説明

金属ケース入りガス絶縁複合型絶縁/アーススイッチ

本発明は、金属ケース入りでガス絶縁されているとともに、ハウジングに収容されている複合型の多相絶縁/アーススイッチに関する。当該絶縁/アーススイッチは、自らの長手軸において移動可能な、相ごとに設けられた接触ボルト (20)であって、第一の位置において二つの能動構成要素(18,24)を互いに接続し、第二の位置で固定式のアース接触要素(42)に接続される接触ボルトと、当該接触ボルト(20)のための駆動モータ(48)であって、駆動軸(39)を介して前記接触ボルト(20)を作動させる駆動モータとを有している。全ての相の前記接触ボルト(20)の移動線は一つの平面内にあり、前記接触ボルト(20)はそれぞれ、前記移動線と一列に並んでいる絶縁軸(23)によって駆動可能である。前記駆動軸(39)は前記移動線の平面内にあるとともに、前記絶縁軸(23)に対して垂直に設けられており、当該絶縁軸とそれぞれ転向歯車装置(37)を介して連結されており、前記接触ボルト(20)を駆動するための前記転向歯車装置(37)は前記アース接触要素(42)内に収容されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の前提部に記載の、金属ケース入りでガス絶縁されているとともに、ハウジングに収容されている複合型の多相絶縁/アーススイッチ、特に三相絶縁/アーススイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
金属ケース入りガス絶縁高圧スイッチ機構のための、このような複合型絶縁/アーススイッチは特許文献1から知られている。各相に対する接触ボルトはハウジング要素内で摺動可能に支承されており、接触ボルトの移動線は平行になっている。接触ボルトの駆動は駆動軸を介して行われ、当該駆動軸は歯付きピニオンロッドとして形成されているとともに、接触ボルト上の歯付きラック部分と噛合する。接触ボルトの移動線は、二つのフランジ同士の間の接続導体に対しておよそ40°の角度をなしている。
【0003】
特許文献2から金属ケース入りスイッチ機構が知られており、当該スイッチ機構において接触ボルトは支持体ハウジング内で往復移動可能であり、当該接触ボルトは一の位置において能動構成要素と接続され、第二の位置においてアース接点と接続される。接触ボルトの駆動は当該接触ボルトに対して平行に設けられているとともに回転可能であり、かつ、外歯を有する軸を介して行われる。接触ボルトには当該接触ボルトに対して垂直に、内歯を具備する貫通穴を含むアームが取り付けられており、当該アームは前記回転可能な軸によって貫通されており、歯付き軸は当該歯付き軸と一列に並んでいる絶縁体によって駆動されるか、または、傘歯車伝動装置を介して複合型絶縁/アーススイッチの長手側から回転させられる。当該スイッチ機構は単相密閉型スイッチ機構である。
【0004】
特許文献3から同じような構成が知られている。
【0005】
特許文献4は複合型の絶縁スイッチおよびアーススイッチを記載しているが、両者は互いに別個に作動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第0824264号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第2414200号明細書
【特許文献3】米国特許第3665135号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第0678952号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、上記の種類の複合型絶縁/アーススイッチであって、構成上の大きさが縮小されており、かつ、接触ボルトの作動が簡素化されている複合型絶縁/アーススイッチを創出することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は本発明において、請求項1に記載の特徴によって解決される。
【0009】
すなわち本発明では、スライド式接触ボルトの移動線は一つの平面内にあり、スライド式接触ボルトはそれぞれ、当該スライド式接触ボルトの移動線と一列に並んでいる絶縁軸によって駆動可能となっている。このとき駆動軸は移動線の平面内にあり、それぞれ転向歯車装置を介して絶縁軸と連結されており、個々の接触ボルトを駆動するための転向歯車装置はアース接触要素内に収容されている。
【0010】
有利な構成において転向歯車装置は、傘歯車伝動装置であり、当該傘歯車伝動装置の傘歯車は個々のアース接触要素内に収容され、かつ、支承されている。
【0011】
本発明の有利な構成は以下の特徴を有する。すなわち、絶縁軸はそれぞれ外歯を有しており、当該外歯はそれぞれ接触ボルトの内歯と噛合し、個々の接触ボルトは捻じられないようになっており、それによって絶縁軸が回転する際、接触ボルトは一方の方向または他方の方向に移動される。
【0012】
転向歯車装置におけるギア比は1対1のギア比であるため、駆動軸が回転する際、絶縁軸も同じように回転する。駆動軸を観察すれば、1対1の比率によって、直接的に絶縁軸の動きを推定することができる。さらに駆動軸の前の駆動領域であって、同様にギア比が1対1である駆動領域も含めると、出発点、例えば駆動モータの動きから、直接的に絶縁軸の動きを推定することができる。
【0013】
これにより、補助スイッチおよびその他の駆動側の構成グループを好適に配置することができ、従って容易に被駆動側、すなわち絶縁軸およびそれとともに接触ボルトの状況を示すために用いることができる。
【0014】
本発明のさらなる有利な構成および改良と、さらなる有利点はさらなる従属請求項に記載されている。
【0015】
本発明の実施の形態が概略的に示されている図面に基づいて、本発明と、本発明のさらなる有利な構成および改良と、さらなる有利点とをより詳しく説明する。図面に示すのは以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】複合型絶縁/アーススイッチの断面を示す図である。
【図2】図1に示す複合型絶縁/アーススイッチの縦断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1を参照して説明する。
【0018】
図1に示される複合型の金属ケース入り三相絶縁/アーススイッチ10、以下において絶縁/アースとも呼ばれる絶縁/アーススイッチは、円柱状ハウジング11を有しており、当該ハウジングと一体的に、末端において対向する状態で、それぞれフランジ12および13が形成されており、当該フランジのフランジ面は互いに平行に設けられている。
【0019】
前記フランジ面に対して垂直に、第三のフランジ14のフランジ面が延在しており、フランジ12,13および14はそれぞれ接続管15,16および17と一体的に形成されている。
【0020】
ハウジング11の内部には第一の能動構成要素18が設けられており、当該第一の能動構成要素内には貫通穴19が設けられており、当該貫通穴の中心軸はフランジ面12,13に対して平行に延在しているとともに、接続管17もしくはフランジ14の中心軸とほぼ一列に並んでいる。貫通穴19の内部には、略して接触ボルトとも呼ばれるスライド式接触ボルトとして形成されている接触ボルト20が設けられており、滑り接触要素21および22を介して、接触ボルト20に対する支持体構成要素とも呼ばれ得る、前記能動構成要素18と導電的に接続されている。スライド式接触ボルト20は好適な手段、例えば側方に長手方向に延在する平坦部を設けることによって、また、溝・隆起部機構を設けることによっても捻じられないようになっている。すなわち、当該スライド式接触ボルトは、スライド式接触ボルト20の長手方向中心軸でもある当該スライド式接触ボルトの移動線に沿って直線的にのみ移動する。
【0021】
フランジ14に対向する接触ボルト20の端面に絶縁軸23が接続されており、当該絶縁軸は接触ボルト20と連結されている。このとき絶縁軸23は外歯を有しており、当該外歯は接触ボルト20内部の内歯(図示せず)と噛合している。ハウジング11の内部には第二の能動構成要素24が設けられており、当該第二の能動構成要素は内部穴25を有しており、当該内部穴の内面には、接触要素21および22に対応する接触要素26および27が設けられている。内部穴25の中心軸は、接触ボルト20の中心軸および絶縁軸23の中心軸と一列に並んでいる。能動構成要素24は導体部分28に接続されており、当該導体部分は矢印方向Pに応じて例えば出力構成要素への電流路を形成している。能動構成要素24と導体部分28との間にL字型の接続導体30の一方の脚部29が設けられており、L字型の接続導体の他方の脚部は第一の脚部29に対して垂直に設けられているとともに、フランジ12のフランジ面に平行に、かつ、接触ボルトの移動線が設けられる平面に対して平行に設けられている。脚部31は導体部分32に接続されており、当該導体部分は例えばフランジ12に固定されているコンバータ要素33に接続されている。
【0022】
フランジ13には例えばさらなるコンバータ要素34が固定されており、当該さらなるコンバータ要素は延長部35を介して支持体もしくは第一の能動構成要素18と接続されている。
【0023】
接触ボルト20から離れている絶縁軸23の端部に、傘歯車伝動装置37の第一の傘歯車36が固定されており、当該第一の傘歯車は第二の傘歯車38と噛合しており、当該第二の傘歯車は駆動軸39に固定されており、当該駆動軸は接触ボルト20の移動線が設けられる平面に設けられており、駆動軸39は絶縁軸23に対して垂直、かつ、接触ボルト20の中心軸に対して垂直に設けられている。
【0024】
図2は図1に示すハウジングの縦断面であって、各相に対する絶縁軸23を備える縦断面を示している。図2から、絶縁/アーススイッチが三相スイッチであることが分かる。当該絶縁/アーススイッチは二相スイッチとして形成されていてもよく、当然ながら単相の構成も想定可能である。しかしながら、接触ボルト20と絶縁軸23をアース接触要素42とともに同一平面内に配置することは、二相または三相の実施の形態においてのみ有意義であろう。
【0025】
傘歯車伝動装置は、アース接触要素42の内部空間40に収容されており、当該アース接触要素42は突出部43を介してハウジング11の内側に固定されている。アース接触要素42は接触要素44を有しており、当該接触要素は内部穴45を有しており、当該内部穴には、接触要素21,22;26,27に対応する接触要素46および47が収容されている。
【0026】
各相に対する接触ボルト20は第一の能動構成要素18内部にあり、端面は当該能動構成要素の端面内にあるか、設けられている。接触ボルトが第二の能動構成要素24と接触できるように、電気モータ48を介して駆動軸39が回転され、それによって傘歯車伝動装置37を介して絶縁軸23が回転され、それによって接触ボルト20は回転の際に、一方の方向において、第二の能動構成要素24内に入り込むように駆動され、それによって出力部Pを例えば電流コンバータ34と接続する。
【0027】
さらなる作動態様において、駆動軸39が反対に回転すると、接触ボルト20は矢印方向Pと反対の方向に移動され、それによって接触ボルトの、図において左にある端面は、アース接触要素42/43の内部穴45に進入することができ、このようにしてアースが行われる。
【0028】
アース接触要素42をハウジングの内側に直接的に固定する代わりに、当該固定を測定接続装置を介して行うこともできるが、当該測定接続装置は図に示されていない。複合型絶縁/アーススイッチ10は一の構成ではスイッチ機構において、回路遮断機ハウジングに直接的に取り付けられている。
【符号の説明】
【0029】
10 絶縁/アーススイッチ
11 円柱状ハウジング
12 第一のフランジ
13 第二のフランジ
14 第三のフランジ
15 接続管
16 接続管
17 接続管
18 第一の能動構成要素
19 貫通穴
20 接触ボルト、スライド式接触ボルト
21 接触要素
22 接触要素
23 絶縁軸
24 第二の能動構成要素
25 内部穴
26 接触要素
27 接触要素
28 導体部分
29 脚部
30 L字型の接続導体
31 脚部
32 導体部分
33 電圧コンバータ
34 電流コンバータ
35 延長部
36 第一の傘歯車
37 傘歯車伝動装置
38 第二の傘歯車
39 駆動軸
40 内部空間
42 アース接触要素
43 突出部
44 接触要素
45 内部穴
46 接触要素
47 接触要素
48 電気モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ケース入りでガス絶縁されているとともに、ハウジングに収容されている複合型の多相絶縁/アーススイッチ、好ましくは三相絶縁/アーススイッチであり、
自らの長手軸において移動可能な、相ごとに設けられた接触ボルト(20)であって、第一の位置において二つの能動構成要素(18,24)を互いに接続し、第二の位置で固定式のアース接触要素(42)に接続される接触ボルトと、
当該接触ボルト(20)のための駆動モータ(48)であって、当該駆動モータは駆動軸(39)を介して前記接触ボルト(20)を作動させる駆動モータと、
を有する絶縁/アーススイッチであって、
全ての相の前記接触ボルト(20)の移動線は一つの平面内にあり、
前記接触ボルト(20)はそれぞれ、前記移動線と一列に並んでいる絶縁軸(23)によって駆動可能であり、
前記駆動軸(39)は前記移動線の平面内にあるとともに、前記絶縁軸(23)に対して垂直に設けられ、かつそれぞれ転向歯車装置(37)を介して当該絶縁軸と連結されており、
前記接触ボルト(20)を駆動するための前記転向歯車装置(37)は前記アース接触要素(42)内に収容されている、絶縁/アーススイッチ。
【請求項2】
前記転向歯車装置(37)は傘歯車伝動装置であり、当該傘歯車伝動装置の傘歯車(36,38)は個々の前記アース接触要素(42)内に収容されていることを特徴とする請求項1に記載の絶縁/アーススイッチ。
【請求項3】
前記絶縁軸(23)はそれぞれ外歯を有しており、当該外歯はそれぞれ接触ボルト(20)の内歯と噛合し、個々の接触ボルト(20)は捻じられないようになっており、それによって前記絶縁軸(23)が回転する際、前記接触ボルト(20)は一方の方向または他方の方向に移動されることを特徴とする請求項1または2に記載の絶縁/アーススイッチ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−517753(P2013−517753A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548457(P2012−548457)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050554
【国際公開番号】WO2011/086188
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(508346767)アーベーベー・テクノロジー・アーゲー (4)
【Fターム(参考)】