説明

野菜の角切り装置

【課題】品質の均一化が図れる。
【解決手段】第1切断刃13が複数枚所定間隔に平行に配設された第1切断アッセンブリー11と、第1切断アッセンブリー11の片面側に直交するように第2切断刃14が複数枚所定間隔に平行に配設された第2切断アッセンブリー12とを備え、第1切断アッセンブリー11の前方の野菜載置部1aの上方には、切断アッセンブリー11、12へのキャベツWの押し付ける方向に直交して垂直に分割刃54、55が配設され、野菜載置部1aには、半切りされたキャベツWの平坦部が載置され、分割刃54、55が上下駆動してキャベツWを複数個に分割した後、この分割されたキャベツWを野菜押付け手段25で第1切断刃13と第2切断刃14に押し付けて角切りする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャベツ、南瓜等の野菜の角切り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、野菜の角切り装置として、例えば特許文献1が挙げられる。この装置は、次のような構成となっている。第1切断刃が複数枚所定間隔に平行に配設された第1切断アッセンブリーと、この第1切断アッセンブリーの片面側に直交するように第2切断刃が複数枚所定間隔に平行に配設された第2切断アッセンブリーと、前記第1切断アッセンブリーの前方の野菜載置部に載置された野菜を前記第1切断アッセンブリーに押し付けて第1切断により一方方向に切断した後、この切断された野菜を前記第2切断刃により切断する野菜押付け手段とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−244490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術によって例えばキャベツを切断する場合、キャベツの垂直な部分は第1切断刃と第2切断刃で囲まれる四角形状に切断される。しかし、キャベツの水平部分は、第1切断刃と第2切断刃で切断した場合、細長い形状に切断される。このように、四角形状に切断されたものと、細長い形状に切断されたものが混在し、品質が均一化しないという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、品質の均一化が図れる野菜の角切り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の請求項1は、第1切断刃が複数枚所定間隔に平行に配設された第1切断アッセンブリーと、この第1切断アッセンブリーの片面側に直交するように第2切断刃が複数枚所定間隔に平行に配設された第2切断アッセンブリーと、前記第1切断アッセンブリーの前方の野菜載置部に載置された野菜を前記第1切断アッセンブリーに押し付けて第1切断により一方方向に切断した後、この切断された野菜を前記第2切断刃により切断する野菜押付け手段とを備えた野菜の角切り装置において、前記野菜載置部の上方には、前記切断アッセンブリーへの野菜の押し付ける方向に直交して垂直に配設された分割刃と、この分割刃を上下駆動する上下駆動手段とが設けられ、前記野菜載置部には、半分に切断された野菜の平坦部が載置され、前記分割刃が上下駆動して野菜を複数個に分割した後、この分割された野菜を前記野菜押付け手段で前記第1切断刃と前記第2切断刃に押し付けて角切りすることを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決するための本発明の請求項2は、上記請求項1において、前記野菜載置部に対応し、前記野菜押付け手段の移動方向に直交する水平面内には、前記野菜載置部に野菜を供給する野菜供給手段が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
分割刃によってキャベツの切断アッセンブリーへの野菜の押し付け方向を分割し、この分割されたキャベツを第1切断刃及び第2切断刃によって角切りする。即ち、キャベツの水平部分は予め分割刃によって分割されており、この分割されたキャベツを第1切断刃及び第2切断刃により切断するので、細長い部分が生じなく、品質の均一化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の野菜の角切り装置の一実施の形態の平面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図1のシュートを除いた右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の野菜の角切り装置の一実施の形態を図1乃至図3により説明する。以下、キャベツWを角切りする場合について説明する。本実施の形態においては、キャベツWは半分に切ったものを用いる。その理由は後記する。ベース板1は、支持板2、3、4、5上に固定されており、支持板2、3、4、5は底板6に固定されている。本実施の形態は、主として、第1切断アッセンブリー11及び第2切断アッセンブリー12を装着する切断アッセンブリー手段10と、この切断アッセンブリー手段10の前方でキャベツWが載置される野菜載置部1aと、この野菜載置部1aに載置されたキャベツWを押して前記第1切断アッセンブリー11と第2切断アッセンブリー12に押し付ける野菜押付け手段25と、前記野菜載置部1aにキャベツWを供給する野菜供給手段30と、野菜載置部1a上のキャベツWを複数個に分割する分割手段40とからなっている。以下、各手段の構造について説明する。
【0011】
〔切断アッセンブリー手段10の構造〕
第1切断アッセンブリー11及び第2切断アッセンブリー12は、従来と殆ど同じ構造である。第1切断アッセンブリー11は、第1切断刃13が複数枚所定間隔において平行に配設されている。第2切断アッセンブリー12は、第2切断刃14が複数枚所定間隔をおいて第1切断刃13と直交するように配設されている。本実施の形態においては、第1切断刃13は水平に、第2切断刃14は垂直に配設したが、その逆でもよい。第1切断アッセンブリー11及び第2切断アッセンブリー12を装着する装着枠体15は、第1切断アッセンブリー11を上方より装着する第1装着部16と、第2切断アッセンブリー12を上方より装着する第2装着部17とが設けられている。装着枠体15は後記する支持板41に取付けられている。装着枠体15の後方には、第1切断刃13及び第2切断刃14で切断された角切りキャベツをガイドするシュート18が取付けられている。
【0012】
〔野菜押付け手段25の構造〕
ベース板1上には、野菜押し用シリンダ26の作動ロッドが野菜載置部1a方向になるように配設され、野菜押し用シリンダ26は取付け板27を介してベース板1に固定されている。野菜押し用シリンダ26の作動ロッドには、キャベツWを押す押し板28が固定されている。
【0013】
〔野菜供給手段30の構造〕
野菜供給手段30は、野菜載置部1aに対応し、野菜押付け手段25の野菜押し用シリンダ26の移動方向と直角方向に設けられている。ベース板1上には、移動テーブル31を野菜載置部1a方向に摺動自在にガイドするガイド板32が固定されており、ベース板1には、ガイド板32と平行に溝1bが形成されている。ベース板1の下方には、上下に2個のテーブル駆動用シリンダ33、34が溝1bと平行で作動ロッドが逆方向になるように配設されており、テーブル駆動用シリンダ33、34は支持板35に固定されている。テーブル駆動用シリンダ33の作動ロッドは溝1bを通して移動テーブル31に固定された取付け板36に固定され、テーブル駆動用シリンダ34の作動ロッドは後方側の支持板5に固定されている。
【0014】
〔分割手段40の構造〕
野菜載置部1aの切断アッセンブリー手段10側の支持板3には、上方に伸びた支持板41が固定されており、支持板41には図示しないがキャベツWが通過できる窓が設けられている。野菜載置部1aの野菜押付け手段25側のベース板1上には支持板42が固定されており、支持板42には図示しないが押し板28が通過できる窓が形成されている。支持板41、42上には、シリンダ取付け板43が固定されている。
【0015】
シリンダ取付け板43のほぼ中央には、作動ロッドが下方に向くように分割刃用シリンダ50が固定されており、作動ロッドには取付け板51が固定されている。取付け板51には、キャベツWの切断アッセンブリー11、12への野菜の押し付け方向に直交して2個の刃物取付け板52、53が一定間隔離れて固定されており、刃物取付け板52、53には分割刃54、55が固定されている。取付け板51の野菜供給手段30側にはシリンダ取付け板56が固定されており、シリンダ取付け板56には作動ロッドが下方に向くようにシャッター用シリンダ57が固定されている。シャッター用シリンダ57には、野菜供給手段30側を塞ぐようにシャッター58が固定されており、シャッター58が下降した時は、該シャッター58の下端は移動テーブル31に接触しないようになっている。
【0016】
次に作用について説明する。移動テーブル31上に半切りされたキャベツWを載置してスタートボタンを押すと、テーブル駆動用シリンダ33、34が作動して作動ロッドが引っ込む。これにより、取付け板36を介して移動テーブル31が野菜載置部1a上に移動する。次にシャッター用シリンダ57が作動してシャッター58が下降する。続いて分割刃用シリンダ50が作動して取付け板51及び刃物取付け板52、53を介して分割刃54、55が下降し、キャベツWを3つのブロックに分割し、続いて分割刃用シリンダ50が前記と逆方向に作動して分割刃54、55は上昇する。このように、キャベツWを分割するので、丸形状のキャベツを分割刃54、55で分割すると、キャベツの前方側及び後方側の下方は平坦でないので、キャベツの前方側及び後方側は前方及び後方に倒れる。この状態で角切りすると、所望とする品質が得られない。本実施の形態は、半切りされたキャベツWの平坦部を移動テーブル31に載置するので、分割刃54、55で分割しても姿勢は安定している。
【0017】
次にテーブル駆動用シリンダ33、34が前記と逆方向に作動して作動ロッドが突出する。これにより、移動テーブル31は元の野菜供給位置に戻る。この場合、シャッター58が下降しているので、分割されたキャベツはシャッター58で野菜供給位置に戻るのが阻止され、野菜載置部1a上に止まる。移動テーブル31が元の位置に戻ると、移動テーブル31上に次のキャベツWを載置することができる。
【0018】
次に野菜押し用シリンダ26が作動して押し板28によって野菜載置部1a内の3分割されたキャベツを第1切断アッセンブリー11の第1切断刃13によって帯状に横切りされ、続いて第2切断アッセンブリー12の第2切断刃14によって縦切りされて角切りキャベツが得られる。その後、野菜押し用シリンダ26が前記と逆方向に作動して押し板28は元の位置に戻る。以後、前記動作を繰り返して順次角切りキャベツが得られる。
【0019】
このように、分割刃54、55によってキャベツWの切断アッセンブリー11、12への野菜の押し付け方向を3分割し、この3分割されたキャベツを第1切断刃13、第2切断刃14によって格子状に角切りする。即ち、キャベツWの水平部分は予め分割刃54、55によって分割されており、この分割されたキャベツを第1切断刃13、第2切断刃14により切断するので、細長い部分が生じなく、品質の均一化が図れる。
【0020】
なお、上記実施の形態によってはキャベツWを2個の分割刃54、55で3分割したが、1個の分割刃又は3個の分割刃で2分割又は4分割してもよい。また上記実施の形態は、移動テーブル31にキャベツWを載置して野菜載置部1aに送ったので、移動テーブル31を後退させた時、分割されたキャベツが共に戻らないようにシャッター58を設ける必要があった。しかし、野菜供給部に載置したキャベツWを単にシリンダの作動ロッドに固定された押し板で押して野菜載置部1a部に送るようにしてもよい。このように構成すると、移動テーブル31を設ける必要がないと共に、キャベツWを野菜載置部1aを送った後は、即座にシリンダを逆方向に作動させて元の位置に戻すことができる。
【0021】
また移動テーブル31を2個のテーブル駆動用シリンダ33、34で駆動したが、1個のテーブル駆動用シリンダで駆動するようにしてもよいことは言うまでもない。また第1切断刃13を水平に、第2切断刃14うぃ垂直に配設し、四角形状に切断した。しかし、第1切断刃13を斜めに、第2切断刃14も第1切断刃13に直交するように斜めに配設し、菱形形状に切断してもよい。またキャベツWを角切りする場合について説明したが、南瓜にも適用できる。
【符号の説明】
【0022】
W キャベツ
1 ベース板
1a 野菜載置部
10 切断アッセンブリー手段
11 第1切断アッセンブリー
12 第2切断アッセンブリー
13 第1切断刃
14 第2切断刃
15 装着枠体
25 野菜押付け手段
26 野菜押し用シリンダ
28 押し板
30 野菜供給手段
31 移動テーブル
33、34 テーブル駆動用シリンダ
40 分割手段
50 分割刃用シリンダ
54、55 分割刃
57 シャッター用シリンダ
58 シャッター
10 回転駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1切断刃が複数枚所定間隔に平行に配設された第1切断アッセンブリーと、この第1切断アッセンブリーの片面側に直交するように第2切断刃が複数枚所定間隔に平行に配設された第2切断アッセンブリーと、前記第1切断アッセンブリーの前方の野菜載置部に載置された野菜を前記第1切断アッセンブリーに押し付けて第1切断により一方方向に切断した後、この切断された野菜を前記第2切断刃により切断する野菜押付け手段とを備えた野菜の角切り装置において、前記野菜載置部の上方には、前記切断アッセンブリーへの野菜の押し付ける方向に直交して垂直に配設された分割刃と、この分割刃を上下駆動する上下駆動手段とが設けられ、前記野菜載置部には、半分に切断された野菜の平坦部が載置され、前記分割刃が上下駆動して野菜を複数個に分割した後、この分割された野菜を前記野菜押付け手段で前記第1切断刃と前記第2切断刃に押し付けて角切りすることを特徴とする野菜の角切り装置。
【請求項2】
前記野菜載置部に対応し、前記野菜押付け手段の移動方向に直交する水平面内には、前記野菜載置部に野菜を供給する野菜供給手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の野菜の角切り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−280038(P2010−280038A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135663(P2009−135663)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(505467672)渡辺精機株式会社 (15)