説明

金属パネルの改修方法

【課題】金属光沢が劣化した金属製外壁パネル等の金属パネルの金属面の金属光沢を再生でき、かつ、金属光沢を再生させた金属面を保護できるようにした金属パネルの改修方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る金属パネルの改修方法は、劣化した金属パネルの金属面を洗浄する洗浄工程S1と、劣化した金属パネルの金属面の劣化部分や金属面に付着している付着物を除去する研磨工程S2と、研磨工程後の金属面を太陽光から遮光した状態で当該金属面に紫外線硬化型樹脂塗料を塗布する紫外線硬化型樹脂塗料塗布工程S3と、金属面に塗布された紫外線硬化型樹脂塗料を太陽光から遮光した状態で当該紫外線硬化型樹脂塗料に紫外線を照射して当該紫外線硬化型樹脂塗料を硬化させる紫外線硬化型樹脂塗料硬化工程S4と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属パネルの金属面を改修する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の外壁面が劣化した場合に劣化した外壁面に塗装を施して補修することが知られている(例えば特許文献1;2等参照)。
しかしながら、金属表面の光沢による美しさを特徴とするアルミパネル、ステンレスパネル等の金属製外壁パネル(例えば特許文献3等参照)を用いて形成された外壁面の金属光沢が経年劣化等により失われた場合においては、金属光沢が失われた外壁面に、アクリル塗料、ウレタン塗料、シリコン塗料等の塗料を用いて塗装を施してしまうと、金属表面の光沢による美しさを生かした金属製の外壁パネルを用いた意味がなくなってしまう。
従って、金属製外壁パネルの表面の金属光沢が劣化した場合においては、劣化した金属製外壁パネルを新しい金属製外壁パネルと交換するようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−54282号公報
【特許文献2】特開2005−350892号公報
【特許文献3】特開平8−82067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、劣化した金属製外壁パネルを新しい金属製の外壁パネルに交換する際の費用は高く、施工時間も多くかかるという課題があった。
本発明は、金属光沢が劣化した金属製外壁パネル等の金属パネルの金属面の金属光沢を再生でき、かつ、金属光沢を再生させた金属面を保護できるようにした金属パネルの改修方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る金属パネルの改修方法は、劣化した金属パネルの金属面を洗浄する洗浄工程と、劣化した金属パネルの金属面の劣化部分や金属面に付着している付着物を除去する研磨工程と、研磨工程後の金属面を太陽光から遮光した状態で当該金属面に紫外線硬化型樹脂塗料を塗布する紫外線硬化型樹脂塗料塗布工程と、金属面に塗布された紫外線硬化型樹脂塗料を太陽光から遮光した状態で当該紫外線硬化型樹脂塗料に紫外線を照射して当該紫外線硬化型樹脂塗料を硬化させる紫外線硬化型樹脂塗料硬化工程と、を含むので、劣化した金属パネルの金属面が洗浄工程及び研磨工程を経て金属光沢を有した金属面に再生され、かつ、金属光沢の戻った金属パネルの金属面が硬化した紫外線硬化型樹脂によって覆われるので、紫外線硬化型樹脂によって金属パネルの金属面が保護され、金属面の金属光沢を維持できるとともに金属面の劣化を防止できる。
金属パネルは、金属面が建物の外壁面を形成する金属製外壁パネルであるので、外壁面の金属光沢を再生できて、かつ、金属光沢を維持できるとともに、外壁面の劣化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】金属製外壁パネルの改修方法の工程順序を示す図。
【図2】外壁面が金属製外壁パネルの金属面により形成された建物を示す図。
【図3】金属製外壁パネルの改修方法の工程を示す工程図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図2に示すように、金属パネルの一例としての、アルミ製外壁パネル、ステンレス製外壁パネル等の金属製外壁パネル1は、例えば、鉄骨造(S造)の建物2の外壁取付下地3(図3参照)に取付けられて建物2の外壁面4を構成する。
金属製外壁パネル1は、例えば、厚さaが数cm程度、外壁面4を形成する金属面の一辺の長さが1.0m〜1.5m程度の四角形の金属板部5(図3参照)と、金属板部5を外壁取付下地3に取付けるための取付部6(図3参照)とを備えた構成である。取付部6は、例えば、外壁取付下地3に係合する係合部を備え、図外の固定具によって外壁取付下地3に固定される。外壁面4を形成する金属面は金属光沢を有した面に形成されている。
一般的に建物2の外壁面4を形成している金属製外壁パネル1の金属面の光沢は時間が経つにつれて劣化して失われていく。
実施形態による金属製外壁パネルの改修方法を実施することで、建物2の外壁面4を形成している金属製外壁パネル1の劣化した金属面を再生でき、かつ、再生した金属面を保護できる。
【0008】
実施形態による金属製外壁パネル1の改修方法は、図1に示すように、洗浄工程S1と、研磨工程S2と、紫外線硬化型樹脂塗料塗布工程S3と、紫外線硬化型樹脂塗料硬化工程S4と、を含む。
洗浄工程S1では、建物2の外壁面4を形成している金属光沢が失われた改修対象の金属製外壁パネル1の金属面に洗浄用液体を塗布した後、布やスポンジ等の図外の拭材を用いて金属面を洗浄する。
洗浄工程S1の洗浄後においては、例えば、図3(a)に示すように、外壁面4を形成している金属製外壁パネル1の金属面12Aに、酸化部分や点食部分等の劣化部分10や上記洗浄で除去されなかった付着物11が残る。
研磨工程S2では、洗浄後の改修対象の金属製外壁パネル1の金属面12Aを研磨剤を用いて研磨することによって、外壁面4を形成している金属製外壁パネル1の金属面12Aの酸化部分や点食部分等の劣化部分10や上記洗浄で除去されなかった付着物11等を除去して、金属面12Aを金属光沢を有した金属面12に形成する。即ち、金属光沢が失われた金属製外壁パネル1の劣化した金属面12Aを研磨して金属光沢を有した金属面12に再生させる(図3(b)参照)。
このように、金属光沢が失われた金属製外壁パネル1の劣化した金属面12Aが、洗浄工程S1及び研磨工程S2を経て、金属光沢を有した金属面12に再生される。
紫外線硬化型樹脂塗料塗布工程S3では、図3(c)に示すように、遮光手段13を用いて研磨作業後の金属光沢を有した金属外壁パネル1の金属面12に太陽光14が当たらないようにした状態で、金属面12に紫外線硬化型樹脂塗料15を塗布する。紫外線硬化型樹脂塗料塗布工程S3では、金属面12の金属質感を損なわないようにするために、金属面12に紫外線硬化型樹脂塗料15を1μm〜2μm程度の厚さに塗布する。つまり、通常、紫外線硬化型樹脂塗料は15μm〜20μm程度の厚さに塗布されるが、本発明では、金属面12の金属質感を損なわないようにするために、紫外線硬化型樹脂塗料15を、通常の塗布厚さの1/10程度の厚さで金属面12に薄く塗るようにしている。このように、金属面12に均一な薄い厚さの紫外線硬化型樹脂塗料15の塗膜を形成するためには、例えば、図3(c)に示すような、マイクロファイバー繊維21に染み込ませた紫外線硬化型樹脂塗料15を金属面12に塗布できるような塗装具20を用いて塗布作業を行えばよい。
紫外線硬化型樹脂塗料硬化工程S4では、図3(d)に示すように、金属面12に塗布された紫外線硬化型樹脂塗料15に太陽光14が当たらないように遮光手段13を用いて遮光した状態において、金属面12に塗布された紫外線硬化型樹脂塗料15に紫外線照射機16で紫外線17を照射して当該紫外線硬化型樹脂塗料15を硬化させる。
紫外線硬化型樹脂塗料塗布工程S3及び紫外線硬化型樹脂塗料硬化工程S4においては、遮光手段13を用いて金属外壁パネル1の金属面12に太陽光14が当たらないようにした状況下で、紫外線硬化型樹脂塗料15を塗布する作業、紫外線硬化型樹脂塗料15を硬化させる作業を行うようにしたので、硬化した紫外線硬化型樹脂塗料15の表面18の仕上がりに硬化ムラができてしまうようなことを防止でき、品質の良い外壁面4を形成できる。
最後に、金属外壁パネル1の金属面12に塗布されて硬化した紫外線硬化型樹脂塗料15の表面18を洗浄する。
以上説明した金属製外壁パネル1の改修方法により、劣化した金属製外壁パネル1の金属面12Aの金属光沢が再生され、かつ、金属光沢の戻った金属製外壁パネル1の金属面12が硬化した紫外線硬化型樹脂塗料15によって覆われるので、金属製外壁パネル1の金属面12が保護され、金属面12の金属光沢を維持できるとともに金属面12の劣化を防止できる外壁面4を形成できる。
尚、洗浄工程S1、研磨工程S2、紫外線硬化型樹脂塗料塗布工程S3、紫外線硬化型樹脂塗料硬化工程S4の一連の工程は、複数枚の金属製外壁パネル1に対してまとめて行うようにすれば効率的に作業を行える。
【0009】
洗浄用液体としては、例えば、中性洗剤や水等を用いればよい。
研磨剤としては、例えば、粉末剤等を用いればよい。具体的には、粒径13μm程度、粘度2000〜3000mPa・S(25℃)程度のシリカ(珪石)を主成分とするシリカ系研磨剤を用いればよい。尚、劣化した金属面12Aの状態、例えば、金属面12Aの汚れや凹凸を激しい場合には、炭素ケイ素系研磨剤(5μm〜10μm)を上記シリカ系研磨剤に添加したものを研磨剤として使用することが好ましい。例えば、シリカ系研磨剤に対して炭素ケイ素系研磨剤(5μm〜10μm)をシリカ系研磨剤の総量の3%〜10%程度添加したものを使用すればよい。
遮光手段としては、例えば、遮光シート等を用いればよい。
紫外線照射機16としては、例えば、金属製外壁パネル1がアルミ製外壁パネルである場合において、照度250mmw/cmを出力可能な紫外線照射機を用いて紫外線硬化型樹脂塗料15に1〜2秒照射した。
【0010】
紫外線硬化型樹脂塗料15としては、フローリング床等の木材の表面に塗布する紫外線硬化型樹脂塗料と比べて、金属面12に対する付着性の良いものを用いることが好ましい。
【0011】
実施形態によれば、洗浄工程S1及び研磨工程S2を実施するので、劣化した金属製外壁パネル1の金属面12Aを本来の意匠・質感を持つ金属光沢を有した金属面12に再生(復元)できる。
また、紫外線硬化型樹脂塗料塗布工程S3及び紫外線硬化型樹脂塗料硬化工程S4を実施するので、金属光沢の戻った金属製外壁パネル1の金属面12が硬化した紫外線硬化型樹脂塗料15で覆われるので、紫外線硬化型樹脂塗料15により金属製外壁パネルの金属面12が保護され、金属面12の金属光沢を維持できるとともに金属面12の劣化を防止できる外壁面4を形成できる。
また、紫外線硬化型樹脂塗料塗布工程S3では、金属面12に紫外線硬化型樹脂塗料15を1μm〜2μm程度の厚さに塗布したので、金属面12の金属質感を損なわないようにでき、金属面12を新品に近い状態に再生できるようになる。
また、紫外線硬化型樹脂塗料15として金属面12に対して付着性のよいものを用い、かつ、紫外線硬化型樹脂塗料15が硬化した硬化膜は鉛筆の芯の硬度5Hと同等の硬度を持つので、金属光沢を有した耐候性、耐久性に優れた外壁面4を形成できる。
また、紫外線硬化型樹脂塗料15の硬化時間は数秒程度であるので、工期短縮を図れる。
また、遮光手段13を用いて金属外壁パネル1の金属面12に太陽光が当たらないようにした状態で、紫外線硬化型樹脂塗料塗布工程S3及び紫外線硬化型樹脂塗料硬化工程S4を実施するので、硬化した紫外線硬化型樹脂塗料15の表面18の硬化ムラをなくすことができ、きれいな仕上がりの外壁面4を形成できる。
【0012】
尚、本発明の改修方法は、腰壁、内壁、吹き抜け部分の内壁、床等の仕上げパネルとして使用された金属パネルを改修する場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0013】
1 金属外壁パネル(金属パネル)、2 建物、4 外壁面、10 劣化部分、
11 付着物、12 金属面、13 遮光手段、14 太陽光、
15 紫外線硬化型樹脂塗料、16 紫外線照射機、17 紫外線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
劣化した金属パネルの金属面を洗浄する洗浄工程と、
劣化した金属パネルの金属面の劣化部分や金属面に付着している付着物を除去する研磨工程と、
研磨工程後の金属面を太陽光から遮光した状態で当該金属面に紫外線硬化型樹脂塗料を塗布する紫外線硬化型樹脂塗料塗布工程と、
金属面に塗布された紫外線硬化型樹脂塗料を太陽光から遮光した状態で当該紫外線硬化型樹脂塗料に紫外線を照射して当該紫外線硬化型樹脂塗料を硬化させる紫外線硬化型樹脂塗料硬化工程と、
を含むことを特徴とする金属パネルの改修方法。
【請求項2】
金属パネルは、金属面が建物の外壁面を形成する金属製外壁パネルであることを特徴とする請求項1に記載の金属パネルの改修方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−241319(P2012−241319A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109063(P2011−109063)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(509136563)株式会社アシレ (4)
【Fターム(参考)】