説明

重合触媒としてのポリヒドロポリボレート

【課題】 フリース生成物の生成量を最小限に抑制しながら高い重合速度が達成できるポリカーボネートの溶融重合法の提供。
【解決手段】 本発明は、エステル交換触媒の存在下で1種以上のジアリールカーボネートを1種以上のジヒドロキシ芳香族化合物と溶融重合条件下で接触させてポリカーボネートを生成させる合成方法に関する。本発明の方法で用いられるエステル交換触媒は、ポリヒドロポリボレートを、助触媒として作用するテトラアルキルアンモニウム又はテトラアルキルホスホニウム化合物と組み合わせたものである。本発明の方法で用いられるエステル交換触媒では、水酸化ナトリウムと水酸化テトラメチルアンモニウム助触媒との組合せのような従来の触媒に比してフリース転位生成物のレベルが低下したポリカーボネートが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジヒドロキシ芳香族化合物とジアリールカーボネートとの溶融重合反応におけるエステル交換触媒として有用なポリヒドロポリボレート化合物に関する。適当なポリヒドロポリボレート化合物はアルカリ金属対イオンを含有するものである。本発明はさらに、かかるポリヒドロポリボレートを用いたポリカーボネートの製造方法に関する。この方法によって、従来の溶融エステル交換触媒を用いた他の公知の方法で達成されるレベルよりもフリース生成物レベルの低いポリカーボネート生成物が得られる。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネートを、水酸化ナトリウムのようなエステル交換触媒の存在下でのジアリールカーボネートとジヒドロキシ芳香族化合物との溶融反応で製造することが次第に増している。この「溶融」法では、300℃を超える温度で粘稠ポリカーボネートメルトを撹拌できる反応器に反応体を導入する。典型的には、ジアリールカーボネートがジヒドロキシ芳香族化合物及び成長ポリマー鎖と反応する際に副生するヒドロキシ芳香族化合物の除去を容易にするため、反応は減圧下で実施される。
【0003】
フリース(Fries)転位は、「溶融」法を用いたポリカーボネートの製造で遍く起こる副反応である。その結果生じる「フリース生成物」はポリマー鎖の枝分れ部位として作用し、ポリカーボネートの流動性その他の性質に影響する。溶融法で製造されるポリカーボネート生成物において低レベルのフリース生成物は許容し得るが、フリース生成物が高レベルで存在するとポリカーボネートの衝撃性能、例えば成形性や靱性に悪影響を及ぼしかねない。そこで、フリース生成物の形成が最小限に抑制されたポリカーボネートの製造に有用な溶融重合法が、かかる重合法の実施を希望する者が久しく追い求めてきた目標である。
【特許文献1】米国特許第5399659号明細書
【特許文献2】米国特許第5854374号明細書
【特許文献3】米国特許第6262218号明細書
【特許文献4】米国特許第6300460号明細書
【特許文献5】米国特許第6316578号明細書
【特許文献6】米国特許第6339138号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フリース生成物の生成量を最小限に抑制しながら高い重合速度が達成できる溶融重合法でポリカーボネートを製造できれば甚だ有益である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、エステル交換触媒の存在下で1種以上のジアリールカーボネートを1種以上のジヒドロキシ芳香族化合物と溶融条件下で接触させてポリカーボネートを得ることを含んでなるポリカーボネートの製造方法であって、上記エステル交換触媒が1種以上のポリヒドロポリボレート触媒及び1種以上の助触媒を含有する方法を提供する。
【0006】
ある態様では、本発明の方法によって、従来の溶融エステル交換触媒を用いて製造されたポリカーボネートよりもフリース転位生成物のレベルが低いポリカーボネート生成物が得られる。
【0007】
本発明はさらに、1種以上のエステル交換触媒の存在下で1種以上のジヒドロキシ芳香族化合物と1種以上のジアリールカーボネートとを溶融反応することを含んでなるポリカーボネートの製造方法であって、上記エステル交換触媒が以下の構造式Iで表されるポリヒドロポリボレート触媒を含有する方法に関する。
【0008】
【化1】

式中、(B)はホウ素と水素からなる一価又は二価アニオンであり、n及びmは正の整数であり、nは3以上の値を有し、mはn以上の値を有し、Mはアルカリ金属カチオンであり、pは1又は2の整数である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の好ましい実施形態及びその実施例に関する以下の詳しい説明を参照することで本発明の理解を深めることができよう。本明細書及び特許請求の範囲では多くの用語を用いるが、以下の意味をもつものと定義される。
【0010】
単数形で記載したものであっても、前後関係から明らかでない限り、複数の場合も含めて意味する。
【0011】
「適宜」という用語は、その用語に続いて記載された事象又は状況が起きても起きなくてもよいことを意味しており、かかる記載はその事象又は状況が起こる場合と起こらない場合とを包含する。
【0012】
本明細書中で用いる「ポリカーボネート」という用語は、1種以上のジヒドロキシ芳香族化合物から誘導される構造単位が組み込まれたポリカーボネートをいい、コポリカーボネート及びポリエステルカーボネートを包含する。
【0013】
本明細書中で使用する「溶融法ポリカーボネート」という用語は、エステル交換触媒存在下でのジアリールカーボネートとジヒドロキシ芳香族化合物とのエステル交換反応を含むプロセスで製造されたポリカーボネートをいう。
【0014】
本明細書中で「BPA」とはビスフェノールA、つまり2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと定義される。
【0015】
本明細書中で発明の説明に用いる「エステル交換触媒」という用語は、1種以上の「主触媒」と1種以上の助触媒とを含む触媒系をいう。例えば、本発明の一実施形態では、Cs1212と水酸化テトラメチルアンモニウムを含むエステル交換触媒の存在下でジフェニルカーボネートとビスフェノールAを溶融重合するが、ここではCs1212が主触媒であり、水酸化テトラメチルアンモニウムが助触媒である。
【0016】
本明細書中で用いる「触媒系」という用語は、溶融法ポリカーボネートの製造においてジヒドロキシ芳香族化合物とジアリールカーボネートとのエステル交換反応を触媒する1種以上の触媒をいう。
【0017】
「触媒有効量」とは、触媒が触媒性能を発揮する量をいう。
【0018】
本明細書中で用いる「フリース生成物」という用語は、ポリカーボネート生成物の加水分解で、ヒドロキシ基の一方又は両方に隣接したカルボキシル基を有するカルボキシ置換ジヒドロキシ芳香族化合物を与えるポリカーボネート生成物の構造単位と定義される。例えば、フリース反応が起こる溶融反応法で製造されたビスフェノールAポリカーボネートでは、ポリカーボネート生成物の完全加水分解によってフリース生成物は以下の式IIのカルボキシビスフェノールAを与える。
【0019】
【化2】

「フリース生成物」と「フリース基」という用語は、本明細書では同義に用いられる。
【0020】
「フリース反応」と「フリース転位」という用語は、本明細書では同義に用いられる。
【0021】
本明細書中で用いる「ヒドロキシ芳香族化合物」という用語は、フェノール、p−クレゾール又はメチルサリチレートのように単一の反応性ヒドロキシル基を有するフェノール化合物を意味し、「フェノール系副生物」という用語と同義に用いられる。
【0022】
本明細書中で用いる「芳香族基」という用語は、1以上の芳香族基を含む原子価1以上の基をいう。芳香族基の具体例としては、フェニル、ピリジル、フラニル、チエニル、ナフチル、フェニレン及びビフェニルが挙げられる。この用語には、芳香族成分と脂肪族成分を共に含む基、例えばベンジル基、フェネチル基又はナフチルメチル基も包含される。この用語には、芳香族成分と脂環式成分を共に含む基、例えば4−シクロプロピルフェニル及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イルも包含される。
【0023】
本明細書中で用いる「脂肪族基」という用語は、環状でない線状又は枝分れ原子配列からなる原子価1以上の基をいう。この配列は、窒素、硫黄及び酸素のようなヘテロ原子を含んでいてもよいし、炭素と水素だけからなるものでもよい。脂肪族基の具体例としては、メチル、メチレン、エチル、エチレン、ヘキシル、ヘキサメチレンなどが挙げられる。
【0024】
本明細書中で使用する「脂環式基」という用語は、環状であるが芳香族でない原子配列からなり、さらに芳香環を含まない原子価1以上の基をいう。この配列は、窒素、硫黄及び酸素のようなヘテロ原子を含んでいてもよいし、炭素と水素だけからなるものでもよい。脂環式基の具体例には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2−シクロヘキシルエチル−1−イル、テトラヒドロフラニルなどが挙げられる。
【0025】
なお、本明細書中で用いる「脂肪族基」、「芳香族基」及び「脂環式基」という用語には、置換された基と非置換の基が共に包含される。例えば、シクロヘキサン環構造しか含まない基は非置換脂環式基とみなすことができ、メチル基(CH)を有する類似の六員環構造が置換脂環式基の例として挙げられる。本発明における置換型の脂肪族、芳香族及び脂環式基における代表的な置換基としては、C〜C20アルキル、C〜C20シクロアルキル、C〜C20アリール、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボニル、ニトロ、シアノ、C〜C20アルコキシ、C〜C20アルコキシカルボニルなどが挙げられる。
【0026】
なお、「mmHg」と「torr」という用語は圧力の単位として同義である。
【0027】
今回、ビスフェノールAのようなジヒドロキシ芳香族化合物とジフェニルカーボネートのようなジアリールカーボネートとの溶融エステル交換反応に、ポリヒドロポリボレートを主触媒として含むエステル交換触媒を用いると、水酸化ナトリウムを主触媒として含む従来のエステル交換触媒を用いて製造されたポリカーボネートよりもフリース転位生成物のレベルの低いポリカーボネート生成物が得られるという知見が得られた。フリース転位の量の低減は、ポリカーボネート生成物の延性を増加させ、フリース転位部位で起こりかねない抑制不能な枝分れが避けられるという点で極めて望ましい。抑制不能な枝分れは、ポリカーボネート生成物の延性を低下させて、ポリカーボネート生成物の有用性を損なうおそれがある。本発明の方法に用いられるポリヒドロポリボレートを含むエステル交換触媒は、水酸化ナトリウムのようなアルカリ金属水酸化物を含むエステル交換触媒よりもフリース転位生成物の生成量が少ない。
【0028】
一実施形態では、本発明は、溶融重合条件下でのポリカーボネートの製造のための主触媒として1種以上のポリヒドロポリボレートを含有するエステル交換触媒を提供するが、得られるポリカーボネートは約8000ダルトン以上の数平均分子量Mnを有し、主触媒としてアルカリ金属水酸化物を含むエステル交換触媒を用いて製造した同程度の分子量のポリカーボネートよりもフリース生成物含量が低い。特に、フリース生成物含量が3000ppm未満であるのが望ましく、好ましくは2000ppm未満、さらに好ましくは1000ppm未満、さらに一段と好ましくは500ppm未満である。
【0029】
本発明は、ジヒドロキシ芳香族化合物とジアリールカーボネートとの溶融重合における触媒として有用なポリヒドロポリボレートに関する。構造式Iのポリヒドロポリボレートは有効な溶融重合触媒であり、その具体例としては、Na1212、K1212、Cs1212、Na1010、K1010、Cs1010、NaB1114、KB1114、CsB1114、NaB、KB、CsBなどが挙げられる。構造式Iの触媒は、市販されており、公知の方法で製造してもよい。例えば、米国特許第3555261号及び同第3328134号並びにInorganic Chemistry, Vol.6(No.6), pp.1196−8(1967)参照。
【0030】
本発明の方法によるポリカーボネートの製造に有用なジヒドロキシ芳香族化合物は次の一般式IIIで表すことができる。
【0031】
【化3】

式中、Rは各々独立にハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C〜C20アルキル基、C〜C20シクロアルキル基又はC〜C20アリール基であり、q及びsは各々独立に0〜3の整数であり、Wは単結合、酸素原子、硫黄原子、SO基、C〜C20脂肪族基、C〜C20芳香族基、C〜C20脂環式基又は次式の基である。
【0032】
【化4】

式中、R及びRは各々独立に水素原子、C〜C20アルキル基、C〜C20シクロアルキル基又はC〜C20アリール基であるか、或いはRとRが一緒にC〜C20脂環式環を形成するもので、該C〜C20脂環式環は適宜1以上のC〜C20アルキル基、C〜C20アリール基、C〜C21アラルキル基、C〜C20シクロアルキル基又はこれらの組合せで置換されていてもよい。
【0033】
本発明の方法に適した式IIIのビスフェノール化合物としては、ビスフェノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン及び1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが挙げられる。
【0034】
本発明の一態様では、本発明の方法に用いられるジアリールカーボネートは次の構造式IVで表される。
【0035】
【化5】

式中、Rは各々独立にハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C〜C20アルキル基、C〜C20アルコキシカルボニル基、C〜C20シクロアルキル基又はC〜C20アリール基であり、t及びvは各々独立に0〜5の整数である。
【0036】
本発明の方法に適した式IVのジアリールカーボネートとしては、ジフェニルカーボネート、ビス(4−メチルフェニル)カーボネート、ビス(4−クロロフェニル)カーボネート、ビス(4−フルオロフェニル)カーボネート、ビス(2−クロロフェニル)カーボネート、ビス(2,4−ジフルオロフェニル)カーボネート、ビス(4−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(2−ニトロフェニル)カーボネート及びビス(メチルサリチル)カーボネート(CAS No.82091−12−1)が挙げられる。
【0037】
一実施形態では、ジヒドロキシ芳香族化合物から誘導されるポリカーボネート生成物の構造単位はすべてビスフェノールA由来の構造単位からなり、ジアリールカーボネートから誘導される構造単位はすべてジフェニルカーボネートから誘導される。
【0038】
飲料ボトルのブロー成形のような高度の溶融強度が必要とされる用途では、ポリカーボネートの枝分れが望ましいことがあるので、ポリカーボネート生成物に制御された枝分れをもたらす手段として、本発明の方法による溶融重合反応に1種以上の枝分れ剤を適宜導入してもよい。適当な枝分れ剤としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(THPE)、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンなどが挙げられる。
【0039】
本発明の方法では、末端封鎖剤を適宜使用してもよい。適当な末端封鎖剤としては、フェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、カルダノールのようなヒドロキシ芳香族化合物が挙げられる。
【0040】
末端封鎖剤を用いる場合、末端封鎖剤は好ましくは、ジヒドロキシ芳香族化合物1モル当たり約0.001〜約0.10モル、特に約0.01〜約0.08モルに相当する量で用いられる。
【0041】
構造式Iのポリヒドロポリボレート触媒は、ジヒドロキシ芳香族化合物1モル当たり約1×10−8〜2.5×10−4モル、好ましくは約1×10−7〜2.5×10−5モルの触媒に相当する量で使用する。触媒の使用量がジヒドロキシ芳香族化合物1モル当たり約1×10−8モル未満であると、分子量の有意な増加が認められない程反応速度が遅くなることがある。一般に、ポリカーボネート生成物の数平均分子量(Mn)は約8000ダルトン以上であるのが好ましい。触媒量がジヒドロキシ芳香族化合物1モル当たり約2.5×10−4モルを超えると、フリース転位速度が大きくなりすぎて、抑制不能な枝分れが高レベルで起こりかねない。
【0042】
本発明の方法で使用する助触媒は、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物又はこれらの混合物である。
【0043】
適当な第四級アンモニウム化合物の例としては、特に限定されないが、アルキル基、アリール基及びアルカリール基を有する水酸化アンモニウム、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)及び水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)が挙げられる。適当な第四級ホスホニウム化合物の例としては、特に限定されないが、水酸化テトラエチルホスホニウム、水酸化テトラブチルホスホニウム及び酢酸テトラブチルホスホニウムが挙げられる。
【0044】
助触媒は、好ましくはジヒドロキシ芳香族化合物1モル当たり約1×10−2〜約1×10−6モル、特に1×10−2〜約1×10−5モルの量で使用される。
【0045】
場合によっては、反応混合物はさらに、金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウムのようなアルカリ金属水酸化物を含んでいてもよい。アルカリ金属水酸化物は、ポリヒドロポリボレート主触媒の活性を高めるために添加し得る。アルカリ金属水酸化物を使用する場合、好ましくはジヒドロキシ芳香族化合物1モル当たり約1×10−8〜2.5×10−4モル、特に約1×10−7〜1×10−5モルのアルカリ金属水酸化物に相当する量で存在する。
【0046】
溶融重合の反応条件に特に制限はなく、広範な作業条件下で溶融重合を実施し得る。したがって、「溶融重合条件」という用語は、本発明のジアリールカーボネートとジヒドロキシ芳香族化合物との反応の遂行に必要な条件を意味する。反応温度は、典型的には約100℃〜約350℃、好ましくは約180℃〜約310℃の範囲にある。圧力は、反応の初期段階では大気圧、過圧、又は大気圧〜約15torrの範囲の圧力とすることができ、後段では、減圧、例えば約0.2〜約15torrの範囲の減圧とすることができる。反応時間は通常約0.1時間〜約10時間である。
【0047】
溶融重合は、他の触媒に関して当該技術分野で公知の通り、1以上の段階で実施できる。溶融重合を2段階以上で実施する場合、本発明の主触媒と助触媒は同じ段階で添加してもよいし、異なる段階で添加してもよい。助触媒は、どの段階で添加してもよいが、プロセスの初期に添加するのが好ましい。助触媒は、好ましくは、主触媒Iの使用モル数を基準にして約1〜約500モル当量に相当する量で用いられる。
【0048】
さらに好ましい実施形態では、このプロセスは2段階プロセスとして実施される。この実施形態の第1段階では、ジヒドロキシ芳香族化合物とジアリールカルボン酸を含む反応系に助触媒を導入する。第1段階は、270℃以下、好ましくは80℃〜250℃、さらに好ましくは100℃〜230℃の温度で実施される。第1段階の期間は、略大気圧〜約100torrの圧力で、好ましくは0.1〜5時間、さらに好ましくは0.1〜3時間であり、窒素雰囲気が好ましい。
【0049】
第2段階では、第1段階の生成物に構造式Iの触媒を導入して、さらに重縮合を実施する。触媒は、第2段階でその全量を添加してもよいし、或いは全量が上記範囲に収まるように幾つかのバッチに分けて第2段階及びそれ以降の段階で添加してもよい。
【0050】
重縮合の第2段階及びそれ以降の段階では、第1段階よりも反応系の圧力を下げながら反応温度を上げてジヒドロキシ芳香族化合物とジアリールカーボネートとの反応を生起させるのが好ましい。こうして、最初にポリカーボネートオリゴマーを形成しておき、これを240℃〜320℃及び5mmHg以下、好ましくは1mmHg以下の減圧での重縮合反応によって数平均分子量約8000ダルトン以上のポリカーボネートとする。
【0051】
上述の通り溶融重合を2段階以上で実施する場合、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラブチルホスホニウム又は酢酸テトラブチルホスホニウムのような助触媒は本発明の主触媒よりも早い段階で添加するのが好ましい。特に、温度が220℃に達する前、好ましくは200℃に到達する前に、助触媒を反応器に添加するのが好ましい。
【0052】
反応は回分法でも連続法でも実施できる。反応にはあらゆる所望の装置を使用できる。本発明で用いる反応器の材料及び構造は、反応器が通常の攪拌能力を有していて、重合の進行に伴って副生物として生成するヒドロキシ芳香族化合物を除去する手段が設けられている限り、特に制限はない。反応系の粘度は反応後期に増大するので、反応器は高粘度条件下でも攪拌できるものが好ましい。
【0053】
そこで、さらに別の実施形態では、本発明は、ポリカーボネートの製造方法であって、
(a)ジヒドロキシ芳香族化合物とジアリールカーボネートをメルトを形成するのに十分な時間加熱した後、触媒有効量の構造式Iのポリヒドロポリボレート化合物とテトラアンモニウム及びテトラアルキルホスホニウム化合物から選択される助触媒とを含有する触媒組成物を導入するを導入する段階、
(b)段階(a)で形成した溶融混合物を、約210〜約290℃の温度で運転される直列の1以上の連続反応器を含む反応系でオリゴマー化する段階であって、該反応器で得られる生成物が約1000〜約5500ダルトンの数平均分子量を有する段階、及び
(c)段階(b)の生成物を、約280〜315℃の温度で運転される直列の1以上の連続重合反応器を含む反応系で重合する段階であって、該段階(c)で得られる生成物が約8000ダルトン以上の数平均分子量を有する段階
を含んでなる方法を提供する。
【0054】
生成物の特性に悪影響を与えない限り、ポリカーボネート生成物に添加剤を添加してもよい。添加剤には、従来から様々な目的でポリカーボネートに添加されている広範な物質がある。具体例としては、熱安定剤、エポキシ化合物、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、スリップ剤、粘着防止剤、滑剤、曇り防止剤、天然油、合成油、ワックス、有機充填材、難燃剤、無機充填材その他公知の種類の添加剤が挙げられる。
【0055】
本発明で得られたポリカーボネートは、可塑剤、顔料、滑剤、離型剤、安定剤、有機充填剤のような慣用添加剤と混合してから使用してもよい。このポリカーボネートは、他のポリマー、例えば、特に限定されないが、ABS及びポリスチレンのようなオレフィンポリマー、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリフェニレンエーテルなどとブレンドすることも可能である。
【実施例】
【0056】
以下の実施例は、特許請求の範囲に記載した方法をいかに評価するかについて当業者に詳しく説明するためのものであり、本発明者らが発明として把握している範囲を限定するものではない。特記しない限り、部は重量部であり、温度は℃単位である。
【0057】
反応混合物の観察を容易にし、ポリカーボネート生成物の純度を確保するため、中実ニッケル製ヘリカル撹拌機を備えた1Lガラス製回分式反応器で溶融エステル交換反応を行った。反応器の底にはポリカーボネート生成物をメルトとして取り出すための離脱式ガラスニップルが設けられていた。反応器のガラス内表面からナトリウムをすべて除去するため、反応器を3NのHClに12時間以上浸漬し、続いて18MΩの水に12時間以上浸漬した。次いで、オーブンで反応器を一晩乾燥し、使用時まで覆いをして保存した。PIDコントローラ付流動式砂浴を用いて反応器の温度を維持した。温度は反応器と砂浴の境界近傍で測定した。反応器の圧力は、留出液回収用フラスコの下流の真空ポンプへの窒素抽気によって制御し、高圧(760〜40mmHg)では水銀気圧計で測定し、低圧(40〜1mmHg)ではEdwards製ピラニ真空計で測定した。
【0058】
反応器を組み立てる前に、反応器に固体ビスフェノールA(日本GEプラスチックス(株)製、0.6570モル)と固体ジフェニルカーボネート(日本GEプラスチックス(株)製、0.7096モル)を仕込んだ。次いで、反応器を組み立てて密閉し、雰囲気を窒素で3回置換した。最後の窒素置換で反応器を略大気圧とし、180℃の流動浴に沈めた。5分後に、250rpmで攪拌を開始した。さらに10分後、反応体は完全に溶融し、均質混合物をなしていると思われた。水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)(Sachem社製、1.32×10−4モル)及びポリヒドロポリボレート触媒(触媒1〜5×10−6モル/モルビスフェノールA)を脱イオン水(18MΩ)中の溶液として混合物に添加した。触媒添加後、時間計測を開始し、温度を5分間で210℃に上げた。この温度に達した時点で、圧力を180mmHgに下げたが、直ちにフェノールが留出し始めた。25分後に、圧力を100mmHgに下げ、45分間維持した。次いで、温度を5分間で240℃に上げ、圧力を15mmHgに下げた。この条件を45分間維持した。次いで、温度を5分間で270℃に上げ、圧力を2mmHgに下げた。この条件を10分間維持した。次いで、温度を5分間で最終仕上げ温度に上げ、圧力を1.1mmHgに下げた。仕上げ温度は310℃であった。30分後、反応器を砂浴から取り出し、ポリマーメルト生成物を液体窒素に注いで反応を停止させた。
【0059】
数平均分子量(Mn)は、ポリカーボネート生成物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析で得た。既知分子量のポリカーボネート標準を用いて検量線を作成し、この検量線からポリカーボネート生成物の分子量を求めることができた。カラムの温度は25℃、移動相はクロロホルムであった。
【0060】
フリース含有量(ppm)はポリカーボネート生成物のKOHメタノリシスで測定した。表1に示す溶融法ポリカーボネートの各々について、フリース含有量を以下の通り測定した。まず、0.50gのポリカーボネートを4.0mlのTHF(内標準としてp−テルフェニルを含む)に溶解した。次に、この溶液に18%KOHメタノール溶液3.0mlを添加した。得られた混合物をこの温度で2時間撹拌した。次に、1.0mlの酢酸を添加し、混合物を5分間撹拌した。酢酸カリウムを1時間かけて晶出させた。固形分を濾別し、得られた濾液を、内標準としてp−テルフェニルを用いた液体クロマトグラフィーで分析した。
【0061】
データを表1にまとめたが、これらのデータは、本発明の方法で用いる触媒が従来の触媒よりも優れていることを実証している。従来の触媒の性能は、水酸化ナトリウムと水酸化テトラメチルアンモニウムとを含むエステル交換触媒(比較例1及び2)を用いて例示した。比較例1及び実施例1〜2では、触媒をビスフェノールA1モル当たり約5×10−6モルの触媒に相当する量で使用し、助触媒TMAHはビスフェノールA1モル当たり約2.0×10−4モルのTMAHに相当する量で存在していた。比較例2及び実施例3〜4では、触媒をビスフェノールA1モル当たり約1×10−6モルの触媒に相当する量で使用し、助触媒TMAHはビスフェノールA1モル当たり約2.0×10−4モルのTMAHに相当する量で存在していた。すべての例においてポリカーボネート生成物はビスフェノールAポリカーボネートであった。表1において、「式」の欄は用いた主触媒の式を示す。Mnはポリカーボネート生成物の数平均分子量(単位ダルトン)を示す。「フリース」の欄はポリカーボネート生成物中に存在するフリース転位生成物の量を示す。「フリース」値はppm単位で示す。
【0062】
【表1】

表1の結果は、水酸化ナトリウムとの対比における、ポリヒドロポリボレートの溶融重合触媒としての有効性を明らかに示している。水酸化ナトリウムの場合、比較的高分子量(Mn約8800ダルトン以上)が達成される結果、かなりの量(約3000ppm)の望ましくないフリース転位生成物が生成する。本発明の触媒では適度に高分子量(Mn)のポリカーボネート生成物が得られ、フリース転位生成物のレベルは水酸化ナトリウムを主触媒として使用したときの生成レベルに比して大幅に低下している。
【0063】
以上、本発明を特にその好ましい実施形態を参照して詳しく説明してきたが、本発明の技術的思想及び技術的範囲内で様々な変形及び修正が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エステル交換触媒の存在下で1種以上のジアリールカーボネートを1種以上のジヒドロキシ芳香族化合物と溶融条件下で接触させてポリカーボネートを得ることを含んでなるポリカーボネートの製造方法であって、上記エステル交換触媒が1種以上のポリヒドロポリボレート触媒及び1種以上の助触媒を含んでなる方法。
【請求項2】
前記ポリヒドロポリボレート触媒が次の構造式Iで表される、請求項1記載の方法。
【化1】

式中、(B)はホウ素と水素からなる一価又は二価アニオンであり、n及びmは正の整数であり、nは3以上の値を有し、mはn以上の値を有し、Mはアルカリ金属カチオンであり、pは1又は2の整数である。
【請求項3】
n及びmが共に3〜約20の範囲の値の整数である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記ポリヒドロポリボレート触媒が、Na1212、K1212、Cs1212、Na1010、K1010、Cs1010、NaB1114、KB1114、CsB1114、NaB、KB及びCsBからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記ポリヒドロポリボレート触媒がCs1212である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記ジヒドロキシ芳香族化合物が構造式IIIで表されるビスフェノールである、請求項1記載の方法。
【化2】

式中、Rは各々独立にハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C〜C20アルキル基、C〜C20シクロアルキル基又はC〜C20アリール基であり、q及びsは各々独立に0〜3の整数であり、Wは単結合、酸素原子、硫黄原子、SO基、C〜C20脂肪族基、C〜C20芳香族基、C〜C20脂環式基又は次式の基である。
【化3】

式中、R及びRは各々独立に水素原子、C〜C20アルキル基、C〜C20シクロアルキル基又はC〜C20アリール基であるか、或いはRとRが一緒にC〜C20脂環式環を形成するもので、該C〜C20脂環式環は適宜1以上のC〜C20アルキル基、C〜C20アリール基、C〜C21アラルキル基、C〜C20シクロアルキル基又はこれらの組合せで置換されていてもよい。
【請求項7】
前記ビスフェノールが、ビスフェノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン及び1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンからなる群から選択される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記ジアリールカーボネートが構造式IVで表される、請求項1記載の方法。
【化4】

式中、Rは各々独立にハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C〜C20アルキル基、C〜C20アルコキシカルボニル基、C〜C20シクロアルキル基又はC〜C20アリール基であり、t及びvは各々独立に0〜5の整数である。
【請求項9】
前記ジアリールカーボネートが、ジフェニルカーボネート、ビス(4−メチルフェニル)カーボネート、ビス(4−クロロフェニル)カーボネート、ビス(4−フルオロフェニル)カーボネート、ビス(2−クロロフェニル)カーボネート、ビス(2,4−ジフルオロフェニル)カーボネート、ビス(4−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(2−ニトロフェニル)カーボネート及びビス(メチルサリチル)カーボネートからなる群から選択される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
1種以上のポリヒドロポリボレート触媒及び1種以上の助触媒を含有するエステル交換触媒の存在下で1種以上のジアリールカーボネートを1種以上のジヒドロキシ芳香族化合物と溶融条件下で接触させる工程が、1種以上の枝分れ剤の存在下で実施される、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記枝分れ剤が1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
1種以上のポリヒドロポリボレート触媒及び1種以上の助触媒を含有するエステル交換触媒の存在下で1種以上のジアリールカーボネートを1種以上のジヒドロキシ芳香族化合物と溶融条件下で接触させる工程が、1種以上の末端封鎖剤の存在下で実施される、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記末端封鎖剤がヒドロキシ芳香族化合物である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記ヒドロキシ芳香族化合物がフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール及びカルダノールからなる群から選択される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記ポリヒドロポリボレート触媒を、ジヒドロキシ芳香族化合物1モル当たり1×10−8〜2.5×10−4モルのポリヒドロポリボレート触媒に相当する量で使用する、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記助触媒が第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記第四級アンモニウム化合物が水酸化テトラメチルアンモニウム及び水酸化テトラブチルアンモニウムからなる群から選択され、前記第四級ホスホニウム化合物が酢酸テトラブチルホスホニウム及び水酸化テトラブチルホスホニウムからなる群から選択される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記助触媒を、ジヒドロキシ芳香族化合物1モル当たり約1×10−2〜約1×10−6モルの助触媒に相当する量で使用する、請求項1記載の方法。
【請求項19】
エステル交換触媒の存在下で1種以上のジアリールカーボネートをビスフェノールAと約180℃〜約310℃の範囲の温度及び約760〜約1torrの範囲の圧力で接触させてポリカーボネート生成物を得ることを含んでなるビスフェノールAポリカーボネートの製造方法であって、上記エステル交換触媒が1種以上のポリヒドロポリボレート触媒及び1種以上の助触媒を含んでなる方法。
【請求項20】
前記ポリヒドロポリボレート触媒が構造式Iで表される、請求項19記載の方法。
【化5】

式中、(B)はホウ素と水素からなる一価又は二価アニオンであり、n及びmは正の整数であり、nは3以上の値を有し、mはn以上の値を有し、Mはアルカリ金属カチオンであり、pは1又は2の整数である。
【請求項21】
n及びmが共に3〜約20の範囲の値の整数である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記ポリヒドロポリボレート触媒が、Na1212、K1212、Cs1212、Na1010、K1010、Cs1010、NaB1114、KB1114、CsB1114、NaB、KB及びCsBからなる群から選択される、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記ジアリールカーボネートが構造式IVで表される、請求項19記載の方法。
【化6】

式中、Rは各々独立にハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C〜C20アルキル基、C〜C20アルコキシカルボニル基、C〜C20シクロアルキル基又はC〜C20アリール基であり、t及びvは各々独立に0〜5の整数である。
【請求項24】
前記ジアリールカーボネートが、ジフェニルカーボネート、ビス(4−メチルフェニル)カーボネート、ビス(4−クロロフェニル)カーボネート、ビス(4−フルオロフェニル)カーボネート、ビス(2−クロロフェニル)カーボネート、ビス(2,4−ジフルオロフェニル)カーボネート、ビス(4−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(2−ニトロフェニル)カーボネート及びビス(メチルサリチル)カーボネートからなる群から選択される、請求項23記載の方法。
【請求項25】
1種以上のポリヒドロポリボレート触媒及び1種以上の助触媒を含有するエステル交換触媒の存在下で1種以上のジアリールカーボネートをビスフェノールAと接触させる工程が、1種以上の枝分れ剤の存在下で実施される、請求項19記載の方法。
【請求項26】
前記枝分れ剤が1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンである、請求項25記載の方法。
【請求項27】
1種以上のポリヒドロポリボレート触媒及び1種以上の助触媒を含有するエステル交換触媒の存在下で1種以上のジアリールカーボネートをビスフェノールAと接触させる工程が、1種以上の末端封鎖剤の存在下で実施される、請求項19記載の方法。
【請求項28】
前記末端封鎖剤がヒドロキシ芳香族化合物である、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記ヒドロキシ芳香族化合物がフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール及びカルダノールからなる群から選択される、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記ポリヒドロポリボレート触媒を、ビスフェノールA1モル当たり1×10−8〜2.5×10−4モルのポリヒドロポリボレート触媒に相当する量で使用する、請求項19記載の方法。
【請求項31】
前記助触媒が第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項19記載の方法。
【請求項32】
前記第四級アンモニウム化合物が水酸化テトラメチルアンモニウム及び水酸化テトラブチルアンモニウムからなる群から選択され、前記第四級ホスホニウム化合物が酢酸テトラブチルホスホニウム及び水酸化テトラブチルホスホニウムからなる群から選択される、請求項31記載の方法。
【請求項33】
セシウムドデカヒドロドデカボレート(Cs1212)及び酢酸テトラブチルホスホニウムの存在下でビスフェノールAをジフェニルカーボネートと約180℃〜約310℃の範囲の温度及び約760〜約1torrの範囲の圧力で接触させてビスフェノールAポリカーボネートを得ることを含んでなるビスフェノールAポリカーボネートの製造方法であって、
ジフェニルカーボネートがビスフェノールA1モル当たり約0.9〜約1.2モルのジフェニルカーボネートに相当する量で存在し、セシウムドデカヒドロドデカボレートがビスフェノールA1モル当たり約1×10−8〜約2.5×10−4モルのセシウムドデカヒドロドデカボレートに相当する量で存在し、酢酸テトラブチルホスホニウムがビスフェノールA1モル当たり約1×10−6〜約1×10−2モルの酢酸テトラブチルホスホニウムに相当する量で存在する、方法。

【公表番号】特表2007−521354(P2007−521354A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−512395(P2005−512395)
【出願日】平成15年11月21日(2003.11.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/037371
【国際公開番号】WO2005/061582
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】