説明

重金属除去用還元型硫化銅収着剤

合計で0.1%以下の水銀、ヒ素、鉛、カドミウム、及びアンチモンから選ばれた重金属を含み、硫黄の銅に対する比が0.6:1以下である1種以上の還元型硫化銅の形態の4〜75重量%の銅を含有する成形単位の形態の収着剤であって、水素又は一酸化炭素等の還元剤を含む流体流から水銀等の重金属を除去するのに適した収着剤が記述される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、水素及び/又は一酸化炭素等の還元剤を含む流体流から水銀等の重金属を除去するのに好適な銅収着剤に関する。
重金属は、工業プロセスによって使用あるいは調製される多くの還元剤含有流体、特に、石炭、原油及びある種の天然ガス資源に由来する還元剤含有流体に見つかることがある。それらを除去することは、これらの流体を安全で環境上適切に処理するために重要である。例えば、合成ガスからの、特に石炭ガス化複合発電(IGCC)プロセス等の石炭のガス化プロセスに由来する水素及び炭素酸化物含有ガスからの、水銀、ヒ素、セレン、カドミウム等の重金属の放出が大きな環境問題となっている。元素形態、あるいは第二水銀(即ち、Hg2+)化合物のいずれかで存在する水銀を除去する従来型の方法としては、ガス化プロセスにより生成する灰の中での捕捉、あるいは、ガス流を冷却して精製するために用いる水洗段階での添加剤の使用による捕捉が挙げられる。別の方法として、水銀は低温で炭素収着剤を用いて捕捉できる。このような収着剤は有効性に限界があり、プロセス移動中に水銀を放出する可能性がある。
【0002】
これらの流体中の水素又はその他の還元剤の存在により、状況は更に複雑である。重金属を除去することが望ましい条件のもとでは、従来の硫化金属収着剤は不安定となる可能性がある。例えば、硫化銅(II)は、特に150℃を超える温度では、水素含有流の中で還元される。その反応は以下のように表わされる;
2CuS+H→CuS+H
この還元プロセスは、これが使用中に起こる場合は好ましくない副反応である、というのも、プロセスにより収着剤の安定性を損ない、床から硫黄含有ガスが放出されるからである。更に、既に収着剤に捕捉されているHgが不安定になり収着剤の有効性が抑制される。
【0003】
米国特許出願公開2008/0184884には、水素及び/又は一酸化炭素、並びに硫化水素及び/又は硫化カルボニルの少なくとも1つを含有する還元性ガス流を分散銅含有収着剤に25〜300℃の範囲の温度で接触させることによって水銀を除去するプロセスが開示されている。形成された硫化銅(II)収着剤は、還元性ガス流に存在する遊離硫黄化合物の存在下、定常状態の条件では効果的なようだが、一方で、様々なプロセスの条件では、捕捉した水銀を放出する可能性があるようにも見える。この著者らは、還元性ガス流から水銀を除く彼らのプロセスでは還元性硫化銅(I)(CuS)は生成しないことを示唆している。
【0004】
石炭燃焼及び水素含有流を生成するその他のプロセスによってガス組成が変化しやすいことを考慮すると、水素含有流体から水銀を回収するための従来技術の二価銅収着剤よりも、もっと安定な高容量収着剤を提供する必要がある。
【0005】
驚いたことに、上記の米国特許出願公開2008/0184884の開示に反し、発明者らは、還元型硫化銅、即ち銅の少なくとも一部が一価である硫化銅が優れた水銀捕捉材料であり、水素の存在する高温でも安定であることを見出した。
【0006】
従って、本発明は、0.1重量%以下の重金属と、硫黄と銅の原子比が0.6:1以下である1種以上の還元型硫化銅の形態での4〜75%重量の銅とを含有する成形単位の形態の収着剤であって、水素及び/又は一酸化炭素等の還元剤を含む流体流から水銀等の重金属を除去するのに適した収着剤を提供する。
【0007】
本発明の収着剤は、二価の銅化合物を含む材料を、硫黄化合物を含む還元性ガス流に単にさらすだけでは、あるいは銅を金属まで還元し、次いで金属含有材料を硫化するだけでは形成することはできない。金属銅まで還元が起こると、硫化と同時に2価のCuSが生成してしまうからである。一方、銅化合物を硫化し、次いで硫化した材料を還元して収着剤を有効にすることが必要である。このようにして、基本的にはすべての銅を還元の前に硫化することができ、その結果、従来技術のプロセスの問題を避けることができる。
【0008】
従って、さらに本発明は、0.1重量%以下の重金属と、硫黄と銅の原子比が0.6:1以下である1種以上の還元型硫化銅の形態での4〜75%重量の銅とを含有する、形単位の形態をした収着剤の製造方法であって、
(i)硫化銅前駆体化合物とバインダー及び/又は担体材料を含む収着剤前駆体を、硫化水素を含むガス混合物で硫化し、硫化した銅材料を形成する工程と、
(ii)硫化した銅材料をより低い酸化状態に還元して収着剤を形成する工程を含み、収着剤前駆体又は収着剤が成形されている、収着剤の製造方法を提供する。
【0009】
さらに本発明は、ガス流を収着剤と接触させることにより、水素及び/又は一酸化炭素等の還元剤を含有する流体から重金属を除去するための方法を提供する。
用語「収着剤」は、ここでは吸着剤と吸収剤とを含む。
【0010】
ここで用いる用語「重金属」は、水銀、ヒ素、鉛、カドミウム及びアンチモンを意味する、しかし、本発明の収着剤は、流体流から水銀、ヒ素、カドミウム、とりわけ水銀を除去するのに特に有用である。
【0011】
用語「還元型硫化銅」は、一価の銅を含有する硫化銅を意味する。米国特許出願公開2008/0184884に使用されている二価の銅収着剤と異なり、本発明の収着剤材料は一価の銅を含有する1種以上の化合物を含む。
【0012】
硫化銅水銀収着剤の一般的に認められている機構では、「活性な成分」として二価の硫化銅(硫黄と銅の原子比は1:1)が必要であり、副産物として「不活性な一価の」硫化銅が生成するとしている事実を考慮すると、本発明の還元型硫化銅収着剤の効果は驚きである。米国特許出願公開2008/0184884にも記載されている機構を以下に示す。
2CuS+Hg→Cu2S+HgS
一般に水銀や他の重金属を1〜20重量%の範囲で含有する使用後の、即ち「使用済み」二価銅系収着剤においては、多くの場合、一価の銅含有量は存在する銅の50原子%未満である。このような材料は還元性の流れの中では、主成分である二価の銅が還元されるという不安定性が原因で変質する。本発明の収着剤の一価銅含量は、存在する銅の好ましくは75原子%以上、更に好ましくは85原子%以上である。実質的にすべての銅は、1種以上の還元型硫化銅の形態であることが好ましい。
【0013】
従って、本発明は、水素及び/一酸化炭素等の還元剤を含む流体流から水銀等の重金属を除去するのに好適な、銅を4〜75重量%含有する成形単位の形態をした収着剤を含み、実質的にすべての銅は、硫黄の銅に対する原子比が0.6:1以下である1種以上の還元型硫化銅の形態をしている。
【0014】
理論に束縛されるものではないが、これらの材料は、発明者らが、活性で安定であると確認した一価の形態の硫化銅を提供する。さらに、使用前の収着剤は重金属にさらされておらず、また、銅及びその他の原料は痕跡量の不純物以外には重金属を含有していないので、本発明の一価の銅を含有する収着剤は、水銀、ヒ素、鉛、カドミウム及びアンチモンから選ばれる重金属の全量が0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下、より好ましくは0.01%以下、即ち、実質的に水銀、ヒ素、鉛、カドミウム及びアンチモンを含有しないのがよい。
【0015】
本発明の収着剤において、全銅含量(酸化銅(II)として表す)は、4〜75重量%、好ましくは、12〜47重量%、更に好ましくは、20〜40重量%の範囲にある。
還元型硫化銅は、硫黄と銅の原子比が0.6:1以下の任意のものでよく、好ましくは、0.5:1〜0.6:1の範囲である。還元型硫化銅の存在は、X線回折法(XRD)を用いて容易に確認できる。本発明の収着剤に存在する可能性のある既知の還元型硫化銅は、以下の通りである。
【0016】
【表1】

【0017】
収着剤中の硫黄と銅の比率は、還元型硫化銅の存在を表すために用いることができる。硫黄と銅の比率は、周知の方法を用いて容易に決定できる。例えば、固体の硫黄含量は、試料を1300℃で燃焼し、続いて、発生したSOの量をIR分析で定量することによって求められる。固体の銅含量は、適当な酸に温浸後、誘導結合プラズマ(ICP)原子発光分光法による定量によって求められる。
【0018】
上記で確認された1種以上の還元型硫化銅は、収着剤中に存在する可能性がある。本発明者らは、本発明の調製方法が、収着剤自身のS:Cu比が0.6:1以下、好ましくは0.5:1〜0.6:1となるように、実質的にすべての銅が硫化されており1種以上の還元型硫化銅の形態の収着剤を提供することを見出した。還元型硫化銅とは異なる硫化第二銅(CuS)も存在する可能性あるが、還元性流中で使用されると不安定になる。従って、XRD分析でCuSの回折パターンの存在が示されないことが好ましい。本発明者らは、硫化銅がCu及び/又はCuSからなる収着剤は特に水銀の収着に有効であることを見出した。
【0019】
成形品では、収着剤は、望ましくは還元型硫化銅に加えて、担体及び/又はバインダーを含む。このように、本発明は、還元型硫化銅と担体及び/又はバインダーから成る収着剤を包含する。
【0020】
従って、一態様において、収着剤は、成形担体に担持された還元型硫化銅を含む。成形担体は、モノリス又は発泡体を含んでもよいが、好ましくは、アルミナ、チタニア、ジルコニア、アルミノケイ酸塩、金属アルミン酸塩、水和金属酸化物、混合金属酸化物、セメント、ゼオライト、又はセラミック材料等の好適な担体材料から調製されたペレット、押出物、あるいは顆粒である。好適な金属酸化物又は混合金属酸化物のウォッシュコートを塗布された金属担体も使用できる。温度安定性の高い耐火性酸化物は、厳しい工程に用いる収着剤の調製には特に役に立つ可能性がある。収着剤前駆体は、既知の方法を用いて、成形担体を銅塩(例えば、硝酸銅、酢酸銅、あるいはシュウ酸銅)等の銅化合物の適切な溶液に含浸することで作製することができる。含浸された担体を乾燥し還元して、銅化合物が容易に硫化する場合には硫化してもよく、あるいは、乾燥した材料を所望により焼成して銅化合物を酸化銅(II)に変換し、次に焼成した材料を硫化し、還元して収着剤を得てもよい。
【0021】
別の態様において、収着剤はバインダーを用いて成形され、硫化され、そして還元された1種以上の粉末の硫化銅含有材料を含有する。従って、その成形収着剤は、1種以上の還元型硫化銅及びバインダーを含む。成形要素の作製に用いることのできるバインダーとしては、ミヌゲル(Minugel)及びアタパルジャイト・クレイ、セメント、特に、シメントフォンデュ等のアルミン酸カルシウムセメント、セルロースバインダー等の有機高分子バインダー、又は、それらの混合物が挙げられる。特に、バインダーが、アルミン酸カルシウム等のセメントとアタパルジャイト・クレイ等のアスペクト比が2を超えるアルミノケイ酸塩クレイの組み合わせである場合、強固な成形単位が形成される。そのような材料では、セメントとクレイバインダーの相対量は、1:1〜3:1(前者対後者のバインダー)の範囲にすることができる。バインダーの全量は、1〜20重量%の範囲で、好ましくは、1〜10重量%の範囲(硫化組成物に基づく)にすることができる。
【0022】
好ましい一態様において、収着剤は、粉末状の担体材料と混合し、バインダーを用いて成形され、次いで乾燥、硫化され、還元された1種以上の粉末状の銅含有材料を含む。従って、この成形収着剤は、1種以上の還元型硫化銅、担体材料、及びバインダーを含む。担体は、収着剤の調製に使用するために好適な任意の不活性な担体材料でよい。このような担体材料は公知であり、アルミナ、金属アルミン酸塩、シリカ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、アルミノケイ酸塩、ゼオライト、金属炭酸塩、炭素、又はそれらの混合物が挙げられる。担体材料は、望ましくはアルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ及びアルミノケイ酸塩などの酸化物材料である。ベーマイトやアルミナ三水和物等の水和酸化物もまた用いることができる。好ましい担体は、水和アルミナ、又はγ−、θ−、及びδ−アルミナ等の遷移アルミナである。担体は、25〜90重量%、好ましくは、70〜80重量%(硫化組成物に基づく)の量で存在する。
【0023】
その他の成分もまた、収着剤の物理的特性を高めるために収着剤中に存在してもよい。他のこのような添加剤としては、製造時に硫化する可能性がある酸化亜鉛、炭酸亜鉛、水酸化炭酸亜鉛等の亜鉛化合物、あるいは他の遷移金属化合物が挙げられる。このような添加剤の量は、最大30重量%(硫化組成物に基づく)までにできる。しかしながら、高耐水性収着剤が要求される場合、収着剤の硫化亜鉛含量は、好ましくは、5重量%以下、より好ましくは、1重量%以下、最も好ましくは、0.5重量%以下、特に好ましいのは、0.1重量%以下(硫化組成物に基づく)である。
【0024】
担体及び硫化銅前駆体化合物の粒子径は、従来技術の二価の銅収着剤の調製に用いられる粒子径と同じでよい。収着剤は、モノリス、ハニカム、又は発泡体、あるいはペレット、押出物、もしくは顆粒等の成形単位等のいずれかの成形形態をしている。ペレット、押出物又は顆粒は、好ましくは、1〜15mmの範囲の最短寸法、1〜25mmの範囲の最長寸法、4以下のアスペクト比(最長寸法を最短寸法で割った値)を有する。1〜15mmの範囲の直径を有する球状の顆粒が好ましい。
【0025】
好ましい態様において、収着剤は、20〜40重量%の粒子状還元型硫化銅、30〜75重量%の粒子状担体材料、及び残りの1種以上のバインダーを、含む1〜15mmの顆粒の形態である。担体材料は、好ましくは、アルミナ、水和アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカやアルミノケイ酸塩、又はこれらの2種以上の混合物である。収着剤の全バインダー含量は、好ましくは、5〜50重量%の範囲で、もっと好ましくは10〜30%の範囲であり、好ましくは、アルミン酸カルシウムとアタパルジャイト・クレイの組み合わせから成る。
【0026】
本発明の収着剤を作製する方法は、(i)収着剤前駆体を、硫化水素を含む混合ガスで硫化させ硫化組成物を形成させる工程、及び、次に、(ii)この硫化組成物を還元し、銅が一価である還元型硫化銅収着体を提供する工程を含む。収着剤前駆体は、市販品を調達しても、所望の組成で作製してもよい。本発明の収着剤を作製する方法は、望ましくは、(i)銅塩、あるいは1種以上の銅の酸化物、水酸化物、炭酸塩、又は水酸化炭酸塩等の硫化銅前駆体化合物、担体及び/又はバインダーを含む収着剤前駆体を作製する工程、(ii)収着剤前駆体を、硫化水素を含む混合ガスで硫化し、硫化組成物を形成させる工程、及び、(iii)硫化組成物を還元し、銅が一価である還元型硫化銅を提供する工程を含む。担体、収着剤前駆体、又は収着剤自身を成形してもよい。
【0027】
収着剤は、担体を用いず、即ち、硫化銅前駆体化合物及びバインダーの形成で調製可能であるが、一方で、収着性及び物理的特性を向上させるために担体は望ましく、従って、好ましい態様では、硫化銅前駆体化合物は担体に担持され、この担持された収着剤材料を引き続き硫化し、還元する。従って、上述の通り、収着剤前駆体は、粉末、モノリス、ハニカム、発泡体、又はペレット、押出物もしくは顆粒等の成形単位の形態でよい担体材料に硝酸塩、塩化物、酢酸塩、シュウ酸塩、又は硫酸塩、好ましくは硝酸塩等の可溶性銅塩の溶液を含浸し、続いて含浸させた担体を乾燥し、所望により焼成することにより作製できる。乾燥した銅塩を直接硫化することは可能であり、従って、焼成は必須ではない。このような方法は、最大約25重量%までの銅を含有する収着剤を調製するために有用である。工業規模で実用的であるためには、更に多い量を用いて、非常に多くの含浸及び乾燥の工程が必要である。別の方法として、収着剤前駆体は、銅の酸化物、水酸化物、炭酸塩、あるいは水酸化炭酸塩から選ばれる微粒子硫化銅前駆体化合物を担体材料及び1種以上のバインダーと単に混合することで作製できる。この方法は、最大で75重量%の銅を含有する収着剤を調製するために用いることができる。硫化銅前駆体化合物は、市販品を調達してもよく、あるいは、例えば、周知の方法を用いたアルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属水酸化物等のアルカリ性沈殿剤を使用した金属塩溶液からの沈殿によって生成させて、引き続き乾燥させ、所望により焼成してもよい。従って、一態様において、硫化銅前駆体化合物は、水酸化炭酸銅及び所望により水酸化炭酸亜鉛を含水アルミナ担体の存在下でアルカリ金属炭酸塩とアルカリ金属水酸化物の沈殿混合物を用い沈殿させ、引き続き、沈殿を洗浄し、乾燥する。
【0028】
担体が成形される場合は、収着剤前駆体及び収着剤は成形工程を必要としない。吸着剤前駆体が粉体の場合は、硫化及び還元前に成形し、必要に応じ乾燥するのが好ましい。あるいは、材料は、硫化後、還元前に成形してもよく、あるいは、硫化還元後の材料、即ち収着剤を成形してもよい。
【0029】
収着剤錠剤は、成形助剤としてグラファイトあるいはステアリン酸マグネシウム等の材料を一般に含有する粉末組成物を、慣用の打錠工程と同様の適切な大きさの金型内で金型成形することで形成できる。あるいは、収着剤は、適切な組成物と多くの場合、少量の水及び/又は上記の成形助剤をダイから押出し、ダイから出てくる材料を短い長さに切ることによって形成される押出しペレットの形態であってもよい。例えば、押出しペレットは、動物用飼料のペレット化に用いられるタイプのペレットミルを使用して作製でき、ここでは、ペレット化される混合物は穿孔を経て回転穿孔シリンダに仕込まれるが、混合物は棒やローラーによってシリンダ内に押し込まれ、得られた押出された混合物は、回転シリンダの表面から所望の長さの押出しペレットを提供するように位置するドクターナイフによって切断される。あるいは、収着剤は、粉体組成物を、スラリーを作るには不十分の少量の水と混合し、組成物をほぼ球形の凝集塊とするが、通常は一様でなく、顆粒状にすることで形成された凝集塊の形態である。成形方法が異なると、成形品の表面積、空隙率、及び細孔構造に影響し、結果として、多くの場合、収着特性や嵩密度に重要な影響を及ぼす。
【0030】
従って、成形錠剤の形態の収着剤床は、比較的広い吸収領域を示す可能性があり、一方、凝集塊の床は、もっと鋭利な吸収領域を有する可能性があり、これにより、理論吸収容量により近い評価ができる。一方で、凝集塊は、一般に錠剤組成物よりも低い嵩密度を有する。凝集塊の形態の成形単位を作製することが好ましく、従って、好ましい調製方法は、造粒機中で、硫化銅前駆体化合物の粒子、1種以上のバインダー、及び所望により担体材料を含む球形の収着剤前駆体の凝集塊を形成することを含む。
【0031】
収着剤前駆体は、水等の液体を用いて成形するが、成形前駆体単位は好ましくは硫化前に乾燥する。120℃までの乾燥温度を用いてもよい。
収着剤前駆体は、硫化水素を含む混合ガスを用いて硫化する。硫化水素含有混合ガスを用いる方が、硫黄や多硫化物等の硫黄化合物の溶液等の代替手段を用いるよりも相当容易で早い。混合ガスは、必要に応じて、硫化カルボニル又は揮発性メルカプタン等の他の硫黄化合物を含有してもよい。窒素、ヘリウム、又はアルゴン等の不活性ガスが存在してもよい。硫化ガス混合物には、水素及び一酸化炭素等の還元性ガスが存在しないのが好ましいが、硫化工程が150℃未満の温度、特に100℃未満の温度で実施される場合は、少量は存在してもよい。硫化水素は、好ましくは、ガス流中の体積で0.1〜5%の濃度で前駆体に供給される。1〜100℃、好ましくは5〜50℃の範囲の硫化温度を用いることができる。
【0032】
還元性ガス流は好ましくは水素を含む。純粋な水素を用いてもよく、あるいは水素含有窒素等の水素を含有する混合ガス、あるいは合成ガス(水素、一酸化炭素及び二酸化炭素の混合物)を用いてもよい。150〜350℃、好ましくは、200〜300℃、特には、200〜250℃の範囲の還元温度を用いてもよい。150℃未満でも還元は起こる可能性があるが、その還元速度は産業用途としては、あまりにも不十分過ぎる。還元は、別の場所(ex-situ)で収着剤上で行なわれてもよく、又は、その場で(in-situ)、即ち、硫化物質を、それを使用する容器に置き、CuSの還元を行い還元型硫化銅を生成するように還元ガス流を収着剤の上を通過させて行なわれてもよい。しかしながら、水素含有還元性ガスに曝される時に硫化物質からの硫化水素の放出がよりよく制御されるように、還元はex-situで行うのが好ましい。
【0033】
5〜50℃で硫化を行い、続いて200〜300℃で水素による還元を行う特別な組み合わせが、Cu及びCuSを含み、検出可能なCuSは含まない収着剤を製造するのに特に有用であることを見つけた。
【0034】
水素含有流から、重金属、特に水銀、ヒ素、セレン及びカドミウムの除去をするプロセスは、単に、適切な容器の中でその流体を還元型硫化銅収着剤と接触させるだけで、実施することができる。
【0035】
本発明は、水素及び/又は一酸化炭素等の1種以上の還元剤を含有する液体流体及びガス流体を処理するために使用できる。一態様において、流体は、溶解した水素及び/又は一酸化炭素を含有する液体炭化水素流である。このような液体は、0〜150℃、好ましくは10〜100℃の範囲の温度で、収着剤によって好ましくは処理される。別の実施態様では、流体は、水素及び/又は一酸化炭素を含むガス流、即ち、還元性ガス流である。このようなガスは、好ましくは0〜350℃の範囲の温度で収着剤によって処理される。
【0036】
収着剤により処理の影響を受けやすい流体としては、本質的に重金属及び硫黄化合物の両方を含有する流体、又は硫黄化合物が添加された重金属含有流を含有する流体も挙げることができる。しかしながら、流体中に硫黄化合物が存在することは、上記の米国特許出願公開2008/0184884とは異なり、本発明の収着剤の使用に対して本質的なことではない。
【0037】
好ましい態様において、本方法は、水素及び/又は一酸化炭素を含む還元ガス流から、重金属、特に水銀、ヒ素、セレン及びカドミウムを除去するために使用される。このような還元ガス流は、最高350℃、好ましくは345℃、もっと好ましくは340℃、最も好ましくは335℃、特に好ましくは330℃、更にとりわけ好ましくは325℃で、重金属の放出をせずに収着剤と接触させることができる。
【0038】
この方法から恩恵を得る可能性のあるガス流としては、従来の水蒸気改質プロセス及び/又は部分酸化プロセスの合成ガス流が挙げられるが、ガス洗浄及び熱回収(冷却)の工程の前又は後、並びにサワーシフト段階の前の、特に石炭ガス化装置(例えば、IGCCプロセスの一部として)からの合成ガス流が挙げられる。本発明から恩恵を得る可能性のある他の流れとしては、製油所のベント流、製油所のクラッカー流、高炉ガス、ガラス業界や鉄鋼焼き入れ工程で用いられる還元性ガス、エチレンの豊富な流れ、並びに、水素化脱硫又は水素化脱窒等の水素化処理から供給又は回収される液体及びガス状炭化水素流(例えば、ナフサ)が挙げられる。
【0039】
使用する場合、収着剤材料の成形単位を固定床の形態で収着容器に設置することができ、重金属を含有する流体流をそこに通す。周知の方法に従い、1種以上の固定床として容器内に収着剤を配置することも可能である。2種以上の床を使用することができ、床の組成は同じでも異なっていてもよく、例えば、現存の固定床硫黄除去技術等の他の収着剤技術を本発明と併用してもよい。収着剤を通るガスの時間当たりの空間速度は、通常の範囲内でよい。
【0040】
この発明は、更に以下の実施例を参照することで説明される。
実施例
実施例1 還元型硫化銅の調製
収着剤前駆体を、以下の組成を用いて造粒機で調製した;
25重量部のヒドロキシ炭酸銅
75重量部のアルミナ三水和物
CaO含量が約40重量パーセントのアルミン酸カルシウムセメント10重量部及びアタパルジャイト・クレイ4重量部を含む、14重量部のバインダー
前駆体顆粒を雰囲気温度(約20度)で2時間乾燥後、空気中105℃で16時間乾燥した。得られた顆粒の大きさは1mmから5mmの範囲であった。1%HSを含むN中に顆粒前駆体材料を約20℃で飽和して実験室中で硫化し、活性収着剤を生成した。還元前の硫化銅前駆体の銅含量は約30重量%(CuO換算)で、硫黄含量は約10重量%であった。硫化された材料は210℃で4時間、700hr−1のガス時空間速度(GHSV)で100%Hを用いて還元した。得られた生成物の性質は次の通りである。
【0041】
【表2】

【0042】
これらの結果から1種以上の還元型硫化銅が生成していることが分かった。
別の還元温度を用いて比較のための材料を調製した。未硫化前駆体を雰囲気温度(約20℃)で1%HSを含むN中で完全に硫化し、次いで210℃の代わりに100℃にして4時間100%H中で還元した。この場合、観察されたCu相は二価のCuSのみであった。CuS、Cu、Cu1.96Sはいずれも観測されなかった。さらに、硫化段階と還元段階を逆にして別の比較用材料を調製した。未硫化前駆体を100%H中で、210℃で4時間還元し、次いで1%HSを含むN中で、雰囲気温度(約20℃)で硫化した。XRD分析で観測されたCu相はCuOとCuOであった。次の還元流中に酸化銅が存在することで金属銅が生成し、望ましくない副反応をもたらし、排出の際に自己発熱が起こった。XRD分析ではCuS、CuS、それにCu相はどれも観測されなかった。ただし、燃焼及び赤外線分光法による硫黄分析では2.54重量%の硫黄が含まれていた。したがって、この調製法からは望ましい還元型硫化銅収着剤は製造されず、本発明の方法に匹敵する硫黄負荷量を有する生成物は得られなかった。
【0043】
実施例2
実施例1の方法を繰り返して、以下の組成を有する収着剤前駆体顆粒物を調製した;
Cu、Zn及びAl(CuO、ZnO、Alで表される)を重量比58:28:14で含む、ヒドロキシ炭酸銅、ヒドロキシ炭酸亜鉛及びアルミナの共沈殿物を乾燥したものを25部
アルミナ三水和物を75部
CaO含量が約40重量パーセントのアルミン酸カルシウムセメント10重量部及びアタパルジャイト・クレイ4部を含むバインダーを14部
前駆体顆粒を雰囲気温度(約20度)で2時間乾燥後、空気中105℃で16時間乾燥した。得られた顆粒の大きさは1mmから5mmの範囲であった。
【0044】
得られた顆粒を実施例1と同様に硫化し還元した。得られた収着剤は次の性質を有する。
【0045】
【表3】

【0046】
実施例3
2.5mmの三葉アルミナ押し出し成形担体に硝酸銅溶液を含浸し、12重量%の銅充填率が得られた。得られた収着剤前駆体を105℃で16時間乾燥した後、焼成なしに実施例1と同様に硫化し還元した。
【0047】
【表4】

【0048】
実施例4:試験
還元銅収着剤の水銀除去能力を液相試験で調査した。まず、溶解水素のない状態で25mlの試験材料を内径19mmのガラス反応器に充填し、次いで金属水銀(約1ppm)を飽和したn−ヘキサンを所定の液時空間速度(LHSV)で床にくみ上げた(上向流)。反応容器から出てくるヘキサンの試料を定期的に採取し原子蛍光分光分析による水銀分析にかけた。特に記載のない限り各試験の期間は750時間であった。試験の最後に窒素をゆっくりと流して収着剤を乾燥し反応容器から取り出した。
【0049】
【表5】

【0050】
これらの結果から、還元銅収着剤が水銀を捕捉する能力が高いことが分かる。
実施例5:気相試験
実施例1aの還元型硫化銅材料を還元ガス試験で水銀を除去するために試験した。
【0051】
内径1インチのステンレス製管状容器に流入ラインと流出ラインを有する実験室用気相試験装置を用いた。容器と付属設備を皮膜で保護し、ステンレス表面への水銀の物理吸着を防いだ。
【0052】
25mlの硫化還元収着剤を容器に充填し、容器を外部加熱できるようにオーブン内に置いた。純粋な水素を5bargの圧力で毎時11.25リットルの割合で床に通した。床温度は20℃から325℃の範囲に制御した。床が所望の温度に達したら、この水素ガス流を水銀バブラーに通しガスを容器に供給する前に、ガス中に水銀を取り込ませた。ガスの水銀含量は35,000μg/mから120,000μg/m超の範囲に制御した。
【0053】
試験は1時間から14時間の範囲で行われた。流入ガスと流出ガスを原子蛍光分光分析法で分析して全水銀含量を求めた。分析結果を下記に示す(ND=未検出)。
【0054】
【表6】

【0055】
【表7】

【0056】
【表8】

【0057】
【表9】

【0058】
【表10】

【0059】
【表11】

【0060】
これらの結果から、流入したHgのほとんど全部が水素ガス流中でこの材料によって20℃から325℃の範囲で除去できることが分かる。
実施例6:長期気相試験
実施例1hの還元型硫化銅材料を還元ガス試験における水銀除去試験に供した。実施例5で使用した実験室用気相試験装置を用いた。
【0061】
反応容器に25mlの硫化還元収着剤を充填した。水素80%(v/v)と窒素20%(v/v)の混合ガスを4.7bargの圧力で毎時51リットルの流速で床に流した。床の温度を50℃に制御した。床が所望の温度になったら、水素/窒素ガス流の一部(毎時2リットル)を水銀バブラーに通し容器に供給する前にガス中に水銀を取り込んだ。ガス中の水銀含量を3000μg/mに制御した。
【0062】
試験は700時間行った。試験中、原子蛍光分光分析により流入ガス及び流出ガスの全水銀含量を毎時測定した。全試験期間中、流出ガス中の水銀含量はゼロであった。
試験の最後に、吸着剤床を7つの別々の副床として取り出し、これらをICP−発光分析法による全水銀含量の測定に供した。この方法による検出限界は10ppm(w/w)であった。分析結果を以下に示す。
【0063】
【表12】

【0064】
これらの結果から、流入部の床により水銀の大分部が除去され、残りの床は水銀をごく微量の水準まで除去する鋭いプロファイルであることが分かる。
実施例7:精油所ガス試験
実施例1hの還元型硫化銅材料を精油所で支流中の水銀除去試験に供した。試験した炭化水素ガスはC1〜C5炭化水素、HS、COのほかに相当量の水素を含んでいた。
【0065】
吸収剤材料をステンレス網円盤で分離された一連の副床を有する容量1リットル、内径64mmのステンレス製反応容器に充填した。100mlの床8つを充填し、次いで反応器の流入口に50ml床4つを充填した。反応器を、1.2m/hrの流速で床を通る精油所の流れに接続した。系の圧力は4.7bargで、温度は35℃から80℃の間で変化した。
【0066】
反応器流入口と流出口でガスの定期的な試料を捕集した。ガスを原子蛍光分光分析により水銀含量の分析に供した。これらの分析結果を下記に示す。
【0067】
【表13】

【0068】
水銀測定結果によると、流れの中の水銀含量は108から8930ng/Nmの間で変化することが分かった。試験全体で、吸収剤による水銀の除去は61%から100%の間で変化し、平均除去率は87%であった。
【0069】
流入ガス流及び流出ガス流に関する電気化学的な水素分析では、吸収剤の水素消費は認められず、還元耐性を持っていることが分かった。
試験は621時間行った。試験の終わりに、吸収剤床を12の別々の副床として取り出し、それらをICP−発光分析により全水銀含量の分析に供した。この方法の検出限界は10ppm(w/w)であった。この分析結果を以下に示す。
【0070】
【表14】

【0071】
これらの結果から、最初の3つの床により水銀の大分部が除去され、残りの床は水銀をごく微量の水準まで除去する鋭いプロファイルであることが分かる。
実施例8
静的液相試験を行い本発明(実施例1a)の収着剤を還元ガス流に使用されている典型的な収着剤である活性炭(Norit活性炭、等級RB3)と比較した。
【0072】
収着剤材料(0.5g)を所定体積(60ml)の金属水銀を飽和したn−ヘキサンを入れた三角フラスコに加えた。この混合物を雰囲気温度で攪拌した。ヘキサン試料を1、2、5、10、20、及び30分後に採取した。これらの試料を原子蛍光分光分析による水銀含量分析に供した。結果を以下に示す。
【0073】
【表15】

【0074】
【表16】

【0075】
結果から明らかなように、本発明の材料は優れた水銀収着性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素又は一酸化炭素等の還元剤を含有する流体流から水銀等の重金属を除去するのに適した成形単位の形態の収着剤であって、
水銀、ヒ素、鉛、カドミウム、及びアンチモンから選ばれた合計で0.1重量%以下の重金属と、硫黄と銅の原子比が0.6:1以下である1種以上の還元型硫化銅の形態での4〜75%重量の銅と、を含有する収着剤。
【請求項2】
収着剤の銅含量が12〜47重量%の範囲である、請求項1に記載の収着剤。
【請求項3】
還元型硫化銅が、CuS、Cu、Cu7.2、Cu1.8S、Cu1.96S、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項1又は2に記載の収着剤。
【請求項4】
本質的にすべての銅が、0.6:1以下の硫黄の銅に対する比を有する1種以上の還元型硫化銅の形態である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の収着剤。
【請求項5】
収着剤が1種以上の還元型硫化銅と担体及び/又はバインダーを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の収着剤。
【請求項6】
バインダーが、クレイ、セメント、有機高分子バインダー、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項5に記載の収着剤。
【請求項7】
担体材料が、アルミナ、水和アルミナ、アルミン酸金属塩、シリカ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、アルミノケイ酸塩、ゼオライト、金属炭酸塩、炭素、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項5又は6に記載の収着剤。
【請求項8】
収着剤中の硫化亜鉛含量が5重量%以下となる量で、製造中に硫化されることができる、1種以上の亜鉛化合物をさらに含む、請求項5〜7のいずれか一項に記載の収着剤。
【請求項9】
成形単位がペレット状の押し出し成形品又は顆粒である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の収着剤。
【請求項10】
成形単位が1〜15mmの範囲の最小寸法と1〜25mmの範囲の最大寸法及び4以下のアスペクト比(最長寸法を最短寸法で割ったもの)を有する、請求項9に記載の収着剤。
【請求項11】
(i)硫化銅前駆体化合物とバインダー及び/又は担体材料を含む収着剤前駆体を、硫化水素含有ガス混合物で硫化し硫化銅材料を形成する工程、及び
(ii)該硫化銅材料をより低酸化状態へ還元し収着剤を形成する工程、
を含み、該収着剤前駆体又は収着剤は成形されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の収着剤を製造する方法。
【請求項12】
硫化銅前駆体化合物が銅塩、又は銅の酸化物、水酸化物、炭酸塩、又はヒドロキシ炭酸塩からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
担体材料を可溶性銅塩の溶液で含浸し、含浸後の担体を乾燥し、必要に応じて焼成することにより収着剤前駆体を製造する工程をさらに含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
銅の酸化物、水酸化物、炭酸塩、又はヒドロキシ炭酸塩を1種以上のバインダー及び必要に応じて担体材料と組み合わせることにより収着剤前駆体を製造する工程をさらに含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項15】
硫化段階が不活性ガス中に0.1〜5容積%の硫化水素を含むガスを用いて1〜100℃の範囲の温度で行われる、請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
還元が収着剤に関して別の場所(ex-situ)又はその場(in-situ)で行われる、請求項11〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
還元段階が水素含有ガスを用いて150〜350℃の範囲の温度で行われる、請求項11〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
還元工程が水素を用いて200〜300℃の範囲の温度で行われ、硫化工程が5〜50℃の範囲の温度で行われる、請求項11〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の収着剤又は請求項11〜18のいずれか一項に記載の方法で製造された収着剤を、水素及び/又は一酸化炭素等の還元剤を含む流体流と接触させることにより該流体流から重金属、特に水銀を除去する方法。
【請求項20】
流体流が液体である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
液体が、水素化処理に供給される水素含有炭化水素流、又は、水素化処理から回収される水素含有炭化水素流である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
流体流が還元ガス流である、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
還元ガス流を350℃まで、好ましくは345℃まで、より好ましくは340℃まで、もっとも好ましくは335℃まで、特に330℃まで、なかでも325℃までの温度で収着剤と接触させる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
還元ガス流が合成ガス流、好ましくはガス化装置からの粗合成ガス流である、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
還元ガス流が精油所の排出流である、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項26】
還元ガス流が水素化処理に供給される水素含有炭化水素流、又は、水素化処理から回収される水素含有炭化水素流である、請求項22又は23に記載の方法。

【公表番号】特表2012−509758(P2012−509758A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536948(P2011−536948)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【国際出願番号】PCT/GB2009/051498
【国際公開番号】WO2010/061212
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(590004718)ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー (152)
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】