酸素インジケータ付包装体
【課題】食品、飲料、薬品等の内容物を長期間保存するために用いられる包装容器内の脱酸素状態の程度を表示する酸素インジケータがその一部に付されていて、包装容器内に収納されている内容物やその他の部材に酸素インジケータの部分が接触しない状態で、包装容器内の脱酸素状態の程度を適格に表示できるようにした酸素インジケータ付包装体の提供を目的とする。
【解決手段】脱酸素雰囲気になっている包装容器内に収めて用いられる酸素インジケータ付包装体であって、少なくとも内容物が充填されて密封されている内容物充填部とこれに隣接して設けられている非充填部とが包装部材により構成されていると共に、非充填部を構成する包装部材上の一部には酸素インジケータが内容物充填部や包装容器内の他の部材と接触不可能な状態で配置されていることを特徴とする酸素インジケータ付き包装体。
【解決手段】脱酸素雰囲気になっている包装容器内に収めて用いられる酸素インジケータ付包装体であって、少なくとも内容物が充填されて密封されている内容物充填部とこれに隣接して設けられている非充填部とが包装部材により構成されていると共に、非充填部を構成する包装部材上の一部には酸素インジケータが内容物充填部や包装容器内の他の部材と接触不可能な状態で配置されていることを特徴とする酸素インジケータ付き包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、食品や薬品等の内容物を脱酸素状態で長期間保存するために用いられる包装容器内に収納されて用いられる包装体であって、酸素インジケータがその一部に付されていて、内容物や包装容器のその他の部材に酸素インジケータの部分が接触しない状態で、包装容器内の脱酸素状態の程度を的確に表示できるようにした酸素インジケータ付包装体に関する。
【背景技術】
【０００２】
現在、脱酸素剤を封入した包装容器内における脱酸素の状態がピンホール、シール不良、脱酸素剤の不良等により変化したときの状況を簡単に確認し得るようにした酸素インジケータが多数上市されている。この酸素インジケータは、例えば酸化還元指示薬、還元剤、バインダ樹脂等を主体とするものからなり、これらの構成成分を適宜に組み合わせて種々のものが作製されている（例えば、特許文献１参照。）。
【０００３】
このような構成の酸素インジケータは、酸化還元指示薬が、還元型と酸化型で異なる色相を呈する性質を利用している。より具体的には、周辺雰囲気に酸素が十分に存在すると、その酸素が還元剤の働きを抑制して酸化還元指示薬が酸化型構造をとって所定の色相を呈するが、脱酸素剤の働きにより酸素が周辺雰囲気に存在しなくなると、還元剤が働き、酸化還元指示薬は還元型構造となり別の色相を呈するようになっている。従って、このような色相の変化を利用すれば、酸素インジケータの周辺における酸素の存在や濃度の変化を視覚的に検知することが出来る。
【０００４】
酸化還元指示薬を用いた酸素インジケータとしてはいくつかのものが知られているが、これらの多くはその酸化還元指示薬の染色性が強く、酸素インジケータと共に包装容器内に収納されている内容物に移行してしまうことがあった。例えばメチレンブルーは染色性が著しく強く、内容物に接触して移行してしまうことがよくあった。また、包装容器内の内容物に酸素インジケータが直接接触しなくても、酸素インジケータを構成するメチレンブルーが包装容器の一部を構成するシーラント層に浸透した後、さらに内容物に移行することもあった。
【０００５】
こうした移行を防ぐために、酸素インジケータ上にその酸素インジケータ中の酸化還元指示薬の溶出を防止する層を積層するようにした包装容器がある（例えば、特許文献２参照。）。
【０００６】
また、酸素インジケータ自体を小袋に封入し、しかる後にその小袋を内容物が収めてある包装容器の内部に充填する手法が採られることもある。
【０００７】
しかしながら、これらの容器や手法では、脱酸素状態にして内容物を長期間に渡って収納するための容器として汎用の酸素バリア性包装容器が使えなかったり、さらには酸化還元指示薬の移行防止のための小袋の作成、その移行防止用小袋内への酸素インジケータの封入、さらには酸素インジケータを封入した移行防止用小袋の包装容器内への収納、等々の作業を強いられ、製造効率が悪く、製造コストが余分にかかる等の問題があった。
【特許文献１】特開２００１−１９２５９２号公報
【特許文献２】特開２００５−３３７８３９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、食品や薬品等の内容物を脱酸素状態で長期間保存するために用いられる包装容器内に収納して使用される包装体であって、脱酸素状態の程度を表示する酸素インジケータがその一部に付されていて、包装容器内に収納されている内容物や包装容器内の他の部材に酸素インジケータが接触しない状態にして包装容器内の脱酸素の状態を的確に表示できるようにした、酸素インジケータ付包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記の課題を解決するためになされ、請求項１に記載の発明は、脱酸素雰囲気になっている包装容器内に収めて用いられる酸素インジケータ付包装体であって、少なくとも内容物が充填されて密封されている内容物充填部とこれに隣接して設けられている非充填部とが包装部材により構成されていると共に、非充填部を構成する包装部材上の一部には酸素インジケータが内容物充填部や包装容器内の他の部材と接触不可能な状態で配置されていることを特徴とする酸素インジケータ付き包装体である。
【００１０】
また、請求項２に記載の発明は、請求項１に記載の酸素インジケータ付包装体において、前記酸素インジケータは、内容物充填部や包装容器内の他の部材と接触不可能な状態で包装体を構成する包装部材により覆われるように、かつ包装容器内の脱酸素雰囲気の部分とは一部で通じるように非充填部の一部に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１１】
本発明の酸素インジケータ付包装体は、包装容器内に収納されている内容物やその他の部材に酸素インジケータの部分が接触しない構成になっているので、酸素インジケータの成分が内容物に影響を及ぼさないようにして包装容器内の脱酸素状態の程度を的確に表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して具体的に説明する。
【００１３】
図１は本発明の酸素インジケータ付包装体の概略の平面状態を示す説明図であり、図２は図１に示すような形態の酸素インジケータ付包装体の概略の断面構成を示す説明図である。
【００１４】
この酸素インジケータ付包装体１０は、脱酸素雰囲気にしてある包装容器内に収めて用いられる酸素インジケータ付包装体であって、大略的には、少なくとも内容物が充填されて密封されている内容物充填部３とこれに隣接して設けられている非充填部４とからなるものである。そして、非充填部４には酸素インジケータ１が他の部分とは接触不可能な状態で配置されている。
【００１５】
この酸素インジケータ付包装体１０は、図１や図２に示されているように、２枚の包装部材（包装用フィルム）１１、１２が重ね合わされ、その一部の領域においては四方がヒートシール部２でヒートシールされて内容物充填部３が設けられていると共に、この内容物充填部３の外周部分のヒートシール部２の一部分を介して非充填部４が隣接して設けられている。そして、この非充填部４の一部には、酸素インジケータ１が内容物充填部３や包装容器の他の部分と接触不可能な状態で配置されている。
【００１６】
図１と図２に示す例では、酸素インジケータ１が、内容物充填部３や包装容器の他の部分とは接触不可能な状態で包装体を構成する包装部材１１、１２の一部で覆われるように
、かつこの酸素インジケータ付包装体が収められる包装容器内の脱酸素雰囲気の部分とは一部で通じるように配置されている例を示している。
【００１７】
このような構成のものは次のようにして作製される。
【００１８】
まず、２枚の包装部材１１、１２を重ね合わせ、しかる後その一部の領域において四方をヒートシールして内容物充填部３を形成した後、所定のヒートシール部を介して隣接している未シールの部分のみを一定の幅で残し、他のシール部においてはその外周部分で断裁することにより、内容物充填部の一部に隣接して非充填部４を設ける。そして、包装体の内容物充填部３のみならず、包装体を納める包装容器にも接触しないように、包装体を構成する包装部材１１、１２の一部で覆うように、かつ包装体が収められる包装容器内の収納空間とが一部で通じるように酸素インジケータを形成し、未シール状態の非充填部４に配置させる。
【００１９】
非充填部４は内容物を充填した内容物充填部３と隣り合うため、酸素インジケータ１が内容物充填部３に接触することを防ぐことができ、そこに充填されている内容物に対する酸化還元試薬等による染色を防ぐことが出来る。この非充填部４の大きさは、たとえ酸素インジケータ１の設置部分が内容物充填部３の方向へ折れ曲がったとしても、内容物充填部３に触れない程度とする必要がある。
【００２０】
また、酸素インジケータ１の部分は、この酸素インジケータ付包装体１０が収められる包装容器内の収納空間とが一部で通じるように配置されているため、収納容器内における脱酸素の状態をここで的確に検知することが可能である。
【００２１】
一方、図３には本発明の他の例に係る酸素インジケータ付包装体２０の概略の平面状態が示してある。この酸素インジケータ付包装体２０は、図１と図２に示す酸素インジケータ付包装体１０と略同様の構成であるが、非充填部２４の構成が若干異なっている。
【００２２】
即ち、酸素インジケータ２１が配置される非充填部２４の両端にもヒートシール部２２が設けられている点で異なっている。このような構成にすることにより、非充填部２４における折れを防止し、酸素インジケータ２１と内容物充填部２３との接触や、酸素インジケータ２１の磨耗や破壊を防ぐことが可能となる。また、このような構成の非充填部２４はその一部が未シール部となっていて一端が開口しているため、気体の流通が確保され、酸素インジケータの機能を阻害することがない。
【００２３】
酸素インジケータ付包装体を構成する包装部材としては、その一部に配置しようとする酸素インジケータと反応せず、しかも酸素インジケータにおける酸素状態を示す色相の変化を観察するのに支障がなく、試薬の呈色を阻害しないものを用いる。
【００２４】
このような包装部材としては、例えば紙、合成紙、不織布、またはポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、セロハン、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等の合成樹脂からなる合成樹脂フィルム、あるいはこれらの合成樹脂フィルムの表面にシリカ、アルミナ等からなる透明蒸着層を設けてなる透明蒸着フィルム等を挙げることができる。
【００２５】
また、このような包装部材から構成される非充填部の一部に配置させる酸素インジケータは、例えば、酸素還元指示薬と還元剤とバインダ樹脂を主成分としてなる酸素検知用組成物により形成すればよい。
【００２６】
酸素検知用組成物の一部を構成する酸化還元指示薬としては、メチレンブルー、ニュー
メチレンブルー、ニュートラルレッド、インジゴカルミン、アシッドレッド、サフラニンＴ、フェノサフラニン、カプリブルー、ナイルブルー、ジフェニルアミン、キシレンシアノール、ニトロジフェニルアミン、フェロイン、Ｎ−フェニルアントラニル酸等が挙げられる。
【００２７】
また、還元剤としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、エリソルビン酸、エリソルビン酸塩や、Ｄ−アラビノース、Ｄ−エリスロール、Ｄ−ガラクトース、Ｄ−キシロース、Ｄ−グルコース、Ｄ−マンノース、Ｄ−フラクトース、Ｄ−ラクトース等の還元糖や、第一錫塩、第一鉄塩等の金属塩等が挙げられる。
【００２８】
上記に示す酸化還元指示薬の色相の変化で脱酸素の状態を検知するだけでなく、他の色の色素との混色による色相の変化で脱酸素の状態を検知することもできる。このような目的で、酸素検知用組成物には、着色剤を添加することができる。着色剤を添加して、酸素検知用組成物中で混色させることにより、例えば指示薬そのものの色相の変化が視覚的に判断しにくいものであるとき、あるいはデザイン上所望の色相でないときに、視覚的に判断しやすい色相、あるいはデザイン上所望の色相に変化させることができる。また、同様の目的で、着色された包装部材を適用し、その上に、上述したような組成の酸素検知用組成物からなる酸素インジケータを非充填部の一部に設けるようにしてもよい。
【００２９】
添加する着色剤としては、例えば食用赤色２号（アマランス）、食用赤色３号（エリスロシン）、食用赤色４０号（アルラレッドＡＣ）、食用赤色１０２号（ニューコクシン）、食用赤色１０４号（フロキシン）、食用赤色１０６号（アシッドレッド）、及び天然系コチニール色素等の赤色着色剤、食用黄色４号（タートラジン）、食用黄色５号（サンセットイエローＦＣＦ）、及び天然系紅花黄色素等の黄色着色剤、食用青色１号（ブリリアントブルーＦＣＦ）、及び食用青色２号（インジゴカルミン）等の青色着色剤が挙げられる。
【００３０】
また、このような組成の酸素検知用組成物を用いて非充填部に酸素インジケータを塗工や印刷により形成し易くするために、酸素検知時の発色に影響を与えない範囲で各種薬剤、例えば界面活性剤、ニス、コンパウンド、乾燥抑制剤、及びドライヤー等を添加することも可能である。
【００３１】
このような酸素検知用組成物を用いて非充填部を構成する包装部材上に酸素インジケータを形成、設置する方法としては、スクリーン印刷法、凹版印刷法、およびグラビア印刷法等の印刷方法や、ロールコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング等の塗布方法が用いられる。
【００３２】
図４には本発明に係る酸素インジケータ付包装体４０の使用形態の一例が示してある。図からも明らかなように、この酸素インジケータ付包装体４０は、酸素バリア性包装部材（酸素バリア性包装フィルム）からなる汎用の酸素バリア性包装容器５内に収納して使用されている。この酸素バリア性包装容器５は、内容物を長期間に渡って保存することを目的として内部が脱酸素剤６の作用により脱酸素状態になっているが、この酸素バリア性包装容器５の一部にピンホールやシール不良が生じてガスバリア性が低下して包装容器内に酸素が流入すると、酸素インジケータ付包装体４０の酸素インジケータ４１に作用し、所定の色相に変化して包装容器内に酸素が進入したことが目視で検知できるようになる。
【００３３】
包装容器５内に収められている酸素インジケータ付包装体４０は、上述の如き構成のものであるが、その一部に配置されている酸素インジケータは、内容物充填部や包装容器内の他の部材、例えば脱酸素剤や包装容器を構成するガスバリア性の包装部材に接触することがないため、酸素インジケータ中の酸化還元指示薬が包装容器内に収納されている内容
物や包装容器５を構成する包装部材に移行することがない。
【図面の簡単な説明】
【００３４】
【図１】本発明に係る酸素インジケータ付包装体の概略の平面状態を示す説明図である。
【図２】図１に示す酸素インジケータの概略の断面構成を示す説明図である。
【図３】本発明に係る酸素インジケータ付包装体の他の一例の概略の平面状態を示す説明図である。
【図４】本発明の酸素インジケータ付包装体の使用形態を示す説明図である。
【符号の説明】
【００３５】
１、２１、４１…酸素インジケータ
２、２２、４２…ヒートシール部
３、２３、４３…内容物充填部
４、２４、４４…非充填部
５…ガスバリア性包装容器
６…脱酸素剤
１０、２０、４０…酸素インジケータ付包装体
１１、１２…包装部材
【技術分野】
【０００１】
本発明は、食品や薬品等の内容物を脱酸素状態で長期間保存するために用いられる包装容器内に収納されて用いられる包装体であって、酸素インジケータがその一部に付されていて、内容物や包装容器のその他の部材に酸素インジケータの部分が接触しない状態で、包装容器内の脱酸素状態の程度を的確に表示できるようにした酸素インジケータ付包装体に関する。
【背景技術】
【０００２】
現在、脱酸素剤を封入した包装容器内における脱酸素の状態がピンホール、シール不良、脱酸素剤の不良等により変化したときの状況を簡単に確認し得るようにした酸素インジケータが多数上市されている。この酸素インジケータは、例えば酸化還元指示薬、還元剤、バインダ樹脂等を主体とするものからなり、これらの構成成分を適宜に組み合わせて種々のものが作製されている（例えば、特許文献１参照。）。
【０００３】
このような構成の酸素インジケータは、酸化還元指示薬が、還元型と酸化型で異なる色相を呈する性質を利用している。より具体的には、周辺雰囲気に酸素が十分に存在すると、その酸素が還元剤の働きを抑制して酸化還元指示薬が酸化型構造をとって所定の色相を呈するが、脱酸素剤の働きにより酸素が周辺雰囲気に存在しなくなると、還元剤が働き、酸化還元指示薬は還元型構造となり別の色相を呈するようになっている。従って、このような色相の変化を利用すれば、酸素インジケータの周辺における酸素の存在や濃度の変化を視覚的に検知することが出来る。
【０００４】
酸化還元指示薬を用いた酸素インジケータとしてはいくつかのものが知られているが、これらの多くはその酸化還元指示薬の染色性が強く、酸素インジケータと共に包装容器内に収納されている内容物に移行してしまうことがあった。例えばメチレンブルーは染色性が著しく強く、内容物に接触して移行してしまうことがよくあった。また、包装容器内の内容物に酸素インジケータが直接接触しなくても、酸素インジケータを構成するメチレンブルーが包装容器の一部を構成するシーラント層に浸透した後、さらに内容物に移行することもあった。
【０００５】
こうした移行を防ぐために、酸素インジケータ上にその酸素インジケータ中の酸化還元指示薬の溶出を防止する層を積層するようにした包装容器がある（例えば、特許文献２参照。）。
【０００６】
また、酸素インジケータ自体を小袋に封入し、しかる後にその小袋を内容物が収めてある包装容器の内部に充填する手法が採られることもある。
【０００７】
しかしながら、これらの容器や手法では、脱酸素状態にして内容物を長期間に渡って収納するための容器として汎用の酸素バリア性包装容器が使えなかったり、さらには酸化還元指示薬の移行防止のための小袋の作成、その移行防止用小袋内への酸素インジケータの封入、さらには酸素インジケータを封入した移行防止用小袋の包装容器内への収納、等々の作業を強いられ、製造効率が悪く、製造コストが余分にかかる等の問題があった。
【特許文献１】特開２００１−１９２５９２号公報
【特許文献２】特開２００５−３３７８３９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、食品や薬品等の内容物を脱酸素状態で長期間保存するために用いられる包装容器内に収納して使用される包装体であって、脱酸素状態の程度を表示する酸素インジケータがその一部に付されていて、包装容器内に収納されている内容物や包装容器内の他の部材に酸素インジケータが接触しない状態にして包装容器内の脱酸素の状態を的確に表示できるようにした、酸素インジケータ付包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記の課題を解決するためになされ、請求項１に記載の発明は、脱酸素雰囲気になっている包装容器内に収めて用いられる酸素インジケータ付包装体であって、少なくとも内容物が充填されて密封されている内容物充填部とこれに隣接して設けられている非充填部とが包装部材により構成されていると共に、非充填部を構成する包装部材上の一部には酸素インジケータが内容物充填部や包装容器内の他の部材と接触不可能な状態で配置されていることを特徴とする酸素インジケータ付き包装体である。
【００１０】
また、請求項２に記載の発明は、請求項１に記載の酸素インジケータ付包装体において、前記酸素インジケータは、内容物充填部や包装容器内の他の部材と接触不可能な状態で包装体を構成する包装部材により覆われるように、かつ包装容器内の脱酸素雰囲気の部分とは一部で通じるように非充填部の一部に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１１】
本発明の酸素インジケータ付包装体は、包装容器内に収納されている内容物やその他の部材に酸素インジケータの部分が接触しない構成になっているので、酸素インジケータの成分が内容物に影響を及ぼさないようにして包装容器内の脱酸素状態の程度を的確に表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して具体的に説明する。
【００１３】
図１は本発明の酸素インジケータ付包装体の概略の平面状態を示す説明図であり、図２は図１に示すような形態の酸素インジケータ付包装体の概略の断面構成を示す説明図である。
【００１４】
この酸素インジケータ付包装体１０は、脱酸素雰囲気にしてある包装容器内に収めて用いられる酸素インジケータ付包装体であって、大略的には、少なくとも内容物が充填されて密封されている内容物充填部３とこれに隣接して設けられている非充填部４とからなるものである。そして、非充填部４には酸素インジケータ１が他の部分とは接触不可能な状態で配置されている。
【００１５】
この酸素インジケータ付包装体１０は、図１や図２に示されているように、２枚の包装部材（包装用フィルム）１１、１２が重ね合わされ、その一部の領域においては四方がヒートシール部２でヒートシールされて内容物充填部３が設けられていると共に、この内容物充填部３の外周部分のヒートシール部２の一部分を介して非充填部４が隣接して設けられている。そして、この非充填部４の一部には、酸素インジケータ１が内容物充填部３や包装容器の他の部分と接触不可能な状態で配置されている。
【００１６】
図１と図２に示す例では、酸素インジケータ１が、内容物充填部３や包装容器の他の部分とは接触不可能な状態で包装体を構成する包装部材１１、１２の一部で覆われるように
、かつこの酸素インジケータ付包装体が収められる包装容器内の脱酸素雰囲気の部分とは一部で通じるように配置されている例を示している。
【００１７】
このような構成のものは次のようにして作製される。
【００１８】
まず、２枚の包装部材１１、１２を重ね合わせ、しかる後その一部の領域において四方をヒートシールして内容物充填部３を形成した後、所定のヒートシール部を介して隣接している未シールの部分のみを一定の幅で残し、他のシール部においてはその外周部分で断裁することにより、内容物充填部の一部に隣接して非充填部４を設ける。そして、包装体の内容物充填部３のみならず、包装体を納める包装容器にも接触しないように、包装体を構成する包装部材１１、１２の一部で覆うように、かつ包装体が収められる包装容器内の収納空間とが一部で通じるように酸素インジケータを形成し、未シール状態の非充填部４に配置させる。
【００１９】
非充填部４は内容物を充填した内容物充填部３と隣り合うため、酸素インジケータ１が内容物充填部３に接触することを防ぐことができ、そこに充填されている内容物に対する酸化還元試薬等による染色を防ぐことが出来る。この非充填部４の大きさは、たとえ酸素インジケータ１の設置部分が内容物充填部３の方向へ折れ曲がったとしても、内容物充填部３に触れない程度とする必要がある。
【００２０】
また、酸素インジケータ１の部分は、この酸素インジケータ付包装体１０が収められる包装容器内の収納空間とが一部で通じるように配置されているため、収納容器内における脱酸素の状態をここで的確に検知することが可能である。
【００２１】
一方、図３には本発明の他の例に係る酸素インジケータ付包装体２０の概略の平面状態が示してある。この酸素インジケータ付包装体２０は、図１と図２に示す酸素インジケータ付包装体１０と略同様の構成であるが、非充填部２４の構成が若干異なっている。
【００２２】
即ち、酸素インジケータ２１が配置される非充填部２４の両端にもヒートシール部２２が設けられている点で異なっている。このような構成にすることにより、非充填部２４における折れを防止し、酸素インジケータ２１と内容物充填部２３との接触や、酸素インジケータ２１の磨耗や破壊を防ぐことが可能となる。また、このような構成の非充填部２４はその一部が未シール部となっていて一端が開口しているため、気体の流通が確保され、酸素インジケータの機能を阻害することがない。
【００２３】
酸素インジケータ付包装体を構成する包装部材としては、その一部に配置しようとする酸素インジケータと反応せず、しかも酸素インジケータにおける酸素状態を示す色相の変化を観察するのに支障がなく、試薬の呈色を阻害しないものを用いる。
【００２４】
このような包装部材としては、例えば紙、合成紙、不織布、またはポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、セロハン、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等の合成樹脂からなる合成樹脂フィルム、あるいはこれらの合成樹脂フィルムの表面にシリカ、アルミナ等からなる透明蒸着層を設けてなる透明蒸着フィルム等を挙げることができる。
【００２５】
また、このような包装部材から構成される非充填部の一部に配置させる酸素インジケータは、例えば、酸素還元指示薬と還元剤とバインダ樹脂を主成分としてなる酸素検知用組成物により形成すればよい。
【００２６】
酸素検知用組成物の一部を構成する酸化還元指示薬としては、メチレンブルー、ニュー
メチレンブルー、ニュートラルレッド、インジゴカルミン、アシッドレッド、サフラニンＴ、フェノサフラニン、カプリブルー、ナイルブルー、ジフェニルアミン、キシレンシアノール、ニトロジフェニルアミン、フェロイン、Ｎ−フェニルアントラニル酸等が挙げられる。
【００２７】
また、還元剤としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、エリソルビン酸、エリソルビン酸塩や、Ｄ−アラビノース、Ｄ−エリスロール、Ｄ−ガラクトース、Ｄ−キシロース、Ｄ−グルコース、Ｄ−マンノース、Ｄ−フラクトース、Ｄ−ラクトース等の還元糖や、第一錫塩、第一鉄塩等の金属塩等が挙げられる。
【００２８】
上記に示す酸化還元指示薬の色相の変化で脱酸素の状態を検知するだけでなく、他の色の色素との混色による色相の変化で脱酸素の状態を検知することもできる。このような目的で、酸素検知用組成物には、着色剤を添加することができる。着色剤を添加して、酸素検知用組成物中で混色させることにより、例えば指示薬そのものの色相の変化が視覚的に判断しにくいものであるとき、あるいはデザイン上所望の色相でないときに、視覚的に判断しやすい色相、あるいはデザイン上所望の色相に変化させることができる。また、同様の目的で、着色された包装部材を適用し、その上に、上述したような組成の酸素検知用組成物からなる酸素インジケータを非充填部の一部に設けるようにしてもよい。
【００２９】
添加する着色剤としては、例えば食用赤色２号（アマランス）、食用赤色３号（エリスロシン）、食用赤色４０号（アルラレッドＡＣ）、食用赤色１０２号（ニューコクシン）、食用赤色１０４号（フロキシン）、食用赤色１０６号（アシッドレッド）、及び天然系コチニール色素等の赤色着色剤、食用黄色４号（タートラジン）、食用黄色５号（サンセットイエローＦＣＦ）、及び天然系紅花黄色素等の黄色着色剤、食用青色１号（ブリリアントブルーＦＣＦ）、及び食用青色２号（インジゴカルミン）等の青色着色剤が挙げられる。
【００３０】
また、このような組成の酸素検知用組成物を用いて非充填部に酸素インジケータを塗工や印刷により形成し易くするために、酸素検知時の発色に影響を与えない範囲で各種薬剤、例えば界面活性剤、ニス、コンパウンド、乾燥抑制剤、及びドライヤー等を添加することも可能である。
【００３１】
このような酸素検知用組成物を用いて非充填部を構成する包装部材上に酸素インジケータを形成、設置する方法としては、スクリーン印刷法、凹版印刷法、およびグラビア印刷法等の印刷方法や、ロールコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング等の塗布方法が用いられる。
【００３２】
図４には本発明に係る酸素インジケータ付包装体４０の使用形態の一例が示してある。図からも明らかなように、この酸素インジケータ付包装体４０は、酸素バリア性包装部材（酸素バリア性包装フィルム）からなる汎用の酸素バリア性包装容器５内に収納して使用されている。この酸素バリア性包装容器５は、内容物を長期間に渡って保存することを目的として内部が脱酸素剤６の作用により脱酸素状態になっているが、この酸素バリア性包装容器５の一部にピンホールやシール不良が生じてガスバリア性が低下して包装容器内に酸素が流入すると、酸素インジケータ付包装体４０の酸素インジケータ４１に作用し、所定の色相に変化して包装容器内に酸素が進入したことが目視で検知できるようになる。
【００３３】
包装容器５内に収められている酸素インジケータ付包装体４０は、上述の如き構成のものであるが、その一部に配置されている酸素インジケータは、内容物充填部や包装容器内の他の部材、例えば脱酸素剤や包装容器を構成するガスバリア性の包装部材に接触することがないため、酸素インジケータ中の酸化還元指示薬が包装容器内に収納されている内容
物や包装容器５を構成する包装部材に移行することがない。
【図面の簡単な説明】
【００３４】
【図１】本発明に係る酸素インジケータ付包装体の概略の平面状態を示す説明図である。
【図２】図１に示す酸素インジケータの概略の断面構成を示す説明図である。
【図３】本発明に係る酸素インジケータ付包装体の他の一例の概略の平面状態を示す説明図である。
【図４】本発明の酸素インジケータ付包装体の使用形態を示す説明図である。
【符号の説明】
【００３５】
１、２１、４１…酸素インジケータ
２、２２、４２…ヒートシール部
３、２３、４３…内容物充填部
４、２４、４４…非充填部
５…ガスバリア性包装容器
６…脱酸素剤
１０、２０、４０…酸素インジケータ付包装体
１１、１２…包装部材
【特許請求の範囲】
【請求項１】
脱酸素雰囲気になっている包装容器内に収めて用いられる酸素インジケータ付包装体であって、少なくとも内容物が充填されて密封されている内容物充填部とこれに隣接して設けられている非充填部とが包装部材により構成されていると共に、非充填部を構成する包装部材上の一部には酸素インジケータが内容物充填部や包装容器内の他の部材と接触不可能な状態で配置されていることを特徴とする酸素インジケータ付き包装体。
【請求項２】
前記酸素インジケータは、内容物充填部や包装容器内の他の部材と接触不可能な状態で包装体を構成する包装部材により覆われるように、かつ包装容器内の脱酸素雰囲気の部分とは一部で通じるように非充填部の一部に配置されていることを特徴とする請求項１に記載の酸素インジケータ付包装体。
【請求項１】
脱酸素雰囲気になっている包装容器内に収めて用いられる酸素インジケータ付包装体であって、少なくとも内容物が充填されて密封されている内容物充填部とこれに隣接して設けられている非充填部とが包装部材により構成されていると共に、非充填部を構成する包装部材上の一部には酸素インジケータが内容物充填部や包装容器内の他の部材と接触不可能な状態で配置されていることを特徴とする酸素インジケータ付き包装体。
【請求項２】
前記酸素インジケータは、内容物充填部や包装容器内の他の部材と接触不可能な状態で包装体を構成する包装部材により覆われるように、かつ包装容器内の脱酸素雰囲気の部分とは一部で通じるように非充填部の一部に配置されていることを特徴とする請求項１に記載の酸素インジケータ付包装体。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２０１０−２３８９８（Ｐ２０１０−２３８９８Ａ）
【公開日】平成２２年２月４日（２０１０．２．４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−１８９５１１（Ｐ２００８−１８９５１１）
【出願日】平成２０年７月２３日（２００８．７．２３）
【出願人】（０００００３１９３）凸版印刷株式会社 (10,630)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年２月４日（２０１０．２．４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年７月２３日（２００８．７．２３）
【出願人】（０００００３１９３）凸版印刷株式会社 (10,630)
【Ｆターム（参考）】
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