説明

重量物運搬車両用タイヤ

本発明は、重量物を運搬する車両に取り付けられるようになったタイヤに関し、タイヤは、全体として横方向の向きの複数本の溝(2)を備えたトレッド(10)を有し、トレッドは、少なくとも3つのゴムを主成分とする材料、即ち、トレッドの中間部分に位置していて、23℃の温度で測定された10%伸び率における割線モジュラスが少なくとも4.0MPaに等しく、ヒステリシスロスの値tan(δ)maxが0.19を超える第1の材料M1と、23℃で測定された10%伸び率における割線モジュラスが第1の材料の割線モジュラスよりも低く、ヒステリシスロス値tan(δ)maxが第1の材料のヒステリシスロス値tan(δ)maxよりも低く且つ少なくとも0.15に等しい第2の材料M2と、第1の材料M1及び第2の材料M2の下に半径方向に配置されていて、ヒステリシスロス値tan(δ)maxが0.12よりも低い第3の材料M3を有する。第1の材料M1は、第2の材料及び第3の材料の耐摩耗性よりも少なくとも15%良好な耐摩耗性を有し、第2及び第3の材料は、実質的に同一の耐摩耗性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量物を運搬する機械、例えば建築機械用のタイヤのトレッドバンド、特に、これらトレッドバンドの構成材料に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械用のタイヤは、一般に、ビード内に補強要素の少なくとも1枚のプライで構成されたカーカス補強材を有し、このカーカス補強材は、半径方向外側がクラウン補強材で覆われている。このクラウン補強材は、或る1枚のプライから次のプライにクロス掛けされた補強要素の複数枚のプライで構成され、このクラウン補強材は、半径方向外側がトレッドバンドで覆われ、このトレッドバンドの目的は、タイヤとタイヤが走行する路面との接触をもたらすと共にタイヤと路面との間で荷重を伝達することにある。
【0003】
使用にあたり、少なくとも2つの所望の性能上の観点、即ち、トレッドバンドの良好な耐摩耗性及びタイヤが走行する路面上に存在する異物からの攻撃に対する良好な耐久性が存在することが分かっている。具体的に説明すると、実質的に何ら異物のない路面上を走行するとき、トレッドバンドの摩耗、即ち、摩擦による材料の摩耗除去量は、走行距離が所与の場合、できるだけ少ないことが望ましい。
【0004】
他方、多くの石や他の物体が存在しているテレーン上での使用は、トレッドバンドに対して過酷である。重量物を運搬する機械、例えば鉱山で用いられる建設機械の場合、これら車両に取り付けられたタイヤのトレッドバンドは、衝撃の繰り返しを受けることは公知の事実であり、かかる衝撃は、トレッドバンドの材料の引き裂きに加えて、タイヤのクラウン中の種々の材料相互間、特にトレッドバンドとクラウン補強材との離層又は剥がれによる破損をもたらす場合がある。
【0005】
特に仏国特許第1445678号明細書から、トレッドバンドを構成している材料の性能及び特徴は、トレッドバンド中の当該領域に適合するようになっているのが良いことが分かった。この特許文献は、トレッドバンドの中央部は、側部を形成するために用いられる材料の耐摩耗性よりも良好な耐摩耗性を有する材料で作られるのが良く、中央部が形成するこの材料が側部で用いられる材料よりも弱いグリップを有していることを示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】仏国特許第1445678号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明の要旨は、トレッドバンドの耐摩耗性と耐衝撃性の両面で性能を平均化すると同時にトレッドバンドの縁部の耐久性を向上させることができる建設機械用のトレッドバンドにある。
【0008】
本発明のタイヤは、重量物を運搬する車両に取り付けられるようになっており、このタイヤは、ビード内に繋留されるカーカス補強材を有し、これらビードは、取り付けリムに接触するようになっている。このカーカス補強材は、半径方向外側がクラウン補強材で覆われ、クラウン補強材は、それ自体、半径方向外側が、路面との接触をもたらすようになったトレッドバンドで覆われている。
【0009】
このトレッドバンドは、子午線平面XX′の各側に平均幅P且つ全体として横方向の向きの複数本の溝を備え、横方向溝は、2つの端を有し、第1の端は、トレッドバンドの外側に開口し、内側端と呼ばれる第2の端は、開口していない。各横方向溝の内側端は、トレッドバンドの子午線平面からゼロではない距離離れたところに位置する。
【0010】
横方向溝の内側の端相互間で軸方向に位置する中間部がこのトレッドバンドに設けられている。この中間部は、トレッドバンドの全幅Wの少なくとも20%に等しく且つこの全幅Wのせいぜい80%に等しい幅Lcを有する。
【0011】
このトレッドバンドは、次の種々の特定の性質、即ち、
‐第1の材料が中間部の幅Lcの少なくとも80%に等しく且つトレッドバンドの全幅Wのせいぜい80%に等しい全幅及び横方向溝の平均深さPの少なくとも20%に等しく且つせいぜい80%に等しい平均深さP1にわたって子午線平面の各側に位置し、平均幅P1は、子午線平面上で測定されるという性質、
‐第2の材料が深さP1に等しい又は実質的に等しい深さP2にわたって中間部の軸方向外側に位置しているという性質、及び
‐第3の材料が中間部と縁部の組み合わせの半径方向内側に位置し、この第3の材料は、横方向溝の平均深さPと第1の材料の厚さP1の差に少なくとも等しい深さにわたって延びているという性質を備えた少なくとも3つのゴム材料で形成されている。
【0012】
これら3つのトレッドバンド材料は、次の性質、即ち、
‐第1の材料は、23℃の温度で測定された10%伸び率における割線モジュラスが少なくとも4.0MPaに等しく、ヒステリシスロスの値tan(δ)maxが0.19を超えるという性質、
‐第2の材料は、23℃で測定された10%伸び率における割線モジュラスが第1の材料の割線モジュラスよりも低く、ヒステリシスロス値tan(δ)maxが第1の材料のヒステリシスロス値tan(δ)maxよりも低く且つ少なくとも0.15に等しいという性質、
‐第3の材料は、ヒステリシスロス値tan(δ)maxが、0.12よりも低いという性質を有する。
【0013】
さらに、第1の材料は、第2の材料及び第3の材料の耐摩耗性よりも少なくとも15%良好な耐摩耗性を有し、第2及び第3の材料は、実質的に等しい耐摩耗性を有する。
【0014】
材料の耐摩耗性は、基準材料の重量の損失分と試験されるべき材料の重要な損失分の比(パーセント(%)で表される)に基づいて評価される。この測定は、侵食用機械により実施される。試験体「スキッド」が重量物を運搬するタイヤの使用に対応した実際の路面被覆材形式の被膜を備えた円形トラックに沿ってスライド運動する。課されるパラメータは、スキッドとトラックとの間の接触面に垂直な接触力、スキッドの滑り率、滑り長さ及び測定が行われる空間の温度である。
【0015】
さらに、第1の材料は、結合性が高く、即ち、60℃で測定された破断時応力(MPaで表される)及び破断時伸び率(%で表される)は、他の材料の破断時応力及び破断時伸び率よりも少なくとも20%だけ実質的に高い。
【0016】
トレッドバンド中の材料のこの特定の配置により、先行技術のタイヤで比較して、特に仏国特許第1445678号明細書に記載されたタイヤと比較して、耐摩耗性、耐攻撃性及び耐久性の面で著しい性能の向上を得ることができる。
【0017】
好ましくは、第1の材料は、子午線断面で見て台形の形をしており、したがって、路面とのその接触幅は、摩耗につれて次第に増大するようになる。
【0018】
有利な変形例によれば、第3の材料は、トレッドバンドの子午線平面の各側に、平均厚さの約20%に相当する追加の厚みを有する。この追加の厚みは、トレッドバンドの全幅Wの少なくとも5%の幅を有すると共に子午線平面からトレッドバンドの全幅Wの10%を超える距離を置いたところに位置する。材料のこの追加により、この材料のヒステリシスは、中央部の第1の材料と比較して極めて低く、これら追加の厚みが存在する領域のタイヤの動作温度を減少させることができ、かくしてその耐久性が向上する。
【0019】
本発明のタイヤの別の変形形態では、トレッドバンドは、第3の材料の半径方向内側に位置した第4の材料を有し、第4の材料は、次の性質、即ち、
‐23℃の温度での10%伸び率における割線伸びモジュラスが4.0MPaであるという性質、及び
‐ヒステリシスロスの値tan(δ)maxが、0.11よりも低いという性質を有する。
【0020】
この第4の材料は、第1の材料の厚さの15%を超える厚さを有する。
【0021】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して以下に与えられる説明から明らかになろう。なお、図面は、非限定的な例として本発明の幾つかの実施形態を開示している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のトレッドバンドのトレッドパターンの平面図である。
【図2】図1に示されたタイヤのII‐II線部分矢視断面図である。
【図3】本発明のタイヤの別の変形形態を示す図であり、第3の材料の特定の輪郭形状を示す図である。
【図4】本発明の変形形態としてのトレッドバンドの転動面の平面図である。
【図5】図4に示されたタイヤのV‐V線矢視断面図であり、トレッドバンドの第3の材料の半径方向内側に位置した第4の材料を有する本発明の変形形態としてのタイヤを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明のタイヤのトレッドバンド1の転動面10を示している。このトレッドバンドは、全幅Wを有すると共にトレッドバンドを実質的に軸方向幅が互いに等しい2つの半部に分ける子午線平面(この子午線平面と図1の平面の交線が、線XX′で示されている)を有する。
【0024】
このトレッドバンド1は、子午線平面XX′の各側に、実質的に横方向に差し向けられ、即ち、回転軸線(この軸線の方向は、方向XX′に垂直である)に対して45°よりも小さい角度で差し向けられた複数本の横方向溝2を有している。各横方向溝2は、平均深さを有すると共に2つの端21,22を有し、これら端のうちの一方の外側の端21は、軸方向外側に位置していて、トレッドバンドの縁上に開口し、これら端のうちの他方の内側の端22は、軸方向内側に位置し、側方には開口していない。この内側の端22は、子午線平面からゼロではない距離を置いたところに位置している。子午線平面XX′の各側に位置した横方向溝2の内側の端22相互間で軸方向に延びる幅Lcの中間部が定められている。この幅Lcは、この場合、実質的にトレッドバンドの全幅Wの1/3に等しい。
【0025】
図2は、半径方向平面(即ち、回転軸線を含む平面)で見た断面を示しており、この半径方向平面と図1の平面の交線は、図1に示されている線II‐IIに相当している。理解できるように、タイヤは、半径方向外側がクラウン構造体200で覆われたカーカス補強材100を有し、クラウン構造体200は、一方において、複数枚の補強プライで形成されたクラウン補強材20及び他方においてこのクラウン補強材20の半径方向外側を覆っているトレッドバンド10を有し、トレッドバンド10は、3つのゴムを主成分とする材料で形成されている。
【0026】
中間部の幅Lcよりも長い幅L1にわたり第1の材料M1が見え、この第1の材料M1は、子午線平面XX′の各側に位置し、この幅L1は、トレッドバンドの全幅Wのほぼ60%に等しい。この第1の材料M1は、横方向溝の平均深さPの70%に等しい平均厚さP1にわたって延び、この平均厚さP1は、子午線平面で測定される。この第1の材料M1は、23℃の温度で測定された10%伸び率における割線モジュラスが少なくとも4.0MPaに等しく、ヒステリシスロスの値tan(δ)maxが0.19を超える。
【0027】
第2の材料M2が厚さP1に等しい厚さP2にわたり中間部の各側で軸方向外側に位置している。この第2の材料は、23℃で測定された10%伸び率における割線モジュラスが第1の材料の割線モジュラスよりも低く、ヒステリシスロス値tan(δ)maxが第1の材料のヒステリシスロス値tan(δ)maxよりも低く且つ少なくとも0.15に等しい。
【0028】
第3の材料M3が中間部と縁部の組み合わせの半径方向内側に位置し、この第3の材料は、横方向溝の平均深さPと中央部の材料の厚さP1の差よりも大きい厚さP3にわたって延びている。この第3の材料のヒステリシスロスの値tan(δ)maxは、0.12未満である。
【0029】
さらに、第1の材料M1は、第2の材料及び第3の材料の耐摩耗性よりも少なくとも15%良好な耐摩耗性を有しており、第2及び第3の材料は、互いに実質的に等しい耐摩耗性を有している。本明細書においては、材料の耐摩耗性は、基準材料の重量の損失分と試験されるべき材料の重要な損失分の比(パーセント(%)で表される)に基づいて評価される。この測定は、侵食用機械により実施される。「スキッド」の形態をした試験体が重量物を運搬するタイヤの使用に対応した実際の路面被覆材形式の被膜を備えた円形トラックに沿ってスライド運動する。課されるパラメータは、スキッドとトラックとの間の接触面に垂直な接触力、スキッドの滑り率、滑り長さ及び測定が行われる空間の温度である。摩耗後に残っている厚さを測定する。
【0030】
3つの材料のこの配置により、摩耗及び路面上で遭遇する障害物上を走行する際の衝撃に起因する攻撃並びに全体的耐久性の面においてトレッドバンドの性能の著しい向上を得ることができる。
【0031】
第3の材料がトレッドバンドの全幅にわたって且つトレッドバンドの構成材料である第1及び第2の材料の下に半径方向に存在しているので、タイヤの動作運動を減少させることができる。中間部に関し、トレッドバンドとクラウン補強材との分離の恐れがかくして回避され、他方、この第3の材料が縁部の下に半径方向に存在しているので、クラウン補強材の軸方向端のところの離層に対する耐性が向上する。
【0032】
図3は、上述の実施例に関して説明した3つの材料M1,M2,M3で形成されている本発明のトレッドバンドを有するタイヤの実施形態の変形形態を回転軸線を含む平面で取って断面で示している。この変形形態では、第1の材料と第2の材料との接合部のところの表面は、回転軸線を含む断面平面で見て、半径方向(軸線XX′の方向に平行な方向)に対して傾斜しているプロットを有し、これらプロット上の第1の材料の半径方向最も内側の箇所(即ち、タイヤの回転軸線の最も近くに位置する箇所)は、第1の材料の半径方向最も外側の箇所の軸方向外側に位置している。かくして、第1の材料M1は、半径方向断面平面(回転軸線を含む平面)で見て断面が台形の形をしており、したがって、路面とのその接触幅は、トレッドバンドが新品である場合(即ち、トレッドバンドをまだ走行する前において)値L1から始まって、トレッドバンドが摩耗するにつれて次第に増大する。
【0033】
さらに、この変形形態は、この構成と第3の材料M3の追加の厚み13が第1の材料41に部分的に取って代わるという構成を組み合わせたものである。これら2つの追加の厚み13は、レンズの形をしており、各々、トレッドバンドの全幅Wの10%に相当する幅及び第1の材料M1の厚さの25%の最大高さを有している。
【0034】
図4及び図5は、本発明の同じ他の変形形態としてのトレッドバンドを示しており、このトレッドバンドは、上述の3つの材料に加えて、半径方向内側に位置した第4の材料を有している。問題のタイヤは、特にトレッドバンドの材料に対して過酷な場合がある路面上を走行する建設車両に取り付けられるようになったサイズ37.00R57のタイヤである。
【0035】
この変形形態では、トレッドパターンの設計は、図4に示す平面で見て、上述の実施例について説明した横方向溝2に加えて、全体として周方向の向きの2本の溝3を有している。横方向溝2の各々は、その内側の端22が周方向溝3内に開口している。
【0036】
図5は、クラウン部200に連結されたサイドウォール40を有するタイヤの部分断面図である。このタイヤは、半径方向外側がクラウン補強材20で覆われたカーカス補強材100を有し、クラウン補強材20は、それ自体、トレッドバンド10で覆われており、トレッドバンド10の一方の表面は、走行中、路面と接触関係をなすようになっている。
【0037】
トレッドバンド10は、895mmに等しい全幅Wにわたって延びている。このトレッドバンドは、主として周方向に延びる2本の周方向溝3及び周方向溝内に開口した複数本の横方向溝を備えている。トレッドバンドの全厚は、98mmである。
【0038】
横方向溝は、12mmの同一平均幅を有すると共に75mmの平均深さPを有している(この平均深さは、トレッドバンドの中央部のこれら溝の内側の端と外側の端との間の実質的に中間で測定されている)。これら周方向溝は、横方向溝の平均幅よりも短い平均幅及び平均深さPに実質的に等しい深さを有している。
【0039】
このタイヤのクラウン補強材は、数枚のプライのスタックを有し、たが掛けプライと呼ばれているこれらプライのうちの2枚は、周方向に対して僅かな角度(僅かなとは、本明細書では、10°未満であることを意味している)をなす補強要素で補強されている。これらたが掛けプライは、周方向溝を互いに隔てる最小距離に少なくとも等しい全幅を占めている。これらたが掛けプライの半径方向外側には実働プライ及び保護プライが存在する。
【0040】
図4に示されているタイヤのトレッドバンドは、4つの別々の材料で形成されている。
【0041】
第1の材料M1が70mm、即ち、この場合、ここでは98mmに等しい溝の深さの76.5%に等しい厚さP1にわたりトレッドバンドの中央部全体を通じて軸方向に位置している。中央部は、赤道面の各側に対称に且つ580mm、即ち、この場合895mmに等しいトレッドバンドの全幅Wの約65%の全幅にわたって延びている。
【0042】
第2の材料M2が65mm、即ち、溝の深さPの66%に等しい厚さP2にわたって縁部に位置している。この特定の場合、第2の材料M2と第1の材料M1との間の接触面は、周方向溝3の軸方向外側に位置している。
【0043】
第3の材料M3が中央領域と縁領域の組み合わせの半径方向内側に位置し、この第3の材料は、溝の深さPと中央領域の材料P1の厚さの差に少なくとも等しい厚さにわたって延びている。この特定の場合、この第3の材料の厚さは、トレッドバンドの幅方向に変化しており、17mm(中央領域)から32mm(縁領域)までの範囲にわたる。
【0044】
第4の材料M4がトレッドバンドの全幅Wにわたり、即ち、中央部及び縁部の下で第3の材料M3の半径方向内側に位置している。この第4の材料の厚さは、トレッドバンドの幅方向に変化しており、したがって、子午線平面に対して対称に変化しており、この厚さの範囲は、19mm〜27mmである。
【0045】
トレッドバンドの構成材料であるこれら4つの材料は又、次の性質を有するよう選択されており、即ち、
‐第1の材料M1は、ヒステリシスロスtan(δ)maxが、0.19に等しく、23℃において10%伸び率における割線弾性モジュラスが4.3MPaである。 ‐第2の材料M2は、ヒステリシスロスtan(δ)maxが、0.16に等しく、23℃での10%伸び率における割線弾性モジュラスが3.7MPaである。
‐第3の材料M3は、ヒステリシスロスtan(δ)maxが、0.11に等しい。
‐第4の材料M4は、ヒステリシスロスtan(δ)maxが、0.07に等しく、23℃での10%伸び率における割線弾性モジュラスが4.0MPaに等しい。
【0046】
さらに、第1の材料M1は、ゴム状材料の耐摩耗性が空間の温度で圧力、スリップ率及び滑り長さについて課される条件を受ける試験体を用いた侵食用機械で実施される試験を利用して定められることを思い起こして、第2及び第3の材料の耐摩耗性よりも20%良好な耐摩耗性を有する。単位滑り長さ当たりの試験体の高さの減少及び全重量損失が測定される。
【0047】
この構造により、走行条件下における攻撃からのトレッドバンドの中央部の保護具合の向上を得ることができる。
【0048】
図示の変形形態に対応した好ましい実施形態では、トレッドバンドを形成する第1の材料の幅は、少なくとも、たが掛けプライのうちの最も大きなものの幅に等しい。
【0049】
本発明は、図示すると共に上述した実施例には限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく、これら実施例の種々の改造例を想到できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量物を運搬する車両に取り付けられるようになったタイヤであって、前記タイヤは、ビード内に繋留されるカーカス補強材を有し、前記カーカス補強材は、半径方向外側がクラウン補強材(200)で覆われ、前記クラウン補強材は、それ自体、半径方向外側が、路面との接触をもたらすようになったトレッドバンド(10)で覆われており、前記トレッドバンドは、該トレッドバンドを幅が実質的に同一の2つの半部に分割する子午線平面XX′の各側に全体として横方向の向きの複数本の溝(2)を備え、前記横方向溝は、2つの端を有し、外側の第1の端(21)は、前記トレッドバンドの外側に開口し、内側の第2の端(22)は、前記トレッドバンドの内側に位置し、前記内側の端(22)は、前記子午線平面からゼロではない距離を置いたところに位置し、前記横方向溝(2)は、平均深さPを有し、前記トレッドバンドは、前記子午線平面の各側に位置した前記横方向溝の前記内側の端相互間で軸方向に延びる中間部及び前記中間部の軸方向外側に位置した縁部に軸方向に分けられ、前記中間部は、前記トレッドバンドの全幅Wの少なくとも20%に等しく且つこの全幅Wのせいぜい80%に等しい幅Lcを有する、タイヤにおいて、
前記トレッドバンドは、次の種々の特定の性質、即ち、
‐第1の材料M1が前記中間部の幅Lcの少なくとも80%に等しく且つ前記トレッドバンドの全幅Wのせいぜい80%に等しい全幅及び前記横方向溝の平均深さPの少なくとも20%に等しく且つせいぜい80%に等しい平均深さP1にわたって前記子午線平面の各側に位置し、平均幅P1は、前記子午線平面上で測定されるという性質、
‐第2の材料M2が深さP1に等しい又は実質的に等しい深さP2にわたって前記中間部の軸方向外側に位置しているという性質、及び
‐第3の材料M3が前記中間部と前記縁部の組み合わせの半径方向内側に位置し、前記第3の材料は、前記横方向溝の平均深さPと前記第1の材料の厚さP1の差に少なくとも等しい深さにわたって延びているという性質を備えた少なくとも3つのゴム材料で形成されており、
前記3つのトレッドバンド材料は、次の性質、即ち、
‐前記第1の材料M1は、23℃の温度で測定された10%伸び率における割線モジュラスが少なくとも4.0MPaに等しく、ヒステリシスロスの値tan(δ)maxが0.19を超えるという性質、
‐前記第2の材料M2は、23℃で測定された10%伸び率における割線モジュラスが前記第1の材料の割線モジュラスよりも低く、ヒステリシスロス値tan(δ)maxが前記第1の材料のヒステリシスロス値tan(δ)maxよりも低く且つ少なくとも0.15に等しいという性質、
‐前記第3の材料M3は、ヒステリシスロス値tan(δ)maxが、0.12よりも低いという性質、及び
‐さらに、前記第1の材料M1は、前記第2の材料及び前記第3の材料の耐摩耗性よりも少なくとも15%良好な耐摩耗性を有し、前記第2及び前記第3の材料は、実質的に等しい耐摩耗性を有するという性質を有するものとして定められている、タイヤ。
【請求項2】
前記第1の材料と前記第2の材料との接合部のところの表面は、回転軸線を含む断面平面で見て、半径方向に対して傾斜しているプロット(12)を有し、前記プロット上の前記第1の材料の半径方向最も内側の箇所は、前記第1の材料の半径方向最も外側の箇所の軸方向外側に位置している、請求項1記載のタイヤ。
【請求項3】
前記トレッドバンドは、前記第3の材料の半径方向内側に位置した第4の材料M4を有し、前記第4の材料M4は、次の性質、即ち、
‐23℃の温度での10%伸び率における割線伸びモジュラスが4.0MPaであるという性質、及び
‐ヒステリシスロスの値tan(δ)maxが、0.11よりも低いという性質を有する、請求項1又は2記載のタイヤ。
【請求項4】
前記第3の材料M3は、その平均厚さの約20%に相当する追加の厚みを有し、この追加の厚みは、前記トレッドバンドの全幅Wの少なくとも5%の幅を有すると共に前記子午線平面から前記トレッドバンドの全幅Wの10%を超える距離を置いたところに位置する、請求項1〜3のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記トレッドバンド上のトレッドパターンは、全体として周方向の向きの2本の溝(3)を更に備え、前記2本の周方向溝(3)は、前記横方向溝(2)が前記周方向溝(3)内に開口するよう前記トレッドバンドの中央部の末端のところに軸方向に位置し、前記第1の材料M1の幅L1は、前記中間部の幅Lcに少なくとも等しく、前記第1の材料及び前記第2の材料は、相互接触面を有し、前記接触面は、前記周方向溝に対して軸方向外側に位置している、請求項1〜4のうちいずれか一に記載のタイヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−512142(P2013−512142A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540343(P2012−540343)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066115
【国際公開番号】WO2011/064056
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(512068547)コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン (169)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)