説明

重度の糖尿病性潰瘍の治療方法

【課題】 高い割合で四肢切断の結果を生じさせてしまう重度の糖尿病性潰瘍は、患者の治癒プロセスを妨害しあるいは合併症を引き起こす。本発明は、重度の糖尿病性潰瘍を成功裏に処置して、治癒を可能にし、糖尿病患者が四肢を切断することを防止できる方法を提供する。
【解決手段】 重度の糖尿病性潰瘍10に、少なくとも3種のパルス電磁場(PEMF)印加(PEMF印加1、2及び3)及び少なくとも2種の間欠圧迫治療(ICT)印加を備える処置セッションを印加する処置セッションを、少なくとも1日1回、患者に対し行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、虚血、及び皮下脂肪層を貫通する重度の糖尿病性潰瘍を有する患者の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
重度の糖尿病性潰瘍の多くは糖尿病性の合併症であり、皮下脂肪層を貫通する創傷と虚血を有することを特徴としている。米国では1800万人が糖尿病であり、毎年80万人以上が糖尿病と新たに診断される。糖尿病を有するこれらの人々の多くは、約270万人は潰瘍、例えば足の潰瘍を進行させている。これらの潰瘍を有する人のうち、約120万人は重度の潰瘍を進行させている。重度の潰瘍は、頻繁に感染症、壊疽、切断を引き起こし、場合によっては死に至ることがある。実際、糖尿病は、米国及び欧州において、下肢切断の最も一般的な根本原因である。
【0003】
高い割合で潰瘍が切断の結果を生じさせてしまうことからも明らかなように、重度の糖尿病性潰瘍の処置は困難である。重度の糖尿病性潰瘍は、患者の治癒プロセスを妨害しあるいは完全に抑制する複数の重なり合った合併症、例えば虚血、開裂した深い傷及び感染症を有し、処置するには極度に複雑である。現在使用されている治療は、全てのタイプの傷に対処しようとするもので、重度の糖尿病性潰瘍のような解決の難しい複雑なものに対しては十分に対処できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の通り、切断の可能性を減少させあるいは防止するために、重度の糖尿病性潰瘍を処置するための改良された方法が要請されている。本発明は、この要請に対処し、重度の糖尿病性潰瘍を成功裏に処置して、治癒を可能にし、糖尿病患者が四肢を切断することを防止できる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、重度の糖尿病性潰瘍を処置するために特別に意図された方法に関する。本発明方法は、重度の糖尿病性潰瘍と虚血に罹患した糖尿病患者に、少なくとも3種のパルス電磁場(PEMF)印加(PEMF印加1、2及び3)及び少なくとも2種の間欠圧迫治療(ICT)印加を備える処置セッションを行うことが好ましい。重度の糖尿病性潰瘍を処置するために、糖尿病患者に対して処置セッションを少なくとも1日1回行うことが好ましく、1日2回行うことが更に好ましい。典型的な処置セッションは少なくとも約2,5から3.5時間行う。処置セッションを少なくとも1日1回行うことが好ましく、1日2回行うことが更に好ましく、前回の処置セッションの完了後、7から10時間ごとに行うことが最も好ましい。
【0006】
本発明方法は、重度の糖尿病性潰瘍の特殊で問題の多い特性に対処する特別の処置である。特定のPEMF印加の組み合わせと設定は、重度の糖尿病性潰瘍の治癒を誘起するために必要な特殊なファクタに対処する。例えば、PEMF印加1は、治癒用の潰瘍床を調製するために必要な細胞活性を誘起することを意図し、PEMF印加2は、治癒プロセスの間に、患者の皮膚の表面近くの、つまり浅い部分の糖尿病性潰瘍近くの潰瘍床を充填するために必要な細胞活性を誘起し、PEMF印加3は、表面から離れた潰瘍床を充填するために必要な細胞活性を誘起する。PEMF印加3は、深く問題の多い糖尿病性潰瘍について特に重要である。選択可能なPEMF印加4は、PEMF印加2及び/又は3では完全には対応できない問題の多い糖尿病性潰瘍の潰瘍床を充填するための細胞活性を誘起する。
【0007】
本発明は、複数設定を許容し、処置セッションの間に、PEMF及びICT治療の両者に関し特定のタイプのものを使用可能にする。患者に対して行われるICT治療は、虚血のレベル及び患者の感度に基づいて選択する。ICT治療は、少なくとも2種の設定、静脈及び動脈の設定を有することが好ましい。静脈の設定は、患者の静脈の機能不全に対処するために使用され、動脈の設定は、患者の動脈の機能不全に対処するために使用される。好ましい態様では、第3の選択可能なICT治療、静脈/動脈治療の設定を、潰瘍エリア中の患者の静脈及び動脈の両者の機能不全に対処するために一度に使用される。好ましい態様では、本発明のICT治療は、次のサイクルが始まるまで、膨張時間、保持時間、収縮時間及び静止時間から成る特別のサイクルを有する患者の血管に関する要請に特に対処することを意図する。
【0008】
好ましい態様では、処置セッションは、その上に、銀及び/又は蜂蜜の耐感染症組成物を有する包帯を潰瘍エリアに添付するステップを更に備える。前記包帯は、潰瘍エリアでの微生物の成長を阻害するために十分な量の銀及び/又は蜂蜜の耐感染症組成物を有すると好都合である。包帯が潰瘍を覆い、PEMF印加具が包帯の表面に位置することが好ましい。他の態様では、本発明方法は、微生物の成長を阻害するために十分な時間、潰瘍エリアに超音波を印加するステップを更に含む。
【0009】
他の好ましい態様では、それぞれのPEMF印加は潰瘍エリアに少なくとも10分間印加され、次の機能的な設定を有する。PEMF印加1は、5から20ミリワットの印加具出力、1秒当たり60から100パルスのパルス速度(PR)及び55から70マイクロ秒のパルス幅(PW)を有し、PEMF印加2は、15から35ミリワットの印加具出力、1秒当たり300から600パルスのPR及び45から70マイクロ秒のPWを有し、かつPEMF印加3は、30から50ミリワットの印加具出力、1秒当たり550から1050パルスのPR及び35から70マイクロ秒のPWを有する。
【0010】
選択可能な第4のPEMF印加を処置セッション中に行うことができ、該第4のPEMF印加は、30から50ミリワットの印加具出力、1秒当たり3から8パルスのPR及び2900から3300マイクロ秒のPWを有することが好ましい。
【0011】
他の態様では、PEMF印加1は、1秒当たり80パルスのPR及び65マイクロ秒のPWを有し、PEMF印加2は、1秒当たり400パルスのPR及び65マイクロ秒のPWを有し、PEMF印加3は、1秒当たり600パルスのPR及び65マイクロ秒のPWを有し、かつ選択可能なPEMF印加4は、1秒当たり5.6パルスのPR及び3150マイクロ秒のPWを有する。
【0012】
PEMF印加は任意の順序で行うことができる。例えばある態様では、PEMF印加1をまず行い、次いでPEMF印加3を更にPEMF印加2を行う。他の態様では、追加のPEMF印加4を、PEMF印加3及び2の間で行う。
【0013】
潰瘍の適切な治癒のために患者が必要としているならば、追加のPEMF印加を、セッションごとに行っても良い。
【0014】
PEMF印加1が、0.30%から0.70%のデューティサイクルを有し、PEMF印加2が、1.4%から4.2%のデューティサイクルを有し、PEMF印加3が、1.9%から7.4%のデューティサイクルを有し、PEMF印加4が、0.3%から2.6%のデューティサイクルを有することが好ましい。PEMF印加1が、0.50%のデューティサイクルを有し、PEMF印加2が、2.6%のデューティサイクルを有し、PEMF印加3が、3.90%のデューティサイクルを有し、PEMF印加4が、1.8%のデューティサイクルを有することが更に好ましい。
【0015】
ある態様では、前記ICT印加は、それぞれ患者に対して行われて、糖尿病性潰瘍のエリアへの血流を増加させ治癒を促進する、少なくとも1種の静脈治療及び少なくとも1種の動脈治療又は静脈/動脈治療を含む。静脈治療は、皮膚表面に近い血管中の静脈鬱血を減少させかつ血流を増加させるために十分な圧力を印加し、一方動脈治療は、患者のより深い部位に存在し、より高い圧力を要する動脈中の血流を増加させるために行われる。前記静脈治療は、約60から90mmHgの印加圧力範囲を有し、一方前記動脈治療は、約80から110mmHgの印加圧力範囲を有し、前記静脈/動脈治療は、60から90mmHgの印加圧力範囲、次いで約80から110mmHgの印加圧力範囲を有することが好ましい。静脈処置は、1セッション当たり約5から70分間行われることが好ましく、動脈及び/又は動脈/静脈処置は、1セッション当たり約100から200分間行われることが好ましい。好ましい態様では、静脈治療は、処置セッションの間に、それぞれ約5から35分ずつ2回行われる。
【0016】
ICT治療は、間欠的、一定、勾配のある、又は逐次的な圧力、及び連続的な圧力治療又はこれらの組み合わせを含む。静脈治療は、圧力サイクルを繰り返す前に、約0.2から1.0秒の膨張時間、約1.0から3.0秒の圧力保持時間、約1.0から3.0秒の収縮時間及び約10から20秒の静止時間の圧力サイクルを有することが好ましい。動脈治療は、圧力サイクルを繰り返す前に、約0.2から1.0秒の膨張時間、約1.0から3.0秒の圧力保持時間、約1.0から3.0秒の収縮時間及び約10から20秒の静止時間の圧力サイクルを有することが好ましい。
静脈/動脈治療は、約0.2から1.0秒の膨張時間、約0.2から1秒の圧力保持時間、約0.1から3.0秒の収縮時間の静脈圧力サイクルを有し、静脈圧力が収縮時間にある間は、静脈/動脈圧力サイクルが繰り返される前に、動脈圧力は、約0.2から1.0秒の膨張時間、約1.0から3.0秒の圧力保持時間、次いで約1.0から3.0秒の収縮時間及び約10から20秒の静止時間を有する。
【0017】
好ましい例における設定では、静脈治療圧力サイクルは、圧力サイクルを繰り返す前に、0.5秒の膨張時間、2秒の圧力保持時間、2秒の収縮時間及び15.5秒の静止時間であり、動脈治療圧力サイクルは、圧力サイクルを繰り返す前に、0.5秒の膨張時間、2秒の圧力保持時間、2秒の収縮時間及び15.5秒の静止時間であり、静脈/動脈治療圧力サイクルは、0.5秒の膨張時間、0.5秒の圧力保持時間、0から2秒の収縮時間の静脈圧力サイクルを有し、かつ静脈圧力が収縮時間にある間は、静脈/動脈圧力サイクルが繰り返される前に、動脈圧力は0.5秒の膨張時間、2.0秒の圧力保持時間、次いで2秒の収縮時間及び14.5秒の静止時間を有する。
【0018】
静脈治療及び動脈治療及び/又は静脈/動脈治療の時間的長さは、虚血の程度と患者の感度に応じて異ならせるのが好ましい。本発明方法では、中程度の(TcPO2が30〜40mmHG)及び重症の虚血(TcPO2が30mmHG以下)であるかによって、少なくとも2種類の設定を行うことが好ましい。ICT治療は、TcPO2が低くなるほど、動脈又は静脈/動脈治療を行う処置セッションに要する時間を延ばすというように、潰瘍のTcPO2に基づいて選択すべきである。好ましい方法も、患者の感度、虚弱性及び健常性に対して行うICT治療の少なくとも2種の設定を有する。ICTの感度に関する設定は、患者の感度が大きくなるほど、ICT治療用に使用する印加圧力を小さくするようにする。虚弱な患者に対する設定は、健常な患者に対する設定より10mmHg低くする。例えば静脈印加は、60から90mmHgの印加圧力範囲とし、通常の感度の場合は80mmHg,虚弱な感度の場合には、70mmHgの設定とする。同様に、動脈印加は、80から110mmHgの印加圧力範囲とし、通常の感度の場合は100mmHg,虚弱な感度の場合には、90mmHgの設定とする。患者の感度の設定は、臨床医による意思決定により行われ、年齢、過去の皮膚の損傷/潰瘍、過去の切断、栄養状態、体重、全体的な健康度を含む患者の全生理機能及び過去の皮膚の状態に基づくことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】銀及び/又はミツを有する包帯を潰瘍エリアに添付し、かつ患者の脚部の潰瘍の上方にICT印加具を、処置セッションを行うために準備したPEMF印加具をセットした、足部の糖尿病性潰瘍を有する患者の下肢を示す図であり、PEMF印加具は処置セッションが開始されるときに、潰瘍エリア上に位置する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、重度の糖尿病性潰瘍の治癒を容易にする方法に関する。足のような患者の四肢のいずれかに生じる糖尿病性潰瘍は、治癒が困難である。糖尿病性潰瘍は、糖尿病から生じる神経障害と血管の障害の組み合わせにより生じるのが典型的なものである。重度の糖尿病性潰瘍は、皮下脂肪層を貫通して、腱、嚢、骨又は関節に達しているものを含む糖尿病性の傷により特徴付けられる。虚血(中程度では30〜40mmHgのTcPO2を、重症の場合は30mmHg以下のTcPO2を有する)、及び細胞増殖と傷の治癒の遅れが糖尿病性潰瘍で典型的に現れる。このとき、感染症は、ときには患者を救うための切断を招いてしまう重度の糖尿病性潰瘍を伴う多くの追加的な合併症の一つである。
【0021】
本明細書で使用される「患者」という用語は、哺乳類を意味するが、好ましい患者は人間である。
【0022】
本明細書で使用される「約」という用語は、例えば本発明の範囲内にある機械的又は人間によるエラーに起因する僅かな変動を説明するためのものである。「約」という用語は、好ましくは1%未満から3%の、より好ましくは1%以下の変動を意味する。
【0023】
前述の通り、本発明は、処置しないでおくと、患者の四肢の複数の切断を招いてしまう重度の糖尿病性潰瘍を特異的に処置するために開発された。本発明方法は、重度の糖尿病性潰瘍を有する糖尿病患者に処置セッションを行うステップを備える。処置セッションは、少なくとも3種のパルス電磁場(PEMF)印加(PEMF印加1、2及び3)及び、静脈治療及び動脈治療、又は静脈/動脈治療、又はこれらの組み合わせを含む少なくとも2種の間欠圧迫治療(ICT)印加を備える。好ましい態様では、ICT印加は、静脈治療及び、動脈治療又は静脈/動脈治療のいずれかを含む。
【0024】
図1は、その上に糖尿病性潰瘍10が生じている患者の脚5及び足10を示す。糖尿病性潰瘍のエリア10には、潰瘍エリアを被覆するように、包帯40が位置している。該包帯40には、感染を防止しかつ微生物成長を抑制するために十分な量の銀及び/又は蜂蜜の耐感染症組成物を沁みこませてある。ICT印加具20及びPEMF印加具30は、1又は2以上のケーブル25により、ICTコンプレッサ又はPEMFエネルギ発生装置(図示せず)に接続されている。ICT印加具20は、患者の脚5に接触し、PEMF印加具30は、潰瘍エリア10の近くで、処置セッションの準備中は包帯の上に位置する。図示しない態様では、包帯40はPEMF印加具30の一部で、組み合わされた包帯40/印加具30が糖尿病性潰瘍エリア10上に直接位置する。靴下や他の保持具(図示せず)を使用して、処置セッションの間、PEMF印加具30を糖尿病性潰瘍エリア10に保持しても良い。
【0025】
処置セッションは、重度の糖尿病性潰瘍を処置するために少なくとも1日1回、好ましくは1日2回糖尿病患者に対して行われる。処置セッションは、約2.5から3.5時間行い、前回の処置セッションの完了後、7から10時間後に行うことが好ましい。
【0026】
本発明は、重度の糖尿病性潰瘍の複雑な特性に対する処置セッションの間に、特定のタイプのPEMF印加とICT治療の両者を同時に又は近接して行い、治癒を誘起しかつ切断を防止する。PEMF及びICT印加は、傷への包帯又は布を使用し又は使用せずに行うことができる。本発明を、引き続く限定を意図しない例に基づいて説明する。引き続く例では、器具は1又は2以上の別の印加具の接続されたPEMFエネルギ又は圧縮圧力を発生させる発生具を有する。前記印加具は、処置する1又は2以上のエリアに対して治療を行う。代替例では、発生具及び印加具は、ケーブル/管を必要とせずに単一ユニット中に結合される。
【0027】
[PEMF印加]
PEMF印加具は、潰瘍エリアの上方に位置させることが好ましい。例えば潰瘍エリアに包帯が添付され、包帯に対して印加が行われるといった、PEMF印加具が直接接触することは要求されない。PEMF印加具が、PEMF印加が本明細書で述べる特定の印加出力、パルス速度及びパルス幅を有する、必要なPEMF印加設定を伝達できれば、PEMF印加具あるいは処置パッドは、公知の好適なPEMF印加具を使用すれば良い。本発明のPEMF印加設定は、糖尿病性潰瘍の治癒を誘起するために必要な特定の因子を印加する。例えばPEMF印加1は治癒のための潰瘍床を準備するのに必要な細胞活性を誘起するよう設計され、PEMF印加2は治癒プロセス間に、患者の皮膚表面に近い潰瘍床、つまり浅い位置の糖尿病性潰瘍を充填するために必要な細胞活性を誘起し、PEMF印加3は表面から遠い潰瘍床を充填するために必要な細胞活性を誘起する。PEMF印加3は、深い位置にあって問題の多い糖尿病性潰瘍に関して特に重要である。選択可能なPEMF印加4は、PEMF2及び/又は3では完全に対応できない問題の多い糖尿病性潰瘍の傷を充填するために必要な細胞活性を誘起するよう設計される。
【0028】
[ICT治療]
患者に対して行われるICT治療は、虚血のレベルと患者の感度のレベルに基づいて選択される。ICT治療は、静脈及び動脈設定である少なくとも2種の設定を有することが好ましい。静脈設定を使用して患者の静脈の機能不全の処置を行い、動脈設定を使用して患者の動脈の機能不全の処置を行う。好ましい態様では、第3の選択可能な治療設定である静脈/動脈治療を使用して、潰瘍エリア中の患者の静脈及び動脈の機能不全の両者の処置を一度で行う。好ましい態様では、本発明のICT治療は、次のサイクルが始まるまでに、膨張時間、圧力保持時間、収縮時間及び静止時間の特定のサイクルを有する血管の要求に対して行われる。
【0029】
ICT治癒は、印加する圧力、利用する圧力のタイプ(例えば間欠的、定圧、順次等)、膨張時間の長さ(遅い−速い)、圧力が保持される時間の長さ、圧力を解放する時間の長さ(収縮)及び圧力印加の間の静止時間を含む。好ましい態様では、ICT治療は、静脈及び動脈治癒の両者又選択可能な静脈/動脈治癒を有する。
【0030】
圧縮治療には下記の3種の主たるタイプがある。
【0031】
[定圧治療]
患者の体の一点又は一エリアに印加具を使用して圧力を印加し、一定時間固定したレベルに圧力を維持し、次いで一定時間で圧力を取り去り(大気圧又は「通常の」圧力に解放する)、次いで固定した圧力レベルで圧力を再印加する。
【0032】
[傾斜圧力治療]
患者の体の一点又は一エリアに印加具を使用して圧力を印加し、一定時間固定したレベルで圧力を印加し、次いで直ちにあるいは徐々に異なった圧力レベル(当初圧力より高いか低いかのいずれか)に変化させ、次いで一定時間で圧力を取り去り(大気圧又は「通常の」圧力に解放する)、次いで当初の固定した圧力レベルで圧力を再印加し、次いで直ちにあるいは徐々に異なった圧力レベルに変化させる。2種の異なった圧力レベルのみを述べているが、2種を超えるレベルを使用することも可能である。例えばまず15mmHgの圧力を、次いで30mmHgの圧力を、次いで15mmHgの圧力を印加し、次に休止後、繰り返すことができる。これに替えて、15mmHg、次いで30mmHg、次いで50mmHgとしても良い。更に装置を使用してまず40mmHg、次いで30mmHg、次いで15mmHg、更に40mmHgを印加しても良い。他の組合せも可能で、それらは本発明に含まれる。
【0033】
[順次圧力治療]
順次圧力治療は、患者の体の少なくとも二点又は二エリアに印加具を使用して圧力を印加することが必要である。これは、それぞれが異なったレベルの圧力を提供できる2又は3以上のチャンバ(例えば第1のチャンバが20mmHgの圧力を、第2のチャンバが48mmHgの圧力を印加できる)を有する単一の印加具を使用して達成できる。その替わりに、2又は3以上の印加具を使用して達成することもでき、この場合各印加具は異なったレベルの圧力を印加する(例えば第1の印加具が20mmHgの圧力を、第2の印加具が48mmHgの圧力を印加する)。好ましい態様では、使用する異なった印加具又は異なったチャンバは独立に作動しても協動しても良い。圧力が非常に近い2つのエリアに順次圧力を印加することが好ましいが、他のエリアを含んでも良い。
【0034】
前記3種の治療の変形及び組合せも本発明に含まれる。これらの変形及び組合せの例は次の通りである。
【0035】
[間欠圧力治療]
上記3種類のタイプの任意のものを設定時間のインターバルで開始しかつ停止する。限定を意図しない態様では、圧力サイクルを繰り返す前に、静脈治療は、約0.2から1.0秒の膨張時間、約1.0から3.0秒の圧力保持時間、約1.0から3.0秒の収縮時間及び約10から20秒の静止時間の圧力サイクルを有し、圧力サイクルを繰り返す前に、動脈治療は、約0.2から1.0秒の膨張時間、約1.0から3.0秒の圧力保持時間、約1.0から3.0秒の収縮時間及び約10から20秒の静止時間の圧力サイクルを有し、かつ静脈/動脈治療は、約0.2から1.0秒の膨張時間、約0.2から1秒の圧力保持時間、約0.1から3.0秒の収縮時間の静脈圧力サイクルを有し、更に静脈圧力が収縮時間にある間は、静脈/動脈圧力サイクルが繰り返される前に、動脈圧力は約0.2から1.0秒の膨張時間、約1.0から3.0秒の圧力保持時間、次いで約1.0から3.0秒の収縮時間及び約10から20秒の静止時間を有する。
【0036】
より好ましい態様では、静脈治療圧力サイクルは、圧力サイクルを繰り返す前に、0.5秒の膨張時間、2秒の圧力保持時間、2秒の収縮時間及び15.5秒の静止時間の圧力サイクルを有し、動脈治療圧力サイクルは、圧力サイクルを繰り返す前に、0.5秒の膨張時間、2秒の圧力保持時間、2秒の収縮時間及び15.5秒の静止時間の圧力サイクルを有し、かつ静脈/動脈治療圧力サイクルは、0.5秒の膨張時間、0.5秒の圧力保持時間、0から2秒の収縮時間及び15.5秒の静止時間の圧力サイクルを有し、更に静脈圧力が収縮時間にある間は、静脈/動脈圧力サイクルが繰り返される前に、動脈圧力は0.5秒の膨張時間、2.0秒の圧力保持時間、次いで2秒の収縮時間及び14.5秒の静止時間を有する。
【0037】
[銀及び/又は蜂蜜の耐感染症包帯]
好ましい態様では、本発明方法は、潰瘍エリアに、該潰瘍エリア中の微生物の成長を阻害するに十分な量の銀及び/又は蜂蜜の耐感染症組成物を有する包帯を添付するステップを更に備える。前記銀の耐感染症組成物は、微生物の成長を阻害するに十分な量の銀を含む任意の組成物である。限定を意図しない態様では、米国特許第7135196号に記載された、コロイド状又はイオン性銀と異なった銀ゾルを使用する。この銀ゾルは水中に永続的に懸濁し、ミネラルの電荷が水全体に移動する点でコロイド状又はイオン性銀と異なる。前記銀ゾルは、好ましくは10から45ppm、より好ましくは15から40ppmあるいは20から30ppm、最も好ましくは約32ppmの銀濃度を有する。
【0038】
蜂蜜の耐感染症組成物も、微生物の成長を阻害する任意の蜂蜜組成物である。しかし蜂蜜組成物は、15+以上の活性を有するマヌカ蜂蜜であることが好ましい。これに限定されないが、蜂蜜組成物が米国特許第6956144号に記載されている。
【0039】
[超音波治療]
超音波印加器で使用する強度(電力)は、0.005から50.0W/cm2であることが好ましく、0.01から5.0W/cm2であることがより好ましく、0.1から2.2W/cm2であることが最も好ましい。ある特定の好ましい態様では、超音波印加器は、0.15から0.3W/cm2である低周波数超音波を印加する。使用周波数は0.1から3000kHzであることが好ましく、20から100kHzであることがより好ましく、20から50kHzであることが最も好ましい。高周波数であることを意図するある態様では、周波数は1から10MHzとする。超音波印加の使用は、低周波数から高周波数まで変化でき、例えばまず低周波数、次いで高周波数にスイッチし、更に低周波数に戻るといった変化が可能で、常に低周波数又は常に高周波数又は任意の組合せ(例えば低、低、高、低、高、低、高、高)を含む。
【0040】
それに加えて、印加器が停止前に超音波を印加する処置セグメントあるいは時間は変更でき、例えば1分から変化なし(ターンオフまで停止しない)までを含む。特定の処置セグメントが変化なしでないと、全処置セグメントは複数のセグメントを持つことができる(各セグメントは同じ又は異なった時間を有する)。
【0041】
非限定的な態様では、本発明は、印加具(処置パッド)が実際に処置すべき患者の体の部分に正確に接続しているか否かを決定するためのセンサの使用も含む。順守監視については、患者が器具を実際に使用しているか、そして24時間器具の使用を監視できる医療関係者がいない患者の家庭のような特殊な環境で器具を装着されている患者がそれを適正に使用しているか否かを確かめられることが重要である。
【0042】
前記センサには、該センサが印加具が使用されていないこと、又は正確に使用されていないことを決定したときに、器具を自動的にターンオフする手段を装着しても良い。
【0043】
印加具又はセンサには、患者及び/又は臨床医に可視である表示手段を装着しても良く、該手段は、視覚的に又は聴覚的に及び/又は他の手法で、患者及び/又は臨床医に、処置すべき患者の体の部分に印加具(又は処置パッド)が正確に接触しているかを知らせる。表示手段の例は、着色した又は白色の発光ダイオード(LED)及びブザーである。特定の例としては、器具が適正に使用されている間は、着色LED光がターンオンする。患者及び/又は臨床医に可視であるか又は可聴であれば、前記表示手段は、印加具自体に位置しても器具に位置しても、あるいは他の好適な場所に位置しても良い.
【0044】
好適な処置セッションは次の例を含む。
【0045】
[例A]
PEMF印加1は、1秒当たり70から90パルスのパルス速度(PR)及び60から70マイクロ秒のパルス幅(PW)を有し、PEMF印加2は、1秒当たり550から650パルスのPR及び60から70マイクロ秒のPWを有し、PEMF印加3は、1秒当たり550から650パルスのPR及び60から70マイクロ秒のPWを有し、前記静脈治療は、約70から80mmHgの印加圧力範囲を有し、前記動脈治療は、約90から100mmHgの印加圧力範囲を有し、前記静脈/動脈治療は、70から80mmHgの印加圧力範囲、及び90から100mmHgの印加圧力範囲を有し、かつ処置セッションは、少なくとも1日2回患者に行われ、処置セッション間の静止時間少なくとも7から10時間を有する処置セッション。
【0046】
[例B]
潰瘍エリアでの微生物の成長を阻害するために十分な量の銀及び/又は蜂蜜の耐感染症組成物を有する包帯を潰瘍エリアに添付し、かつPEMF印加1は、5から20ミリワットの印加具出力、1秒当たり60から100パルスのパルス速度(PR)及び55から70マイクロ秒のパルス幅(PW)を有し、PEMF印加2は、15から35ミリワットの印加具出力、1秒当たり550から1050パルスのPR及び45から70マイクロ秒のPWを有し、PEMF印加3は、30から50ミリワットの印加具出力、1秒当たり550から1050パルスのPR及び35から70マイクロ秒のPWを有し、前記静脈治療は、約60から90mmHgの印加圧力範囲を有し、前記静脈/動脈治療は、70から90mmHgの印加圧力範囲、及び90から110mmHgの印加圧力範囲を有し、重度の糖尿病性潰瘍を処置するために、少なくとも1日1回、患者に対し行われる処置セッション。
【0047】
[例C]
1日2回3.5時間の処置セッションで、処置の間に7から10時間の静止時間を有する。
【0048】
この処置セッションは、次の中程度又は重症の虚血用のICT治療及びPEMF治療を含む。
【0049】
[中程度又は重症の虚血用のICT治療]
30分の静脈治療(60から90mmHg)、150分の静脈治療(80から110mmHg)、又は静脈/動脈治療(70/90又は80/110mmHg)及び30分の静脈治療;又は20分の静脈治療、170分の静脈/動脈治療及び処置セッションの最後に20分の静脈治療;圧力サイクルを繰り返す前の、0.5秒の膨張時間、2秒の圧力保持時間、2秒の収縮時間及び15.5秒の静止時間の静脈治療圧力サイクル;0.5秒の膨張時間、0.5秒の圧力保持時間及び0から2秒の収縮時間の静脈/動脈治療圧力サイクル;かつ静脈圧力が収縮時間にある間は、静脈/動脈圧力サイクルが繰り返される前に、動脈圧力は0.5秒の膨張時間、2.0秒の圧力保持時間、次いで2秒の収縮時間及び14.5秒の静止時間を有する。
【0050】
[PEMF治療]
20分の静止、20分のPEMF印加1(PR80,PW65)、50分の静止、30分のPEMF印加3(PR600,PW65)、50分の静止、20分のPEMF印加2(PR400,PW65)及び20分の静止;又は20分のPEMF印加1、30分の静止、40分のPEMF印加3、30分の静止、40分のPEMF印加4(PR5.6,PW3150、30分の静止及び20分のPEMF印加2.
【0051】
[実施例]
A)PEMF1及び3
[物質] 培地(MEM)は、HEL(ヒトの胎児肺線維芽細胞)の通常培養用で、メヂェアテック・インコポレーテッド(バージニア州ヘンドン)から得た。ウシ胎仔血清、ペニシリン/ストレプトマイシン、トリプシン、IX PBS、ピルビン酸ナトリウム及び非必須アミノ酸は、VWRから購入した。
[ヒトの胎児肺線維芽細胞]
細胞は、バロー・ニューロロジカル・インスチチュートから得た。ハム及びマッキーハン(1978)に記載の通り、ルーチン培養を行った。下記に簡単に記載するように、10cmのプレートを使用し、1mMのピルビン酸ナトリウム、1mMの非必須アミノ酸、100ユニットのペニシリン、100μgのストレプトマイシン及び5%のFCSを補充した最小必須培地(MEM)に、1.14×1.14細胞/cm2の濃度で細胞を培養した。細胞は、16時間後に、5%CO2を有する37℃の湿潤培養器で実験用に使用した。細胞は、10〜16世代から実験に使用した。
【0052】
[PEMF条件を含む方法]
処置を、多くの設定条件で細胞をPEMFに曝すことにより、線維芽細胞複製の最適設定を決定した。更に傷の治癒に重要な他のタイプの細胞活性が異なったPEMF設定で影響されるかを測定するために異なった多数の分析を行った。10株の複製のために、1×103、1×105及び1×104の細胞濃度でプレート上に置いた。細胞は12〜14時間成長させ、次いで異なったPEMF処置を行った。細胞は処置パッドと組織培養プレート間に位置する2インチ(5.08cm)の塩水バッグを使用して、任意の与えられた条件(パラメータ)で処置した。処置後、細胞を12〜16時間成長させた。細胞成長の計量は、製造者の指示に従って、CyQUANT(分子プローブ/インビトロジェン)を使用して行った。細胞成長は、480nmでの励起後の520nmの発光波長で計量した。65のゲインを蛍光プレートの読み取りで使用した。
【0053】
次の記載はステップごとの操作である。
【0054】
[細胞増殖分析]
1)成長媒体中に、濃縮した細胞懸濁液を作る。
2)細胞懸濁液を順に希釈して、100μl中に、1×103、1×105及び1×104のいずれかを、各細胞濃度に対し、10個の独立したウェル中に加える。
3)細胞を12〜14時間固定する。
4)設定したパラメータで細胞を処置する。
5)処置後に12〜14時間細胞を成長させる。
6)PBSで細胞を2回洗浄し、少なくとも1時間―80℃で冷凍する。
7)100μlのCyQuant溶解/分析試薬を加え、520nmの発光/480nm励起で読み取る。
【0055】
[結果]
広い範囲の設定(例えば電力、パルス速度及びパルス幅のそれぞれの設定に含まれる変数)を比較すると、各設定はある程度の改良を示したが、ある設定が他の設定より非常に良好な細胞複製を与えることを見い出した。印加具出力が15−25−35ミリワット、パルス速度が1秒当たり550−600−1050パルス及びパルス幅が35−65−70マイクロ秒(PEMF印加3)は、細胞複製が24%改良され、これは他の設定の殺菌複製の3倍を超える。
【0056】
更に、印加具出力が5−15−20ミリワット、パルス速度が1秒当たり60−80−100パルス及びパルス幅が55−65−70マイクロ秒(PEMF印加1)は、他の設定より、他のタイプの細胞活性(好中球及び小食細胞親和性、蛋白質、成長因子及びサイトカイン相互作用)に対して大きな正のインパクトを有する。
【0057】
B)PEMF3
PEMFパラメータ(印加具出力が30−40−50ミリワット、パルス速度が1秒当たり550−6000−1050パルス及びパルス幅が35−65−70マイクロ秒)に関する実験室テストは、印加表面より遥かに強力なエネルギ場を与える。このより強力な設定は、PEMFエネルギをより深い傷まで貫通させて細胞活性を向上させる。従ってより深い糖尿病性の傷のより包括的な処置が達成される。これは、皮下の傷(例えば腱、嚢、骨又は関節まで貫通している傷)又はトンネル効果が観察される傷にとって重要になる。
【0058】
[3Dマップ実験室テストのプロトコル]
電界強度測定を、増幅器リサーチ電解プローブ(モデルFP4000)を使用して行った。電解プローブを使用して、PEMF印加具から発生するRF出力フィールドを測定しかつ特徴付けた。第1の測定を2インチの2%塩水溶液の上端の印加表面の中央で行った。引き続く表面測定を、2%塩水溶液の上端で、放射状に2cm増加するように行った。同じ操作を、全て2インチの2%塩水溶液の上端の印加表面から、2cm、4cm、6cm及び8cmの距離で繰り返した。各設定(電力及びパルス速度の組み合わせ)テストについて、全部で55回測定を行った。結果は、メートル当たりのボルト(V/m)で記録した。
【0059】
「テスト結果」
印加具出力が30−40−50ミリワット、パルス速度が1秒当たり550−600−1050パルス、及びパルス幅が35−65−70秒である最適の設定を使用したときに、高いPEMFエネルギ出力が全ての55データポイントで達成されたことが、テスト結果により示された。表面から更に遠い点での測定は、他の設定より3倍遠い点までであったが、他の設定は深い糖尿病性の傷に効果のある十分なエネルギ与えない。
【0060】
本発明を、好ましい態様を参照して説明してきたが、本発明の範囲内で当業者により変化及び変形が可能であることが理解されるべきである。例えばPEMF印加又はICT処置は、処置セッションの間に、例えばPEMF印加3、次いでPEMF印加1、PEMF印加4更にPEMF印加2というように、その順序を変えることができる。従って本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲内で可能な全ての変化及び修正まで広がると理解すべきである。
【符号の説明】
【0061】
5 脚
10 糖尿病性潰瘍(足)
20 ICT印加具
25 ケーブル
30 PEMF印加具
40 包帯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3種のパルス電磁場(PEMF)印加(PEMF印加1、2及び3)及び少なくとも2種の間欠圧迫治療(ICT)印加を備える処置セッションを含み、
各PEMFはそれぞれ少なくとも10分間潰瘍エリアに印加され、
PEMF印加1は、5から20ミリワットの印加具出力、1秒当たり60から100パルスのパルス速度(PR)及び55から70マイクロ秒のパルス幅(PW)を有し、
PEMF印加2は、15から35ミリワットの印加具出力、1秒当たり300から600パルスのPR及び45から70マイクロ秒のPWを有し、
PEMF印加3は、30から50ミリワットの印加具出力、1秒当たり550から1050パルスのPR及び35から70マイクロ秒のPWを有し、
前記ICT印加は、それぞれ患者に対して行われて、重度の糖尿病性潰瘍のエリアへの血流を増加させ、及び/又は血管の鬱血を減少させる、少なくとも1種の静脈治療及び少なくとも1種の動脈治療又は静脈/動脈治療を含み、
前記静脈治療は、約60から90mmHgの印加圧力範囲を有し、
前記動脈治療は、約80から110mmHgの印加圧力範囲を有し、
前記静脈/動脈治療は、60から90mmHgの印加圧力範囲、次いで80から110mmHgの印加圧力範囲を有し、
重度の糖尿病性潰瘍を処置するために、少なくとも1日1回、患者に対し、処置セッションが行われることを特徴とする、
皮下脂肪層を貫通する重度の糖尿病性潰瘍の処置方法。
【請求項2】
30から50ミリワットの印加具出力、1秒当たり3から8パルスのPR及び2900から3300マイクロ秒のPWを有する第4のPEMF印加であるPEMF印加4を更に備える請求項1に記載の糖尿病性潰瘍の処置方法。
【請求項3】
PEMF印加1は、1秒当たり80パルスのPR及び65マイクロ秒のPWを有し、PEMF印加2は、1秒当たり400パルスのPR及び65マイクロ秒のPWを有し、PEMF印加3は、1秒当たり600パルスのPR及び65マイクロ秒のPWを有し、かつPEMF印加4は、1秒当たり5.6パルスのPR及び3150マイクロ秒のPWを有する請求項2に記載の糖尿病性潰瘍の処置方法。
【請求項4】
処置セッションは、少なくとも約2.5から3.5時間である請求項1に記載の糖尿病性潰瘍の処置方法。
【請求項5】
前回の処置セッションが完了した後に、7から10時間ごとに処置セッションを繰り返すようにした請求項4に記載の糖尿病性潰瘍の処置方法。
【請求項6】
PEMF印加1及び2は、それぞれ約10から20分印加され、PEMF印加3は約20から40分印加され、任意のPEMF印加4は約20から40分印加される請求項1に記載の糖尿病性潰瘍の処置方法。
【請求項7】
PEMF印加1が最初に、次いでPEMF印加3が、更にPEMF印加2が印加される請求項1に記載の糖尿病性潰瘍の処置方法。
【請求項8】
第4のPEMF印加であるPEMF印加4が、PEMF印加3と2の間に印加される請求項7に記載の糖尿病性潰瘍の処置方法。
【請求項9】
潰瘍のエリアに超音波を印加するステップを更に備える請求項1に記載の糖尿病性潰瘍の処置方法。
【請求項10】
その上に、銀及び/又は蜂蜜の耐感染症組成物を有する包帯を潰瘍エリアに添付する付加的なステップを更に備える請求項1に記載の糖尿病性潰瘍の処置方法。
【請求項11】
包帯が潰瘍を覆い、PEMF印加が包帯の表面に対して行われる請求項10に記載の糖尿病性潰瘍の処置方法。
【請求項12】
PEMF印加1が、0.30%から0.70%のデューティサイクルを有し、PEMF印加2が、1.4%から4.2%のデューティサイクルを有し、PEMF印加3が、1.9%から7.4%のデューティサイクルを有し、選択可能なPEMF印加4が、0.3%から2.6%のデューティサイクルを有する請求項1に記載の糖尿病性潰瘍の処置方法。
【請求項13】
PEMF印加1が、0.50%のデューティサイクルを有し、PEMF印加2が、2.6%のデューティサイクルを有し、PEMF印加3が、3.90%のデューティサイクルを有し、選択可能なPEMF印加4が、1.8%のデューティサイクルを有する請求項1に記載の糖尿病性潰瘍の処置方法。
【請求項14】
患者が人間である請求項1に記載の糖尿病性潰瘍の処置方法。
【請求項15】
糖尿病性潰瘍エリアが、40mmHg未満の経皮的酸素圧(TcPO2)を有する患者の四肢にある請求項1に記載の糖尿病性潰瘍の処置方法。
【請求項16】
四肢が30mmHg以下のTcPO2を有する重度の虚血であり、四肢が患者の足である請求項15に記載の糖尿病性潰瘍の処置方法。
【請求項17】
動脈又は静脈/動脈治療の圧力印加が潰瘍エリアのTcPO2に基づいて調節される請求項15に記載の糖尿病性潰瘍の処置方法。
【請求項18】
ICT治療の設定が、患者の四肢のTcPO2に基づいて選択され、TcPO2が低いほど動脈又は静脈/動脈治療を行う処置セッションに要する時間が増加する請求項15に記載の糖尿病性潰瘍の処置方法。
【請求項19】
ICT治療が、患者の皮膚の活力に関する患者の感度のレベルに基づいて行われ、大きな感度を有する患者に対するほど、低い圧力を使用してICT治療を行うようにした請求項1に記載の糖尿病性潰瘍の処置方法。
【請求項20】
治療1回当たり約5から35分になるように、静脈治療を、処置セッションの間に2回行い、かつ1セッション当たり約100から200分になるように、動脈又は動脈/静脈処置を行うようにした請求項1に記載の糖尿病性潰瘍の処置方法。
【請求項21】
圧力サイクルを繰り返す前に、静脈治療は、約0.2から1.0秒の膨張時間、約1.0から3.0秒の圧力保持時間、約1.0から3.0秒の収縮時間及び約10から20秒の静止時間の圧力サイクルを有し、
圧力サイクルを繰り返す前に、動脈治療は、約0.2から1.0秒の膨張時間、約1.0から3.0秒の圧力保持時間、約1.0から3.0秒の収縮時間及び約10から20秒の静止時間の圧力サイクルを有し、
静脈/動脈治療は、約0.2から1.0秒の膨張時間、約0.2から1秒の圧力保持時間、約0.1から3.0秒の収縮時間の静脈圧力サイクルを有し、
静脈圧力が収縮時間にある間は、静脈/動脈圧力サイクルが繰り返される前に、動脈圧力は約0.2から1.0秒の膨張時間、約1.0から3.0秒の圧力保持時間、次いで約1.0から3.0秒の収縮時間及び約10から20秒の静止時間を有する請求項20に記載の糖尿病性潰瘍の処置方法。
【請求項22】
静脈治療圧力サイクルは、圧力サイクルを繰り返す前に、0.5秒の膨張時間、2秒の圧力保持時間、2秒の収縮時間及び15.5秒の静止時間の圧力サイクルを有し、
動脈治療圧力サイクルは、圧力サイクルを繰り返す前に、0.5秒の膨張時間、2秒の圧力保持時間、2秒の収縮時間及び15.5秒の静止時間の圧力サイクルを有し、
静脈/動脈治療圧力サイクルは、0.5秒の膨張時間、0.5秒の圧力保持時間、0から2秒の収縮時間及び15.5秒の静止時間の圧力サイクルを有し、
かつ静脈圧力が収縮時間にある間は、静脈/動脈圧力サイクルが繰り返される前に、動脈圧力は0.2秒の膨張時間、2.0秒の圧力保持時間、次いで2.0秒の収縮時間及び14.5秒の静止時間を有する請求項21に記載の糖尿病性潰瘍の処置方法。
【請求項23】
重度の糖尿病性潰瘍が皮下脂肪層を貫通して、腱、嚢、骨又は関節に達している請求項1に記載の糖尿病性潰瘍の処置方法。
【請求項24】
少なくとも3種のパルス電磁場(PEMF)印加(PEMF印加1、2及び3)及び少なくとも2種の間欠圧迫治療(ICT)印加を備える処置セッションを含み、
各PEMFはそれぞれ少なくとも15分間潰瘍エリアに印加され、
PEMF印加1は、1秒当たり70から90パルスのパルス速度(PR)及び60から70マイクロ秒のパルス幅(PW)を有し、
PEMF印加2は、1秒当たり350から550パルスのPR及び60から70マイクロ秒のPWを有し、
PEMF印加3は、1秒当たり550から650パルスのPR及び60から70マイクロ秒のPWを有し、
前記ICT印加は、それぞれ患者に対して行われて、重度の糖尿病性潰瘍のエリアへの血流を増加させる、少なくとも1種の静脈治療及び少なくとも1種の動脈治療又は静脈/動脈治療を含み、
前記静脈治療は、70から80mmHgの印加圧力範囲を有し、
前記動脈治療は、90から100mmHgの印加圧力範囲を有し、
前記静脈/動脈治療は、70から80mmHgの印加圧力範囲、及び90から100mmHgの印加圧力範囲を有し、
重度の糖尿病性潰瘍を処置するために、少なくとも1日2回、患者に対し、処置セッションが行われ、処置セッション間に少なくとも7から10時間の休憩が与えられることを特徴とする、
皮下脂肪層を貫通する重度の糖尿病性潰瘍の処置方法。
【請求項25】
少なくとも3種のパルス電磁場(PEMF)印加(PEMF印加1、2及び3)及び少なくとも2種の間欠圧迫治療(ICT)印加を備え、かつその上に、潰瘍エリアでの微生物の成長を阻害するために十分な量の銀及び/又は蜂蜜の耐感染症組成物を有する包帯を潰瘍エリアに添付する処置セッションを含み、
各PEMFはそれぞれ少なくとも10分間潰瘍エリアに印加され、
PEMF印加1は、5から20ミリワットの印加具出力、1秒当たり60から100パルスのパルス速度(PR)及び55から70マイクロ秒のパルス幅(PW)を有し、
PEMF印加2は、15から35ミリワットの印加具出力、1秒当たり300から600パルスのPR及び45から70マイクロ秒のPWを有し、
PEMF印加3は、30から50ミリワットの印加具出力、1秒当たり550から1050パルスのPR及び35から70マイクロ秒のPWを有し、
前記ICT印加は、それぞれ患者に対して行われて、重度の糖尿病性潰瘍のエリアへの血流を増加させる、少なくとも1種の静脈治療及び少なくとも1種の動脈治療又は静脈/動脈治療を含み、
前記静脈治療は、60から90mmHgの印加圧力範囲を有し、
前記動脈治療は、80から110mmHgの印加圧力範囲を有し、
前記静脈/動脈治療は、60から90mmHgの印加圧力範囲、次いで80から110mmHgの印加圧力範囲を有し、
重度の糖尿病性潰瘍を処置するために、少なくとも1日1回、患者に対し、処置セッションが行われることを特徴とする、
皮下脂肪層を貫通する重度の糖尿病性潰瘍の処置方法。


【図1】
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【公表番号】特表2010−510034(P2010−510034A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538499(P2009−538499)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/085310
【国際公開番号】WO2008/064272
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(509142302)プロメドテック インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】