説明

重力流れを防ぐ流路セット

【課題】
【解決手段】注入流体を搬送する流路セットは、可撓性チューブを含む。可撓性チューブは、第1端と第2端と、可撓性チューブが真っ直ぐにされたとき、第1端と第2端との間に規定される長さを有する。可撓性チューブは、可撓性チューブの長手方向に沿って延びる長軸を有する。可撓性チューブは、可撓性チューブの長軸に略直交して延びる横部形成体を形成する。流路セットは更に、可撓性チューブの横部形成体を維持するクリップ機構を含み、可撓性チューブの一端部に含まれる流体が、可撓性チューブの長手方向を通って流れ、重力流れの手段によって可撓性チューブの他端部に含まれる密度の低い流体と置換することが出来ない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2007年9月14日に出願された米国仮特許出願の優先権を主張し、その内容は引用を以て、本願への記載加入とする。
【0002】
本願は、以下の同時継続の2007年10月31日に出願された、発明の名称が「圧力隔離に基づく流れ、及び流れ隔離及び流れ開始機構を含む流体搬送システム」である米国特許出願第11/931,594号、2006年10月19日に出願された、発明の名称が「流体搬送システム、流路セット、及び血流力学圧力湿化修正を有する圧力隔離機構」である米国特許出願第11/551,027号、2004年4月16日に出願された、発明の名称が「流体搬送システム、流体制御システム、及び流体搬送システム、流体制御システムに関連する方法」である米国特許出願第10/825,866号、2004年4月5日に出願された、発明の名称が「フロントロード圧力ジャケット、光照明、及びシリンジ感知を具えた流体注入装置」である米国特許出願第10/818,477号、及び2002年12月20日に出願された、発明の名称が「シリンジホルダと光照明を具えたフロントロード圧力ジャケットシステム」である米国特許出願第10/326,582号に開示された事項に関する主題事項を含み、前記の全ての出願の開示は、引用を以て、本願への記載加入とする。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
本発明は医療手順に於ける流体搬送を略指向し、特に多数人の使用から意図される流体システムの一部に汚染された又は望ましくない液体の重力流れを阻止する装置、システム及び方法に関する。
【0004】
関連技術の記載
多くの医学診断・治療手順では、内科医のような医師は液体を患者に注入する。
近年、造影剤(しばしば単に「造影」と呼ぶ)のような流体を加圧注入するインジェクタで作動するシリンジ及び動力付きインジェクタは、血管造影法、コンピューター断層撮影、超音波及びNMR/MRIのような手順で使用するために開発されている。
一般に、これらの動力付きインジェクタは、プリセットされた流速で、プリセットされた量の造影剤を搬送するように構成されている。
【0005】
血管造影法は、血管中の異常か規制の検知及び治療の際に使用される。血管造影法の手順では、血管構造物のX線写真のイメージは、カテーテルを介して注入されるX線写真の造影剤の使用によって得られる。
造影剤が注入された静脈か動脈に流体が行き来可能な血管構造は、造影剤で充填される。対象領域を通るX線は造影剤に吸収され、造影剤を含む血管のX線写真の輪郭又はイメージを生じる。生じたイメージは、例えばビデオ・モニターに表示され、且つ記録される。
【0006】
一般的な血管造影法の手順では、医師は静脈か動脈に心臓カテーテルを入れる。カテーテルは手又は自動造影注入機構の何れかに接続される。一般的な手動の造影剤注入機構は、カテーテル接続に流体が行き来可能に接続されたシリンジを含む。流路は又、例えば造影剤の源、一般的には生理食塩水であるフラッシュ用流体の源、及び患者の血圧を測定する圧力トランスデューサを含む。
一般的なシステムに於いて、造影剤の源は、バルブ例えば三方ストップコックによって流路に接続される。生理食塩水の源及び圧力トランスデューサはまた、再びストップコックのような更なるバルブを介して流路に接続される。手動の造影剤注入機構の作業者は、シリンジ及び各バルブを制御し、生理食塩水又は造影剤をシリンジ内に引き出し、カテーテル接続を介して患者内に造影剤又は生理食塩水を注入する。シリンジの作業者は、シリンジのプランジャに加えられる力を変えることにより、注入の流速と量を調節する。
このようにして、シリンジやマニホールドのような医療用途に用いられる流体圧と流体流れの手動の源は、生成する流体圧/流れを作業者にフィードバックする作業者の努力が必要となる。フィードバックは望ましいが、作業者の努力はしばしば疲労に結びつく。このように、流体圧及び流体流れは、作業者の強さと技術に依存して変わり得る。
【0007】
自動造影剤注入機構は、例えば動力付き線形アクチュエータを有する動力付きインジェクタに接続されたシリンジを具える。一般的に、作業者は動力付きインジェクタの電子制御システムに、造影剤の一定量及び注入の一定速度についての設定を入力する。多くのシステムに於いて、注入を開始又は停止すること以外に、作業者と動力付きインジェクタとの間に対話型の制御はない。そのようなシステムでは、流速の変化は、機械を止めて注入パラメーターをリセットすることにより生じる。
動力付きインジェクタを使用する血管造影法の自動的な手順は、例えば米国特許第5,460,609号、第5,573,515号、第5,800,397号に記載される。
【0008】
自動造影剤注入機構について用いられる圧力トランスデューサ、及び血管造影法と同等の手順のような流体注入手順を行うのに用いられる手動造影剤注入機構は、シリンジの作動中に生成する適度な圧力さえに非常に敏感であり、従って、シリンジが作動するときは、作業者は一般にバルブを閉じて、圧力トランスデューサを流路から隔離させ、圧力トランスデューサへの損害を防がなければならない。特に、約75psiの低い圧力を圧力トランスデューサが受けると、多くの圧力トランスデューサが損傷し得る。
携帯型のシリンジでさえ、200psi又はそれ以上の圧力を生成することができるので、圧力トランスデューサの故障を防ぐべく、圧力トランスデューサの隔離は重要である。シリンジが作動しないときは、バルブは通常は開いて、患者の血圧をモニターする。
【0009】
一般的な自動造影剤注入機構に於いて、カテーテルが流路セットによって、注入機構/流体搬送システムに流体が行き来可能に接続され、流路セットはしばしば1回の使用後に使い捨てることを意図された1人患者用使い捨てセット(SPDS)、及び所定の手順回数又は所定の時間、再使用されることを意図する多数使用多数患者用の使い捨てセット(MPDS)で作られる。
SPDSは例えば長さ52-65インチであり、直線状の形状で通常は梱包される。この長さは血管造影法の手順の大多数にとって受け入れ可能である。しかし、より長いSPDSを必要とする手順が数パーセントある。
【0010】
医療技術者にはしばしばSPDSの長さは長すぎるので、容易に吊し格納することが出来ない。長さが長いことは、殺菌濃度に関する問題を含む取り扱いの問題が製造業者にはある。以前のチュービングセットは、コイル形状で製作されてきたが、そのような構成は、チューブがコイル状に設置されるものとして、必ずしも望ましいとは限らず、SPDSが再び巻かれてカテーテルの上に置かれるので、血管造影法の注入手順時に扱われることが困難になる。
【0011】
長さが長い又は直線状(又は「巻かれていない」)のSPDSのチューブはまた、ある場合に於いて、重力流れ状況を示し、それはSPDSが垂直位置に保持されたときに、SPDSの患者側端部に存在する血液が、MPDSに向かってチューブセットを上に移動する。SPDSは通常は患者の足に水平位置で横たわるから、そのような垂直位置は、手順時には一般的ではない。少しのパーセントの場合では、医療技術者は手順後にMPDSからSPDSを外さないが、患者に備えるように、SPDSをIVポール上に垂直位置で吊り下げ又は吊す。この垂直位置が重力流れをSPDS内で開始させる。
【0012】
重力流れは、異なる濃度の2つの流体が接触する際に生じる流体流れである。より密度が高く、又はより重い流体は、チューブ内のより低い位置を見出すように捜す。より重い流体が最低の位置になければ、密度の低い流体と入れ替わり、重力流れを開始する。この重力流れは幾つかの状況にて生じる。第1の状況は、SPDSチューブが手順後に吊り下げられて放置されたときに生じる。より密度の高い造影剤流体は、SPDS内でMPDSに向かって高く位置し、密度の低い流体はSPDSの患者側端部に位置する。この血液は次に上に流れ、使用者によって時間内に捕捉されなければ、MPDSの造影剤側内に流れる。この地点で、使用者は汚染されたMPDSを交換しなければならない。そうしなければ、MPDS内の血液又は他の汚染物は、新たなSPDSを通って次の患者に注入される。
【0013】
第2の代表的な状況は、医療技術者が手順後にSPDSをIVポール上に吊すときに生じる。密度が高く血液で汚染された造影剤は、SPDSの患者側に位置して、より密度が低い生理食塩水はMPDSに向かってSPDS内の低い位置に位置する。密度が高く、血液で汚染された造影剤は、密度が低い生理食塩水と交換することを求める。この血液で汚染された造影剤は次に上に流れ、使用者によって時間内に捕捉されなければ、MPDSに流れる。この地点で、使用者は再び汚染されたMPDSを交換しなければならない。
【発明の概要】
【0014】
発明の要約
従って、流体チューブセットの1回使用部分から、多数の使用を意図した流体チューブセット又は流体分配装置の部分内への汚染された流体の上記重力流れを阻止する機構が流路チューブセット内に配備されることへの一般的なニーズがある。
そのような流路セットは、注入流体を搬送するのに用いられ、流体搬送システムの一部として配備される。1つの代表的な実施例にて、流体搬送システムは、第1の注入可能な流体に関係する流体インジェクタ、第2の注入可能な流体に関係する加圧装置、第1の注入可能な流体と第2の注入可能な流体を患者に運搬する流路セットを含む。
一実施例に従った流路セットは可撓性チューブを略具え、該可撓性チューブは真っ直ぐにされたときは、第1端部と第2端部の間の一定長さを有し、長さに沿って延びる長軸を有する。可撓性チューブは、可撓性チューブの長軸に略直交して延びる横部形成体(transverse formation)を規定する。クリップ機構が配備されて、横部形成体を可撓性チューブ内に維持する。
横部形成体の結果として、可撓性チューブの一端部にて可撓性チューブに含まれる流体は、重力流れの下、他端部にて可撓性チューブ内に含まれる密度の低い流体と置換することができない。
【0015】
横部形成体は、あらゆる所望の幾何学的形状を規定する。そのような形状の1つは、略環状ループのようなループである。ループは、可撓性チューブの2つの部分を含み、並んで延びるのが望ましい。クリップ機構は、可撓性チューブの2つの部分を受け入れる凹部を含む。可撓性チューブの2つの部分の1つは、ループの直径が調整可能であるように、凹部の1つ内に移動可能に保持される。可撓性チューブ上にストッパが配備されて、ループの調整範囲を制限するようにクリップ機構に係合するように構成される。
【0016】
クリップ機構は、各端部に凹部を有する本体を含み、本体の一端部にて可撓性チューブの2つの部分を受け入れ、本体の他端部にて2つの部分に対向する可撓性チューブの第3の部分を受け入れ、ループの直径は略一定となる。クリップ機構は、各端部に3つの凹部を含んで、クリップ機構は2つのともに延びる可撓性チューブによって規定されるループを維持するように構成される。
【0017】
流路セットは更に、第2の可撓性チューブを具え、該第2の可撓性チューブは真っ直ぐにされたときに、第2の可撓性チューブの第1端と第2端間にて、規定される長さを有し、第2の可撓性チューブの長手方向に沿って延びる長軸を有する。第2の可撓性チューブは、第2の可撓性チューブの長軸に略直交して延びる第2の横部形成体を形成するのが望ましい。クリップ機構は、第2の可撓性チューブの一端部内に含まれる流体が、重力流れの下、可撓性チューブの他端部に含まれる密度の低い流体と置換することが出来ないように、第2の可撓性チューブ内の第2の横部形成体を維持する。
第1の可撓性チューブ及び第2の可撓性チューブの横部形成体を維持するクリップ機構は、第1の可撓性チューブ及び第2の可撓性チューブを同時に係合させる1つのクリップ機構である。
【0018】
ここに記載された他の実施例は、流体搬送システムを作動させる方法に関する。方法は、第1の注入可能な流体に繋がった流体インジェクタを配備する工程と、第2の注入可能な流体に繋がった加圧装置を配備する工程と、流路セットを流体インジェクタと加圧装置に繋いで、第1の注入可能な流体と第2の注入可能な流体を患者に運搬する工程の幾つかの工程を含む。
上記に要約したように、流路セットは、可撓性チューブを具え、該可撓性チューブは真っ直ぐにされたときに、可撓性チューブの第1端と第2端間にて、規定される長さを有し、可撓性チューブの長手方向に沿って延びる長軸を有する。可撓性チューブは、可撓性チューブの長軸に略直交して延びる横部形成体を形成する。クリップ機構が配備されて、可撓性チューブ内の横部形成体を維持する。横部形成体の結果、可撓性チューブの一端部にて可撓性チューブに含まれる流体は、重力流れの下、可撓性チューブの他端部に含まれる密度の低い流体と置換することが出来ない。更に前記したように、横部形成体はループを形成する。可撓性チューブの少なくとも一部は、クリップ機構に移動可能に繋がって、方法は可撓性チューブを操作することにより、ループの直径を調整する工程を含む。
停止クリップが可撓性チューブ上に配備されて、方法は停止クリップを用いて、ループの調整の範囲を制限する工程を含む。
【0019】
更なる詳細及び利点は、添付の図面と共に以下の詳細な説明を読むことにより、明瞭になるだろう。同様の部品は、全体を通して同様の符号で識別される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ここで記載した重力流れ阻止技術を組み込んだ流路セットを含む流体搬送システムの斜視図である。
【0021】
【図2】図1の流体搬送システムに用いられる流路セット全体の側面及び部分的な斜視図である。
【0022】
【図3】図1の流体搬送システムにて用いられ、重力流れ阻止技術を組み込んだ流路セットの一部の斜視図である。
【0023】
【図4】図1の流体搬送システムにて用いられ、他の実施例に従った重力流れ阻止技術を組み込んだ流路セットの一部の側面図である。
【0024】
【図5】図4に示す流路セットの一部の斜視図である。
【0025】
【図6】図5の重力流れ阻止流路セット内に組み込まれる調整クリップの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の詳細な記載
以降の記載の目的の為に、用いられるならば、空間的な向きの用語は、添付の図面にて向けられ、又は図面になければ以降の詳細な記載に記載されるように、参照される実施例に関する。しかし、以降に記載される実施例は多くの代替変更物及び構成を想定していることが判るだろう。添付の図面に示され、且つ及びここに記載された特定の装置は、単に説明の為であり、限定するものと考えるべきではないことが判るだろう。
【0027】
図1には、流体インジェクタ又は搬送システム(12)が略示される。流体搬送システム(12)は、流体制御モジュール(16)に作動可能に繋がった流体インジェクタ(14)を略含む。流体インジェクタ(14)の詳細は同時継続の米国特許出願第10/818,477号に示され、その開示は以前の引用を以て、本願への記載加入とする。流体インジェクタ(14)は、図2について記載されたように、流体搬送シリンジを支持し作動させるように構成される。流体制御モジュール(16)は、流体インジェクタ(14)に繋がって、流体インジェクタ(14)によって搬送された流体流れを制御する。流体制御モジュール(16)の詳細は、米国特許出願第11/551,027号に示され、その開示は以前の引用を以て、本願への記載加入とする。流体制御モジュール(16)は、流体インジェクタ(14)に関係するシリンジを、患者に繋がったカテーテル(図示せず)に接続するのに用いられる流路セット(18)を支持し制御するように略構成される。
流体インジェクタ(14)及び関係するシリンジは、造影剤(「造影」)のようなカテーテルを介して患者に注入されるべき流体を加圧する加圧装置として機能する。例えば、流体インジェクタ(14)は、血管造影法を経る患者の血管内に高い流体圧で造影剤を注入する伝達手段として用いられる。
更に、流体搬送システム(12)は、流体制御モジュール(16)及び/又は流体インジェクタ(14)のコンピュータハードウエア/ソフトウエアと連動する使用者入力部又は装置(20)を有し、その詳細は本願に組み入れた前記の出願にて特定される。流体制御モジュール(16)の詳細は、米国特許出願第11/551,027号に示されるが、流体制御モジュール(16)は三方ストップコックのような流体制御バルブを制御するバルブアクチュエータ(22)、流体レベル感知機構(24)、蠕動ポンプ(26)、自動シャットオフ又はピンチ弁装置(28)、及び空気検知器アセンブリ(30)を支持するハウジングユニットを略含む。
【0028】
更に図2−図3を参照して、流体制御モジュール(16)は、流体インジェクタ(14)に関係したシリンジ(32)を患者内に挿入されるカテーテル(図示せず)に接続するのに用いられる流路セット(18)を通って流体流れを支持し制御するように略構成されている。流路セット(「流路(18)」)は、フロントロード流体インジェクタ(14)に関連するシリンジ(32)を含むように考えられる。流路(18)は、流体注入手順用にシリンジ(32)内に充填される、従来からの医療用容器に配備される造影剤のような注入流体(34)の第1、即ち主たる源をシリンジ(32)に繋ぐのに一般に用いられる。
第1、即ち主たる流体源(34)は例えば血管造影法の手順、又はコンピュータ断層撮影手順の場合は、造影剤である。流路(18)は更に、シリンジ(32)を従来からの医療用容器に更に配備され、カテーテルを介して患者に供給され又は搬送される更なる流体の第2、即ち更なる源(36)に繋ぐように構成される。一般的な流体搬送手順に於いて、血管造影法でもコンピュータ断層撮影法でも、生理食塩水は、第2のフラッシング流体としてしばしば用いられ、第2のフラッシング流体は、造影剤の注入の間に患者に供給されて、カテーテルを洗浄し、又は造影剤の流路(18)等を洗浄する。
【0029】
流体搬送システム(12)に関する一般的な流体注入手順では、流体インジェクタ(14)は、第1の流体源(34)からの流体で充填され、この流体を流路(18)を介してカテーテル、そして最終的に患者に搬送する。流体制御モジュール(16)は、流路(18)に繋がった三方ストップコックのような制御バルブを介して、注入流体の搬送を略制御し又は管理し、流路(18)は流体制御モジュール(16)上のバルブアクチュエータ(22)によって制御され又は駆動される。流体制御モジュール(16)は更に、流体制御モジュール(16)に繋がった蠕動ポンプ(26)によって圧力下、第2の流体源(36)からの流体を搬送するように構成されている。
一般的な流体注入手順に於いて、バルブアクチュエータ(22)は流路(18)に繋がった三方ストップコックのようなバルブを作動させ、流路(18)は第1即ち主たる流体源(34)からの流体が、流体インジェクタ(14)に繋がったシリンジ(32)にロードされることを交互に可能にし、シリンジ(32)と流路(18)の下流部との間の流体の行き来又は接続を可能にし、造影剤のような流体を流路(18)に接続されたカテーテルに搬送する。
【0030】
流路(18)は、第1セクション又は第1部(40)と、第2セクション又は第2部(42)とを略含む。第1セクション(40)は、シリンジ(32)を第1の流体源(34)及び第2セクション(42)に接続し、第2セクション(42)を第2の流体源(36)に接続するように略構成される。第1セクション(40)は、流体搬送システム(12)を用いて予め設定された回数の流体注入手順が達成された後に処分される多数患者のセクション又はセットとして用いられる。
このように、第1セクション(40)は1人又は2人以上の患者が関与する予め設定された回数の流体注入手順について用いられ、次に廃棄される。付随的且つ望ましくないが、第1セクション(40)は再使用の為に再殺菌されるように構成される。第1セクション(40)は、無菌のパッケージの中で無菌のセットとして付与される。
第2セクション(42)は、流体搬送システム(12)を伴う各流体注入手順の後に処分される患者毎のセクション又はセットとして意図される。第1セクション(40)及び第2セクション(42)は、1又は2以上のコネクタ(44)の使用によって流体が行来可能に設置され、その詳細は米国特許出願第11/551,027号に述べられ、以前に引用を以て、本願への記載加入とした。
【0031】
第1セクション(40)は、三方ストップコックのような多位置バルブ(46)を含み、流体制御モジュール(16)に繋がったバルブアクチュエータ(22)によって自動的に制御され又は駆動される。一般に、多位置バルブ(46)はバルブアクチュエータ(22)によって、シリンジ(32)及び主たる流体源(34)を選択的に流路(18)の残り部分から隔離し、シリンジ(32)を主たる流体源(34)に流体が行来可能に設置する。
これにより、流体インジェクタ(14)が主たる流体源(34)からの流体でシリンジ(32)を充たし、主たる流体源(34)を隔離しつつ、シリンジ(32)内にロードされた流体を圧力下で流路(18)に搬送し、又はシリンジ(32)及び主たる流体源(34)を流路(18)の残り部分から隔離することが選択的に出来る。
【0032】
第1セクション(40)は、主たる流体源(34)及び第2の流体源(36)と繋がった介在するドリップ室(48)を含む。所望ならば、ドリップ室(48)を流路(18)内の呼び水バルブ(図示せず)に置換することも可能である。ドリップ室(48)は、従来からのスパイク部材(50)を具えた主たる流体源(34)及び第2の流体源(36)を形成する容器と繋がるように構成されている。流体制御モジュール(16)上の流体レベル感知システム(24)は、流路(18)が流体インジェクタ(14)及び流体制御モジュール(16)に繋がっているときは、ドリップ室(48)内の流体レベルを感知するのに用いられる。一般に、流体搬送システム(12)の動作は、主たる流体源(34)からの流体でシリンジ(32)をローディングすることを含み、該流体は主たる流体源(34)に繋がったドリップ室(48)を介してシリンジ(32)へと通る。
同様に、流体搬送システム(12)の動作時に、第2の流体源(36)からの生理食塩水のような流体が、第2の流体源(36)に繋がったドリップ室(48)を介して流路(18)に供給される。
ドリップ室(48)は、流体レベル感知システム(24)に繋がった流体レベルセンサが、例えば光学的又は超音波的方法を用いることによってドリップ室(48)内の流体レベルを検知することができるように、略構成される。
【0033】
例えば、従来の低圧の医療用チューブにて作られた夫々の出力ライン(52)は、ドリップ室(48)に繋がって、ドリップ室(48)を夫々多位置バルブ(46)及び流路(18)の第2セクション(42)に接続する。
多位置バルブ(46)からの出力ライン(54)は、多位置バルブ(46)及びシリンジ(32)をコネクタ(44)を介して、流路(18)の第2セクション(42)に接続する。血管造影法のような流体注入手順時に、流体インジェクタ(14)によって一般的に生成される高い注入圧故に、出力ライン(54)は高圧医療用チューブラインであるのが望ましい。
更に、多重位置バルブ(46)と注射器(32)を接続する接続チューブライン(56)も、これらの高い流体注入圧に耐えるように、高圧医療用チューブラインであるのが望ましい。
【0034】
圧力隔離機構(100)が流路(18)、特に流路の使い捨ての第2セクション(42)の一部として配備される。圧力隔離機構(100)は、流体搬送システム(12)にて幾つかの機能に役立つが、主として圧力トランスデューサ(図示せず)を流路(18)に繋いで、流体搬送システム(12)を伴う流体搬送手順時に血行力学の血圧信号が読まれ得る。
この機構は、カテーテルを介した流体注入又は搬送手順時に患者に搬送する造影剤及び生理食塩水のような主たる及び第2の注入流体の路の物理的な合流点として役立つ。
約75psiの低圧時及び以前に示したような高圧時に生じる、損傷を与える流体圧から圧力トランスデューサを保護する必要故に、圧力隔離機構(100)は、流体搬送手順時、特に血管造影法の手順時に高圧で造影剤を搬送するのに関連した手順時に、圧力トランスデューサを超過圧力から自動的に保護する内部バルブ構造を含む。
更に圧力隔離機構(100)の詳細は、以前に引用を以て本願への記載加入とした米国特許出願第11/931,594号に付与されている。
【0035】
圧力隔離機構(100)は、一般的にY−T嵌合具(58)を介して、流路(18)の第2セクション(42)に繋がれ、該嵌合具は夫々入力ライン(64)(66)に接続された2つの入力ポート(60)(62)を有する。Y−T嵌合具(58)は、流体注入又は搬送手順時に、カテーテルを介して患者に搬送する造影剤及び生理食塩水のような主たる及び第2の注入流体の路の物理的な合流点として役立つ。
入力ライン(64)(66)は、低圧流体搬送システム(38)に略繋がる第1入力ライン(64)、及び特に第2の流体源(36)に繋がったドリップ室(48)に接続された出力ライン(52)、及びシリンジ(32)及び流体インジェクタ(14)から構成される高圧システム又は装置に繋がる第2の入力ライン(66)を含む。流路(18)のこの高圧側は、出力ライン(52)と流体が行来可能に交互に取付け可能であり、出力ライン(52)は以前に記載したように、主たる流体源(34)に繋がったドリップ室(48)に接続され、一般的には造影剤である主たる注入流体でシリンジ(32)を充たす。
第1の入力ライン(64)及び第2の流体源(36)に繋がった上流の出力ライン(52)は、Y−T嵌合具(58)を介した高い背圧から第1の入力ライン(64)及び上流の出力ライン(52)が如何なる損傷をも受けるのを避けるべく、高圧医療用チューブラインであるのが望ましい。
しかし、Y−T嵌合具(58)内に入力ポート(60)に逆止弁を付加した状態では、従来からの低圧医療用チューブが、第1の入力ライン(64)及び上流の出力ライン(52)に使用され得る。
或いは、第1入力ライン(64)は高圧医療用チューブラインにて作られ、上流の出力ライン(52)は、コネクタ(44)に繋がった逆止弁を付加した状態で、低圧医療用チューブにて作られ、コネクタは第1入力ライン(64)を上流の出力ライン(52)に接続して、出力ライン(52)をY−T嵌合具(58)を介した背圧から隔離する。同様に、第2の入力ライン(66)は高圧医療用チューブで作られて、第2の入力ポート(62)を、多位置バルブ(46)に接続された出力ライン(54)に接続し、それによってシリンジ(32)に接続する。
Y−T嵌合具(58)は、主たる流路と第2の流路を合流するのに便利な装置であるが、流路(18)内のその存在は、単に説明の為だけであり、以前に引用を以て本願への記載加入とした米国特許出願第11/931,594号に示すように、他の合流構成がY−T嵌合具(58)に代えて用いられる。
【0036】
Y−T嵌合具(58)は更に、圧力隔離機構(100)を嵌合具(58)に繋ぐ圧力トランスデューサポート(102)と出力ポート(70)を含む。三方ストップコックのような多位置バルブ(72)が出力ポート(70)に接続され、流路(18)からカテーテル(図示せず)を隔離する単なるシャットオフバルブとして用いられ得る。ルアコネクタ(76)が終端であるカテーテル接続ライン(74)は、多位置バルブ(72)に繋がる。多位置バルブ(72)のポートの1つは、不要のポート(78)であり、残りのポートは、ルアコネクタ(82)用に構成された出口ポート(80)を含み、ルアコネクタはカテーテル接続ライン(74)を多位置バルブ(72)及びこのようにして流路(18)に繋ぐ。
【0037】
特に図3を参照して、本開示の実施例に従った、流路(18)は、第2セクション(42)内に重力流れ阻止機構を含む。示すように、第1の入力ライン(64)は、第2の流体源(36)に繋がった第1端(コネクタ(44)にて)、及びY−T嵌合具(58)の入力ポート(60)にある第2端を有する可撓性チューブとして形成される。
第1の入力ライン(64)は、第1の入力ライン(64)が真っ直ぐに延ばされたときに、第1の入力ライン(64)は第1端と第2端間で規定される長さを有する。第1の入力ライン(64)の長い中心軸L1は、第1の入力ライン(64)の長手方向に延びる。第1の入力ライン(64)は、横部形成体(200)を規定するように曲げられ又は形成され、横部形成体(200)は図3に示すループ形状のようなあらゆる所望の形状を採り得て、第1の入力ライン(64)の示された構成にて、第1の入力ライン(64)の長軸L1に略直交して延びる。示すように、横部形成体(200)は第1の入力ライン(64)の長軸L1に略直交する方向に対向した幾何学的形状を規定し、一般的には環状又は螺旋状であるが、横部形成体(200)は多くの可能な異なる形状があることが判るだろう。
例えば、横部形成体(200)は楕円か、三角形か、台形か、平行なエログラマティカル(parallelelogrammaticaal)か、他の多角形形状で形成されてもよく、又は横部形成体(200)は単に第1の入力ライン(64)によって形成されたU字形の曲げ部として形成されてもよい。
【0038】
横部形成体(200)は、クリップ機構(204)によって所望の横に伸びる形状に維持される。特に、クリップ機構(204)は第1の入力ライン(64)に繋がり、第1の入力ライン(64)がループに形成されているときは、第1の入力ライン(64)の2つの隣り合う部分(206)(208)は並ぶように延び又は位置する。クリップ機構(204)は、並設部分(206)(208)の両方を横切って延び、本実施例のループ状の横部形成体(200)の向きを固定するのと同様に、並設部分(206)(208)の間隔を維持する。クリップ機構(204)は第1の入力ライン(64)の2つの隣り合う部分(206)(208)を受け入れる隣接する方向付け凹部を含む。一般的に、2つの隣り合う部分(206)(208)の1つ(例えば、部分(206))は、クリップ機構(204)によって規定される凹部の1つに摩擦係合によってしっかりと固定され、又は所望ならば、選択された固定部分(206)(208)はエポキシのような化学接着剤によって凹部内に恒久的に固定され得る。
第1の入力ライン(64)の他の部分(例えば、部分(208))は、緩んだように、クリップ機構(204)の対応する凹部に受け入れられるのが好ましく、横部形成体(200)の直径は、クリップ機構(204)の凹部を通って、第1の入力ライン(64)の「緩み部」を何れかの方向に引くことにより調整される。
停止クリップ(210)が環状のループ(200)内に配備され、環状のループ(200)の調整の範囲を制限するように、クリップ機構(204)の本体に係合するように構成される。
【0039】
図3に更に示すように、第2の入力ライン(66)はまた、主たる流体源(34)に繋がった第1端(コネクタ(44)にて)、及びY−T嵌合具(58)のポート(62)にある第2端を有する可撓性チューブとして形成される。第2の入力ライン(66)には、第2の入力ライン(66)が第1の入力ライン(64)によって呈示されるのと同様の横部形成体(200)を形成するように、クリップ機構(204)が配備され、第1の入力ライン(64)についての前記の記載は、第2の入力ライン(66)に同様に適用可能であり、引用を以て本願への記載加入とする。
第2の入力ライン(66)の長軸は、添付の図面に引用符号L2で指定される。図3に示すクリップ機構(204)に関する他の特徴は、第1の入力ライン(64)の隣り合う部分(206)(208)に繋がった並んだ2つの「左側」凹部、及び第2の入力ライン(66)の隣り合う部分(206)(208)に繋がった並んだ2つの「右側」凹部を有する単一構成であることである。同様に、第2の停止クリップ(210)は、以前に記載した第1の入力ライン(64)と同様の方法で、第2の入力ライン(66)によって規定される環状のループ(200)に繋がる。
環状ループとしての横部形成体(200)は、流路(18)の1人患者/使用のセクション(42)のY−T嵌合具(58)の近傍に並んで配備される。しかし、ループ(200)(200)は夫々の入力ライン(64)(66)の長軸に沿って、示すように又は別々に(例えば、千鳥状に)並んで形成されることが判るだろう。
【0040】
従って、流路(18)の第2、即ち1人患者/使用の部分(42)に含まれる汚染された流体の重力流れによる流路セット(18)の第1、即ち多数の患者/使用の部分(40)の汚染は、防止される。なぜなら、流路(18)の第2、即ち1人患者/使用の部分(42)に含まれる密度の高い流体が、横部形成体(200)を通って上向きに流れなければならないが、それは不可能だからである。
特に、1つの状況に於いて、第2、即ち1人患者/使用の部分(42)が使用後に流体制御モジュール(16)(又は他の構造)から略下向きに吊されて放置されたとき、流路(18)の第1、即ち多数の患者/使用の部分(40)内への上向きの汚染を防ぎ、造影剤のような密度の高い流体は、第2、即ち1人患者/使用の部分(42)内にて高く位置し(第1の入力ライン(64)及び/又は第2の入力ライン(66))、及び血液のような密度の低い流体は、カテーテル接続ライン(74)のような流路(18)の第2、即ち1人患者/使用の部分(42)にて低く位置する。
この状況に於いて、密度の高い造影剤は、通常は血液と入れ替わり、血液は上に置換し、おそらくは第1、即ち多数の患者/使用の部分(40)に侵入する。第1及び第2の入力ライン(64)(66)内に横部形成体(200)が存在することにより、重い流体は横部形成体(200)内にて重力に反して上向きに流れて、低位に位置する血液と置換することはできないから、第1、即ち多数の患者/使用の部分(40)内への血液のあらゆる上向きの動き又は移動は阻止される。
同様に、第2、即ち1人患者/使用の部分(42)が略上を向いた状態で、流路(18)がIVポール又は他の構造から上向きに吊されて放置され、又は流体制御モジュール(16)を水平にしたとき、流路(18)の多数の患者/使用の部分(40)の汚染も防止される。
この状況に於いて、より重く、密度が高い汚染された造影剤/血液の混合体は一般に、カテーテル接続ライン(74)のような流路(18)の第2、即ち1人患者/使用の部分(42)の患者側端部にて、流路(18)内に含まれ、より密度が低い生理食塩水は第1及び第2の流体ライン(64)(66)内のような第2、即ち1人患者/使用の部分(42)に低く位置する。横部形成体/環状ループ(200)の挿入により、重い流体が下に移動し、密度の低い生理食塩水と置換し、多数の患者/使用の部分(40)に入ることを防ぐ。
【0041】
以前に述べたように、第1及び第2の入力ライン(64)(66)によってループとして規定される横部形成体(200)は調整可能である。これにより、流路(18)の第2部(42)の全体長さの調整が、代表的な範囲で約52インチから約65インチに調整されることが出来る。横部形成体(200)は、第2部分の長さが65インチのとき、約2インチ小さな直径を規定する。横部形成体(200)は、6インチよりも大きく又は小さく、梱包密度を最適化する。以前に述べたように、停止クリップ(210)は横部形成体(200)内に組み込まれて、横部形成体(200)の調整を最大サイズと最小サイズの間に限定する。横部形成体(200)の最小直径を規定することは、横部形成体(200)があまりにきつく引かれたときに、チューブの捻れを防ぐのに役立つ。梱包長さは横部形成体(200)を大きな直径で梱包することにより最小化される。例えば、横部形成体(200)は直径が約19インチで梱包され得る。しかし、横部形成体(200)があまりにも大きな直径で梱包されると、使用時にコイル形状に設定され易く、且つコイル形状に戻り易くなる。
このようにして、直径を最大化し、梱包の長さを最短にすべく、粘着テープ又はワニクリップが付与されて、第1及び第2の入力ライン(64)(66)を無菌のドレープ又は同様の構成に取り付け、これらのチューブを略真っ直ぐな形状に保持する。
【0042】
図4−図6について、他の実施例が示される。この実施例に於いて、図3に示す対向するクリップ機構(204)は、1つのクリップ機構(204a)に一体化される。クリップ機構(204a)は更に、クリップ機構(204a)の上端と底端の間に、分離した支持セクション(212)を示す。示すように、横部形成体(200a)(1)、(200a)(2)は、第1及び第2の入力ライン(64)(66)が夫々クリップ機構(204a)に繋がる時に形成される。ループ状の横部形成体(200a)(1)、(200a)(2)は、以前の実施例と略同様の方法で、並んで配置され、1つのクリップ機構(204a)によって並んだループ形状を維持され、該クリップ機構(204a)は同時に第1及び第2の入力ライン(64)(66)の両方に係合する。
図6に示すように、1つのクリップ機構(204a)は各端部に3つの凹部(221)を形成した本体を含む。対向するフランジ(222)が配備されて、第1及び第2の入力ライン(64)(66)の1つの部分を、各1つの凹部(221)に取り付ける。図5に示すように、第1の入力ライン(64)の2つの並設部分(224)(226)は、クリップ機構(204a)の上端にて3つの凹部(221)の2つ内に配備され、その一方、第1の入力ライン(64)の1つの部分(228)は、クリップ機構(204a)の下端にて3つの凹部(221)の1つ内に配備される。
同様の方法で、第2の入力ライン(66)の2つの並設部分(230)(232)は、クリップ機構(204a)の下端にて3つの凹部(221)の2つ内に配備され、その一方、第2の入力ライン(66)の1つの部分(234)はクリップ機構(204a)の上端にて残りの頂部の凹部(221)内に配備される。
1つのクリップ機構(204a)は、両方の環状ループ(200a)を横切って延び、両方の環状ループ(200a)の直径を規定し、横部形成体(200a)の直径は、一定で調整できない。示すように、横部形成体(200a)(1)、(200a)(2)は、第1及び第2の入力ライン(64)(66)の第1端の近傍に形成される。しかし、横部形成体(200a)(1)、(200a)(2)は、第1及び第2の入力ライン(64)(66)を形成する可撓性チューブの長手方向に沿ったあらゆる地点にて形成され得る。更に、先端のチューブコネクタ(240)が、Y−T嵌合具(58)の基端部の地点にて、第1及び第2の入力ライン(64)(66)を一緒に取り付ける。横部形成体(200a)(1)、(200a)(2)の目的及び動作は、この開示にて以前に記載したのと同様であり、説明の簡潔さの為、ここでは繰り返さない。
【0043】
横部形成体(200)(200a)は、ループ状に形成される可撓性チューブの形状と記載したが、これに限定されると考えるべきではない。横部形成体(200)(200a)は、第1及び第2の入力ライン(64)(66)の流路にて、あらゆる構成(可撓性又は剛体)であってもよく、該構成は軽い(例えば、密度の低い)流体について重い流体の重力流れ条件の下、置換を禁止する直交又は横断構成を形成する。そのような横部形成体(可撓性又は剛体)は、バルブ及び同等物のような流路に存在する流体制御装置に組み込まれ得る。ここで記載した横部形成体(200)(200a)は、チューブの可撓性及び剛体セクション又は部分の両方に組み込まれることも判るだろう。例えば、横部形成体(200)(200a)は、上記の第1及び第2の入力ライン(64)(66)を形成するチューブの別個のセクション間を接続する剛体のチューブ構成に形成され得る。横部形成体(200)(200a)は、上記の各代替物を包含することを意図した単語である。
【0044】
重力流れを防ぐ流路セット及びそれに関連した方法の幾つかの実施例が、上記の詳細な記載に記載されているが、当業者ならば本発明の範囲及び精神から離れることなく、これらの実施例の修正物及び代替物を作る。従って、上記の説明は、限定的ではなく例証することを意図している。上記の発明は、添付の請求の範囲によって規定され、請求の範囲の均等物の意味及び範囲内にある本発明の全ての変更物は請求の範囲に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入流体を搬送する流路セットであって、
真っ直ぐにされたときに、第1端と第2端間にて、規定される長さを有し、長手方向に沿って延びる長軸を有する可撓性チューブを具え、
可撓性チューブは、可撓性チューブの長軸に略直交して延びる横部形成体を形成し、
可撓性チューブ内の横部形成体を維持するクリップ機構とを具え、
それによって、可撓性チューブの一端部にて可撓性チューブに含まれる流体は、重力流れの下、可撓性チューブの他端部に含まれる密度の低い流体と置換することが出来ない流路セット。
【請求項2】
横部形成体は、幾何学的形状を形成する、請求項1に記載の流路セット。
【請求項3】
幾何学的形状はループである、請求項2に記載の流路セット。
【請求項4】
ループは、並設して延びる可撓性チューブの2つの部分を含む、請求項3に記載の流路セット。
【請求項5】
クリップ機構は、可撓性チューブの2つの部分を受け入れる凹部を含む、請求項4に記載の流路セット。
【請求項6】
可撓性チューブの2つの部分の1つは、ループの直径が調整可能なように、凹部の1つ内に移動可能に保持される、請求項5に記載の流路セット。
【請求項7】
更に、可撓性チューブ上に停止クリップが配備されて、ループの調整範囲を制限するようにクリップ機構に係合するように構成された、請求項6に記載の流路セット。
【請求項8】
クリップ機構は、各対向する端部に凹部を有する本体を含み、本体の一端部にて可撓性チューブの2つの部分を受け入れ、本体の他端部にて2つの部分に対向する可撓性チューブの第3の部分を受け入れ、ループの直径は一定である、請求項5に記載の流路セット。
【請求項9】
クリップ機構は、各端部に3つの凹部を含んで、クリップ機構は2つの共に延びる可撓性チューブによって形成されるループを維持するように構成される、請求項8に記載の流路セット。
【請求項10】
更に、真っ直ぐにされたときに、第1端と第2端間にて、規定される長さを有し、長手方向に沿って延びる長軸を有する第2の可撓性チューブを具え、
第2の可撓性チューブは、第2の可撓性チューブの長軸に略直交して延びる第2の横部形成体を形成し、
クリップ機構は、第2の可撓性チューブの第2の横部形成体を維持し、第2の可撓性チューブの一端部に含まれる流体が、重力流れの下で可撓性チューブの他端部に含まれる密度の低い流体と置換することが出来ない、請求項1に記載の流路セット。
【請求項11】
第1の可撓性チューブと第2の可撓性チューブの横部形成体を維持するクリップ機構は、第1の可撓性チューブと第2の可撓性チューブを同時に係合させる1つのクリップ機構を含む、請求項10に記載の流路。
【請求項12】
流体搬送システムであって、
第1の注入可能な流体に繋がった流体インジェクタと、
第2の注入可能な流体に繋がった加圧装置と、
第1の注入可能な流体と第2の注入可能な流体を患者に運搬する流路セットと、
真っ直ぐにされたときに、第1端と第2端間にて、規定される長さを有する可撓性チューブを具え、
可撓性チューブは、可撓性チューブの長軸に略直交して延びる横部形成体を形成し、
可撓性チューブ内の横部形成体を維持するクリップ機構とを具え、
それによって、可撓性チューブの一端部にて可撓性チューブに含まれる流体は、重力流れの下、可撓性チューブの他端部に含まれる密度の低い流体と置換することが出来ない、流体搬送システム。
【請求項13】
横部形成体は、幾何学的形状を形成する、請求項12に記載の流体搬送システム。
【請求項14】
幾何学的形状はループである、請求項13に記載の流体搬送システム。
【請求項15】
ループは、並設して延びる可撓性チューブの2つの部分を含む、請求項14に記載の流体搬送システム。
【請求項16】
クリップ機構は、可撓性チューブの2つの部分を受け入れる凹部を含む、請求項15に記載の流体搬送システム。
【請求項17】
可撓性チューブの2つの部分の1つは、ループの直径が調整可能なように、凹部の1つ内に移動可能に保持される、請求項16に記載の流体搬送システム。
【請求項18】
更に、可撓性チューブ上に停止クリップが配備されて、ループの調整範囲を制限するようにクリップ機構に係合するように構成された、請求項17に記載の流体搬送システム。
【請求項19】
クリップ機構は、各対向する端部に凹部を有する本体を含み、本体の一端部にて可撓性チューブの2つの部分を受け入れ、本体の他端部にて2つの部分に対向する可撓性チューブの第3の部分を受け入れ、ループの直径は一定である、請求項16に記載の流体搬送システム。
【請求項20】
クリップ機構は、各端部に3つの凹部を含んで、クリップ機構は2つの共に延びる可撓性チューブによって形成されるループを維持するように構成される、請求項12に記載の流体搬送システム。
【請求項21】
更に、真っ直ぐにされたときに、第1端と第2端間にて、規定される長さを有し、長手方向に沿って延びる長軸を有する第2の可撓性チューブを具え、
第2の可撓性チューブは、第2の可撓性チューブの長軸に略直交して延びる第2の横部形成体を形成し、
クリップ機構は、第2の可撓性チューブの第2の横部形成体を維持し、第2の可撓性チューブの一端部に含まれる流体が、重力流れの下で可撓性チューブの他端部に含まれる密度の低い流体と置換することが出来ない、請求項12に記載の流体搬送システム。
【請求項22】
第1の可撓性チューブと第2の可撓性チューブの横部形成体を維持するクリップ機構は、第1の可撓性チューブと第2の可撓性チューブを同時に係合させる1つのクリップ機構を含む、請求項21に記載の流路セット。
【請求項23】
流体搬送システムを作動させる方法であって、
第1の注入可能な流体に繋がった流体インジェクタを配備する工程と、
第2の注入可能な流体に繋がった加圧装置を配備する工程と、
流路セットを流体インジェクタと加圧装置に繋ぎ、第1の注入可能な流体と第2の注入可能な流体を患者に運搬する工程を有し、流路セットは、
真っ直ぐにされたときに、第1端と第2端間にて、規定される長さを有し、長手方向に沿って延びる長軸を有する可撓性チューブを具え、
可撓性チューブは、可撓性チューブの長軸に略直交して延びる横部形成体を形成し、
可撓性チューブ内の横部形成体を維持するクリップ機構とを具え、
それによって、可撓性チューブの一端部にて可撓性チューブに含まれる流体は、重力流れの下、可撓性チューブの他端部に含まれる密度の低い流体と置換することが出来ない、流体搬送システムを作動させる方法。
【請求項24】
横部形成体は、ループを形成する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
可撓性チューブの少なくとも一部は、クリップ機構に移動可能に繋がって、方法は可撓性チューブを操作することにより、ループの直径を調整する工程を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
更に、可撓性チューブ上に停止クリップを配備して、停止クリップを用いてループの調整範囲を制限する工程を有する、請求項25に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2010−538761(P2010−538761A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525062(P2010−525062)
【出願日】平成20年9月15日(2008.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/076378
【国際公開番号】WO2009/036413
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(500483817)メドラッド インコーポレーテッド (43)
【氏名又は名称原語表記】Medrad,Inc.
【Fターム(参考)】