説明

重量物の全方位移動装置及び全方位移動方法

【課題】コストダウン及び安定した持ち上げを実現した重量物の全方位移動装置及び全方位移動方法を提供する。
【解決手段】重量物(カッタフレームアッセンブリ品20)を載置する載置台23とその下方の床面22との間に、平面視で重量物20の重心Gを囲むように複数配置される重量物の全方位移動装置29であって、球体30を回転可能に収容する収容孔31が複数形成された枠体32と、枠体32の各収容孔31に夫々収容され、上端が上記枠体32から上方に突出し、下端が上記枠体32から下方に突出すると共に床面22に載置される複数の球体30と、これら球体30の内、幾つか複数の球体30の上端に載置される大きさに形成された平板34と、平板34上に載置され載置台23を持ち上げるジャッキ35とを備えたもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド掘進機やその部品等の重量物を床面に前後、左右、斜めに移動可能に支持し、上下に移動させる重量物の全方位移動装置及び全方位移動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールドトンネル工法に用いられるシールド掘進機は、通常1つのトンネルで使い切り、到達立坑で解体されるものであるが、2本のトンネルを1台のシールド掘進機で掘削できればコストダウンとなる。そこで、1本目のトンネルを掘削し終わって到達立坑に到着したシールド掘進機を到達立坑内で移動させて向きを変え、1本目を掘削し終わったシールド掘進機で2本目のトンネルを掘削するようにしたものが提案されている(特許文献1)。
【0003】
このものにおいては、重量物としてのシールド掘進機が載置された載置台を、到達立坑の床面に置かれた複数の鋼球からなるコロの上に載せ、シールド掘進機の自重を各コロによって分散支持しつつ、シールド掘進機を床面に沿って任意の方向に移動可能としている。そして、これらコロによってシールド掘進機を所望の位置及び向きに移動した後、載置台に設けたジャッキによってシールド掘進機を載置台から所望の高さまで持ち上げ、発進させるようにしている。
【0004】
【特許文献1】特許第3482562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したものでは、立坑内でシールド掘進機の位置及び向きを自在に変えるためには、立坑内の略全ての床面に鋼球からなるコロを敷き詰める必要があり、コストアップとなる。また、載置台に載置されたシールド掘進機を載置台に設けたジャッキで持ち上げているので、それまで載置台に安定した状態で載置されていたシールド掘進機をジャッキで載置台から切り離して持ち上げることになり、安定した持ち上げが困難となる場合がある。
【0006】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、コストダウン及び安定した持ち上げを実現できる重量物の全方位移動装置及び全方位移動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明に係る重量物の全方位移動装置は、重量物を載置する載置台とその下方の床面との間に、平面視で重量物の重心を囲むように複数配置される重量物の全方位移動装置であって、球体を回転可能に収容する収容孔が複数形成された枠体と、該枠体の各収容孔に夫々収容され、上端が上記枠体から上方に突出し、下端が上記枠体から下方に突出すると共に上記床面に載置される複数の球体と、これら球体の内、幾つか複数の球体の上端に載置される大きさに形成された平板と、該平板上に載置され上記載置台を持ち上げるジャッキとを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
上記枠体に下方に延出して設けられ、その下端が上記床面に当接され、上記枠体を上記床面から離間させる脚部を備えてもよい。
【0009】
本発明に係る重量物の全方位移動方法は、重量物を載置する載置台の下部に装着され、重量物の自重を床面に伝達すると共に、載置台を床面に沿って一方向に移動可能に支持する一方向移動装置と、請求項1又は2に記載の全方位移動装置とを用いて重量物を所定の位置に移動させる方法であって、重量物が載置された載置台を、載置台の下部に装着した一方向移動装置によって所定の位置の近傍まで一方向に移動し、その載置台と床面との間に、全方位移動装置を、平面視で重量物の重心を囲むように複数配置し、これら全方位移動装置のジャッキによって載置台を持ち上げ、載置台に加わる重量物の自重を一方向移動装置から全方位移動装置に移し替えた後、載置台を床面と平行に前後、左右に動かし、ジャッキを上下に動かして、重量物を所定の位置に移動させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る重量物の全方位移動装置及び全方位移動方法によれば、コストダウン及び安定した持ち上げを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、シールド掘進機1のカッタフレーム5に種々の部品を取り付けたカッタフレームアセンブリ品20を、シールド掘進機1の掘進機本体2に組み付けるときの様子を示す側断面図、図2は、図1のII−II線矢示図である。
【0013】
シールド掘進機1は、掘進機本体2の外殻を成す円筒状のシールドフレーム3と、シールドフレーム3内に取り付けられたドーナッツ板状の外側隔壁4と、外側隔壁4にシールドフレーム3の軸心回りに回転可能に装着されるカッタフレーム5とを備えている。
【0014】
カッタフレーム5は、回転中心X(シールドフレーム3の軸心)を中心として放射状に配置されたカッタスポーク6、カッタスポーク6に取り付けられて切羽を切削するビット7、各カッタスポーク6の間に設けられたカッタ面板8、カッタ面板8に開口された土砂取込口9等から構成され、略円盤状に形成されている。カッタフレーム5の背面(反切羽側面)には、回転中心Xから後方に延出されたセンターシャフト10が設けられていると共に、径方向の中程から後方に延出された中間ビーム11が周方向に間隔を隔てて複数設けられている。
【0015】
中間ビーム11の先端には、カッタフレーム5の回転中心Xを中心としてリング状に形成された中間リング12が取り付けられている。中間リング12の内周部とセンターシャフト10の外周部との間には、ドーナッツ板状に形成された内側隔壁13が、シール14を介して回転中心Xを中心として回転可能に設けられている。この内側隔壁13は、後の工程で、外側隔壁4に設けられたギヤハウジング15に取り付けられる。
【0016】
また、中間リング12の後部には、回転中心Xを中心としてリング状に形成された旋回環16が取り付けられている。旋回環16は、中間リング12の後部に取り付けられた外環17(回転環)と、外環17に図示しないベアリングを介して回転中心Xを中心として回転可能に取り付けられた内環18(静止環)とを有する。この内環18は、後の工程で、外側隔壁4に設けられたギヤハウジング15に取り付けられる。
【0017】
センターシャフト10の後部には、ロータリージョイント19が設けられている。このロータリージョイント19を介してカッタフレーム5に油圧等が供給され、カッタフレーム5内に装着された図示しない油圧機器(コピーカッター用ジャッキ等)に油圧が供給される。
【0018】
カッタフレーム5に、センターシャフト10、中間ビーム11、中間リング12、旋回環16、内側隔壁13等を組み付けたものが、カッタフレームアセンブリ品20となる。カッタフレームアセンブリ品20が組み付けられる掘進機本体2は、シールドフレーム3に外側隔壁4等を設けて構成され、架台21を介して床面22に安定して載置されている。
【0019】
カッタフレームアセンブリ品20は、本実施形態に係る重量物に相当する。カッタフレームアセンブリ品20は、先ず、以下に述べるようにして、掘進機本体2の組付位置(所望の位置)の近傍まで一方向に移動される。
【0020】
図3は、図2のIII−III線断面図である。
【0021】
図1〜図3に示すように、カッタフレームアセンブリ品20(以下重量物とも言う)は、載置台23に載置される。載置台23は、カッタフレーム5の回転中心Xの軸と平行に配置された複数の縦桁24(断面H鋼)と、縦桁24に直交するように配設された複数の横桁25(断面H鋼)とから、略格子状に構成されている。載置台23の上面には、重量物であるカッタフレームアセンブリ品20を支持する支持柱26(断面H鋼)が複数設けられている。
【0022】
支持柱26は、下端が載置台23に固定され上端が斜め後方に延出されてカッタフレームアセンブリ品20のカッタフレーム5の前面に当接或いは着脱可能に連結された前部支持柱26aと、下端が載置台23に固定され上端がカッタフレーム5の外周部の下部に当接或いは着脱可能に連結された中部支持柱26bと、下端が載置台23に固定され上端が中間ビーム11に当接或いは着脱可能に連結された後部支持柱26cとから成り、重量物であるカッタフレームアセンブリ品20を安定して載置台23に支持固定する。
【0023】
載置台23の縦桁24の下部には、支持桁27が重なるようにしてボルトで装着されている。支持桁27の下部には、重量物20の自重を床面22に伝達すると共に、載置台23を床面22に沿って一方向に移動可能に支持する一方向移動装置28が、重量物20の平面視の重心Gを囲んで複数装着されている。図3のハッチング部分は一方向移動装置28が装着された部分を示す。一方向移動装置28は、図1に示すように、複数の円柱をその軸心同士で環状に連結してなる無端帯をクローラとして用いるもの(通常のクローラでも可)であり、重量物20の自重を各円柱(クローラ)で分散支持すると共に重量物20を一方向に移動可能に支持する。
【0024】
重量物20が載置された載置台23は、一方向移動装置28に支持された状態で、図示しないジャッキ(一端が床面22に他端が支持桁27に連結されたジャッキ)によって掘進機本体2に向けて押圧され、図1に示すように掘進機本体2から離間した位置から、図4に示すように掘進機本体2に近接した位置(組立位置の近傍)まで一方向に移動される。なお、一方向移動装置28が走行する床面22は、一方向移動装置28の各円柱(クローラ)によって重量物20の荷重を分散支持しつつ安定して走行するために、ある程度平滑であることが必要である。床面22が十分平滑でない場合には、平滑な鉄板等を予め床面22上に敷設しておく。
【0025】
図1において、載置台23の位置は、載置台23に乗せられるカッタフレームアセンブリ品20(重量物)が掘進機本体2の組付位置に正対するような位置となっている。よって、図4に示すように、載置台23を一方向移動装置28を用いて掘進機本体2に向けて一方向に移動させることで、載置台23に載せられたカッタフレームアセンブリ品20は、掘進機本体2の正規の組付位置の近傍までは移動させられるが、一方向移動のみで正規の組立位置に丁度合わせることは困難であり、ある程度のずれは避けられない。このずれは、以下に述べるようにして解消される。
【0026】
図5は、図4のV−V線矢示図、図6は、図5のVI−VI線断面図である。
【0027】
重量物20が載せられた載置台23を一方向移動装置28を用いて図4に示すように所定の組付位置の近傍まで一方向に移動したならば、図5、図6に示すように、載置台23と床面22との間に、全方向移動装置29を、平面視で重量物20の重心Gを囲むように複数配置する。本実施形態では、全方向移動装置29を重量物20の重心Gを囲んで4台配置しているが、重心を囲んで3台でもよく、5台以上であっても構わない。
【0028】
図7は、全方向移動装置29の説明図であり、図7(a)は側面図、図7(b)は正面図、図7(c)は一部(ジャッキ等)を省略した平面図である。
【0029】
全方向移動装置29は、球体30を回転可能に収容する収容孔31が複数形成された枠体32と、枠体32の各収容孔31に夫々収容され、上端が枠体32から上方に突出し、下端が枠体32から下方に突出すると共に床面22に敷設された平滑な荷重支持板33に載置される複数の球体30と、これら球体30の内、幾つか複数の球体30の上端に載置される大きさに形成された平板34と、平板34上に載置され載置台23を持ち上げるジャッキ35(以下垂直ジャッキ)とを備えている。
【0030】
枠体32は、長方形板からなる基板32aと、基板32aに鋼製の球体30(鋼球)の直径よりも大径に形成されて縦横に並設された複数の穴32bと、各穴32bに嵌入されて溶接された円筒32cとを有する。円筒32cの高さは、球体30の直径よりも小さく、円筒32cの内径は、球体30の直径よりも大きく、円筒32の内部が球体30を回転可能に収容する収容孔31となる。球体30の下端は、平滑な荷重支持板33に載置される。なお、荷重支持板33は床面22が十分平滑であれば省略でき、その場合、球体30の下端を床面22に載置する。
【0031】
基板32aの下面には、下方に延出されてその下端が荷重支持板33(又は床面22)に当接され、枠体32を荷重支持板33(又は床面22)から離間させる脚部36が複数設けられている。脚部36は、本実施形態では、基板32aの略四隅に4本配設されていて、枠体32が傾かないように枠体32を荷重支持板33(又は床面22)に安定して支持しているが、枠体32を荷重支持板33(又は床面22)に支持したとき枠体32が傾かない配置であれば3本でもよく、5本以上であってもよい。
【0032】
脚部36の長さは、枠体32の円筒32cに収容された球体30の上端が円筒32cから上方に突出し、球体30の下端が円筒32cから下方に突出するように、設定されている。脚部36の下端は、荷重支持板33(又は床面22)との間の摩擦力を小さくするために、半球状或いは面取り形成されている。なお、脚部36の下端に、球状のコロを全方向に回転可能に装着して、摩擦力を更に低減してもよい。
【0033】
枠体32の円筒32cに収容された球体30の内、幾つか複数の球体30の上には、これら球体30の上端を覆う大きさに形成された平板34が載置されている。平板34は、本実施形態では9個(3×3)の球体30の上端を覆うような大きさで略正方形状に形成されていて、重量物20の荷重が加わったとき9個の球体30で荷重を分散支持するようにしている。なお、平板34は、この大きさや形状に限られるものではなく、重量物20の荷重が加わったとき球体30や平板34が破損しない数の球体30の上端を覆う大きさや形状であればよい。
【0034】
平板34の上には、断面H鋼からなる本体37が溶接固定され、本体37の上には、載置台23(図8参照)を持ち上げるジャッキ35(垂直ジャッキ)がボルト等によって装着されている。垂直ジャッキ35は、本体37の上にボルトで固定されたシリンダ部35aと、シリンダ部35aに吸排される油圧によってシリンダ部35aの上面から上方に移動するピストン部35bとを有する。垂直ジャッキ35のピストン部35bは、図5、図6に示すように、載置台23の横桁25の下面、横桁25同士を繋いて設けられた追加桁25aの下面に当接される。
【0035】
すなわち、図4に示すように、掘進機本体2に近接する位置まで一方向移動装置28を用いて移動された載置台23の下方の床面22上に、図5、図6に示すように、複数台(4台)の全方向移動装置29を、それら全方向移動装置29の垂直ジャッキ35のピストン部35bが平面視で重量物20の重心Gを囲み且つ載置台23の横桁25、追加桁25aの下方となる位置に、配置する。
【0036】
その後、各全方向移動装置29の垂直ジャッキ35のピストン部35bを上昇させて載置台23を持ち上げ、載置台23に加わる重量物20の荷重を、一方向移動装置28から全方向移動装置29に移し替える。すると、図5に示す載置台23に支持桁27を介して連結された一方向移動装置28が、床面22から僅かに浮上することになる。
【0037】
このように、各全方向移動装置29の垂直ジャッキ35によって載置台23を持ち上げ、載置台23に加わる重量物20の荷重を、一方向移動装置28から全方向移動装置29に移し替えたならば、図4〜図6に示す前後水平ジャッキ38で載置台23を床面22に沿って前後方向(カッタフレーム5の回転軸Xに平行な方向)に移動させ、左右水平ジャッキ39で載置台23を床面22に沿って左右方向(前後方向に直交する方向)に移動させ、全方向移動装置29の垂直ジャッキ35で載置台23の持ち上げ高さを調節することで、載置台23に載せられたカッタフレームアッセンブリ品20(重量物)を掘進機本体2の組付位置に合わせる。
【0038】
図6に示すように、前後水平ジャッキ38は、重量物20の重心Gを挟んでカッタフレーム5の回転軸Xと平行に左右に一対配置され、夫々、一端が床面22に連結され、他端が載置台23の横桁25に連結されている。よって、左右の前後水平ジャッキ38を同調して伸縮させることで、載置台23を前後方向に移動でき、左右の前後水平ジャッキ38の伸縮ストロークに差を付けることで、載置台23に鉛直軸回りの回転を付与することもできる。また、これらの前後水平ジャッキ38は、重量物20の重心Gの真下の点を通って左右方向に延びる横桁25を押圧するので、重量物20がバランスよく移動される。
【0039】
左右水平ジャッキ39は、載置台23の左右両側にそれぞれ2個ずつ、重量物20の重心を囲んで計4個配置されている。これら左右水平ジャッキ39は、夫々、一端が床面22に連結され、他端が載置台23に装着された支持桁27の側面に当接されている。よって、各左右水平ジャッキ39を同調して伸縮させることで、載置台23を左右方向に移動でき、各左右水平ジャッキ39の伸縮ストロークに差を付けることで、載置台23に鉛直軸回りの回転を付与することもできる。
【0040】
これら前後水平ジャッキ38、左右水平ジャッキ39を伸縮して、載置台23を床面22と平行な水平面内で任意の方向に移動させると、図8(a)、図8(b)に示すように、載置台23の横桁25の下面、追加桁25a(図6参照)の下面に当接する垂直ジャッキ35が取り付けられた平板34が球体30の上を滑動し、球体30が床面22(図8では荷重支持板33)の上を転動する。
【0041】
ここで、横桁25の下面、追加桁25a(図6参照)の下面には、垂直ジャッキ35の位置を上下方向移動可能で水平方向に保持する筒状のガイド金具40が設けられており、載置台23を各水平ジャッキ38、39で移動させるとき、載置台23が垂直ジャッキ35に対して滑らないようになっている。また、球体30は、枠体32の穴32bに取り付けられた高さの低い円筒32cの内方に収容されているので、転動中、枠体32から飛び出ることはない。こうして、載置台23の床面22に対する水平移動(前後左右斜め方向の移動)が、所定範囲(平板34が球体30から転落しない範囲)で許容される。よって、載置台23に載せられた重量物であるカッタフレームアッセンブリ品20を、前後左右方向に、組付位置に合わせられる。
【0042】
また、全方向移動装置29の垂直ジャッキ35のピストン部35bの上下移動量を調節することで、載置台23の持上高さを調節できる。ここで、全方向移動装置29は重量物20の平面視重心Gを囲むように複数台配置されているので、重量物20が載せられた載置台23を安定して昇降させることができる。また、各全方向移動装置29の垂直ジャッキ35の伸長ストロークに差を付けることで、載置台23に所望の傾斜を与えることができ、載置台23に支持柱26で固定支持された重量物20(カッタフレームアッセンブリ品)の姿勢を自在に調節できる。よって、載置台23に載せられたカッタフレームアッセンブリ品20を、組付位置に合わせて、上下方向の位置及び姿勢を変更できる。
【0043】
以上述べたように、前後水平ジャッキ38、左右水平ジャッキ39を伸縮してカッタフレームアッセンブリ品20(重量物)の水平位置(水平面内の位置)を調節し、垂直ジャッキ35を伸縮してカッタフレームアッセンブリ品20の上下位置(垂直方向の位置)及び姿勢を調節することで、図9に示すように、カッタフレームアッセンブリ品20を所望の位置に移動させて掘進機本体2に正確に組み付けることができる。この組付中、カッタフレームアッセンブリ品20が揺れる等してある程度傾き、載置台23の傾斜が所定角度となると、床面22から僅かに浮いている一方向移動装置28が床面22に押し付けられてストッパとして機能するので、カッタフレームアッセンブリ品20の傾きがある程度までに抑えられる。
【0044】
最後に、図9において、カッタフレームアッセンブリ品20の内側隔壁13の外周リング13aが、掘進機本体2の外側隔壁4に設けられたギヤハウジング15にネジ締結具(ボルト、ナット)で取り付けられ、カッタフレームアッセンブリ品20の旋回環16の内環18が、掘進機本体2の外側隔壁4に設けられたギヤハウジング15にネジ締結具で取り付けられる。また、ギヤハウジング15に、カッタ駆動モータ41が装着され、このモータ41のピニオン42が旋回環16の外環17に形成された外歯ギヤ17aに噛合される。
【0045】
本実施形態によれば、カッタフレームアッセンブリ品20を掘進機本体2に組み付ける際、重量物であるカッタフレームアッセンブリ品20を高精度で微少移動させることができ、的確な組付が可能となる。また、立坑内の略全ての床面にコロである球体30(鋼球)を敷き詰める必要がないので、コストダウンとなる。また、重量物20(カッタフレームアッセンブリ品)が装着固定された載置台23を垂直ジャッキ35で持ち上げているので、持上中に重量物であるカッタフレームアッセンブリ品20と載置台23との連結が切り離されることはなく、カッタフレームアッセンブリ品20を安定して持ち上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】シールド掘進機のカッタフレームに種々の部品を取り付けたカッタフレームアセンブリ品(重量物)を、シールド掘進機の掘進機本体に組み付けるときの様子を示す側断面図であり、本発明の一実施形態を示す。
【図2】図1のII−II線矢示図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】図1のカッタフレームアセンブリ品(重量物)を、一方向移動装置を用いて移動させた後の側断面図である。
【図5】図4のV−V線矢示図である。
【図6】図5のVI−VI線断面図である。
【図7】本実施形態に係る全方向移動装置の説明図であり、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は一部省略平面図である。
【図8】全方向移動装置の作動説明図であり、(a)は作動前の側面図、(b)は作動後の側面図である。
【図9】カッタフレームアセンブリ品(重量物)を、シールド掘進機の掘進機本体の組付位置に移動した後の側断面図である。
【符号の説明】
【0047】
20 重量物としてのカッタフレームアッセンブリ品
22 床面
23 載置台
28 一方向移動装置
29 全方位移動装置
30 球体
31 収容孔
32 枠体
34 平板
35 ジャッキ(垂直ジャッキ)
36 脚部
G 重心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量物を載置する載置台とその下方の床面との間に、平面視で重量物の重心を囲むように複数配置される重量物の全方位移動装置であって、
球体を回転可能に収容する収容孔が複数形成された枠体と、
該枠体の各収容孔に夫々収容され、上端が上記枠体から上方に突出し、下端が上記枠体から下方に突出すると共に上記床面に載置される複数の球体と、
これら球体の内、幾つか複数の球体の上端に載置される大きさに形成された平板と、
該平板上に載置され上記載置台を持ち上げるジャッキと
を備えたことを特徴とする重量物の全方位移動装置。
【請求項2】
上記枠体に下方に延出して設けられ、その下端が上記床面に当接され、上記枠体を上記床面から離間させる脚部を備えた請求項1に記載の重量物の全方位移動装置。
【請求項3】
重量物を載置する載置台の下部に装着され、重量物の自重を床面に伝達すると共に、載置台を床面に沿って一方向に移動可能に支持する一方向移動装置と、
請求項1又は2に記載の全方位移動装置と
を用いて重量物を所定の位置に移動させる方法であって、
重量物が載置された載置台を、載置台の下部に装着した一方向移動装置によって所定の位置の近傍まで一方向に移動し、
その載置台と床面との間に、全方位移動装置を、平面視で重量物の重心を囲むように複数配置し、
これら全方位移動装置のジャッキによって載置台を持ち上げ、載置台に加わる重量物の自重を一方向移動装置から全方位移動装置に移し替えた後、
載置台を床面と平行に前後、左右に動かし、ジャッキを上下に動かして、重量物を所定の位置に移動させることを特徴とする重量物の全方位移動方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate