説明

量子ドット太陽光素子及びその製造方法

本発明は広波長帯域の光吸収が可能であり、高い電子正孔対分離効率を持って高い光電変換効率を持つ半導体基盤の太陽光素子及びその製造方法を提供することであり、詳しくは本発明による太陽光素子の製造方法は、a)p型またはn型半導体基板の上部に、前記半導体基板と同一型の不純物がドープされた媒質の内部に半導体量子ドットが形成された半導体量子ドット薄膜を形成する段階;b)部分エッチングによって前記半導体量子ドット薄膜を貫く気孔アレイを形成する段階;c)前記気孔アレイが形成された半導体量子ドット薄膜に前記半導体基板と相補的な不純物がドープされた半導体を蒸着する段階;d)前記相補的不純物がドープされた半導体上に透明伝導膜及び上部電極を順次に形成し、前記半導体基板の下部に下部電極を形成する段階;を含んでなる特徴がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広波長帯域の光吸収が可能であり、高い電子正孔対分離効率を持って高い光電変換効率を持つ半導体基盤の太陽光素子(semiconductor based photovoltaic device)及びその製造方法に係り、より詳しくはp層またはn層の内部に半導体量子ドット(semiconductor quantum dots)が備えられ、p−nジャンクション(junction)が大面積の垂直接合構造を持つ高効率半導体基盤の太陽光素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光素子の場合、製作費用を節減して効率を高めるために、シリコン以外の多様な素材の研究が試みられているが、半導体原理を用いる太陽光素子の特性によってシリコンを基盤とする太陽光素子に比べて効率が非常に低くて劣化によって寿命が短縮して実際に市場占有率は3%前後と低い実情である。
【0003】
シリコンを基盤とする太陽光素子の場合、シリコン単結晶、シリコン多結晶を用いるものがほとんどであり、太陽光システムの構築の際、シリコン素材及びウェハーが占める費用が全構築費用の40%を超えている実情なので、これに対する現実的解決策として構造的(morphology)/物理化学的(Engineering)接近によって単位電力生産に必要なシリコンの量を減らそうとする努力と薄膜型素子によってシリコンの消耗を最小化しようとする努力が注がれている。
【0004】
単位電力生産に必要なシリコンの量を減らすためには、シリコン質量当たり吸収光量を増加させ、光吸収時の電子正孔対の生成効率を高め、生成された電子正孔対の再結合を防止して効果的に分離させることが必要である。
【0005】
p−nあるいはp−i−n接合が基板と水平な既存の水平接合太陽光素子の場合、太陽光素子の光吸収層がp−nジャンクションに形成された偏平な構造の空乏層または中性層(i)に限定される。従来の水平接合太陽光素子において光吸収層(p−n空乏層、あるいはi層)を厚くすれば多量の光を吸収することができるが、接合両端電極間の距離が遠くなって電場が減少して、電子正孔対を分離しにくくなるので、接合の厚さを厚くするのに限界がある。また、吸収可能な光波長帯域が非常に狭くて理論的変換効率が30%未満であると知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した問題点を解決するための本発明の目的は、広波長帯域の光吸収が可能であり、高い電子正孔対分離効率を持つとともに光吸収層領域を極大化して高い光電変換効率を持つ半導体太陽光素子及びその製造方法を提供することであり、詳しくは光吸収層領域に半導体量子ドットが備えられて広波長帯域の光吸収が可能であり、p−nジャンクション(junction)が垂直及び放射状接合構造を持ち、半導体量子ドットとp層/n層間の接触面積を極大化し、非晶質半導体のように欠陷(defect)が多い場合にも電場によるドリフト(drift)によって効果的に電子正孔対を分離することができる高効率の太陽光素子、及び簡単で経済的な工程によって高効率の太陽光素子を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による太陽光素子の製造方法は、a)p型またはn型半導体基板の上部に、前記半導体基板と同一型の不純物がドープされた媒質の内部に半導体量子ドットが形成された半導体量子ドット薄膜を形成する段階;b)部分エッチングによって前記半導体量子ドット薄膜を貫く気孔アレイを形成する段階;c)前記気孔アレイが形成された半導体量子ドット薄膜に前記半導体基板と相補的な不純物がドープされた半導体を蒸着する段階;d)前記相補的不純物がドープされた半導体上に透明伝導膜及び上部電極を順次に形成し、前記半導体基板の下部に下部電極を形成する段階を含んでなる特徴がある。
【0008】
前記p型またはn型半導体基板はp型不純物またはn型不純物がドープされた半導体基板を含み、半導体物質自体の特性によって正孔の移動により電流が流れる半導体(p型)基板または電子の移動により電流が流れる半導体(n型)基板を含む。
【0009】
前記半導体基板と同一型の不純物は媒質が前記半導体基板と同種の電荷キャリア(charge carrier)を生成する不純物を意味する。
【0010】
詳しくは、前記半導体基板と同一型の不純物は、前記半導体基板がp型の場合、媒質の物質を基準として受容体型(acceptor)不純物を意味し、前記半導体基板がn型の場合、媒質の物質を基準として供与体型(donner)不純物を意味する。
【0011】
前記半導体基板と相補的な不純物は前記p型またはn型の半導体基板と異なる種類の電荷キャリア(charge carrier)を生成する不純物を意味し、詳しくは前記半導体基板がp型の場合、供与体型不純物を意味し、前記半導体基板がn型の場合、受容体型不純物を意味する。
【0012】
前記半導体基板と相補的な不純物がドープされた半導体は前記半導体基板の電荷キャリアと異なる電荷キャリアを持つ半導体を意味し、詳しくは前記半導体基板の電荷キャリアが電子(electron)の場合、ホール(hole)を電荷キャリアとして持つ半導体を意味し、前記半導体基板の電荷キャリアがホール(hole)の場合、電子(electron)を電荷キャリアとして持つ半導体を意味する。
【0013】
前記半導体基板または前記半導体基板と相補的な不純物がドープされる半導体はSi、Geを含む4族半導体、GaAs、InPを含む3−5族半導体、酸化物半導体、窒化物半導体を含む。
【0014】
結晶学的に、前記半導体基板または前記半導体基板と相補的な不純物がドープされる半導体は単結晶体、多結晶体または非晶質を含む。
【0015】
前記媒質は半導体窒化物、半導体酸化物、またはこれらの混合物であり、前記半導体窒化物、半導体酸化物、またはこれらの混合物は前記半導体基板をなす元素の窒化物、酸化物またはこれらの混合物である。
【0016】
好ましくは、前記半導体基板または前記半導体基板と相補的な不純物がドープされる半導体は4族半導体であり、前記媒質は4族元素の酸化物、窒化物またはこれらの混合物である。
【0017】
前記半導体量子ドット薄膜を貫く気孔は前記半導体量子ドット薄膜を厚さ方向に貫く気孔を意味し、前記貫通は前記半導体量子ドット薄膜だけでなく、前記半導体量子ドット薄膜の下部に存在する前記p型またはn型の半導体基板の一定厚さまで気孔が形成される意味を含む。
【0018】
前記気孔アレイは物理的に互いに分離された多数の前記半導体量子ドット薄膜を貫く気孔を意味し、前記気孔アレイは前記半導体量子ドット薄膜を貫く気孔が規則的な配列を持つ場合を含み、単一気孔が六つの最隣接の気孔を持つ場合を含む。
【0019】
前記a)段階は下記のa1−1)及びa1−2)の方法または下記のa2−1)及びa2−2)の方法で行われる特徴がある。
【0020】
詳しくは、前記a)段階は、a1−1)半導体基板の上部に前記半導体基板と同一型の不純物がドープされた半導体窒化物、半導体酸化物またはこれらの混合物の媒質層と半導体層を繰り返し積層して複合積層層を形成する段階;及びa1−2)前記複合積層層を熱処理して前記半導体基板と同一型の不純物がドープされた半導体窒化物、半導体酸化物またはこれらの混合物である媒質内に半導体量子ドットを形成した後、水素雰囲気で熱処理して前記半導体量子ドットの非結合電子を水素と結合させる段階;を含んでなる特徴がある。
【0021】
詳しくは、前記a)段階は、a2−1)半導体基板の上部に前記半導体基板と同一型の不純物がドープされ、酸素または窒素が不足した非化学量論比を持つ半導体酸化物、半導体窒化物、またはこれらの混合物を含む非化学量論化合物層を形成する段階;及びa2−2)前記非化学量論化合物層を熱処理して前記半導体基板と同一型の不純物がドープされた半導体窒化物、半導体酸化物またはこれらの混合物である媒質内に半導体量子ドットを形成した後、水素雰囲気で熱処理して前記半導体量子ドットの非結合電子を水素と結合させる段階;を含んでなる特徴がある。
【0022】
この際、前記a1−1)段階の前記複合積層層は、前記PVD(Physical Vapor Deposition)、CVD(Chemical Vapor Deposition)またはALD(Atomic Layer Deposition)を含む蒸着工程によって形成され、前記複合積層層を構成する前記媒質層と半導体層は互いに独立して1nm〜5nmの厚さであることが好ましい。
【0023】
より好ましくは、前記複合積層層を構成する半導体層は互いに異なる厚さを持ち、前記半導体基板に隣接した半導体層であるほど厚い厚さを持つ。
【0024】
この際、a2−1)段階の前記非化学量論化合物層はPVD(Physical Vapor Deposition)、CVD(Chemical Vapor Deposition)またはALD(Atomic Layer Deposition)を含む蒸着工程によって形成され、前記非化学量論化合物層に含有された前記半導体酸化物または半導体窒化物は化学量論比を満足する結合に必要な酸素量または窒素量において0〜50%が不足であり、非化学量論化合物層の厚さ方向に酸素量または窒素量が勾配(gradient)を有する特徴がある。
【0025】
前記酸素量または窒素量の勾配は不連続的な勾配(discontinuous gradient)または連続的な勾配(continuous gradient)を含み、深さ方向に非化学量論化合物層の酸素量または窒素量が変わる勾配を含む。
【0026】
前記非化学量論化合物層に含有された前記半導体酸化物または半導体窒化物は前記半導体基板に近くなるほど酸素量または窒素量が減少することが好ましい。詳しくは、前記酸素量または窒素量の勾配は前記半導体基板に近くなるほど酸素量または窒素量が連続的または不連続的に減少する。
【0027】
前記b)段階は熱処理及び水素化処理された前記複合積層層または非化学量論化合物層を部分エッチングしてトップ−ダウン方式で低次元ナノ構造体を製造する段階で、詳しくは、b1)前記半導体量子ドット薄膜の上部にマスクを形成する段階;及びb2)反応性イオンエッチング(RIE;Reactive Ion Etching)によって前記マスクのパターンを転写して前記半導体量子ドット薄膜を貫く気孔のアレイを形成する段階;を含んでなる特徴がある。
【0028】
前記b2)段階の反応性イオンエッチングによって形成された気孔の短軸直径は20nm〜1000nmである特徴がある。
【0029】
好ましくは、前記太陽光素子はシリコン太陽光素子であり、前記半導体量子ドットはシリコン量子ドットであり、前記媒質はシリコン酸化物、シリコン窒化物またはこれらの混合物である。
【0030】
詳しくは、前記p型またはn型半導体基板はp型またはn型シリコン基板であり、前記半導体基板と相補的な不純物がドープされた半導体はシリコン基板と相補的な不純物がドープされたn型またはp型シリコンであり、前記半導体量子ドットはシリコン量子ドットであり、前記媒質はシリコン酸化物、シリコン窒化物またはこれらの混合物である。
【0031】
本発明による太陽光素子は、下部電極;前記下部電極上に形成されたn型またはp型の第1半導体層;前記第1半導体と同一型の不純物がドープされた媒質内に多数の半導体量子ドットが形成され、多数の貫通気孔が形成された多孔性半導体量子ドット層;前記多孔性半導体量子ドット層に接して形成され、前記第1半導体層と相補的な不純物がドープされた半導体物質である第2半導体層;前記第2半導体上に順次に形成された透明伝導膜及び上部電極;を含んでなる特徴がある。
【0032】
前記媒質は半導体窒化物、半導体酸化物、またはこれらの混合物であり、前記半導体窒化物、半導体酸化物、またはこれらの混合物は前記半導体基板をなす元素の窒化物、酸化物またはこれらの混合物である。
【0033】
前記多孔性半導体量子ドット層に形成された貫通気孔は多数の半導体量子ドットが形成された媒質を厚さ方向に貫く気孔を意味し、前記多孔性半導体量子ドット層に形成された前記貫通気孔は前記多孔性半導体量子ドット層の下部に存在する前記第1半導体層の一定深さまで気孔が形成された場合を含む。
【0034】
前記多数の貫通気孔は物理的に互いに分離された多数の前記貫通気孔が規則的な配列を持つ意味を含み、一つの貫通気孔が六つの最隣接貫通気孔を持つように配列された意味を含む。
【0035】
前記多孔性半導体量子ドット層の前記半導体量子ドットは互いに異なるサイズを持ち、前記第1半導体層に近くなるほど大きなサイズを持つ特徴がある。
【0036】
詳しくは、前記多孔性半導体量子ドット層の前記半導体量子ドットは多孔性半導体量子ドット層の厚さ方向にサイズの勾配(gradient)を持ち、前記第1半導体層に近くなるほど半導体量子ドットのサイズが大きくなる特徴がある。
【0037】
前記太陽光素子は前記多孔性半導体量子ドット層を貫く貫通気孔による表面にp−nジャンクション(p-n junction)が形成され、詳しくは前記貫通気孔であるナノ柱の表面(radial surface)の全領域にp−nジャンクションが形成される。
【0038】
好ましくは、前記太陽光素子はシリコン太陽光素子であり、前記半導体量子ドットはシリコン量子ドットであり、前記媒質はシリコン酸化物、シリコン窒化物またはこれらの混合物である。
【0039】
詳しくは、前記p型またはn型第半導体層はp型またはn型シリコン基板であり、前記第2半導体層はn型またはp型シリコンであり、前記半導体量子ドットはシリコン量子ドットであり、前記媒質はシリコン酸化物、シリコン窒化物またはこれらの混合物である。
【発明の効果】
【0040】
本発明による太陽光素子はp層またはn層領域に多様なサイズの半導体量子ドットが含入されている構造を持つので、広波長帯域の光吸収が可能であり、半導体量子ドットがp層またはn層に含入されている状態で半導体量子ドットが形成された領域を相補的不純物がドープされた半導体物質が円筒状アレイ状に貫く低次元ナノ構造を持って大面積の垂直(vertical)及び放射(radial)の接合構造を持ち、これにより光吸収層とp層/n層間の接触面積を極大化し、非晶質シリコンのように欠陷(defect)が多い場合にも電場によるドリフト(drift)によって効果的に電子正孔対を分離することができる高効率の太陽光素子である利点があり、本発明による太陽光素子の製造方法は、p層またはn層領域に半導体量子ドットが含入されて大面積の垂直(vertical)及び放射(radial)の接合構造を持つ高効率太陽光素子を高度のリソグラフィー工程やエピタキシャル工程を用いずにトップ−ダウン方式で低次元ナノ構造の製造が可能であり、半導体量子ドットのサイズ、位置、密度などの制御が容易であり、蒸着、熱処理、エッチング、蒸着の簡単で容易な工程によって高効率太陽光素子の製造が可能な利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の太陽光素子の製造方法を示す一例である。
【図2】本発明による複合積層層を示す一例である。
【図3】本発明による反応性イオンエッチングに使われるマスクの一例を示すものである。
【図4】本発明によるナノ多孔性アルミナを用いた反応性イオンエッチング段階の一例である。
【図5】本発明による網形膜を用いた反応性イオンエッチング段階の一例である。
【図6】本発明による反応性イオンエッチングによって貫通気孔が形成された多孔性半導体量子ドット層の一例を示すものである。
【図7】本発明による製造方法においてp−nジャンクション形成段階の一例を示すものである。
【図8】本発明による製造方法において非化学量論化合物層を用いた半導体量子ドット層製造の一例を示すものである。
【図9】本発明による非化学量論化合物層の厚さ方向(t)に形成された酸素または窒素勾配の一例を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、添付図面に基づいて本発明の太陽光素子及びその製造方法を詳細に説明する。次に紹介する図面は当業者に本発明の思想が充分に伝達されるようにするための例として提供するものである。よって、本発明は以下に提示する図面に限定されなくて他の形態に具体化することもできる。また、明細書全般にわたって同一参照番号は同一構成要素を示す。
【0043】
この際、使われる技術用語及び科学用語において他の定義がなければ、この発明が属する技術分野で通常の知識を持った者が通常に理解している意味を持ち、下記の説明及び添付図面において本発明の要旨を不必要にあいまいにすることができる公知の機能及び構成についての説明は省略する。
【0044】
以下、p型半導体基板(p型第1半導体層)を一例とする図面に基づいて本発明を詳述するが、半導体基板(第1半導体層)がn型の場合、媒質にn型不純物がドープされ、相補的不純物がドープされた半導体(第2半導体層)がp型に取り替えられるのは明らかであり、本発明がp型半導体基板(p型第1半導体層)によって限定されないのは明らかである。
【0045】
図1は本発明による製造方法を示す一工程図で、p型半導体基板110の上部に蒸着工程によって前記半導体基板110と同じ電気的性質の不純物、つまりp型不純物がドープされた媒質薄膜(媒質層)121と半導体薄膜(半導体層)122を交互に蒸着して多層薄膜構造の複合積層層120を製造する。
【0046】
前記媒質薄膜121は半導体酸化物、半導体窒化物またはこれらの混合物である特徴があり、前記複合積層層120を構成する多数の媒質薄膜121は膜別に互いに異なる物質(半導体酸化物、半導体窒化物、半導体酸化物と半導体窒化物の混合物)及び互いに異なる厚さを持つことができる。
【0047】
前記半導体薄膜122の熱処理によって半導体量子ドット132が形成されるので、前記半導体薄膜122の厚さ、前記複合積層層120内での前記半導体薄膜122の位置(高さ)、前記複合積層層120を構成する半導体薄膜122の数などによって、媒質131内の半導体量子ドット132の位置、サイズ、個数などが制御される。
【0048】
詳しくは、複合積層層120の蒸着の際、前記媒質薄膜121及び半導体薄膜122の厚さをそれぞれナノメートルの大きさになるように蒸着することが好ましく、媒質薄膜121及び半導体薄膜122の厚さが独立して1〜5nmになるように蒸着することがより好ましい。
【0049】
また、図2に示すように、前記半導体薄膜122(a)、122(b)、122(c)、122(d)は前記p型半導体基板110に近くなるほど厚さが厚くなることが好ましい。これは、p型半導体基板110に近くなるほど(光が深く浸透するほど)熱処理によってより大きな半導体量子ドット132を製造するためのものである。
【0050】
また、前記複合積層層120の厚さを数ナノメートル〜数百ナノメートルに製造し、複合積層層120の熱処理によって製造される半導体量子ドット層130(半導体量子ドット薄膜)の厚さが数ナノメートル〜数百ナノメートルになるように制御することが好ましい。
【0051】
その後、前記複合積層層120を高温で熱処理して媒質131内に多数の半導体量子ドット132が形成された半導体量子ドット層130(半導体量子ドット薄膜)を形成する。
【0052】
前記熱処理によって複合積層層120の半導体薄膜122は応力緩和及び界面エネルギーの最小化を駆動力として媒質薄膜121を構成する媒質物質で取り囲まれた半導体量子ドット132アレイ状に変化され、半導体量子ドット132アレイを形成した後、水素雰囲気で再熱処理して前記半導体量子ドット132の非結合電子を水素と結合させる。
【0053】
半導体量子ドット132を形成させるための前記熱処理は、媒質の種類、半導体薄膜の種類、製造しようとする量子ドットのサイズ及び密度によって決まらなければならない。前記半導体量子ドットの製造の際、熱処理温度があまり低くなる場合、物質の移動が難しくて半導体量子ドット形状を得にくく、熱処理温度があまり高くなる場合、半導体量子ドットのサイズが非常に非均一になる危険、及び量子拘束効果(Quantum confinement effect)が低い粗粒子が生成する危険がある。
【0054】
半導体量子ドット132を形成させるための前記熱処理は、半導体酸化物、好ましくは酸化シリコン(SiO)が媒質の場合、1000〜1200℃で行われ、半導体窒化物、好ましくは窒化シリコン(Si)が媒質の場合、800〜1200℃で行われることが好ましく、前記熱処理は10〜30分間行われることが好ましい。
【0055】
その後、水素雰囲気で熱処理して前記半導体量子ドットの非結合電子を水素と結合させる水素化段階が行われる。前記水素化段階の熱処理温度は半導体量子ドットの種類によって決まらなければならなく、前記半導体量子ドットがシリコン量子ドットの場合、フォーミングガス(forming gas;95%Ar−5%H2)を用いた水素雰囲気下の600〜700℃温度で30分〜90分間熱処理することが好ましい。
【0056】
上述した熱処理及び水素化段階の後、媒質131内に半導体量子ドット132が形成された半導体量子ドット薄膜130を前記p型半導体基板110の表面に対して垂直方向に部分エッチングするトップ−ダウン(top-down)方式で前記半導体量子ドット層130を貫く気孔300アレイを製造する。
【0057】
詳しくは、前記半導体量子ドット薄膜130の上部にマスク200を形成し、反応性イオンエッチング(RIE;Reactive Ion Etching)によって前記マスク200のパターンを転写して、前記半導体量子ドット薄膜を貫く気孔のアレイを形成する。
【0058】
前記マスク200は、図3に示すように、気孔(図3のpore)が規則的に配列されたマスクであることが好ましく、金属、金属酸化物、または有機物であることができる。図3はマスク気孔の形状が円形の一例を示したが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0059】
好ましくは、図4に示すように、高比表面積を持つように微細な貫通気孔アレイを製造し、20nm〜1000nmの短軸直径を持つ貫通気孔を製造するために、前記マスク200はナノ多孔性アルミナ(AAO;anodic alumina oxide)210であることが好ましく、前記ナノ多孔性アルミナ210をエッチングマスクとして反応性イオンエッチング(RIE;Reactive Ion Etching)を行って、半導体量子ドット層130を貫く貫通気孔300を形成することが好ましい。
【0060】
前記ナノ多孔性アルミナは数ナノメートルの貫通気孔が形成されたアルミナで、アルミニウムを硫酸、シュウ酸またはリン酸を電解質として陽極酸化させて製造することができる。詳細なナノ多孔性アルミナの製造方法は本出願人の論文(W.Lee et al.,Nature Nanotech.3,402(2008))に記載されている。
【0061】
好ましくは、図5に示すように、高比表面積を持つように微細な貫通気孔アレイを製造し、20nm〜1000nmの短軸直径を持つ貫通気孔を製造するために、規則的に空洞が形成された網形(mesh)の膜220を前記半導体量子ドット層130の上部に形成させた後、前記網形の膜220をマスクとして反応性イオンエッチング(RIE;Reactive Ion Etching)を行って半導体量子ドット層130を貫く貫通気孔300を形成させることが好ましい。
【0062】
この際、前記網形の膜220は金属膜であることが好ましく、前記網形の金属膜220はナノ多孔性アルミナ(AAO;anodic alumina oxide)をマスクとして用いて製造することができる。
【0063】
より詳しくは、前記半導体量子ドット層130に金属膜を一定厚さに蒸着した後、前記ナノ多孔性アルミナをマスクとして金属膜をエッチングして小さくは数ナノメートルの円形気孔が規則的に配列された網形金属膜220を製造することができる。
【0064】
他の方法としては、ナノ多孔性アルミナをマスクとして半導体量子ドット層130を前記ナノ多孔性アルミナの気孔形状に一定深さに反応性イオンエッチング(RIE)を行って半導体量子ドット層130の表面に一定深さの表面凹凸を形成した後、前記表面凹凸が形成された半導体量子ドット層130の上部に金属を蒸着させる。金属の蒸着の際、半導体量子ドット層130の表面段差によってふくらんでいる領域(RIEによって食刻されなかった領域)に選択的に金属が蒸着されることで、ナノ多孔性アルミナと類似のサイズ及び配列を持つ空洞が形成された網形金属膜220を製造することができる。
【0065】
上述したように、マスク200を形成した後、反応性イオンエッチング(RIE)を行って、前記半導体量子ドット層130を貫く貫通気孔300を形成する。この際、前記ナノ多孔性アルミナ210の気孔または前記網形膜220の空洞部分で前記半導体量子ドット層130の食刻が行われるので、前記反応性イオンエッチングの後、前記半導体量子ドット層130はナノ多孔性アルミナ210または網形膜220の気孔構造と類似の貫通気孔構造を持つことになる。
【0066】
上述した反応性イオンエッチングによって、図6に示すように、半導体量子ドット層130の一部が垂直方向にエッチングされて貫通気孔300が形成され、前記半導体量子ドット層130は一定厚さを持つ網形(マスクの気孔パターンと類似の網状)130’を持つことになる。
【0067】
この際、半導体量子ドット層130の部分エッチングによって、図5のように、前記半導体量子ドット層130を厚さ方向に貫く気孔300が形成され、前記部分エッチングの際、前記半導体量子ドット層130及び前記半導体量子ドット層130の下部に位置する半導体基板110の一定深さまでエッチングが行われ、図6のように、前記気孔300が半導体量子ドット層130を通じて半導体基板110まで伸びることができる。
【0068】
前記反応性イオンエッチング(RIE)の際、半導体量子ドット132が表面に露出されることができるが、反応性イオンエッチングによって表面に露出される半導体132の表面で自然酸化が引き起こされて、前記半導体量子ドットが媒質131’内に含入されている形状を持つことになる。
【0069】
前記反応性イオンエッチングによって形成された貫通気孔300の短軸直径は20nm〜1000nmであることが好ましい。これは、前記p型半導体基板110と同一性質のp型不純物がドープされた媒質130’が前記p型半導体基板110と類似の役目をして、媒質130’に形成された内部電場によって前記半導体量子ドット132’で生成された電子正孔対のうち正孔をドリフト(drift)させて電流を発生させるからである。
【0070】
前記貫通気孔300の直径があまり大きければ相対的にエッチングによって除去される半導体量子ドット(光活性領域)が増加して光電効率を減少させ、前記貫通気孔300の直径があまり小さければ直列抵抗が増加して光電効率を減少させることができる。
【0071】
その後、前記貫通気孔300のアレイが形成された半導体量子ドット層130’の上部及び前記貫通気孔300の内部に前記媒質131’及び前記半導体基板110と相補的な不純物がドープされたn型半導体を蒸着する工程が行われる。
【0072】
図1に示すように、本発明は、前記蒸着の際、前記p型半導体基板110の上部に前記半導体量子ドット層130の部分エッチングによって形成された空間(貫通気孔アレイ)をすべてn型半導体140で満たし(filling)、前記半導体量子ドット層130’をまったく覆って表面にn型半導体140だけ存在するように蒸着することでp−nジャンクションを形成する。
【0073】
他の方法として、図7に示すように、前記多孔性半導体量子ドット層130の表面(貫通気孔によって形成された表面を含み)に、部分エッチングによって形成された空間(貫通気孔アレイ)がすべて満たされないように、n型半導体140を蒸着することでp−nジャンクションを形成する。
【0074】
これにより、前記p型不純物がドープされた媒質131’及び前記p型半導体基板110と前記n型半導体140の間に前記貫通気孔300の外面形状のp−nジャンクション(junction)が形成され、前記半導体基板110と前記半導体量子ドット132’で生成された電子正孔対のうち正孔は前記媒質131’を通じて前記p型半導体基板110に、電子は前記貫通気孔300に満たされたn型半導体に移動されて分離される。
【0075】
この際、前記n型半導体140の蒸着によって、前記貫通気孔300の外面に沿って垂直(vertical)及び放射(radial)の接合構造のp−nジャンクションが形成され、前記半導体量子ドット132’は前記p型半導体基板110の延長部である媒質131’内に含入された構造を持つことになる。
【0076】
好ましくは、前記半導体量子ドット132’が位置する前記媒質131’はp−nジャンクションによる空乏(built-in depletion layer)状態であることが好ましく、これは前記媒質131’の不純物ドーピング濃度、前記n型半導体の不純物ドーピング濃度、前記貫通気孔300の中心間距離(及び貫通気孔の短軸直径)を調節して制御することができる。
【0077】
その後、図1または図7に示すように、前記p型半導体基板110の下部及び前記n型半導体140の表面のそれぞれに互いに対向するように電極153、152、151を形成することで本発明による太陽光素子を製造する。前記n型半導体140の表面が受光面になることが好ましい。この際、光の損失を最小化するために、前記n型半導体140の表面の電極は透明電極膜151及び前記透明電極膜151上部の金属パッド152の構造を持つことが好ましく、前記透明電極膜151は前記n型半導体140の表面の全領域上部に形成されることが好ましい。
【0078】
前記電極151、152、153は導電性金属ペーストを用いたスクリーンプリンティング、ステンシルプリンティングなどの通常のプリンティング法またはPVD/CVDを用いた蒸着法によって製造される。
【0079】
図8に示すように、本発明による前記半導体量子ドット層130は前記複合積層層120でない非化学量論化合物層120’を熱処理及び水素化処理することで製造することができる。
【0080】
前記非化学量論化合物層120’は、p型半導体基板110の上部に前記p型半導体基板と同一型の不純物がドープされ、非化学量論比を持つ半導体化合物半導体窒化物、半導体酸化物またはこれらの混合物)を含む媒質で構成される。
【0081】
前記非化学量論化合物層120’は、非化学量論比を持つ半導体化合物(半導体窒化物、半導体酸化物またはこれらの混合物)及び化学量論比を持つ半導体化合物(半導体窒化物、半導体酸化物またはこれらの混合物)を含むことができる。
【0082】
前記非化学量論化合物層120’はPVD(Physical Vapor Deposition)、CVD(Chemical Vapor Deposition)またはALD(Atomic Layer Deposition)を含む蒸着工程によって形成され、蒸着工程の際、半導体物質の前駆体(一例として、シリコン前駆体)と酸素または窒素の比を制御することで、化学量論比を外れた程度を制御することができる。
【0083】
前記非化学量論化合物層120’に含有された媒質を構成する前記半導体酸化物または半導体窒化物は、化学量論比を満足する半導体酸化物または半導体窒化物;及び化学量論比に基づいて結合に必要な酸素量または窒素量に対して50%(化学量論比に基づくatomic%)以内に不足した半導体酸化物または半導体窒化物;を含み、前記非化学量論化合物層120’は非化学量論化合物層の厚さ方向(t)に酸素量または窒素量が勾配(gradient)を有することが好ましい。
【0084】
シリコンが半導体物質である一例として、化学量論比に基づいて結合に必要な酸素量または窒素量に対して50%(atomic%)以内に不足した半導体酸化物はSiO(化学量論比)〜SiO(50%不足)の組成を持ち、半導体窒化物はSi(化学量論比)〜Si(50%不足)の組成を持つ。
【0085】
前記非化学量論化合物層120’に含有された前記半導体酸化物または半導体窒化物は前記半導体基板に近くなるほど化学量論比において窒素不足または酸素不足がより大きくなることが好ましい。すなわち、前記非化学量論化合物層120’に含有された酸素または窒素の組成が非化学量論化合物層120’の深さ(t)が増加するほど減少する。これは、非化学量論化合物層120’の熱処理の際、化学量論比から外れた組成を駆動力(driving force)で生成される半導体量子ドットの非化学量論化合物層120’の深さによって量子ドットのサイズを調節するためであり、前記半導体基板に近くなるほどより大きい半導体量子ドットを形成させるためである。
【0086】
詳しくは、図9に示すように、前記非化学量論化合物層120’の厚さ方向(t)に形成された酸素または窒素の勾配(gradient)は、p型半導体基板110に近くなるほど酸素量または窒素量が不連続的に減少する不連続的勾配(discontinuous gradient)(図9(a))またはp型半導体基板110に近くなるほど酸素量または窒素量が連続的に減少する連続的勾配(continuous gradient)(図9(b))を含む。
【0087】
前記非化学量論化合物層120’を前記複合積層層120と同様に熱処理した後に水素化処理すれば、前記水素量または窒素量の勾配によって半導体−リッチ(rich)の組成を持つp型半導体基板110の隣接領域ではより大きい半導体量子ドットが形成され、表面に近くなるほど(tが減少するほど)より小さな半導体量子ドットが形成される。
【0088】
前記非化学量論化合物層120’を用いて前記半導体量子ドット層130を形成することを除き、上述した方法と同様に本発明による太陽光素子を製造することができる。
【0089】
図1または図7に示すように、上述した本発明の製造方法によって製造されることが好ましい本発明による太陽光素子は、下部電極153;前記下部電極153上に形成されたn型またはp型の第1半導体層110;前記第1半導体層110と同一型の不純物がドープされた媒質131’内に多数の半導体量子ドット132’が形成され、多数の貫通気孔300が形成された多孔性半導体量子ドット層130’;前記多孔性半導体量子ドット層130’に接して形成され、前記第1半導体層110と相補的な不純物がドープされた半導体物質である第2半導体層140;前記第2半導体層140上に順次に形成された透明伝導膜151及び上部電極152;を含んでなる。
【0090】
前記媒質131’は半導体窒化物、半導体酸化物、またはこれらの混合物であり、前記半導体窒化物、半導体酸化物、またはこれらの混合物は前記第1半導体層110をなす元素の窒化物、酸化物またはこれらの混合物である。
【0091】
前記多孔性半導体量子ドット層130’の前記半導体量子ドット132’は互いに異なるサイズを持ち、前記第半導体層110に近くなるほど大きなサイズを持つ特徴があり、前記多孔性半導体量子ドット層130’を貫く貫通気孔300による表面にp−nジャンクション(p-n junction)が形成され、前記媒質131’はp−nジャンクションによる空乏(built-in depletion layer)状態である特徴がある。
【0092】
本発明の製造方法及び本発明の製造方法によって製造される太陽光素子はシリコン基盤の太陽光素子であることが好ましい。
【0093】
詳しくは、前記垂直接合半導体量子ドット太陽光素子はシリコン太陽光素子であり、前記半導体量子ドットはシリコン量子ドットであり、前記媒質は化学量論比または非化学量論比を持つシリコン酸化物、シリコン窒化物またはこれらの混合物であり、前記p型半導体及びn型半導体はp型シリコン及びn型シリコンであり、貫通気孔300の表面に形成されて垂直(vertical)及び放射(radial)の接合構造を持つp−nジャンクションはn型(またはp型)不純物がドープされたシリコン酸化物(またはシリコン窒化物)とp型(またはn型)不純物がドープされたシリコンのジャンクションであることが好ましい。
【0094】
本発明の思想は前述した実施例に限定されてはいけなく、後述する特許請求範囲だけでなくこの特許請求範囲と均等あるいは等価の変形があるすべてのものは本発明思想の範疇に属するものであると言える。
【符号の説明】
【0095】
110:p型半導体層 121:媒質薄膜(媒質層)
122:半導体薄膜(半導体層) 120:複合積層層
120’:非化学量論化合物層 130:半導体量子ドット層
131、131’:媒質 132、132’:半導体量子ドット
130’:貫通型気孔が形成された多孔性半導体量子ドット層
200:エッチングマスク 210:ナノ多孔性アルミナ
220:網形マスク 300:貫通気孔
140:n型半導体 153:下部電極
151:透明電極 152:上部電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)p型またはn型半導体基板の上部に、前記半導体基板と同一型の不純物がドープされた媒質の内部に半導体量子ドットが形成された半導体量子ドット薄膜を形成する段階;
b)部分エッチングによって前記半導体量子ドット薄膜を貫く気孔アレイを形成する段階;
c)前記気孔アレイが形成された半導体量子ドット薄膜に前記半導体基板と相補的な不純物がドープされた半導体を蒸着する段階;
d)前記相補的不純物がドープされた半導体上に透明伝導膜及び上部電極を順次に形成し、前記半導体基板の下部に下部電極を形成する段階;
を含んでなることを特徴とする、太陽光素子の製造方法。
【請求項2】
前記a)段階は、
a1−1)半導体基板の上部に前記半導体基板と同一型の不純物がドープされた半導体窒化物、半導体酸化物またはこれらの混合物の媒質層と半導体層を繰り返し積層して複合積層層を形成する段階;及び
a1−2)前記複合積層層を熱処理して前記半導体基板と同一型の不純物がドープされた半導体窒化物、半導体酸化物またはこれらの混合物である媒質内に半導体量子ドットを形成した後、水素雰囲気で熱処理して前記半導体量子ドットの非結合電子を水素と結合させる段階;を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の太陽光素子の製造方法。
【請求項3】
前記a)段階は、
a2−1)半導体基板の上部に前記半導体基板と同一型の不純物がドープされ、酸素または窒素が不足した非化学量論比を持つ半導体酸化物、半導体窒化物、またはこれらの混合物を含む非化学量論化合物層を形成する段階;及び
a2−2)前記非化学量論化合物層を熱処理して前記半導体基板と同一型の不純物がドープされた半導体窒化物、半導体酸化物またはこれらの混合物である媒質内に半導体量子ドットを形成した後、水素雰囲気で熱処理して前記半導体量子ドットの非結合電子を水素と結合させる段階;を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の太陽光素子の製造方法。
【請求項4】
a1−1)段階の前記複合積層層はPVD(Physical Vapor Deposition)、CVD(Chemical Vapor Deposition)またはALD(Atomic Layer Deposition)を含む蒸着工程によって形成され、前記複合積層層をなす前記媒質層と半導体層は互いに独立して1nm〜5nmの厚さを有することを特徴とする、請求項2に記載の太陽光素子の製造方法。
【請求項5】
前記複合積層層をなす半導体層は互いに異なる厚さを持ち、前記半導体基板に隣接した半導体層であるほど厚さが厚いことを特徴とする、請求項4に記載の太陽光素子の製造方法。
【請求項6】
a2−1)段階の前記非化学量論化合物層はPVD(Physical Vapor Deposition)、CVD(Chemical Vapor Deposition)またはALD(Atomic Layer Deposition)を含む蒸着工程によって形成され、前記非化学量論化合物層に含有された前記半導体酸化物または半導体窒化物は化学量論比を満足する結合に必要な酸素量または窒素量において0〜50%が不足であり、非化学量論化合物層の厚さ方向に酸素量または窒素量が勾配(gradient)を有することを特徴とする、請求項3に記載の太陽光素子の製造方法。
【請求項7】
前記酸素量または窒素量の勾配(gradient)は前記半導体基板に近くなるほど酸素量または窒素量が減少することを特徴とする、請求項6に記載の太陽光素子の製造方法。
【請求項8】
前記b)段階は、
b1)前記半導体量子ドット薄膜の上部にマスクを形成する段階;及び
b2)反応性イオンエッチング(RIE;Reactive Ion Etching)によって前記マスクのパターンを転写して前記半導体量子ドット薄膜を貫く気孔のアレイを形成する段階;
を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の太陽光素子の製造方法。
【請求項9】
前記b2)段階の反応性イオンエッチングによって形成された気孔の短軸直径は20nm〜1000nmであることを特徴とする、請求項8に記載の太陽光素子の製造方法。
【請求項10】
前記太陽光素子はシリコン太陽光素子であり、前記半導体量子ドットはシリコン量子ドットであり、前記媒質はシリコン酸化物、シリコン窒化物またはこれらの混合物であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の太陽光素子の製造方法。
【請求項11】
下部電極;
前記下部電極上に形成されたn型またはp型の第1半導体層;
前記第1半導体と同一型の不純物がドープされた媒質内に多数の半導体量子ドットが形成され、多数の貫通気孔が形成された多孔性半導体量子ドット層;
前記多孔性半導体量子ドット層に接して形成され、前記第1半導体層と相補的な不純物がドープされた半導体物質である第2半導体層;及び
前記第2半導体上に順次に形成された透明伝導膜及び上部電極;を含んでなることを特徴とする、太陽光素子。
【請求項12】
前記多孔性半導体量子ドット層の前記半導体量子ドットは互いに異なるサイズを持ち、前記第1半導体層に近くなるほど大きなサイズを持つことを特徴とする、請求項11に記載の太陽光素子。
【請求項13】
前記多孔性半導体量子ドット層を貫く貫通気孔による表面にp−nジャンクション(p-n junction)が形成され、前記媒質はp−nジャンクションによる空乏(built-in depletion layer)状態であることを特徴とする、請求項11に記載の太陽光素子。
【請求項14】
前記太陽光素子はシリコン太陽光素子であり、前記半導体量子ドットはシリコン量子ドットであり、前記媒質はシリコン酸化物、シリコン窒化物またはこれらの混合物であることを特徴とする、請求項11に記載の垂直接合半導体量子ドット太陽光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−501536(P2012−501536A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524911(P2011−524911)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【国際出願番号】PCT/KR2009/004852
【国際公開番号】WO2010/024629
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(595027240)コリア リサーチ インスティチュート オブ スタンダーズ アンド サイエンス (19)
【Fターム(参考)】