金属ガイドを含む生体内低侵襲性検査デバイス
本発明は、分析デバイスに関し、前記システムが少なくとも1つの金属ガイドから構成され、その金属ガイドの一先端部には、少なくとも一連の凹所が設けられ、それらの凹所には、基質に特異な試薬が直接結合され、前記先端部が、穿孔するものであり、ガイドのもう一方の先端部は、前記ガイドを制御し、任意選択で吸引システムと連動することが意図される。前記ガイドを、機能化された先端部からミクロ分析および/またはマイクロ・サンプリング位置までのレベルで着脱可能である保護システム、ならびに/あるいは前記ガイドが内部を摺動できる内側開口部を有する医療用具中に挿入することができる。
本発明は、患者の癌、炎症、感染、神経変性疾患または移植片拒絶反応を、好ましくは経壁的ルートによって診断するためのツールを作製するための、こうしたデバイスの使用にも関する。
本発明は、こうしたデバイスを使用した基質の生体外の分析の方法にも関する。
本発明は、患者の癌、炎症、感染、神経変性疾患または移植片拒絶反応を、好ましくは経壁的ルートによって診断するためのツールを作製するための、こうしたデバイスの使用にも関する。
本発明は、こうしたデバイスを使用した基質の生体外の分析の方法にも関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経壁的検査デバイスの機能化、その機能化したデバイスを使用した基質の生体外分析の方法、および患者の癌、感染、炎症、神経変性疾患または移植片拒絶反応の診断のためのツールの製造のための上記デバイスの使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
検査または生体内治療デバイスは、現在の技術で知られている。こうしたデバイスは、内視鏡タイプの剛体チューブ、または可撓性のチューブから構成されたカテーテルの形状をしており、特に自然の経路または管によって生体に挿入され、器官または特定の組織に到達させることができる。これらのデバイスにより、特に血餅をなくすこと、または光ファイバーと連動するときは、消化管としての系の状態、もしくは結腸としての器官の状態の視覚化および生体内管理が可能になる。次に、こうしたデバイスの使用により生じる患者の外傷は、最小限に抑えられているが、今も改善されつつある段階である。しかし、これらのデバイスで患者の器官または組織を分析することが常に可能なわけではない。血液循環もしくは自然の経路と比較すると前記組織または器官にアクセスしにくいこと、または前記器官もしくは組織の細胞の細かい分析に頼ることなしでは信頼できる診断の実行が難しいことから、このように不可能になることがある。このような場合には、一般に、現在の技術で今までは、特に細針(FNAすなわち<<細針吸引(Fine needle aspiration)>>:Engelsteinら、Br.J.Urol.、7:210〜213頁、1994年;Rodriguesら、J.Am.Acad.Dermatol.、42:735〜740頁、2000年;Arigaら、Am.J.Surg.、184:410〜413頁、2002年;Perez−Guillermoら、Diagn.Cytopathol.、32:315〜320頁、2005年;Fernandez−Esparrachら、Arch.Bronconeomol.、43:219〜224頁、2007年)によって、これらの組織もしくは器官の、またはより細かくそれらを構成する細胞の1つの形態を生体外で管理するために、前記組織または器官のフラグメントのサンプリング(生検)が使用されている。さらに、特定の数のマーカーの発現状態を分析することも可能であり、それらのマーカーの発現は、特異な病理学的状態(特に癌、炎症、感染、神経変性疾患または移植片拒絶反応)と関係している。
【0003】
しかし、これらの異なる方法は、生検のサンプリングまたは細胞の吸引によって外傷を伴い、これは、前記組織または器官に対して、したがって患者に対して重大な影響を与えることがある。それにより、患者の生体は、特に特定の器官(脳、膵臓、肝臓または肺)に関して、サンプリングに続く出血または瘢痕のせいで、非常に苦しめられることがある。
【0004】
したがって、患者に与える外傷を限定しながら、特に、具体的には癌、炎症、感染または神経変性疾患など、異なる病理と連動するマーカーの発現と比較して、信頼できる正確な診断を実行できるようにする新しい検査の方法体系の特定が今なお必要とされている。
【0005】
EP1358481の特許に、分析または生体内の治療のデバイスが記載されており、そのデバイスは、(i)蛍光信号の分析以外のものによる基質の検査のマイクロ・システムと、(ii)一方の先端部に前記マイクロ・システムが固定され、もう一方の先端部は前記マイクロ・システムの制御が意図される、可撓性のバット(butt)と、(iii)前記可撓性のバットが内部を摺動できる内側開口部を有する医療用具と、(iv)基質のレベルで着脱可能な、マイクロ・システムの保護の摺動システムと、(v)前記マイクロ・システムのレベルの組織または細胞の引裂きシステムであって、最終的に、生物学的または化学的製品の局注のために、治療のための生検を実行するように、感覚受容体(触覚、視覚、物理化学または数値情報科学)による遠隔制御によってモニタリングするデバイスから選択される1つまたは複数のデバイスと連動する、引裂きシステムとを備える。
【0006】
血管の侵襲および組織または細胞の引裂きを可能にするために、マイクロ・システムは、好ましくは遠位位置で、この機能を保証する、より剛体の別のシステムと連動する。
【0007】
しかし、生体内検査デバイスの場合は、その検査デバイスは、より多くの場合、脈管内のまたは腔内の経路を使用して目標の器官または組織に向けられる。次いで、マイクロ・システムを引裂きシステムに結合すると、記載したデバイスの先端部で直径が無視できない程度増大する。そのとき、そのデバイスは、血液循環経路を変えずに同時に目標位置に正確に向けるには、使用が複雑過ぎることが明らかである。同時に、複数の要素を結合すると、器官または組織を穿孔可能にするのに必要な剛性を得ることに関して、デバイスの全体的な可撓性、したがって正確な案内を行うことに支障をきたす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許EP1358481
【特許文献2】国際特許出願WO03/006948
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Engelsteinら、Br.J.Urol.、7:210〜213頁、1994年
【非特許文献2】Rodriguesら、J.Am.Acad.Dermatol.、42:735〜740頁、2000年
【非特許文献3】Arigaら、Am.J.Surg.、184:410〜413頁、2002年
【非特許文献4】Perez−Guillermoら、Diagn.Cytopathol.、32:315〜320頁、2005年
【非特許文献5】Fernandez−Esparrachら、Arch.Bronconeomol.、43:219〜224頁、2007年
【非特許文献6】Xieら、Nuclear Instruments & Methods in Physics research Section B−beam Interactions with Materials and Atoms、211(3):363〜368頁、2003年
【非特許文献7】ESPINAら、J.Immunol.Methods、vol.290、121〜133頁、2004年
【非特許文献8】WITTSTOCK and SCHUHMANN、Anal.Chem.、vol.69、5059〜5066頁、1997年
【非特許文献9】DUPONT−FILLIARDら、Anal.Chim.Acta.、vol.449、45〜50頁、2001年
【非特許文献10】Duffy M.J.、Shering S.、Sherry F.、McDermott E.、O’Higgins N.、Int.J.Biol.Markers、2000年10月〜12月;15(4):330〜3頁
【非特許文献11】Kaohsiung J.、J.Med.Sci.、1999年9月;15(9):520〜8頁
【非特許文献12】Soletormos G.、Nielsen D.、Schioler V.、Mouridsen H.、Dombernowsky P.、Eur.J.Cancer、2004年3月;40(4):481〜6頁
【非特許文献13】Given M.、Scott M.、Mc Grath J.P.、Given H.F.、Breast、2000年10月;9(5):277〜80頁
【非特許文献14】Fehm T.、Jager W.、Kramer S.、Sohn C.、Solomayer E.、Wallwiener D.、Gebauer G.、Anticancer Research、2004年5月〜6月;24(3b):1987〜92頁
【非特許文献15】Platet N.、Cathiard A.M.、Gleizes M.、Garcia M.、Crit.Rev.Oncol.Hematol.、2004年7月;51(1):55〜67頁
【非特許文献16】Duffy M.J.、Clin.Chem.、2005年3月;51(3):494〜503頁.Epub2005年1月6日
【非特許文献17】Schluter C.、Duchrow M.、Wohlenberg C.、Becker M.H.、Key G.、Flad H.D.、Gerdes J.、J.Cell.Biol.、1993年11月;123(3):513〜22頁
【非特許文献18】Duffy M.J.、Crit.Rev.Clin.Lab.Sci.、2001年6月;38(3):225〜62頁
【非特許文献19】Moss E.L.、Hollingworth J.、Reynolds T.M.、J.Clin.Pathol.、2005年3月;58(3):308〜12頁
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【非特許文献21】Gray M.A.、Clin.Lab.、2005年;51(3−4):127〜33頁
【非特許文献22】Birtle A.J.、Freeman A.、Masters J.R.、Payne H.A.、Harland S.J.、BJU Int.、2005年8月;96(3):303〜7頁
【非特許文献23】Duffy M.J.、Clin.Chem.、2001年4月;47(4):624〜30頁
【非特許文献24】Duffy M.J.、van Dalen A.、Haglund C.、Hansson L.、Klapdor R.、Lamerz R.、Nilsson 0.、Sturgeon C.、Topolcan 0.、Eur.J.Cancer、2003年4月;39(6):718〜27頁
【非特許文献25】Coban E.、Samur M.、Bozcuk H.、Ozdogan M.、Int.J.Biol.Markers、2003年7月〜9月;18(3):177〜81頁
【非特許文献26】Chung M.H.、Gupta R.K.、Bilchik AJ、Ye W、Yee R.、Morton D.L.、Curr.Surg.、2002年3月〜4月;59(2):194〜198頁
【非特許文献27】Louhimo J.、Alfthan H.、Stenman U.H.、Haglund C.、Oncology、2004年;66(2):126〜31頁
【非特許文献28】COCKRUMら、Lab Automation、BTi、2005年10月、19〜21頁
【非特許文献29】ROUSSOULIERESら、Circulation、vol.111(20)、2636〜2644頁、2005年
【非特許文献30】Waldemar G.、Dubois B.、Emre M.ら、Eur.J.Neurol.、2007年、14、1〜26頁
【非特許文献31】Dubois B.、Feldmann H.H.、Jacova C.、Dekosky S.T.ら、Lancet Neurol.2007年、6、734〜746頁
【非特許文献32】Krolak−Salmon P.ら「Vers un diagnostique biologique de la maladie d’Alzheimer et des syndromes apparentes」、La Revue de medecine interne(2008)、doi:10.1016/J. revmed.2008.01.029.
【非特許文献33】Lee J.M.ら、Clin. Chem.、2008年、54、1617〜1623頁
【非特許文献34】Mollenhauer B.、Cullen V.、Khan I.、Experimental Neurology、2008年、213、315〜325頁
【非特許文献35】University of California、San Diego、Medicine & health/diseases、2009年2月
【非特許文献36】RETTIGら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、vol.85、3110頁、1988年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以下の重要な調査に続いて、発明者は現在、金属製ガイドを備えるデバイスを開発しようとしており、その金属製ガイドの一方の穿孔用先端部に、反応性基、特に、試験する基質の特異な抗体または抗体フラグメントが直接結合され、もう一方の先端部は、挿入位置から前記基質のミクロ分析および/またはマイクロ・サンプリングの位置への、前記ガイドの運転が意図される。前記ガイドを、着脱可能な保護システム、例えば、可撓性のカテーテル中に挿入することができ、そのとき、これらの組織、器官または細胞を構成する、試験する基質のミクロ分析および/またはマイクロ・サンプリングの位置に対して、前記ガイドの機能化された先端部を保護することが可能になる。
【0011】
本発明は、ガイド上にいくつかのスポット、例えば凹所を画定するように、ガイドの表面を構成することであり、それらの凹所に、反応性基が配置されて生化学的作用が起きる。電気化学的侵食およびレーザーが続くレーザー・リソグラフィによる、集束イオン・ビーム(FIBすなわち<<Focused Ion beam>>:Xieら、Nuclear Instruments & methods in Physics research Section B−beam Interactions with Materials and Atoms、211(3):363〜368頁、2003年)によるリソグラフィなど、異なる方法によって前記凹所を実現することができる。
【0012】
あるいは、前記ガイド上にいくつかのスポット、例えば少なくとも1つの溝を画定するように、金属製ガイドを構成することができ、それらの溝には、線形、円形、またはリボンの形態の、少なくとも1つの小型化したバイオチップが共同で連動し、そこに反応性基が配置されて生化学的反応が起きる。ガイドの表面構成によって形成されるスポット、例えば凹所は、ガイドの表面に起伏を形成しないが、溝または空所を形成する。したがって、ガイドの表面の構成によって形成されたスポットは、ガイドの直径を増大させることはない。
【0013】
有利なことに、ガイドの表面構成によって形成されたスポットは、ガイドの表面に位置し、これは、これらのスポットが流体、組織および細胞と直接接触することを意味する。
【0014】
さらに、前記デバイスを、前記金属製ガイドが内部を摺動できる内側開口部を有する医療用具中に、特に、経壁的な針穿刺、特に経皮的または経粘膜的な針穿刺、または脈管系のナビゲーションを含む内視鏡で挿入することができる。
【0015】
さらに、前記デバイスは、光ファイバーと連動することができるか、または前記デバイスの金属製ガイドの代わりに光ファイバーを使用することができる。その光ファイバーの穿孔用先端部が金属製リングと連動し、そのリングに反応性基、特に試験する基質に特異な抗体または抗体フラグメントが直接結合され、したがって、診断に必要な、最終的には予後の評価に必要な要素の生体内の捕捉を考慮して、細かいインサイチュの視覚化が可能になる。光ファイバーの特性は、画像をマークし、インサイチュの視覚化からデバイスを設定するために使用される。
【0016】
本発明によるデバイスは、その単純化の故に、低侵襲性のままでありながら、可撓性または弾性が従来技術のデバイスと比較して改善される。そのため、腔内の経路、特に脈管内の経路による、または経壁的経路、特に経皮的または経粘膜的な経路による検査のために、デバイスをさらに効率的に使用することができる。さらに、本発明によるデバイスは、先端部が特異な試薬に結合した金属製ガイドを使用するので、機能化した先端部において、組織または器官を効率的に穿孔するのに十分な剛体である。最後に、本発明によるデバイスの先端部での直径は、血液循環または自然の空所中での単純化したナビゲーションを可能にし、具体的には、デバイスが穿孔しなければならない組織または器官のレベルで、外傷を最小限に抑えるのに十分に微弱なものである。
【0017】
したがって、さらに、デバイスを引き抜いた後で、免疫酵素の定量として標準的な方法によって、または例えば中実のサポート[ELISA技術、タンパク質チップ(ESPINAら、J.Immunol.Methods、vol.290、121〜133頁、2004年)]上の免疫螢光法によって、本発明によるデバイスの先端部で、したがってミクロ分析および/またはマイクロ・サンプリング位置(器官または組織)のレベルで、(1つまたは複数の)前記特異な基質の存在および相対濃度を、生体外で特定することが可能である。
【0018】
最後に、金属製ガイドの性質によって、そのデバイスは画像信号(動脈撮影、超音波検査、スキャン、MRIなど)が改良されている。この特性により、目標組織または器官への介入の時に、本発明によるデバイスの無線誘導を大幅に単純化することができる。細かいインサイチュの視覚化を可能にする画像をマークするために、前記デバイスを光ファイバーと結合することについても同様である。
【0019】
したがって、本発明の第1の目的は、前記基質の検査および/またはマイクロ・サンプリングの低侵襲性のシステムを備えることを特徴とする、基質の分析のためのデバイスであり、前記システムは、少なくとも1つの金属製ガイドから構成され、その金属製ガイドの先端部Eaには、少なくとも一連の凹所が設けられ、それらの凹所には、前記基質の特異な少なくとも1つの反応性基が直接結合され、前記機能化した先端部Eaは、穿孔し、もう一方の先端部Emは、前記金属製ガイドを運転し、最終的に吸引システムと連動することが意図される。
【0020】
有利なことに、先端部Eaの表面を、少なくとも一連の凹所を画定するように構成することができ、それらの凹所に、前記基質の特異な少なくとも1つの反応性基が直接結合され、前記先端部Eaが穿孔する。
【0021】
患者に生じる外傷が弱いので、本発明によるデバイスにより、いくつかのマイクロ分析またはマイクロ・サンプリング(例えば、前立腺内のステージで実行される分析および/またはサンプリング)を規則的な間隔で患者に実行することが可能になる。したがって、診断に加えて、前記分析および/または連続するサンプリングによって、患者の癌、炎症、感染、神経変性疾患、または器官の良好なグラフトの保持の進展をフォローすることが可能になる。
【0022】
有利には、機能化した先端部Eaは、長さ約0.5から2cmであり、少なくとも一連の1から25個の凹所、好ましくは2×25の凹所を有し、平均直径が約30から80μm、好ましくは約40から60μmであり、非常に好ましい直径が約50μmであり、深さが約20から30μm、好ましくは25μmであってよく、前記凹所は、互いに約60から120μm離間している。好ましくは、それらの凹所は壁が滑らかであるかまたは粗く、形状が卵形または円形であり、底部が平坦なまたはくぼんでいる。
【0023】
有利には、機能化した先端部は、できるだけ上昇した、いくつかの凹所を呈することができる。それらのいくつかの凹所は、金属製ガイドが組織または器官を穿孔するのに十分剛体であるようなものである。この実施形態では、機能化した先端部の平均直径は、約0.3から3.5mm、好ましくは約0.35mmでよい。有利には、金属製ガイドは、凹所を形成するために、長さ0.5から2cm、好ましくは1cmに構成することができる。有利には、凹所の直径は、約30から80μm、好ましくは約30から60μm、例えば35μmでよい。有利には、凹所の深さは、約20から30μm、好ましくは約25μmでよい。凹所の間隔は、20から120μm、好ましくは25μmでよい。
【0024】
有利には、機能化した端部Eaは、円筒形、平面、またはらせんの形態、または流体、組織および細胞と接触する凹所の表面積を増大するように修正した形態でよい。
【0025】
本発明によるデバイスの特定の実施形態によれば、前記デバイスはさらに、機能化した先端部Eaにおいて着脱可能な保護システムを備える。
【0026】
本発明によるデバイスの特定の実施形態によれば、前記デバイスはさらに、前記少なくとも1つの金属製ガイドが内部を摺動できる内側開口部を有する医療用具を備える。
【0027】
ここに「金属製ガイド」とは、例えば、直径0.2から3.5mm、長さ5×10−2から2mの、中実で柔軟な金属製バットまたは中空の剛体金属製バットを意味し、その金属製バットは、血管、小型の空所中に、または器官もしくは組織を通して挿入することができ、それにより、挿入位置からインサイチュのミクロ分析、および/または、マイクロ・サンプリングの位置に向けることが可能になる。
【0028】
具体的には、中実で可撓性の金属製バットを光ファイバーから構成することができ、その光ファイバーの先端部Eaに、少なくとも一連の凹所を備える金属製リングが連動し、その金属製リングに、前記基質の特異な少なくとも1つの反応性基が直接結合され、前記機能化した先端部Eaが穿孔する。
【0029】
有利には、前記金属製リングは、幅約0.5から2cmであり、少なくとも一連の1から25箇所の凹所、好ましくは2×25箇所の凹所を呈することができる。それらの凹所は、平均直径約30から80μm、好ましくは約30または40から60μm、さらに好ましくは約50μmまたは35μm、深さ約20から30μm、好ましくは25μmであり、前記凹所は、約20から120μm、例えば約60から120μm互いに離間している。好ましくは、それらの凹所は壁が滑らかであるかまたは粗く、形状が卵形または円形であり、底部が平坦なまたはくぼんでいる。
【0030】
「金属製ガイド」は、さらに、全てまたは一部が合金から構成された、中実または中空の、剛体または可撓性のバットを意味し、その合金の可撓性、剛性、酸化および免疫原性の特性は、生物、具体的には動物、さらに具体的にはヒトにおけるこうした使用に関して安定性がある。こうした生体適合性の合金は、一般的な知識によって当業者が容易に識別でき、それらには、とりわけ酸化されない鋼、チタン・ベースの合金、ニッケル、コバルト、またはそれらの混合物が含まれる。
【0031】
本発明者は、チタン・ニッケル合金ベースのガイド(ニチノール合金)が、脈管内または腔内の経路で効率的に使用でき、また、外傷を最小限に抑えながら組織または器官を効率的に穿孔する先端部における全体的な可撓性および剛性の点で、何らかの特に興味深い特性を呈することを示そうとしている(前記組織または器官のレベルでの穿孔のサイズは、例えば0.05から0.5mm2程度、好ましくは0.07mm2程度である)。
【0032】
有利には、金属製ガイドは、チタンおよびニッケル合金ベース、好ましくはニチノール・ベースのガイド(Euroflex協会によって販売されている金属製ガイド)である。
【0033】
機能化した先端部Eaを除いて、前記金属製ガイドを、深さ約0.1から51μmの、親水性ポリマー、好ましくは、ヒドロゲルで、または多孔質の保護ポリマー層で被覆することができる。有利には、保護ポリマーは、フィルム状のパリレン、TiO2、またはOptoDex(登録商標)(Arrayon Biotechnology、Switzerland)、より好ましくはフィルム状のパリレンから構成される。
【0034】
金属製ガイドが内部に挿入される着脱可能な保護システムは、複数の形態、とりわけ単純に当業者によって決定することができる可撓性のカテーテルの形態、例えば脈管内、腔内、経壁的、とりわけ経皮的な経路のために使用可能な形態をとることができる。
【0035】
前記着脱可能な保護システムを、とりわけ、心臓、脳、肺、膵臓、腎臓および肝臓の管に到達するように、脈管内の経路によって挿入することができる。
【0036】
腔内のアクセス、とりわけ内視鏡によって、経粘膜的経路による口腔、肛門、尿生殖器および呼吸器の経路、またはENTによって、あるいは、経皮的経路による皮膚のレベルでの穿刺によって、前記着脱可能な保護システムを挿入して、例えば乳腺、とりわけ腎臓に、関節中、脊柱管中、肝臓、肺または腎臓には腰椎穿刺または経壁的に、さらに、とりわけ消化管に対しては経粘膜的な経路によって到達させることができる。
【0037】
そのため、本発明者は、本発明によるデバイスが、脈管内、腔内または経壁的経路によって、とりわけ通常使用される経粘膜的または経皮的に、通常到達が難しい組織または器官に到達可能であることを証明している。
【0038】
より一般的には、本発明者は、先端部が概して可撓性かつ剛性という特有の特徴により、本発明によるデバイスが、経壁的(経皮的、経粘膜的)、脈管内のまたは腔内の経路によって、(肝臓および膵臓を含む)口腔咽頭から直腸までの消化器系、(膀胱、腎臓、前立腺、精巣、卵巣および乳腺を含む)泌尿生殖器系、(肺を含む)気管気管支系、(耳および上咽頭を含む)ENT系、(滑液腔を含む)骨関節、内分泌系、脳神経系または外皮系の一部である何らかの器官および組織に到達およびそれを穿孔可能であり、次いで、それにより、必要な病理学上の診断の実現が可能であり、その後、(FNAとも称される)細針吸引による細胞のサンプリングを含む生検、のみならず、経肝的生検のような深い積極的な穿刺の実現が可能であることを証明している。
【0039】
有利には、金属ガイドが内部に挿入される前記着脱可能な保護システムは、脈管内または腔内の送達のために適合化された可撓性のカテーテルの形態のものである。
【0040】
そのため、本発明によるデバイスは、具体的には、例えば、動脈および静脈、心血管、前立腺、乳腺、膵臓、腎臓、心筋、中枢神経系ならびにそれらの空所または導管、脳または肝臓において検査を実行し得るように形成される。
【0041】
本発明によるデバイスの第1の特定の実施形態によれば、金属ガイドが内部に挿入される着脱可能な保護システムは、それ自体が内視鏡に挿入される。そのため、本発明によるデバイスは、具体的には、腔内の送達のために適合化される。
【0042】
そのため、本発明によるデバイスは、具体的には、例えば、気管気管支系(とりわけ、肺)、(肝臓および膵臓を含む)咽頭から直腸までの消化器系、泌尿生殖系(とりわけ、膀胱、腎臓、前立腺、精巣、卵巣および乳腺)、眼系(涙管)、耳鼻咽喉系(とりわけ、耳および鼻咽腔)、骨関節系または中枢神経系の、より具体的には脊柱内の送達による検査、または乳管内の送達によって乳腺の検査を実行し得るように形成される。
【0043】
本発明によるデバイスの第2の特定の実施形態によれば、経壁的吸引細針、より具体的には、経皮的または経粘膜的吸引針から構成される金属ガイドを、着脱可能な保護システム、例えば、可撓性のカテーテル中に挿入することができる。そのため、本発明によるデバイスは、具体的には、特定の経皮的または経粘膜的な送達のために適合化される。
【0044】
そのため、本発明によるデバイスは、具体的には、例えば、外皮(皮膚、頭皮など)、乳房、腎臓、肺、肝臓、筋肉、骨筋肉または骨関節系、中枢もしくは末梢神経系または内分泌腺(より具体的には、甲状腺、副甲状腺、副腎、精巣、乳腺または卵巣)に関して検査を実行し得るように形成される。
【0045】
本発明によるデバイスの機能化した先端部Eaに関しては、少なくとも一連の凹所を備え、それらの凹所に、試験する基質に特異な反応性基が直接結合される。
【0046】
ここに「特異な反応性基」とは、例えば、検出する核酸配列に相補的な核酸配列[DNA(アンプリコン、遺伝子のフラグメント、EST、SNP)またはNRA]、および検出する抗体に特異な抗原、または検出する抗原に特異な抗体もしくは抗体フラグメント、好ましくは抗体または抗体フラグメントを意味する。
【0047】
有利なことに、前記特異な反応性基は、増大または縮小する範囲に従って本発明によるデバイスの機能化した先端部の微小な凹所に配置される。当業者は、一般的な知識およびルーチンの実験を使用して、基質に関する反応性基の親和性に応じて前記範囲を容易に判断することができる。例えば、反応性基の範囲は、試薬、より具体的には、基質に対する親和性を有する抗体、より具体的には10−9程度の抗原に関して、50から500μg/ml、好ましくは10から100μg/ml程度のものである。
【0048】
「抗体」は、好ましくは、生体、哺乳動物、より具体的にはヒトの免疫グロブリン、より好ましくはIgGを意味する。
【0049】
「抗体フラグメント」は、抗原の特異な固定を維持できる抗体フラグメントを意味する。フラグメントFab、Fab’、F(ab’)2またはFvを、こうした抗体フラグメントの例として挙げることができる。
【0050】
試薬、より具体的にはタンパク質を金属サポート上に一旦結合する方法は、当業者によく知られている。アミノ酸の化学反応性が低いので、こうした方法は、通常、酸化の仕組みによって、またはリンク分子、最も多くの場合ポリマーの少なくとも1つの層で金属サポートを被覆することによる金属表面の活性化を必要とする(ポリマーは、例えばチオール基、カルボン酸、および/またはアミンを有することができる)。こうした方法の例として、自己組織化単分子膜(SAM、self−assembled monolayer)、より具体的にはアルカンチオール(WITTSTOCK and SCHUHMANN、Anal.Chem.、vol.69、5059〜5066頁、1997年;および国際特許出願WO03/006948参照)またはピロール(ビオチン化ピロールの電気化学的重合;DUPONT−FILLIARDら、Anal.Chim.Acta.、vol.449、45〜50頁、2001年)中に組織化された機能分子の金属サポート上への吸着を挙げることができる。
【0051】
抗体または抗体フラグメントをこの機能分子の層に結合することは、(アルカンチオールの遊離チオール基の間のジスルフィド架橋のような)共有結合、または(ピロール/ビオチン複合体のポリマー層のビオチンと、ストレプタビジン/抗体複合体または抗体/ストレプタビジン・フラグメントのストレプタビジンとの間のストレプタビジン−ビオチン結合のような)非共有結合を意味する。
【0052】
第1の好ましい実施形態によれば、本発明によるデバイスは、少なくとも金属ガイドを含み、その金属ガイドのEa先端部が、少なくとも1つの反応性基、好ましくは、癌、より具体的には乳癌、卵巣癌、前立腺癌、結腸癌、腹腔内癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、膵臓癌、中枢もしくは末梢神経系または内分泌腺(より具体的には、甲状腺、精巣または卵巣)の癌のマーカー(抗原)に特異な抗体または抗体フラグメントに結合される。
【0053】
乳癌のマーカーの例としては、マーカーCA15−3(癌関連抗原(Carcinoma−Associated Antigen)15−3;Duffy M.J.、Shering S.、Sherry F.、McDermott E.、O’Higgins N.、Int.J.Biol.Markers、2000年10月〜12月;15(4):330〜3頁)、CA27−29(癌関連抗原(Carcinoma−Associated Antigen)27−29;Kaohsiung J.、J.Med.Sci.、1999年9月;15(9):520〜8頁)、CEA(癌胎児抗原(Carcinoembryonic antigen);Soletormos G.、Nielsen D.、Schioler V.、Mouridsen H.、Dombernowsky P.、Eur.J.Cancer、2004年3月;40(4):481〜6頁)、TPA(組織ポリペプチド抗原(Tissue Polypeptide Antigen))、TPS(組織ポリペプチド特異抗原(Tissue Polypeptide Specific Antigen);Given M.、Scott M.、Mc Grath J.P.、Given H.F.、Breast、2000年10月;9(5):277〜80頁)、HER2(Fehm T.、Jager W.、Kramer S.、Sohn C.、Solomayer E.、Wallwiener D.、Gebauer G.、Anticancer Research、2004年5月〜6月;24(3b):1987〜92頁)、ER(エストロゲン受容体(Estrogen Receptor);Platet N.、Cathiard A.M.、Gleizes M.、Garcia M.、Crit.Rev.Oncol.Hematol.、2004年7月;51(1):55〜67頁)、PR(プロゲステロン受容体(Progesterone Receptor);Duffy M.J.、Clin.Chem.、2005年3月;51(3):494〜503頁.Epub2005年1月6日)、Ki−67(抗体Ki−67の細胞増殖関連抗原(cell proliferation−associated antigen of Antibody Ki−67);Schluter C.、Duchrow M.、Wohlenberg C.、Becker M.H.、Key G.、Flad H.D.、Gerdes J.、J.Cell.Biol.、1993年11月;123(3):513〜22頁)、およびUPA(ウロキナーゼプラスミノゲン活性化因子(Urokinase Plasminogen Activator);Duffy M.J.、Crit.Rev.Clin.Lab.Sci.、2001年6月;38(3):225〜62頁)を挙げることができる。
【0054】
卵巣癌のマーカーの例としては、マーカーCA125(癌抗原 Carcinoma Antigen 125);Moss E.L.、Hollingworth J.、Reynolds T.M.、J.Clin.Pathol.、2005年3月;58(3):308〜12頁)、CA15−3、およびCEA(Valenzuela P.、Mateos S.、Tello E.、Lopez−Bueno M.J.、Garrido N.、Gaspar M.J.、Eur.J.Gyn.Oncol.、2003年;24(1):60〜2頁)を挙げることができる。
【0055】
前立腺癌のマーカーの例としては、マーカーPSA(前立腺特異抗原(Prostate−Specific Antigen);Gray M.A.、Clin.Lab.、2005年;51(3−4):127〜33頁)、PSMA(前立腺特異的膜抗原(Prostate−Specific Membrane Antigen))、およびAR(アンドロゲン受容体(Androgen Receptor);Birtle A.J.、Freeman A.、Masters J.R.、Payne H.A.、Harland S.J.、BJU Int.、2005年8月;96(3):303〜7頁)を挙げることができる。
【0056】
結腸癌のマーカーの例としては、マーカーCEA(Duffy M.J.、Clin.Chem.、2001年4月;47(4):624〜30頁)、CA19−9(癌抗原19−9)、CA242(癌抗原242)、CA72−4(癌抗原72−4)、TPA、TPS(Duffy M.J.、van Dalen A.、Haglund C.、Hansson L.、Klapdor R.、Lamerz R.、Nilsson 0.、Sturgeon C.、Topolcan 0.、Eur.J.Cancer、2003年4月;39(6):718〜27頁)を挙げることができる。
【0057】
腹腔内癌のマーカーの例としては、マーカーCEAまたはCA19−9(Coban E.、Samur M.、Bozcuk H.、Ozdogan M.、Int.J.Biol.Markers、2003年7月〜9月;18(3):177〜81頁)を挙げることができる。
【0058】
膵臓癌のマーカーの例としては、マーカーTA90−IC(90−kDa免疫原性腫瘍関連抗原(immunogenic Tumor−associated Antigen))、CA−19−9(Chung M.H.、Gupta R.K.、Bilchik AJ、Ye W、Yee R.、Morton D.L.、Curr.Surg.、2002年3月〜4月;59(2):194〜198頁)、TPS、HCGベータ(HCGベータ、ヒト絨毛膜性生殖腺刺激ホルモン・ベータ(Human Chorionic Gonadotropin beta))、CA72−4、CEA、CA19−9、CA242(Louhimo J.、Alfthan H.、Stenman U.H.、Haglund C.、Oncology、2004年;66(2):126〜31頁)を挙げることができる。
【0059】
肝臓癌のマーカーの例としては、アルファフェト・プロテイン・マーカーを挙げることができる。
【0060】
肺癌のマーカーとしては、マーカーCyfraA41(サイトケラチン・フラグメント41(Cytokeratin fragment 41))、SCC(扁平上皮癌抗原(Squamous Cell Carcinoma antigen))、ACE(アンギオテンシン変換酵素(Angiotensin Converting Enzyme))、CA19−9、CA125、NSE(ニューロン特異性エノラーゼ(Neuron Spacific Enolase))、クロモグラニンA、CYFRA21−1(サイトケラチン・フラグメント21−1)、CA15−3を挙げることができる。
【0061】
第2の好ましい実施形態によれば、本発明によるデバイスは、少なくとも1つの金属ガイドを含み、その金属ガイドのEa先端部が、少なくとも1つの試薬、好ましくは、炎症、より具体的には関節リウマチの特異のマーカーに特異の抗体または抗体フラグメントに結合される。
【0062】
関節リウマチのマーカーの例として、より具体的には、IL−1β、IL−iRα、IL−2、IL−2R、IL−4、IL−5、IL−6、IL7、IL8、IL10、IL12p40P70、IL−13、IL−15、IL−17、le TNFα、IFNα、IFNγ、le GM−CSF、le MIP−1、IP−10、MIG、Eotaxine、RANTESおよびMCP−1(COCKRUMら、Lab Automation、BTi、2005年10月、19〜21頁)を挙げることができる。
【0063】
第3の好ましい実施形態によれば、本発明によるデバイスは、少なくとも1つの金属ガイドを備え、その金属ガイドのEa先端部が、少なくとも1つの試薬、好ましくは感染、より具体的には、ウイルス、細菌、または寄生虫感染の特異なマーカーに特異な、好ましくは抗体または抗体フラグメントに結合される。
【0064】
多くの感染マーカーが当業者に知られており、これにより、所与の感染と関連する1つまたは複数の特異なマーカーを非常に簡単に特定することができる。
【0065】
第4の好ましい実施形態によれば、本発明によるデバイスは、少なくとも1つの金属ガイドを含み、それらの金属ガイドのEa先端部が、少なくとも試薬、好ましくは、移植片拒絶反応の特異なマーカーに特異な抗体または抗体フラグメントに結合される。
【0066】
移植片拒絶反応の多数のマーカーが当業者に知られている。その例として、心臓移植の場合のMIP−1βおよびVE−カドヘリン(ROUSSOULIERESら、Circulation、vol.111(20)、2636〜2644頁、2005年)を挙げることができる。
【0067】
上述した特異なマーカーに関しては、当業者は、一般的な知識を以て、過度な実験なしに、本発明によるデバイスで使用できる抗体または特異な抗体フラグメントを簡単に特定することができる。こうした抗体の例としては、TEBUまたはAXXORAで入手可能な抗体を挙げることができる。当業者はまた、よく知られた免疫処置方法を使用してこうした抗体を得ることもできる。
【0068】
同様に、当業者は、本発明によるデバイスで使用できる、適応可能な特異な核酸を特定することができる。
【0069】
第5の好ましい実施形態によれば、本発明によるデバイスは、少なくとも1つの金属ガイドを含み、その金属ガイドのEa先端部が、網羅的なリストではないが、例えば、アルツハイマー病(MA)、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(SLA)などの神経変性の病理の特異なマーカーまたは1組の特異なマーカーに特異な、少なくとも1つの試薬、好ましくは抗体または抗体フラグメントに結合される。
【0070】
いくつかのマーカーが知られており、こうした病理の研究のために当業者によって使用されている。その例として、心神喪失または心神喪失前の条件に関しては、総タンパク質Tau(MAPT微小管結合タンパク質Tau)、アミロイド・ペプチドABETA1−42、リン酸化タンパク質Tau(p.Tauリン酸化128)が、例えば、Waldemar G.、Dubois B.、Emre M.ら、Eur.J.Neurol.、2007年、14、1〜26頁;Dubois B.、Feldmann H.H.、Jacova C.、Dekosky S.T.ら、Lancet Neurol.2007年、6、734〜746頁;Krolak−Salmon P.ら「Vers un diagnostique biologique de la maladie d’Alzheimer et des syndromes apparentes」、La Revue de medecine interne(2008)、doi:10.1016/J. revmed.2008.01.029.に記載されている。これらのマーカーを、ELISA.INNOTEST B−Amyloid type (1−42),INNOTEST hTAUAg、INNOTEST PHOSPHOTAU(181p);Innogenetics、Ghent、Belgiumの抗原−抗体技術によって判断することができる。
【0071】
他のマーカーも、脳の悪化状態、より具体的には、例えば、参考文献、Lee J.M.ら、Clin.Chem.、2008年、54、1617〜1623頁に記載される、ビシニン様タンパク質(VLP6、またはVILIP−1、またはVSNL)の悪化状態を試験することを可能にする。本発明を実施しながらこれらのマーカーを使用することができる。
【0072】
パーキンソン病および多系統(シヌクレオパシー)萎縮症に関して、マーカー・アルファ−シヌクレイン(Mollenhauer B.、Cullen V.、Khan I.、Experimental Neurology、2008年、213、315〜325頁)を挙げることができる。
【0073】
最後に、本発明の範囲内で使用することができる、中枢神経系(SNC)に関する影響に特異でないマーカーが存在する。これらは、タンパク質GFAP、ミエリン、ニューロペプチドおよび神経伝達物質など、SNCから発生するタンパク質である。より具体的には、University of California、San Diego、Medicine & health/diseases、2009年2月による文書に記載されている、タンパク質BNDF(脳由来神経栄養因子(brain derived neurotrophic factor)も特に興味深い。さらに、免疫応答タンパク質、例えばIgG、アルブミン、補体タンパク質、反応性タンパク質C、ならびに例えば、トランスフェリン、ハプトグロビン、セルロプラスミン、リゾチーム、エノラーゼなどの炎症タンパク質を、本発明を実施するために使用することができる。
【0074】
本発明のどの実施形態でも、いくつかの異なるマーカー、すなわち様々な病理のマーカーを、同じ金属ガイドの凹所に配置することができる。次いで、マーカーを、様々なマーカーが互いに作用しないようにいくつかの凹所に配置することができる。
【0075】
有利なことに、本発明によるデバイス、または少なくとも、分析する基質に接触する、機能化した終端部分は、10−6程度の無菌保証レベル(SAL(Sterility Assurance Level))を示す。この無菌レベルに達するように様々な代替の溶液を考えることができる。検出する基質に特異な反応性基がないようにデバイスを滅菌し、次いで無菌条件下で反応性基を追加する可能性がある。反応性基を追加した後でデバイスを滅菌する別の可能性があり、これは滅菌技術の使用を必要とし、前記反応性基の活性を大幅には低下させない(例えば、エチレンオキシドまたは放射線を使用した滅菌)。
【0076】
本発明の第2の目的は、組織または器官に存在する基質の生体外の検出方法であって、
a)本発明によるデバイスの機能化したEa先端部を、前記先端部が試験する前記組織または器官と接触しているときに、前記基質に特異な少なくとも1つの検出剤を含む溶液で培養するステップと、
b)前記基質を検出するステップとを含むことを特徴とする方法である。
【0077】
培養ステップは、溶液中の検出剤、より具体的には抗体が、具体的には基質(マーカー、抗原、抗体など)、より具体的には、任意選択でデバイスの端部に存在する抗原に固定されるに十分な時間の間に実行することができる。当業者は、一般的な知識およびルーチンの実験により、溶液中の検出剤、より具体的には、基質の抗体、より具体的には抗原の、親和性に応じたこの培養時間を簡単に判断することができる。この培養時間はまた、培養中の溶液の温度に応じて変わる。例として、培養時間は、1分から2時間程度、好ましくは5分から1時間、具体的には好ましくは10から30分、温度は20℃(室温)から37℃である。
【0078】
有利には、溶液中の検出剤は、本発明によるデバイスの機能化した先端部に結合された特異な試薬とは異なる。
【0079】
好ましくは、検出剤は抗体である。
【0080】
有利には、溶液中の抗体、および本発明によるデバイスの機能化した先端部に結合した抗体は、それぞれ多クローン抗体であり、好ましくは、前記抗体は互いに同一である。
【0081】
有利には、溶液中の抗体、および本発明によるデバイスの機能化した先端部に結合した抗体は、それぞれ単クローン抗体であり、好ましくは、前記抗体は互いに異なる。
【0082】
有利には、溶液中の抗体は、マークされ、より具体的には、酵素、例えばペルオキシダーゼまたはアルカリ性ホスファターゼに結合される。
【0083】
本発明による方法の第1の特定の実施形態によれば、この方法はさらに、ステップa)とb)の間にはさまれる、ステップa)の検出剤に特異な少なくとも1つの検出剤を含む溶液中で前記先端部を培養するステップa’)を含む。
【0084】
当業者は、本発明による方法に適合化された抗体を一般的な知識を以て簡単に特定することができる。その例として、この第2のステップで、具体的には、特定する基質(マーカー、抗原、抗体など)に対するマウス免疫グロブリンがステップa)で使用される場合に、抗体、具体的には、マウス免疫グロブリンを認識する抗体を使用することが可能である。
【0085】
本発明による方法の第2の特定の実施形態によれば、本発明による方法は、培養ステップa)、および場合によってはステップa’)の後に洗浄ステップを含み、この洗浄ステップにより具体的にはマーカー(抗原)に固定されていない抗体をなくすことが可能になる。
【0086】
こうした洗浄ステップのプロトコルもまた、一般的な知識に属し、ルーチンの実験によって容易に判断することができる。例えば、こうしたステップは、特異な抗原に関する溶液中の抗体の親和性に応じて、TRITON X100(登録商標)またはTWEEN 20(登録商標)など、ある程度重要な濃度の洗剤(0.05から1%)を含む溶液を用いて実行される。
【0087】
検出ステップは、作用、より具体的にはステップa)、または任意選択でステップa’)で使用される抗体に結合した酵素の作用を証明することによって実行される。
【0088】
この検出ステップのために使用されるプロトコルは、使用されるマーカー、より具体的には使用される酵素、例えば、ペルオキシダーゼおよびアルカリ性ホスファターゼに応じて変わるが、そのことは、当業者の一般的な知識に属することである。
【0089】
この検出ステップにより、デバイスの機能化した先端部に固定された特異な基質の(例えば抗原の)量、最終的に、ミクロ分析および/またはマイクロ・サンプリングが実行された、器官または組織のレベルに存在する特異な基質の量を導き出すことが可能になる。
【0090】
最後に、本発明による方法を実行するために使用できる様々な反応性基は、当業者によく知られており、より具体的には、免疫酵素法または免疫螢光法の定量技術で、例えば中実のサポート上で使用される試薬を含む[ELISA技術、タンパク質チップ(上述のESPINAら、2004年)]。
【0091】
本発明の第3の目的は、患者の癌、炎症、感染、移植片拒絶反応または神経変性の病理を診断することが意図されたツールを製造するために、本発明によるデバイスを使用することである。
【0092】
本発明の特定の実施形態によれば、前記診断ツールは、少なくとも金属ガイドを含むことができ、その金属ガイドは可撓性のカテーテル中に挿入され、そのカテーテルは内視鏡中に挿入される。
【0093】
本発明の別の特定の実施形態によれば、前記診断ツールは、経壁的吸引針、より具体的には経皮的または経粘膜的な吸引針にある、少なくとも1つの金属ガイドを含むことができ、それらの吸引針を、着脱可能な保護システム、例えば可撓性のカテーテル中に挿入できる。さらに、着脱可能な保護システムおよび金属ガイドは、前記ガイドの機能化したEa先端部がミクロ分析および/またはマイクロ・サンプリングの位置に接触可能になるように協働する。
【0094】
本発明のこれらの2つの特定の実施形態では、前記少なくとも1つの金属ガイドは、特定および配置の点から、光ファイバーの長さの少なくとも一部分と連動することができる。
【0095】
有利には、前記診断用具は、腔内のルートを通して送り込まれる。
【0096】
したがって、前記ツールにより、(肝臓および膵臓を含む)咽頭から直腸までの消化器系で、(膀胱、尿道、腎臓、前立腺を含む)泌尿生殖系、(肺を含む)気管気管支系、(耳および鼻咽腔を含む)ORL系、ならびに(滑液腔を含む)骨関節系のミクロ分析および/またはマイクロ・サンプリングを実行することが可能になる。
【0097】
好ましくは、前記診断ツールは、経壁的ルートによって、より具体的には、経粘膜的または経皮的ルートを通して送り込まれる。
【0098】
こうした診断ツールにより、通常使用される腔内または脈管内のルートを通して到達させることが難しい組織または器官を分析することも可能になる。こうした診断ツールにより、皮膚、精巣、前立腺、卵巣、乳腺、また腎臓および肝臓、末梢神経系ならびに中枢神経系、より具体的には、脊柱内ルート、ならびに内分泌系(例えば甲状腺)のレベルで、経壁的ルートを使用してミクロ分析および/またはマイクロ・サンプリングを実行することも可能になる。
【0099】
本明細書の以下の実施例により本発明を例証することが可能であるが、これらの例は、あくまで非限定的な例として挙げられているものである。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】金属ガイドを構成する様々な可能性を示す。
【図2】FIBによって作られた様々な穴の走査電子顕微鏡写真を示す(エッチングの非均一性から生じる重大な表面粗さを観察することができる)。
【図3】フッ素支援のフライス技術のシャドーイング効果の説明および観察を示す。
【図4】微細成形動作の進行を示す。
【図5】(a)光学顕微鏡によって観察される半球状の穴、(b)走査電子顕微鏡によってニチノールを使用したガイド上に観察される連続した穴、(c)空所の細部、(d)ガイドの表面粗さと空所中の表面粗さの比較を示す。
【図6】電気化学的ポリッシング処理後の、図5と同じ半球状の穴を示す走査電子顕微鏡写真を示す。
【図7】一次単クローン抗体(AcM1)による免疫捕捉、および二次単クローン抗体(AcM2)での抗原ACEの表出に関する、本発明のデバイスの図を示す。
【図8】捕捉抗体5910によるELISAの結果、および抗体5909による表出(抗原ACE陽性血清によって得られた吸着)を示す。
【図9】捕捉抗体5910によるELISAの結果、および5909抗原による表出(抗原ACE陰性血清によって得られた吸着)を示す。
【図10】捕捉抗体5905によるELISAの結果、および抗体5909による表出(抗原ACE陽性血清によって得られた吸着)を示す。
【図11】捕捉抗体5905によるELISAの結果、および抗体5909による表出(抗原ACE陰性血清によって得られた吸着)を示す。
【図12】捕捉抗体5910の剛体プラスチック・バットによるELISAの結果、および抗体5909による表出(陽性抗原ACE血清によって得られた吸着)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0101】
各添付図面は、使用する方法の感度および特異性の代表例を示すものである。
【0102】
[実施例1] ニチノール・ベースの金属ガイドの用意、およびその作用
ニチノール・ベースの金属ガイド(Euroflex)の表面は、位置、例えば凹所を画定するように構成され、それらの凹所では、反応性基が配置され、生化学的作用が起きる(図1)。
【0103】
前記「凹所」は、例えば、電気化学的エッチングおよびレーザー・アブレーションの前のレーザー・リソグラフィによる、集束イオン・ビーム・リソグラフィ(FIB、Xieら、Nuclear Instruments & Methods in Physics research Section B−beam Interactions with Materials and Atoms、211(3):363〜368頁、2003年)など、様々な方法を使用して得ることができる。
【0104】
FIB技術を使用して、機械がイオン・ビームを作り出し、そのイオン・ビームが、構成しなければならない表面に集束される。イオン・ビームの機械的な作用の下で、表面の材料の原子が、その表面から除かれる。適度な時間、エッチング・リーダー8μm3s−1、ビーム電流20nAで、FIB技術によって直径20μmの穴を形成することができる。図2に、直径5、20および40μm、深さ10および20μmの穴を示す。エッチング中に粉末材料を再堆積するので、穴の底部の表面は粗い。エッチング速度は、ビーム電流20nAで、直径40μmの円形領域で200nm min−1と測定された。その結果、エッチング速度は0.2μm3 nC−1(約5μm3 s−1)ということになり、これは、直径20μm、深さ20μmの穴を作製するための加工時間20分に相当する。表面粗さを改善するために、フッ素(XeF2)支援のフライス技術を用いた。次いで、非常に低い表面粗さが得られたが、XeF2がエッチング・ビームの軸に正確に沿っていなかったので、シャドーイング効果が確認された(図3)。
【0105】
レーザー・リソグラフィ技術および電気化学的エッチングは、第1のステップで、表面をポリマー層で被覆することから構成される。第2のステップでは、ポリマー層が、レーザー・アブレーションを使用して機械加工される。第3のステップでは、その表面は、ポリマー層に設けられた開口部を通して、等方性電気化学的エッチングを使用してエッチングされる(図4)。図5に、ニチノール・ベースの金属ガイドの様々な構成試験の結果を示す。
【0106】
さらに、生体内で使用されるニチノール・ベースの金属ガイドは、通常、天然のNiTi酸化物層を生体適合性のTiO2層に置換する電気化学的ポリッシングによって加工される。穴を有する機械加工されたガイドは、穴の構成(図6)に対するこの方法の影響を推測するために、この方法を受けなければならない。
【0107】
ニチノール・ベースのガイドの表面上に空所を設けるための別の手法としては、レーザー・アブレーションを使用することが挙げられる。短レーザーの衝撃を利用すると、熱の発生によって周りの金属に影響を及ぼすことのない、金属の局所の蒸着が可能になる。記録された最も小さい寸法は20μm程度である。
【0108】
本明細書で上述された3つの方法により凹所を作製することが可能である場合は、電気化学的エッチング方法が最良の結果を出した。
【0109】
〔実施例2〕特定の器官への金属ガイドの生体内の挿入後の外傷
これらの実験の場合は、金属マイクロ・ガイド(MTI 0.012’’ Silver speed)を使用し、前記金属ガイドをマイクロ・カテーテル中に挿入した。
【0110】
そのデバイスを、脈管内のルートを通して(大腿動脈を介して)、吸引のレベルで、次いでスカルパのレベルから腎臓まで、全身麻酔下でピッグ中に導入した。このガイドを、動脈撮影による大腿動脈中で、前記デバイスを追従させて供給した。
【0111】
デバイスは、腎臓の入口に配置されるときに、動脈内の侵襲によって腎臓中に導入される。組織中へのこうした穿通は、深さ数ミリメートルであり、前記デバイスを約10分間そこに維持した。
【0112】
最後に、デバイスを取り除いた。
【0113】
動物を安楽死させ、それらの腎臓を、本発明によるデバイスの穿通後の状況を推定するためにサンプリングした。
【0114】
その結果、腎臓に侵襲と関連する重大な出血がないことが示された。留意される最も重大な損傷は、侵襲位置のレベルの寸法3×1mmであった。
【0115】
したがって、本発明によるデバイスにより、非常にわずかな侵襲性でありながら器官へのアクセスを有することが可能になる。
【0116】
〔実施例3〕肝臓へのデバイスの挿入後の微小外傷
金属マイクロ・ガイド(MTI 0.012’’ Silver speed)を使用した。その金属マイクロ・ガイドを、実施例1とは異なるファイバー・スコープ中に配置した。
【0117】
そのデバイスを、動脈内ナビゲーションを通して(大腿動脈を介して)、吸引のレベルで、次いでスカルパのレベルから肝臓まで、全身麻酔下でピッグ中に導入した。この案内は、動脈撮影による大腿動脈中での前記デバイスの制御によって行った。
【0118】
デバイスを、肝臓の近くに配置するときにこの器官中に導入した。組織中へのこの穿通は、深さ数ミリメートルであり、前記デバイスを約10分間そこに維持した。
【0119】
最後に、デバイスを取り除いた。
【0120】
前述のように、手術した肝臓のサンプリングにより、手術が器官に与える悪影響を推定することが可能になった。
【0121】
肉眼で見えない損傷を、肝臓の表面に見ることができた。切開時に、被膜下面の寸法1.5×0.4cmおよび1.8×0.5cmの2つの実質内出血性の結節の存在を見ることができた。組織構造的に、他の顕著な異常なしに、洞様血管、門脈細静脈および中心小葉の静脈のうっ血を含む全ての面で肝臓の構造が維持される。
【0122】
結論
結果として、出血性の損傷が最小限であることが示され、実質細胞の破壊なしに、毛細血管および中心小葉の静脈の単純なうっ血を有する、2つの軽微な微小損傷を見ることができた。
【0123】
したがって、金属ガイドの利用により、軽微な外傷、場合よっては、生検の結果生じるより概して小さい外傷にすることが可能になる。
【0124】
〔実施例4〕中実のサポート上で抗原ACEの生体外の免疫捕捉および検出を可能にするデバイスの概念および生産のためのパラメータの考察
このデバイスは、抗原ACEを示すことを可能にするELISA技術の原理を使用する。この抗原上の異なるエピトープを認識する2つの単クローン抗体を、捕捉(AcM1)および抗原ACEの表出(AcM2)のために使用した。同じアイソトープ(IgG1)を有するこれらの単クローン抗体は、ビオチンに結合した単クローン抗体、およびストレプトアビジン・ペルオキシダーゼ複合体を使用して、ACE抗原の表出を行った(図7)。
【0125】
2つのタイプのサポート、ELISA用プレートまたは剛体プラスチック・バットを使用した。
【0126】
ELISA用プレート(Greiger)
炭酸塩/重炭酸塩の緩衝液で(1/5000および1/128000に)希釈した、100μlの抗原ACEに対する単クローン抗体(クローン5910またはクローン5905、マウスで産生されMedix Biochemicalによって市販されている)を各ウェルに配置し、プレートを37℃で1時間配置した。炭酸塩/重炭酸塩の対照溶液によって抗体を置換することによって1つの陰性対照が得られた。
【0127】
ウェル1箇所当たり250μlのPBSで3回洗浄した後で、プレートのフリー・サイトを、3%PBS−BSA(ウシ血清アルブミン)200mlで、37℃で2時間飽和した。
【0128】
次いで、0.5%PBS−Tween250μlでウェルを3回洗浄し、その後、PBS Tweenで1/10、1/100、1/1,000以内に希釈した抗原ACE陽性血清をウェル1箇所当たり100μl添加し、プレートを37℃で1時間培養した。
【0129】
ウェル1箇所当たり250μlのPBS−Tweenでの3回の洗浄を実行し、その後、PBS−Tweenで1/500以内にビオチン化した、抗原ACEに対する単クローン抗体(クローン5909、マウスで産生されMedix Biochemicalによって市販され、一定の親和性および認識したエピトープによって、以前の使用した捕捉抗体とは異なる)をウェル1箇所当たり100μl添加し、プレートをやはり37℃で1時間培養した。
【0130】
PBS−Tweenを使用して3回洗浄した後で、ペルオキシダーゼに結合した、1/2000以内に希釈した100μlのストレプトアビジン複合体を、各ウェルに添加し、37℃で1時間培養した。
【0131】
PBS−Tweenで3回洗浄した後で、クエン酸−リン酸対照(pH5)に基質(H2O2)とクロモゲン(OPD、Sigma)の混合物をウェル1箇所当たり200μl添加することによって、表出が行われた。
【0132】
同時に、抗原(ACE量5IU/ml未満の陰性対照)として「正常な」患者の血清を使用して、同じ作業を行った。
【0133】
そのとき、ウェル1箇所当たり1M硫酸を50μl添加することによって、反応を止めた。吸着は、プレート・リーダー上で492nmで読み取った(参照:ELX.800UV)。
【0134】
免疫捕捉のための単クローン抗体5910(1/500以内に、その後1/128000まで1/2ずつ段階的に希釈した)を使用して得られた結果、およびビオチン化単クローン抗体5909による表出を、抗原ACE陽性血清の場合を図8に、抗原ACE陰性血清の場合を図9に示す。
【0135】
免疫捕捉のための単クローン抗体5905(1/100、1/200、1/500以内に、その後1/32000まで1/2ずつ段階的に希釈した)を使用して得られた結果、およびビオチン化単クローン抗体5909を使用した表出を、抗原ACE陽性血清の場合を図10に、抗原ACE陰性血清の場合を図11に示す。
図8から図11の見出し:
たて座標:492nmでの吸着(DO)
よこ座標:捕捉抗体(5910または5905)の希釈
◆ACE陽性血清の1/10以内の希釈液
■ACE陽性血清の1/100以内の希釈液
△ACE陽性血清の1/1000以内の希釈液
×=血清なし
【0136】
結果として、捕捉単クローン抗体を1/500以内で使用したときに、1/10以内の抗原ACE陽性血清が0.5より高い吸着(DO)をもたらす(図8)ことが示される。同じ条件下で、抗原ACE陰性血清は0.15未満のDOをもたらす(図9)。
【0137】
しかし、捕捉単クローン抗体5910と検出単クローン抗体5909の結合(図8および図9)より、捕捉単クローン抗体5905と検出単クローン抗体5909の結合(図10および図11)でより良い結果が得られたことに留意されたい。実際のところ、1/10以内に希釈した抗原ACE陽性血清の場合にDOが1である(図10)ことを述べたが、抗原ACE陰性血清が同じ条件下で0.1のDOをもたらす(図11)。これらの結果を、様々な希釈液の捕捉単クローン抗体5910を使用して確認した(データは示さない)。
【0138】
従来の剛体のサポート
第1のステップでは、長さが2から3cm、直径が0.5から1mmのバットの形態の剛体プラスチック・サポートを作動させた。
【0139】
第2のステップで、このように作動させたサポートを、1mlの溶血マイクロ・チューブ(Fisher)に配置し、抗原ACEに対する単クローン抗体(クローン5910、マウスで産生されMedix Biochemicalによって市販されている)で機能化し、37℃で1時間、炭酸塩/重炭酸塩(250μl/チューブ)対照で1/50、1/100、1/250、1/500以内に希釈した。単クローン抗体を炭酸塩/重炭酸塩対照に代えることによって陰性対照を行った。固定および洗浄の後に、+4℃の温度で1晩、3%PBS−BSA500μlで飽和が得られた。
【0140】
次いで、1/10、1/100以内にPBSまたは「健康な」対象(抗原ACE陰性対照)からの血清で、37℃で1時間、同じ希釈液で希釈した抗原ACE陽性血清250μlでサポートを培養した。
【0141】
1mg/ml以内の抗原ACEに対する単クローン抗体(クローン5909、マウスで産生されMedix Biochemicalによって市販されており、一定の親和性および承認されたエピトープにより精製したクローン5910とは異なる)を、0.1Mホウ酸塩の対照、pH8.8に対して4℃で1晩透析した。次いで、10mg/mlDMSOビオチン溶液を50μg/mgの抗体に添加した。室温で4時間培養した後で、攪拌下で、20μl/250μgの量のビオチンに1M塩化アンモニウムを添加し、得られた溶液を室温で再度1分培養した。反応が止まる際に、マークした抗体をPBSに対して24時間、+4℃で透析し、このマークした抗体を−20℃でアリコートとして維持した。
【0142】
PBS−Tweenで3回洗浄した後で、サポートを、250μlのビオチン化抗体5909で培養し、37℃で1時間、PBS−Tweenで1/500以内に希釈した。
【0143】
ビオチンの検出(6−ビオチンアミドカプロイルアミドカプロン酸およびN−ヒドロキシこはく酸イミドのエステル、Sigma)を、37℃で1時間、PBSで1/2000以内に希釈したストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ複合体(Amersham Biosciences)を使用して証明した。
【0144】
クエン酸−リン酸対照(pH5)にチューブ当たり750μlの基質(H2O2)とクロモゲン(OPD、Sigma)の混合物を添加することによって、酵素の作用の表出を実行した。
【0145】
次いで、1M硫酸を添加することによって反応を止めた。吸着は492nmで読み取った。
【0146】
プラスチック製バットのELISAの結果を図12に示す。
図12の見出し:
たて座標:492nmでの吸着(DO)
よこ座標:捕捉抗体5910の希釈
◆抗原ACEの1/10以内の希釈液
■抗原ACEの1/100以内の希釈液
△陰性対照1/10以内の希釈液
×陰性対照1/100以内の希釈液
【0147】
概して、結果は、抗原ACE陰性血清で得られたものより、抗原ACE陽性血清の場合にDOが7から10倍高いことを示す。
【0148】
1/50または1/100以内に希釈した捕捉単クローン抗体5910が固定された剛体プラスチック・サポートで最良の結果が得られた。
【0149】
単クローン抗体5909の検出希釈液が1/500以内であるときに、検出した最良の抗原ACE濃度は、1/100、すなわち6IU/ml(「正常」と考えられる割合に近い:5IU/ml未満)以内に希釈した患者の血清に相当する。
【0150】
プラスチック・サポートを使用することにより、上述のプロトコルによる機能化された金属バット上の免疫捕捉プロセスの特異性および感度を確証することが可能になる。
【0151】
結論
生体外免疫捕捉および表出技術による抗原ACEの検出のために得られた良好な結果は、「機能化したバット」デバイスの評価を確証し、そのため、生体外の表出の後の生体内での抗原ACEの捕捉が可能になる。
【0152】
〔実施例5〕例えば、イメージング技術、より具体的には放射線技術の制御下における、乳房腫瘍のマーカーACEの発現の特定
特許出願PCT WO03/006948に記載されているプロトコルによれば、第1のステップで、アルカンチオール層が、第1のステップで、ニチノール・ベースの金属ガイド(Euroflex)の端部のうち一方に吸着される。第2のステップでは、この層の遊離チオール官能基により、抗原ACEに対する単クローン抗体でジスルフィド架橋を形成することが可能になる。
【0153】
次いで、得られた金属製ガイドを、動物またはヒトで使用するように適合された生検針に導入する。
【0154】
乳癌を患う患者から取り除いた後に、こうしたデバイスを使用して、手術する腫瘍(乳腺腫瘍)に即座の解剖病理学的検査を行う。代替の溶液によれば、医療倫理条件が存在するときは、乳癌を患う患者に局所または全身麻酔下で乳房に微小切開を行う。抗原ACEに対する抗体に結合した金属ガイドが挿入される針は、腫瘍中に導入されるか、または微小切開によって、次いで、画像、より具体的にはエコーグラフによって、ガイドの前進を追従しながら腫瘍まで案内される。
【0155】
次いで、前記低侵襲性の案内システムにより、抗原ACEに対する抗体に結合された金属ガイドの端部を取り出すことが可能になる。次いで、金属ガイドの端部を、腫瘍中に(穿孔によって)数ミリメートル程度の深さで導入する。任意選択で腫瘍によって発現される抗原ACEによって免疫捕捉が可能になる10分程度の待ち時間の後で、デバイスが取り除かれる。
【0156】
マイクロ・サンプリングは検体の生体内の免疫捕捉に限定され、生検を必要としない。
【0157】
最後に、デバイスを取り除き、次いで、マーカーACEのELISA定量法を、マーカーACEに対する単クローン抗体を有するデバイスの端部で実行し、そのマーカーACEは、抗原ACEに関する一定の親和性、および識別されたエピトープによって捕捉抗体と区別し、ビオチンに結合する。
【0158】
ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ複合体を使用することによる酵素の作用の表出により、腫瘍によるマーカーACEの発現、およびそれに応じて患者に最良の治療を与えるために使用する治療を調整することが可能になる。
【0159】
〔実施例6〕皮膚癌
特許出願PCT WO03/006948に記載されているプロトコルによれば、アルカンチオールの層は、第1のステップで、ニチノール・ベースの金属ガイド(Euroflex)の端部に吸着されている。第2のステップでは、この層の遊離チオール官能基により、FAPマーカーに対する単クローン抗体(Fibroblast−activation protain;RETTIGら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、vol.85、3110頁、1988年)でのジスルフィド架橋の形成が可能になる。
【0160】
次いで、従来のまたは即座の解剖病理学的検査のために、得られた金属ガイドを、医療倫理条件が存在するときは動物またはヒトの皮膚腫瘍のレベルで、またはそのアブレーションの後には皮膚癌を患う患者の皮膚腫瘍のレベルで導入する。
【0161】
マイクロ・サンプリングは生体内の免疫捕捉に限定され、特定の生検を必要としない。
【0162】
最後に、デバイスを取り除き、ペルオキシダーゼに結合したマーカーFABに対する単クローン抗体で、デバイス端部にFABマーカーのELISA定量法を実行する。
【0163】
ペルオキシダーゼの活性の表出により、腫瘍によるマーカーFAPの発現を導き出し、それに応じて、患者に最良の治療を施すために使用する治療法を調整することが可能になる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、経壁的検査デバイスの機能化、その機能化したデバイスを使用した基質の生体外分析の方法、および患者の癌、感染、炎症、神経変性疾患または移植片拒絶反応の診断のためのツールの製造のための上記デバイスの使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
検査または生体内治療デバイスは、現在の技術で知られている。こうしたデバイスは、内視鏡タイプの剛体チューブ、または可撓性のチューブから構成されたカテーテルの形状をしており、特に自然の経路または管によって生体に挿入され、器官または特定の組織に到達させることができる。これらのデバイスにより、特に血餅をなくすこと、または光ファイバーと連動するときは、消化管としての系の状態、もしくは結腸としての器官の状態の視覚化および生体内管理が可能になる。次に、こうしたデバイスの使用により生じる患者の外傷は、最小限に抑えられているが、今も改善されつつある段階である。しかし、これらのデバイスで患者の器官または組織を分析することが常に可能なわけではない。血液循環もしくは自然の経路と比較すると前記組織または器官にアクセスしにくいこと、または前記器官もしくは組織の細胞の細かい分析に頼ることなしでは信頼できる診断の実行が難しいことから、このように不可能になることがある。このような場合には、一般に、現在の技術で今までは、特に細針(FNAすなわち<<細針吸引(Fine needle aspiration)>>:Engelsteinら、Br.J.Urol.、7:210〜213頁、1994年;Rodriguesら、J.Am.Acad.Dermatol.、42:735〜740頁、2000年;Arigaら、Am.J.Surg.、184:410〜413頁、2002年;Perez−Guillermoら、Diagn.Cytopathol.、32:315〜320頁、2005年;Fernandez−Esparrachら、Arch.Bronconeomol.、43:219〜224頁、2007年)によって、これらの組織もしくは器官の、またはより細かくそれらを構成する細胞の1つの形態を生体外で管理するために、前記組織または器官のフラグメントのサンプリング(生検)が使用されている。さらに、特定の数のマーカーの発現状態を分析することも可能であり、それらのマーカーの発現は、特異な病理学的状態(特に癌、炎症、感染、神経変性疾患または移植片拒絶反応)と関係している。
【0003】
しかし、これらの異なる方法は、生検のサンプリングまたは細胞の吸引によって外傷を伴い、これは、前記組織または器官に対して、したがって患者に対して重大な影響を与えることがある。それにより、患者の生体は、特に特定の器官(脳、膵臓、肝臓または肺)に関して、サンプリングに続く出血または瘢痕のせいで、非常に苦しめられることがある。
【0004】
したがって、患者に与える外傷を限定しながら、特に、具体的には癌、炎症、感染または神経変性疾患など、異なる病理と連動するマーカーの発現と比較して、信頼できる正確な診断を実行できるようにする新しい検査の方法体系の特定が今なお必要とされている。
【0005】
EP1358481の特許に、分析または生体内の治療のデバイスが記載されており、そのデバイスは、(i)蛍光信号の分析以外のものによる基質の検査のマイクロ・システムと、(ii)一方の先端部に前記マイクロ・システムが固定され、もう一方の先端部は前記マイクロ・システムの制御が意図される、可撓性のバット(butt)と、(iii)前記可撓性のバットが内部を摺動できる内側開口部を有する医療用具と、(iv)基質のレベルで着脱可能な、マイクロ・システムの保護の摺動システムと、(v)前記マイクロ・システムのレベルの組織または細胞の引裂きシステムであって、最終的に、生物学的または化学的製品の局注のために、治療のための生検を実行するように、感覚受容体(触覚、視覚、物理化学または数値情報科学)による遠隔制御によってモニタリングするデバイスから選択される1つまたは複数のデバイスと連動する、引裂きシステムとを備える。
【0006】
血管の侵襲および組織または細胞の引裂きを可能にするために、マイクロ・システムは、好ましくは遠位位置で、この機能を保証する、より剛体の別のシステムと連動する。
【0007】
しかし、生体内検査デバイスの場合は、その検査デバイスは、より多くの場合、脈管内のまたは腔内の経路を使用して目標の器官または組織に向けられる。次いで、マイクロ・システムを引裂きシステムに結合すると、記載したデバイスの先端部で直径が無視できない程度増大する。そのとき、そのデバイスは、血液循環経路を変えずに同時に目標位置に正確に向けるには、使用が複雑過ぎることが明らかである。同時に、複数の要素を結合すると、器官または組織を穿孔可能にするのに必要な剛性を得ることに関して、デバイスの全体的な可撓性、したがって正確な案内を行うことに支障をきたす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許EP1358481
【特許文献2】国際特許出願WO03/006948
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Engelsteinら、Br.J.Urol.、7:210〜213頁、1994年
【非特許文献2】Rodriguesら、J.Am.Acad.Dermatol.、42:735〜740頁、2000年
【非特許文献3】Arigaら、Am.J.Surg.、184:410〜413頁、2002年
【非特許文献4】Perez−Guillermoら、Diagn.Cytopathol.、32:315〜320頁、2005年
【非特許文献5】Fernandez−Esparrachら、Arch.Bronconeomol.、43:219〜224頁、2007年
【非特許文献6】Xieら、Nuclear Instruments & Methods in Physics research Section B−beam Interactions with Materials and Atoms、211(3):363〜368頁、2003年
【非特許文献7】ESPINAら、J.Immunol.Methods、vol.290、121〜133頁、2004年
【非特許文献8】WITTSTOCK and SCHUHMANN、Anal.Chem.、vol.69、5059〜5066頁、1997年
【非特許文献9】DUPONT−FILLIARDら、Anal.Chim.Acta.、vol.449、45〜50頁、2001年
【非特許文献10】Duffy M.J.、Shering S.、Sherry F.、McDermott E.、O’Higgins N.、Int.J.Biol.Markers、2000年10月〜12月;15(4):330〜3頁
【非特許文献11】Kaohsiung J.、J.Med.Sci.、1999年9月;15(9):520〜8頁
【非特許文献12】Soletormos G.、Nielsen D.、Schioler V.、Mouridsen H.、Dombernowsky P.、Eur.J.Cancer、2004年3月;40(4):481〜6頁
【非特許文献13】Given M.、Scott M.、Mc Grath J.P.、Given H.F.、Breast、2000年10月;9(5):277〜80頁
【非特許文献14】Fehm T.、Jager W.、Kramer S.、Sohn C.、Solomayer E.、Wallwiener D.、Gebauer G.、Anticancer Research、2004年5月〜6月;24(3b):1987〜92頁
【非特許文献15】Platet N.、Cathiard A.M.、Gleizes M.、Garcia M.、Crit.Rev.Oncol.Hematol.、2004年7月;51(1):55〜67頁
【非特許文献16】Duffy M.J.、Clin.Chem.、2005年3月;51(3):494〜503頁.Epub2005年1月6日
【非特許文献17】Schluter C.、Duchrow M.、Wohlenberg C.、Becker M.H.、Key G.、Flad H.D.、Gerdes J.、J.Cell.Biol.、1993年11月;123(3):513〜22頁
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【非特許文献28】COCKRUMら、Lab Automation、BTi、2005年10月、19〜21頁
【非特許文献29】ROUSSOULIERESら、Circulation、vol.111(20)、2636〜2644頁、2005年
【非特許文献30】Waldemar G.、Dubois B.、Emre M.ら、Eur.J.Neurol.、2007年、14、1〜26頁
【非特許文献31】Dubois B.、Feldmann H.H.、Jacova C.、Dekosky S.T.ら、Lancet Neurol.2007年、6、734〜746頁
【非特許文献32】Krolak−Salmon P.ら「Vers un diagnostique biologique de la maladie d’Alzheimer et des syndromes apparentes」、La Revue de medecine interne(2008)、doi:10.1016/J. revmed.2008.01.029.
【非特許文献33】Lee J.M.ら、Clin. Chem.、2008年、54、1617〜1623頁
【非特許文献34】Mollenhauer B.、Cullen V.、Khan I.、Experimental Neurology、2008年、213、315〜325頁
【非特許文献35】University of California、San Diego、Medicine & health/diseases、2009年2月
【非特許文献36】RETTIGら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、vol.85、3110頁、1988年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以下の重要な調査に続いて、発明者は現在、金属製ガイドを備えるデバイスを開発しようとしており、その金属製ガイドの一方の穿孔用先端部に、反応性基、特に、試験する基質の特異な抗体または抗体フラグメントが直接結合され、もう一方の先端部は、挿入位置から前記基質のミクロ分析および/またはマイクロ・サンプリングの位置への、前記ガイドの運転が意図される。前記ガイドを、着脱可能な保護システム、例えば、可撓性のカテーテル中に挿入することができ、そのとき、これらの組織、器官または細胞を構成する、試験する基質のミクロ分析および/またはマイクロ・サンプリングの位置に対して、前記ガイドの機能化された先端部を保護することが可能になる。
【0011】
本発明は、ガイド上にいくつかのスポット、例えば凹所を画定するように、ガイドの表面を構成することであり、それらの凹所に、反応性基が配置されて生化学的作用が起きる。電気化学的侵食およびレーザーが続くレーザー・リソグラフィによる、集束イオン・ビーム(FIBすなわち<<Focused Ion beam>>:Xieら、Nuclear Instruments & methods in Physics research Section B−beam Interactions with Materials and Atoms、211(3):363〜368頁、2003年)によるリソグラフィなど、異なる方法によって前記凹所を実現することができる。
【0012】
あるいは、前記ガイド上にいくつかのスポット、例えば少なくとも1つの溝を画定するように、金属製ガイドを構成することができ、それらの溝には、線形、円形、またはリボンの形態の、少なくとも1つの小型化したバイオチップが共同で連動し、そこに反応性基が配置されて生化学的反応が起きる。ガイドの表面構成によって形成されるスポット、例えば凹所は、ガイドの表面に起伏を形成しないが、溝または空所を形成する。したがって、ガイドの表面の構成によって形成されたスポットは、ガイドの直径を増大させることはない。
【0013】
有利なことに、ガイドの表面構成によって形成されたスポットは、ガイドの表面に位置し、これは、これらのスポットが流体、組織および細胞と直接接触することを意味する。
【0014】
さらに、前記デバイスを、前記金属製ガイドが内部を摺動できる内側開口部を有する医療用具中に、特に、経壁的な針穿刺、特に経皮的または経粘膜的な針穿刺、または脈管系のナビゲーションを含む内視鏡で挿入することができる。
【0015】
さらに、前記デバイスは、光ファイバーと連動することができるか、または前記デバイスの金属製ガイドの代わりに光ファイバーを使用することができる。その光ファイバーの穿孔用先端部が金属製リングと連動し、そのリングに反応性基、特に試験する基質に特異な抗体または抗体フラグメントが直接結合され、したがって、診断に必要な、最終的には予後の評価に必要な要素の生体内の捕捉を考慮して、細かいインサイチュの視覚化が可能になる。光ファイバーの特性は、画像をマークし、インサイチュの視覚化からデバイスを設定するために使用される。
【0016】
本発明によるデバイスは、その単純化の故に、低侵襲性のままでありながら、可撓性または弾性が従来技術のデバイスと比較して改善される。そのため、腔内の経路、特に脈管内の経路による、または経壁的経路、特に経皮的または経粘膜的な経路による検査のために、デバイスをさらに効率的に使用することができる。さらに、本発明によるデバイスは、先端部が特異な試薬に結合した金属製ガイドを使用するので、機能化した先端部において、組織または器官を効率的に穿孔するのに十分な剛体である。最後に、本発明によるデバイスの先端部での直径は、血液循環または自然の空所中での単純化したナビゲーションを可能にし、具体的には、デバイスが穿孔しなければならない組織または器官のレベルで、外傷を最小限に抑えるのに十分に微弱なものである。
【0017】
したがって、さらに、デバイスを引き抜いた後で、免疫酵素の定量として標準的な方法によって、または例えば中実のサポート[ELISA技術、タンパク質チップ(ESPINAら、J.Immunol.Methods、vol.290、121〜133頁、2004年)]上の免疫螢光法によって、本発明によるデバイスの先端部で、したがってミクロ分析および/またはマイクロ・サンプリング位置(器官または組織)のレベルで、(1つまたは複数の)前記特異な基質の存在および相対濃度を、生体外で特定することが可能である。
【0018】
最後に、金属製ガイドの性質によって、そのデバイスは画像信号(動脈撮影、超音波検査、スキャン、MRIなど)が改良されている。この特性により、目標組織または器官への介入の時に、本発明によるデバイスの無線誘導を大幅に単純化することができる。細かいインサイチュの視覚化を可能にする画像をマークするために、前記デバイスを光ファイバーと結合することについても同様である。
【0019】
したがって、本発明の第1の目的は、前記基質の検査および/またはマイクロ・サンプリングの低侵襲性のシステムを備えることを特徴とする、基質の分析のためのデバイスであり、前記システムは、少なくとも1つの金属製ガイドから構成され、その金属製ガイドの先端部Eaには、少なくとも一連の凹所が設けられ、それらの凹所には、前記基質の特異な少なくとも1つの反応性基が直接結合され、前記機能化した先端部Eaは、穿孔し、もう一方の先端部Emは、前記金属製ガイドを運転し、最終的に吸引システムと連動することが意図される。
【0020】
有利なことに、先端部Eaの表面を、少なくとも一連の凹所を画定するように構成することができ、それらの凹所に、前記基質の特異な少なくとも1つの反応性基が直接結合され、前記先端部Eaが穿孔する。
【0021】
患者に生じる外傷が弱いので、本発明によるデバイスにより、いくつかのマイクロ分析またはマイクロ・サンプリング(例えば、前立腺内のステージで実行される分析および/またはサンプリング)を規則的な間隔で患者に実行することが可能になる。したがって、診断に加えて、前記分析および/または連続するサンプリングによって、患者の癌、炎症、感染、神経変性疾患、または器官の良好なグラフトの保持の進展をフォローすることが可能になる。
【0022】
有利には、機能化した先端部Eaは、長さ約0.5から2cmであり、少なくとも一連の1から25個の凹所、好ましくは2×25の凹所を有し、平均直径が約30から80μm、好ましくは約40から60μmであり、非常に好ましい直径が約50μmであり、深さが約20から30μm、好ましくは25μmであってよく、前記凹所は、互いに約60から120μm離間している。好ましくは、それらの凹所は壁が滑らかであるかまたは粗く、形状が卵形または円形であり、底部が平坦なまたはくぼんでいる。
【0023】
有利には、機能化した先端部は、できるだけ上昇した、いくつかの凹所を呈することができる。それらのいくつかの凹所は、金属製ガイドが組織または器官を穿孔するのに十分剛体であるようなものである。この実施形態では、機能化した先端部の平均直径は、約0.3から3.5mm、好ましくは約0.35mmでよい。有利には、金属製ガイドは、凹所を形成するために、長さ0.5から2cm、好ましくは1cmに構成することができる。有利には、凹所の直径は、約30から80μm、好ましくは約30から60μm、例えば35μmでよい。有利には、凹所の深さは、約20から30μm、好ましくは約25μmでよい。凹所の間隔は、20から120μm、好ましくは25μmでよい。
【0024】
有利には、機能化した端部Eaは、円筒形、平面、またはらせんの形態、または流体、組織および細胞と接触する凹所の表面積を増大するように修正した形態でよい。
【0025】
本発明によるデバイスの特定の実施形態によれば、前記デバイスはさらに、機能化した先端部Eaにおいて着脱可能な保護システムを備える。
【0026】
本発明によるデバイスの特定の実施形態によれば、前記デバイスはさらに、前記少なくとも1つの金属製ガイドが内部を摺動できる内側開口部を有する医療用具を備える。
【0027】
ここに「金属製ガイド」とは、例えば、直径0.2から3.5mm、長さ5×10−2から2mの、中実で柔軟な金属製バットまたは中空の剛体金属製バットを意味し、その金属製バットは、血管、小型の空所中に、または器官もしくは組織を通して挿入することができ、それにより、挿入位置からインサイチュのミクロ分析、および/または、マイクロ・サンプリングの位置に向けることが可能になる。
【0028】
具体的には、中実で可撓性の金属製バットを光ファイバーから構成することができ、その光ファイバーの先端部Eaに、少なくとも一連の凹所を備える金属製リングが連動し、その金属製リングに、前記基質の特異な少なくとも1つの反応性基が直接結合され、前記機能化した先端部Eaが穿孔する。
【0029】
有利には、前記金属製リングは、幅約0.5から2cmであり、少なくとも一連の1から25箇所の凹所、好ましくは2×25箇所の凹所を呈することができる。それらの凹所は、平均直径約30から80μm、好ましくは約30または40から60μm、さらに好ましくは約50μmまたは35μm、深さ約20から30μm、好ましくは25μmであり、前記凹所は、約20から120μm、例えば約60から120μm互いに離間している。好ましくは、それらの凹所は壁が滑らかであるかまたは粗く、形状が卵形または円形であり、底部が平坦なまたはくぼんでいる。
【0030】
「金属製ガイド」は、さらに、全てまたは一部が合金から構成された、中実または中空の、剛体または可撓性のバットを意味し、その合金の可撓性、剛性、酸化および免疫原性の特性は、生物、具体的には動物、さらに具体的にはヒトにおけるこうした使用に関して安定性がある。こうした生体適合性の合金は、一般的な知識によって当業者が容易に識別でき、それらには、とりわけ酸化されない鋼、チタン・ベースの合金、ニッケル、コバルト、またはそれらの混合物が含まれる。
【0031】
本発明者は、チタン・ニッケル合金ベースのガイド(ニチノール合金)が、脈管内または腔内の経路で効率的に使用でき、また、外傷を最小限に抑えながら組織または器官を効率的に穿孔する先端部における全体的な可撓性および剛性の点で、何らかの特に興味深い特性を呈することを示そうとしている(前記組織または器官のレベルでの穿孔のサイズは、例えば0.05から0.5mm2程度、好ましくは0.07mm2程度である)。
【0032】
有利には、金属製ガイドは、チタンおよびニッケル合金ベース、好ましくはニチノール・ベースのガイド(Euroflex協会によって販売されている金属製ガイド)である。
【0033】
機能化した先端部Eaを除いて、前記金属製ガイドを、深さ約0.1から51μmの、親水性ポリマー、好ましくは、ヒドロゲルで、または多孔質の保護ポリマー層で被覆することができる。有利には、保護ポリマーは、フィルム状のパリレン、TiO2、またはOptoDex(登録商標)(Arrayon Biotechnology、Switzerland)、より好ましくはフィルム状のパリレンから構成される。
【0034】
金属製ガイドが内部に挿入される着脱可能な保護システムは、複数の形態、とりわけ単純に当業者によって決定することができる可撓性のカテーテルの形態、例えば脈管内、腔内、経壁的、とりわけ経皮的な経路のために使用可能な形態をとることができる。
【0035】
前記着脱可能な保護システムを、とりわけ、心臓、脳、肺、膵臓、腎臓および肝臓の管に到達するように、脈管内の経路によって挿入することができる。
【0036】
腔内のアクセス、とりわけ内視鏡によって、経粘膜的経路による口腔、肛門、尿生殖器および呼吸器の経路、またはENTによって、あるいは、経皮的経路による皮膚のレベルでの穿刺によって、前記着脱可能な保護システムを挿入して、例えば乳腺、とりわけ腎臓に、関節中、脊柱管中、肝臓、肺または腎臓には腰椎穿刺または経壁的に、さらに、とりわけ消化管に対しては経粘膜的な経路によって到達させることができる。
【0037】
そのため、本発明者は、本発明によるデバイスが、脈管内、腔内または経壁的経路によって、とりわけ通常使用される経粘膜的または経皮的に、通常到達が難しい組織または器官に到達可能であることを証明している。
【0038】
より一般的には、本発明者は、先端部が概して可撓性かつ剛性という特有の特徴により、本発明によるデバイスが、経壁的(経皮的、経粘膜的)、脈管内のまたは腔内の経路によって、(肝臓および膵臓を含む)口腔咽頭から直腸までの消化器系、(膀胱、腎臓、前立腺、精巣、卵巣および乳腺を含む)泌尿生殖器系、(肺を含む)気管気管支系、(耳および上咽頭を含む)ENT系、(滑液腔を含む)骨関節、内分泌系、脳神経系または外皮系の一部である何らかの器官および組織に到達およびそれを穿孔可能であり、次いで、それにより、必要な病理学上の診断の実現が可能であり、その後、(FNAとも称される)細針吸引による細胞のサンプリングを含む生検、のみならず、経肝的生検のような深い積極的な穿刺の実現が可能であることを証明している。
【0039】
有利には、金属ガイドが内部に挿入される前記着脱可能な保護システムは、脈管内または腔内の送達のために適合化された可撓性のカテーテルの形態のものである。
【0040】
そのため、本発明によるデバイスは、具体的には、例えば、動脈および静脈、心血管、前立腺、乳腺、膵臓、腎臓、心筋、中枢神経系ならびにそれらの空所または導管、脳または肝臓において検査を実行し得るように形成される。
【0041】
本発明によるデバイスの第1の特定の実施形態によれば、金属ガイドが内部に挿入される着脱可能な保護システムは、それ自体が内視鏡に挿入される。そのため、本発明によるデバイスは、具体的には、腔内の送達のために適合化される。
【0042】
そのため、本発明によるデバイスは、具体的には、例えば、気管気管支系(とりわけ、肺)、(肝臓および膵臓を含む)咽頭から直腸までの消化器系、泌尿生殖系(とりわけ、膀胱、腎臓、前立腺、精巣、卵巣および乳腺)、眼系(涙管)、耳鼻咽喉系(とりわけ、耳および鼻咽腔)、骨関節系または中枢神経系の、より具体的には脊柱内の送達による検査、または乳管内の送達によって乳腺の検査を実行し得るように形成される。
【0043】
本発明によるデバイスの第2の特定の実施形態によれば、経壁的吸引細針、より具体的には、経皮的または経粘膜的吸引針から構成される金属ガイドを、着脱可能な保護システム、例えば、可撓性のカテーテル中に挿入することができる。そのため、本発明によるデバイスは、具体的には、特定の経皮的または経粘膜的な送達のために適合化される。
【0044】
そのため、本発明によるデバイスは、具体的には、例えば、外皮(皮膚、頭皮など)、乳房、腎臓、肺、肝臓、筋肉、骨筋肉または骨関節系、中枢もしくは末梢神経系または内分泌腺(より具体的には、甲状腺、副甲状腺、副腎、精巣、乳腺または卵巣)に関して検査を実行し得るように形成される。
【0045】
本発明によるデバイスの機能化した先端部Eaに関しては、少なくとも一連の凹所を備え、それらの凹所に、試験する基質に特異な反応性基が直接結合される。
【0046】
ここに「特異な反応性基」とは、例えば、検出する核酸配列に相補的な核酸配列[DNA(アンプリコン、遺伝子のフラグメント、EST、SNP)またはNRA]、および検出する抗体に特異な抗原、または検出する抗原に特異な抗体もしくは抗体フラグメント、好ましくは抗体または抗体フラグメントを意味する。
【0047】
有利なことに、前記特異な反応性基は、増大または縮小する範囲に従って本発明によるデバイスの機能化した先端部の微小な凹所に配置される。当業者は、一般的な知識およびルーチンの実験を使用して、基質に関する反応性基の親和性に応じて前記範囲を容易に判断することができる。例えば、反応性基の範囲は、試薬、より具体的には、基質に対する親和性を有する抗体、より具体的には10−9程度の抗原に関して、50から500μg/ml、好ましくは10から100μg/ml程度のものである。
【0048】
「抗体」は、好ましくは、生体、哺乳動物、より具体的にはヒトの免疫グロブリン、より好ましくはIgGを意味する。
【0049】
「抗体フラグメント」は、抗原の特異な固定を維持できる抗体フラグメントを意味する。フラグメントFab、Fab’、F(ab’)2またはFvを、こうした抗体フラグメントの例として挙げることができる。
【0050】
試薬、より具体的にはタンパク質を金属サポート上に一旦結合する方法は、当業者によく知られている。アミノ酸の化学反応性が低いので、こうした方法は、通常、酸化の仕組みによって、またはリンク分子、最も多くの場合ポリマーの少なくとも1つの層で金属サポートを被覆することによる金属表面の活性化を必要とする(ポリマーは、例えばチオール基、カルボン酸、および/またはアミンを有することができる)。こうした方法の例として、自己組織化単分子膜(SAM、self−assembled monolayer)、より具体的にはアルカンチオール(WITTSTOCK and SCHUHMANN、Anal.Chem.、vol.69、5059〜5066頁、1997年;および国際特許出願WO03/006948参照)またはピロール(ビオチン化ピロールの電気化学的重合;DUPONT−FILLIARDら、Anal.Chim.Acta.、vol.449、45〜50頁、2001年)中に組織化された機能分子の金属サポート上への吸着を挙げることができる。
【0051】
抗体または抗体フラグメントをこの機能分子の層に結合することは、(アルカンチオールの遊離チオール基の間のジスルフィド架橋のような)共有結合、または(ピロール/ビオチン複合体のポリマー層のビオチンと、ストレプタビジン/抗体複合体または抗体/ストレプタビジン・フラグメントのストレプタビジンとの間のストレプタビジン−ビオチン結合のような)非共有結合を意味する。
【0052】
第1の好ましい実施形態によれば、本発明によるデバイスは、少なくとも金属ガイドを含み、その金属ガイドのEa先端部が、少なくとも1つの反応性基、好ましくは、癌、より具体的には乳癌、卵巣癌、前立腺癌、結腸癌、腹腔内癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、膵臓癌、中枢もしくは末梢神経系または内分泌腺(より具体的には、甲状腺、精巣または卵巣)の癌のマーカー(抗原)に特異な抗体または抗体フラグメントに結合される。
【0053】
乳癌のマーカーの例としては、マーカーCA15−3(癌関連抗原(Carcinoma−Associated Antigen)15−3;Duffy M.J.、Shering S.、Sherry F.、McDermott E.、O’Higgins N.、Int.J.Biol.Markers、2000年10月〜12月;15(4):330〜3頁)、CA27−29(癌関連抗原(Carcinoma−Associated Antigen)27−29;Kaohsiung J.、J.Med.Sci.、1999年9月;15(9):520〜8頁)、CEA(癌胎児抗原(Carcinoembryonic antigen);Soletormos G.、Nielsen D.、Schioler V.、Mouridsen H.、Dombernowsky P.、Eur.J.Cancer、2004年3月;40(4):481〜6頁)、TPA(組織ポリペプチド抗原(Tissue Polypeptide Antigen))、TPS(組織ポリペプチド特異抗原(Tissue Polypeptide Specific Antigen);Given M.、Scott M.、Mc Grath J.P.、Given H.F.、Breast、2000年10月;9(5):277〜80頁)、HER2(Fehm T.、Jager W.、Kramer S.、Sohn C.、Solomayer E.、Wallwiener D.、Gebauer G.、Anticancer Research、2004年5月〜6月;24(3b):1987〜92頁)、ER(エストロゲン受容体(Estrogen Receptor);Platet N.、Cathiard A.M.、Gleizes M.、Garcia M.、Crit.Rev.Oncol.Hematol.、2004年7月;51(1):55〜67頁)、PR(プロゲステロン受容体(Progesterone Receptor);Duffy M.J.、Clin.Chem.、2005年3月;51(3):494〜503頁.Epub2005年1月6日)、Ki−67(抗体Ki−67の細胞増殖関連抗原(cell proliferation−associated antigen of Antibody Ki−67);Schluter C.、Duchrow M.、Wohlenberg C.、Becker M.H.、Key G.、Flad H.D.、Gerdes J.、J.Cell.Biol.、1993年11月;123(3):513〜22頁)、およびUPA(ウロキナーゼプラスミノゲン活性化因子(Urokinase Plasminogen Activator);Duffy M.J.、Crit.Rev.Clin.Lab.Sci.、2001年6月;38(3):225〜62頁)を挙げることができる。
【0054】
卵巣癌のマーカーの例としては、マーカーCA125(癌抗原 Carcinoma Antigen 125);Moss E.L.、Hollingworth J.、Reynolds T.M.、J.Clin.Pathol.、2005年3月;58(3):308〜12頁)、CA15−3、およびCEA(Valenzuela P.、Mateos S.、Tello E.、Lopez−Bueno M.J.、Garrido N.、Gaspar M.J.、Eur.J.Gyn.Oncol.、2003年;24(1):60〜2頁)を挙げることができる。
【0055】
前立腺癌のマーカーの例としては、マーカーPSA(前立腺特異抗原(Prostate−Specific Antigen);Gray M.A.、Clin.Lab.、2005年;51(3−4):127〜33頁)、PSMA(前立腺特異的膜抗原(Prostate−Specific Membrane Antigen))、およびAR(アンドロゲン受容体(Androgen Receptor);Birtle A.J.、Freeman A.、Masters J.R.、Payne H.A.、Harland S.J.、BJU Int.、2005年8月;96(3):303〜7頁)を挙げることができる。
【0056】
結腸癌のマーカーの例としては、マーカーCEA(Duffy M.J.、Clin.Chem.、2001年4月;47(4):624〜30頁)、CA19−9(癌抗原19−9)、CA242(癌抗原242)、CA72−4(癌抗原72−4)、TPA、TPS(Duffy M.J.、van Dalen A.、Haglund C.、Hansson L.、Klapdor R.、Lamerz R.、Nilsson 0.、Sturgeon C.、Topolcan 0.、Eur.J.Cancer、2003年4月;39(6):718〜27頁)を挙げることができる。
【0057】
腹腔内癌のマーカーの例としては、マーカーCEAまたはCA19−9(Coban E.、Samur M.、Bozcuk H.、Ozdogan M.、Int.J.Biol.Markers、2003年7月〜9月;18(3):177〜81頁)を挙げることができる。
【0058】
膵臓癌のマーカーの例としては、マーカーTA90−IC(90−kDa免疫原性腫瘍関連抗原(immunogenic Tumor−associated Antigen))、CA−19−9(Chung M.H.、Gupta R.K.、Bilchik AJ、Ye W、Yee R.、Morton D.L.、Curr.Surg.、2002年3月〜4月;59(2):194〜198頁)、TPS、HCGベータ(HCGベータ、ヒト絨毛膜性生殖腺刺激ホルモン・ベータ(Human Chorionic Gonadotropin beta))、CA72−4、CEA、CA19−9、CA242(Louhimo J.、Alfthan H.、Stenman U.H.、Haglund C.、Oncology、2004年;66(2):126〜31頁)を挙げることができる。
【0059】
肝臓癌のマーカーの例としては、アルファフェト・プロテイン・マーカーを挙げることができる。
【0060】
肺癌のマーカーとしては、マーカーCyfraA41(サイトケラチン・フラグメント41(Cytokeratin fragment 41))、SCC(扁平上皮癌抗原(Squamous Cell Carcinoma antigen))、ACE(アンギオテンシン変換酵素(Angiotensin Converting Enzyme))、CA19−9、CA125、NSE(ニューロン特異性エノラーゼ(Neuron Spacific Enolase))、クロモグラニンA、CYFRA21−1(サイトケラチン・フラグメント21−1)、CA15−3を挙げることができる。
【0061】
第2の好ましい実施形態によれば、本発明によるデバイスは、少なくとも1つの金属ガイドを含み、その金属ガイドのEa先端部が、少なくとも1つの試薬、好ましくは、炎症、より具体的には関節リウマチの特異のマーカーに特異の抗体または抗体フラグメントに結合される。
【0062】
関節リウマチのマーカーの例として、より具体的には、IL−1β、IL−iRα、IL−2、IL−2R、IL−4、IL−5、IL−6、IL7、IL8、IL10、IL12p40P70、IL−13、IL−15、IL−17、le TNFα、IFNα、IFNγ、le GM−CSF、le MIP−1、IP−10、MIG、Eotaxine、RANTESおよびMCP−1(COCKRUMら、Lab Automation、BTi、2005年10月、19〜21頁)を挙げることができる。
【0063】
第3の好ましい実施形態によれば、本発明によるデバイスは、少なくとも1つの金属ガイドを備え、その金属ガイドのEa先端部が、少なくとも1つの試薬、好ましくは感染、より具体的には、ウイルス、細菌、または寄生虫感染の特異なマーカーに特異な、好ましくは抗体または抗体フラグメントに結合される。
【0064】
多くの感染マーカーが当業者に知られており、これにより、所与の感染と関連する1つまたは複数の特異なマーカーを非常に簡単に特定することができる。
【0065】
第4の好ましい実施形態によれば、本発明によるデバイスは、少なくとも1つの金属ガイドを含み、それらの金属ガイドのEa先端部が、少なくとも試薬、好ましくは、移植片拒絶反応の特異なマーカーに特異な抗体または抗体フラグメントに結合される。
【0066】
移植片拒絶反応の多数のマーカーが当業者に知られている。その例として、心臓移植の場合のMIP−1βおよびVE−カドヘリン(ROUSSOULIERESら、Circulation、vol.111(20)、2636〜2644頁、2005年)を挙げることができる。
【0067】
上述した特異なマーカーに関しては、当業者は、一般的な知識を以て、過度な実験なしに、本発明によるデバイスで使用できる抗体または特異な抗体フラグメントを簡単に特定することができる。こうした抗体の例としては、TEBUまたはAXXORAで入手可能な抗体を挙げることができる。当業者はまた、よく知られた免疫処置方法を使用してこうした抗体を得ることもできる。
【0068】
同様に、当業者は、本発明によるデバイスで使用できる、適応可能な特異な核酸を特定することができる。
【0069】
第5の好ましい実施形態によれば、本発明によるデバイスは、少なくとも1つの金属ガイドを含み、その金属ガイドのEa先端部が、網羅的なリストではないが、例えば、アルツハイマー病(MA)、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(SLA)などの神経変性の病理の特異なマーカーまたは1組の特異なマーカーに特異な、少なくとも1つの試薬、好ましくは抗体または抗体フラグメントに結合される。
【0070】
いくつかのマーカーが知られており、こうした病理の研究のために当業者によって使用されている。その例として、心神喪失または心神喪失前の条件に関しては、総タンパク質Tau(MAPT微小管結合タンパク質Tau)、アミロイド・ペプチドABETA1−42、リン酸化タンパク質Tau(p.Tauリン酸化128)が、例えば、Waldemar G.、Dubois B.、Emre M.ら、Eur.J.Neurol.、2007年、14、1〜26頁;Dubois B.、Feldmann H.H.、Jacova C.、Dekosky S.T.ら、Lancet Neurol.2007年、6、734〜746頁;Krolak−Salmon P.ら「Vers un diagnostique biologique de la maladie d’Alzheimer et des syndromes apparentes」、La Revue de medecine interne(2008)、doi:10.1016/J. revmed.2008.01.029.に記載されている。これらのマーカーを、ELISA.INNOTEST B−Amyloid type (1−42),INNOTEST hTAUAg、INNOTEST PHOSPHOTAU(181p);Innogenetics、Ghent、Belgiumの抗原−抗体技術によって判断することができる。
【0071】
他のマーカーも、脳の悪化状態、より具体的には、例えば、参考文献、Lee J.M.ら、Clin.Chem.、2008年、54、1617〜1623頁に記載される、ビシニン様タンパク質(VLP6、またはVILIP−1、またはVSNL)の悪化状態を試験することを可能にする。本発明を実施しながらこれらのマーカーを使用することができる。
【0072】
パーキンソン病および多系統(シヌクレオパシー)萎縮症に関して、マーカー・アルファ−シヌクレイン(Mollenhauer B.、Cullen V.、Khan I.、Experimental Neurology、2008年、213、315〜325頁)を挙げることができる。
【0073】
最後に、本発明の範囲内で使用することができる、中枢神経系(SNC)に関する影響に特異でないマーカーが存在する。これらは、タンパク質GFAP、ミエリン、ニューロペプチドおよび神経伝達物質など、SNCから発生するタンパク質である。より具体的には、University of California、San Diego、Medicine & health/diseases、2009年2月による文書に記載されている、タンパク質BNDF(脳由来神経栄養因子(brain derived neurotrophic factor)も特に興味深い。さらに、免疫応答タンパク質、例えばIgG、アルブミン、補体タンパク質、反応性タンパク質C、ならびに例えば、トランスフェリン、ハプトグロビン、セルロプラスミン、リゾチーム、エノラーゼなどの炎症タンパク質を、本発明を実施するために使用することができる。
【0074】
本発明のどの実施形態でも、いくつかの異なるマーカー、すなわち様々な病理のマーカーを、同じ金属ガイドの凹所に配置することができる。次いで、マーカーを、様々なマーカーが互いに作用しないようにいくつかの凹所に配置することができる。
【0075】
有利なことに、本発明によるデバイス、または少なくとも、分析する基質に接触する、機能化した終端部分は、10−6程度の無菌保証レベル(SAL(Sterility Assurance Level))を示す。この無菌レベルに達するように様々な代替の溶液を考えることができる。検出する基質に特異な反応性基がないようにデバイスを滅菌し、次いで無菌条件下で反応性基を追加する可能性がある。反応性基を追加した後でデバイスを滅菌する別の可能性があり、これは滅菌技術の使用を必要とし、前記反応性基の活性を大幅には低下させない(例えば、エチレンオキシドまたは放射線を使用した滅菌)。
【0076】
本発明の第2の目的は、組織または器官に存在する基質の生体外の検出方法であって、
a)本発明によるデバイスの機能化したEa先端部を、前記先端部が試験する前記組織または器官と接触しているときに、前記基質に特異な少なくとも1つの検出剤を含む溶液で培養するステップと、
b)前記基質を検出するステップとを含むことを特徴とする方法である。
【0077】
培養ステップは、溶液中の検出剤、より具体的には抗体が、具体的には基質(マーカー、抗原、抗体など)、より具体的には、任意選択でデバイスの端部に存在する抗原に固定されるに十分な時間の間に実行することができる。当業者は、一般的な知識およびルーチンの実験により、溶液中の検出剤、より具体的には、基質の抗体、より具体的には抗原の、親和性に応じたこの培養時間を簡単に判断することができる。この培養時間はまた、培養中の溶液の温度に応じて変わる。例として、培養時間は、1分から2時間程度、好ましくは5分から1時間、具体的には好ましくは10から30分、温度は20℃(室温)から37℃である。
【0078】
有利には、溶液中の検出剤は、本発明によるデバイスの機能化した先端部に結合された特異な試薬とは異なる。
【0079】
好ましくは、検出剤は抗体である。
【0080】
有利には、溶液中の抗体、および本発明によるデバイスの機能化した先端部に結合した抗体は、それぞれ多クローン抗体であり、好ましくは、前記抗体は互いに同一である。
【0081】
有利には、溶液中の抗体、および本発明によるデバイスの機能化した先端部に結合した抗体は、それぞれ単クローン抗体であり、好ましくは、前記抗体は互いに異なる。
【0082】
有利には、溶液中の抗体は、マークされ、より具体的には、酵素、例えばペルオキシダーゼまたはアルカリ性ホスファターゼに結合される。
【0083】
本発明による方法の第1の特定の実施形態によれば、この方法はさらに、ステップa)とb)の間にはさまれる、ステップa)の検出剤に特異な少なくとも1つの検出剤を含む溶液中で前記先端部を培養するステップa’)を含む。
【0084】
当業者は、本発明による方法に適合化された抗体を一般的な知識を以て簡単に特定することができる。その例として、この第2のステップで、具体的には、特定する基質(マーカー、抗原、抗体など)に対するマウス免疫グロブリンがステップa)で使用される場合に、抗体、具体的には、マウス免疫グロブリンを認識する抗体を使用することが可能である。
【0085】
本発明による方法の第2の特定の実施形態によれば、本発明による方法は、培養ステップa)、および場合によってはステップa’)の後に洗浄ステップを含み、この洗浄ステップにより具体的にはマーカー(抗原)に固定されていない抗体をなくすことが可能になる。
【0086】
こうした洗浄ステップのプロトコルもまた、一般的な知識に属し、ルーチンの実験によって容易に判断することができる。例えば、こうしたステップは、特異な抗原に関する溶液中の抗体の親和性に応じて、TRITON X100(登録商標)またはTWEEN 20(登録商標)など、ある程度重要な濃度の洗剤(0.05から1%)を含む溶液を用いて実行される。
【0087】
検出ステップは、作用、より具体的にはステップa)、または任意選択でステップa’)で使用される抗体に結合した酵素の作用を証明することによって実行される。
【0088】
この検出ステップのために使用されるプロトコルは、使用されるマーカー、より具体的には使用される酵素、例えば、ペルオキシダーゼおよびアルカリ性ホスファターゼに応じて変わるが、そのことは、当業者の一般的な知識に属することである。
【0089】
この検出ステップにより、デバイスの機能化した先端部に固定された特異な基質の(例えば抗原の)量、最終的に、ミクロ分析および/またはマイクロ・サンプリングが実行された、器官または組織のレベルに存在する特異な基質の量を導き出すことが可能になる。
【0090】
最後に、本発明による方法を実行するために使用できる様々な反応性基は、当業者によく知られており、より具体的には、免疫酵素法または免疫螢光法の定量技術で、例えば中実のサポート上で使用される試薬を含む[ELISA技術、タンパク質チップ(上述のESPINAら、2004年)]。
【0091】
本発明の第3の目的は、患者の癌、炎症、感染、移植片拒絶反応または神経変性の病理を診断することが意図されたツールを製造するために、本発明によるデバイスを使用することである。
【0092】
本発明の特定の実施形態によれば、前記診断ツールは、少なくとも金属ガイドを含むことができ、その金属ガイドは可撓性のカテーテル中に挿入され、そのカテーテルは内視鏡中に挿入される。
【0093】
本発明の別の特定の実施形態によれば、前記診断ツールは、経壁的吸引針、より具体的には経皮的または経粘膜的な吸引針にある、少なくとも1つの金属ガイドを含むことができ、それらの吸引針を、着脱可能な保護システム、例えば可撓性のカテーテル中に挿入できる。さらに、着脱可能な保護システムおよび金属ガイドは、前記ガイドの機能化したEa先端部がミクロ分析および/またはマイクロ・サンプリングの位置に接触可能になるように協働する。
【0094】
本発明のこれらの2つの特定の実施形態では、前記少なくとも1つの金属ガイドは、特定および配置の点から、光ファイバーの長さの少なくとも一部分と連動することができる。
【0095】
有利には、前記診断用具は、腔内のルートを通して送り込まれる。
【0096】
したがって、前記ツールにより、(肝臓および膵臓を含む)咽頭から直腸までの消化器系で、(膀胱、尿道、腎臓、前立腺を含む)泌尿生殖系、(肺を含む)気管気管支系、(耳および鼻咽腔を含む)ORL系、ならびに(滑液腔を含む)骨関節系のミクロ分析および/またはマイクロ・サンプリングを実行することが可能になる。
【0097】
好ましくは、前記診断ツールは、経壁的ルートによって、より具体的には、経粘膜的または経皮的ルートを通して送り込まれる。
【0098】
こうした診断ツールにより、通常使用される腔内または脈管内のルートを通して到達させることが難しい組織または器官を分析することも可能になる。こうした診断ツールにより、皮膚、精巣、前立腺、卵巣、乳腺、また腎臓および肝臓、末梢神経系ならびに中枢神経系、より具体的には、脊柱内ルート、ならびに内分泌系(例えば甲状腺)のレベルで、経壁的ルートを使用してミクロ分析および/またはマイクロ・サンプリングを実行することも可能になる。
【0099】
本明細書の以下の実施例により本発明を例証することが可能であるが、これらの例は、あくまで非限定的な例として挙げられているものである。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】金属ガイドを構成する様々な可能性を示す。
【図2】FIBによって作られた様々な穴の走査電子顕微鏡写真を示す(エッチングの非均一性から生じる重大な表面粗さを観察することができる)。
【図3】フッ素支援のフライス技術のシャドーイング効果の説明および観察を示す。
【図4】微細成形動作の進行を示す。
【図5】(a)光学顕微鏡によって観察される半球状の穴、(b)走査電子顕微鏡によってニチノールを使用したガイド上に観察される連続した穴、(c)空所の細部、(d)ガイドの表面粗さと空所中の表面粗さの比較を示す。
【図6】電気化学的ポリッシング処理後の、図5と同じ半球状の穴を示す走査電子顕微鏡写真を示す。
【図7】一次単クローン抗体(AcM1)による免疫捕捉、および二次単クローン抗体(AcM2)での抗原ACEの表出に関する、本発明のデバイスの図を示す。
【図8】捕捉抗体5910によるELISAの結果、および抗体5909による表出(抗原ACE陽性血清によって得られた吸着)を示す。
【図9】捕捉抗体5910によるELISAの結果、および5909抗原による表出(抗原ACE陰性血清によって得られた吸着)を示す。
【図10】捕捉抗体5905によるELISAの結果、および抗体5909による表出(抗原ACE陽性血清によって得られた吸着)を示す。
【図11】捕捉抗体5905によるELISAの結果、および抗体5909による表出(抗原ACE陰性血清によって得られた吸着)を示す。
【図12】捕捉抗体5910の剛体プラスチック・バットによるELISAの結果、および抗体5909による表出(陽性抗原ACE血清によって得られた吸着)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0101】
各添付図面は、使用する方法の感度および特異性の代表例を示すものである。
【0102】
[実施例1] ニチノール・ベースの金属ガイドの用意、およびその作用
ニチノール・ベースの金属ガイド(Euroflex)の表面は、位置、例えば凹所を画定するように構成され、それらの凹所では、反応性基が配置され、生化学的作用が起きる(図1)。
【0103】
前記「凹所」は、例えば、電気化学的エッチングおよびレーザー・アブレーションの前のレーザー・リソグラフィによる、集束イオン・ビーム・リソグラフィ(FIB、Xieら、Nuclear Instruments & Methods in Physics research Section B−beam Interactions with Materials and Atoms、211(3):363〜368頁、2003年)など、様々な方法を使用して得ることができる。
【0104】
FIB技術を使用して、機械がイオン・ビームを作り出し、そのイオン・ビームが、構成しなければならない表面に集束される。イオン・ビームの機械的な作用の下で、表面の材料の原子が、その表面から除かれる。適度な時間、エッチング・リーダー8μm3s−1、ビーム電流20nAで、FIB技術によって直径20μmの穴を形成することができる。図2に、直径5、20および40μm、深さ10および20μmの穴を示す。エッチング中に粉末材料を再堆積するので、穴の底部の表面は粗い。エッチング速度は、ビーム電流20nAで、直径40μmの円形領域で200nm min−1と測定された。その結果、エッチング速度は0.2μm3 nC−1(約5μm3 s−1)ということになり、これは、直径20μm、深さ20μmの穴を作製するための加工時間20分に相当する。表面粗さを改善するために、フッ素(XeF2)支援のフライス技術を用いた。次いで、非常に低い表面粗さが得られたが、XeF2がエッチング・ビームの軸に正確に沿っていなかったので、シャドーイング効果が確認された(図3)。
【0105】
レーザー・リソグラフィ技術および電気化学的エッチングは、第1のステップで、表面をポリマー層で被覆することから構成される。第2のステップでは、ポリマー層が、レーザー・アブレーションを使用して機械加工される。第3のステップでは、その表面は、ポリマー層に設けられた開口部を通して、等方性電気化学的エッチングを使用してエッチングされる(図4)。図5に、ニチノール・ベースの金属ガイドの様々な構成試験の結果を示す。
【0106】
さらに、生体内で使用されるニチノール・ベースの金属ガイドは、通常、天然のNiTi酸化物層を生体適合性のTiO2層に置換する電気化学的ポリッシングによって加工される。穴を有する機械加工されたガイドは、穴の構成(図6)に対するこの方法の影響を推測するために、この方法を受けなければならない。
【0107】
ニチノール・ベースのガイドの表面上に空所を設けるための別の手法としては、レーザー・アブレーションを使用することが挙げられる。短レーザーの衝撃を利用すると、熱の発生によって周りの金属に影響を及ぼすことのない、金属の局所の蒸着が可能になる。記録された最も小さい寸法は20μm程度である。
【0108】
本明細書で上述された3つの方法により凹所を作製することが可能である場合は、電気化学的エッチング方法が最良の結果を出した。
【0109】
〔実施例2〕特定の器官への金属ガイドの生体内の挿入後の外傷
これらの実験の場合は、金属マイクロ・ガイド(MTI 0.012’’ Silver speed)を使用し、前記金属ガイドをマイクロ・カテーテル中に挿入した。
【0110】
そのデバイスを、脈管内のルートを通して(大腿動脈を介して)、吸引のレベルで、次いでスカルパのレベルから腎臓まで、全身麻酔下でピッグ中に導入した。このガイドを、動脈撮影による大腿動脈中で、前記デバイスを追従させて供給した。
【0111】
デバイスは、腎臓の入口に配置されるときに、動脈内の侵襲によって腎臓中に導入される。組織中へのこうした穿通は、深さ数ミリメートルであり、前記デバイスを約10分間そこに維持した。
【0112】
最後に、デバイスを取り除いた。
【0113】
動物を安楽死させ、それらの腎臓を、本発明によるデバイスの穿通後の状況を推定するためにサンプリングした。
【0114】
その結果、腎臓に侵襲と関連する重大な出血がないことが示された。留意される最も重大な損傷は、侵襲位置のレベルの寸法3×1mmであった。
【0115】
したがって、本発明によるデバイスにより、非常にわずかな侵襲性でありながら器官へのアクセスを有することが可能になる。
【0116】
〔実施例3〕肝臓へのデバイスの挿入後の微小外傷
金属マイクロ・ガイド(MTI 0.012’’ Silver speed)を使用した。その金属マイクロ・ガイドを、実施例1とは異なるファイバー・スコープ中に配置した。
【0117】
そのデバイスを、動脈内ナビゲーションを通して(大腿動脈を介して)、吸引のレベルで、次いでスカルパのレベルから肝臓まで、全身麻酔下でピッグ中に導入した。この案内は、動脈撮影による大腿動脈中での前記デバイスの制御によって行った。
【0118】
デバイスを、肝臓の近くに配置するときにこの器官中に導入した。組織中へのこの穿通は、深さ数ミリメートルであり、前記デバイスを約10分間そこに維持した。
【0119】
最後に、デバイスを取り除いた。
【0120】
前述のように、手術した肝臓のサンプリングにより、手術が器官に与える悪影響を推定することが可能になった。
【0121】
肉眼で見えない損傷を、肝臓の表面に見ることができた。切開時に、被膜下面の寸法1.5×0.4cmおよび1.8×0.5cmの2つの実質内出血性の結節の存在を見ることができた。組織構造的に、他の顕著な異常なしに、洞様血管、門脈細静脈および中心小葉の静脈のうっ血を含む全ての面で肝臓の構造が維持される。
【0122】
結論
結果として、出血性の損傷が最小限であることが示され、実質細胞の破壊なしに、毛細血管および中心小葉の静脈の単純なうっ血を有する、2つの軽微な微小損傷を見ることができた。
【0123】
したがって、金属ガイドの利用により、軽微な外傷、場合よっては、生検の結果生じるより概して小さい外傷にすることが可能になる。
【0124】
〔実施例4〕中実のサポート上で抗原ACEの生体外の免疫捕捉および検出を可能にするデバイスの概念および生産のためのパラメータの考察
このデバイスは、抗原ACEを示すことを可能にするELISA技術の原理を使用する。この抗原上の異なるエピトープを認識する2つの単クローン抗体を、捕捉(AcM1)および抗原ACEの表出(AcM2)のために使用した。同じアイソトープ(IgG1)を有するこれらの単クローン抗体は、ビオチンに結合した単クローン抗体、およびストレプトアビジン・ペルオキシダーゼ複合体を使用して、ACE抗原の表出を行った(図7)。
【0125】
2つのタイプのサポート、ELISA用プレートまたは剛体プラスチック・バットを使用した。
【0126】
ELISA用プレート(Greiger)
炭酸塩/重炭酸塩の緩衝液で(1/5000および1/128000に)希釈した、100μlの抗原ACEに対する単クローン抗体(クローン5910またはクローン5905、マウスで産生されMedix Biochemicalによって市販されている)を各ウェルに配置し、プレートを37℃で1時間配置した。炭酸塩/重炭酸塩の対照溶液によって抗体を置換することによって1つの陰性対照が得られた。
【0127】
ウェル1箇所当たり250μlのPBSで3回洗浄した後で、プレートのフリー・サイトを、3%PBS−BSA(ウシ血清アルブミン)200mlで、37℃で2時間飽和した。
【0128】
次いで、0.5%PBS−Tween250μlでウェルを3回洗浄し、その後、PBS Tweenで1/10、1/100、1/1,000以内に希釈した抗原ACE陽性血清をウェル1箇所当たり100μl添加し、プレートを37℃で1時間培養した。
【0129】
ウェル1箇所当たり250μlのPBS−Tweenでの3回の洗浄を実行し、その後、PBS−Tweenで1/500以内にビオチン化した、抗原ACEに対する単クローン抗体(クローン5909、マウスで産生されMedix Biochemicalによって市販され、一定の親和性および認識したエピトープによって、以前の使用した捕捉抗体とは異なる)をウェル1箇所当たり100μl添加し、プレートをやはり37℃で1時間培養した。
【0130】
PBS−Tweenを使用して3回洗浄した後で、ペルオキシダーゼに結合した、1/2000以内に希釈した100μlのストレプトアビジン複合体を、各ウェルに添加し、37℃で1時間培養した。
【0131】
PBS−Tweenで3回洗浄した後で、クエン酸−リン酸対照(pH5)に基質(H2O2)とクロモゲン(OPD、Sigma)の混合物をウェル1箇所当たり200μl添加することによって、表出が行われた。
【0132】
同時に、抗原(ACE量5IU/ml未満の陰性対照)として「正常な」患者の血清を使用して、同じ作業を行った。
【0133】
そのとき、ウェル1箇所当たり1M硫酸を50μl添加することによって、反応を止めた。吸着は、プレート・リーダー上で492nmで読み取った(参照:ELX.800UV)。
【0134】
免疫捕捉のための単クローン抗体5910(1/500以内に、その後1/128000まで1/2ずつ段階的に希釈した)を使用して得られた結果、およびビオチン化単クローン抗体5909による表出を、抗原ACE陽性血清の場合を図8に、抗原ACE陰性血清の場合を図9に示す。
【0135】
免疫捕捉のための単クローン抗体5905(1/100、1/200、1/500以内に、その後1/32000まで1/2ずつ段階的に希釈した)を使用して得られた結果、およびビオチン化単クローン抗体5909を使用した表出を、抗原ACE陽性血清の場合を図10に、抗原ACE陰性血清の場合を図11に示す。
図8から図11の見出し:
たて座標:492nmでの吸着(DO)
よこ座標:捕捉抗体(5910または5905)の希釈
◆ACE陽性血清の1/10以内の希釈液
■ACE陽性血清の1/100以内の希釈液
△ACE陽性血清の1/1000以内の希釈液
×=血清なし
【0136】
結果として、捕捉単クローン抗体を1/500以内で使用したときに、1/10以内の抗原ACE陽性血清が0.5より高い吸着(DO)をもたらす(図8)ことが示される。同じ条件下で、抗原ACE陰性血清は0.15未満のDOをもたらす(図9)。
【0137】
しかし、捕捉単クローン抗体5910と検出単クローン抗体5909の結合(図8および図9)より、捕捉単クローン抗体5905と検出単クローン抗体5909の結合(図10および図11)でより良い結果が得られたことに留意されたい。実際のところ、1/10以内に希釈した抗原ACE陽性血清の場合にDOが1である(図10)ことを述べたが、抗原ACE陰性血清が同じ条件下で0.1のDOをもたらす(図11)。これらの結果を、様々な希釈液の捕捉単クローン抗体5910を使用して確認した(データは示さない)。
【0138】
従来の剛体のサポート
第1のステップでは、長さが2から3cm、直径が0.5から1mmのバットの形態の剛体プラスチック・サポートを作動させた。
【0139】
第2のステップで、このように作動させたサポートを、1mlの溶血マイクロ・チューブ(Fisher)に配置し、抗原ACEに対する単クローン抗体(クローン5910、マウスで産生されMedix Biochemicalによって市販されている)で機能化し、37℃で1時間、炭酸塩/重炭酸塩(250μl/チューブ)対照で1/50、1/100、1/250、1/500以内に希釈した。単クローン抗体を炭酸塩/重炭酸塩対照に代えることによって陰性対照を行った。固定および洗浄の後に、+4℃の温度で1晩、3%PBS−BSA500μlで飽和が得られた。
【0140】
次いで、1/10、1/100以内にPBSまたは「健康な」対象(抗原ACE陰性対照)からの血清で、37℃で1時間、同じ希釈液で希釈した抗原ACE陽性血清250μlでサポートを培養した。
【0141】
1mg/ml以内の抗原ACEに対する単クローン抗体(クローン5909、マウスで産生されMedix Biochemicalによって市販されており、一定の親和性および承認されたエピトープにより精製したクローン5910とは異なる)を、0.1Mホウ酸塩の対照、pH8.8に対して4℃で1晩透析した。次いで、10mg/mlDMSOビオチン溶液を50μg/mgの抗体に添加した。室温で4時間培養した後で、攪拌下で、20μl/250μgの量のビオチンに1M塩化アンモニウムを添加し、得られた溶液を室温で再度1分培養した。反応が止まる際に、マークした抗体をPBSに対して24時間、+4℃で透析し、このマークした抗体を−20℃でアリコートとして維持した。
【0142】
PBS−Tweenで3回洗浄した後で、サポートを、250μlのビオチン化抗体5909で培養し、37℃で1時間、PBS−Tweenで1/500以内に希釈した。
【0143】
ビオチンの検出(6−ビオチンアミドカプロイルアミドカプロン酸およびN−ヒドロキシこはく酸イミドのエステル、Sigma)を、37℃で1時間、PBSで1/2000以内に希釈したストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ複合体(Amersham Biosciences)を使用して証明した。
【0144】
クエン酸−リン酸対照(pH5)にチューブ当たり750μlの基質(H2O2)とクロモゲン(OPD、Sigma)の混合物を添加することによって、酵素の作用の表出を実行した。
【0145】
次いで、1M硫酸を添加することによって反応を止めた。吸着は492nmで読み取った。
【0146】
プラスチック製バットのELISAの結果を図12に示す。
図12の見出し:
たて座標:492nmでの吸着(DO)
よこ座標:捕捉抗体5910の希釈
◆抗原ACEの1/10以内の希釈液
■抗原ACEの1/100以内の希釈液
△陰性対照1/10以内の希釈液
×陰性対照1/100以内の希釈液
【0147】
概して、結果は、抗原ACE陰性血清で得られたものより、抗原ACE陽性血清の場合にDOが7から10倍高いことを示す。
【0148】
1/50または1/100以内に希釈した捕捉単クローン抗体5910が固定された剛体プラスチック・サポートで最良の結果が得られた。
【0149】
単クローン抗体5909の検出希釈液が1/500以内であるときに、検出した最良の抗原ACE濃度は、1/100、すなわち6IU/ml(「正常」と考えられる割合に近い:5IU/ml未満)以内に希釈した患者の血清に相当する。
【0150】
プラスチック・サポートを使用することにより、上述のプロトコルによる機能化された金属バット上の免疫捕捉プロセスの特異性および感度を確証することが可能になる。
【0151】
結論
生体外免疫捕捉および表出技術による抗原ACEの検出のために得られた良好な結果は、「機能化したバット」デバイスの評価を確証し、そのため、生体外の表出の後の生体内での抗原ACEの捕捉が可能になる。
【0152】
〔実施例5〕例えば、イメージング技術、より具体的には放射線技術の制御下における、乳房腫瘍のマーカーACEの発現の特定
特許出願PCT WO03/006948に記載されているプロトコルによれば、第1のステップで、アルカンチオール層が、第1のステップで、ニチノール・ベースの金属ガイド(Euroflex)の端部のうち一方に吸着される。第2のステップでは、この層の遊離チオール官能基により、抗原ACEに対する単クローン抗体でジスルフィド架橋を形成することが可能になる。
【0153】
次いで、得られた金属製ガイドを、動物またはヒトで使用するように適合された生検針に導入する。
【0154】
乳癌を患う患者から取り除いた後に、こうしたデバイスを使用して、手術する腫瘍(乳腺腫瘍)に即座の解剖病理学的検査を行う。代替の溶液によれば、医療倫理条件が存在するときは、乳癌を患う患者に局所または全身麻酔下で乳房に微小切開を行う。抗原ACEに対する抗体に結合した金属ガイドが挿入される針は、腫瘍中に導入されるか、または微小切開によって、次いで、画像、より具体的にはエコーグラフによって、ガイドの前進を追従しながら腫瘍まで案内される。
【0155】
次いで、前記低侵襲性の案内システムにより、抗原ACEに対する抗体に結合された金属ガイドの端部を取り出すことが可能になる。次いで、金属ガイドの端部を、腫瘍中に(穿孔によって)数ミリメートル程度の深さで導入する。任意選択で腫瘍によって発現される抗原ACEによって免疫捕捉が可能になる10分程度の待ち時間の後で、デバイスが取り除かれる。
【0156】
マイクロ・サンプリングは検体の生体内の免疫捕捉に限定され、生検を必要としない。
【0157】
最後に、デバイスを取り除き、次いで、マーカーACEのELISA定量法を、マーカーACEに対する単クローン抗体を有するデバイスの端部で実行し、そのマーカーACEは、抗原ACEに関する一定の親和性、および識別されたエピトープによって捕捉抗体と区別し、ビオチンに結合する。
【0158】
ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ複合体を使用することによる酵素の作用の表出により、腫瘍によるマーカーACEの発現、およびそれに応じて患者に最良の治療を与えるために使用する治療を調整することが可能になる。
【0159】
〔実施例6〕皮膚癌
特許出願PCT WO03/006948に記載されているプロトコルによれば、アルカンチオールの層は、第1のステップで、ニチノール・ベースの金属ガイド(Euroflex)の端部に吸着されている。第2のステップでは、この層の遊離チオール官能基により、FAPマーカーに対する単クローン抗体(Fibroblast−activation protain;RETTIGら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、vol.85、3110頁、1988年)でのジスルフィド架橋の形成が可能になる。
【0160】
次いで、従来のまたは即座の解剖病理学的検査のために、得られた金属ガイドを、医療倫理条件が存在するときは動物またはヒトの皮膚腫瘍のレベルで、またはそのアブレーションの後には皮膚癌を患う患者の皮膚腫瘍のレベルで導入する。
【0161】
マイクロ・サンプリングは生体内の免疫捕捉に限定され、特定の生検を必要としない。
【0162】
最後に、デバイスを取り除き、ペルオキシダーゼに結合したマーカーFABに対する単クローン抗体で、デバイス端部にFABマーカーのELISA定量法を実行する。
【0163】
ペルオキシダーゼの活性の表出により、腫瘍によるマーカーFAPの発現を導き出し、それに応じて、患者に最良の治療を施すために使用する治療法を調整することが可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基質の低侵襲性検査および/またはマイクロ・サンプリング検査のためのシステムを備え、前記システムは、少なくとも1つの金属ガイドから構成され、前記金属ガイドは、
表面が、少なくとも一連の凹所を画定するように構成され、それらの凹所に、前記基質に特異な少なくとも1つの反応性基が直接結合され、穿孔するEa先端部と、
前記金属ガイドを操作することが意図された別のEm先端部と
を含むことを特徴とする、分析デバイス。
【請求項2】
前記Ea先端部のレベルで着脱可能な保護システムをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記着脱可能な保護システムが可撓性のカテーテルである、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの金属ガイドが内部を摺動できる内側開口部を有する医療用具をさらに備える、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記医療用具が、経壁的吸引針、および/または脈管内のナビゲーション・システムを含む内視鏡からなる群から選択される、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記経壁的吸引針が経皮的または経粘膜的吸引針である、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの金属ガイドが直径が0.3から3.5mm、長さが5×10−2から2mの、1つもしくは複数の可撓性の中実の金属バットおよび/または1つもしくは複数の中空の剛体金属バットからなる群から選択される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの金属ガイドが、その長手方向の少なくとも一部分にある視覚表示システムと連動する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記視覚表示システムが光ファイバーである、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つの可撓性の中実の金属バットが光ファイバーであり、前記少なくとも一連の凹所を備えた金属リングが、前記光ファイバーのEa先端部で連動し、それらの凹所に、前記基質に特異な少なくとも1つの反応性基が直接結合され、前記Ea先端部が穿孔する、請求項7に記載のデバイス。
【請求項11】
前記少なくとも1つの金属ガイドが、全体としてまたは部分的に、ステンレス鋼、チタン・ベース、ニッケル・ベース、コバルトベースの合金またはそれらの混合物からなる群から選択される合金から構成される、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記金属ガイドが、全体としてまたは部分的に、チタン・ニッケル合金から構成される、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1つの金属ガイドが、Ea先端部を除いて、厚さが2×10−3から1μmの保護ポリマー層で被覆される、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つの反応性基が、癌、炎症、感染、移植片拒絶反応または神経変性の病理の基質に特異または抗原に特異である、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
基質に特異な前記少なくとも1つの反応性基が、フラグメントFab、Fab’、F(ab’)2およびFvから構成される群から選択される抗体または抗体フラグメントである、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
癌、炎症、感染、移植片拒絶反応、またはアルツハイマー病、パーキンソン病もしくは筋萎縮性側索硬化症その他の神経変性の病理を診断することが意図されたツールを製造するための、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のデバイスの用法。
【請求項17】
前記ツールが、内視鏡中に挿入された可撓性のカテーテル中に挿入された少なくとも1つの金属ガイドを備え、癌、炎症、感染、移植片拒絶反応または神経変性の病理を診断することが意図される、請求項16に記載の用法。
【請求項18】
前記ツールが、経壁的吸引針から構成され、可撓性のカテーテル中に挿入される少なくとも1つの金属ガイドを含み、癌、炎症、感染、移植片拒絶反応または神経変性の病理を診断することが意図される、請求項16に記載の用法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの金属ガイドおよび可撓性のカテーテルが、機能化したEa先端部をミクロ分析および/またはマイクロ・サンプリング位置に接触して配置するように協働する、請求項18に記載の用法。
【請求項20】
前記経壁的ルートが、前記経粘膜的および経皮的なルートからなる群から選択される、請求項17乃至19のいずれか一項に記載の用法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの金属ガイドが、その長手方向の少なくとも一部分にある光ファイバーと連動する、請求項17乃至20のいずれか一項に記載の用法。
【請求項22】
組織または器官に存在する基質を生体外で検出する方法であって、
a)請求項1乃至15のいずれか一項に記載のデバイスの機能化されたEa先端部を、前記先端部が検査する前記組織または器官と接触しているときに、前記基質に特異な少なくとも1つの検出剤を含む溶液で培養するステップと、
b)前記基質を検出するステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項23】
前記ステップa)の前記少なくとも1つの検出剤が、前記基質に特異な、場合によってはマークした抗体である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ステップa)の前記検出剤の特異な少なくとも1つの検出剤を含む溶液中の前記先端部の培養のステップa’)が、前記ステップa)とb)の間にはさまれる、請求項22または23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記ステップa’)の前記少なくとも1つの検出剤が、前記ステップa)の前記検出剤に特異なマークした抗体である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
洗浄ステップが前記ステップa)に続く、請求項22または23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
洗浄ステップが、前記ステップa)および/または前記ステップa’)に続く、請求項24または25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項1】
基質の低侵襲性検査および/またはマイクロ・サンプリング検査のためのシステムを備え、前記システムは、少なくとも1つの金属ガイドから構成され、前記金属ガイドは、
表面が、少なくとも一連の凹所を画定するように構成され、それらの凹所に、前記基質に特異な少なくとも1つの反応性基が直接結合され、穿孔するEa先端部と、
前記金属ガイドを操作することが意図された別のEm先端部と
を含むことを特徴とする、分析デバイス。
【請求項2】
前記Ea先端部のレベルで着脱可能な保護システムをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記着脱可能な保護システムが可撓性のカテーテルである、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの金属ガイドが内部を摺動できる内側開口部を有する医療用具をさらに備える、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記医療用具が、経壁的吸引針、および/または脈管内のナビゲーション・システムを含む内視鏡からなる群から選択される、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記経壁的吸引針が経皮的または経粘膜的吸引針である、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの金属ガイドが直径が0.3から3.5mm、長さが5×10−2から2mの、1つもしくは複数の可撓性の中実の金属バットおよび/または1つもしくは複数の中空の剛体金属バットからなる群から選択される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの金属ガイドが、その長手方向の少なくとも一部分にある視覚表示システムと連動する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記視覚表示システムが光ファイバーである、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つの可撓性の中実の金属バットが光ファイバーであり、前記少なくとも一連の凹所を備えた金属リングが、前記光ファイバーのEa先端部で連動し、それらの凹所に、前記基質に特異な少なくとも1つの反応性基が直接結合され、前記Ea先端部が穿孔する、請求項7に記載のデバイス。
【請求項11】
前記少なくとも1つの金属ガイドが、全体としてまたは部分的に、ステンレス鋼、チタン・ベース、ニッケル・ベース、コバルトベースの合金またはそれらの混合物からなる群から選択される合金から構成される、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記金属ガイドが、全体としてまたは部分的に、チタン・ニッケル合金から構成される、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1つの金属ガイドが、Ea先端部を除いて、厚さが2×10−3から1μmの保護ポリマー層で被覆される、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つの反応性基が、癌、炎症、感染、移植片拒絶反応または神経変性の病理の基質に特異または抗原に特異である、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
基質に特異な前記少なくとも1つの反応性基が、フラグメントFab、Fab’、F(ab’)2およびFvから構成される群から選択される抗体または抗体フラグメントである、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
癌、炎症、感染、移植片拒絶反応、またはアルツハイマー病、パーキンソン病もしくは筋萎縮性側索硬化症その他の神経変性の病理を診断することが意図されたツールを製造するための、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のデバイスの用法。
【請求項17】
前記ツールが、内視鏡中に挿入された可撓性のカテーテル中に挿入された少なくとも1つの金属ガイドを備え、癌、炎症、感染、移植片拒絶反応または神経変性の病理を診断することが意図される、請求項16に記載の用法。
【請求項18】
前記ツールが、経壁的吸引針から構成され、可撓性のカテーテル中に挿入される少なくとも1つの金属ガイドを含み、癌、炎症、感染、移植片拒絶反応または神経変性の病理を診断することが意図される、請求項16に記載の用法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの金属ガイドおよび可撓性のカテーテルが、機能化したEa先端部をミクロ分析および/またはマイクロ・サンプリング位置に接触して配置するように協働する、請求項18に記載の用法。
【請求項20】
前記経壁的ルートが、前記経粘膜的および経皮的なルートからなる群から選択される、請求項17乃至19のいずれか一項に記載の用法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの金属ガイドが、その長手方向の少なくとも一部分にある光ファイバーと連動する、請求項17乃至20のいずれか一項に記載の用法。
【請求項22】
組織または器官に存在する基質を生体外で検出する方法であって、
a)請求項1乃至15のいずれか一項に記載のデバイスの機能化されたEa先端部を、前記先端部が検査する前記組織または器官と接触しているときに、前記基質に特異な少なくとも1つの検出剤を含む溶液で培養するステップと、
b)前記基質を検出するステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項23】
前記ステップa)の前記少なくとも1つの検出剤が、前記基質に特異な、場合によってはマークした抗体である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ステップa)の前記検出剤の特異な少なくとも1つの検出剤を含む溶液中の前記先端部の培養のステップa’)が、前記ステップa)とb)の間にはさまれる、請求項22または23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記ステップa’)の前記少なくとも1つの検出剤が、前記ステップa)の前記検出剤に特異なマークした抗体である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
洗浄ステップが前記ステップa)に続く、請求項22または23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
洗浄ステップが、前記ステップa)および/または前記ステップa’)に続く、請求項24または25のいずれか一項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2011−514815(P2011−514815A)
【公表日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−547125(P2010−547125)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/001308
【国際公開番号】WO2009/106295
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(510229120)バイオステムズ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/001308
【国際公開番号】WO2009/106295
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(510229120)バイオステムズ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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