説明

量子ドットを備える高分子分散型ディスプレイパネル及びそれを備えるディスプレイ装置

【課題】量子ドットを備える高分子分散型ディスプレイパネル及びそれを備えるディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】ポリマー層13及び該ポリマー層内に分散された多くの液晶液滴14を含み、特定色の光を発生させる量子ドット15g,15rが液晶内に混合されている高分子分散型液晶ディスプレイ装置。該高分子分散型液晶ディスプレイ装置は、カラーフィルタなくてもカラーを具現できる。これにより、偏光板とカラーフィルタとがいずれも存在しないため、光利用効率が向上した液晶ディスプレイ装置を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子分散型液晶を利用したディスプレイ装置に係り、特に量子ドットを利用した高分子分散型液晶ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、液晶ディスプレイ装置は、液晶層及び前記液晶層の両側面にそれぞれ配された偏光板で形成された光シャッタを備える。液晶ディスプレイ装置は、また、前記光シャッタを通過した光のうち、特定色の光のみを透過させるカラーフィルタを備える。ところが、このような液晶ディスプレイ装置の構造では、2枚の偏光板により約50%以上の光損失が発生し、またカラーフィルタにより約33%以上の光損失が発生する。これによって、一般的な液晶ディスプレイ装置の全体的な光利用効率は比較的低い(例えば、約10%)。
【0003】
近年、2枚の偏光板を使用しなくても光シャッタの機能を有する高分子分散型液晶(Polymer Dispersed Liquid Crystal;PDLC)が実用化されている。PDLCは、ポリマー内に液晶を混合して分散させた後、UV光によりポリマーを硬化させて形成した新たな形態の液晶素子である。UV光によりポリマーが硬化すれば、ポリマーと液晶との間に相分離が発生し、これによって硬化したポリマー内に多くの液晶が液滴の形態で閉じ込められる。したがって、PDLCは、硬化したポリマー層内に多くの液晶液滴が分散されている構造を持つ。
【0004】
これらのPDLCの構造では、電圧の非印加時において、入射光は、ポリマーと液晶との間の屈折率差によってポリマーと液晶との界面で散乱される。ポリマー内に非常に多くの液晶が分散されているため、入射光は散乱を繰り返す。その結果、電圧の非印加時にPDLCは不透明な状態になる。一方、電圧の印加時には、液晶が一定の方向に整列されるとともに、液晶の屈折率はポリマーの屈折率と同様になる。したがって、入射光は、PDLCを通過できるようになる。その結果、電圧の印加時にPDLCは透明な状態になる。
【0005】
前記のような特性により、PDLCは偏光板なくても光シャッタの機能を有する。近年では、液晶内に光を吸収できる染料を混合することによって、散乱光を吸収させる技術も提案されている。この場合、電圧の非印加時にPDLCは黒色にみえる。関連分野の先行技術文献としては、特許文献1ないし3がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−171783号公報
【特許文献2】米国特許第7295266号明細書
【特許文献3】特開2004−279985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、カラーフィルタがなくてもカラーを具現できるPDLCディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一類型によれば、ポリマー層と、前記ポリマー層内に分散された複数の液晶液滴と、前記液晶液滴の内部に混合されている複数の量子ドットと、を備える画素を有し、前記複数の量子ドットは、前記ポリマー層の外部から供給される励起光により励起されてそれぞれの前記量子ドットに応じた特定の色の光をそれぞれ発生させる、ディスプレイパネルを提供できる。
【0009】
ここで、前記励起光は青色光である。
【0010】
この場合、前記ディスプレイパネルは複数の画素をさらに有し、それぞれの画素は青色、緑色、及び赤色サブ画素を備え、前記緑色サブ画素は、複数の液晶液滴を有し、当該液晶液滴は、青色光により励起されて緑色光を発生させる量子ドットを備え、前記赤色サブ画素は、複数の液晶液滴を有し、当該液晶液滴は、青色光により励起されて赤色光を発生させる量子ドットを備え、前記青色サブ画素は、複数の液晶液滴を有し、当該液晶液滴は、量子ドットを備えない。
【0011】
また前記励起光は、紫外線(UV)光である。
【0012】
この場合、前記ディスプレイパネルは複数の画素をさらに備え、それぞれの画素は青色、緑色、及び赤色サブ画素を備え、前記緑色サブ画素は、複数の液晶液滴を有し、当該液晶液滴は、UV光により励起されて緑色光を発生させる量子ドットを備え、前記赤色サブ画素は、複数の液晶液滴を有し、当該液晶液滴は、UV光により励起されて赤色光を発生させる量子ドットを備え、前記青色サブ画素は、複数の液晶液滴を有し、当該液晶液滴は、UV光により励起されて青色光を発生させる量子ドットを備える。
【0013】
前記量子ドットは、前記液晶液滴の外部のポリマー層内にさらに分散されている。
【0014】
一方、本発明の他の類型によれば、前述した構造のディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネルに励起光を提供するためのバックライトユニットと、を備えるディスプレイ装置が提供される。
【0015】
前記ディスプレイ装置は、前記青色、緑色、及び赤色サブ画素とそれぞれ対応するように配列された青色、緑色、及び赤色フィルタを持つカラーフィルタ層をさらに備える。
【0016】
また、前記ディスプレイ装置は、青色、緑色、及び赤色サブ画素とそれぞれ対応するように配列されたシアン、イエロー、及びマゼンタフィルタを持つカラーフィルタ層をさらに備える。
【0017】
前記ディスプレイ装置は、前記ポリマー層内に配されている複数の隔壁をさらに備え、前記複数の隔壁は、前記青色、緑色、及び赤色サブ画素を互いに分離するように構成されうる。
【0018】
前記バックライトユニットは、前記ディスプレイパネルに入射する外部光を反射する反射板の機能を有することもできる。
【0019】
前記バックライトユニットは、感知された外部光の強度に基づいて選択的に活性化されるか、または消灯される。
【0020】
前記バックライトユニットが消灯される時、前記ディスプレイ装置は反射モードで動作する。
【0021】
前記バックライトユニットが活性化される時、前記ディスプレイ装置は、透過モード及び透過−反射モードのうちのいずれか一つのモードで動作する。
【0022】
一方、本発明の他の類型によれば、前述した構造のディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネルに励起光を提供するためのバックライトユニットと、を備える、フレキシブルディスプレイ装置が提供されうる。
【0023】
また、本発明のさらに他の類型によれば、前述した構造のディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネルに励起光を提供するためのバックライトユニットと、を備える、電子ペーパーディスプレイ装置が提供されうる。
【0024】
また、本発明のさらに他の類型によれば、前述した構造のディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネルに励起光を提供するためのバックライトユニットと、を備える、液晶ディスプレイ装置が提供されうる。
【0025】
また、本発明の一類型によるディスプレイパネルは、ポリマー層と、前記ポリマー層内に分散された複数の液晶液滴と、前記ポリマー層の外部から供給される励起光により励起されていずれか一つの色の光をそれぞれ発生させる手段と、を備える画素を有し、前記手段は、前記液晶液滴の内部に混合されている。
【0026】
ここで、前記ディスプレイパネルは複数の画素をさらに有し、それぞれの画素は青色、緑色、及び赤色サブ画素を備え、前記緑色サブ画素は、励起光により励起されて緑色光を発生させる手段を備え、前記赤色サブ画素は、励起光により励起されて赤色光を発生させる手段を備える。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】PDLCディスプレイパネルの一構造を例示的に示す概略的な断面図である。
【図2】PDLCディスプレイパネルの他の構造を例示的に示す概略的な断面図である。
【図3】PDLCディスプレイ装置の一構造を例示的に示す概略的な断面図である。
【図4A】図3に図示されたPDLCディスプレイ装置の動作を例示的に示す概略的な断面図である。
【図4B】図3に図示されたPDLCディスプレイ装置の動作を例示的に示す概略的な断面図である。
【図4C】図3に図示されたPDLCディスプレイ装置の動作を例示的に示す概略的な断面図である。
【図5】PDLCディスプレイ装置の他の構造を例示的に示す概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付した図面を参照して高分子分散型液晶(Polymer Dispersed Liquid Crystal;PDLC)ディスプレイ装置の構成及び動作について詳細に説明する。以下の図面で同じ参照符号は同じ構成要素を示し、図面上で各構成要素の大きさは、説明の明瞭性及び便宜のために誇張している。
【0029】
以下の例示的な実施形態は、液晶ディスプレイパネル及び液晶ディスプレイ装置に関して主に述べるが、フレキシブルディスプレイパネル、フレキシブルディスプレイ装置、電子ペーパー(e−paper)ディスプレイパネル、及び電子ペーパーディスプレイ装置などの他の例にも同様に適用できる。
【0030】
図1は、PDLCディスプレイパネル10の構造を例示的に示す概略的な断面図であって、便宜上一つの画素部分のみ示している。一般的なディスプレイパネルのように、PDLCディスプレイパネル10は、映像表示の基本単位になる複数の同じ形態の画素に分割されており、図1は、説明の便宜のため、そのうちの一つの画素のみを示したものである。また、図1に示したように、それぞれの画素はカラーを具現するために青色、緑色、及び赤色のサブ画素を持つことができる。
【0031】
図1を参照すれば、PDLCディスプレイパネル10は、互いに対向して配された第1及び第2透明基板11、19、それぞれの透明基板11、19上に互いに対向するように配された第1及び第2透明電極12、18、第1及び第2透明電極12、18の間に配されたポリマー層13、及びポリマー層13内に分散された多くの液晶液滴14を備えることができる。ここで、第1及び第2透明基板11、19と第1及び第2透明電極12、18とについては、一般的な液晶ディスプレイパネルで使用するものと同じ構成と機能を有するので、詳細な説明を省略する。
【0032】
前述したように、多くの液晶液滴14が内部に分散されているポリマー層13は、例えば、ポリマー内に液晶を混合して分散させた後、UV光などにより前記ポリマーを硬化させることによって形成できる。図1には、説明の便宜のため少数の液晶液滴14が図示されているが、実際には無数の微小な液晶液滴14がポリマー層13内に密集して分散されている。したがって、液晶液滴14とポリマー層13との屈折率が相異なる場合、光は多くの液晶液滴14により繰り返し散乱されてポリマー層13をほとんど通過できなくなる。
【0033】
図1に示したように、ポリマー層13内に分散されたそれぞれの液晶液滴14内には、特定の波長の励起光により励起されて特定の色の光を発生させる複数の量子ドット(Quantum Dot)15r,15gが混合されている。図1の場合、青色波長の光により励起される量子ドット15r,15gが例示的に図示されている。ここで、それぞれのサブ画素ごとに異なる色の光を発生させる量子ドット15r,15gが液晶液滴14内に混合されうる。例えば、赤色サブ画素には、青色波長の光により励起されて赤色波長の光を発生させる量子ドット15rが液晶液滴14内に混合される。そして緑色サブ画素には、青色波長の光により励起されて緑色波長の光を発生させる量子ドット15gが液晶液滴14内に混合される。一方、青色波長の光を励起光として使用するため、青色サブ画素内の液晶液滴14の内部には量子ドットが省略されることもある。この場合、青色サブ画素は、電圧の印加の如何によって、単純に光を透過させるか、または散乱させる役割のみを果たす。
【0034】
また、図1には、液晶液滴14内にのみ量子ドット15r,15gが混合されたと図示されているが、量子ドット15r,15gは、液晶液滴14間のポリマー層13内にさらに分散されてもよい。例えば、赤色サブ画素には、赤色波長の光を発生させる量子ドット15rがポリマー層13内に分散され、緑色サブ画素には、緑色波長の光を発生させる量子ドット15gがポリマー層13内に分散されうる。
【0035】
前述したように、液晶液滴14とポリマー層13との屈折率が相異なる時、液晶液滴14により光が散乱されるが、これらの散乱光を吸収するための染料16は、それぞれの液晶液滴14内にさらに混合されうる。一般的に染料16としては、散乱光の効率的な吸収のために黒色の染料を使用できる。しかし、他の例によっては、黒色以外に他の色の染料16を使用してもよい。例えば、量子ドット15r,15gにより発生する色や励起光の色などを細かく補正するために、それぞれのサブ画素ごとに相異なる色の染料16が混合されてもよい。または、ディスプレイパネル10の全体的な色の補正のために同じ色の染料16が混合されてもよい。
【0036】
また、図1を参照すれば、隣接したサブ画素間の境界に隔壁17がさらに設置されうる。隔壁17は、相異なるサブ画素を互いに分離させる。一般的にPDLCディスプレイパネル10には、液晶液滴14がポリマー層13内で固定されているため、隔壁17が必ずしも必要なものではない。しかし、隣接したサブ画素で発生する光による影響を抑制するか、または最小化するために、光を遮断する隔壁17をさらに設置することもできる。
【0037】
以下、前記のような構成を持つPDLCディスプレイパネル10の動作について説明する。例えば、バックライトユニット(図示せず)から青色波長を持つ光が提供されると仮定する。第1及び第2透明電極12、18から液晶液滴14に電圧が印加されなければ、液晶液滴14の屈折率は、ポリマー層13の屈折率と異なる状態にある。この時、光は液晶液滴14により散乱されて、ポリマー層13をほとんど通過できない。散乱光は染料16によりほぼ吸収されるため、この場合、PDLCディスプレイパネル10は黒色にみえることがある。
【0038】
液晶液滴14に電圧が印加されれば、液晶液滴14内の液晶が一定の方向に整列されるのにともない、液晶液滴14の屈折率とポリマー層13の屈折率とが同じになる。そうすると、光は液晶液滴14を通過するが、この時に液晶液滴14内の量子ドット15r,15gが励起される。例えば、赤色サブ画素では、量子ドット15rが青色波長の光により励起されて赤色波長の光Rを発生させ、緑色サブ画素では、量子ドット15gが青色波長の光により励起されて緑色波長の光Gを発生させる。ポリマー層13内には非常に多くの液晶液滴14が密集しているため、外部から提供された青色波長の光はほぼいずれも赤色または緑色波長の光に変換される。したがって、赤色サブ画素を通じては赤色光Rのみ放射され、緑色サブ画素を通じては緑色光Gのみ放射されうる。一方、青色サブ画素には量子ドットが存在しない。したがって、外部から供給された青色波長の光は青色サブ画素をそのまま通過して、結果的に青色光Bが放射される。
【0039】
これらの構造のPDLCディスプレイパネル10によれば、特定色の光を発生させる量子ドット15r,15gが液晶液滴14内に混合されているため、カラーフィルタがなくてもカラーを具現することができる。また、PDLCディスプレイパネル10は、偏光板がなくても光シャッタとして動作できる。したがって、偏光板とカラーフィルタとをいずれも使用する必要がないため、光利用効率が向上した液晶ディスプレイ装置を提供できる。また、量子ドット15r,15gを利用した光変調を通じて高純度の色相を得ることができるため、カラー視認性を高めることができる。
【0040】
図2は、他のPDLCディスプレイパネル10’の構造を例示的に示す概略的な断面図であって、説明の便宜のため一つの画素部分のみを示している。他のディスプレイパネルと同様に、PDLCディスプレイパネル10’は、映像を表示するための基本単位としての多くの画素を備える。また、図2に示したように、それぞれの画素は、カラーを具現するための青色、緑色、及び赤色サブ画素を備えることができる。
【0041】
図2に図示されたPDLCディスプレイパネル10’は、図1のPDLCディスプレイパネル10と比較すると、UV波長の励起光により励起される複数の量子ドット15r’,15g’,15b’を使用するという点で差があり、残りの構成は同一である。図2の場合には、量子ドット15r’,15g’,15b’がUV波長の励起光により励起されるため、青色サブ画素の液晶液滴14内にも量子ドット15b’が存在する。例えば、緑色サブ画素にはUV波長の励起光により励起されて緑色波長の光を発生させる量子ドット15g’が混合されており、赤色サブ画素には、UV波長の励起光により励起されて赤色波長の光を発生させる量子ドット15r’が混合されており、青色サブ画素には、UV波長の励起光により励起されて青色波長の光を発生させる量子ドット15b’が混合されている。
【0042】
図3は、PDLCディスプレイ装置100の構造を例示的に示す概略的な断面図であって、説明の便宜のため一つの画素部分のみを示している。
【0043】
図3を参照すれば、PDLCディスプレイ装置100は、バックライトユニット110、PDLCディスプレイパネル120及びカラーフィルタ層130を備えることができる。ここで、PDLCディスプレイパネル120は、図1に図示されたPDLCディスプレイパネル10と同じ構造を持ち、単に隔壁のみ便宜的に省略されている。しかし、前記PDLCディスプレイパネル120は、図2に図示されたPDLCディスプレイパネル10’と同じ構造を持つこともできる。
【0044】
図3を参照すれば、PDLCディスプレイパネル120は、互いに対向して配された第1及び第2透明基板121,129、それぞれの透明基板121,129の間で互いに対向するように配された第1及び第2透明電極122,128、第1及び第2透明電極122、128の間に配されたポリマー層123、及びポリマー層123内に分散された多くの液晶液滴124を備えることができる。そして、それぞれの液晶液滴124内には量子ドット125r,125g及び複数の染料126が混合されている。
【0045】
PDLCディスプレイパネル120の赤色サブ画素には、青色波長の光により励起されて赤色波長の光を発生させる量子ドット125rが液晶液滴124内に混合されている。また、緑色サブ画素には、青色波長の光により励起されて緑色波長の光を発生させる量子ドット125gが液晶液滴124内に混合されている。一方、青色サブ画素には量子ドットが存在していない。
【0046】
バックライトユニット110は、青色波長の光をPDLCディスプレイパネル120に供給するように構成される。これらのバックライトユニット110は、例えば、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(ElectroLuminescence)、無機EL、PDP(Plasma Display Panel)、電界放出素子などの発光素子を使用して構成できる。しかし、他の例によっては、他の形態のディスプレイパネル、例えば、図2に図示されたPDLCディスプレイパネル10’を使用することもあるが、その場合、バックライトユニット110は、UV波長の光を放出するように構成できる。
【0047】
カラーフィルタ層130は、PDLCディスプレイパネル120の青色、緑色、及び赤色サブ画素と、それぞれ対応するように配列された青色フィルタ130b、緑色フィルタ130g、及び赤色フィルタ130rとを持つ。
【0048】
単にバックライトユニット110で提供された光のみを使用する時、PDLCディスプレイ装置100は、透過モードで動作する。この場合、カラーフィルタ層130が省略されてもよい。しかし、前記PDLCディスプレイ装置100がバックライトユニット110で提供された光だけではなく、外部の光も利用する半透過モードで動作する場合には、カラーフィルタ層130がさらに追加されうる。
【0049】
図4Aないし図4Cは、前述したPDLCディスプレイ装置100の動作を例示的に示す概略的な断面図である。
【0050】
まず、図4Aは、PDLCディスプレイ装置100が透過モードで動作する場合を図示している。電圧の印加時、バックライトユニット110は、PDLCディスプレイパネル120に青色波長の光を提供する。それによって、前述したように、バックライトユニット110により提供された青色波長の光は、PDLCディスプレイパネル120の赤色サブ画素と緑色サブ画素との領域内にある量子ドット125r,125gを励起させる。一方、前記青色波長の光は、PDLCディスプレイパネル120の青色サブ画素領域をそのまま透過する。したがって、赤色、緑色、及び青色サブ画素領域からそれぞれ赤色、緑色、及び青色の光が放射される。
【0051】
次いで、赤色光は、赤色サブ画素領域と対応して配された赤色フィルタ130rを通過し、緑色光は、緑色サブ画素領域と対応して配された緑色フィルタ130gを通過し、青色光は、青色サブ画素領域と対応して配された青色フィルタ130bを通過する。本実施形態によれば、それぞれのフィルタ130r,130g,130bにはそれと対応する色の光のみ入射するため、フィルタ130r,130g,130bによる光損失はほとんどない。
【0052】
図4Bは、PDLCディスプレイ装置100が反射型構造で使われる場合を図示している。図4Bを参照すれば、太陽光または室内電灯などの外部の光がPDLCディスプレイ装置100に入射する。この時、もし、PDLCディスプレイパネル120に電圧が印加されており、バックライトユニット110には電圧が印加されていないと仮定する。それによって、外部光は、カラーフィルタ層130とポリマー層123とを通過した後、バックライトユニット110により反射される。このために、バックライトユニット110は反射板としての機能を有するように構成できる。
【0053】
例えば、無機EL素子の場合、一般的に数μmの直径を持つ球形の発光体を使用し、反射率が比較的優れている。したがって、バックライトユニット110として、無機EL素子で構成された発光素子を使用できる。また、バックライトユニット100は、均一な光を作るために拡散板(図示せず)を備えることもあるが、これらの拡散板が反射板としての機能も有する。その場合、バックライトユニット100は、無機EL素子だけでなく他の種類の発光素子を使用してもよい。
【0054】
図4Bを参照すれば、反射された光は再びポリマー層123とカラーフィルタ層130とを通過する。この過程で、光がカラーフィルタ層130を少なくとも2回通過するため、光は特定の色を持つようになる。ここで、例えば、青色フィルタ130bを通じて入射した光が緑色フィルタ130gを通じて出射されないように、隣接したサブ画素間の境界に隔壁(図1参照)がさらに設置されうる。
【0055】
前述したように、バックライトユニット110が反射板としての機能を同時に有するならば、PDLCディスプレイ装置100は、外部の光とバックライトユニット110の光とをいずれも使用する反射及び透過モードで動作できる。反射透過モードは、しばしば半透過モードまたは混合された反射透過モードと呼ばれる。
【0056】
図4Cは、PDLCディスプレイ装置100のこのような反射及び透過モードの動作を図示している。バックライトユニット110に電圧が印加されれば、バックライトユニット110から供給された青色波長の光が赤色及び緑色サブ画素領域内の量子ドット125r,125gを励起させる。したがって、赤色及び緑色サブ画素領域からそれぞれ赤色及び緑色の光が放出される。一方、バックライトユニット110から供給された青色波長の光は、青色サブ画素領域をそのまま通過する。また、外部から入射した光はバックライトユニット110から反射された後、再びカラーフィルタ層130を通過して出射される。このように外部の光とバックライトユニット110の光とをいずれも活用できるため、光効率をさらに向上させることができる。
【0057】
図5は、他の例によるPDLCディスプレイ装置100’の一構造を例示的に示す概略的な断面図である。図3に図示されたPDLCディスプレイ装置100と比較すると、図5に図示されたPDLCディスプレイ装置100’は、単にカラーフィルタ層130’のカラーフィルタ構成のみに差があり、残りの構造はいずれも同一である。
【0058】
図5を参照すれば、図3に図示されたPDLCディスプレイ装置100とは異なって、カラーフィルタ層130’は、シアン(Cyan)、イエロー(Yellow)、及びマゼンタ(Magenta)カラーフィルタ130c,130y,130mで構成されている。これらのカラーフィルタ層130’の構成は、外部光を使用する時に色の輝度を高めることができる。
【0059】
例えば、赤色を具現しようとする場合に、図3のPDLCディスプレイ装置100では、赤色サブ画素のみに電圧を印加する。ところが、外部光がカラーフィルタ層130で一部吸収されるため、赤色サブ画素を通じて見える色は暗い赤色になる。図5のPDLCディスプレイ装置100’では、赤色を具現しようとする場合、イエロー、及びマゼンタカラーフィルタ130y,130mに対応するサブ画素に電圧を印加する。イエローは赤色と緑色との混合であり、マゼンタは赤色と青色との混合であり、シアンは緑色と青色との混合である。したがって、イエローとマゼンタとの混合で赤色を表現できる。また、2つの領域のサブ画素を通じて反射された光を使用するため、明るい赤色を得ることができる。
【0060】
これらの原理によって、緑色を具現しようとする場合には、シアン及びイエローカラーフィルタ130c,130yに対応するサブ画素に電圧を印加する。そして、青色を具現しようとする場合には、シアン及びマゼンタカラーフィルタ130c,130mに対応するサブ画素に電圧を印加する。
【0061】
これらの方式で、図5に図示されたPDLCディスプレイ装置100’を利用すれば、PDLCディスプレイ装置100’の反射モードでさらに明るい映像の表示が可能である。
【0062】
前述した実施形態によれば、PDLCディスプレイ装置は反射モード、透過モードまたは混合された反射−透過モードで選択的に動作できる。明示的に図示されていないが、PDLCディスプレイ装置は、制御部または他のスイッチング素子に結合されうる。制御部またはスイッチング素子は、外光を感知するように構成された光センサを備えることもできる。一例で、制御部は、感知された外光の強度に基づいて透過モード、反射モード及び透過−反射モード間のスイッチングを可能にする。このため、制御部は感知された外光の強度に基づいてバックライトユニット(例えば、バックライトユニット110)を点灯および消灯することができる。例えば、反射モードに適当な外光が存在するならば、制御部は、バックライトユニットを消灯できる。一方、反射モードに適当な外光が存在していなければ、制御部はバックライトユニットを点灯できる。制御部は、PDLCディスプレイ装置の電力消費に基づいて類似した判断をすることもできる。例えば、低い電力消費が求められるならば、制御部は、PDLCディスプレイ装置が反射モードで動作できるように、バックライトユニットを消灯することができる。一方、低い電力消費が求められなければ、制御部は、PDLCディスプレイ装置が透過モードで動作できるようにバックライトユニットを点灯できる。
【0063】
これまで、本願発明の理解を助けるために多様な実施形態が説明されて、添付した図面に図示された。しかし、これらの実施形態は単に本発明を例示するためのものであって、これを制限しないという点が理解されねばならない。そして本発明は、図示されて説明された説明に限定されないという点が理解されねばならない。これは多様な他の変形が当業者によりなされうるためである。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、液晶ディスプレイ装置関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0065】
10 PDLCディスプレイパネル、
11,19 第1及び第2透明基板、
12,18 第1及び第2透明電極、
13 ポリマー層、
14 液晶液滴、
15r,15g 量子ドット、
16 染料、
17 隔壁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー層と、
前記ポリマー層内に分散された複数の液晶液滴と、
前記液晶液滴の内部に混合されている複数の量子ドットと、を備える画素を有し、当該画素の前記複数の量子ドットは、前記ポリマー層の外部から供給される励起光により励起されてそれぞれの前記量子ドットに応じた特定の色の光を発生させる、ディスプレイパネル。
【請求項2】
前記励起光は、青色光である、請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項3】
前記ディスプレイパネルは、複数の画素をさらに有し、
それぞれの前記画素は、青色、緑色、及び赤色サブ画素を備え、
前記緑色サブ画素は、複数の液晶液滴を有し、当該液晶液滴は、青色光により励起されて緑色光を発生させる複数の量子ドットを備え、
前記赤色サブ画素は、複数の液晶液滴を有し、当該液晶液滴は、青色光により励起されて赤色光を発生させる複数の量子ドットを備え、
前記青色サブ画素は、複数の液晶液滴を有し、当該液晶液滴は、量子ドットを備えない、請求項1または2に記載のディスプレイパネル。
【請求項4】
前記励起光は、紫外線(UV)光である、請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項5】
前記ディスプレイパネルは、複数の画素をさらに有し、
それぞれの前記画素は、青色、緑色、及び赤色サブ画素を備え、
前記緑色サブ画素は、複数の液晶液滴を有し、当該液晶液滴は、UV光により励起されて緑色光を発生させる複数の量子ドットを備え、
前記赤色サブ画素は、複数の液晶液滴を有し、当該液晶液滴は、UV光により励起されて赤色光を発生させる量子ドットを備え、
前記青色サブ画素は、複数の液晶液滴を有し、当該液晶液滴は、UV光により励起されて青色光を発生させる量子ドットを備える、請求項1または4に記載のディスプレイパネル。
【請求項6】
前記量子ドットは、前記液晶液滴の外部のポリマー層内にさらに分散されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のディスプレイパネル。
【請求項7】
請求項1に記載のディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルに励起光を供給するためのバックライトユニットと、を備える、ディスプレイ装置。
【請求項8】
前記励起光は青色光である、請求項7に記載のディスプレイ装置。
【請求項9】
前記ディスプレイパネルは複数の画素をさらに有し、
それぞれの画素は、青色、緑色、及び赤色サブ画素を備え、
前記緑色サブ画素は、複数の液晶液滴を有し、当該液晶液滴は、青色光により励起されて緑色光を発生させる量子ドットを備え、
前記赤色サブ画素は、複数の液晶液滴を有し、当該液晶液滴は、青色光により励起されて赤色光を発生させる量子ドットを備え、
前記青色サブ画素は、複数の液晶液滴を有し、当該液晶液滴は、量子ドットを備えない、請求項7または8に記載のディスプレイ装置。
【請求項10】
前記青色、緑色、及び赤色サブ画素とそれぞれ対応するように配列された青色、緑色、及び赤色フィルタを持つカラーフィルタ層をさらに備える、請求項9に記載のディスプレイ装置。
【請求項11】
前記青色、緑色、及び赤色サブ画素とそれぞれ対応するように配列されたシアン、イエロー、及びマゼンタフィルタを持つカラーフィルタ層をさらに備える、請求項9に記載のディスプレイ装置。
【請求項12】
前記ポリマー層内に配される複数の隔壁をさらに備え、前記複数の隔壁は、前記青色、緑色、及び赤色サブ画素を互いに分離するように構成される、請求項9〜11のいずれか1項に記載のディスプレイ装置。
【請求項13】
前記励起光は、紫外線(UV)光である、請求項7に記載のディスプレイ装置。
【請求項14】
前記ディスプレイパネルは、複数の画素をさらに有し、
それぞれの前記画素は、青色、緑色、及び赤色サブ画素を備え、
前記緑色サブ画素は、複数の液晶液滴を有し、当該液晶液滴は、UV光により励起されて緑色光を発生させる量子ドットを備え、
前記赤色サブ画素は、複数の液晶液滴を有し、当該液晶液滴は、UV光により励起されて赤色光を発生させる量子ドットを備え、
前記青色サブ画素は、複数の液晶液滴を有し、当該液晶液滴は、UV光により励起されて青色光を発生させる量子ドットを備える、請求項7または13に記載のディスプレイ装置。
【請求項15】
前記青色、緑色、及び赤色サブ画素とそれぞれ対応するように配列された青色、緑色、及び赤色フィルタを持つカラーフィルタ層をさらに備える、請求項14に記載のディスプレイ装置。
【請求項16】
前記青色、緑色、及び赤色サブ画素とそれぞれ対応するように配列されたシアン、イエロー、及びマゼンタフィルタを持つカラーフィルタ層をさらに備える、請求項14に記載のディスプレイ装置。
【請求項17】
前記ポリマー層内に配される複数の隔壁をさらに備え、前記複数の隔壁は、前記青色、緑色、及び赤色サブ画素を互いに分離するように構成される、請求項14に記載のディスプレイ装置。
【請求項18】
前記量子ドットは、前記液晶液滴の外部のポリマー層内にさらに分散されている、請求項7〜17のいずれか1項に記載のディスプレイ装置。
【請求項19】
前記バックライトユニットは、前記ディスプレイパネルに入射する外部光を反射する反射板の機能を有するように構成される、請求項7〜18のいずれか1項に記載のディスプレイ装置。
【請求項20】
前記バックライトユニットは、感知された外部光の強度に基づいて選択的に点灯されるか、または消灯される、請求項7〜19のいずれか1項に記載のディスプレイ装置。
【請求項21】
前記バックライトユニットが消灯される時、前記ディスプレイ装置は、反射モードで動作する、請求項20に記載のディスプレイ装置。
【請求項22】
前記バックライトユニットが点灯される時、前記ディスプレイ装置は、透過モード及び透過−反射モードのうちいずれか一つのモードで動作する、請求項20に記載のディスプレイ装置。
【請求項23】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルに励起光を提供するためのバックライトユニットと、を備える、フレキシブルディスプレイ装置。
【請求項24】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルに励起光を提供するためのバックライトユニットと、を備える、電子ペーパーディスプレイ装置。
【請求項25】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルに励起光を提供するためのバックライトユニットと、を備える、液晶ディスプレイ装置。
【請求項26】
ポリマー層と、
前記ポリマー層内に分散された複数の液晶液滴と、
前記ポリマー層の外部から供給される励起光により励起されていずれか一つの色の光をそれぞれ発生させる手段と、を備える画素を有し、前記手段は、前記液晶液滴の内部に混合されている、ディスプレイパネル。
【請求項27】
前記ディスプレイパネルは、複数の画素をさらに有し、
それぞれの画素は、青色、緑色、及び赤色サブ画素を備え、
前記緑色サブ画素は、前記励起光により励起されて緑色光を発生させる手段を備え、
前記赤色サブ画素は、前記励起光により励起されて赤色光を発生させる手段を備える、請求項26に記載のディスプレイパネル。
【請求項28】
請求項26に記載のディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルに励起光を提供するためのバックライトユニットと、を備える、ディスプレイ装置。
【請求項29】
青色、緑色、及び赤色サブ画素とそれぞれ対応するように配列された青色、緑色、及び赤色フィルタを持つカラーフィルタ層をさらに備える、請求項28に記載のディスプレイ装置。
【請求項30】
青色、緑色、及び赤色サブ画素とそれぞれ対応するように配列されたシアン、イエロー、及びマゼンタフィルタを持つカラーフィルタ層をさらに備える、請求項28に記載のディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−191424(P2010−191424A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29117(P2010−29117)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】