説明

重金属汚染液分離抽出システム

【課題】重金属汚染液分離抽出システムを提供する。
【解決手段】主に油液抽出加圧装置を利用し、高圧気体により抽出油液を加圧し、これにより抽出された油液は過飽和の空気を含む。続いて、該過飽和空気を含む抽出油液を気動撹拌反応及び分離装置に噴入し、油液抽出中に過飽和空気は瞬間的に溶出し、抽出油液を含むミクロレベルサイズの気泡を大量に発生し、これにより該気動撹拌反応及び分離装置中に含まれる重金属汚染液と抽出油液を含むミクロレベルサイズ気泡を反応させ、同時に、該気動撹拌反応及び分離装置と相接する供気装置は気体を該気動撹拌反応及び分離装置に提供する。こうして該重金属汚染液は撹拌され、最後に、該気動撹拌反応及び分離装置と相接する汲出装置は該重金属汚染液反応分離後に得られた水を汲み出し、これにより重金属と水とを迅速に分離し、重金属汚染を除去する目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種の重金属汚染液分離抽出システムに関する。特に一種の過飽和空気を含む抽出油液を気動撹拌反応及び分離装置に噴入することで、該気動撹拌反応及び分離装置中に含まれる重金属汚染液と抽出油液を含むミクロレベルサイズの大量の気泡を反応する重金属汚染液分離抽出システムに係る。
【背景技術】
【0002】
工業の発展に従い、化学技術を用いた各種物品の製造法は広く応用されている。しかし、化学工業はしばしば環境に有害な物質を発生する。内、最も重大な問題は重金属による汚染である。重金属有害物質が水中に流入すれば、生態及び人類の健康に対して極めて重大な危害を及ぼす。
【0003】
公知の重金属汚染液を分離抽出する方法には、反応システム中において液態薄膜を利用し、抽出(Extraction)と除去(Stripping)作用を結合した技術がある。この技術は抽出液を多孔薄膜の孔隙内に保存し、液態膜(liquid membrane)を形成し、この液態膜は進料フェーズ(廃水)を相互に間隔を開けて除去し、この液態膜を利用し、重金属を含む進料フェーズ中から重金属イオンを抽出し、除去フェーズにより重金属を濃縮分離するものである。用いる薄膜の差異により、液態薄膜法は平板式液態薄膜法(flat sheet supported liquid membrane; FSSLM)と中空繊維液態薄膜法(hollow fiber supported liquid membrane; HFSLM)に分類される。
【0004】
該平板式液態薄膜法は抽出と除去の作用を生じる場所間に薄膜があるため、作用を発生可能な表面積と体積の比率があまりに低い。このため、平板式液態薄膜プロセスの金属除去効率も極めて低い。作用表面積と体積の比率を拡大するため、別に抽出液を中空繊維膜に保存し反応の表面積を増加する方法があるが、この中空繊維液態薄膜法でも、向上可能な効率には限界がある。
【0005】
前記の液態薄膜法は、液態膜を利用し抽出と除去プロセスを隔て、一個のプロセス中において抽出及び除去反応を同時に完成するものである。そのため該重金属除去速度は非常に緩慢であるが、その原因は金属-キレート剤の複合物の抽出液中における伝送速度が緩慢に過ぎることにある。このため、別に気助抽出法が開発された。それでは、空気が溶剤フェーズ(油フェーズ)を通過することにより、微小孔径の流水口(orifice)から油膜を含む気泡を噴出し、続いて気泡は廃水中で浮き上がり、重金属と一緒に抽出され取り除かれる。このように該気助抽出法は抽出反応だけを持ち、しかも未使用の抽出液(fresh solvent)を絶えず供給するため、重金属の抽出液中での伝送速度の重金属除去速度に対する影響は低く、重金属の除去速度を大幅に加速することができる。しかし、気助プロセスの金属モル通量は非常に大きいが、その抽出速度は油膜気泡の発生速度に制限され、また空気流量の大きさに制限されるため、もし高速の空気流量において大量に溶剤を押し出すなら、油膜気泡を発生させることはできないため、この方法の重金属除去速度にも一定の制限が生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記公知装置の欠点と理想への未達成に鑑み、本発明人は当業界における多年にわたる従事経験、絶えず向上を目指す精神を以って、たゆまぬ研究改良と発明の理念を堅持し、重金属汚染液分離抽出システムを提供するものである。
【0007】
油液抽出加圧装置を利用し、高圧気体を加圧することで、過飽和の空気を含む油液を抽出し、続いて過飽和空気を含む抽出油液を気動撹拌反応及び分離装置に噴入し、油液抽出中に過飽和空気は瞬間的に溶出し、抽出油液を含むミクロレベルサイズの気泡を大量に発生し、こうして該気動撹拌反応及び分離装置中に含まれる重金属汚染液と抽出油液を含むミクロレベルサイズの大量の気泡は反応し、重金属と水を迅速に分離し、重金属汚染を除去する目的を達成することが本発明が解決しようとする課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は下記の重金属汚染液分離抽出システムを提供する。
それは主に油液抽出加圧装置を利用し、高圧気体により抽出油液を加圧し、これにより抽出された油液は過飽和の空気を含み、
続いて過飽和空気を含む抽出油液を気動撹拌反応及び分離装置に噴入し、油液抽出中に過飽和空気は瞬間的に溶出し、抽出油液を含むミクロレベルサイズの気泡を大量に発生し、
こうして該気動撹拌反応及び分離装置中に含まれる重金属汚染液と抽出油液を含むミクロレベルサイズの大量の気泡は反応し、重金属と水は迅速に分離され、重金属汚染を除去する目的を達成し、
すなわちそれは重金属汚染液分離抽出システムを提供し、気動撹拌反応及び分離装置は内部に該重金属汚染液を含み、供気装置は該気動撹拌反応及び分離装置と相接し、これにより気体を該気動撹拌反応及び分離装置に提供し、こうして該重金属汚染液は撹拌され、汲出装置は該気動撹拌反応及び分離装置と相接し、該重金属汚染液反応分離後に得られる水を汲出し、油液抽出加圧装置は高圧気体加圧を利用し、該抽出油液は過飽和空気を含み、続いて過飽和空気を含む該油液抽出を該気動撹拌反応及び分離装置に噴入し、これにより該油液抽出中に過飽和の空気は瞬間的に溶出し、こうして該抽出油液を含むミクロレベルサイズの気泡を大量に発生し、該気動撹拌反応及び分離装置中に含まれる該重金属汚染液と該抽出油液を含む大量のミクロレベルサイズ気泡は反応し、
これにより油液抽出加圧装置を利用し、高圧気体により加圧し、これにより抽出された油液は過飽和の空気を含み、続いて過飽和空気を含む抽出油液を気動撹拌反応及び分離装置に噴入し、油液抽出中に過飽和空気は瞬間的に溶出し、抽出油液を含むミクロレベルサイズの気泡を大量に発生し、こうして該気動撹拌反応及び分離装置中に含まれる重金属汚染液と抽出油液を含むミクロレベルサイズの大量の気泡は反応し、重金属と水は迅速に分離され、重金属汚染を除去する目的を達成する重金属汚染液分離抽出システムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
上記のように、本発明は重金属汚染液分離抽出システムを提供し、油液抽出加圧装置を利用し、高圧気体により加圧し、これにより抽出された油液は過飽和の空気を含み、続いて過飽和空気を含む抽出油液を気動撹拌反応及び分離装置に噴入し、油液抽出中に過飽和空気は瞬間的に溶出し、抽出油液を含むミクロレベルサイズの気泡を大量に発生する。こうして該気動撹拌反応及び分離装置中に含まれる重金属汚染液と抽出油液を含むミクロレベルサイズの大量の気泡は反応し、重金属と水は迅速に分離され、重金属汚染を除去する目的を達成する。このように本発明は新規性と進歩性を備え、市場では産上の利用性を備えるため、実用新案の要件を満たしている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の前記の及び他の技術内容、特徴と機能について、以下に図を用い、最適実施例について詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明の重金属汚染液分離抽出システムの最適具体実施例図である。図1に示すように、本発明の重金属汚染液分離抽出システム1は気動撹拌反応及び分離装置2、供気装置4、汲出装置6、油液抽出加圧装置7を含む。
【0012】
該気動撹拌反応及び分離装置2内には重金属汚染液3(カドミウム或いはクロムを含む廃水など。但し、これに限定しない。)を含む。
【0013】
該供気装置4と該気動撹拌反応及び分離装置2の下端は相接し、気体5(空気など。但し、これに限定しない。)を該気動撹拌反応及び分離装置2に提供し、これにより該重金属汚染液3は撹拌される。
【0014】
該汲出装置6と該気動撹拌反応及び分離装置2の底部は相接し、該重金属汚染液3反応分離後に得られた水を汲み出す。
【0015】
該油液抽出加圧装置7と該気動撹拌反応及び分離装置2の下端は相接し、高圧気体8(空気など。但し、これに限定しない。)を利用し、抽出された油液9を該気動撹拌反応及び分離装置2の軸心位置に噴入する。これにより該重金属汚染液3と該抽出された油液9は反応する。
【0016】
該高圧気体8の圧力は1から5 barsで、クロムを除去する場合には、該抽出された油液9は金属キレート剤(Aliquent 336など。但し、これに限定しない。)及びケロシンにより構成し、その構成比は5:1から1:10である。
【0017】
カドミウムを除去する場合には、該抽出された油液9は単一の金属キレート剤(D2EHPAなど。但し、これに限定しない。)により構成する。
【0018】
上記のケロシンはAliquent 336を溶解させ、水溶液と溶解し合わない金属キレート剤を含む溶剤を発生する。該抽出された油液9の比重は水より低く、しかも高圧状態の該抽出された油液9は該気動撹拌反応及び分離装置2に進入後、圧力が下がるため、微小の油膜気泡11を大量に発生し浮き上がり、これにより重金属を收集する。該油液抽出加圧装置7は放圧弁10を備え、これにより該油液抽出加圧装置7は放圧し、該抽出された油液9が放圧時に噴出しないようにする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の重金属汚染液分離抽出システムの最適具体的実施例図である。
【符号の説明】
【0020】
1 重金属汚染液分離抽出システム
2 気動撹拌反応及び分離装置
3 重金属汚染液
4 供気装置
5 気体
6 汲出装置
7 油液抽出加圧装置
8 高圧気体
9 抽出された油液
10 放圧弁
11油膜気泡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主に気動撹拌反応及び分離装置、供気装置、汲出装置、油液抽出加圧装置を含み、
該気動撹拌反応及び分離装置は内部に該重金属汚染液を含み、
該供気装置は該気動撹拌反応及び分離装置と相接し、これにより気体を該気動撹拌反応及び分離装置に提供し、こうして該重金属汚染液は撹拌され、
該汲出装置は該気動撹拌反応及び分離装置と相接し、該重金属汚染液反応分離後に得られる水を汲出し、
該油液抽出加圧装置は高圧気体加圧を利用し、該抽出油液は過飽和空気を含み、続いて該過飽和の空気を含む該油液抽出を該気動撹拌反応及び分離装置に噴入し、これにより該油液抽出中に過飽和の空気は瞬間的に溶出し、こうして該抽出油液を含むミクロレベルサイズの気泡を大量に発生し、
該気動撹拌反応及び分離装置中に含まれる該重金属汚染液と該抽出油液を含む大量のミクロレベルサイズ気泡は反応することを特徴とする重金属汚染液分離抽出システム。
【請求項2】
前記重金属汚染液はクロムを含む廃水であることを特徴とする請求項1に記載の重金属汚染液分離抽出システム。
【請求項3】
前記重金属汚染液はカドミウムを含む廃水であることを特徴とする請求項1に記載の重金属汚染液分離抽出システム。
【請求項4】
前記気体は空気であることを特徴とする請求項1に記載の重金属汚染液分離抽出システム。
【請求項5】
前記高圧気体は空気であることを特徴とする請求項1に記載の重金属汚染液分離抽出システム。
【請求項6】
前記油液抽出は金属キレート剤及びケロシンにより構成することを特徴とする請求項2に記載の重金属汚染液分離抽出システム。
【請求項7】
前記油液抽出は金属キレート剤により構成することを特徴とする請求項3に記載の重金属汚染液分離抽出システム。
【請求項8】
前記金属キレート剤はAliquent 336であることを特徴とする請求項6に記載の重金属汚染液分離抽出システム。
【請求項9】
前記金属キレート剤はD2EHPAであることを特徴とする請求項7に記載の重金属汚染液分離抽出システム。
【請求項10】
前記金属キレート剤及び該ケロシンの構成比は5:1から1:10であることを特徴とする請求項6に記載の重金属汚染液分離抽出システム。
【請求項11】
前記油液抽出加圧装置と該気動撹拌反応及び分離装置の下端は相接し、該油液抽出を該気動撹拌反応及び分離装置の軸心位置に噴入することを特徴とする請求項1に記載の重金属汚染液分離抽出システム。
【請求項12】
前記供気装置と該気動撹拌反応及び分離装置の下端は相接することを特徴とする請求項1に記載の重金属汚染液分離抽出システム。
【請求項13】
前記汲出装置と該気動撹拌反応及び分離装置の底部は相接することを特徴とする請求項1に記載の重金属汚染液分離抽出システム。
【請求項14】
前記油液抽出加圧装置は放圧弁を備え、これにより該油液抽出加圧装置は放圧が可能で、該油液抽出の放圧時における噴出を防止することを特徴とする請求項1に記載の重金属汚染液分離抽出システム。
【請求項15】
前記高圧気体の圧力は1から5 barsであることを特徴とする請求項1に記載の重金属汚染液分離抽出システム。

【図1】
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【公開番号】特開2008−259963(P2008−259963A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−104722(P2007−104722)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(507121448)淡江大學 (1)
【Fターム(参考)】