金属シート又はストリップに型押し模様を形成する方法及び装置
【課題】圧延機を用いずに、しかも高価な平坦度の制御装置を用いずに、十分な模様表面を形成する方法を提供する。
【解決手段】金属シート又はストリップ(8)に型押し模様形成する方法を提供するものであって、該方法は、各型押パスがシート又はストリップ(8)を少なくとも1組のローラ(7)に通過させて行なわれる複数の連続した型押パスを含んでおり、各組のローラの少なくとも一方は、その表面に型押模様を有しており、該型押模様は、各型押パス中にシート又はストリップ(8)に転写されて、各転動によって得られたシート又はストリップ(8)の模様表面は、1つ以上の他の型押パスによる模様表面と重なり合って仕上げの模様を形成する。また、金属シート又はストリップ(8)に型押し模様形成する装置も提供する。
【解決手段】金属シート又はストリップ(8)に型押し模様形成する方法を提供するものであって、該方法は、各型押パスがシート又はストリップ(8)を少なくとも1組のローラ(7)に通過させて行なわれる複数の連続した型押パスを含んでおり、各組のローラの少なくとも一方は、その表面に型押模様を有しており、該型押模様は、各型押パス中にシート又はストリップ(8)に転写されて、各転動によって得られたシート又はストリップ(8)の模様表面は、1つ以上の他の型押パスによる模様表面と重なり合って仕上げの模様を形成する。また、金属シート又はストリップ(8)に型押し模様形成する装置も提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属シート又はストリップ、特に、これに限定しないが、アルミニウム合金製のシート又はストリップの表面に型押し模様形成するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属や紙のシート又はストリップに型押し模様形成するための種々の方法が存在する。しかしながら、従来は、金属シートの型押しは、金属の厚さの減少を含む圧延機を用いて行なわれている。特許文献1(WO−A−97/31783)に開示されているように、もし一対のロールを通過する1回のパスが金属を圧下せずに行なわれたならば、型押しで形成された模様は、通常は、表面のカバレージ(surface coverage)の35%以下と不十分である。
【0003】
リトグラフの分野では、多くのリトグラフ印刷がアルミニウム板から得られる。支持体に積層した薄いシートも利用されるが、アルミニウム板は、通常は、寸法とプレス方法とに依存して0.15〜0.51mmの厚さにされる。リトグラフ板用のアルミニウムシートは、一般に、圧延によって製造される。これは、圧延方向に伸びた冶金学的組織を生じる。圧延シートの表面には、長手方向に伸びた傷跡(圧延線)があり、これは、仕上げの砂目立てをした製品には好ましくなく、この影響を最小にするためにはロールの慎重な調整が必要である。
【0004】
アルミニウムシートをリトグラフ板支持体として使用するのに適したものにするには、支持体上への有機被膜の付着力を高めて、被覆していない支持体表面の保水性を向上するために、粗面化する必要がある。陽極酸化の後に感光層を支持体に塗布し、それに続く光照射と現像とにより、一般に、有機被膜を供えたインク受容性の領域と、保水性の非画線部の領域と、を有するリトグラフ板が得られ、一般に、保水性の非画線部の領域は、被覆していない支持体表面である。砂目立て又は粗面化の工程の費用は、リトグラフ板支持体の製造の経済性の重要な部分である。
【0005】
特許文献2(GB−A−2345881)は、印刷板の基板の表面上に特徴的な形態を形成するためのエンボス法を開示している。開示された発明は、単なる機械的な粗面化処理に関するものであり、表面は、エンボスローラで機械的に粗面化される。これは、ローラを通過する単一パスによって達成される。
【0006】
特許文献3(WO−A−95/08408)は、重ね圧延処理(pack rolling process)によりアルミニウムシートの粗い表面を形成することを開示している。
【0007】
特許文献1(WO−A−97/31783)は、一方又は両方のロールに型押模様が付された単一のロールスタンドを開示している。ロールスタンドは、圧延機の端部に位置し、リトグラフシートの厚さを0〜15%減少する。
【0008】
特許文献4(US5857373)は、少なくとも2つのワークロールにより金属表面上に模様を連続的につけることを開示している。ロール表面上の模様は、確定しているが、その2つの間のいかなる干渉効果も排除するように調整されている。
【0009】
特許文献5(US4000242)は、紙のストリップが大きなサポートロールの周りを動く時に、そのストリップに多数のエンボス模様をつけることを開示している。
【0010】
特許文献6(US3841963)は、粗い模様を巻取紙に与えるための垂直方向に積重ねたロール装置を開示している。
【0011】
特許文献7(US6920632)は、シートを圧延するためのロールの型押模様の成形を開示しており、圧延シート又は板は、型押ロールによって型押し模様形成される。好ましい方法は、単一のロールセットの一方または両方のロールのいずれかを、模様をつけるのに用いることである。
【0012】
特許文献8(EP−A−0273402)は、不規則な模様を付けた金属ストリップ又はプレートを開示している。
【0013】
特許文献9(US5964115)は、その後の焼鈍過程で鋼ストリップの焼付きを防止するために、鋼ストリップに規定の表面粗さを付す方法を開示している。この方法は、少なくとも1つの可逆ロールスタンドでストリップを冷間圧延することを含んでいる。
【0014】
特許文献10(EP−A−0456162)は、複数の圧延スタンドで金属を圧延する方法を開示しており、各スタンドは、2つ以上のロールを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】WO−A−97/31783
【特許文献2】GB−A−2345881
【特許文献3】WO−A−95/08408
【特許文献4】US5857373
【特許文献5】US4000242
【特許文献6】US3841963
【特許文献7】US6920632
【特許文献8】EP−A−0273402
【特許文献9】US5964115
【特許文献10】EP−A−0456162
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
シートの厚さを減少せずに、十分な表面のカバレージを提供できる型押し模様形成処理が必要である。こうすれば、歪みを防止し、高価な平坦度制御装置の使用を避けて、しかも圧延機に比べて非常に単純で小型の装置を使用することもできる。
【0017】
本発明は、圧延機を用いずに、しかも高価な平坦度の制御装置を用いずに、十分な模様表面を形成する方法を示すものである。ここに開示される方法は、圧延機をもっと多くの生産業務のために開放することができる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第1の態様によれば、金属のシート又はストリップの型押し模様形成方法を提供し、この方法は、複数の連続した型押パスを含んでおり、各パスが、シート又はストリップを少なくとも1組のローラを通過させることにより行ない、少なくとも各組のローラの一方は、その表面に型押模様を有しており、型押模様は、各型押パス中にシート又はストリップに転写され、各パスから得られたシート又はストリップの模様表面は、1つ又はそれ以上の他のパスから得られた模様表面と重ね合わせて仕上げの模様を形成する。
【0019】
こうして、この方法は、表面の模様転写のみの処理を含んでいる。
【0020】
この方法は、1組のローラを複数回通過することを含んでいるが、好ましくは、複数の別の組のローラを1回通過することを含む。ローラは、縦並び配置に配置することができる。
【0021】
各パス中に、シート又はストリップの厚さが実質的に減少されていないのが好ましい。それ故、転動力をシートの弾性限界内にするのが有利である。好ましい実施形態では、各パスでかけられる荷重は、シート又はストリップの測定可能な厚さの減少を起こす荷重の20%〜95%にされ、より好ましくは50%〜80%にされる。例えば、H19条件のAA6016合金では、通常は、単位幅当りの転動力で約50N/mmが利用される。
【0022】
いくつかの実施形態において、本発明は、従来1回のパスで金属の厚さの減少が実質的にゼロになるように行なわれていたシート又はストリップ上の模様形成した表面の範囲よりも大きい範囲を提供する。各パス中のシート又はストリップのその表面のカバレージの平均が35%未満であるのが好ましく、5%〜25%であるのがより好ましく、10%〜20%であるのがさらに好ましい。
【0023】
好ましい実施形態では、本発明には3回又はそれ以上の型押パス、例えば5〜7回の型押パスが用いられる。各型押パスは、シート又はストリップ上に、異なる模様を形成してもよい。
【0024】
本発明の別の利点は、形成された模様が、厚さの減少により得られた模様に比べてより等方的なことである。これは、圧下中の剪断効果が本発明の方法によって除かれたからであり、この剪断効果は、型押を圧延方向に引き伸ばす。剪断効果は、表面の金属を局部的に汚して微粒子を生成させ、又は表面抵抗を増加させて、例えば、自動車用のシート(automotive sheet)の点溶接の時やリトグラフシートを後で局部的に電解砂目立て又は陽極酸化を行う場合に有害になる。
【0025】
別の利点は、型押し模様形成に用いられる力が、従来の金属圧延で用いる力に比べて非常に小さいことであり、それは、下記の本実施形態に記載された型押し模様形成装置の支持構造が、圧延機に比べて非常に軽く、安価にできることを意味する。
【0026】
型押模様の転写は、軟質シートよりも硬質シートのほうが容易であることが見出された。出願人は、このことによって束縛されないが、これは、シートの厚さの減少が起こる前に、より高い圧痕圧(impression force)を用いることができるからであろう。連続焼鈍ライン又は表面仕上げラインでは、型押し模様形成は、溶体化加熱処理の工程の直前に付与するのが好ましい。この位置では、金属は、まだ比較的硬質で、また最終洗浄及び水洗の段階の前でもある。代わりに、溶体化加熱処理及び洗浄の後に型押し模様形成することもできる。
【0027】
型押された金属シートの様々な適する用途、例えば、リトグラフ、自動車、反射板、缶体材料などが考えられる。
【0028】
この方法は、型押工程の前および/又は後に、さらにシート又はストリップの砂目立てする工程を含むことができる。これは、特に、型押し模様形成した金属シートがリトグラフ板として使用される形態に適用される。
【0029】
このように、本発明の別の実施の態様は、アルミニウムストリップからリトグラフシートを作製する方法を提供し、該方法は、
i)ストリップを型押し模様形成してその表面に微細な模様を形成する工程と、
ii)ストップの表面を砂目立てする工程と、を含み、
砂目立て工程が、型押し模様形成工程の前および/又は後に行なわれる。
【0030】
砂目立て工程は、型押し模様形成工程の後に行われるのが好ましい。砂目立ては、商業的な1回圧延のアルミニウムシートに行なわれる砂目立ての1%〜80%であるのが好ましい。ある実施形態では、砂目立ては、例えば、硝酸又は塩酸系の電解液中での電解砂目立てによって行うことができる。
【0031】
当業者に知られている型押し模様形成に適したいかなる方法でも用いることができる。いくつかの例が、特許文献2(GB−A−2345881)と特許文献1(WO−A−97/31783)とに記載されており、それらを参照して本明細書に組み込む。型押し模様形成は、粗孔の模様を提供して、規定のRaとRzを備えた均一で方向性のない表面を形成することができる。
【0032】
RaとRzに関する表面パラメータの規格は、当業者に良く知られている。本研究では、パラメータは、Wyko(商標)の装置を用いて光学干渉分光法によって測定された。
【0033】
砂目立ては、電解砂目立てが好ましい。いかなる電解砂目立て法でも適しており、電解砂目立ては、硝酸又は塩酸中で行うことができる。
【0034】
砂目立ては、アルミニウムシートに細孔を有する組織を形成し、それは、リトグラフ板支持体内に良好な印刷結果を与える。
【0035】
砂目立ては、商業的な1回圧延のアルミニウムシートに行われるのに比べて、短いのが好ましく、つまり、砂目立ては、同じアルミニウム協会規格内組成の同等な1回圧延のアルミニウムシートに行われるのに比べると短い。これは、砂目立てにかかる時間の短縮とエネルギーの減少による顕著な経済的利益を与える。砂目立ては、通常は、商業的な1回圧延のアルミニウムシートに行なわれる砂目立ての1%〜80%であり、例えば、20%〜70%であり、さらに通常では50%以下である。
【0036】
電解砂目立て量は、満足できる表面を形成するのに要求される電荷密度に換算して表すことができる。通常の商業的な硝酸と塩酸砂目立ては、約90〜100kC/m2の電荷密度を要する。別の電解液では、異なる電荷密度を必要とするだろう。例えば、ホウ酸を添加したHNO3系の電解液では、砂目立てが遅くなって高い電解密度を要求するが、酢酸を添加した別の電解液は、従来の塩酸とほぼ同じである。それらの違いを認識して、電荷密度は、対応する電解液内で圧延材に要求される電荷密度の割合として、多分最もよく表される。
【0037】
砂目立てを少なくすることは、砂目立ての時間と薬品と電力と処分されるべき廃棄材料とを著しく節約することを意味する。
【0038】
ここでは、アルミニウムの用語は、純粋な金属及びアルミニウムを主成分とする合金を含んで用いられる。いかなる合金でも適合すれば利用できるが、これらの例には、アルミニウム協会の規格のAA1000系(例えばAA1050A)又はAA3000系(例えばAA3103)又はAA6000系(例えばAA6016A)又はAA5000系(例えばAA5182又はAA5754)がある。これにもかかわらず、もっと幅広い合金を用いることもできる。
【0039】
好ましい実施形態では、型押し模様形成中に、ストリップの全長は、0〜0.5%の間で増加しており、0.2%未満の増加であるのが好ましい。ストリップの全長は、型押し模様形成中に増加しない(すなわち0%の伸び)のが好ましい。
【0040】
複数回の型押し模様形成操作が行われ、例えば、連続する複数組のローラをストリップが1パスで通過させることができ、少なくとも各組のローラの一方は、その表面に微細な型押模様を有して、アルミニウムシートに模様を形成する。本発明の各実施形態では、型押し模様形成は、ストリップの表面に、均一で方向性のない粗孔の表面を生成する。
【0041】
本発明の別の態様によれば、リトグラフシートを作製する方法を提供しており、該方法は、アルミニウムストリップに型押し模様形成して、複数回の型押し模様形成操作によりその表面に微細な模様を提供することを含む。
【0042】
本発明の別の態様によれば、本発明の方法によって形成した自動車用のシート又はストリップを提供する。
【0043】
本発明の別の態様によれば、砂目立ての工程を含む方法によって形成されたリトグラフシート又はストリップを提供する。
【0044】
ある実施形態では、特に自動車用のシートについてであり、その発明の目的は、圧延工程とは別ラインで型押し模様形成して、圧延機をその設計に適合した仕事に解放することである。
【0045】
本発明の別の態様によれば、金属シート又はストリップの型押し模様形成用の装置を提供することであり、該装置は、
a)各組のローラの少なくとも一方がその表面に型押模様を有している少なくとも1組のローラと、
(b)複数の連続した型押パスを提供する手段と、を含む装置であって、
使用時には、型押模様が各組のローラを通過するシート又はストリップの表面に転写されて、各パスによって得られたシート又はストリップの模様が1回以上の別のパスによる模様表面と重なり合って仕上げの模様を形成する。
【0046】
装置は、複数組のローラを含んでいるのが好ましく、各組のローラは、離れた位置に配置することができる。ローラは、縦並びに配置されるのが好ましい。
【0047】
この装置は、好ましくは、さらにローラに圧力を付与する手段を含んでおり、付加した圧力は、各パス過程でシート又はストリップの厚さを実質的に減少しないようにされる。
【0048】
ローラは、使用時に、各パス中のシート又はストリップの表面のカバレージの平均の35%未満を提供できるのが好ましく、5%〜25%であるのがより好ましく、10〜20%であるのがさらに好ましい。
【0049】
上記の装置は、3回又はそれ以上の型押パスを含むことができ、5〜7回の間の型押パスを含むのが好ましい。
【0050】
好ましい実施形態では、各組のローラの少なくとも一方は、その表面に、各々の別の組のローラの少なくとも一方の型押模様とは異なる型押模様を有している。
【0051】
本発明の別の態様によれば、リトグラフシートを製造する方法を提供し、該方法は、アルミニウムシート又はストリップに型押し模様形成して、複数回の型押し模様形成操作によりその表面に微細な模様を提供することを含んでいる。
【0052】
本発明の別の態様によれば、リトグラフ板を製造する方法であって、アルミニウムシート又はストリップに型押し模様形成して、複数回の型押し模様形成操作によりその表面に微細な模様を提供することを含み、任意で削減的な砂目立てと陽極酸化、又は任意で付加的な砂目立てを、任意で表面自由エネルギー調整剤での処理をして、感光層を被覆することを含んでいる。
【0053】
複数回の型押パス又は型押し模様形成操作は、均一な仕上げ成品を形成することが見出された。本発明は、各パスが部分的に模様を形成する一連の「パス」を利用して、一層好ましくは顕著な長さ増加がなく、その結果に生じる平坦度のずれの問題もない十分に広い範囲の型押しを達成する。各々の型押し模様形成操作は、アルミニウムのストリップ長さの増加(又は、代わりに厚さの減少)がほとんどないか又はないようにするのが好ましい。ストリップの平坦度の制御の必要のないことが見出され、これは有利である。
【0054】
上述したように、型押し模様形成は、1組のローラを複数回通過することにより、又は複数組のローラを1回又はそれ以上通過することにより行うことができ、1組又はそれ以上の組の各組のローラの少なくとも一方は、その表面に微細な型押模様を有している。
【0055】
型押し模様形成は、圧延機の下流で行われるのが好ましく、レベリングの前、又はレベリング中に、ピンチロールによって行うことができる。本発明に関する全ての態様において、型押し模様形成は、存在できるいずれの砂目立て工程の前で好ましく行なうことができ、いずれかの洗浄工程の前に行われるのも好ましい。
【0056】
ローラは、例えば、放電処理(EDT)、電子ビーム処理(EBT)、レーザビーム処理(Lasertex)、又は電気クロムメッキ(ECD)など種々の模様成形方法を用いて得ることができる。EDTとECDとは、不規則に分散した表面性状を与えるので好ましい。ロール表面は、正に歪んだ型押模様を有しており、すなわちRskが正である。
【0057】
アルミニウムストリップは、要求に応じて、片面だけ又は両面とも模様成形されてもよい。型押ロールは、例えば、鋼又はポリマーから作製でき、また潤滑されることができる。適した潤滑油の例には水とイソプロパノールの混合液があり、錆止め剤が存在していてもよい。
【0058】
本発明の種々の態様を通して、砂目立てがある場合、2種類の砂目立てが考えられる。シートは、好ましい寸法の孔を形成して、薬品中でエッチングして表面からいくらかの金属を除去することができる。これは、本明細書では削減的な砂目立て(subtractive graining)と呼び、型押しの前又は後のいずれにでも行うことができる。恐らく、型押の後に削減的な砂目立てを行うのがより実用的である。代わりに、模様表面に有機層又は無機層を塗布することができる。これは、本明細書では付加的な砂目立て(additive graining)と呼んでいる。ある実施形態では、この層は、それ自身が無機前駆体から得られるタイプAゾルを含んでもよい。この層は、親水性にすることができ、その場合には、層は、金属の微粒子を分散させたシリケート溶液を含む液体にストリップを接触させることにより形成してもよい。付加的な砂目立ては、画像被膜を基板に付着するのを助ける等方的な表面を与えることができる。無色の又は着色した付加的な被膜を塗布してもよく、それらはまた、最終製品の外観を改善するだろう。
【0059】
WO−A−91/12140とWO−A−97/19819に記載された方法(参照して本明細書に組み込む)は、付加的な砂目立ての例である。ここで用いられる砂目立ては、これらの方法のいずれでも含むことができる。従って、例えば、付加的な砂目立てでは、表面に有機層又は無機層が塗布される場合、この層は、それ自身が無機前駆体から得られるタイプAゾルを含むことができる。ある実施形態では、この層は、親水性にしてもよく、ストリップを金属の微粒子を分散させたシリケート溶液を含む液体に接触させることにより形成してもよい。
【0060】
砂目立てのない用途では、美観の点から、方向性の少ない仕上げの成品が有利であり、例えば、(リトグラフを使用する)印刷業者は、彼を悩ませる方向性のない表面を検査することができる。2種類の板がここでは重要になるだろう。Torayタイプは、2層の材料を使用しており、一方は親水性で、他方は疎水性である。レーザで上層を除去することにより、異なった印刷特性を得ることができる。
【0061】
ある実施形態では、各々の型押し模様形成操作又は型押パスの寸法及び/又は模様は、他の型押し模様形成操作又は型押パスと異なってもよい。例えば、はじめの型押し模様形成操作では、比較的大きく、約50ミクロン以下、好ましくは20ミクロン以下の孔を刻することができ、その後の操作では、より小さく、約3ミクロンまでの孔を押し付けできる。代わりに、大きい孔を小さい孔の後に押しつけることができ、又は、一連のロールを配置して、特に有利な寸法の孔を押し付けることができる。
【0062】
本発明の別の態様によれば、リトグラフシートを製造する装置であって、該装置は、
i)アルミニウムのストリップが隣接するロールの組の間を通過できるように配置された複数の第1のローラと、
ii)第1のローラに及び/又は第1のローラからストリップをガイドするための1つ以上のガイド手段と、を含み、
少なくともローラの一方は、その表面に、アルミニウムストリップに型押しするのに適合した微細な型押模様を有している。
【0063】
好ましくは、第1のロールは2つ以上存在している。それらは、互いに隣接して配置されているのが好ましく、例えば、実質的に直線配置にされる。ある実施形態によれば、第1のローラの全てが、その表面上に微細な型押模様を備えることができる。これは、ストリップの両面に模様を提供する。もしストリップの片面のみに模様を付けることが望まれるなら、別の実施形態を提供することができて、そこでは交互の第1のローラがその表面上に微細な型押模様を有している。
【0064】
ガイド手段は、1つ又はそれ以上の第2のローラの形態にされるのが好ましい。
【0065】
第1のローラは、サーマルキャンバが荷重下でのローラのいかなる撓みをも補償できるように、かつ第1のローラの配置の全ての温度を上下して、型押し模様形成の効率を調整できるように、制御状態で加熱してもよい。そのような加熱は、従来の圧延に適用されていたグランドキャンバに代えて又はこれに追加することができる。
【0066】
第1のローラの各々は、その表面上に同じ又は異なる型押模様を有することができる。
【0067】
単なる例示の目的で、本発明を、以下の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る装置の単スタンドの概略断面図である。
【図2】図1のスタンドの概略正面図である。
【図3】複スタンドの概略断面図である。
【図4】本発明に係る別の装置を、部分的に図解した概略図である。
【図5】本発明に従ったパスの回数に対する金属ストリップの表面のカバレージの領域を示すグラフである。
【図6A】様々な回数のパスの後の金属ストリップの表面を示している。
【図6B】様々な回数のパスの後の金属ストリップの表面を示している。
【図6C】様々な回数のパスの後の金属ストリップの表面を示している。
【図6D】様々な回数のパスの後の金属ストリップの表面を示している。
【図6E】様々な回数のパスの後の金属ストリップの表面を示している。
【図6F】様々な回数のパスの後の金属ストリップの表面を示している。
【図6G】様々な回数のパスの後の金属ストリップの表面を示している。
【図6H】様々な回数のパスの後の金属ストリップの表面を示している。
【図7】Pretex処理により処理したロール表面を示している。
【図8】10回パスの後の合金ストリップの表面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0069】
図1を参照すると、本発明の単一のスタンドは、通常は符号1で示されている。スタンド1は、梁材3に隣接して配置された油圧シリンダ2を含んでいる。横配列のリンク機構4が、シリンダ2の中に配置されており、スタンド1内のロールの横方向の位置合わせに役立つ。長手方向の支持は、支持体5によって提供される。
【0070】
実施形態で示されるように、2組のローラが存在している。これらは、硬質ポリウレタンで覆った支持ロール6を含んでおり、それは、型押ロール7が損傷するのを防止するために存在している。型押ロール7は、通常は、100〜150mm、例えば100mmの直径を有している。別の実施形態では、支持ロール6は、2つの(又はそれ以上の)類似のロールで置き換えることができて、それらのロールは、軸がずれているが、各々が型押ロール7と接触していて、該ロールに対する横方向の安定性を提供する。型押ロール7は、当業者に知られているどのような好ましい方法、例えば、放電処理(EDT)などによって作製することができる。
【0071】
図1は、部品2〜7で示したのと同一の配置をスタンドの下半分に図示しており、型押ロール7が互いに隣接するように配置されている。
【0072】
使用時には、金属シート8は、該シート8の表面に模様を転写するための2つの型押ロール7の間を通過する。油圧シリンダが機能して、厚さの減少がごくわずかになるようにシート8上への荷重を調節しており、通常の転動荷重は、約50N/mm(幅2メートルのストリップに荷重10トン)である。
【0073】
図2は、図1のスタンドの正面図を示している。必要に応じてより多数の、又はより少数の支持ロールを利用することができるが、ここでは、3つの支持ロール6が2組図示されており、各々が型押ロール7と接触している。
【0074】
図3は、6つのスタンド1を示しており、互いに隣合ってねじれ安定性を提供するために互いに固定されている。この方法では、スタンド1は、型押し模様形成の要求レベルを提供するために、縦並びになっている。使用時には、シート8は、連続してスタンドの型押ロール7を通過し、それにより模様形成表面は、個別に模様が付けられて、多重かつ部分的な模様によりシート8上に次第に蓄積される。この方法により、模様が蓄積されて、さもなければシート表面を永久に歪ませたであろう高いローリング圧力が回避できる。
【0075】
図4は、アルミニウムストリップを型押し模様形成する工程の一部に使うことができる別の装置の一部分を示している。この装置は、通常は符号9で示してある。装置9は、複数のワークロール10と、好ましくは柔らかいガイド用のアイドラロール11と、を含んでいる。図示した実施形態では、ワークロールは、鋼から作られ、積重ねて配置することにより、それらは制御された力で互いに締め付けあっている。ワークロール10は、要求に合わせて型押模様が成形されており、装置の使用時に、アルミニウムストリップ12に型押し模様を形成する。ワークロール10は、同じ模様である必要はない。
【0076】
使用時に、アルミニウムストリップ12は、下側の端部から装置9に供給される。ワークロール10は、機械的に、又は電気的に接続した駆動装置を用いて駆動される。ストリップ12が装置9を通って進行すると、ストリップは、図のように、アイドラロール11によってガイドされてワークロール10の間を通過する。アイドラロール11の直径は、ストリップ12の伸びを防止するように選ぶが、もしストリップの一層のレベリングが望ましいならば、ストリップを意図的に引張るように選ぶ。ワークロール10は、制御手段によって加熱される。
【0077】
ストリップ12がワークロール10の間を通過するときに、ストリップは、型押し模様形成されて、一連の型押パスがなされ、そのパスの各々では、ストリップ12の材料の厚さの減少(又は伸長)がごくわずかであるか又はまったくない。図示した実施形態では、模様表面は、ストリップ12の両側に付けられる。もし、片面のみに模様を形成したいならば、ワークロール10は、それらが交互に積重ねた2つの種類になるように配置を替えることができる。例えば、1番目が型押された鋼のロールで、2番目が柔らかくて滑らかな(例えばポリウレタンの)被覆ロールで、3番目が別の鋼のロールである等である。この方法では、鋼のロールがストリップ12の他方の表面を型押し模様形成するが、柔らかくて滑らかなポリウレタン被覆のロールは、ストリップの一方の表面を変えることがない。これは、特に、圧延状態のストリップ表面の方向性が不利で通常は片面にだけには均一な表面が要求されるリトグラフ用の製品に有用である。
【0078】
異なる型押模様のワークロール10を交互に積重ねることにより、ストリップ12の両面上に異なる模様を形成することができる。
【0079】
装置は、小型であり、各パスにおいて制御された型押し模様形成を与える。
【0080】
もし望むなら、型押し模様形成されたストリップ12は、続いて、付加的な砂目立て、又は例えば電解砂目立てのような削減的な砂目立てによって砂目立てしてもよい。
【0081】
さらに、図4には、好ましくは型押模様が成形された任意のバックアップロール13が図示されている。これらは、ロールの積重ねを強化して、型押し模様形成の荷重下での積重ねのずれを減少させるだろう。バックアップロール13は、ワークロール10に直接に接触しておらず、それにより型押模様が成形されたワーキング表面の磨耗を回避する。それらの大きな直径は、温度差による寸法効果が大きいので、もし必要ならば、バックアップロール13に温度制御を適用することができる。
【実施例1】
【0082】
以下の型押処理は、AA6016合金に行われ、該合金は、加熱処理されたアルミニウム−マグネシウム−ケイ素合金である。
【0083】
【表1】
【0084】
測定された伸びは、測定誤差よりも小さく、それなので、本質的にはゼロである。表1において、伸び率の%は、金属の厚さの圧下率の測定単位として利用された。単位幅当りの転動力は、50N/mmであった。この結果を、模様付け圧力が25N/mmの結果と共に図5に示した。
【実施例2】
【0085】
図6A〜Hは、本発明によって、模様が、ミルを通過する7回のパスを通してどのように蓄積するかを示している。材料は、H19条件のAA6016と、模様を形成するのに用いた力は、再び、上述のようにごくわずかな厚さの減少を生じる程度に十分に小さい50N/mm幅であった。5回〜6回の転動の後は、表面の模様が良好な程度の等方性であることが理解される。型押ロールでは、表面のカバレージの程度が高く、表面の特徴的なピーク数が高く、スキューの値が高い(以下のスキューの定義を見よ)。
【0086】
以下の表2は、以下に規定したパラメータを用いたパスの後の表面特性の測定値を示す。
【0087】
基準の中間線=この中間線は、頂部と谷部との中間を走る直線であり、線の上側と下側とに等しい領域を囲むようにプロファイルを分割する。基準の中間面は、3次元の基準面があり、地形学的(トポグラフィック)な偏差が測定される。
【0088】
Ra=全ての3D表面にわたる算術的な平均粗さ高さである。中間線又は表面から測定された。
Rq=全ての3D表面にわたるRMS平均粗さ高さである(RMSと同じ)。
Rz=全ての3D表面の最も高い頂部の平均と最も低い谷部の平均との差である。
Rt=全ての3D表面の最も高い頂部と最も低い谷部との間の垂直方向の距離である(P−Vと同じ)。
【0089】
Rsk=中間線のスキューネス(中間線の周りの非対称性の測定)である。スキューネスは、中間線まわりのプロファイルの非対称性を計るものである。平均3乗粗さに似ている。中間面から離れた点は、中間面レベルに近接した点よりも、比例してより重みを有する。
【0090】
Rku=3D表面のクルトシスである。クルトシスは、中間線まわりのプロファイルの尖度を計るものである。これは、表面の「とがり具合」の情報、すなわち振幅密度関数(ADF)の鋭さを提供し、ADFとは、必ずしも個別のピークの鋭さを意味しない。プロファイルの高さが、高さの狭い範囲の中で高い造作で減少するとき、クルトシス値は、高くなる。クルトシスは、プロファイルの高さの不揃いさを計るものでもある。完全なガウス分布又は不揃いな表面は、クルシトルが3を有し、不揃いさの少ない(又はより反復性の)表面では、その値が3から離れる。ガウス分布表面よりも最高点及び最低点が少ないプロファイルは、3より小さいクルトシス値を有する。かなり多くの最高点および最低点のプロファイルは、3より大きいクルトシス値を有する。
【0091】
表面領域の指標=試料の(2D)横方向表面の領域と(3D)表面領域との比較である。
容積=表面とその表面の基準平面と平行な平面との間の空間によって占められた容積を見積もる。
【0092】
【表2】
【実施例3】
【0093】
直径157mmのEDTの粗い鋼のワークロールを備えた単スタンドの冷間圧延機上で、圧延が行われ、表面粗さは、Ra=2.5ミクロンでRskはゼロであった。ミルの隙間は、パス毎の延伸が非常に小さくなるように設定された。AA1050A合金でH19条件の厚さ0.27mmで幅75mmのストリップを、繰り返しミルを通過させた。適当な回数のパスの後に得られた試料は、Wykoの機器のNT2000の中で光学干渉分光法によって、注目すべき表面性状が測定された。
【0094】
測定は、垂直走査の光学干渉分光モード(VSI)で行われた。対物レンズは、倍率が10.2倍で視野が0.5倍で、測定範囲が1.2mm×0.92mmになるものを用いた。
【0095】
残ったパーセンテージのミル仕上げは、ヒストグラムデータを用いて計算された。表面上の孔から生じたヒストグラム中の点が露出され、残った点が、ミル仕上げによるものであるが、イメージ中に存在するデータポイントの総数のパーセンテージとして計算された。
【0096】
伸びは、試料上に引かれた平行線を、協働する測定器に取り付けられたカメラヘッドを用いて再測定することにより計算された。
【0097】
表3には、圧延状態で試験された材料上で得られた結果を記載している。
【0098】
【表3】
【0099】
各々の型押試料の一部分を清浄し、硝酸の電解液内で、商業製品に用いられる条件を模倣した条件下で、電解砂目立てした。試料は、60℃に保持した3%の硫酸溶液内で8秒間洗浄された。水で洗った後、試料は、商業的製品の仕上げと同様に設定されたミクロセルシステムに載置された。試料は、35℃の1%wt/wtの塩酸溶液内で15〜30秒間電解砂目立てされた。30秒が、標準のH18処理のAA1050Aのリトグラフシートを完全に砂目立てするのにかかる通常の時間である。配置は、ツインセル設計で、試料は、液体接触モード内で砂目立てされた。グラファイトの対極が使用され、アルミニウム試料とグラファイト電極との間隔は15mmにされた。19Vの電圧が使用され、平均電流値が3.1kA/m2であり、電荷密度93kC/m2を与える。短時間の実験では、これらの値は、各々3.5kA/m2と電荷密度52kC/m2であり、これらは、平均してわずかに高い。
【0100】
【表4】
【0101】
【表5】
【0102】
表5の結果の説明は、標準的な30秒の試料と、10回パス+15秒の砂目立てした試料(実施4)と、を比べると、Rz、表面領域および容積は全く同じであり、Raがそれほど変わらず、スキューのみが全く違っていた。この試料は、少なくとも許容できると認定される。
【実施例4】
【0103】
別の実験は、ロール表面を電気クロムメッキにより調整した別タイプの型押ロール表面で行われた。これは、金属圧下して鋼のシートに型押し模様形成することを利用した既存の商業製品に利用可能な表面型押模様処理である。電気クロムメッキ処理は、ロール表面に多数の突起(positive)した粒状物を残し、もしそれらがロール表面から全て同じ高さにあるならば、粒状物は、弾性的または縦並びの型押処理にとって理想的である。これは、表面の高い造作を利用してシート表面に陥没(negative)形状を刻み込むからである。図7は、電気クロムメッキ処理を施したロール表面を図示している。
【0104】
これの表面パラメータは、以下のとおりである(図7の影部は、高さの輪郭であり、突起形状の高さの一致は、それらが同じ影部を有するという事実によって示されている)。
Ra=1.69ミクロン
Rq=1.98
Rz=17.49
Rt=24.55
【0105】
厚さが1mmでH9テンパーの6160合金のストリップは、これらのロールを通って処理された。50N/mmに注意深く調節された力を用いて、10回パスの後にストリップは、図8のようになった。
【0106】
この表面のパラメータは以下のようになった。
【0107】
【表6】
【実施例5】
【0108】
仕上げ圧延された厚み0.28mmのリトグラフシートの試料は、先の実施例と同様に転動されPretex仕上げされた。使用した荷重は、17N/mmであった。10回のいかなるパスによっても、測定可能な伸びは生じなかった。
【0109】
表面上に保水できることがリトグラフシートに重要であり、そのキーになるパラメータは、表面上の閉鎖した空隙の総容量である。これは、Wykoの光学干渉分光のデータから得られる値である。データ面は、表面を通って段々に上昇されて、空隙の容積(又はオフセット・ブランケット・ロールによって所定の位置に補足された実際の貯水の溶液内)が計算される。この方法は、Pfestorf, M、Engel, U、及びGeiger, MによってBlech Rohre Profile, P 689-693, 43(1993)12に記載されている。この技術を使用することにより、いくつかの通常の商業的材料と、縦並び型押し模様形成処理により生じた試料とにおいて以下のことが見出された。
【0110】
【表7】
【0111】
適切なロール表面仕上げを選ぶことによって、適当なオーダーで閉じた空隙容積が、砂目立てを伴って又は伴わずに達成される。さらに、縦並びにと砂目立ての減少(15秒は、30秒で完全に砂目立てする場合に使う電荷の約半分に相当する)とでは、適切な仕上げ製品が達成され、成品は、適当な仕上げにイメージ領域の有機薄膜のリトグラフ印刷に必要な良好な付着性を有するようになった。
【符号の説明】
【0112】
1 スタンド
2 油圧シリンダ
3 梁材
4 リンク機構
5 支持体
6 支持ロール
7 型押ロール
8 金属シート
9 装置
10 ワークロール
11 アイドラロール
12 ストリップ
13 バックアップロール
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属シート又はストリップ、特に、これに限定しないが、アルミニウム合金製のシート又はストリップの表面に型押し模様形成するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属や紙のシート又はストリップに型押し模様形成するための種々の方法が存在する。しかしながら、従来は、金属シートの型押しは、金属の厚さの減少を含む圧延機を用いて行なわれている。特許文献1(WO−A−97/31783)に開示されているように、もし一対のロールを通過する1回のパスが金属を圧下せずに行なわれたならば、型押しで形成された模様は、通常は、表面のカバレージ(surface coverage)の35%以下と不十分である。
【0003】
リトグラフの分野では、多くのリトグラフ印刷がアルミニウム板から得られる。支持体に積層した薄いシートも利用されるが、アルミニウム板は、通常は、寸法とプレス方法とに依存して0.15〜0.51mmの厚さにされる。リトグラフ板用のアルミニウムシートは、一般に、圧延によって製造される。これは、圧延方向に伸びた冶金学的組織を生じる。圧延シートの表面には、長手方向に伸びた傷跡(圧延線)があり、これは、仕上げの砂目立てをした製品には好ましくなく、この影響を最小にするためにはロールの慎重な調整が必要である。
【0004】
アルミニウムシートをリトグラフ板支持体として使用するのに適したものにするには、支持体上への有機被膜の付着力を高めて、被覆していない支持体表面の保水性を向上するために、粗面化する必要がある。陽極酸化の後に感光層を支持体に塗布し、それに続く光照射と現像とにより、一般に、有機被膜を供えたインク受容性の領域と、保水性の非画線部の領域と、を有するリトグラフ板が得られ、一般に、保水性の非画線部の領域は、被覆していない支持体表面である。砂目立て又は粗面化の工程の費用は、リトグラフ板支持体の製造の経済性の重要な部分である。
【0005】
特許文献2(GB−A−2345881)は、印刷板の基板の表面上に特徴的な形態を形成するためのエンボス法を開示している。開示された発明は、単なる機械的な粗面化処理に関するものであり、表面は、エンボスローラで機械的に粗面化される。これは、ローラを通過する単一パスによって達成される。
【0006】
特許文献3(WO−A−95/08408)は、重ね圧延処理(pack rolling process)によりアルミニウムシートの粗い表面を形成することを開示している。
【0007】
特許文献1(WO−A−97/31783)は、一方又は両方のロールに型押模様が付された単一のロールスタンドを開示している。ロールスタンドは、圧延機の端部に位置し、リトグラフシートの厚さを0〜15%減少する。
【0008】
特許文献4(US5857373)は、少なくとも2つのワークロールにより金属表面上に模様を連続的につけることを開示している。ロール表面上の模様は、確定しているが、その2つの間のいかなる干渉効果も排除するように調整されている。
【0009】
特許文献5(US4000242)は、紙のストリップが大きなサポートロールの周りを動く時に、そのストリップに多数のエンボス模様をつけることを開示している。
【0010】
特許文献6(US3841963)は、粗い模様を巻取紙に与えるための垂直方向に積重ねたロール装置を開示している。
【0011】
特許文献7(US6920632)は、シートを圧延するためのロールの型押模様の成形を開示しており、圧延シート又は板は、型押ロールによって型押し模様形成される。好ましい方法は、単一のロールセットの一方または両方のロールのいずれかを、模様をつけるのに用いることである。
【0012】
特許文献8(EP−A−0273402)は、不規則な模様を付けた金属ストリップ又はプレートを開示している。
【0013】
特許文献9(US5964115)は、その後の焼鈍過程で鋼ストリップの焼付きを防止するために、鋼ストリップに規定の表面粗さを付す方法を開示している。この方法は、少なくとも1つの可逆ロールスタンドでストリップを冷間圧延することを含んでいる。
【0014】
特許文献10(EP−A−0456162)は、複数の圧延スタンドで金属を圧延する方法を開示しており、各スタンドは、2つ以上のロールを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】WO−A−97/31783
【特許文献2】GB−A−2345881
【特許文献3】WO−A−95/08408
【特許文献4】US5857373
【特許文献5】US4000242
【特許文献6】US3841963
【特許文献7】US6920632
【特許文献8】EP−A−0273402
【特許文献9】US5964115
【特許文献10】EP−A−0456162
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
シートの厚さを減少せずに、十分な表面のカバレージを提供できる型押し模様形成処理が必要である。こうすれば、歪みを防止し、高価な平坦度制御装置の使用を避けて、しかも圧延機に比べて非常に単純で小型の装置を使用することもできる。
【0017】
本発明は、圧延機を用いずに、しかも高価な平坦度の制御装置を用いずに、十分な模様表面を形成する方法を示すものである。ここに開示される方法は、圧延機をもっと多くの生産業務のために開放することができる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第1の態様によれば、金属のシート又はストリップの型押し模様形成方法を提供し、この方法は、複数の連続した型押パスを含んでおり、各パスが、シート又はストリップを少なくとも1組のローラを通過させることにより行ない、少なくとも各組のローラの一方は、その表面に型押模様を有しており、型押模様は、各型押パス中にシート又はストリップに転写され、各パスから得られたシート又はストリップの模様表面は、1つ又はそれ以上の他のパスから得られた模様表面と重ね合わせて仕上げの模様を形成する。
【0019】
こうして、この方法は、表面の模様転写のみの処理を含んでいる。
【0020】
この方法は、1組のローラを複数回通過することを含んでいるが、好ましくは、複数の別の組のローラを1回通過することを含む。ローラは、縦並び配置に配置することができる。
【0021】
各パス中に、シート又はストリップの厚さが実質的に減少されていないのが好ましい。それ故、転動力をシートの弾性限界内にするのが有利である。好ましい実施形態では、各パスでかけられる荷重は、シート又はストリップの測定可能な厚さの減少を起こす荷重の20%〜95%にされ、より好ましくは50%〜80%にされる。例えば、H19条件のAA6016合金では、通常は、単位幅当りの転動力で約50N/mmが利用される。
【0022】
いくつかの実施形態において、本発明は、従来1回のパスで金属の厚さの減少が実質的にゼロになるように行なわれていたシート又はストリップ上の模様形成した表面の範囲よりも大きい範囲を提供する。各パス中のシート又はストリップのその表面のカバレージの平均が35%未満であるのが好ましく、5%〜25%であるのがより好ましく、10%〜20%であるのがさらに好ましい。
【0023】
好ましい実施形態では、本発明には3回又はそれ以上の型押パス、例えば5〜7回の型押パスが用いられる。各型押パスは、シート又はストリップ上に、異なる模様を形成してもよい。
【0024】
本発明の別の利点は、形成された模様が、厚さの減少により得られた模様に比べてより等方的なことである。これは、圧下中の剪断効果が本発明の方法によって除かれたからであり、この剪断効果は、型押を圧延方向に引き伸ばす。剪断効果は、表面の金属を局部的に汚して微粒子を生成させ、又は表面抵抗を増加させて、例えば、自動車用のシート(automotive sheet)の点溶接の時やリトグラフシートを後で局部的に電解砂目立て又は陽極酸化を行う場合に有害になる。
【0025】
別の利点は、型押し模様形成に用いられる力が、従来の金属圧延で用いる力に比べて非常に小さいことであり、それは、下記の本実施形態に記載された型押し模様形成装置の支持構造が、圧延機に比べて非常に軽く、安価にできることを意味する。
【0026】
型押模様の転写は、軟質シートよりも硬質シートのほうが容易であることが見出された。出願人は、このことによって束縛されないが、これは、シートの厚さの減少が起こる前に、より高い圧痕圧(impression force)を用いることができるからであろう。連続焼鈍ライン又は表面仕上げラインでは、型押し模様形成は、溶体化加熱処理の工程の直前に付与するのが好ましい。この位置では、金属は、まだ比較的硬質で、また最終洗浄及び水洗の段階の前でもある。代わりに、溶体化加熱処理及び洗浄の後に型押し模様形成することもできる。
【0027】
型押された金属シートの様々な適する用途、例えば、リトグラフ、自動車、反射板、缶体材料などが考えられる。
【0028】
この方法は、型押工程の前および/又は後に、さらにシート又はストリップの砂目立てする工程を含むことができる。これは、特に、型押し模様形成した金属シートがリトグラフ板として使用される形態に適用される。
【0029】
このように、本発明の別の実施の態様は、アルミニウムストリップからリトグラフシートを作製する方法を提供し、該方法は、
i)ストリップを型押し模様形成してその表面に微細な模様を形成する工程と、
ii)ストップの表面を砂目立てする工程と、を含み、
砂目立て工程が、型押し模様形成工程の前および/又は後に行なわれる。
【0030】
砂目立て工程は、型押し模様形成工程の後に行われるのが好ましい。砂目立ては、商業的な1回圧延のアルミニウムシートに行なわれる砂目立ての1%〜80%であるのが好ましい。ある実施形態では、砂目立ては、例えば、硝酸又は塩酸系の電解液中での電解砂目立てによって行うことができる。
【0031】
当業者に知られている型押し模様形成に適したいかなる方法でも用いることができる。いくつかの例が、特許文献2(GB−A−2345881)と特許文献1(WO−A−97/31783)とに記載されており、それらを参照して本明細書に組み込む。型押し模様形成は、粗孔の模様を提供して、規定のRaとRzを備えた均一で方向性のない表面を形成することができる。
【0032】
RaとRzに関する表面パラメータの規格は、当業者に良く知られている。本研究では、パラメータは、Wyko(商標)の装置を用いて光学干渉分光法によって測定された。
【0033】
砂目立ては、電解砂目立てが好ましい。いかなる電解砂目立て法でも適しており、電解砂目立ては、硝酸又は塩酸中で行うことができる。
【0034】
砂目立ては、アルミニウムシートに細孔を有する組織を形成し、それは、リトグラフ板支持体内に良好な印刷結果を与える。
【0035】
砂目立ては、商業的な1回圧延のアルミニウムシートに行われるのに比べて、短いのが好ましく、つまり、砂目立ては、同じアルミニウム協会規格内組成の同等な1回圧延のアルミニウムシートに行われるのに比べると短い。これは、砂目立てにかかる時間の短縮とエネルギーの減少による顕著な経済的利益を与える。砂目立ては、通常は、商業的な1回圧延のアルミニウムシートに行なわれる砂目立ての1%〜80%であり、例えば、20%〜70%であり、さらに通常では50%以下である。
【0036】
電解砂目立て量は、満足できる表面を形成するのに要求される電荷密度に換算して表すことができる。通常の商業的な硝酸と塩酸砂目立ては、約90〜100kC/m2の電荷密度を要する。別の電解液では、異なる電荷密度を必要とするだろう。例えば、ホウ酸を添加したHNO3系の電解液では、砂目立てが遅くなって高い電解密度を要求するが、酢酸を添加した別の電解液は、従来の塩酸とほぼ同じである。それらの違いを認識して、電荷密度は、対応する電解液内で圧延材に要求される電荷密度の割合として、多分最もよく表される。
【0037】
砂目立てを少なくすることは、砂目立ての時間と薬品と電力と処分されるべき廃棄材料とを著しく節約することを意味する。
【0038】
ここでは、アルミニウムの用語は、純粋な金属及びアルミニウムを主成分とする合金を含んで用いられる。いかなる合金でも適合すれば利用できるが、これらの例には、アルミニウム協会の規格のAA1000系(例えばAA1050A)又はAA3000系(例えばAA3103)又はAA6000系(例えばAA6016A)又はAA5000系(例えばAA5182又はAA5754)がある。これにもかかわらず、もっと幅広い合金を用いることもできる。
【0039】
好ましい実施形態では、型押し模様形成中に、ストリップの全長は、0〜0.5%の間で増加しており、0.2%未満の増加であるのが好ましい。ストリップの全長は、型押し模様形成中に増加しない(すなわち0%の伸び)のが好ましい。
【0040】
複数回の型押し模様形成操作が行われ、例えば、連続する複数組のローラをストリップが1パスで通過させることができ、少なくとも各組のローラの一方は、その表面に微細な型押模様を有して、アルミニウムシートに模様を形成する。本発明の各実施形態では、型押し模様形成は、ストリップの表面に、均一で方向性のない粗孔の表面を生成する。
【0041】
本発明の別の態様によれば、リトグラフシートを作製する方法を提供しており、該方法は、アルミニウムストリップに型押し模様形成して、複数回の型押し模様形成操作によりその表面に微細な模様を提供することを含む。
【0042】
本発明の別の態様によれば、本発明の方法によって形成した自動車用のシート又はストリップを提供する。
【0043】
本発明の別の態様によれば、砂目立ての工程を含む方法によって形成されたリトグラフシート又はストリップを提供する。
【0044】
ある実施形態では、特に自動車用のシートについてであり、その発明の目的は、圧延工程とは別ラインで型押し模様形成して、圧延機をその設計に適合した仕事に解放することである。
【0045】
本発明の別の態様によれば、金属シート又はストリップの型押し模様形成用の装置を提供することであり、該装置は、
a)各組のローラの少なくとも一方がその表面に型押模様を有している少なくとも1組のローラと、
(b)複数の連続した型押パスを提供する手段と、を含む装置であって、
使用時には、型押模様が各組のローラを通過するシート又はストリップの表面に転写されて、各パスによって得られたシート又はストリップの模様が1回以上の別のパスによる模様表面と重なり合って仕上げの模様を形成する。
【0046】
装置は、複数組のローラを含んでいるのが好ましく、各組のローラは、離れた位置に配置することができる。ローラは、縦並びに配置されるのが好ましい。
【0047】
この装置は、好ましくは、さらにローラに圧力を付与する手段を含んでおり、付加した圧力は、各パス過程でシート又はストリップの厚さを実質的に減少しないようにされる。
【0048】
ローラは、使用時に、各パス中のシート又はストリップの表面のカバレージの平均の35%未満を提供できるのが好ましく、5%〜25%であるのがより好ましく、10〜20%であるのがさらに好ましい。
【0049】
上記の装置は、3回又はそれ以上の型押パスを含むことができ、5〜7回の間の型押パスを含むのが好ましい。
【0050】
好ましい実施形態では、各組のローラの少なくとも一方は、その表面に、各々の別の組のローラの少なくとも一方の型押模様とは異なる型押模様を有している。
【0051】
本発明の別の態様によれば、リトグラフシートを製造する方法を提供し、該方法は、アルミニウムシート又はストリップに型押し模様形成して、複数回の型押し模様形成操作によりその表面に微細な模様を提供することを含んでいる。
【0052】
本発明の別の態様によれば、リトグラフ板を製造する方法であって、アルミニウムシート又はストリップに型押し模様形成して、複数回の型押し模様形成操作によりその表面に微細な模様を提供することを含み、任意で削減的な砂目立てと陽極酸化、又は任意で付加的な砂目立てを、任意で表面自由エネルギー調整剤での処理をして、感光層を被覆することを含んでいる。
【0053】
複数回の型押パス又は型押し模様形成操作は、均一な仕上げ成品を形成することが見出された。本発明は、各パスが部分的に模様を形成する一連の「パス」を利用して、一層好ましくは顕著な長さ増加がなく、その結果に生じる平坦度のずれの問題もない十分に広い範囲の型押しを達成する。各々の型押し模様形成操作は、アルミニウムのストリップ長さの増加(又は、代わりに厚さの減少)がほとんどないか又はないようにするのが好ましい。ストリップの平坦度の制御の必要のないことが見出され、これは有利である。
【0054】
上述したように、型押し模様形成は、1組のローラを複数回通過することにより、又は複数組のローラを1回又はそれ以上通過することにより行うことができ、1組又はそれ以上の組の各組のローラの少なくとも一方は、その表面に微細な型押模様を有している。
【0055】
型押し模様形成は、圧延機の下流で行われるのが好ましく、レベリングの前、又はレベリング中に、ピンチロールによって行うことができる。本発明に関する全ての態様において、型押し模様形成は、存在できるいずれの砂目立て工程の前で好ましく行なうことができ、いずれかの洗浄工程の前に行われるのも好ましい。
【0056】
ローラは、例えば、放電処理(EDT)、電子ビーム処理(EBT)、レーザビーム処理(Lasertex)、又は電気クロムメッキ(ECD)など種々の模様成形方法を用いて得ることができる。EDTとECDとは、不規則に分散した表面性状を与えるので好ましい。ロール表面は、正に歪んだ型押模様を有しており、すなわちRskが正である。
【0057】
アルミニウムストリップは、要求に応じて、片面だけ又は両面とも模様成形されてもよい。型押ロールは、例えば、鋼又はポリマーから作製でき、また潤滑されることができる。適した潤滑油の例には水とイソプロパノールの混合液があり、錆止め剤が存在していてもよい。
【0058】
本発明の種々の態様を通して、砂目立てがある場合、2種類の砂目立てが考えられる。シートは、好ましい寸法の孔を形成して、薬品中でエッチングして表面からいくらかの金属を除去することができる。これは、本明細書では削減的な砂目立て(subtractive graining)と呼び、型押しの前又は後のいずれにでも行うことができる。恐らく、型押の後に削減的な砂目立てを行うのがより実用的である。代わりに、模様表面に有機層又は無機層を塗布することができる。これは、本明細書では付加的な砂目立て(additive graining)と呼んでいる。ある実施形態では、この層は、それ自身が無機前駆体から得られるタイプAゾルを含んでもよい。この層は、親水性にすることができ、その場合には、層は、金属の微粒子を分散させたシリケート溶液を含む液体にストリップを接触させることにより形成してもよい。付加的な砂目立ては、画像被膜を基板に付着するのを助ける等方的な表面を与えることができる。無色の又は着色した付加的な被膜を塗布してもよく、それらはまた、最終製品の外観を改善するだろう。
【0059】
WO−A−91/12140とWO−A−97/19819に記載された方法(参照して本明細書に組み込む)は、付加的な砂目立ての例である。ここで用いられる砂目立ては、これらの方法のいずれでも含むことができる。従って、例えば、付加的な砂目立てでは、表面に有機層又は無機層が塗布される場合、この層は、それ自身が無機前駆体から得られるタイプAゾルを含むことができる。ある実施形態では、この層は、親水性にしてもよく、ストリップを金属の微粒子を分散させたシリケート溶液を含む液体に接触させることにより形成してもよい。
【0060】
砂目立てのない用途では、美観の点から、方向性の少ない仕上げの成品が有利であり、例えば、(リトグラフを使用する)印刷業者は、彼を悩ませる方向性のない表面を検査することができる。2種類の板がここでは重要になるだろう。Torayタイプは、2層の材料を使用しており、一方は親水性で、他方は疎水性である。レーザで上層を除去することにより、異なった印刷特性を得ることができる。
【0061】
ある実施形態では、各々の型押し模様形成操作又は型押パスの寸法及び/又は模様は、他の型押し模様形成操作又は型押パスと異なってもよい。例えば、はじめの型押し模様形成操作では、比較的大きく、約50ミクロン以下、好ましくは20ミクロン以下の孔を刻することができ、その後の操作では、より小さく、約3ミクロンまでの孔を押し付けできる。代わりに、大きい孔を小さい孔の後に押しつけることができ、又は、一連のロールを配置して、特に有利な寸法の孔を押し付けることができる。
【0062】
本発明の別の態様によれば、リトグラフシートを製造する装置であって、該装置は、
i)アルミニウムのストリップが隣接するロールの組の間を通過できるように配置された複数の第1のローラと、
ii)第1のローラに及び/又は第1のローラからストリップをガイドするための1つ以上のガイド手段と、を含み、
少なくともローラの一方は、その表面に、アルミニウムストリップに型押しするのに適合した微細な型押模様を有している。
【0063】
好ましくは、第1のロールは2つ以上存在している。それらは、互いに隣接して配置されているのが好ましく、例えば、実質的に直線配置にされる。ある実施形態によれば、第1のローラの全てが、その表面上に微細な型押模様を備えることができる。これは、ストリップの両面に模様を提供する。もしストリップの片面のみに模様を付けることが望まれるなら、別の実施形態を提供することができて、そこでは交互の第1のローラがその表面上に微細な型押模様を有している。
【0064】
ガイド手段は、1つ又はそれ以上の第2のローラの形態にされるのが好ましい。
【0065】
第1のローラは、サーマルキャンバが荷重下でのローラのいかなる撓みをも補償できるように、かつ第1のローラの配置の全ての温度を上下して、型押し模様形成の効率を調整できるように、制御状態で加熱してもよい。そのような加熱は、従来の圧延に適用されていたグランドキャンバに代えて又はこれに追加することができる。
【0066】
第1のローラの各々は、その表面上に同じ又は異なる型押模様を有することができる。
【0067】
単なる例示の目的で、本発明を、以下の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る装置の単スタンドの概略断面図である。
【図2】図1のスタンドの概略正面図である。
【図3】複スタンドの概略断面図である。
【図4】本発明に係る別の装置を、部分的に図解した概略図である。
【図5】本発明に従ったパスの回数に対する金属ストリップの表面のカバレージの領域を示すグラフである。
【図6A】様々な回数のパスの後の金属ストリップの表面を示している。
【図6B】様々な回数のパスの後の金属ストリップの表面を示している。
【図6C】様々な回数のパスの後の金属ストリップの表面を示している。
【図6D】様々な回数のパスの後の金属ストリップの表面を示している。
【図6E】様々な回数のパスの後の金属ストリップの表面を示している。
【図6F】様々な回数のパスの後の金属ストリップの表面を示している。
【図6G】様々な回数のパスの後の金属ストリップの表面を示している。
【図6H】様々な回数のパスの後の金属ストリップの表面を示している。
【図7】Pretex処理により処理したロール表面を示している。
【図8】10回パスの後の合金ストリップの表面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0069】
図1を参照すると、本発明の単一のスタンドは、通常は符号1で示されている。スタンド1は、梁材3に隣接して配置された油圧シリンダ2を含んでいる。横配列のリンク機構4が、シリンダ2の中に配置されており、スタンド1内のロールの横方向の位置合わせに役立つ。長手方向の支持は、支持体5によって提供される。
【0070】
実施形態で示されるように、2組のローラが存在している。これらは、硬質ポリウレタンで覆った支持ロール6を含んでおり、それは、型押ロール7が損傷するのを防止するために存在している。型押ロール7は、通常は、100〜150mm、例えば100mmの直径を有している。別の実施形態では、支持ロール6は、2つの(又はそれ以上の)類似のロールで置き換えることができて、それらのロールは、軸がずれているが、各々が型押ロール7と接触していて、該ロールに対する横方向の安定性を提供する。型押ロール7は、当業者に知られているどのような好ましい方法、例えば、放電処理(EDT)などによって作製することができる。
【0071】
図1は、部品2〜7で示したのと同一の配置をスタンドの下半分に図示しており、型押ロール7が互いに隣接するように配置されている。
【0072】
使用時には、金属シート8は、該シート8の表面に模様を転写するための2つの型押ロール7の間を通過する。油圧シリンダが機能して、厚さの減少がごくわずかになるようにシート8上への荷重を調節しており、通常の転動荷重は、約50N/mm(幅2メートルのストリップに荷重10トン)である。
【0073】
図2は、図1のスタンドの正面図を示している。必要に応じてより多数の、又はより少数の支持ロールを利用することができるが、ここでは、3つの支持ロール6が2組図示されており、各々が型押ロール7と接触している。
【0074】
図3は、6つのスタンド1を示しており、互いに隣合ってねじれ安定性を提供するために互いに固定されている。この方法では、スタンド1は、型押し模様形成の要求レベルを提供するために、縦並びになっている。使用時には、シート8は、連続してスタンドの型押ロール7を通過し、それにより模様形成表面は、個別に模様が付けられて、多重かつ部分的な模様によりシート8上に次第に蓄積される。この方法により、模様が蓄積されて、さもなければシート表面を永久に歪ませたであろう高いローリング圧力が回避できる。
【0075】
図4は、アルミニウムストリップを型押し模様形成する工程の一部に使うことができる別の装置の一部分を示している。この装置は、通常は符号9で示してある。装置9は、複数のワークロール10と、好ましくは柔らかいガイド用のアイドラロール11と、を含んでいる。図示した実施形態では、ワークロールは、鋼から作られ、積重ねて配置することにより、それらは制御された力で互いに締め付けあっている。ワークロール10は、要求に合わせて型押模様が成形されており、装置の使用時に、アルミニウムストリップ12に型押し模様を形成する。ワークロール10は、同じ模様である必要はない。
【0076】
使用時に、アルミニウムストリップ12は、下側の端部から装置9に供給される。ワークロール10は、機械的に、又は電気的に接続した駆動装置を用いて駆動される。ストリップ12が装置9を通って進行すると、ストリップは、図のように、アイドラロール11によってガイドされてワークロール10の間を通過する。アイドラロール11の直径は、ストリップ12の伸びを防止するように選ぶが、もしストリップの一層のレベリングが望ましいならば、ストリップを意図的に引張るように選ぶ。ワークロール10は、制御手段によって加熱される。
【0077】
ストリップ12がワークロール10の間を通過するときに、ストリップは、型押し模様形成されて、一連の型押パスがなされ、そのパスの各々では、ストリップ12の材料の厚さの減少(又は伸長)がごくわずかであるか又はまったくない。図示した実施形態では、模様表面は、ストリップ12の両側に付けられる。もし、片面のみに模様を形成したいならば、ワークロール10は、それらが交互に積重ねた2つの種類になるように配置を替えることができる。例えば、1番目が型押された鋼のロールで、2番目が柔らかくて滑らかな(例えばポリウレタンの)被覆ロールで、3番目が別の鋼のロールである等である。この方法では、鋼のロールがストリップ12の他方の表面を型押し模様形成するが、柔らかくて滑らかなポリウレタン被覆のロールは、ストリップの一方の表面を変えることがない。これは、特に、圧延状態のストリップ表面の方向性が不利で通常は片面にだけには均一な表面が要求されるリトグラフ用の製品に有用である。
【0078】
異なる型押模様のワークロール10を交互に積重ねることにより、ストリップ12の両面上に異なる模様を形成することができる。
【0079】
装置は、小型であり、各パスにおいて制御された型押し模様形成を与える。
【0080】
もし望むなら、型押し模様形成されたストリップ12は、続いて、付加的な砂目立て、又は例えば電解砂目立てのような削減的な砂目立てによって砂目立てしてもよい。
【0081】
さらに、図4には、好ましくは型押模様が成形された任意のバックアップロール13が図示されている。これらは、ロールの積重ねを強化して、型押し模様形成の荷重下での積重ねのずれを減少させるだろう。バックアップロール13は、ワークロール10に直接に接触しておらず、それにより型押模様が成形されたワーキング表面の磨耗を回避する。それらの大きな直径は、温度差による寸法効果が大きいので、もし必要ならば、バックアップロール13に温度制御を適用することができる。
【実施例1】
【0082】
以下の型押処理は、AA6016合金に行われ、該合金は、加熱処理されたアルミニウム−マグネシウム−ケイ素合金である。
【0083】
【表1】
【0084】
測定された伸びは、測定誤差よりも小さく、それなので、本質的にはゼロである。表1において、伸び率の%は、金属の厚さの圧下率の測定単位として利用された。単位幅当りの転動力は、50N/mmであった。この結果を、模様付け圧力が25N/mmの結果と共に図5に示した。
【実施例2】
【0085】
図6A〜Hは、本発明によって、模様が、ミルを通過する7回のパスを通してどのように蓄積するかを示している。材料は、H19条件のAA6016と、模様を形成するのに用いた力は、再び、上述のようにごくわずかな厚さの減少を生じる程度に十分に小さい50N/mm幅であった。5回〜6回の転動の後は、表面の模様が良好な程度の等方性であることが理解される。型押ロールでは、表面のカバレージの程度が高く、表面の特徴的なピーク数が高く、スキューの値が高い(以下のスキューの定義を見よ)。
【0086】
以下の表2は、以下に規定したパラメータを用いたパスの後の表面特性の測定値を示す。
【0087】
基準の中間線=この中間線は、頂部と谷部との中間を走る直線であり、線の上側と下側とに等しい領域を囲むようにプロファイルを分割する。基準の中間面は、3次元の基準面があり、地形学的(トポグラフィック)な偏差が測定される。
【0088】
Ra=全ての3D表面にわたる算術的な平均粗さ高さである。中間線又は表面から測定された。
Rq=全ての3D表面にわたるRMS平均粗さ高さである(RMSと同じ)。
Rz=全ての3D表面の最も高い頂部の平均と最も低い谷部の平均との差である。
Rt=全ての3D表面の最も高い頂部と最も低い谷部との間の垂直方向の距離である(P−Vと同じ)。
【0089】
Rsk=中間線のスキューネス(中間線の周りの非対称性の測定)である。スキューネスは、中間線まわりのプロファイルの非対称性を計るものである。平均3乗粗さに似ている。中間面から離れた点は、中間面レベルに近接した点よりも、比例してより重みを有する。
【0090】
Rku=3D表面のクルトシスである。クルトシスは、中間線まわりのプロファイルの尖度を計るものである。これは、表面の「とがり具合」の情報、すなわち振幅密度関数(ADF)の鋭さを提供し、ADFとは、必ずしも個別のピークの鋭さを意味しない。プロファイルの高さが、高さの狭い範囲の中で高い造作で減少するとき、クルトシス値は、高くなる。クルトシスは、プロファイルの高さの不揃いさを計るものでもある。完全なガウス分布又は不揃いな表面は、クルシトルが3を有し、不揃いさの少ない(又はより反復性の)表面では、その値が3から離れる。ガウス分布表面よりも最高点及び最低点が少ないプロファイルは、3より小さいクルトシス値を有する。かなり多くの最高点および最低点のプロファイルは、3より大きいクルトシス値を有する。
【0091】
表面領域の指標=試料の(2D)横方向表面の領域と(3D)表面領域との比較である。
容積=表面とその表面の基準平面と平行な平面との間の空間によって占められた容積を見積もる。
【0092】
【表2】
【実施例3】
【0093】
直径157mmのEDTの粗い鋼のワークロールを備えた単スタンドの冷間圧延機上で、圧延が行われ、表面粗さは、Ra=2.5ミクロンでRskはゼロであった。ミルの隙間は、パス毎の延伸が非常に小さくなるように設定された。AA1050A合金でH19条件の厚さ0.27mmで幅75mmのストリップを、繰り返しミルを通過させた。適当な回数のパスの後に得られた試料は、Wykoの機器のNT2000の中で光学干渉分光法によって、注目すべき表面性状が測定された。
【0094】
測定は、垂直走査の光学干渉分光モード(VSI)で行われた。対物レンズは、倍率が10.2倍で視野が0.5倍で、測定範囲が1.2mm×0.92mmになるものを用いた。
【0095】
残ったパーセンテージのミル仕上げは、ヒストグラムデータを用いて計算された。表面上の孔から生じたヒストグラム中の点が露出され、残った点が、ミル仕上げによるものであるが、イメージ中に存在するデータポイントの総数のパーセンテージとして計算された。
【0096】
伸びは、試料上に引かれた平行線を、協働する測定器に取り付けられたカメラヘッドを用いて再測定することにより計算された。
【0097】
表3には、圧延状態で試験された材料上で得られた結果を記載している。
【0098】
【表3】
【0099】
各々の型押試料の一部分を清浄し、硝酸の電解液内で、商業製品に用いられる条件を模倣した条件下で、電解砂目立てした。試料は、60℃に保持した3%の硫酸溶液内で8秒間洗浄された。水で洗った後、試料は、商業的製品の仕上げと同様に設定されたミクロセルシステムに載置された。試料は、35℃の1%wt/wtの塩酸溶液内で15〜30秒間電解砂目立てされた。30秒が、標準のH18処理のAA1050Aのリトグラフシートを完全に砂目立てするのにかかる通常の時間である。配置は、ツインセル設計で、試料は、液体接触モード内で砂目立てされた。グラファイトの対極が使用され、アルミニウム試料とグラファイト電極との間隔は15mmにされた。19Vの電圧が使用され、平均電流値が3.1kA/m2であり、電荷密度93kC/m2を与える。短時間の実験では、これらの値は、各々3.5kA/m2と電荷密度52kC/m2であり、これらは、平均してわずかに高い。
【0100】
【表4】
【0101】
【表5】
【0102】
表5の結果の説明は、標準的な30秒の試料と、10回パス+15秒の砂目立てした試料(実施4)と、を比べると、Rz、表面領域および容積は全く同じであり、Raがそれほど変わらず、スキューのみが全く違っていた。この試料は、少なくとも許容できると認定される。
【実施例4】
【0103】
別の実験は、ロール表面を電気クロムメッキにより調整した別タイプの型押ロール表面で行われた。これは、金属圧下して鋼のシートに型押し模様形成することを利用した既存の商業製品に利用可能な表面型押模様処理である。電気クロムメッキ処理は、ロール表面に多数の突起(positive)した粒状物を残し、もしそれらがロール表面から全て同じ高さにあるならば、粒状物は、弾性的または縦並びの型押処理にとって理想的である。これは、表面の高い造作を利用してシート表面に陥没(negative)形状を刻み込むからである。図7は、電気クロムメッキ処理を施したロール表面を図示している。
【0104】
これの表面パラメータは、以下のとおりである(図7の影部は、高さの輪郭であり、突起形状の高さの一致は、それらが同じ影部を有するという事実によって示されている)。
Ra=1.69ミクロン
Rq=1.98
Rz=17.49
Rt=24.55
【0105】
厚さが1mmでH9テンパーの6160合金のストリップは、これらのロールを通って処理された。50N/mmに注意深く調節された力を用いて、10回パスの後にストリップは、図8のようになった。
【0106】
この表面のパラメータは以下のようになった。
【0107】
【表6】
【実施例5】
【0108】
仕上げ圧延された厚み0.28mmのリトグラフシートの試料は、先の実施例と同様に転動されPretex仕上げされた。使用した荷重は、17N/mmであった。10回のいかなるパスによっても、測定可能な伸びは生じなかった。
【0109】
表面上に保水できることがリトグラフシートに重要であり、そのキーになるパラメータは、表面上の閉鎖した空隙の総容量である。これは、Wykoの光学干渉分光のデータから得られる値である。データ面は、表面を通って段々に上昇されて、空隙の容積(又はオフセット・ブランケット・ロールによって所定の位置に補足された実際の貯水の溶液内)が計算される。この方法は、Pfestorf, M、Engel, U、及びGeiger, MによってBlech Rohre Profile, P 689-693, 43(1993)12に記載されている。この技術を使用することにより、いくつかの通常の商業的材料と、縦並び型押し模様形成処理により生じた試料とにおいて以下のことが見出された。
【0110】
【表7】
【0111】
適切なロール表面仕上げを選ぶことによって、適当なオーダーで閉じた空隙容積が、砂目立てを伴って又は伴わずに達成される。さらに、縦並びにと砂目立ての減少(15秒は、30秒で完全に砂目立てする場合に使う電荷の約半分に相当する)とでは、適切な仕上げ製品が達成され、成品は、適当な仕上げにイメージ領域の有機薄膜のリトグラフ印刷に必要な良好な付着性を有するようになった。
【符号の説明】
【0112】
1 スタンド
2 油圧シリンダ
3 梁材
4 リンク機構
5 支持体
6 支持ロール
7 型押ロール
8 金属シート
9 装置
10 ワークロール
11 アイドラロール
12 ストリップ
13 バックアップロール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属のシート又はストリップに型押し模様を形成する方法であって、該方法は、各型押パスがシート又はストリップを少なくとも1組のローラに通過させて行なわれる複数の連続した型押パスを含んでおり、
各組のローラの少なくとも一方は、その表面に型押模様を有しており、
該型押模様は、各型押パス中にシート又はストリップに転写されて、
各型押パスによって得られたシート又はストリップの模様表面は、1つ又はそれ以上の他の型押パスによる模様表面と重なり合って仕上げの模様を形成する型押方法。
【請求項2】
前記シート又はストリップが、複数組のローラを通過する請求項1に記載の型押方法。
【請求項3】
ローラが縦並びに配置されている請求項2に記載の型押方法。
【請求項4】
各型押パス中に、シート又はストリップの厚さが実質的に減少していない請求項1ないし3のいずれか1項に記載の型押方法。
【請求項5】
各型押パス中にかけられる荷重が、無視できない厚さの減少を起こす荷重の20%〜95%である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の型押方法。
【請求項6】
各型押パス中にかけられる荷重が、無視できない厚さの減少を起こす荷重の50%〜80%である請求項5に記載の型押方法。
【請求項7】
各型押パス中のシート又はストリップの表面のカバレージの平均が、35%未満である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の型押方法。
【請求項8】
表面のカバレージの平均が5%〜25%である請求項7に記載の型押方法。
【請求項9】
3回又はそれ以上の型押パスを含んでいる請求項1ないし8のいずれか1項に記載の型押方法。
【請求項10】
5〜7回の型押パスを含む請求項9に記載の型押方法。
【請求項11】
各型押パスは、シート又はストリップの上に異なる模様を形成する請求項1ないし10のいずれか1項に記載の型押方法。
【請求項12】
型押し模様形成の直後に、さらに溶体化加熱処理を含む請求項1ないし11のいずれか1項に記載の型押方法。
【請求項13】
型押し模様形成工程の前および/又は後に、さらにシート又はストリップを砂目立てする工程を含む請求項1ないし12のいずれか1項に記載の型押方法。
【請求項14】
アルミニウムストリップからリトグラフシートを製造する方法であって、該方法は、
iii)ストリップを型押し模様形成してその表面に微細な型押模様を形成する工程と、
iv)ストップの表面を砂目立てする工程と、を含み、
砂目立て工程が、型押し模様形成工程の前および/又は後に行なわれるリトグラフシートの製造方法。
【請求項15】
砂目立て工程が、型押し模様形成工程の後に行われる請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
砂目立て工程が、表面に有機又は無機の層を塗布することを含む請求項13ないし15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
上記層は、それ自身が無機前駆体から得られたタイプAゾルを含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
上記層は、親水性である請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
親水性の層が、ストリップを金属の微粒子を分散させたシリケート溶液を含む液体に接触させることにより形成される請求項18に記載の方法。
【請求項20】
砂目立てが、商業的な1回圧延のアルミニウムシートに行なわれる砂目立ての1%〜80%である請求項13ないし19に記載の方法。
【請求項21】
砂目立ては、硝酸又は塩酸系の電解液中での電解砂目立てによって行われる請求項13ないし20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
型押し中に、ストリップの全長が0〜0.5%の間で増加する請求項1ないし21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
型押し中に、ストリップの全長が増加しない請求項22に記載の方法。
【請求項24】
請求項1ないし23のいずれか1項に記載の方法を含んでいる自動車用の金属シートの形成方法。
【請求項25】
請求項1ないし24のいずれか1項に記載の方法によって形成された自動車用の金属シート又はストリップ。
【請求項26】
請求項13ないし22のいずれか1項に記載の方法によって形成されたリトグラフ用のシート又はストリップ。
【請求項27】
金属シート又はストリップの型押用の装置であって、該装置が、
(a)各組のローラの少なくとも一方がその表面に型押模様を有している少なくとも1組のローラと、
(b)複数の連続した型押パスを提供する手段と、を含んでおり、
その使用時に、型押模様が各組のローラを通過するシート又はストリップの表面に転写されて、各型押パスによって得られたシート又はストリップの型押模様が1つ又はそれ以上の他の型押パスによる模様表面と重ね合わせて仕上げの模様を形成する装置。
【請求項28】
複数組のローラを含んでいる請求項27に記載の装置。
【請求項29】
ローラが縦並びに配置されている請求項28に記載の装置。
【請求項30】
さらにローラに圧力をかける手段を含んでおり、かけられる圧力は、各型押パス中にシート又はストリップの厚さが実質的に減少されない圧力にされる請求項27ないし29のいずれか1項に記載の装置。
【請求項31】
使用時に、各型押パス中のシート又はストリップの表面のカバレージの平均の35%未満を提供できる請求項27ないし30のいずれか1項に記載の装置。
【請求項32】
リトグラフシートを製造する装置であって、該装置は、
v)アルミニウムのストリップが隣接するロールの組の間を通過するように配置された複数の第1のローラと、
vi)第1のローラに及び/又はローラから、ストリップをガイドするための1つ又はそれ以上のガイド手段と、を含み、
少なくともローラの一方は、その表面に、使用に当たってアルミニウムストリップに型押しするのに適合した微細な型押模様を有している装置。
【請求項33】
リトグラフシートを製造する方法であって、該方法は、アルミニウムシート又はストリップに型押し模様形成して、複数回の型押し模様形成操作によりその表面に微細な模様を提供することを含む方法。
【請求項34】
リトグラフ板を製造する方法であって、アルミニウムシート又はストリップに型押し模様形成して、複数回の型押し模様形成操作によりその表面に微細な模様を提供することを含み、任意で削減的な砂目立てと陽極酸化、又は任意で付加的な砂目立てを、任意で表面自由エネルギー調整剤での処理をして、感光層を被覆することを含むリトグラフ板の製造方法。
【請求項1】
金属のシート又はストリップに型押し模様を形成する方法であって、該方法は、各型押パスがシート又はストリップを少なくとも1組のローラに通過させて行なわれる複数の連続した型押パスを含んでおり、
各組のローラの少なくとも一方は、その表面に型押模様を有しており、
該型押模様は、各型押パス中にシート又はストリップに転写されて、
各型押パスによって得られたシート又はストリップの模様表面は、1つ又はそれ以上の他の型押パスによる模様表面と重なり合って仕上げの模様を形成する型押方法。
【請求項2】
前記シート又はストリップが、複数組のローラを通過する請求項1に記載の型押方法。
【請求項3】
ローラが縦並びに配置されている請求項2に記載の型押方法。
【請求項4】
各型押パス中に、シート又はストリップの厚さが実質的に減少していない請求項1ないし3のいずれか1項に記載の型押方法。
【請求項5】
各型押パス中にかけられる荷重が、無視できない厚さの減少を起こす荷重の20%〜95%である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の型押方法。
【請求項6】
各型押パス中にかけられる荷重が、無視できない厚さの減少を起こす荷重の50%〜80%である請求項5に記載の型押方法。
【請求項7】
各型押パス中のシート又はストリップの表面のカバレージの平均が、35%未満である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の型押方法。
【請求項8】
表面のカバレージの平均が5%〜25%である請求項7に記載の型押方法。
【請求項9】
3回又はそれ以上の型押パスを含んでいる請求項1ないし8のいずれか1項に記載の型押方法。
【請求項10】
5〜7回の型押パスを含む請求項9に記載の型押方法。
【請求項11】
各型押パスは、シート又はストリップの上に異なる模様を形成する請求項1ないし10のいずれか1項に記載の型押方法。
【請求項12】
型押し模様形成の直後に、さらに溶体化加熱処理を含む請求項1ないし11のいずれか1項に記載の型押方法。
【請求項13】
型押し模様形成工程の前および/又は後に、さらにシート又はストリップを砂目立てする工程を含む請求項1ないし12のいずれか1項に記載の型押方法。
【請求項14】
アルミニウムストリップからリトグラフシートを製造する方法であって、該方法は、
iii)ストリップを型押し模様形成してその表面に微細な型押模様を形成する工程と、
iv)ストップの表面を砂目立てする工程と、を含み、
砂目立て工程が、型押し模様形成工程の前および/又は後に行なわれるリトグラフシートの製造方法。
【請求項15】
砂目立て工程が、型押し模様形成工程の後に行われる請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
砂目立て工程が、表面に有機又は無機の層を塗布することを含む請求項13ないし15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
上記層は、それ自身が無機前駆体から得られたタイプAゾルを含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
上記層は、親水性である請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
親水性の層が、ストリップを金属の微粒子を分散させたシリケート溶液を含む液体に接触させることにより形成される請求項18に記載の方法。
【請求項20】
砂目立てが、商業的な1回圧延のアルミニウムシートに行なわれる砂目立ての1%〜80%である請求項13ないし19に記載の方法。
【請求項21】
砂目立ては、硝酸又は塩酸系の電解液中での電解砂目立てによって行われる請求項13ないし20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
型押し中に、ストリップの全長が0〜0.5%の間で増加する請求項1ないし21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
型押し中に、ストリップの全長が増加しない請求項22に記載の方法。
【請求項24】
請求項1ないし23のいずれか1項に記載の方法を含んでいる自動車用の金属シートの形成方法。
【請求項25】
請求項1ないし24のいずれか1項に記載の方法によって形成された自動車用の金属シート又はストリップ。
【請求項26】
請求項13ないし22のいずれか1項に記載の方法によって形成されたリトグラフ用のシート又はストリップ。
【請求項27】
金属シート又はストリップの型押用の装置であって、該装置が、
(a)各組のローラの少なくとも一方がその表面に型押模様を有している少なくとも1組のローラと、
(b)複数の連続した型押パスを提供する手段と、を含んでおり、
その使用時に、型押模様が各組のローラを通過するシート又はストリップの表面に転写されて、各型押パスによって得られたシート又はストリップの型押模様が1つ又はそれ以上の他の型押パスによる模様表面と重ね合わせて仕上げの模様を形成する装置。
【請求項28】
複数組のローラを含んでいる請求項27に記載の装置。
【請求項29】
ローラが縦並びに配置されている請求項28に記載の装置。
【請求項30】
さらにローラに圧力をかける手段を含んでおり、かけられる圧力は、各型押パス中にシート又はストリップの厚さが実質的に減少されない圧力にされる請求項27ないし29のいずれか1項に記載の装置。
【請求項31】
使用時に、各型押パス中のシート又はストリップの表面のカバレージの平均の35%未満を提供できる請求項27ないし30のいずれか1項に記載の装置。
【請求項32】
リトグラフシートを製造する装置であって、該装置は、
v)アルミニウムのストリップが隣接するロールの組の間を通過するように配置された複数の第1のローラと、
vi)第1のローラに及び/又はローラから、ストリップをガイドするための1つ又はそれ以上のガイド手段と、を含み、
少なくともローラの一方は、その表面に、使用に当たってアルミニウムストリップに型押しするのに適合した微細な型押模様を有している装置。
【請求項33】
リトグラフシートを製造する方法であって、該方法は、アルミニウムシート又はストリップに型押し模様形成して、複数回の型押し模様形成操作によりその表面に微細な模様を提供することを含む方法。
【請求項34】
リトグラフ板を製造する方法であって、アルミニウムシート又はストリップに型押し模様形成して、複数回の型押し模様形成操作によりその表面に微細な模様を提供することを含み、任意で削減的な砂目立てと陽極酸化、又は任意で付加的な砂目立てを、任意で表面自由エネルギー調整剤での処理をして、感光層を被覆することを含むリトグラフ板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図6G】
【図6H】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
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【図6H】
【図7】
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【公開番号】特開2011−255679(P2011−255679A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−183692(P2011−183692)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【分割の表示】特願2002−571242(P2002−571242)の分割
【原出願日】平成14年3月12日(2002.3.12)
【出願人】(506110243)ノベリス・インコーポレイテッド (40)
【氏名又は名称原語表記】NOVELIS INC.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183692(P2011−183692)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【分割の表示】特願2002−571242(P2002−571242)の分割
【原出願日】平成14年3月12日(2002.3.12)
【出願人】(506110243)ノベリス・インコーポレイテッド (40)
【氏名又は名称原語表記】NOVELIS INC.
【Fターム(参考)】
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