説明

酸素濃縮装置

【課題】電源投入後にDC電源出力が負荷に対して供給されるまでの時間的な遅れを回避することができる酸素濃縮装置を提供する。
【解決手段】酸素濃縮装置50では、AC電源1の波形を判定してAC電源1が供給されているか否かを判定するAC電源判定回路4と、AC電源判定回路4によりAC電源1が供給されていると判定された場合には、AC電源判定回路4を制御するための中央処理部23の初期化前のタイミングでAC/DC電源14を動作させてAC/DC電源14からDC電源出力19を負荷に供給させ、AC電源判定回路4によりAC電源1が供給されていないと判定された場合には、中央処理部23の初期化後のタイミングでDC/DC電源13を動作させてDC/DC電源13からDC電源出力19を負荷に供給させる電源短時間起動回路200とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素濃縮装置に関し、特に取り込んだ原料空気を圧縮して、この圧縮空気を吸着剤に供給することで酸素の供給が可能な医療用の酸素濃縮装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧力スイング吸着法を利用した酸素濃縮装置は、原料空気中の酸素を透過させて窒素を選択的に吸着するゼオライトを吸着剤として用いることで濃縮酸素を得る構成になっている。
この方式の酸素濃縮装置によれば、取り込んだ原料空気をコンプレッサで圧縮して圧縮空気を発生し、吸着剤を内蔵した吸着筒に対してこの圧縮空気を供給することで該吸着剤に窒素を吸着させ酸素を生成する。そして、生成された濃縮酸素はタンクに貯めておき、減圧弁や流量設定器を介してタンクから所定流量の酸素を供給可能な状態にすることで、患者は鼻カニューラ等の器具を用いて酸素吸入ができる。
【0003】
この酸素濃縮装置はAC電源(商用交流100V電源)が利用できる場所に設置しておけば、例えば肺機能が低下した在宅酸素療法患者が、就寝中でも安全に酸素を吸うことができるようになり安眠できる。特に、在宅酸素療法患者が就寝中も使用する場合には、酸素濃縮装置は騒音発生が極めて少ないことが好ましい。例えば、酸素濃縮装置の騒音は、室内の空調設備から発生する騒音レベル以下となることが望ましい。
【0004】
また、慢性気管支炎等の呼吸器疾患の患者の治療法として有効となる長期酸素吸入療法に使用される酸素濃縮装置は、一般的には可搬型ではなく、患者が外出先に持ち出せるようには構成されていない。
患者がやむなく外出する場合には、例えば、所定の収容容器に酸素を充填した酸素ボンベを搭載したカートを押しながら、その酸素ボンベから濃縮酸素を吸うようにしている。この酸素ボンベに対する酸素の充填は専用設備にて行なわなければならない。そこで、可搬型や移動型の酸素濃縮装置が提案されており、可搬型や移動型の酸素濃縮装置は、原料空気を取り込んで圧縮空気と減圧空気を発生するコンプレッサを備え、この種の酸素濃縮装置は、AC電源だけでなく、AC電源に代えて繰り返して充電可能なバッテリであるDC電源を利用している(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−111016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の酸素濃縮装置は、AC電源を利用できる場所であってもAC電源を利用できない場所であっても酸素生成を行えるようにするために、バッテリを有するDC電源を備えており、AC電源とDC電源(直流電源)を切り替えることができる二電源供給回路を有している。この二電源供給回路は中央処理部(CPU)を有し、二電源供給回路はAC電源を任意のDC電源出力に変換して負荷に対して供給するためのAC/DC電源と、DC電源を任意のDC電源出力に変換して負荷に対して供給するためのDC/DC電源を備えている。
AC電源を利用できる場所では、AC/DC電源がDC/DC電源よりも優先して任意の直流電源出力を負荷に対して供給できるようにするために、上記の二電源供給回路のCPUは、停電しておらずAC電源が正常に供給されている状態であるか、停電しておりAC電源が供給されていない状態であるかを判定する必要がある。
【0007】
ここで、二電源供給回路のCPUのプログラムは、上記のようなAC電源の供給の有無を判定する作業を、CPUの初期化を済ませてからプログラムの処理速度に依存して行うようになっている。
このため、「AC電源の供給有り」と判定してからAC/DC電源から負荷に対してDC電源出力を与え、あるいは停電していて「AC電源の供給無し」と判定してからAC/DC電源からDC/DC電源に切り替えて、DC/DC電源から負荷に対してDC電源出力を与える。
すなわち、これまでの酸素濃縮装置では、使用者が電源スイッチを投入した後に、AC電源の供給の有無を判定する作業を、CPUの初期化を済ませてからプログラムの処理速度に依存して行っている。このようにしてAC/DC電源とDC/DC電源の電源供給ラインを切り替えるようにしていることから、この切り替え作業に時間がかかり、ユーザは、電源スイッチが投入後に、負荷に対してDC電源出力が供給されるまでに比較的長い時間待たされる。
このため、ユーザが、待ち時間の間に、酸素濃縮装置が故障していると勘違いしてしまうことが懸念される。
本発明は以上の課題を解決するためになされたものであり、電源投入後、負荷に対してDC電源出力を迅速に供給することができる酸素濃縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の酸素濃縮装置は、AC電源によりAC/DC電源から負荷に対してDC電源出力を供給するか、あるいはDC電源によりDC/DC電源からDC電源出力の供給を負荷に対して行うことで、原料空気から濃縮酸素を生成する酸素濃縮装置であって、前記AC電源の波形を判定して前記AC電源が供給されているか否かを判定するAC電源判定回路と、電源投入後に前記AC電源判定回路により前記AC電源が供給されていると判定された場合には、前記AC電源判定回路を制御するための中央処理部の初期化前のタイミングで前記AC/DC電源を動作させて前記AC/DC電源から前記DC電源出力を前記負荷に供給させ、前記AC電源判定回路により前記AC電源が供給されていないと判定された場合には、前記中央処理部の初期化後のタイミングで前記DC/DC電源を動作させて前記DC/DC電源から前記DC電源出力を前記負荷に供給させる電源短時間起動回路とを備えることを特徴とする。
上記構成によれば、電源投入後、中央処理部の初期化以前においても、AC電源判定回路が、AC電源の供給さえ確認できれば、AC/DC電源を利用し交流−直流変換して、電源出力の供給を中央処理部のプログラムにおける判定を待たずに、変換後のDC電源出力を負荷に対して、前記電源投入と同時に供給することができる。
例えば、酸素濃縮装置のプラグがコンセントに挿入されていない場合には、前記中央処理部の初期化後のタイミングで、例えば内蔵のDC電源からのDC電源出力が負荷に対して供給される。
このように、電源投入後にDC電源出力が負荷に対して供給されるまでの時間的な遅れを回避することができるから、ユーザが、例えばプラグをコンセントに差し込んでいるのに、なかなか酸素濃縮装置が起動しないことから、停電や機器の故障であると誤って判断したり、疑念を持ったりすることがない。また、DC電源からDC電源出力を使用しなければならない場合には、従来どおり中央処理部のプログラムの初期化を待って、適切にDC電源が供給されるが、この場合は、通常、プラグがコンセントに差し込まれていないので、ユーザは故障などの疑いを持つことはない。
【0009】
本発明の酸素濃縮装置では、前記電源短時間起動回路は、前記中央処理部の初期化後のタイミングで前記中央処理部は前記AC電源が供給されているか否かの判定を行うAC電源供給判定中に前記DC/DC電源を動作させて前記DC/DC電源から前記DC電源出力を前記負荷に供給させることを特徴とする。
上記構成により、中央処理部の初期化後のタイミングでAC電源供給判定中に前記DC/DC電源を動作させて前記DC/DC電源から前記DC電源出力を前記負荷に供給するので、AC電源の供給の判定結果を待たずにDC/DC電源から前記DC電源出力を前記負荷に供給でき、電源投入後にDC電源出力が負荷に対して供給されるまでの時間的な遅れを回避することができる。
【0010】
本発明の酸素濃縮装置では、使用者が操作することでオンオフ可能な電源スイッチを有し、前記電源スイッチがオンされると、前記電源短時間起動回路は、前記AC電源判定回路により前記AC電源が供給されていると判定された場合には、前記AC電源判定回路を制御するための中央処理部の初期化前のタイミングで前記AC/DC電源を動作させて前記AC/DC電源から前記DC電源出力を前記負荷に供給させることを特徴とする。
上記構成により、使用者が電源スイッチをオンして電源投入後に、DC電源出力が負荷に対して供給されるまでの時間的な遅れを回避することができる。
【0011】
本発明の酸素濃縮装置では、前記DC電源は、前記AC電源からの電源供給により繰り返して充放電可能なバッテリを有することを特徴とする。
上記構成により、DC電源のバッテリはAC電源を電気的に接続すれば、AC電源からの電源供給により充電可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、電源投入後、負荷に対してDC電源出力を迅速に供給することができる酸素濃縮装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の酸素濃縮装置の実施形態の外観を示す前側から見た斜視図である。
【図2】図1の酸素濃縮装置の外観の背面図である。
【図3】図1と図2に示す酸素濃縮装置の概略構成を示す系統図である。
【図4】電源供給判定回路を有する電源短時間起動回路の構成を示す図である。
【図5】図5(A)は、電源供給判定回路の電源供給判定表を示し、図5(B)は、電源供給判定回路の動作タイミングを示す図である。
【図6】図6(A)は、AC電源判定回路を示し、図6(B)は、AC電源判定波形を示す図である。
【図7】自動電源遮断回路の回路構成を示す図である。
【図8】図7の自動電源遮断回路の動作タイミングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
図1は、本発明の酸素濃縮装置の実施形態の外観を示す前側から見た斜視図である。図2は、図1の酸素濃縮装置の外観の背面図である。
図1と図2に示す酸素濃縮装置50は、例えば、携帯型(可搬型や移動型ともいう)の酸素濃縮装置である。図1に示す酸素濃縮装置50は、例えば、酸素生成原理として圧縮空気による圧縮空気力変動吸着法(PSA)を用いている。
【0015】
図1と図2に示す酸素濃縮装置50は、一例として90%以上に濃縮された酸素の供給流量が最大5Lクラス(5L/分)の酸素濃縮装置(高さ62.5cm,幅35cm,奥行き29.5cm,重量23kg)であり、酸素流量の設定単位は、例えば0.25L〜5.00Lまで設定できる(0.25L〜2.00Lまでは、0.25Lごと、2.00L〜5.00Lまでは、0.50Lごと)。酸素濃縮装置50は、ほぼ直方体状の主筐体102と、流量設定が可能な表示部128と、加湿器74と、カニューラ掛け102Kと、4隅のキャスタ102Tを有している。
主筐体102は、フロントパネル102Fと、左右のサイドパネル102Sと、リアパネル102Rと、上面部102Dと、底部102Bを有している。図1に示すように、上面部102Dには表示部128と、酸素出口部100と、電源スイッチ101等が配置されている。フロントパネル102Fの上部には、幅方向のほぼ中央に加湿器74の配置部102Gが開口して設けられている。キャスタ102Tは底部102Bの四隅部分に配置され、酸素濃縮装置50はこれらのキャスタ102を用いて移動可能になっている。
【0016】
図2を参照すると、リアパネル102Rは、上部の中央位置に主筐体102内に外気を取り入れるための空気取り入れ口105が形成され、下部の右側に主筐体102内の温まった空気を外部に排出するための排気口106が形成されている。空気取り入れ口105の内面側には、空気取り入れフィルタ51が着脱可能に装着されている。その他に、左右のサイドパネル102Bは取手108を有し、底部102Bは巻き取り式の電源コード9を有している。
【0017】
図3は、図1と図2に示す酸素濃縮装置50の概略構成を示す系統図である。
図3において、酸素濃縮装置50は、制御部30を備えている。制御部30は、生成する酸素量に応じた、最適な動作モードに切り替える機能を備えており、後述するように、自動的にコンプレッサ52と送風ファン53を、多くの酸素生成をする場合は高速に、少ない酸素生成時において低速に、それぞれ回転駆動する制御を行う。
【0018】
図3の制御部30には、原料空気から濃縮酸素を生成する濃縮酸素生成手段を構成するコンプレッサ52のモータおよび送風ファン53のモータの駆動制御を夫々行うモータ制御部やセンサ類が直接あるいは付加する制御部を介して電気的に接続されているが、その配線は図3を見にくくして理解を妨げるので省略する。
制御部30には、バッテリ24と、家庭用の交流電源用のコンバータ等を内蔵したアダプタ31が接続されている。バッテリ24としては、例えば、繰り返して充放電可能でいわゆるマネジメント機能を備えたリチウムイオンバッテリ等の二次電池が使用されている。
制御部30には所定動作プログラムを記憶したROM(読み出し専用メモリ)が内蔵されるとともに、制御部30には記憶装置と揮発メモリと一時記憶装置とリアルタイムクロック等がさらに接続されており、制御部30は図示しない外部コネクタを介して通信回線などと接続することで記憶内容へのアクセスが可能となるように構成されている。
【0019】
図3において、酸素濃縮装置50は、図2に示す空気取り入れ口105から原料空気を取り入れるようになっており、取り入れされた原料空気は、空気取り入れ管L1とフィルタ51を通じて、空気圧縮部としてのコンプレッサ52に供給され、コンプレッサ52は濃縮酸素を生成するために必要な圧縮空気を発生させている。このコンプレッサ52の近傍には、コンプレッサ52を冷却するための送風ファン53が設けられており、コンプレッサ52の昇圧とともに温度が上がるので、この送風ファン53はコンプレッサ52を冷却する。
【0020】
コンプレッサ52からは、安全弁54と熱交換器55が接続された圧縮空気の送り管L2が延びている。その圧縮空気の送り管L2の下流側と供給経路切り替え手段56との間は、送り管L4により接続されている。送り管L4は、2つに分かれた分岐管L4−1、L4−2を備え、分岐管L4−1は、第1の三方弁57に接続され、分岐管L4−2は、第2の三方弁58に接続されている。第1の三方弁57と第2の三方弁58は、供給経路切り替え手段56に対して通電することで、流路の切り替えができる2位置切換え型のパイロット弁付電磁弁である。
【0021】
図3に示すように、第1の三方弁57のノーマルオープンポート57aに分岐管L4−1の先端の加圧空気ポートが接続され、この第1の三方弁57のノーマルクローズポート57bにはバイパス管L5が接続されている。バイパス管L5は大気解放管L6に接続されている。同様に、第2の三方弁58のノーマルオープンポート58aに分岐管L4−2先端の加圧空気ポートが接続され、ノーマルクローズポート58bはバイパス管L5と接続された大気解放管L6に接続されている。大気解放管L6の下流には、大気解放時の消音を図るためのサイレンサ59が配置されている。
【0022】
三方弁57の出口ポート57cは、原料空気から濃縮酸素を生成する濃縮酸素生成手段を構成する第1吸着筒61に対して管路L7を介して接続され、三方弁58の出口ポート58cは、第2吸着筒62に対して管路L8を介して接続されている。第1吸着筒61と第2吸着筒62内には、それぞれ合成ゼオライトが充填されている。第1吸着筒61と第2吸着筒62の出口側から延びる管路L9、L10は、1つの均等圧弁63に接続されている。第1吸着筒61と第2吸着筒62の下流には、管路L11、L12と逆止弁64,65を介して、製品タンク66が配置されている。この製品タンク66は、生成した濃縮酸素を貯留するためのタンクであり、製品タンク66にはこのタンク内の圧力を計測するための圧力センサ67が接続されている。
製品タンク66から延びる下流の配管L13には、圧力調整器(減圧弁)68、フィルタ69、酸素センサ71、流量コントローラ72、圧力センサ73、加湿器74、流量センサ75が順次接続され、濃縮酸素は酸素出口部100と図示しない鼻カニューラを通じて、使用者に供給できるようになっている。
【0023】
上述した酸素濃縮装置50を使用して、濃縮酸素を使用者に供給する場合には、室内の原料空気は、図2の空気取り入れフィルタ51と吸気フィルタを経て、コンプレッサ52で加圧され、合成ゼオライトが充填されている第1吸着筒61と第2吸着筒62に送りこまれる。この合成ゼオライトは、例えばSi/Al比が2.0〜3.0であるX型ゼオライトであり、かつこのAlの四面体単位の少なくとも88%以上をリチウムカチオンと結合させたものを用いることで、単位重量当たりの窒素の吸着量を増やせるようにしている。送りこまれた原料空気の窒素は、加圧された状態で第1吸着筒61と第2吸着筒62内の合成ゼオライトにより吸着されて濃縮酸素が生成される。第1吸着筒61と第2吸着筒62の内の一方で窒素を吸着し、第1吸着筒61と第2吸着筒62の内の他方は、三方弁57,58の切り替え動作により圧力を開放して吸着している窒素を脱離して、合成ゼオライトの再生が行われる。
【0024】
脱離された窒素は、管路L6とサイレンサ59を通じて室内に排出される。第1吸着筒61と第2吸着筒62を交互に使用することにより、連続して濃縮酸素を生成する。生成された濃縮酸素は、製品タンク66に貯められて、圧力調整器72により一定圧力にされた後に、患者等の使用者に供給される。使用者は、酸素出口部100と鼻カニューラとを経て、例えば最大流量5L/分の流量で、約90%程度以上に濃縮された酸素の吸入が可能である。
【0025】
次に、図4は、電源短時間起動回路200の構成を示す図である。図5(A)は、電源短時間起動回路200の電源供給判定表を示し、図5(B)は、電源短時間起動回路200の動作タイミングを示す図である。図6の図6(A)は、AC電源判定回路4を示し、図6(B)は、AC電源判定波形を示す図である。
まず、図4に示す電源短時間起動回路200の構成を説明する。
図4に示す電源短時間起動回路200は、図3に示す制御部30内に配置されており、この電源短時間起動回路200は、DC電源(直流電源)2と、制御用電源3と、第1電源スイッチ10(図1の電源スイッチ101に不図示の回路を設けてスイッチ信号を機能拡張したもので、電源スイッチ101と同様の機能である)と第2電源スイッチ11と、電源供給判定回路12と、DC/DC電源13と、AC/DC電源14を有している。DC電源2と制御用電源3とAC/DC電源14の整流器14Rが、AC電源(商用交流電源)1に対して電気的に接続されている。電源供給判定回路12は、AC電源1とDC電源2の2つの異なる電源の供給状態を判定する。
【0026】
図4に示すDC電源2は、充電・出力制御回路7と、AC電源判定回路4を有している。充電・出力制御回路7は、DC出力スイッチ9、バッテリ24を有する。AC電源判定回路4は、CPU(中央処理部)23を有している。このCPU23は、DC電源2を制御するために配置されている。DC電源2は、AC電源1からの電源供給により繰り返して充放電可能なバッテリ24を有する。これにより、DC電源2のバッテリ24はAC電源1を電気的に接続すれば、AC電源1からの電源供給により繰り返して充電可能である。
充電・出力制御回路7のDC出力スイッチ9をオンすると、DC入力22がDC/DC電源13に対して入力されるようになっている。
AC電源判定回路4から電源供給判定回路12に対して停電検出(信号)5と復電検出(信号)6が入力される。制御用電源3から電源供給判定回路12に対して制御電源25が供給される。GND21と電源供給判定回路12の間には、第1電源スイッチ10が配置され、AC電源1と整流器14Rの間には、第2電源スイッチ11が配置されていて、第1電源スイッチ10と第2電源スイッチ11のオンオフ操作は連動している。第1電源スイッチ10をオンすると、GND21から電源供給判定回路12に対して第1電源スイッチ信号26が送られる。制御電源25と第1電源スイッチ信号26の間には、抵抗R20が配置されている。
【0027】
図4の電源供給判定回路12は、3つのインバータ回路12B、12H、12K、アンド回路12C、オア回路12D、アンド回路12F、12Gを有している。停電検出5は、アンド回路12Gの入力端とインバータ回路12Hの入力端に入力され、アンド回路12Gは、DC/DC電源13に対してON1(DC/DC電源動作信号)15を出力する。
復電検出6は、インバータ回路12B入力端とオア回路12Dの入力端に入力され、インバータ回路12B、12Hの出力端はアンド回路12Cの入力端に入力され、アンド回路12CからのDC電源無し信号28は、オア回路12Dの入力端に入力されることで、オア回路12Dの出力端からはアンド回路12Fの入力端に対して復電制御信号29が入力される。第1電源スイッチ信号26はインバータ回路12Kの入力端に入力され、インバータ回路12Kの出力端からは、電源スイッチ信号27がアンド回路12Gの入力端とアンド回路12Fの入力端に入力される。
【0028】
アンド回路12Fは、ON2(AC/DC電源動作信号)16をAC/DC電源14に出力する。DC/DC電源13から出力される第1DC出力17、あるいはAC/DC電源14から出力される第2DC出力18は、DC電源出力19として酸素濃縮装置の負荷Mに供給されるようになっている。
AC/DC電源14は、AC電源1の交流電源を直流電源に変換して任意の直流電源出力であるDC電源出力19を生成するためのものである。DC/DC電源13は、バッテリ24の直流電源を直流/直流変換して任意の直流電源出力であるDC電源出力19を生成するためのものである。
【0029】
ここで、図6(A)を参照して、図4に示すDC電源2のAC電源判定回路4の構成例を説明する。
図6(A)に示すAC電源1は、例えば商用交流電源であるAC100V電源であり、端子AC1、AC2とスイッチ13Tを介してトランス2Tに電気的に接続されている。このトランス2Tは、整流器3RとコンデンサC4を介して電圧安定化回路5Dに接続されている。また、トランス2Tは、抵抗R1、R2、R3を介して、AC電源判定回路4に接続されている。
図6(A)に示す電圧安定化回路5DとAC電源判定回路4からは、電源出力V16CとGND7Cが得られる。電圧安定化回路5Dは、AC電源判定回路4に配置されたCPU23に供給するDC電源であり、電源出力V16CがCPU23の電源として供給されている。抵抗R3の両端に発生するAC電源判定電圧V2は、抵抗R1、R2、R3により調整されており、AC電源判定電圧V2はCPU23が判断できるように調整された電圧である。
図6(B)には、WAVE(AC電源判定波形)15Wを示している。AC電源有無を判定するためのCPU23の判定プログラムは、このWAVE(AC電源判定波形)15Wの極大―極小値、AC電源判定電圧V2、1/2周期期間T2、T3、そしてAC電源周期期間T1等により、正弦波および周波数の判定をする。このAC電源有無の判定時間は数秒を要しており、AC電源有無の判定時間は図5(B)に示すAC電源供給判定時間t3に相当する。
【0030】
次に、図4と図5を参照して、酸素濃縮装置における電源短時間起動回路200の動作を説明する。
なお、図5(A)に示すように、本発明の実施形態の酸素濃縮装置の電源短時間起動回路200では、「DC電源2」有りのシステム構成と、「DC電源2」無しのシステム構成がある。なお、「DC電源2」無しの場合は図4に示すDC/DC電源13及びDC電源2が構成からはずされる。
【0031】
図5(A)において、図4のDC/DC電源13が無いシステム構成では、(すなわちAC電源1が電気的に接続されていて停電していない場合)AC/DC電源14がオンとなり、DC/DC電源13はオフになり、DC電源出力19はオンである。AC電源1が電気的に接続されているが停電している場合、AC/DC電源14がオフになり、DC/DC電源13はオフになり、DC電源出力19はオフである。
これに対して、図5(A)において、DC/DC電源13が有るシステム構成では、CPU23から復電検出6がある(すなわちAC電源1が電気的に接続されていて停電していない場合)とAC/DC電源14がオンとなり、DC/DC電源13はオフになり、DC電源出力19はオンである。CPU23から停電検出5がある(すなわちAC電源1が電気的に接続されているが停電している場合)とAC/DC電源14がオフになり、DC/DC電源13はオンになり、DC電源出力19はオンである。このように、AC電源1が電気的に接続されておりAC電源出力が供給されていると、DC電源であるバッテリ24に優先して供給されるようになっている。
【0032】
図4に示すAC電源判定回路4中のCPU23が、図6(B)に示すAC電源判定波形15WをCPUプログラムで判定して、AC電源1が電気的に接続されて供給されているか、あるいは接続されておらず供給されていないかを判定する。
図4において、「DC電源2」無しのシステム構成においては、電源供給判定回路12が「DC電源2」無しを判定して、AC/DC電源14を動作させる。「DC電源2」無しの場合には、停電検出5と復電検出6がインアクティブ(INACTIVE)となり、電源供給判定回路12が動作して、ON1(DC/DC電源動作信号)15がインアクティブになる一方、ON2(AC/DC電源動作信号)16がアクティブ(ACTIVE)となってAC/DC電源14だけが動作する。従って、第1電源スイッチ10と第2電源スイッチ11が連動してオンされていた場合には、AC電源1が整流器14Rに供給されるので、第2DC出力18が、DC電源出力19としてコンプレッサ52のモータや送風ファンのモータ、パイロットランプ等の負荷Mに対して出力される。
【0033】
一方、図4において、「DC電源2」有りのシステム構成においては、CPU23からの停電検出5がアクティブの場合(すなわちAC電源1が停電中)には、CPU23が、DC出力スイッチ制御信号8をアクティブにし、DC出力スイッチ9をオンして、バッテリ24のDC電源出力をDC入力22としてDC/DC電源13に対して出力させる。さらに、ON1(DC/DC電源動作信号)15がアクティブになり、ON2(AC/DC電源動作信号)16がインアクティブになり、DC/DC電源13だけが動作する。従って、第1電源スイッチ10と第2電源スイッチ11が連動してオンされた場合には、DC/DC電源13からの第1DC出力17が、DC電源出力19としてコンプレッサ52のモータや送風ファンのモータ、パイロットランプ等の負荷Mに対して出力される。
【0034】
また、「DC電源2」有りのシステム構成において、CPU23からの復電検出6がアクティブである場合には、ON1(DC/DC電源動作信号)15がインアクティブになり、ON2(AC/DC電源動作信号)16がアクティブになり、AC/DC電源14が動作する。従って、第1電源スイッチ10と第2電源スイッチ11が連動してオンされた場合には、AC/DC電源14がDC/DC電源13に対して優先して動作して、AC/DC電源14からの第2DC出力18が、DC電源出力19としてコンプレッサ52のモータや送風ファンのモータ、パイロットランプ等の負荷Mに対して出力される。
【0035】
ここで、図5(B)の電源短時間起動回路200の動作タイミングを参照する。
図5(B)では、AC電源1、制御電源25、第1電源スイッチ10、第2電源スイッチ11、電源出力V16C、停電検出5、復電検出6、ON2(AC/DC電源動作信号)16、ON1(DC/DC電源動作信号)15、第2DC出力18、第1DC出力17、そしてDC電源出力19についての動作タイミング関係例を示している。
図5(B)において、第1電源スイッチ10と第2電源スイッチ11が時刻TT1で連動してオンされて、CPU23のために電源出力V16Cが出力されるまでの期間をt1で示している。この時刻t1の終了時刻TT2からCPU23のプログラム初期化が開始され、プログラム初期化が終了するまでの初期化期間をt2で示している。この初期化期間t2の後に、CPU23がAC電源供給判定するためのAC電源供給判定期間をt3で示し、CPU23がAC電源供給判定結果を出したタイミングはt4の開始時点TT5(TT5をt4の左側とする)である。
【0036】
図4と図5(B)を参照すると、図4と図5(B)に示すAC電源1が、図5(A)に示す時刻TT0において供給された場合には、制御電源25は常時動作しており、図4に示すようにこの制御電源25が電源供給判定回路12に供給されるので、電源供給判定回路12は動作している。
使用者が図5(A)に示す時刻TT1において、図4の第1電源スイッチ10と第2電源スイッチ11を連動してオンすると、図5(B)に示すようにON2(AC/DC電源動作信号)16がアクティブになり、AC/DC電源14から第2DC出力18が出力されるので、DC電源出力19が出力される。また、図5(B)に示す電源出力V16Cも時刻TT2において出力され、CPU23が期間t2においてプログラムの初期化を実行する。
このCPU23は、AC電源供給判定プログラムを作動する前に、停電検出5と復電検出6をアクティブにして、DC/DC電源13とAC/DC電源14をアクティブにし、ON2(AC/DC電源動作信号)16とON1(DC/DC電源動作信号)15を同時にアクティブにして、DC/DC電源13とAC/DC電源14を同時に作動させ、AC電源1が供給されていない(すなわち停電中)の場合には、図4のDC電源2のバッテリ24から、DC/DC電源13を介してコンプレッサのモータ等の負荷Mに対して電源供給する。
【0037】
これにより、図5(B)におけるTT5(TT5をt4の左側とする)の「AC電源供給判定結果」が出るのを待たずに、「AC電源供給判定結果」以前に、AC電源1が供給されている(停電しておらず通電が可能な状態)場合には、AC電源1がバッテリ24に優先して、期間t1中の時刻TT3のタイミングで、DC電源出力19が負荷Mに対して供給される。
また、AC電源1が供給されていない(停電しており通電が不可能な状態)場合には、期間t3中の時刻TT4のタイミングで、バッテリ24からのDC電源はDC/DC電源13で直流―直流変換されて、DC/DC電源13からDC電源出力19が負荷Mに対して供給される。
従って、CPU23のプログラムが初期化される以前では、AC電源1の供給をCPU23のプログラムでは判断せずに、AC電源1をAC/DC電源14に同時に供給し、その後、CPU23のプログラムでAC/DC電源14の供給の有無を判定して、適切に切り替えて、二電源供給の判定時間によって電源スイッチの投入後に、DC電源出力19が負荷Mに対して供給されるまでの遅れが生じてしまうことを回避して、電源を短時間で起動することができる。
【0038】
次に、図7と図8を参照して、酸素濃縮装置における自動電源遮断回路300の構成と動作について説明する。
図7は、自動電源遮断回路300の回路構成を示す図である。図8は、図7の自動電源遮断回路300の動作タイミングを示す図である。
図7の自動電源遮断回路300は、図3に示す制御部30内に配置されており、自動電源遮断回路300では、AC/DC電源14は、AC電源1からAC/DC電源入力311a、311bが入力され、AC/DC電源14は、電源供給スイッチ306にAC/DC電源出力312を供給する。電源供給スイッチ306がオンすると、AC/DC電源14は酸素濃縮装置用のDC電源313を出力し、このDC電源313はCPU供給電源320としてCPU23に対して供給されるとともに、蓄電器供給電源321として電源スイッチ309bを介して保持制御信号用蓄電器308に供給される。この保持制御信号用蓄電器308の一端部は電源スイッチ309bを接続し、この保持制御信号用蓄電器308の他端部はグラウンド310bに接地されている。
【0039】
図7のAC/DC電源14はグラウンド310cに接地されている。電源供給スイッチ306は、電源スイッチ309aと電源制御スイッチ307に接続されている。電源スイッチ309aはグラウンド310aに接地されている。電源制御スイッチ307は、2入力NAND回路305の出力側に接続され、NAND回路305の入力側はCPU23と保持制御信号用蓄電器308側に接続されている。電源スイッチ309a、309b、309cは連動してオンオフできる。電源スイッチ309cはグラウンド310cに接地されている。
【0040】
図7において、AC/DC電源14がAC電源1からAC/DC電源入力311a、311bが入力され、使用者が電源スイッチ309a、309b、309c(図1の電源スイッチ101に不図示の回路を設けてスイッチ信号を機能拡張したもので、これらは電源スイッチ101と同様の機能である)を連動してオンすると、電源制御信号322がアクティブになり、電源供給スイッチ306がオンして、AC/DC電源14は酸素濃縮装置用のDC電源313を出力し、このDC電源313はCPU供給電源320としてCPU23に対して供給されるとともに、蓄電器供給電源321として電源スイッチ309bを介して保持制御信号用蓄電器308を充電し、NAND回路305の一方の入力信号であるハードウェア保持制御信号315をアクティブにする。酸素濃縮装置用のDC電源313は、図示していないNAND回路305の電源及びCPU23のCPU電源318に供給され、予めCPU23は設定されているプログラムを起動する。
【0041】
このCPU23に設定されているプログラムは、この起動時に必要な初期設定等の処理後、NAND回路305の他方の入力信号である電源保持制御信号314をアクティブにする。これにより、NAND回路305の出力である電源制御スイッチオン/オフ信号316がアクティブになって電源制御スイッチ307がオンになり、電源制御信号322が電源スイッチ309aと並列にアクティブとなり、電源供給スイッチ306を重複してオンさせる。この後、酸素濃縮装置では図8に示す動作タイミングに従って酸素生成動作が実行される。
【0042】
図8に示す酸素生成動作の途中で電源スイッチ309aが、例えば図8に示す動作タイミングで示す「電源スイッチオフタイミングTF」で連動されている電源スイッチ309a、309b、309cがオフされると、蓄電器308の電荷蓄積量は、TPのタイミングまで2入力NAND回路305の入力信号315をアクティブに保持できる能力があり、電源制御スイッチ307はオンを続行する。CPU23は酸素生成動作を終了するTRのタイミングまで酸素濃縮装置50を動作させ、電源保持制御信号314をインアクティブにし、2入力NAND回路305の電源制御スイッチオン/オフ信号316がインアクティブになって電源制御スイッチ307がオフになり、電源制御信号322がインアクティブとなり、電源供給スイッチ306が非導通になり、酸素濃縮装置用のDC電源313の供給が絶たれる。従って、CPU23と酸素濃縮装置50の動作が、図8に示す電源スイッチのオフタイミングTRにおいて停止する。
この動作停止の結果、図8に示すように、CPU23と酸素濃縮装置50の動作の停止である電源スイッチのオフタイミングTRが、従来の場合の電源オフタイミングTPよりも、電力低減時間HTだけ早いために、オフタイミングTR〜TP間である図8の「電力低減時間HT」における無駄な電力消費を防止できる。
【0043】
ここで、図8を参照して、酸素濃縮装置の動作タイミング例を説明する。
図8においては、起動時TG、通常運転時動作シーケンスSS、電源スイッチ309a、309b、309cのオフタイミングTF、本発明の実施形態における改良後の電源オフタイミングTR、比較例である従来の電源オフタイミングTPを示している。
図8では、図7の電源スイッチ309a、309b、309cをオンした後、電源供給によりハードウェア保持制御信号315が立ち上がるとともにCPU23の命令により電源保持制御信号314が立ち上がる。これにより、図3に示す酸素生成機構のコンプレッサ52が起動され、三方弁57,58が交互に各2秒間駆動(2―3ポート間が貫通)され、第1吸着筒(SV1)61と第2吸着筒(SV2)62がサイレンサ59を介して大気につながり、第1吸着筒61と第2吸着筒62の圧力が徐圧される。
【0044】
図3の三方弁57が、コンプレッサ52の起動前に、1秒間非駆動状態(1−2ポートが貫通、すなわちノーマルオープンポート57a―出口ポート57cが貫通)にし、コンプレッサ52の起動後は、コンプレッサ52から第1吸着筒61と第2吸着筒62内に圧縮空気が送り込まれる。三方弁57が非駆動(1−−2ポートが貫通)の場合には、第1吸着筒61がコンプレッサ52につながり加圧され、三方弁58が非駆動(1−−2ポートが貫通)の場合には、第2吸着筒62がコンプレッサ52につながり加圧される。
図3の製品タンク66内の圧力を監視するセンサ67が、図8に示す通常運転時動作シーケンスSSにおいて最高圧力P1を検知すると、次のT1(洗浄工程)とT2(均圧工程)に進む。再びセンサ67が、最高圧力P1を検知すると、T3(洗浄工程)とT4(均圧工程)に進み、このシーケンスを繰り返すことにより連続的に濃縮酸素が生成される。
【0045】
通常の運転時動作シーケンスSSに従い酸素生成の連続運転している際に、使用者が図7の電源スイッチ309a、309b、309cを、図8の電源スイッチオフタイミングTFにおいてオフすると、電源スイッチオフタイミングTF以降に最高圧力P1を検知した後に、本発明の実施形態における改良後の電源オフタイミングTRにおいてコンプレッサ52が停止し、三方弁57、58の停止直前の駆動が反転駆動されて、第1吸着筒61と第2吸着筒62内が徐圧されて終了する。その後、CPU23の命令により電源保持制御信号314がオフされ、直ちに電源がオフされる。
【0046】
通常用いられているハードウェアによる電源自己保持回路では、電源スイッチをオフして遮断後に、酸素濃縮装置の終了動作時間(酸素生成サイクル終了時間)以上経過した後に、図8に示す従来の電源オフタイミングTPにおいて電源を遮断するようになっている。このため、電源スイッチが遮断されるタイミングにより酸素濃縮装置の終了動作時間がまちまちになってしまう。すなわち、通常では自己保持回路の保持時間は、コンデンサの電荷蓄積量と放電量により決まる固定値である。従って、酸素濃縮装置の終了動作時間以上の余裕を持った時間HTが必要となり、酸素濃縮装置の終了動作後に酸素濃縮装置が長い時間HTだけ延長して動作することになる。ただし、酸素濃縮装置の終了動作後には新たな酸素生成サイクル動作には入らない。このため、通常の酸素濃縮装置の終了動作後に酸素濃縮装置の電源は自己保持時間動作をし、時間HTだけ無駄な電力消費をしている。
【0047】
これに対して、本実施形態の酸素濃縮装置では、図7と図8を参照して説明したように、図7に示す自動電源遮断回路300は、電源自己保持回路に従来のコンデンサ308を使用する回路と、CPU23の命令による電源制御スイッチ307を直列に入れて、電源スイッチを遮断後、酸素濃縮装置の終了動作が終了すると同時に、CPU23の命令によって電源スイッチを遮断して装置の電源を切る。従って、酸素濃縮装置の濃縮酸素の生成動作の動作終了後、ただちに酸素濃縮装置の電源が切れるので無駄な電力を消費することはない。また、CPU23のプログラムが暴走したとしても、コンデンサによる自己保持時間経過後は電源が遮断されるので、電源がオンのままになる危険も回避できる。
【0048】
本実施形態の酸素濃縮装置では、AC電源によりAC/DC電源から負荷に対してDC電源出力を供給するか、あるいはDC電源によりDC/DC電源からDC電源出力の供給を負荷に対して行うことで、原料空気を圧縮して圧縮空気を得て、圧縮空気から窒素を吸着して濃縮酸素を生成する酸素濃縮装置であって、AC電源の波形を判定してAC電源が供給されているか否かを判定するAC電源判定回路を有し、電源投入後にAC電源判定回路によりAC電源が供給されていると判定された場合には、AC電源判定回路を制御するための中央処理部の初期化前のタイミングでAC/DC電源を動作させてAC/DC電源からDC電源出力を負荷に供給させ、AC電源判定回路によりAC電源が供給されていないと判定された場合には、中央処理部の初期化後のタイミングでDC/DC電源を動作させてDC/DC電源からDC電源出力を負荷に供給させる電源短時間起動回路を備える。
これにより、中央処理部の初期化以前ではAC/DC電源からDC電源出力の供給を中央処理部のプログラムでは判定せずにAC/DC電源からDC電源出力を負荷に対して電源投入をするとともに供給することができ、電源投入後にDC電源出力が負荷に対して供給されるまでの時間的な遅れを回避することができる。
つまり、電源投入後、中央処理部の初期化以前においても、AC電源判定回路が、AC電源の供給さえ確認できれば、AC/DC電源を利用し交流−直流変換して、電源出力の供給を中央処理部のプログラムにおける判定を待たずに、変換後のDC電源出力を負荷に対して、前記電源投入と同時に供給することができる。
例えば、酸素濃縮装置のプラグがコンセントに挿入されていない場合には、前記中央処理部の初期化後のタイミングで、例えば内蔵のDC電源からのDC電源出力が負荷に対して供給される。
このように、電源投入後にDC電源出力が負荷に対して供給されるまでの時間的な遅れを回避することができるから、ユーザが、例えばプラグをコンセントに差し込んでいるのに、なかなか酸素濃縮装置が起動しないことから、停電や機器の故障であると誤って判断したり、疑念を持ったりすることがない。
また、DC電源からDC電源出力を使用しなければならない場合には、従来どおり中央処理部のプログラムの初期化を待って、適切にDC電源が供給されるが、この場合は、通常、プラグがコンセントに差し込まれていないので、ユーザは故障などの疑いを持つことはない。
【0049】
本発明の酸素濃縮装置の実施形態では、電源短時間起動回路は、中央処理部の初期化後のタイミングで中央処理部はAC電源が供給されているか否かの判定を行うAC電源供給判定中にDC/DC電源を動作させてDC/DC電源からDC電源出力を負荷に供給させる構成である。これにより、中央処理部の初期化後のタイミングでAC電源供給判定中にDC/DC電源を動作させてDC/DC電源からDC電源出力を負荷に供給するので、AC電源の供給の判定結果を待たずにDC/DC電源からDC電源出力を負荷に供給でき、電源投入後にDC電源出力が負荷に対して供給されるまでの時間的な遅れを回避することができる。
【0050】
本発明の酸素濃縮装置の実施形態では、使用者が操作することでオンオフ可能な電源スイッチを有し、電源スイッチがオンされると、電源短時間起動回路は、AC電源判定回路によりAC電源が供給されていると判定された場合には、AC電源判定回路を制御するための中央処理部の初期化前のタイミングでAC/DC電源を動作させてAC/DC電源からDC電源出力を負荷に供給させる構成である。これにより、使用者が電源スイッチをオンして電源投入後に、DC電源出力が負荷に対して供給されるまでの時間的な遅れを回避することができる。
【0051】
本発明の酸素濃縮装置の実施形態では、DC電源は、AC電源からの電源供給により繰り返して充放電可能なバッテリを有する。これにより、DC電源のバッテリはAC電源を電気的に接続すれば、AC電源からの電源供給により充電可能である。
【0052】
ところで、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明は様々な修正と変更が可能であり、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変形が可能である。
図1に示す酸素濃縮装置50のコンプレッサ52は、例えば5Lクラスのモータを用いているが、これに限らず例えば3Lクラス等に適するモータを用いても良い。また、原料空気から濃縮酸素を生成するには、圧力スイング吸着法に限られず、膜型であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1・・・AC電源、2・・・DC電源、10・・・第1電源スイッチ、11・・・第2電源スイッチ、13・・・DC/DC電源、14・・・DC/DC電源、19・・・DC電源出力、M・・・負荷、24・・・バッテリ、50・・・酸素濃縮装置、52・・・コンプレッサ、57・・・第1の三方弁、58・・・第2の三方弁、61・・・第1吸着筒、62・・・第2吸着筒、200・・・電源短時間起動回路、300・・・自動電源遮断回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
AC電源によりAC/DC電源から負荷に対してDC電源出力を供給するか、あるいはDC電源によりDC/DC電源からDC電源出力の供給を負荷に対して行うことで、原料空気から濃縮酸素を生成する酸素濃縮装置であって、
前記AC電源の波形を判定して前記AC電源が供給されているか否かを判定するAC電源判定回路と、
該AC電源判定回路により前記AC電源が供給されていると判定された場合には、前記AC電源判定回路を制御するための中央処理部の初期化前のタイミングで前記AC/DC電源を動作させて前記AC/DC電源から前記DC電源出力を前記負荷に供給させ、前記AC電源判定回路により前記AC電源が供給されていないと判定された場合には、前記中央処理部の初期化後のタイミングで前記DC/DC電源を動作させて前記DC/DC電源から前記DC電源出力を前記負荷に供給させる電源短時間起動回路と
を備えることを特徴とする酸素濃縮装置。
【請求項2】
前記電源短時間起動回路は、前記中央処理部の初期化後のタイミングで前記中央処理部は前記AC電源が供給されているか否かの判定を行うAC電源供給判定中に前記DC/DC電源を動作させて前記DC/DC電源から前記DC電源出力を前記負荷に供給させることを特徴とする請求項1に記載の酸素濃縮装置。
【請求項3】
使用者が操作することでオンオフ可能な電源スイッチを有し、
前記電源スイッチがオンされると、前記電源短時間起動回路は、前記AC電源判定回路により前記AC電源が供給されていると判定された場合には、前記AC電源判定回路を制御するための中央処理部の初期化前のタイミングで前記AC/DC電源を動作させて前記AC/DC電源から前記DC電源出力を前記負荷に供給させることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の酸素濃縮装置。
【請求項4】
前記DC電源は、前記AC電源からの電源供給により繰り返して充放電可能なバッテリを有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の酸素濃縮装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−143177(P2011−143177A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8442(P2010−8442)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【出願人】(396007694)株式会社医器研 (57)