説明

重合性液晶組成物

【課題】 本願発明の目的は、重合性液晶組成物を基板に塗布した場合、膜厚むらがなく、かつ、空気界面におけるチルト角を減じる効果を有し、かつ、積層膜の形成が容易である重合性液晶組成物を提供する。
【解決手段】 パーフルオロアルケニルオリゴマーから誘導した化合物からなる界面活性剤を含有することを特徴とする重合性液晶組成物を提供する。本願発明の重合性液晶組成物を基板に塗布した場合、膜厚むらがなく、かつ、空気界面におけるチルト角を減じる効果を有し、かつ、積層膜の形成が容易であることから空気界面において水平配向となる光学異方体の材料として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、液晶ディスプレイ等の光学補償に用いられる光学異方体の構成部材として有用な重合性液晶組成物及び当該組成物の重合体により構成される光学異方体に関する。
【背景技術】
【0002】
重合性液晶組成物は光学異方体の構成部材として有用であり、光学異方体は例えば位相差フィルムとして種々の液晶ディスプレイに応用されている。位相差フィルムは、重合性液晶組成物を基板に塗布して、配向膜等により重合性液晶組成物を配向させた状態で活性エネルギー線を照射して重合性液晶組成物を硬化することにより得られる。しかし、重合性液晶組成物を基板に塗布した場合、塗膜に膜厚むらが生じるといった問題があった。又、空気界面においてある程度のチルト角を有し、ある特定の位相差フィルムに要求される光学特性を満たすためには該チルト角を減じることが求められていた。ここで空気界面におけるチルト角とは、棒状重合性液晶の場合、空気界面に存在する重合性液晶分子の長軸が基板面となす角を表し、基板面と平行になる場合を0°として定義し、円盤状重合性液晶の場合、円盤面が基板面となす角を表し、基板面と平行になる場合を0°として定義する。
【0003】
膜厚むらの低減及び該チルト角を減じる方法として、界面活性剤や重合可能な界面活性剤を重合性液晶組成物中に添加する方法が提案されている(特許文献1、2及び3参照)。界面活性剤は膜厚むらを低減する効果を有するが、該チルト角を十分に減じる効果のある界面活性剤は少なく、膜厚むらの低減と該チルト角を減じる効果を併せ持つ界面活性剤を見つけることは容易ではなかった。更に、界面活性剤の有する非粘着性や撥水・撥油性から積層膜の形成が困難である。更に、界面活性剤として長鎖パーフルオロアルキルスルホン酸アミド誘導体を用いた場合(特許文献3参照)には、当該化合物は環境毒性の点で懸念があることから液晶ディスプレイとしての応用には問題があった。又、パーフルオロアルケニルオリゴマーから誘導した化合物からなる界面活性剤は知られていたが(特許文献4参照)、重合性液晶組成物に添加した場合の効果についての開示はされていない。
【0004】
一方、チルト角を減ずる方法として、重合性液晶組成物に長鎖の炭化水素化合物を添加する方法が開示されている(特許文献5参照)。しかし、炭化水素を添加した組成物はチルト角を低減する効果は高いものの、膜厚むらの低減については要求特性を十分満たしてはいなかった。
以上のように、光学異方体を作製した場合に膜厚むらがなく、空気界面のチルト角を十分に減じることができ、かつ、積層膜の形成が容易である重合性液晶組成物の開発が求められていた。
【0005】
【特許文献1】特開2000−105315号公報
【特許文献2】特開2003−105030号公報
【特許文献3】特開2000−98133号公報
【特許文献4】特開2006−342087号公報
【特許文献5】国際公開2007/94450号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明の目的は、重合性液晶組成物を基板に塗布した場合、膜厚むらがなく、空気界面のチルト角を十分に減じることができ、かつ、積層膜の形成が容易である重合性液晶組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために約100種の界面活性剤を鋭意検討した結果、膜厚むらを低減させ、空気界面のチルト角を効果的に減じ、かつ、積層膜の形成を阻害しない界面活性剤の化学構造を特定し、該界面活性剤を重合性液晶組成物に添加することにより本願発明の完成に至った。本願発明は、パーフルオロアルケニルオリゴマーから誘導した化合物からなる界面活性剤を含有することを特徴とする重合性液晶組成物及び当該組成物の重合体より構成される光学異方体を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本願発明の重合性液晶組成物を基板に塗布した場合、膜厚むらがなく、空気界面におけるチルト角を減じ、かつ、積層膜の形成が容易である効果を有することから空気界面において水平配向となる光学異方体の材料として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本願発明による重合性液晶組成物の最良の形態について説明する。
本願発明の重合性液晶組成物は、パーフルオロアルケニルオリゴマーから誘導した化合物からなる界面活性剤を含有するが、該界面活性剤がヘキサフルオロプロペンオリゴマーから誘導した化合物であることが好ましく、2〜6つのヘキサフルオロプロペンオリゴマー末端基を有する化合物でありことがより好ましい。
該ヘキサフルオロプロペンオリゴマーは具体的には式(I)
【0010】
【化1】

【0011】
で表される化合物であることが特に好ましい。又、該界面活性剤はアルキレンオキシド鎖が付加した構造が好ましく、該アルキレンオキシド鎖は、エチレンオキシド鎖又はプロピレンオキシド鎖であることが好ましい。さらに具体的にはポリオキシエチレンエーテル構造を有する界面活性剤であることが好ましく、一般式(I)
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、Rは炭素原子数1〜6のアルキル基を示し、nは3〜50の整数を示す。)で表される含フッ素界面活性剤であることがさらに好ましい。一般式(I)において、Rは炭素原子数1〜2のアルキル基が特に好ましく、nは8〜22の整数が特に好ましい。
【0014】
本発明の重合性液晶組成物に含有することができる界面活性剤として具体的には「フタージェント100」、「フタージェント100C」、「フタージェント110」、「フタージェント150」、「フタージェント150CH」、「フタージェントA」、「フタージェント100A-K」、「フタージェント501」、「フタージェント300」、「フタージェント310」、「フタージェント320」、「フタージェント400SW」、「FTX-400P」、「フタージェント251」、「フタージェント215M」、「フタージェント212MH」、「フタージェント250」、「フタージェント222F」、「フタージェント212D」、「FTX-218」、「FTX-209F」、「FTX-213F」、「FTX-233F」、「フタージェント245F」、「FTX-208G」、「FTX-240G」、「FTX-206D」、「FTX-220D」、「FTX-230D」、「FTX-240D」、「FTX-207S」、「FTX-211S」、「FTX-220S」、「FTX-230S」、「FTX-750FM」、「FTX-730FM」、「FTX-730FL」、「FTX-710FS」、「FTX-710FM」、「FTX-710FL」、「FTX-750LL」、「FTX-730LS」、「FTX-730LM」、「FTX-730LL」、「FTX-710LL」(以上、ネオス社製)等の例をあげることができる。
【0015】
本発明の重合性液晶組成物中における界面活性剤の好ましい添加量は、重合性液晶組成物中に含有される界面活性剤以外の成分や、使用温度等によって異なるが、重合性液晶組成物中に0.01〜0.5質量%含有することが好ましく、0.02〜0.3質量%含有することが特に好ましい。含有量が0.01質量%より低いときは目的とする効果が得にくく、0.5質量%より高いときは、重合性液晶組成物の配向性や液晶性が著しく損なわれてしまうため好ましくない。
【0016】
重合性液晶組成物中に含有する重合性液晶化合物については、特に制限はなく使用することができる。重合性液晶化合物として棒状重合性液晶化合物又は円盤状重合性液晶化合物を使用することが好ましく、棒状重合性液晶化合物が特に好ましい。
棒状重合性液晶化合物は、一般式(II)
【0017】
【化3】

【0018】
(式中、Pは反応性官能基を表し、Spは炭素原子数1〜20のスペーサー基を表し、mは0又は1を表し、MGはメソゲン基又はメソゲン性支持基を表し、R1は、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1〜25のアルキル基を表すが、該アルキル基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH2基又は隣接していない2つ以上のCH2基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH3)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていても良く、あるいはR1は一般式(II-a)
【0019】
【化4】

【0020】
(式中、Pは反応性官能基を表し、Spは炭素原子数1〜20のスペーサー基を表し、mは0又は1を表す。)で表される構造を表す。)で表される化合物を含有することが好ましく、一般式(II)において、Spがアルキレン基を表し(該アルキレン基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH2基又は隣接していない2つ以上のCH2基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH3)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていても良い。)、MGが一般式(II-b)
【0021】
【化5】

【0022】
(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、テトラヒドロチオピラン-2,5-ジイル基、1,4-ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基又はフルオレン2,7-ジイル基を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基及びフルオレン2,7-ジイル基は置換基として1個以上のF、Cl、CF3、OCF3、シアノ基、炭素原子数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルカノイルオキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、アルケニルオキシ基、アルケノイル基又はアルケノイルオキシ基を有していても良く、Z0、Z1、Z2及びZ3はそれぞれ独立して、-COO-、-OCO-、-CH2 CH2-、-OCH2-、-CH2O-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH2CH2COO-、-CH2CH2OCO-、-COO CH2CH2-、-OCOCH2CH2-、-CONH-、-NHCO-又は単結合を表し、nは0、1又は2を表す。)で表される構造を表し、Pが一般式(II-c)、一般式(II-d)及び一般式(II-e)
【0023】
【化6】

【0024】
(式中、R21、R22、R23、R31、R32、R33、R41、R42及びR43はそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、nは0又は1を表す。)で表される置換基からなる群より選ばれる置換基で表される化合物を含有することがさらに好ましい。
ここで、重合性液晶組成物に含有される化合物として、より具体的には一般式(III)
【0025】
【化7】

【0026】
(式中、mは0又は1を表し、W1及びW2はそれぞれ独立的に単結合、-O-、-COO-又は-OCO-を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立的に-COO-又は-OCO-を表し、r及びsはそれぞれ独立的に2〜18の整数を表すが、式中に存在する1,4−フェニレン基は炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良い。)で表される化合物を用いると、機械的強度や耐熱性に優れた光学異方体が得られるので好ましい。
又、一般式(IV)
【0027】
【化8】

【0028】
(式中、Z1は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、Z2は水素原子又はメチル基を表し、tは0又は1を表し、A、B及びCはそれぞれ独立的に、1,4−フェニレン基、隣接しないCH基が窒素で置換された1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1つ又は隣接しない2つのCH2基が酸素又は硫黄原子で置換された1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基を表すが、式中に存在する1,4−フェニレン基は炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良く、Y3及びY4はそれぞれ独立的に単結合、-CH2CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-COO-、-OCO-、-C≡C-、-CH=CH-、-CF=CF-、-(CH24-、-CH2CH2CH2O-、-OCH2CH2CH2-、-CH=CHCH2CH2-、-CH2CH2CH=CH-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH2CH2COO-、-CH2CH2OCO-、-COO CH2CH2-又は-OCOCH2CH2-を表し、Y5は単結合、-O-、-COO-、-OCO-又は-CH=CHCOO-を表す。)で表される化合物を用いると、重合性液晶組成物の粘度低減や液晶温度範囲を室温もしくは室温付近まで低減することができるので好ましい。
又、一般式(V)
【0029】
【化9】

(式中、Z3は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子1〜20の炭化水素基を表し、Z4は水素原子又はメチル基を表し、W3はそれぞれ独立的に単結合、-O-、-COO-、-OCO-を表し、vは2〜18の整数を表し、uは0又は1の整数を表し、D、E及びFはそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、隣接しないCH基が窒素で置換された1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1つ又は隣接しない2つのCH基が酸素又は硫黄原子で置換された1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基を表し、これらのD、E及びFは、さらに炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良く、Y6及びY7はそれぞれ独立的に単結合、-CH2CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-COO-、-OCO-、-C≡C-、-CH=CH-、-CF=CF-、-(CH24-、-CH2CH2CH2O-、-OCH2CH2CH2-、-CH=CHCH2CH2-、-CH2CH2CH=CH-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH2CH2COO-、-CH2CH2OCO-、-COOCH2CH2-又は-OCOCH2CH2-を表し、Y8は単結合、-O-、-COO-、-OCO-又は-CH=CHCOO-を表す。)で表される化合物を用いると、重合性液晶組成物の粘度を大幅に増加させることなく液晶物性を調節することができるので好ましい。
一般式(II)で表される化合物の具体例を以下に挙げることができる。
【0030】
【化10】

【0031】
【化11】

【0032】
【化12】

【0033】
(式中、j、k、l及びmはそれぞれ独立的に2〜18の整数を表す。)
又、一般式(III)で表される化合物の具体例を以下に挙げることができる。
【0034】
【化13】

【0035】
(式中、j及びkはそれぞれ独立的に2〜18の整数を表す。)
又、一般式(IV)で表される化合物の具体的な例として、化合物の構造と相転移温度を以下に挙げることができる。
【0036】
【化14】

【0037】
【化15】

【0038】
【化16】

【0039】
(式中、シクロヘキサン環はトランスシクロヘキサン環を表し、数字は相転移温度を表し、Cは結晶相、Nはネマチック相、Sはスメクチック相、Iは等方性液体相をそれぞれ表す。)
又、一般式(V)で表される化合物の具体例を以下に挙げることができる。
【0040】
【化17】

【0041】
(式中、X1は水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素原子数1から20のアルキル基表す。)
又、円盤状液晶化合物は、ベンゼン誘導体、トリフェニレン誘導体、トルキセン誘導体、フタロシアニン誘導体又はシクロヘキサン誘導体を分子の中心の母核とし、直鎖のアルキル基、直鎖のアルコキシ基又は置換ベンゾイルオキシ基がその側鎖として放射状に置換した構造を有することが好ましく、一般式(VI)
【0042】
【化18】

(式中、R5はそれぞれ独立して一般式(VI-a)で表される置換基を表す。)
【0043】
【化19】

【0044】
(式中、R6及びR7はそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表し、R8は炭素原子数1〜20アルコキシ基を表すが、該アルコキシ基中の水素原子は一般式(VI-b)、一般式(VI-c)又は一般式(VI-d)で表される置換基によって置換されていても良い。)
【0045】
【化20】

【0046】
(式中、R81、R82、R83、R84、R85、R86、R87、R88及びR89はそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、nは0又は1を表す。)で表される構造を有することがさらに好ましく、一般式(VI)においてR8の内少なくとも一つは一般式(VI-b)、一般式(VI-c)又は一般式(VI-d)で表される置換基によって置換されたアルコキシ基を表すことが好ましく、R8の全てが一般式(VI-b)、一般式(VI-c)又は一般式(VI-d)で表される置換基によって置換されたアルコキシ基を表すことが特に好ましい。
さらに、一般式(VI-a)は具体的には一般式(VI-e)
【0047】
【化21】

(式中nは2〜9の整数を表す。)で表される構造を有することが特に好ましい。
【0048】
以上述べた重合性液晶組成物は有機溶媒などに溶かした溶液の状態で使用してもよい。好適な有機溶媒として例えばトルエン、キシレン、クメンなどのアルキル置換ベンゼンやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチル、シクロヘキサノン、シクロペンンタノン等を挙げることができる。さらにこれらの溶媒にジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、N-メチルピロリジノン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等を添加しても良い。
【0049】
又、以上の重合性液晶組成物中にパーフルオロアルケニルオリゴマーから誘導した化合物からなる界面活性剤の他に重合禁止剤、重合開始剤、酸化防止剤、又は紫外線吸収剤などの添加剤を含有しても良い。
【実施例】
【0050】
以下、実施例を挙げて本願発明を更に詳述するが、本願発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0051】
空気界面におけるチルト角の測定は以下の方法によって行った。He-Neレーザーを使用して位相差の入射角依存を測定し、得られた測定結果をコンピュータシミュレーションソフト(シンテック社製LCD-Master)を用いて解析を行い、空気界面におけるチルト角を求めた。又、以下の実施例で述べる重量平均分子量は、TSKgel GMHXLを2本と、TSKgel G2000HXL、TSKgel G1000HXL(何れも東ソー製)のカラムを使用したGPC分析装置(東ソー社製HLC-8220GPC)により、溶媒テトラヒドロフラン、示差屈折計検出により検出し、ポリスチレン換算で求めた。
(実施例1)
式(a)の化合物50質量%
【0052】
【化22】

式(b)の化合物50質量%
【0053】
【化23】

【0054】
からなる重合性液晶組成物(A)を調製した。重合性液晶組成物(A)96.8質量%に光重合開始剤Irgacure-907(チバスペシャリティケミカルズ社製)3.0質量%、FTX-730LS(ネオス社製)0.2質量%添加した本願発明の重合性液晶組成物(A1)を調製した後、重合性液晶組成物(A1)を25%質量含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を調製した。次に、ガラス基板上にポリイミド配向剤AL1254(JSR社製)をスピンコート(2000回転/分、30秒)した後、150℃で1時間乾燥させることにより製膜した。このように製膜したポリイミド薄膜表面を基板の長手方向にラビング処理して、配向膜を形成した。この配向膜の上に、重合性液晶組成物(A1)を25質量%含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をスピンコート(700回転/分、15秒)した。スピンコートした基板に30mW/cm2の紫外線を30秒照射して、重合性液晶組成物(A1)を硬化させた。このようにして得られた光学異方体の位相差の入射角依存測定をした結果、空気界面におけるチルト角は約0°であった。又、得られた光学異方体をナトリウムランプで観察したところ、干渉縞は見られず、膜厚むらはなかった。又、このようにして得られた光学異方体の上に、重合性液晶組成物(A1)を25%質量含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をスピンコート(700回転/分、15秒)し、30mW/cm2の紫外線を30秒照射して、重合性液晶組成物(A1)を硬化させたところ、はじきのない良好な積層光学異方体が得られた。
【0055】
(実施例2〜8)
添加する界面活性剤を変えて重合性液晶組成物(B)〜(H)を調製した。添加した界面活性剤を表1に示す。重合性液晶組成物(A)96.8質量%に光重合開始剤Irgacure-907(チバスペシャリティケミカルズ社製)を3.0質量%、界面活性剤を0.2質量%添加した本願発明の重合性液晶組成物(B1)〜(H1)を調製した後、重合性液晶組成物(B1)〜(H1)を25%質量含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を調製した。次に、ガラス基板上にポリイミド配向剤AL1254(JSR社製)をスピンコート(2000回転/分、30秒)した後、150℃で1時間乾燥させることにより製膜した。このように製膜したポリイミド薄膜表面を基板の長手方向にラビング処理して、配向膜を形成した。この配向膜の上に、重合性液晶組成物(B1)〜(H1)を25質量%含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をスピンコート(700回転/分、15秒)した。スピンコートした基板に30mW/cm2の紫外線を30秒照射して、重合性液晶組成物(B1)〜(H1)を硬化させた。このようにして得られた光学異方体の空気界面におけるチルト角、膜厚むらの有無を表1にまとめる。又、このようにして得られた光学異方体の上に、重合性液晶組成物(B1)〜(H1)を25%質量含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をスピンコート(700回転/分、15秒)し、30mW/cm2の紫外線を30秒照射して、重合性液晶組成物(B1)〜(H1)を硬化させて積層光学異方体を作製した。このようにして得られた積層光学異方体のはじきの有無を表1にまとめる。
【0056】
【表1】

【0057】
表1よりパーフルオロアルケニルオリゴマーから誘導した化合物からなる界面活性剤を含有する重合性液晶組成物を硬化して得られた光学異方体は膜厚むらがなく、かつ、空気界面におけるチルト角が約0°であり、かつ、はじきのない良好な積層光学異方体が得られたことがわかる。
【0058】
(比較例1)
重合性液晶組成物(A)97質量%に光重合開始剤Irgacure-907(チバスペシャリティケミカルズ社製)3.0質量%を添加した重合性液晶組成物(A2)を調製した後、重合性液晶組成物(A2)を25質量%含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を調製した。次に、ガラス基板上にポリイミド配向剤AL1254(JSR社製)をスピンコート(2000回転/分、30秒)した後、150℃で1時間乾燥させることにより製膜した。このように製膜したポリイミド薄膜表面を基板の長手方向にラビング処理して、配向膜を形成した。この配向膜の上に、重合性液晶組成物(A2)を25質量%含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をスピンコート(700回転/分、15秒)した。スピンコートした基板に30mW/cm2の紫外線を30秒照射して、重合性液晶組成物(A2)を硬化させた。このようにして得られた光学異方体の位相差の入射角依存測定をした結果、空気界面におけるチルト角は約°55であった。又、得られた光学異方体をナトリウムランプで観察したところ、干渉縞は見られ、膜厚むらがあった。又、このようにして得られた光学異方体の上に、重合性液晶組成物(A2)を25%質量含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をスピンコート(700回転/分、15秒)し、30mW/cm2の紫外線を30秒照射して、重合性液晶組成物(A2)を硬化させたところ、はじきのない良好な積層光学異方体が得られた。
【0059】
(比較例2)
重合性液晶組成物(A)96.8質量%に光重合開始剤Irgacure-907(チバスペシャリティケミカルズ社製)3.0質量%、界面活性剤MEGAFAC R-08を0.2質量%添加した重合性液晶組成物(B2)を調製した後、重合性液晶組成物(B2)を25質量%含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を調製した。次に、ガラス基板上にポリイミド配向剤AL1254(JSR社製)をスピンコート(2000回転/分、30秒)した後、150℃で1時間乾燥させることにより製膜した。このように製膜したポリイミド薄膜表面を基板の長手方向にラビング処理して、配向膜を形成した。この配向膜の上に、重合性液晶組成物(B2)を25質量%含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をスピンコート(700回転/分、15秒)した。スピンコートした基板に30mW/cm2の紫外線を30秒照射して、重合性液晶組成物(B2)を硬化させた。このようにして得られた光学異方体の位相差の入射角依存測定をした結果、空気界面におけるチルト角は約°55であった。又、得られた光学異方体をナトリウムランプで観察したところ、干渉縞は見られず、膜厚むらはなかった。又、このようにして得られた光学異方体の上に、重合性液晶組成物(A2)を25%質量含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をスピンコート(700回転/分、15秒)したところ、はじきが発生し、良好な積層光学異方体は得られなかった。
【0060】
(比較例3)
重合性液晶組成物(A)96.9質量%に光重合開始剤Irgacure-907(チバスペシャリティケミカルズ社製)3.0質量%、重量平均分子量600の流動パラフィン(関東化学社製)を0.1質量%添加した重合性液晶組成物(C2)を調製した後、重合性液晶組成物(C2)を25質量%含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を調製した。次に、ガラス基板上にポリイミド配向剤AL1254(JSR社製)をスピンコート(2000回転/分、30秒)した後、150℃で1時間乾燥させることにより製膜した。このように製膜したポリイミド薄膜表面を基板の長手方向にラビング処理して、配向膜を形成した。この配向膜の上に、重合性液晶組成物(C2)を25質量%含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をスピンコート(700回転/分、15秒)した。スピンコートした基板を80℃で1分間乾燥した。乾燥した基板に30mW/cm2の紫外線を30秒照射して、重合性液晶組成物(C2)を硬化した。このようにして得られた光学異方体の位相差の入射角依存測定をした結果、空気界面におけるチルト角は約°0であった。又、得られた光学異方体をナトリウムランプで観察したところ、干渉縞は見られ、膜厚むらがあった。又、このようにして得られた光学異方体の上に、重合性液晶組成物(C2)を25%質量含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をスピンコート(700回転/分、15秒)し、30mW/cm2の紫外線を30秒照射して、重合性液晶組成物(C2)を硬化させたところ、はじきのない良好な積層光学異方体が得られた。
【0061】
(比較例4〜18)
添加する界面活性剤を変えて重合性液晶組成物(D2)〜(R2)を調製した。添加した界面活性剤を表2に示す。重合性液晶組成物(A)96.8質量%に光重合開始剤Irgacure-907(チバスペシャリティケミカルズ社製)を3.0質量%、界面活性剤を0.2質量%添加した重合性液晶組成物(D2)〜(R2)を調製した。次に重合性液晶組成物(D2)〜(G2)を25質量%含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を調製した。次に、ガラス基板上にポリイミド配向剤AL1254(JSR社製)をスピンコート(2000回転/分、30秒)した後、150℃で1時間乾燥させることにより製膜した。このように製膜したポリイミド薄膜表面を基板の長手方向にラビング処理して、配向膜を形成した。この配向膜の上に、重合性液晶組成物(D2)〜(G2)を25質量%含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をスピンコート(700回転/分、15秒)した。スピンコートした基板に30mW/cm2の紫外線を30秒照射して、重合性液晶組成物(D2)〜(G2)を硬化させた。このようにして得られた光学異方体の空気界面におけるチルト角、膜厚むらの有無を表2にまとめる。又、このようにして得られた光学異方体の上に、重合性液晶組成物(D2)〜(G2)を25%質量含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をスピンコート(700回転/分、15秒)し、30mW/cm2の紫外線を30秒照射して、重合性液晶組成物(D2)〜(G2)を硬化させて積層光学異方体を作製した。このようにして得られた積層光学異方体のはじきの有無を表2にまとめる。
【0062】
【表2】

【0063】
表2より表2記載の界面活性剤を含有する重合性液晶組成物を硬化して得られた光学異方体は膜厚むらがないが、空気界面におけるチルト角を減じる効果がなく、又、積層光学異方体にはじきが発生したことがわかる。
【0064】
(比較例19〜33)
添加する界面活性剤を変えて重合性液晶組成物(S2)〜(AG2)を調製した。添加した界面活性剤を表3に示す。重合性液晶組成物(A)96.8質量%に光重合開始剤Irgacure-907(チバスペシャリティケミカルズ社製)を3.0質量%、界面活性剤を0.2質量%添加した重合性液晶組成物(S2)〜(AG2)を調製した。次に重合性液晶組成物(S2)〜(AG2)を25質量%含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を調製した。次に、ガラス基板上にポリイミド配向剤AL1254(JSR社製)をスピンコート(2000回転/分、30秒)した後、150℃で1時間乾燥させることにより製膜した。このように製膜したポリイミド薄膜表面を基板の長手方向にラビング処理して、配向膜を形成した。この配向膜の上に、重合性液晶組成物(S2)〜(AG2)を25質量%含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をスピンコート(700回転/分、15秒)した。スピンコートした基板に30mW/cm2の紫外線を30秒照射して、重合性液晶組成物(S2)〜(AG2)を硬化させた。このようにして得られた光学異方体の空気界面におけるチルト角、膜厚むらの有無を表3にまとめる。
【0065】
【表3】

【0066】
表3より表3記載の界面活性剤を含有する重合性液晶組成物を硬化して得られた光学異方体は膜厚むらがないが、空気界面におけるチルト角を減じる効果がないことがわかる。
【0067】
以上の実施例と比較例から、パーフルオロアルケニルオリゴマーから誘導した化合物からなる界面活性剤を含有する重合性液晶組成物は、空気界面におけるチルト角を減じることができ、かつ、該重合性液晶組成物を硬化させた光学異方体は膜厚むらがなく、かつ、積層膜の形成が可能なので光学異方体の材料として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーフルオロアルケニルオリゴマーから誘導した化合物からなる界面活性剤を含有することを特徴とする重合性液晶組成物。
【請求項2】
パーフルオロアルケニルオリゴマーから誘導した化合物からなる界面活性剤がヘキサフルオロプロペンオリゴマーから誘導した化合物からなる請求項1記載の重合性液晶組成物。
【請求項3】
パーフルオロアルケニルオリゴマーから誘導した化合物からなる界面活性剤が2〜6つのヘキサフルオロプロペンオリゴマー末端基を有する化合物からなる請求項1記載の重合性液晶組成物。
【請求項4】
パーフルオロアルケニルオリゴマーから誘導した化合物からなる界面活性剤が一般式(I)
【化1】

(式中、Rは炭素原子数1〜6のアルキル基を示し、nは3〜50の整数を示す。)で表される含フッ素界面活性剤である請求項1記載の重合性液晶組成物。
【請求項5】
パーフルオロアルケニルオリゴマーから誘導した化合物からなる界面活性剤の含有量が0.01〜0.5質量%である請求項1記載の重合性液晶組成物。
【請求項6】
請求項1記載の重合性液晶組成物及び有機溶媒を含有する重合性組成物。
【請求項7】
一般式(II)
【化2】

(式中、Pは反応性官能基を表し、Spは炭素原子数1〜20のスペーサー基を表し、mは0又は1を表し、MGはメソゲン基又はメソゲン性支持基を表し、R1は、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1〜25のアルキル基を表すが、該アルキル基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH2基又は隣接していない2つ以上のCH2基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH3)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていても良く、あるいはR1は一般式(II-a)
【化3】

(式中、Pは反応性官能基を表し、Spは炭素原子数1〜20のスペーサー基を表し、mは0又は1を表す。)で表される構造を表す。)で表される化合物を含有する請求項1記載の重合性液晶組成物。
【請求項8】
一般式(II)において、Spがアルキレン基を表し(該アルキレン基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH2基又は隣接していない2つ以上のCH2基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH3)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていても良い。)、MGが一般式(II-b)
【化4】

(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、テトラヒドロチオピラン-2,5-ジイル基、1,4-ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基又はフルオレン2,7-ジイル基を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基及びフルオレン2,7-ジイル基は置換基として1個以上のF、Cl、CF3、OCF3、シアノ基、炭素原子数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルカノイルオキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、アルケニルオキシ基、アルケノイル基又はアルケノイルオキシ基を有していても良く、Z0、Z1、Z2及びZ3はそれぞれ独立して、-COO-、-OCO-、-CH2 CH2-、-OCH2-、-CH2O-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH2CH2COO-、-CH2CH2OCO-、-COO CH2CH2-、-OCOCH2CH2-、-CONH-、-NHCO-又は単結合を表し、nは0、1又は2を表す。)で表される構造を表し、Pが一般式(II-c)、一般式(II-d)及び一般式(II-e)
【化5】

(式中、R21、R22、R23、R31、R32、R33、R41、R42及びR43はそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、nは0又は1を表す。)で表される置換基からなる群より選ばれる置換基を表す、請求項7記載の重合性液晶組成物。
【請求項9】
一般式(III)
【化6】

(式中、mは0又は1を表し、W1及びW2はそれぞれ独立的に単結合、-O-、-COO-又は-OCO-を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立的に-COO-又は-OCO-を表し、r及びsはそれぞれ独立的に2〜18の整数を表すが、式中に存在する1,4−フェニレン基は炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良い。)で表される化合物を含有する請求項8記載の重合性液晶組成物。
【請求項10】
一般式(IV)
【化7】

(式中、Z1は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、Z2は水素原子又はメチル基を表し、tは0又は1を表し、A、B及びCはそれぞれ独立的に、1,4−フェニレン基、隣接しないCH基が窒素で置換された1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1つ又は隣接しない2つのCH2基が酸素又は硫黄原子で置換された1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基を表すが、式中に存在する1,4−フェニレン基は炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良く、Y3及びY4はそれぞれ独立的に単結合、-CH2CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-COO-、-OCO-、-C≡C-、-CH=CH-、-CF=CF-、-(CH24-、-CH2CH2CH2O-、-OCH2CH2CH2-、-CH=CHCH2CH2-、-CH2CH2CH=CH-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH2CH2COO-、-CH2CH2OCO-、-COO CH2CH2-又は-OCOCH2CH2-を表し、Y5は単結合、-O-、-COO-、-OCO-又は-CH=CHCOO-を表す。)で表される化合物を含有する請求項8記載の重合性液晶組成物。
【請求項11】
一般式(V)
【化8】

(式中、Z3は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、Z4は水素原子又はメチル基を表し、W3は単結合、-O-、-COO-又は-OCO-を表し、vは2〜18の整数を表し、uは0又は1を表し、D、E及びFはそれぞれ独立的に、1,4−フェニレン基、隣接しないCH基が窒素で置換された1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1つ又は隣接しない2つのCH2基が酸素又は硫黄原子で置換された1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基を表すが、式中に存在する1,4−フェニレン基は炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良く、Y6及びY7はそれぞれ独立的に単結合、-CH2CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-COO-、-OCO-、-C≡C-、-CH=CH-、-CF=CF-、-(CH24-、-CH2CH2CH2O-、-OCH2CH2CH2-、-CH=CHCH2CH2-、-CH2CH2CH=CH-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH2CH2COO-、-CH2CH2OCO-、-COO CH2CH2-又は-OCOCH2CH2-を表し、Y8は単結合、-O-、-COO-、-OCO-又は-CH=CHCOO-を表す。)で表される化合物を含有する請求項8記載の重合性液晶組成物。
【請求項12】
ベンゼン誘導体、トリフェニレン誘導体、トルキセン誘導体、フタロシアニン誘導体又はシクロヘキサン誘導体を分子の中心の母核とし、直鎖のアルキル基、直鎖のアルコキシ基又は置換ベンゾイルオキシ基がその側鎖として放射状に置換した構造である円盤状液晶化合物を含有する請求項1記載の重合性液晶組成物。
【請求項13】
円盤状液晶化合物が一般式(VI)で表される請求項12記載の重合性液晶組成物。
【化9】

(式中、R5はそれぞれ独立して一般式(VI-a)で表される置換基を表す。)
【化10】

(式中、R6及びR7はそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表し、R8は炭素原子数1〜20アルコキシ基を表すが、該アルコキシ基中の水素原子は一般式(VI-b)、一般式(VI-c)又は一般式(VI-d)で表される置換基によって置換されていても良い。)
【化11】

(式中、R81、R82、R83、R84、R85、R86、R87、R88及びR89はそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、nは0又は1を表す。)
【請求項14】
請求項1から13の何れかに記載の重合性液晶組成物の重合体により構成される光学異方体。
【請求項15】
請求項1から13の何れかに記載の重合性液晶組成物の重合体が積層された請求項14記載の光学異方体。

【公開番号】特開2009−242564(P2009−242564A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−90452(P2008−90452)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】