説明

金属を連続鋳造する金型

【課題】
ストランド冷却の均質性が、成果において高い鋳造出力と良いストランド品質を実現するために、さらに上昇されて、そのうえ、金型壁内部の応力を減少させるのに役立つ金型を用意すること。
【解決手段】
金属を連続鋳造する金型は金型(1)の外面(3)の少なくとも一つの部分領域が冷却溝(2,2a,2b,2c)を備えている。冷却溝(2,2a,2b,2c)の深さ及び幅又はそのいずれか一方が金型(1)の側壁の中心で最大であり、側壁の隅領域の方向に減少される。それによって均一な熱流出が実現され得て、それによってより早い鋳造速度が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特許請求項1の上位概念の特徴事項をもつ金属を連続鋳造する金型に関する。
【背景技術】
【0002】
高い溶融点を備える鋼或いは他の金属から形状を鋳造する銅或いは銅合金製の管状金型は先行技術において数倍に記載されていた。金型管は通常には水平横断面において金型管の内部円錐形状に基づいて連続成形方向に増大する均一な壁厚を有する。この内部円錐形状はストランドの凝固状態やストランドパラメータに適合している。連続鋳造材料の始まる凝固の直後に、つまりメニスカスの直接下部に、それは横断面にわたり三次元に鋳造された熱流出に基づいて鋳造ストランドの強く異なって鋳造された冷却状態を生じる。金型管の隅において幾何学的関係に基づいて特に大きい熱量が流出されるから、そこに特に強いストランド凝固殻成長とそれに伴う特に強い収縮が生じる。金型管の側壁には、熱流出は、ここで同時により高い熱流が現れるにもかかわらず、通常には僅かである。局部的に異なる冷却の結果は、不均一なストランド凝固殻成長であり、それはストランド凝固殻に材料応力と亀裂を生じて、それによってストランド湯漏れの危険が高まる。
【0003】
出来るだけ均質熱搬出を得て、それにより高い鋳造出力の前提条件を作り出すために、既に一連の提案が成されていた。例えば、独逸特許出願公開第3621073号明細書(特許文献1)から、弓状側面のみが冷却溝を備えて、これに対して隅領域は冷却溝を備えていない金型が公知である。冷却は特にメニスカスの領域において高められた、それは独逸特許出願公開第3411359号明細書(特許文献2)にも記載されている。欧州特許第1468760号明細書(特許文献3)も、冷却出力の改善と鋳造速度の上昇とを取り扱っていて、冷却通路は銅管の外表面の65%〜95%を必要とし、この場合に銅管は同時に全周辺にわたり且つ実質的に全長にわたり支持外被を備えている。垂直に振動する連続鋳造型では、逸特許第19581547号明細書(特許文献3)が内面に窪み或いは下降部を備えることを提案し、その窪み或いは下降部は安定な運転状態で把握されたメニスカスの下部の15mmから200mmまでの距離に配置されている。それによって同様に安定な鋳造がより早い速度で可能とされる。すべてのこれらの初めは理想的熱流分布の十分な算出を受けられない。
【特許文献1】独逸特許出願公開第3621073号明細書
【特許文献2】独逸特許出願公開第3411359号明細書
【特許文献3】欧州特許第1468760号明細書
【特許文献4】逸特許第19581547号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の課題は、先行技術から出発して、ストランド冷却の均質性が、成果において高い鋳造出力と良いストランド品質を実現するために、さらに上昇されて、そのうえ、金型壁内部の応力を減少させるのに役立つ金型を用意することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、金型では特許請求項1の特徴部分、即ち冷却溝の深さ及び幅又はそのいずれか一方が金型の側壁の中心で最大であり、側壁の隅領域の方向に減少されることにより解決される。
【0006】
この発明の好ましい構成は、従属請求項の対象である。
【発明の効果】
【0007】
この発明による金型では、金型の冷却作用がストランドの熱提供に一致して、それにより均一な冷却を生じるように最適化されることが、本質である。これは、冷却溝の深さ及び幅又はそのいずれか一方が金型の側壁の中心で最大であり、側壁の隅領域の方向に減少されることによって達成される。冷却溝の横断面が側壁の中心領域では側壁の縁領域より大きいことが重大である。この発明による技術や形式において冷却溝を設けることによって側壁に生じる最高比較応力が明らかに減少され得ることがわかった。理想的弾性剛性算定は比較応力が504MPa から348MPa までの30%以上だけ減少され得ることを確認した。この主張は、130×130mmの金型横断面に関連し、金型管は溝なしにこの発明により構成された溝を備える金型管に対向配置されている。金型管内のこの技術で達成された応力の減少は好ましくは耐用期間に影響を与えて、金型管の熱条件付きゆがみを減少させる。この発明による金型管はこの算出において各側壁には8個の溝を鋳造方向に延びる200mmの長さをもつ5mmの間隔に有する。中間溝は5mmの深さを有し、それに対して外側溝は12mm或いは8mmの幅にて4mmの深さを有する。側壁の隅領域には、溝が配置されていない。
【0008】
冷却溝の具体的実施例にとってその深さと幅に関して、冷却幾何学形状はそれにより形成された熱流に出来るだけ良く一致させて、それによってさらに均質な温度区域が達成され得て、それがこれまでは不十分にしか達成されないことが、重大である。冷却溝が熱提供が最高である側壁の中心に深く且つ幅広く又はそのいずれか一方に形成され、つまりs隅半径付近領域よりも大きな横断面を有することが重要である。
【0009】
特に半径隅領域から10mmから15mmまでの間隔には、側壁に冷却溝が設けられていなく、冷却をここで高めなく且つ金型の剛性を不必要に弱めない。冷却溝が3mm〜6mmの深さを有するときに、最善の成果が達成され得る。この場合には、冷却溝最高深さと金型管内面の間の6mmの残存壁厚さが下回らない。
【0010】
冷却溝の幅は特に5mm〜20mmの間で選択すべきである。
【0011】
冷却溝の数を金型管の異なるフォーマット/寸法に適合するために、形成された溝寸法にとって、金型管の100mm側面当たり4〜10個の冷却溝の数が好ましいものと解った。
【0012】
流体力学的に1と4の間の冷却溝の幅/深さの比が特に有利なものとみなされる。それから偏差する関係は流れ関係に不利な影響を有し、それによって溶湯面範囲における金型管の冷却出力並びに剛性に不利な影響を有する。冷却溝は、そこで応力ピークを回避するために、溝壁に対して小さいトランスミッション半径を備えている。
【0013】
冷却溝は理想的には入口出口領域には冷却水の流れ最適化と圧力損失の減少に貢献する半径を有する。
【0014】
冷却溝の有効と見なされた配列では、その対向する溝中心から測定された間隔が10mmと25mmの間にある。冷却溝の幅に対する溝中間間隔の1.2〜3の比は驚くべき良い成果を提供する。
【0015】
基本的には、冷却溝の幅が側壁の中心に対してより大きくなっていて、さらに深さが中心に対して増加することを得ようと努められている。異なる冷却溝幾何学形状は金型の機械加工によって或いは金型の変形における切り屑なし加工によっても製造され得る。
【0016】
冷却溝がメニスカス目標位置の上部のおよそ50mmで開始して、メニスカス目標位置の下およそ300mmまで延びている範囲に配置されているときに、有効である、というのは、この領域では最大熱流密度が生じ、それにより金型の側壁における応力は最大であるからである。鋳造方向により深く位置する領域、即ちメニスカス目標位置の下部の300mmより大きい間隔の領域は確かに同様に冷却されなければならなく、無論、既に形成されたストランド殻に基づいて温度不均質性はこの発明によりる構成された溝が強制的にこの下領域に於いて必要であるより大きくない。この発明によりる構成された溝がメニスカス目標位置の上部のおよそ50mmで開始して、メニスカス目標位置の下およそ300mmまで延びているときに、卓越した成果が既に達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
この発明は、次に図面に図示された実施例に基づいて詳細に説明される。図1aと図1bは詳細に図示されていない形式で水槽に位置されている金型管1を一方では斜視図で示し且つ一方では斜視図の拡大で示す。この金型管1の特殊性は、金型管1の外面3に形成されている特殊に構成された冷却溝2である。この冷却溝2は金型管1の全長にわたり延びていなく、むしろ専ら金型管1の上鋳造側領域に存在する。この実施例では、冷却溝2は200mの長さを有する。この冷却溝2はメニスカス目標位置の領域に存在し、この場合にはこれは図示された冷却溝2の上四分の一に位置する。この金型管1の冷却溝2における特殊性は、これら金属管がすべて同じ幅と深さではなく、むしろ幅と深さにおいて異なっていることである。この実施例では隅領域4に向いた外部冷却溝2aと2bはそれぞれの側壁の中間領域に位置する冷却溝2cより狭い。 中間冷却溝2cが例えば12mmの幅を有する間に、四つの外部冷却溝2aと2bは例えば8mmの幅を有する。すべての冷却溝2a、2b、2cは同じ長さを有する。けれども、それは冷却溝2a、2b、2cの幅ばかりではなく、むしろその深さも同じである。それで、冷却溝2a、2b、2cが入口出口領域において、即ちそれぞれに端面に 1つの半径5を有する。個々の冷却溝2a、2b、2cの最高深さに対する半径2の移行が水平線によって認識される。中間冷却溝2cの場合には深さが最大に認識できる。外側に隣接した冷却溝2bの深さは多少より浅い。この深さは隅領域4に向いた外部冷却溝2aでは最小である。
【0018】
隅領域4は冷却溝を備えていない。金型管1は詳細に図示されていない水案内薄板により水槽内に固定オされているので、冷却水は個々の冷却通路2a、2b、2cに押し込まれる。この水案内薄板は、金型管が水隙間内の中心に保持されているように配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1a】金型管1を斜視図で示す。
【図1b】金型管1を拡大斜視図で示す。
【符号の説明】
【0020】
1.....金型管
2.....溝、通路
3.....外面
4.....隅領域
5.....半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型の外面(3)の少なくとも一つの部分領域が冷却溝(2、2c)を備えている金属を連続鋳造する型において、冷却溝(2,2a,2b,2c)の深さ及び幅又はそのいずれか一方が金型(1)の側壁の中心で最大であり、側壁の隅領域の方向に減少されることを特徴とする金型。
【請求項2】
隅領域(4)の半径から10mmから15mまでの間隔には冷却溝(2,2a,2b,2c)が側壁に配置されていないことを特徴とする請求項1に記載の金型。
【請求項3】
二つの冷却溝(2,2a,2b,2c)の溝中間間隔が10mmから25mまでの範囲に位置することを特徴とする請求項1或いは請求項2に記載の金型。
【請求項4】
一つの冷却溝(2,2a,2b,2c)の幅に対する溝中間間隔の比が1.2から3までの範囲に位置することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の金型。
【請求項5】
一つの冷却溝(2,2a,2b,2c)の幅と深さの間の比が1から4までの範囲に位置することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の金型。
【請求項6】
冷却溝(2,2a,2b,2c)は5mmから20mmまでの範囲の幅を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の金型。
【請求項7】
冷却溝(2,2a,2b,2c)はメニスカス目標位置の上部の50mmで開始し、メニスカス目標位置の下に300mmまで延びている範囲に配置されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の金型。
【請求項8】
冷却溝(2,2a,2b,2c)は3mmから8mmまでの深さを有し、冷却溝(2,2a,2b,2c)の範囲内の残壁厚さでは6mmより少なくないことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の金型。
【請求項9】
100mm金型管側面当たり4〜10個の冷却溝(2,2a,2b,2c)が配置されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の金型。
【請求項10】
冷却溝(2,2a,2b,2c)は溝基礎において溝壁に対する移行半径を備えていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の金型。
【請求項11】
冷却溝(2,2a,2b,2c)はその入口と出口領域において半径(5)を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の金型。

【図1a】
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【図1b】
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【公開番号】特開2007−152432(P2007−152432A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323430(P2006−323430)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(391011951)カーエム・オイローパ・メタル・アクチエンゲゼルシヤフト (9)
【Fターム(参考)】