説明

酸素吸収性樹脂及び酸素吸収性接着剤樹脂組成物

【課題】本発明は酸素吸収性と接着性を兼ね備えた酸素吸収性樹脂及びそれを用いた酸素吸収性接着剤樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、酸成分(A)、コハク酸及びエチレングリコールに由来する構造単位を含むポリエステルであって、酸成分(A)の全酸成分に対する割合が45〜75モル%であり、コハク酸に由来する構造単位の全酸成分に対する割合が25〜55モル%であり、ガラス転移温度が2〜15℃である、酸素吸収性樹脂:酸成分(A):テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は溶剤への溶解性、接着性及び酸素吸収性に優れた酸素吸収性樹脂及び酸素吸収性接着剤樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ポリオールに酸素吸収性を有する無機酸化物を配合した酸素吸収性接着剤が提案されている。しかしながら、前記酸素吸収性接着剤は、不透明であり、酸素吸収性能が低く、酸素吸収性能の発現に水分が必要であり乾燥雰囲気では使用できないなどの問題があった。また、各種酸素吸収性樹脂が提案されている(例えば、特許文献2)が、包装用フィルムの積層用途として酸素吸収性と接着性を兼ね備えた酸素吸収性接着剤樹脂を実現した例はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−131699号公報
【特許文献2】国際公開第2006/080500号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は酸素吸収性と接着性を兼ね備えた酸素吸収性樹脂及びそれを用いた酸素吸収性接着剤樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、酸成分(A)、コハク酸及びエチレングリコールに由来する構造単位を含むポリエステルであって、酸成分(A)の全酸成分に対する割合が45〜75モル%であり、コハク酸の全酸成分に対する割合が25〜55モル%であり、ガラス転移温度が2〜15℃である、酸素吸収性樹脂:
酸成分(A):テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体
を提供する。
また、本発明は、前記酸素吸収性樹脂と、溶媒として酢酸エチルを含有する酸素吸収性接着剤樹脂組成物を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、酸素吸収性と接着性を兼ね備えた酸素吸収性溶剤可溶型樹脂を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の酸素吸収性樹脂は、酸成分(A)、コハク酸及びエチレングリコールに由来する構造単位を含むポリエステルである。
本発明の酸素吸収性樹脂において、酸成分(A)は、テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体である。酸成分(A)は、好ましくはメチルテトラヒドロフタル酸又はメチルテトラヒドロ無水フタル酸である。
また、本発明の酸素吸収性樹脂において、酸成分(A)は、好ましくは(i)及び(ii)からなる群より選ばれる構造を有する酸成分を50〜100モル%、好ましくは60〜100モル%含有する:
(i)下記構造(a)及び(b)の両方の基に結合し、かつ、1個の水素原子と結合した炭素原子を有し、該炭素原子が脂環構造に含まれているジカルボン酸若しくはジカルボン酸無水物;
(a)炭素−炭素二重結合基、
(b)カルボニル基;及び
(ii)不飽和脂環構造内の炭素−炭素二重結合に隣接する炭素原子が電子供与性置換基及び水素原子と結合し、かつ、該炭素原子に隣接する別の炭素原子がカルボニル基と結合しており、該電子供与性置換基と該カルボニル基とがシス位に位置しているジカルボン酸若しくはジカルボン酸無水物。
【0008】
上述の構造(i)および(ii)におけるカルボニル基はテトラヒドロフタル酸およびテトラヒドロ無水フタル酸構造中のジカルボン酸およびジカルボン酸無水物にそれぞれ含まれるものを示す。
【0009】
(i)の構造を有する酸成分として、Δ2−テトラヒドロフタル酸誘導体、Δ3−テトラヒドロフタル酸誘導体、Δ2−テトラヒドロ無水フタル酸誘導体、Δ3−テトラヒドロ無水フタル酸誘導体を挙げることが出来る。好ましくは、Δ3−テトラヒドロフタル酸誘導体若しくはΔ3−テトラヒドロ無水フタル酸誘導体であり、特に好ましくは4−メチル−Δ3−テトラヒドロフタル酸若しくは4−メチル−Δ3−テトラヒドロ無水フタル酸である。
4−メチル−Δ3−テトラヒドロ無水フタル酸は、例えば、イソプレンを主成分とするナフサのC5留分を無水マレイン酸と反応させた、4−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸を含む異性体混合物を、構造異性化することにより得ることが出来、工業的に製造されている。
【0010】
(ii)の構造を有する酸成分として、特に好ましくはcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロフタル酸若しくはcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸である。cis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸は、例えば、トランス−ピペリレンを主成分とするナフサのC5留分を無水マレイン酸と反応させることにより得ることが出来、工業的に製造されている。
【0011】
テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体として、多くの化合物を挙げることが出来るが、その中でも前述の(i)の構造を有する酸成分及び(ii)の構造を有する酸成分は、酸素との反応性が非常に高いため、本発明の酸素吸収性樹脂の原料として好適に使用できる。これらの(i)の構造を有する酸成分及び(ii)の構造を有する酸成分は単独で使用することも出来るが、2種類以上を組み合わせて使用することも好ましい。前述の(i)の構造として好適な4−メチル−Δ3−テトラヒドロ無水フタル酸と(ii)の構造として好適なcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸の混合物は、トランス−ピペリレン及びイソプレンを主成分とするナフサのC5留分を無水マレイン酸と反応させた、cis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸と4−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸の混合物を構造異性化することにより、工業品として低コストで容易に得ることが出来る。このように安価な異性体混合物を、本発明の酸素吸収性樹脂の原料として使用することは、産業応用を考えると特に好ましい。
テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体を原料として、本発明の酸素吸収性樹脂である酸素吸収性ポリエステルを重合する際、ジカルボン酸およびジカルボン酸無水物はメチルエステル等にエステル化されていてもよい。
また、テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体を含む原料を重合して得ることができる本発明の酸素吸収性樹脂には、酸素吸収反応を促進させるために酸素吸収反応触媒(酸化触媒)を添加しても良い。しかしながら、前述の(i)の構造を有する酸成分及び(ii)の構造を有する酸成分を含む原料を重合して得ることができる本発明の酸素吸収性樹脂は酸素との反応性が極めて高いことから、酸素吸収反応触媒の不在下において、実用的な酸素吸収性能を発現することができる。また、本発明の酸素吸収性樹脂を用いて接着剤の調製や接着剤を用いた加工をする際に、酸素吸収反応触媒が原因となる過度の樹脂劣化に起因するゲル化等を防止するためにも、触媒量の酸素吸収反応触媒を含まないことが望ましい。ここで、酸素吸収反応触媒としては、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅の遷移金属と有機酸からなる遷移金属塩が挙げられる。また、「触媒量の酸素吸収反応触媒を含まない」とは、一般に酸素吸収反応触媒が遷移金属量で10ppm未満であることを意味し、好ましくは1ppm未満である。
【0012】
本発明の酸素吸収性樹脂は、酸成分(A)とともに繰返し単位あたりの分子量が低いコハク酸及びエチレングリコールに由来する構造単位を含むことにより、樹脂重量あたりの酸成分(A)の比率が高くなり、酸素吸収性能が向上することから好ましい。これにより、塗布量(層厚)に制限のある接着剤層に適用した場合においても優れた性能を有する酸素吸収性容器を実現することができる。
【0013】
本発明の酸素吸収性樹脂において、酸成分(A)の全酸成分に対する割合は45〜75モル%であり、好ましくは50〜70モル%である。また、コハク酸の全酸成分に対する割合は25〜55モル%であり、好ましくは30〜50モル%である。このとき、樹脂のガラス転移温度(Tg)は2〜15℃であり、より好ましくは3〜14℃であり、さらに好ましくは5〜10℃である。Tgが上記の範囲より高い場合は、酸素吸収性能及びラミネート強度が低下してしまい、上記の範囲より低い場合は凝集力不足により耐クリープ性が低下することから接着剤として好ましくない。
樹脂の組成比及びTgが上記の範囲である場合には、酸素吸収性能および接着性に優れ、かつ有機溶剤への溶解性に優れた酸素吸収性樹脂を得ることが出来る。
【0014】
本発明の酸素吸収性樹脂は、酸成分(A)、コハク酸又は無水コハク酸、エチレングリコールを原料としてポリエステルとして得ることができる。このとき、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、芳香族ジカルボン酸、コハク酸以外の脂肪族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸、脂肪族ヒドロキシカルボン酸、多価カルボン酸、エチレングリコール以外のグリコール、多価アルコール、又はそれらの誘導体等をその他のモノマーとして共重合することもできる。これらは、単独、又は、2種類以上を組み合わせて使用できる。前記その他の成分を共重合させることによって、得られる酸素吸収性樹脂のガラス転移温度を容易に制御することができ、酸素吸収性能を向上させることが出来る。さらには、有機溶剤への溶解性を制御することも出来る。また、多価アルコールおよび多価カルボン酸の導入で樹脂の分岐構造を制御することにより、溶媒に溶解した酸素吸収性接着剤組成物の粘度特性を調整できる。
【0015】
芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などのベンゼンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、スルホイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、又はこれらの誘導体が挙げられる。ここで誘導体には、エステル、酸無水物、酸ハロゲン化物、置換体、オリゴマーなどが含まれる。好ましくは、イソフタル酸、テレフタル酸である。テレフタル酸共重合により、テレフタル酸のもつ凝集力によって酸素吸収性樹脂自身の凝集力が向上する。凝集力の向上により接着剤の接着強度が向上し、また、デラミネーションが抑制できるため好ましい。また、イソフタル酸共重合により酸素吸収性樹脂の凝集力を確保しつつ溶剤への溶解性が向上するため好ましい。
【0016】
コハク酸以外の脂肪族ジカルボン酸及びその誘導体としては、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、3,3−ジメチルペンタン二酸、又はこれらの誘導体等が挙げられる。ここで誘導体には、エステル、酸無水物、酸ハロゲン化物、置換体、オリゴマーなどが含まれる。これらの中でも、アジピン酸を共重合することにより樹脂のガラス転移温度を容易に制御することができるため好ましい。
【0017】
脂肪族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体としては、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシピバリン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘキサン酸、又はこれらの誘導体が挙げられる。
多価アルコール及びその誘導体としては、1,2,3−プロパントリオール、ソルビトール、1,3,5−ペンタントリオール、1,5,8−ヘプタントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、3,5−ジヒドロキシベンジルアルコール、グリセリン又はこれらの誘導体が挙げられる。
多価カルボン酸及びその誘導体としては、1,2,3−プロパントリカルボン酸、メソ−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、クエン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、又はこれらの誘導体が挙げられる。
【0018】
本発明の酸素吸収性樹脂は酸成分(A)、コハク酸、エチレングリコール及び前記その他の酸成分を共重合させてポリエステルとして得ることができる。このとき、樹脂中の前記その他の酸成分の全酸成分に対する割合は1〜25モル%である場合が好ましく、より好ましくは1〜20モル%である。
また、多価アルコールや多価カルボン酸等の3官能以上の官能基を有する成分を共重合させる場合は全酸成分に対し5mol%以内にすることが好ましい。
【0019】
本発明の酸素吸収性樹脂は当業者に公知の任意のポリエステルの重縮合方法により得ることが出来る。例えば、界面重縮合、溶液重縮合、溶融重縮合および固相重縮合である。
【0020】
本発明の酸素吸収性樹脂を合成する場合に、重合触媒は必ずとも必要としないが、例えばチタン系、ゲルマニウム系、アンチモン系、スズ系、アルミニウム系等の通常のポリエステル重合触媒が使用可能である。また、含窒素塩基性化合物、ホウ酸及びホウ酸エステル、有機スルホン酸系化合物等の公知の重合触媒を使用することもできる。
さらに、重合の際にはリン化合物等の着色防止剤や酸化防止剤等の各種添加剤を添加することもできる。酸化防止剤を添加することにより、重合中やその後の加工中の酸素吸収を抑制できるため、酸素吸収性樹脂の性能低下やゲル化を抑えることができる。
本発明の酸素吸収性樹脂の数平均分子量は、好ましくは500〜100000であり、より好ましくは1000〜20000である。また好ましい重量平均分子量は1000〜200000、より好ましくは2000〜100000である。上記範囲内の分子量の場合には、接着性および有機溶剤への溶解性に優れ、接着剤溶液として好適な粘度特性を有する酸素吸収性接着剤樹脂組成物を得ることが出来る。
【0021】
また、有機ジイソシアネート等の鎖延長剤を用いて本発明の酸素吸収性樹脂を高分子量化することも出来る。有機ジイソシアネート系鎖延長剤としては、芳香族、脂肪族または脂環族の各種公知のジイソシアネート類を使用することができる。芳香族ジイソシアネート類としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が挙げられる。脂肪族ジイソシアネート類としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。脂環族ジイソシアネート類としては、例えば、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が挙げられる。さらには、これら有機ジイソシアネート類をトリメチロールプロパンアダクトやイソシアヌレート、ビュレット体等として使用することも出来る。以上の有機イソシアネートおよび有機イソシアネート誘導体は単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の酸素吸収性樹脂は、単独で用いてもよく、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0022】
本発明の酸素吸収性樹脂は、適当な有機溶剤等の溶媒に溶解させて酸素吸収性接着剤樹脂組成物として用いることができる。溶媒としては、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、イソプロパノール、などが挙げられる。特に酢酸エチルは残留溶剤を原因とする異臭トラブルが比較的少ないことから、軟包装のドライラミネート用接着剤の溶媒として一般的であり、産業応用を考慮するとトルエンやキシレン等を含有しない酢酸エチル単一溶剤を本発明の溶媒として用いることが好ましい。
【0023】
本発明の酸素吸収性樹脂は実用的な接着強度および凝集力を有しており、本発明の酸素吸収性接着剤樹脂組成物はこのまま1液型接着剤として使用する。しかしながら、必要に応じて例えば有機イソシアネート系硬化剤と共に2液混合型接着剤として使用することも出来る。2液混合型接着剤として用いる場合の有機イソシアネート系硬化剤としては鎖延長剤として上に記載したものを好適に使用できる。但し、イソシアネートによる硬化により酸素吸収性樹脂の分子鎖のモビリティーが低下すること等から酸素吸収性能が阻害される場合がある。高い酸素吸収性能を発現させるためには酸素吸収性接着剤樹脂組成物を1液型接着剤として用いることが好ましい。
【0024】
本発明の酸素吸収性接着剤樹脂組成物には本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、防カビ剤、硬化触媒、増粘剤、可塑剤、顔料、充填剤、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の各種添加剤を添加することができる。
【0025】
本発明の酸素吸収性接着剤組成物は通常のドライラミネート用接着剤と同様に複数のフィルムを積層する目的で使用することが出来る。特に酸素バリア性を有するフィルム基材と、ヒートシール性および酸素ガス透過性を有するシーラントフィルムの積層に好適に使用できる。この場合、外層側から酸素バリア基材層/酸素吸収性接着剤樹脂層/シーラント層の積層構成となり、外部から透過進入する酸素を酸素バリア基材により遮断することにより酸素吸収性接着剤樹脂の容器外酸素による酸素吸収性能の低下を抑えると共に、酸素吸収性接着剤樹脂が酸素透過性シーラントフィルムを介して容器内部の酸素を速やかに吸収できるため好ましい。
酸素バリア性を有するフィルム基材およびシーラントフィルムはそれぞれ単層でも積層体でもよい。酸素バリア性を有するフィルム基材としては、バリア層としてシリカ、アルミナ等の金属酸化物或いは金属の蒸着薄膜や、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリル酸系樹脂或いは塩化ビニリデン系樹脂等のガスバリア性有機材料を主剤とするバリアコーティング層を有する、二軸延伸PETフィルム、二軸延伸ポリアミドフィルム或いは二軸延伸ポリプロピレンフィルム等を好適に使用できる。またエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリメタキシリレンアジパミドフィルム、ポリ塩化ビニリデン系フィルムやアルミ箔等の金属箔も好ましい。これらの酸素バリア性を有するフィルム基材は同種基材や2種以上の異種基材を積層して使用することも出来、また、二軸延伸PETフィルム、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、セロファン、紙等を積層して使用することも好ましい。
シーラントフィルムの材料としては低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、環状オレフィン重合体、環状オレフィン共重合体、或いはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダム又はブロック共重合体等のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体やそのイオン架橋物(アイオノマー)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等のエチレン−ビニル化合物共重合体、ヒートシール性を有するPET、A−PET、PETG、PBT等のポリエステルやアモルファスナイロン等を好適に使用できる。これらは二種以上の材料をブレンドして使用することも出来、同種材料や異種材料を積層して用いることも出来る。
【0026】
本発明の酸素吸収性接着剤樹脂組成物を用いて複数のフィルム基材をラミネートする際、公知のドライラミネーターを使用することが出来る。ドライラミネーターにより、酸素吸収性接着剤樹脂組成物のバリアフィルム基材への塗布、乾燥オーブンによる溶剤揮散、50〜120℃に加温したニップロールでのシーラントフィルムとの貼り合わせの一連のラミネート工程を実施することが出来る。酸素吸収性樹脂の塗布量は0.1〜30g/m2、好ましくは1〜15g/m2であり、さらに好ましくは2〜10g/m2である。酸素吸収性接着剤樹脂組成物を用いてラミネートされた酸素吸収性積層フィルムは、室温付近の温度、例えば10〜60℃で硬化反応を進めるためにエージングすることも好ましい。硬化は酸素吸収性樹脂の結晶化や有機ジイソシアネート等の硬化剤による架橋反応によるものであり、硬化により接着強度や凝集力が向上するため好ましい。なお、エージングは、酸素吸収性積層フィルムを、例えば酸素不透過性の袋等で密封することにより、酸素不在下若しくは酸素遮断下で行うのが好ましい。このようにすることにより、エージング中の空気中の酸素による酸素吸収性能の低下を抑制することが出来る。
また、本発明の酸素吸収性樹脂は、溶剤に溶解させることなく、無用剤型接着剤として使用することもできる。この場合、公知のノンソルラミネーターを用いて酸素吸収性積層フィルムを得ることが出来る。
さらに、本発明の酸素吸収性樹脂は、接着剤用途に限らず塗料用途にも使用することができ、各種フィルム等のコーティング膜として塗工することができる。
【0027】
本発明の酸素吸収性樹脂を用いてラミネートされた酸素吸収性積層フィルムは、種々の形態の袋状容器や、カップ・トレイ容器の蓋材に好適に使用できる。袋状容器としては、三方又は四方シールの平パウチ類、ガセット付パウチ類、スタンディングパウチ類、ピロー包装袋等が挙げられる。
【0028】
酸素吸収性積層フィルムを少なくとも一部に用いた酸素吸収性容器は、容器外部から透過する酸素を有効に遮断し、容器内に残存した酸素を吸収する。そのため、容器内の酸素濃度を長期間低いレベルに保ち、内容物の酸素が係わる品質低下を防止し、シェルフライフを向上させる容器として有用である。
特に、酸素存在下で劣化しやすい内容品として、例えば、食品ではコーヒー豆、茶葉、スナック類、米菓、生・半生菓子、果物、ナッツ、野菜、魚・肉製品、練り製品、干物、薫製、佃煮、生米、米飯類、幼児食品、ジャム、マヨネーズ、ケチャップ、食用油、ドレッシング、ソース類、乳製品等、飲料ではビール、ワイン、フルーツジュース、緑茶、コーヒー等、その他では医薬品、化粧品、電子部品等が挙げられるが、これらの例に限定されない。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。各値は以下の方法により測定した。
(1)数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、東ソー社製;HLC−8120型GPC)により、ポリスチレン換算で測定した。溶媒にはクロロホルムを使用した。
【0030】
(2)酸素吸収性ポリエステル樹脂中の各モノマー単位の組成比
核磁気共鳴分光法(1H−NMR、日本電子データム社製;EX270)により、テレフタル酸由来のベンゼン環プロトン(8.1ppm)、コハク酸由来のメチレンプロトン(2.6ppm)、アジピン酸由来のメチレンプロトン(2.3ppm)、テレフタル酸から誘導されたエステル基に隣接するメチレンプロトン(4.3〜4.4ppm)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、コハク酸及びアジピン酸から誘導されたエステル基に隣接するメチレンプロトン(4.1〜4.2ppm)のシグナルの面積比から樹脂中の酸成分の組成比をそれぞれ算出した。溶媒には基準物質としてテトラメチルシランを含む重クロロホルムを使用した。
このとき、樹脂中の酸成分の組成比は、重合に使用した各モノマーの仕込み量(モル比)とほぼ同等であった。
【0031】
(3)ガラス転移温度;Tg
示差走査熱量測定器(セイコーインスツルメンツ社製DSC6220)を用いて、窒素気流中、昇温速度10℃/分で測定した。
【0032】
(4)溶解性評価
樹脂を酢酸エチルに20wt%の濃度で室温にて混合した際、液相が安定な単一かつ均一系を呈し、透明あるいは半透明の状態になるものを溶解性良好とした。
【0033】
(5)酸素吸収量
2cm×10cmに切り出した積層フィルム試験片を、内容積85cm3の酸素不透過性のスチール箔積層カップに仕込んでアルミ箔積層フィルム蓋でヒートシール密封し、22℃雰囲気下にて保存した。一定時間保存後のカップ内酸素濃度をマイクロガスクロマトグラフ装置(アジレント・テクノロジー社製;M200)にて測定し、フィルム1cm2当たりの酸素吸収量を算出した。
【0034】
(6)ラミネート強度
予め50℃、窒素雰囲気下で1日キュアした積層フィルム試験片について23℃、50%RHの雰囲気下でT型剥離試験を行った。このとき、試験片幅15mm、剥離速度300mm/minの測定条件で酸素吸収性接着剤によるアルミ箔−LDPE間のラミネート強度(単位:N/15mm)を測定した。
【0035】
(7)耐クリープ性
23℃、50%RHの雰囲気下において、試験片幅25mm、荷重50gでアルミ箔−LDPE間のT型剥離クリープ試験を行い、2時間後に剥離距離(単位:mm)を測定した。
【0036】
(実施例1)
攪拌装置、窒素導入管、Dean−Stark型水分離器を備えた500mlのセパラブルフラスコに、酸成分(A)として4−メチル−Δ3−テトラヒドロ無水フタル酸を45モル%及びcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸を21モル%含有するメチルテトラヒドロ無水フタル酸異性体混合物(日立化成社製;HN−2200)を83.1g、コハク酸(和光純薬社製)を59.0g、エチレングリコール(和光純薬社製)を93.1g、重合触媒としてイソプロピルチタナート(キシダ化学社製)を500ppm、及びトルエン10mlを仕込み、窒素雰囲気中150℃〜200℃で生成する水を除きながら約6時間反応させた。引き続いて反応系よりトルエンを除いた後、0.1kPaの減圧下、200〜220℃で約3時間重合を行い、Tgが3.8℃のポリエステル樹脂を得た。このときMnは約3100で、Mwは44500であった。
得られた酸素吸収性樹脂を酢酸エチルに20wt%の濃度で室温にて溶解し、接着剤溶液を調製した。調製した接着剤溶液を、ドライラミネート法により作成した二軸延伸PETフィルム(膜厚12μm)/アルミ箔(膜厚7μm)の積層フィルムのアルミ箔面に、#18のバーコーターにて塗布した。ヘアドライヤーの温風にて接着剤に含まれる溶剤を飛ばした後、積層フィルムの接着剤塗布面と30μmLDPEフィルム(タマポリ製;AJ−3)のコロナ処理面を対向させて70℃の熱ロールに通し、二軸延伸PETフィルム(膜厚12μm)/アルミ箔(膜厚7μm)/酸素吸収性樹脂(接着剤)(膜厚4μm)/30μmLDPEからなる酸素吸収性積層フィルムを得た。
得られた酸素吸収性積層フィルムを、酸素吸収量評価、ラミネート強度評価及び耐クリープ性評価に供した。結果を表1に示す。
【0037】
(実施例2)
酸成分(A)として4−メチル−Δ3−テトラヒドロ無水フタル酸を45モル%及びcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸を21モル%含有するメチルテトラヒドロ無水フタル酸異性体混合物(日立化成社製;HN−2200)を99.7g、コハク酸を47.2g、エチレングリコールを93.1g、重合触媒としてイソプロピルチタナートを500ppm、及びトルエン10mlを用いた以外は実施例1と同様に重合を行い、Tgが7.8℃のポリエステル樹脂を得た。このときMnは約2800で、Mwは37800であった。
さらに、実施例1と同様にして酸素吸収性フィルムを得て、各評価に供した。結果を表1に示す。
【0038】
(実施例3)
酸成分(A)としてcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸を99.7g、コハク酸を47.2g、エチレングリコールを93.1g、重合触媒としてイソプロピルチタナートを500ppm、及びトルエン10mlを用いた以外は実施例1と同様に重合を行い、Tgが8.3℃のポリエステル樹脂を得た。このときMnは約2900で、Mwは42100であった。
さらに、実施例1と同様にして酸素吸収性フィルムを得て、各評価に供した。結果を表1に示す。
【0039】
(実施例4)
酸成分(A)として4−メチル−Δ3−テトラヒドロ無水フタル酸を45モル%及びcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸を21モル%含有するメチルテトラヒドロ無水フタル酸異性体混合物(日立化成社製;HN−2200)を116.3g、コハク酸を35.4g、エチレングリコールを93.1g、重合触媒としてイソプロピルチタナートを500ppm、及びトルエン10mlを用いた以外は実施例1と同様に重合を行い、Tgが13.3℃のポリエステル樹脂を得た。このときMnは約2900で、Mwは49500であった。
さらに、実施例1と同様にして酸素吸収性フィルムを得て、各評価に供した。結果を表1に示す。
【0040】
(実施例5)
酸成分(A)として4−メチル−Δ3−テトラヒドロ無水フタル酸を45モル%及びcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸を21モル%含有するメチルテトラヒドロ無水フタル酸異性体混合物(日立化成社製;HN−2200)を91.4g、コハク酸を47.2g、テレフタル酸(和光純薬社製)を8.3g、エチレングリコールを93.1g、重合触媒としてイソプロピルチタナートを500ppm、及びトルエン10mlを用いた以外は実施例1と同様に重合を行い、Tgが10.2℃のポリエステル樹脂を得た。このときMnは約3300で、Mwは40300であった。
さらに、実施例1と同様にして酸素吸収性フィルムを得て、各評価に供した。結果を表1に示す。
【0041】
(実施例6)
酸成分(A)として4−メチル−Δ3−テトラヒドロ無水フタル酸を45モル%及びcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸を21モル%含有するメチルテトラヒドロ無水フタル酸異性体混合物(日立化成社製;HN−2200)を83.1g、コハク酸を53.1g、テレフタル酸(和光純薬社製)を8.3g、エチレングリコールを93.1g、重合触媒としてイソプロピルチタナートを500ppm、及びトルエン10mlを用いた以外は実施例1と同様に重合を行い、Tgが8.0℃のポリエステル樹脂を得た。このときMnは約3400で、Mwは47800であった。
さらに、実施例1と同様にして酸素吸収性フィルムを得て、各評価に供した。結果を表1に示す。
【0042】
(比較例1)
酸成分(A)として4−メチル−Δ3−テトラヒドロ無水フタル酸を45モル%及びcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸を21モル%含有するメチルテトラヒドロ無水フタル酸異性体混合物(日立化成社製;HN−2200)を66.5g、コハク酸を70.9g、エチレングリコールを93.1g、重合触媒としてイソプロピルチタナートを500ppm、及びトルエン10mlを用いた以外は実施例1と同様に重合を行い、Tgが−0.8℃のポリエステル樹脂を得た。このときMnは約3200で、Mwは39400であった。
さらに、実施例1と同様にして酸素吸収性フィルムを得て、各評価に供した。結果を表1に示す。
【0043】
(比較例2)
酸成分(A)として4−メチル−Δ3−テトラヒドロ無水フタル酸を45モル%及びcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸を21モル%含有するメチルテトラヒドロ無水フタル酸異性体混合物(日立化成社製;HN−2200)を133.0g、コハク酸を23.6g、エチレングリコールを93.1g、重合触媒としてイソプロピルチタナートを500ppm、及びトルエン10mlを用いた以外は実施例1と同様に重合を行い、Tgが17.7℃のポリエステル樹脂を得た。このときMnは約2800で、Mwは42700であった。
さらに、実施例1と同様にして酸素吸収性フィルムを得て、各評価に供した。結果を表1に示す。
【0044】
(比較例3)
酸成分(A)として4−メチル−Δ3−テトラヒドロ無水フタル酸を45モル%及びcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸を21モル%含有するメチルテトラヒドロ無水フタル酸異性体混合物(日立化成社製;HN−2200)を99.7g、テレフタル酸を66.4g、1,4−ブタンジオール(和光純薬社製)を180.2g、重合触媒としてイソプロピルチタナートを300ppm、及びトルエン10mlを用いた以外は実施例1と同様に重合を行い、Tgが8.1℃のポリエステル樹脂を得た。このときMnは約7000で、Mwは81000であった。
得られた酸素吸収性樹脂を酢酸エチルに20wt%の濃度で室温にて混合したが、溶解しなかった。
【0045】
(比較例4)
酸成分(A)として4−メチル−Δ3−テトラヒドロ無水フタル酸を45モル%及びcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸を21モル%含有するメチルテトラヒドロ無水フタル酸異性体混合物(日立化成社製;HN−2200)を116.3g、テレフタル酸を49.8g、1,4−ブタンジオール(和光純薬社製)を180.2g、重合触媒としてイソプロピルチタナートを300ppm、及びトルエン10mlを用いた以外は実施例1と同様に重合を行い、Tgが5.3℃のポリエステル樹脂を得た。このときMnは約6300で、Mwは75000であった。
さらに、実施例1と同様にして酸素吸収性フィルムを得て、各評価に供した。結果を表1に示す。
【0046】
(比較例5)
酸成分(A)として4−メチル−Δ3−テトラヒドロ無水フタル酸を45モル%及びcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸を21モル%含有するメチルテトラヒドロ無水フタル酸異性体混合物(日立化成社製;HN−2200)を133.0g、テレフタル酸を33.2g、1,4−ブタンジオール(和光純薬社製)を180.2g、重合触媒としてイソプロピルチタナートを300ppm、及びトルエン10mlを用いた以外は実施例1と同様に重合を行い、Tgが0.8℃のポリエステル樹脂を得た。このときMnは約4300で、Mwは37000であった。
さらに、実施例1と同様にして酸素吸収性フィルムを得て、各評価に供した。結果を表1に示す。
【0047】
(比較例6)
酸成分(A)として4−メチル−Δ3−テトラヒドロ無水フタル酸を45モル%及びcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸を21モル%含有するメチルテトラヒドロ無水フタル酸異性体混合物(日立化成社製;HN−2200)を99.7g、コハク酸を47.2g、ネオペンチルグリコール(東京化成工業)を125.0g、重合触媒としてイソプロピルチタナートを500ppm、及びトルエン10mlを用いた以外は実施例1と同様に重合を行い、Tgが6.4℃のポリエステル樹脂を得た。このときMnは約3800で、Mwは52300であった。
さらに、実施例1と同様にして酸素吸収性フィルムを得て、各評価に供した。結果を表1に示す。
【0048】
(比較例7)
酸成分(A)として4−メチル−Δ3−テトラヒドロ無水フタル酸を45モル%及びcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸を21モル%含有するメチルテトラヒドロ無水フタル酸異性体混合物(日立化成社製;HN−2200)を99.7g、アジピン酸(和光純薬社製)を58.5g、ネオペンチルグリコール(東京化成工業)を125.0g、重合触媒としてイソプロピルチタナートを500ppm、及びトルエン10mlを用いた以外は実施例1と同様に重合を行い、Tgがー6.3℃のポリエステル樹脂を得た。このときMnは約3500で、Mwは27500であった。
さらに、実施例1と同様にして酸素吸収性フィルムを得て、各評価に供した。結果を表1に示す。
【0049】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の酸素吸収性樹脂を配合した接着剤組成物を、従来のドライラミネート用接着剤の代替として用いることにより、優れた脱酸素性能を有する軟包材を簡単に製造することができる。この酸素吸収性軟包材により、酸素に敏感な食品や医薬品、電子部品等の品質を長期間維持することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸成分(A)、コハク酸及びエチレングリコールに由来する構造単位を含むポリエステルであって、酸成分(A)の全酸成分に対する割合が45〜75モル%であり、コハク酸の全酸成分に対する割合が25〜55モル%であり、ガラス転移温度が2〜15℃である、酸素吸収性樹脂:
酸成分(A):テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体。
【請求項2】
酸成分(A)がメチルテトラヒドロフタル酸又はメチルテトラヒドロ無水フタル酸である、請求項1に記載の酸素吸収性樹脂。
【請求項3】
酸成分(A)が(i)及び(ii)からなる群より選ばれる構造を有する酸成分を50〜100モル%含有する、請求項1又は2に記載の酸素吸収性樹脂:
(i)下記構造(a)及び(b)の両方の基に結合し、かつ、1個の水素原子と結合した炭素原子を有し、該炭素原子が脂環構造に含まれているジカルボン酸若しくはジカルボン酸無水物;
(a)炭素−炭素二重結合基、
(b)カルボニル基;及び
(ii)不飽和脂環構造内の炭素−炭素二重結合に隣接する炭素原子が電子供与性置換基及び水素原子と結合し、かつ、該炭素原子に隣接する別の炭素原子がカルボニル基と結合しており、該電子供与性置換基と該カルボニル基とがシス位に位置しているジカルボン酸若しくはジカルボン酸無水物。
【請求項4】
(i)の構造を有する酸成分が4−メチル−Δ3−テトラヒドロフタル酸又は4−メチル−Δ3−テトラヒドロ無水フタル酸であり、(ii)の構造を有する酸成分がcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロフタル酸又はcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸である、請求項3に記載の酸素吸収性樹脂。
【請求項5】
請求項1〜4に記載の酸素吸収性樹脂と、溶媒として酢酸エチルを含有する酸素吸収性接着剤樹脂組成物。

【公開番号】特開2011−144281(P2011−144281A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6832(P2010−6832)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】