説明

重量測定装置付荷役物運搬機

【構成】 駆動アーム10に常に地面と平行を保持して移動すべく平行アーム14を接続する。そして、前記平行アーム14に平行ビーム型ロードセルを組み込む。
【効果】 従来品に比して全休の構造を簡略化することができる。また、軽量化することができると共に製造コストを安くすることもできる。また、平行ビーム型ロードセルには従来のスライダーシャフトを用いた装置の如き摺動部分がないから摩耗による機械的損失が生じない。また、装置全体が剛体であるから安定性がよい。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は重量測定装置付荷役物運搬機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、荷役物の掴み具が垂直、水平、斜め方向に移動自在且つ任意の位置に停止可能な荷役物運搬機において、運搬する荷役物の重量を測定しようとする場合には、一般的に次の二つの方法のいずれかが採用されていた。
【0003】
その一つは、引っ張り型ロードセル、秤等の測定装置を単体で利用するものであり、具体的には荷役物運搬機における駆動アームの先端に接続した垂直アームに自在継手を介して重量測定のための引っ張り型ロードセル、秤等を取り付け、該引っ張り型ロードセル、秤等に測定する荷役物を繋いで測定するものである。
【0004】
もう一つは、引っ張り型ロードセルとスライダーシャフトを併用した測定装置を使用するものであり、図9に該測定装置の一例を示す。図中、Aはブラケット、Bは該ブラケットAに固着した水平な連結具、C、C’は前記連結具Bに垂直に固着したスライダー、D、D’は前記スライダーC、C’に摺動自在に挿通したスライダーシャフト、E、E’は前記スライダーシャフトD、D’の上下端部に固着した水平な連結板、Fは上端部を前記連結具Bに固着する一方、下端部を前記連結板Eに固着した引っ張り型ロードセルであり、前記スライダーシャフトD、D’間においてこれらを平行して設けている。而して、該測定装置は、引っ張り型ロードセルFとスライダーシャフトD、D’とを平行に設け、引っ張り型ロードセルFに作用する荷重を垂直方向のみに限定することによってある程度の安定性を確保したものである。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
しかし、前者の方法では、荷重がかかったときに引っ張り型ロードセル、秤等の測定装置が安定するまでに時間がかかり、またこれにより重量の表示も安定しない。また引っ張り型ロードセルを使用すると荷役物の重心が偏芯していた場合、該荷役物の姿勢保持が難しくなり、荷役作業の効率を悪化させている。
【0006】
また、後者の方法では重量測定装置の構造が複雑になると共に重量も相当大きなものとなり、更には製造コストも高くつく。また測定を行う度にスライダーシャフトD、D’が摺動するため摩耗による機械的損失を生じ測定誤差を生じる。
【0007】
本考案は上記の点に鑑みなされたものであって、駆動アームに、常に地面と平行を保持して移動すべく接続した平行アームに、従来の測定装置に代わる平行ピーム型ロードセルを組み込み、もって上記従来方法による問題点を悉く解消することができるようにした重量測定装置付荷役物運搬機を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本考案の要旨は、駆動アームと、該駆動アームの駆動部と、前記駆動アームに取着する荷役物の掴み具とからなり、該荷役物の掴み具が垂直、水平、斜め方向に移動自在且つ任意の位置に停止可能であり、更に駆動アームに、常に地面と平行を保持して移動すべく平行アームを接続した荷役物運搬機において、前記平行アームに平行ビーム型ロードセルを組み込んだことを特徴とする。
【0009】
【作用】
次に、上記構成からなる本考案の運搬動作について説明する。
先ず、駆動アームを操作して掴み具を荷役物に近づける。次に、掴み具に荷役物を掴ませてた上で、荷役物を吊り上げ、荷役物の動きを止めると、平行アームに組み込んだ平行ビーム型ロードセルが荷役物の重量を測定するものである。尚該平行ビーム型ロードセルは、吊り上げた荷役物の重量に応じた下方向への歪みをもとに計測するものである。
【0010】
【実施例】
図1は、本考案の第1実施例の説明図、図2乃至図7は作用説明図である。図中、1は荷役物連搬機である。2は駆動アームの駆動部であり、地面と垂直に固定する取付ポール3と、該取付ボール3から張り出した支持台4と、該支持台4の上部に固着したトルクモータ5、電装部6並びにギアケース7と、前記支持台4の下部に設けた旋回台8と該旋回台8に固着した保持フレーム9とからなる。
【0011】
10は駆動アームであり、平行な2本のアーム11,12からなる。そしてこれらのアーム11,12は、一端側を前記駆動アームの駆動部2における保持フレーム9に接続する一方、他端側を垂直なブラケット13に接続している。
【0012】
14は前記垂直なブラケット13を介して駆動アーム10に接続した平行アームであり、常に地面と平行を保持して移動するようになしている。尚、該平行アーム14は後記垂直アームとともに駆動アームとしての役割も担っている。
【0013】
15は前記平行アーム14の先端部に組み込んだ平行ビーム型ロードセルである。而して、本考案においては該平行ビーム型ロードセル15を平行アーム14に組み込んだことを特徴としている。尚、該平行ビーム型ロードセル15は、歪ゲージを金属弾性体に接着し、その弾性体に加わった荷重を歪ゲージの抵抗変化として検出し、荷重の大きさに比例した電気信号を発生する重量測定器である。
【0014】
16は下端部に荷役物の掴み具17を取着した垂直アームであり、上端部を前記平行アーム14の先端部に接続している。尚、該垂直アーム16は地面に垂直になるようにして接続している。また、本実施例における荷役物の掴み具17は、エアクランプ式の掴み具を用いている。尚、エアクランプ式に代えてバキューム吸着式、メカニカルクランプ式、フォーク式を採用してもよい。また、18は操作ボックスユニット19の旋回台、19aは荷役物運搬機1の駆動部アームの昇降を制御する操作レバーである。
【0015】
本実施例の運搬動作について、図2乃至図7を参照しつつ簡単に説明する。
図2は駆動アーム10の先端側が上昇している状態を示している。また、図3は駆動アーム10の先端側が下がり、荷役物の掴み具17が荷役物Wを挾みつける位置まで下降した状態を示している。
【0016】
また、図4は荷役物の掴み具17が荷役物Wを挾みつけ、その状態において駆動アーム10の先端側が上昇した状態を示している。また、図5はこの状態を上側からみた図である。そして、この状態において平行ビーム型ロードセル15によって荷役物Wの重量測定を行うものである。
【0017】
また、図6は駆動アーム10の先端側を上昇させたまま水平に回動させた状態を示しており、図7には駆動アーム10の先端側を下げて荷役物Wを下ろした状態を示している。
【0018】
以上の一連の動作により、荷役物Wの運搬と重量の測定を行うものである。そして、これら一連の動作の間において平行アーム14は常に地面と平行を保持しており、且つまた垂直アーム16は常に地面に垂直となっている。
【0019】
次に、本考案の第2実施例について図8を参照しつつ説明する。
図8において20は荷役物運搬機である。21は駆動アームの駆動部であり、旋回台22と、保持フレーム23と、トルクモータ24とからなる。
【0020】
25は駆動アームであり、平行で且つ夫々の一端側を前記駆動アームの駆動部21に接続したリンクアーム26、ホリゾンタルアーム27並びにパラレルアーム28と、保持フレーム29を介して前記リンクアーム26又はホリゾンタルアーム27に夫々接続したリンクアーム30、バーチカルアーム31とからなる。
尚、バラレルアーム28の他端側は、バーチカルアーム31の保持フレーム29近傍の途中部に接続している。
【0021】
32は前記駆動アーム25におけるリンクアーム30とバーチカルアーム31の先端部に地面に垂直になるようにして取り付けた旋回台である。33は操作ボックスユニット、33aは荷役物連搬機20の駆動アームの昇降を制御する操作レバーである。
【0022】
34は前記旋回台32等を介して駆動アーム25の先端部に接続した平行アームであり、常に地面と平行を保持して移動するようになしている。35は前記平行アーム34の先端部に組み込んだ平行ビーム型ロードセルであり、その構造は前記第1実施例におけるそれと同一である。そして、このように平行ビーム型ロードセル35を平行アーム34に組み込んだことが、前記第1実施例におけるそれと同様に本考案の特徴である。
【0023】
36は下端部に荷役物の掴み具37を取着した垂直アームであり、上端部を前記地面に垂直になるようにして前記平行アーム34の先端部に取着している。
【0024】
本実施例の場合にも、前記第1実施例と同様に、荷役物の運搬と重量の測定を行うことができるものである。そしてまた、平行アーム34は常に地面と平行を保持しており、且つまた垂直アーム36は常に地面に垂直となっている。
【0025】
【考案の効果】
本考案は上記の如き構成であり、駆動アームに接続した平行アームに平行ビーム型ロードセルを組み込んだものであるから、スライダーシャフトを用いた従来品に比して全体の構造を簡略化にすることができる。また、測定装置も軽量化でき、製造コストも安くすることができる。
【0026】
また、平行ビーム型ロードセルには従来の引っ張り型ロードセルとスライダーシャフトを併用した重量測定装置の如き摺動部分がないことから、摩耗による機械的損失がなく、精度も向上する。また、偏芯荷重に対しても高精度で測定することができる。加えて、装置全体が剛体であるから、安定性が良く荷重がかかったときに振動が生じても即時に安定する。したがって測定作業を迅速に行うことができると共に精度も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の第1実施例の説明図。
【図2】第1実施例の運搬動作の説明図で、駆動アームを上げた状態の側面図。
【図3】第1実施例の運搬動作の説明図で、駆動アームの下げた状態の側面図。
【図4】第1実施例の運搬動作の説明図で、荷役物を掴んで持ち上げた状態の側面図。
【図5】第1実施例の運搬動作の説明図で、荷役物を掴んで持ち上げた状態の平面図。
【図6】第1実施例の運搬動作の説明図で、駆動アームを水平方向に回動した状態の平面図。
【図7】第1実施例の運搬動作の説明図で、荷役物を下ろした状態の側面図。
【図8】本考案の第2実施例の説明図。
【図9】従来の測定装置の説明図。
【符号の説明】
1 荷役物運搬機
2 駆動アームの駆動部
10 駆動アーム
13 ブラケット
14 平行アーム
15 平行ビーム型ロードセル
16 垂直アーム
17 荷役物の掴み具
20 荷役物運搬機
21 駆動アームの駆動部
25 駆動アーム
34 平行アーム
35 平行ビーム型ロードセル
36 垂直アーム
37 荷役物の掴み具

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 駆動アームと、該駆動アームの駆動部と、前記駆動アームに取着する荷役物の掴み具とからなり、該荷役物の掴み具が垂直、水平、斜め方向に移動自在且つ任意の位置に停止可能であり、更に駆動アームに、常に地面と平行を保持して移動すべく平行アームを接続した荷役物運搬機において、前記平行アームに平行ビーム型ロードセルを組み込んだことを特徴とする重量測定装置付荷役物運搬機。
【請求項2】 平行ビーム型ロードセルが、歪ゲージを金属弾性体に接着し、該金属弾性体に加わった荷重を歪ゲージの抵抗変化として検出し、荷重の大きさに比例した電気信号を発生する重量測定器である請求項1記載の重量測定装置付荷役物運搬機。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【登録番号】第3010641号
【登録日】平成7年(1995)2月22日
【発行日】平成7年(1995)5月2日
【考案の名称】重量測定装置付荷役物運搬機
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平6−14937
【出願日】平成6年(1994)10月27日
【出願人】(000003274)マルハ株式会社 (13)
【出願人】(000100735)アイコクアルファ株式会社 (17)