成分が移行したゴマのみを用いた場合についても、保存後の酸性液状調味料は柑橘類果皮の香りが弱くなり、また、保存後の香りはバランスも悪く好ましくないものとなる。
【0034】
前記本発明の水分散性香料と、前記特定の処理を施したゴマの配合量は、保存後喫食した際に、柑橘類果皮や香味野菜のさわやかなバランスのよい香りが得られやすいことから、柑橘類果皮及び/又は香味野菜の合計配合量100部(生換算)に対して、前記水分散性香料が好ましくは0.01〜300部、より好ましくは0.1〜100部であり、前記ゴマが好ましくは2〜2000部、より好ましくは5〜1000部である。
【0035】
なお、本発明の酸性液状調味料には、上述した原料以外に本発明の効果を損なわない範囲で酸性液状調味料に一般的に使用されている各種原料を適宜選択し配合させることが出来る。このような原料としては、例えば、澱粉分解物、デキストリンアルコール、オリゴ糖、オリゴ糖アルコール等の糖類、卵黄、ホスフォリパーゼA処理卵黄、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン、オクテニルコハク酸処理澱粉等の乳化材、食塩、砂糖、グルタミン酸ソーダ、醤油、味噌、核酸系旨味調味料等の各種調味料、香辛料、アスコルビン酸又はその塩、ビタミンE等の酸化防止剤、クチナシ、カロチン等の色素、野菜や肉加工品の截断物等の具材等が挙げられる。
【0036】
次に、本発明の酸性液状調味料の製造方法を説明する。
【0037】
本発明の酸性液状調味料は、原料の一部として上述した柑橘類果皮や香味野菜に加えて、前記本発明の水分散性香料及び本発明の特定の処理を施したゴマを配合し、増粘材により酸性液状調味料の粘度を前記特定粘度に調整する他は、一般的な低オイルタイプ又はノンオイルタイプの酸性液状調味料の製造方法に準じ製造することができる。具体的には、例えば、以下のようにして製造できる。
【0038】
まず、ゴマを柑橘類果皮及び/又は香味野菜とともに水系媒体中で60〜95℃に加熱してゴマに香りを移行する。ここで、製品に配合するゴマ、並びに柑橘類果皮及び/又は香味野菜のすべてを前記加熱処理に供する必要は無く、本発明の効果が得られる程度に、製品に配合するゴマ、並びに柑橘類果皮及び/又は香味野菜の原料の一部を前記加熱処理に供すればよい。
【0039】
また、前記ゴマと柑橘類果皮及び/又は香味野菜とを加熱する水系媒体に、柑橘類果皮由来及び/又は香味野菜由来の香気成分を含む水分散性香料を配合してもよいが、これら水分散性香料は、できるだけ製造工程時に受ける熱が少ないほうが製造後の保存期間によらず良好な香りを得る本発明の効果がより得られやすい。したがって、本発明においては、ゴマを柑橘類果皮及び/又は香味野菜ともに水系媒体中で60〜95℃に加熱した後、好ましくは品温0〜50℃、より好ましくは品温0〜40℃に冷却した該加熱されたゴマと、前記水分散性香料とを撹拌タンク等で混合して製造することが好ましく、また、この混合時の雰囲気温度は0〜40℃とすることが好ましい。
【0040】
上述の加熱されたゴマと水分散性香料以外の原料については、その混合順序等により特に風味等に影響は無いことから、製造工程中の任意の段階で、これら配合原料を適宜加え、撹拌装置等で全体が略均一になるように混合し製品の粘度が10〜1000mPa・sとなるようにすればよい。
【0041】
以上のようにして配合原料を混合して得られた本発明の酸性液状調味料は、パウチ、合成樹脂製容器、瓶等に充填することで流通可能な容器入り製品することができる。また、必要により容器に充填する前、あるいは、充填後に殺菌処理を施してもよい。
【0042】
次に、本発明を実施例、比較例及び試験例に基づき、更に説明する。
【実施例】
【0043】
[実施例1]
下記の配合割合に準じ、本発明の酸性液状調味料を製した。すなわち、まず、撹拌装置付きの二重釜に清水、ユズ果皮及びゴマを投入して混合することにより、ユズ果皮及びゴマを水中に浸漬した状態とした。この際、水系媒体100部に対してユズ果皮及びゴマの合計量は12部であり、ユズ果皮100部に対するゴマの量は600部であった。次に、ユズ果皮及びゴマを水中に浸漬した状態で撹拌混合を続けながら品温が80℃になるまで加熱し、品温を80℃に保ったまま20分間保持した後、品温20℃に冷却した。続いて、撹拌タンクにユズ果皮、ゴマ及び清水からなる前記冷却後の品温20℃の混合液、醤油、食酢、砂糖、食塩、チキンエキス、乳化香料、水溶性香料及びキサンタンガムを投入して室温下(20℃)で略均一に混合することにより本発明の酸性液状調味料を製した。更に、得られた酸性液状調味料を250mL容量の蓋付きPET容器に充填して容器入りの酸性液状調味料を製した。
【0044】
なお、本実施例においては、ユズ果皮の配合量100部に対して、ユズ果皮由来の香気成分を含む水分散性香料が20部、ユズ果皮とともに水系媒体中で加熱されたゴマが600部配合されている。また、得られた酸性液状調味料の粘度は200mPa・s、pHは4.6以下である。
【0045】
<酸性液状調味料の配合割合>
ユズ果皮(ペースト) 1%
ゴマ(白ゴマ、ホール) 6%
醤油 10%
食酢(酸度4%) 16%
砂糖 5%
食塩 2%
チキンエキス 0.1%
乳化香料※1 0.1%
水溶性香料※2 0.1%
キサンタンガム 0.1%
清水 59.6%
――――――――――――――――
合計 100%
※1:ユズ果皮から分離した精油を含む乳化香料
※2:ユズ果皮抽出物を含む水溶性香料
【0046】
[実施例2]
実施例1において、ゴマを、切りゴマ(金ゴマ)に変えた以外は同様にして容器入りの酸性液状調味料を製した。
【0047】
[実施例3]
実施例1において、ゴマを、焙煎ゴマ(金ゴマ)に変えた以外は同様にして容器入りの酸性液状調味料を製した。
【0048】
[実施例4]
実施例1において、ユズ果皮及びゴマの加熱処理を行う際の水系媒体に乳化香料及び水溶性香料を配合した他は、実施例1と同様にして容器入りの酸性液状調味料を製した。すなわち、撹拌装置付きの二重釜に清水、ユズ果皮、ゴマ、乳化香料及び水溶性香料を投入して混合してユズ果皮及びゴマを水中に浸漬した状態とし、撹拌混合を続けながら品温20℃で20分間保持した後冷却した。続いて、撹拌タンクに前記ユズ果皮、ゴマ、乳化香料、水溶性香料及び清水の混合液(品温20℃)とその他原料を投入して室温下(20℃)で略均一に混合して得た酸性液状調味料を容器に充填し、容器入りの酸性液状調味料を製した。
【0049】
[比較例1]
実施例1において、ゴマ、乳化香料及び水溶性香料を配合せず、その減少分は清水の配合量を増やして補正した以外は同様にして容器入りの酸性液状調味料を製した。
【0050】
[比較例2]
実施例1において、ゴマを配合せず、その減少分は清水の配合量を増やして補正した以外は同様にして容器入りの酸性液状調味料を製した。
【0051】
[比較例3]
実施例1において、乳化香料及び水溶性香料を配合せず、その減少分は清水の配合量を増やして補正した以外は同様にして容器入りの酸性液状調味料を製した。
【0052】
[比較例4]
比較例3において、油溶性香料(ユズ果皮から分離した精油を含有した油溶性香料)0.2%を配合した以外は同様にして容器入りの酸性液状調味料を製した。
【0053】
[比較例5]
実施例1において、ユズ果皮及びゴマを水系媒体中に分散した状態で行う加熱処理を行わなかった他は、実施例1と同様にして容器入りの酸性液状調味料を製した。すなわち、撹拌装置付きの二重釜に清水、ユズ果皮及びゴマを投入して混合してユズ果皮及びゴマを水中に浸漬した状態とし、撹拌混合を続けながら品温20℃で20分間保持した。続いて、撹拌タンクに前記ユズ果皮、ゴマ及び清水の混合液とその他原料を投入して略均一に混合して得た酸性液状調味料を容器に充填し、容器入りの酸性液状調味料を製した。
【0054】
[試験例1]
実施例1乃至4、並びに比較例1乃至5で得られた容器入りの酸性液状調味料について、下記方法により保存前後における香りの安定性と保存後の香りについて評価した。結果を表1に示す。
【0055】
(1)香りの安定性
実施例1乃至4、並びに比較例1乃至5で得られた容器入りの酸性液状調味料を20℃で7ヵ月間保存した。保存後の各サンプルの香りについて、それぞれ対照品として用意した製造直後のサンプルと比較して下記評価基準により評価した。
【0056】
<香りの安定性の評価基準>
A:対照品とほぼ同様の香りである。
B:対照品と比べてやや香りが弱いが問題のない程度である。
C:対照品と比べてやや香りが弱い。
D:対照品と比べて香りが弱い。
【0057】
(2)保存後の香り
(1)において、20℃で7ヵ月間保存した保存後の各サンプルについて、柑橘類果皮のさわやかな香りの好ましさについて評価した。結果を表1に示す。
【0058】
【表1】

【0059】
表1より、柑橘類果皮由来の香気成分を含む水分散性香料と、柑橘類果皮とともに水系媒体中で60〜95℃に加熱されたゴマの両者が配合された実施例1乃至4の酸性液状調味料は、増粘材が配合されたノンオイルタイプの酸性液状調味料でありながら、製造後の保存期間によらず、柑橘類果皮の良好な香りを有することが理解される。中でも、柑橘類果皮とともに水系媒体中で60〜95℃に加熱されたゴマを冷却した後、冷却後の当該ゴマと、柑橘類果皮由来の香気成分を含む水分散性香料とを混合して製造した実施例1乃至3は、香りの安定性が特によく好ましかった。また、ゴマとしてホールのゴマを用いた実施例1及び3は、柑橘類果皮の香りを充分に感じられより好ましかった。
【0060】
これに対して、前記水分散性香料と、前記特定の処理を施したゴマのいずれも配合しなかった場合(比較例1)は、製造直後に比べて保存後の酸性液状調味料は柑橘類果皮の香りが弱くなっており香りの安定性が悪く好ましくなかった。また、前記水分散性香料のみを用いた場合(比較例2)や、前記特定の処理を施したゴマのみを用いた場合(比較例3)についても、製造直後に比べて保存後の酸性液状調味料は柑橘類果皮の香りが弱くなっており香りの安定性が悪く、また、香りのバランスも悪く好ましくなかった。
【0061】
更に、前記水分散性香料を用いずに油溶性香料を用いた場合(比較例4)は、前記特定の処理を施したゴマを配合していても、香りの安定性が悪く、また、保存後の酸性液状調味料の香りは、香りのバランスも悪く好ましくなかった。ユズ果皮を含む水系媒体中で加熱処理を行わなかったゴマを配合した場合(比較例5)は、水分散性香料を配合していても、香りの安定性が悪く、また、香りのバランスも悪く好ましくなかった。
【0062】
[試験例2]
本試験例においては、ゴマと柑橘類果皮を水系媒体中で加熱処理することによりゴマに柑橘類果皮の香気成分が移行することを確認するために以下の試験を行った。
【0063】
(1)試験品の調製
ゴマ(白ゴマ、ホール)10部、及びユズ果皮(5mm截断物)10部を清水80部に加えた混合液を、ステンレス製容器に入れ、混合液を撹拌しながら品温60℃まで加熱し、品温60℃に保ったまま30分間保持した後、品温20℃に冷却した。次に、得られた混合液を目開き3mmのフルイでユズ果皮のみを取り除き、試験品のゴマの分散液を得た。
【0064】
(2)対照品の調製
ユズ果皮(5mm截断物)10部、及び清水90部の混合液を、ステンレス製容器に入れ、混合液を撹拌しながら品温60℃まで加熱し、品温60℃に保ったまま30分間保持した後、冷却した。次に、得られた混合液を目開き3mmのフルイでユズ果皮を取り除き、対照品を得た。
【0065】
(3)試験方法
(1)で得た試験品及び(2)で得た対照品を250mL容量の蓋付きPET容器に充填し、20℃で1週間保存した後のユズの香りを評価した。結果を表2に示す。
【0066】
【表2】

【0067】
表2より、ゴマと柑橘類果皮とを水系媒体中で加熱することによりゴマに柑橘類果皮の香気成分が移行され、その香気成分はゴマに保持されることが理解される。
【0068】
[実施例5]
試験例2(1)で得た品温20℃のゴマの分散液20部、ユズ果皮から分離した精油を含む水溶性香料1部、ユズ果皮5部、食酢(酸度4%)5部、キサンタンガム0.1部、及び清水68.9部を撹拌装置付きの二重釜に投入して室温下(20℃)で略均一に混合することにより本発明の酸性液状調味料を製した。更に、得られた酸性液状調味料を250mL容量の蓋付きPET容器に充填して容器入りの酸性液状調味料を製した。
【0069】
なお、本実施例においては、ユズ果皮100部に対して、ユズ果皮の香気成分を含む水分散性香料が20部、ユズ果皮を含む水系媒体中で加熱されたゴマが44部配合されている。また、得られた酸性液状調味料の粘度は200mPa・s、pHは4.6以下である。
【0070】
得られた容器入りの酸性液状調味料について、製造直後、20℃で1週間保存後、20℃で1ヵ月間保存後に香りを評価したところ、製造後の保存期間によらず、柑橘類果皮のバランスのよいさわやかな香りを充分に感じることができ大変好ましいものであった。
【0071】
[試験例3]
本試験例においては、ゴマと香味野菜を水系媒体中で加熱処理することによりゴマに香味野菜の香気成分が移行することを確認するために以下の試験を行った。
【0072】
(1)試験品の調製
ゴマ(白ゴマ、ホール)10部及びニンニク(5mm截断物)10部を清水80部に加えた混合液を、ステンレス製容器に入れ、混合液を撹拌しながら品温60℃まで加熱し、品温60℃に保ったまま30分間保持した後、品温20℃に冷却した。次に、得られた混合液を目開き3mmのフルイでニンニクのみを取り除き、試験品のゴマの分散液を得た。
【0073】
(2)対照品の調製
ニンニク(5mm截断物)10部、清水90部の混合液を、ステンレス製容器に入れ、混合液を撹拌しながら品温60℃まで加熱し、品温60℃に保ったまま30分間保持した後、冷却した。次に、得られた混合液を目開き3mmのフルイでニンニクを取り除き、対照品を得た。
【0074】
(3)試験方法
(1)で得た試験品及び(2)で得た対照品を250mL容量の蓋付きPET容器に充填し、20℃で1週間保存した後のニンニクの香りを評価した。結果を表3に示す。
【0075】
【表3】

【0076】
表3より、ゴマと香味野菜とを水系媒体中で加熱することによりゴマに香味野菜の香気成分が移行し、その香気成分はゴマに保持されることが理解される。
【0077】
[実施例6]
試験例3(1)で得た品温20℃のゴマの分散液20部、ニンニク抽出物を含む乳化香料香料1部、ニンニク5部、食酢(酸度4%)5部、キサンタンガム0.1部、及び清水68.9部を撹拌装置付きの二重釜に投入して室温下(20℃)で略均一に混合することにより本発明の酸性液状調味料を製した。更に、得られた酸性液状調味料を250mL容量の蓋付きPET容器に充填して容器入りの酸性液状調味料を製した。
【0078】
なお、本実施例においては、ニンニク100部に対して、ニンニクの香気成分を含む水分散性香料の合計配合量が20部、ニンニクを含む水系媒体中で加熱されたゴマが44部配合されている。また、得られた酸性液状調味料の粘度は200mPa・s、pHは4.6以下である。
【0079】
得られた容器入りの酸性液状調味料について、製造直後、20℃で1週間保存後、20℃で1ヵ月間保存後に香りを評価したところ、製造後の保存期間によらず、ニンニクのバランスのよいさわやかな香りを充分に感じることができ大変好ましいものであった。
【0080】
[実施例7]
下記の配合割合に準じ、本発明の酸性液状調味料を製した。すなわち、まず、撹拌装置付きの二重釜に清水、ショウガ、ミョウガ及びゴマを投入して混合することにより、ショウガ及びゴマを水中に浸漬した状態とした。この際、水系媒体100部に対してショウガ、ミョウガ及びゴマの合計量は19部であり、ショウガ及びミョウガの合計量100部に対するゴマの量は100部であった。次に、ショウガ、ミョウガ及びゴマを水中に浸漬した状態で撹拌混合を続けながら品温が60℃になるまで加熱し、品温を60℃に保ったまま30分間保持した後、品温20℃に冷却した。続いて、撹拌タンクにショウガ、ミョウガ、ゴマ及び清水からなる前記冷却後の品温20℃の混合液、菜種油、食酢、レモン果汁、砂糖、食塩、乳化香料、水溶性香料及びグアーガムを投入して室温下(20℃)で略均一に混合することにより本発明の酸性液状調味料を製した。更に、得られた酸性液状調味料を250mL容量の蓋付きPET容器に充填して容器入りの酸性液状調味料を製した。
【0081】
なお、本実施例においては、ショウガ及びミョウガの合計配合量100部に対して、レモン果皮及びショウガ由来の香気成分を含む水分散性香料の合計配合量が7部、ショウガ及びミョウガとともに水系媒体中で加熱されたゴマが100部配合されている。また、得られた酸性液状調味料の粘度は150mPa・s、pHは4.6以下である。
【0082】
<酸性液状調味料の配合割合>
ショウガ(ペースト状物) 3%
ミョウガ(5mm截断物) 3%
ゴマ(白ゴマ、ホール) 6%
菜種油 2%
食酢(酸度4%) 10%
レモン果汁 5%
砂糖 2%
食塩 5%
乳化香料※1 0.2%
水溶性香料※2 0.2%
グアーガム 0.1%
清水 63.5%
――――――――――――――――――
合計 100%
※1:レモン果皮から分離した精油を含む乳化香料
※2:ショウガ抽出物を含む水溶性香料
【0083】
得られた容器入りの酸性液状調味料について、製造直後、20℃で1週間保存後、20℃で1ヵ月間保存後に香りを評価したところ、製造後の保存期間によらず、柑橘類果皮と香味野菜のバランスのよいさわやかな香りを充分に感じることができ大変好ましいものであった。
【0084】
[実施例8]
下記の配合割合に準じ、本発明の酸性液状調味料を製した。すなわち、まず、撹拌装置付きの二重釜に清水、ユズ果皮、ニンニク及びゴマを投入して混合することにより、ユズ果皮、ニンニク及びゴマを水中に浸漬した状態とした。この際、水系媒体100部に対してユズ果皮、ニンニク及びゴマの合計量は14部であり、ユズ果皮及びニンニク100部に対するゴマの量は50部であった。次に、ユズ果皮、ニンニク及びゴマを水中に浸漬した状態で撹拌混合を続けながら品温が90℃になるまで加熱し、品温を90℃に保ったまま10分間保持した後、品温20℃に冷却した。続いて、撹拌タンクにユズ果皮、ニンニク、ゴマ及び清水からなる前記冷却後の品温20℃の混合液、食酢、ユズ果汁、砂糖、食塩、乳化香料、水溶性香料及びカラギーナンを投入して室温下(20℃)略均一に混合することにより本発明の酸性液状調味料を製した。更に、得られた酸性液状調味料を250mL容量の蓋付きPET容器に充填して容器入りの酸性液状調味料を製した。
【0085】
なお、本実施例においては、ユズ果皮及びニンニクの合計配合量100部に対して、ネギ及びユズ果皮の香気成分を含む水分散性香料の合計配合量が7部、ユズ果皮及びニンニクを含む水系媒体中で加熱されたゴマが50部配合されている。また、得られた酸性液状調味料の粘度は300mPa・s、pHは4.6以下である。
【0086】
<酸性液状調味料の配合割合>
ユズ果皮(ペースト状物) 1%
ニンニク(5mm截断物) 5%
ゴマ(金ゴマ、ホール) 3%
食酢(酸度4%) 10%
ユズ果汁 5%
砂糖 8%
食塩 3%
乳化香料※1 0.2%
水溶性香料※2 0.2%
カラギーナン 0.1%
清水 64.5%
――――――――――――――――――
合計 100%
※1:ネギ抽出物を含む乳化香料
※2:ユズ果皮から分離した精油を含む水溶性香料
【0087】
得られた容器入りの酸性液状調味料について、製造直後、20℃で1週間保存後、20℃で1ヵ月間保存後に香りを評価したところ、製造後の保存期間によらず、柑橘類果皮と香味野菜のバランスのよいさわやかな香りを充分に感じることができ大変好ましいものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柑橘類果皮及び/又は香味野菜と、増粘材とが配合され、粘度が10〜1000mPa・sである食用油脂配合量5%以下又は食用油脂無配合の酸性液状調味料であって、柑橘類果皮由来及び/又は香味野菜由来の香気成分を含む水分散性香料と、柑橘類果皮及び/又は香味野菜とともに水系媒体中で60〜95℃に加熱されたゴマとが配合されていることを特徴とする酸性液状調味料。
【請求項2】
柑橘類果皮及び/又は香味野菜の合計配合量100部(生換算)に対して、前記水分散性香料が0.01〜300部、前記ゴマが2〜2000部配合されている請求項1記載の酸性液状調味料。
【請求項3】
柑橘類果皮及び/又は香味野菜と、増粘材とが配合され、粘度が10〜1000mPa・sである食用油脂配合量5%以下又は食用油脂無配合の酸性液状調味料の製造方法であって、ゴマを柑橘類果皮及び/又は香味野菜とともに水系媒体中で60〜95℃に加熱した後、該加熱したゴマと、柑橘類果皮由来及び/又は香味野菜由来の香気成分を含む水分散性香料とを混合することを特徴とする酸性液状調味料の製造方法。
【請求項4】
柑橘類果皮及び/又は香味野菜とともに水系媒体中で加熱したゴマを品温0〜50℃に冷却した後、該品温0〜50℃のゴマと、柑橘類果皮由来及び/又は香味野菜由来の香気成分を含む水分散性香料とを混合する請求項3記載の酸性液状調味料の製造方法。