説明

金属ボールの製造方法、金属ボールの製造装置及びメッキ用アノード銅ボール

【課題】素材を加熱することなく金属ボールを効率良く成形することができる金属ボールの製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも一組の成形ロール30、30を用いて冷間転造することにより、長尺状の素材Sからボール材を成形する金属ボールの製造方法であって、素材Sが軸線Lに沿って延びるように配置され、一組の成形ロール30、30は、それぞれの回転軸Mを中心として自転するとともに、軸線Lを中心として素材Sの外周面に沿って公転することにより、素材Sからボール材を成形することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一組の成形ロールによって転造することにより長尺状の素材からボール材を成形する金属ボールの製造方法及び金属ボールの製造装置に関し、特に、銅の電解メッキにおいて銅原料として使用されるメッキ用アノード銅ボールを製造するのに最適な金属ボールの製造方法、金属ボールの製造装置、及び、この製造方法により製造されたメッキ用アノード銅ボールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント配線基板に銅メッキを施す際に用いられるメッキ用アノード銅ボールなどの金属ボールは、例えば特許文献1に開示されているように熱間転造によって製造されている。
この熱間転造においては、長尺の素材を一定長さに切断して加熱し、この加熱した短尺素材を素材の軸線回りに回転させながら一組の成形ロールの間に供給し、成形ロールの外周面に形成された成形溝に沿ってボール材を成形するものである。この方法では、真球度の高い金属ボールを成形することができる。
【0003】
一方、例えば特許文献2に開示されているように、金属ボールを冷間鍛造によって製造する方法も提供されている。
この冷間鍛造においては、長尺の素材をボール1個分毎に分割して、半球状のキャビティを有するダイとパンチによって鍛造し、ダイとパンチとで形成される球状の金型の中に金属を充填してボール材を成形するものである。
【特許文献1】特開2000−54199号公報
【特許文献2】特開2003−181590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された熱間転造においては、転造の際に素材を加熱しているので、金属ボールの結晶粒が粗大化してしまう。このため、熱間転造により製造されたメッキ用アノード銅ボールを使用した場合にスラッジが多く発生するといった問題があった。また、表面に酸化膜が形成されるので、熱間転造後に酸洗等の処理を行う必要があった。
さらには、素材自体を回転させるために素材を短尺に切断して成形ロールの間に供給することになるが、素材の両端はボール状に成形することができないため、製品に対して成形不良品が多く発生してしまう。
【0005】
一方、特許文献2に開示された冷間鍛造においては、素材を加熱していないので結晶粒の粗大化や酸化膜の形成等の問題はないが、真球度の高い金属ボールを成形することは困難であった。また、球状の金型の中に金属を充填してボール材を成形しているので、素材と金型との接触面積が広く、大きな動力及び設備が必要となる。また、ボール成形時の騒音が大きくなるといった問題があった。
【0006】
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、素材を加熱することなく金属ボールを効率良く成形することができる金属ボールの製造方法、これに用いられる金属ボールの製造装置、及びこの金属ボールの製造方法によって製造されたメッキ用アノード銅ボールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために、本発明に係る金属ボールの製造方法は、少なくとも一組の成形ロールを用いて冷間転造することにより、長尺状の素材からボール材を成形する金属ボールの製造方法であって、前記素材が軸線に沿って延びるように配置され、前記一組の成形ロールは、それぞれの回転軸を中心として自転するとともに、前記軸線を中心として前記素材の外周面に沿って公転することにより、前記素材からボール材を成形することを特徴としている。
【0008】
また、本発明に係る金属ボールの製造装置は、少なくとも一組の成形ロールを用いて冷間転造することにより、長尺状の素材からボール材を成形する金属ボールの製造装置であって、前記一組の成形ロールと、前記素材を軸線に沿って延びるように支持する素材支持部と、前記一組の成形ロールをそれぞれの回転軸を中心として自転させるロール自転駆動手段と、前記一組の成形ロールを前記軸線を中心として公転させるロール公転駆動手段と、を備えていることを特徴としている。
【0009】
この構成の金属ボールの製造方法及び金属ボールの製造装置においては、一組の成形ロールがそれぞれの回転軸を中心として自転するとともに、軸線を中心として前記素材の外周面に沿って公転するので、素材を回転させることなくボール材を成形することができる。よって、素材を短く切断する必要がなくなり、例えばコイル状に巻かれた線材を素材として使用することができ、ボール材を効率良く成形することができる。また、長尺素材を予め切断する必要がないので、成形の初期及び終期に発生する成形不良品を少なくすることができる。
【0010】
また、素材を加熱することなく冷間で転造しているので、結晶粒の粗大化や酸化膜の発生といった問題がない。
さらに、転造によってボール材を成形しているので、素材とロールとの接触面積が鍛造に比べて小さく動力を抑えることができるとともに、真球度の高い金属ボールを成形することができる。
【0011】
なお、一組の成形ロールによって素材からボール材を成形するのみでなく、一組の成形ロールを多段に配置して、順次これらの成形ロールへと素材を供給してボール材を成形してもよい。
また、一対の成形ロールの外周面に断面半円形をなすネジ状の成形溝を形成し、これらの自転の回転軸を互いに傾斜させ、素材の回りを公転させてボール材を成形してもよい。
【0012】
ここで、前記成形ロールの外周部によって前記素材の外周面に径方向内側に向けて凹む凹溝を形成するとともに、前記成形ロールを径方向内側に向けて食い込ませながら前記凹溝の溝幅を漸次狭くして前記素材を切断することにより、前記ボール材を成形するように構成してもよい。
この場合、成形ロールの外周部を前記素材の外周面に押し当てながら素材の外周面に沿って公転することで、素材の外周面に凹溝を形成していき、この凹溝の溝深さを深くするにしたがい溝幅を漸次狭くして切断することで、切断した端面を半球状に成形することができる。これを繰り返すことにより、効率良くボール材を成形することができる。
【0013】
また、前記成形ロールを、周方向に直交する断面形状が周方向に沿って変化するプロフィールロールとしてもよい。
この場合、一組の成形ロールを素材の外周面に沿って公転させることで、素材を順次ロールの外周面形状に合わせた形状とすることができ、ボールの成形をスムーズに行うことができる。
【0014】
さらに、前記成形ロールの外周面に、径方向外側に向けて突出する1条の成形突条部を形成してもよい。
この場合、前記素材は、成形ロールと1条の成形突条部の先端面及び両側面で接触することになり接触面積が小さくなるので、成形ロールを駆動する動力を小さくすることができる。これにより、成形できる金属ボールの外径を大きくすることができる。
【0015】
また、金属ボールの製造装置に、前記素材を間欠的に前記一組の成形ロール間に供給する供給手段を設けることが好ましい。
この場合、例えばコイル状に巻かれた長尺素材を切断することなく順次成形ロールに供給することができるので、さらに効率良く金属ボールを成形することができる。
【0016】
本発明に係るメッキ用アノード銅ボールは、前述の金属ボールの製造方法により製造されたことを特徴としている。
このメッキ用アノード銅ボールは、冷間転造によって成形されているので、結晶粒が粗大化することがなく、スラッジの発生を抑制することができる。さらに、表面に酸化膜が形成されないので、酸洗などの表面処理を行う必要がない。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、素材を加熱することなく金属ボールを効率良く成形することができる金属ボールの製造方法、これに用いられる金属ボールの製造装置、及びこの金属ボールの製造方法によって製造されたメッキ用アノード銅ボールを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態について添付した図面を参照して説明する。図1及び図2に、本発明の金属ボールの製造装置を示す。また、図3に成形ロールを、図4にボール成形工程の概略を示す。
本実施形態である金属ボールの製造装置10は、直径8〜24mmのメッキ用アノード銅ボールを成形するものである。
【0019】
この金属ボールの製造装置10は、原料となる銅線素材Sを軸線Lに沿って延びるように支持する素材支持部としての支持治具11及びピンチロール12と、金属ボールBを成形するボール成形部20とを備えている。
なお、メッキ用アノード銅ボールの原料となる銅線素材Sは、例えば酸素含有量が20ppm以下の低酸素銅やリン脱酸銅で構成されており、ベルトキャスター式連続鋳造機によって連続的に製出した鋳塊を連続圧延機で圧延することでコイル状に製出されたものである。
【0020】
ピンチロール12は、長尺の銅線素材Sを一方側(図1において右側)からボール成形部20へと挿入するとともに銅線素材Sを支持する。また、支持治具11は、ボール成形部20の他方側(図1において右側)に配置され、一方側を向く面が他方側に向けて凹む凹曲面状に形成されている。なお、この支持治具11は、軸線L方向に進退可能に構成されている。
また、この支持治具11よりも一方側部分には、銅線素材Sの振れを防止するための振れ止めロール13が設けられている。
【0021】
ボール成形部20は、ハウジング21と、ハウジング21の内部に収容され、前記軸線Lに沿って延びる円筒状をなすリングフレーム22と、を備えている。
このリングフレーム22の内周面には、少なくとも一組の成形ロール30が配設されており、本実施形態では、図1及び図2に示すように、一対の成形ロール30が互いに対向するように配設されている。
【0022】
これら成形ロール30は、成形ロール30の側面から突出した支持軸部31が円筒状をなすリングフレーム22の内周面から径方向内側に向けて突出した軸受支持部23によって支持され、回転軸M回りに回転可能とされている。そして、これら成形ロール30は、それぞれの回転軸Mが、互いに平行に、かつ、前記軸線Lに対しても平行となるように配置されるとともに、前記軸線Lを挟んで互いに対向するように配置されている。
【0023】
また、これら成形ロール30の支持軸部31の一方側端部には、外周面にギア歯が形成された回転ギア32がそれぞれ配設されている。
この回転ギア32には、内周面に内歯を有するリングギア24が歯合されている。このリングギア24の内歯には、第1駆動モータ25の動力軸に配設された第1駆動ギア25Aが歯合されており、この第1駆動モータ25によってリングギア24を前記軸線Lを中心として回転させることができるように構成されている。
第1駆動モータ25によってリングギア24を回転させると、リングギア24に歯合された回転ギア32が回転して、一対の成形ロール30を同時にそれぞれの回転軸M回りに回転させることができる。つまり、前記第1駆動モータ25及びリングギア24が、成形ロール30をそれぞれの回転軸M回りに自転させるロール自転駆動手段26を構成しているのである。
【0024】
また、リングフレーム22の外周面には、ギア歯が形成されており、第2駆動モータ27の動力軸に配設された第2駆動ギア27Aが歯合されている。これにより、リングフレーム22は第2駆動モータ27によって軸線Lを中心として回転可能とされている。ここで、リングフレーム22が回転すると、リングフレーム22の内周面から突設された軸受支持部23によって支持されている成形ロール30も軸線Lを中心として公転することになる。つまり、第2駆動モータ27及びリングフレーム22が、成形ロール30を軸線L回りに公転させるロール公転駆動手段28を構成しているのである。
ここで、第1駆動モータ25及び第2駆動モータ27の回転数は、銅線素材Sを回転させるようなトルクが生じないように調整されている。
【0025】
成形ロール30は、径方向外側に向けて突出して円周方向に沿って延びる1条の成形突条部33を備えており、図3に示すように、成形突条部33の突出高さが円周方向で漸次変化するように構成されている。なお、本実施形態においては、図4に示すように、成形突条部33の幅も円周方向で漸次変化し、成形突条部33の突出高さが高くなるとともに幅が狭くなるように構成されている。また、成形突条部33の側面は、円周方向に直交する断面が凹曲線状をなしており、成形突条部33の最も高く突出された部分では1/4円弧状をなしている。
そして、成形突条部33の最も高く突出された部分では、一対の成形ロール30、30同士の成形突条部33が互いに接触するように構成されている。
【0026】
次に、ボール成形部20における金属ボールBの成形工程を説明する。まず、他方側端部が半球状に成形された銅線素材Sをピンチロール12によってボール成形部20へと挿入し、支持治具11に銅線素材Sの他方側端部を当接させる。これにより、銅線素材Sの軸線が軸線Lに一致するように配置される。
ここで、成形ロール30をそれぞれの回転軸M回りに自転させながら、軸線Lを中心として銅線素材Sの外周面に沿って公転させる。
【0027】
すると、銅線素材Sの外周面に成形ロール30の成形突条部33が押し当てられ、銅線素材Sの外周面に径方向内側に向けて凹む凹溝が形成される。成形突条部33の突出高さが次第に高くなっているので、成形突条部33が銅線素材Sの外周面に食い込んでいき銅線素材Sを塑性変形させる。ここで、成形突条部33の幅が突出高さが高くなるに連れて狭くなり成形突条部33の側面が凹曲面状をなしているので、銅線素材Sの外周面に形成された凹溝は、溝深さが深くなるにしたがい漸次溝幅が狭くなるように変形し、成形突条部33の側面がなす凹曲面に沿うような形状となる。
【0028】
成形突条部33の突出高さが最も高くなる部分では、それぞれの成形ロール30の成形突条部33が互いに接触することになり、銅線素材Sが切断される。成形突条部33の最も高く突出された部分では、成形突条部33の側面の円周方向に直交する断面が1/4円弧状をなしているので、銅線素材Sの切断端面がそれぞれ半球状に形成される。このようにして、メッキ用アノード銅ボール(金属ボールB)が成形される。その後、支持治具11を他方側に向けて移動して金属ボールBを外部に排出し、支持治具11を所定位置に戻す。
【0029】
そして、他方側端部が半球状に成形された銅線素材Sを他方側に向けて送り込み、ボール成形部20へと挿入し、支持治具11に銅線素材Sの他方側端部を当接させる。これを繰り返すことにより、コイル状に巻かれた長尺の銅線素材Sから金属ボールBを連続的に成形する。なお、このボール成形では、銅線素材Sが半径方向に盛り上がるように変形するため、銅線素材Sの初期外径よりも成形された金属ボールBの外径は大きくなる。
【0030】
図5に銅線素材Sと成形ロール30との位置関係を示す。リングフレーム22の公転角度をθ1、銅線素材Sの無すべり位置半径をr1、成形ロール30の自転角度をθ2、成形ロール30の無すべり位置半径をr2とすると、成形ロール30と銅線素材Sとは転がり接触するので、θ1×r1=θ2×r2であり、リングフレーム22の公転角度θ1は、θ1=(r2/r1)×θ2となる。
本実施形態においては、成形ロール30が一回転したときに金属ボールBが1個成形されるので、リングフレーム22が(r2/r1)回転したときに金属ボールBが1個成形される。
【0031】
ここで、成形ロール30の半径r2と銅線素材Sの半径r1の比は、成形ロール30の軸剛性を考慮した場合、通常、(r2/r1)=5〜10程度とされる。このことから、本実施形態においては、リングフレーム22が軸線L中心に5〜10回転することで、1個の金属ボールBが成形されることになる。なお、この半径比r2/r1は、成形する金属ボールの材質やボール半径などを考慮して適宜設定することができる。
【0032】
このような構成とされた金属ボールの製造装置10においては、一対の成形ロール30が、それぞれの回転軸Mを中心として自転するとともに、軸線Lを中心として銅線素材Sの外周面に沿って公転するように構成されているので、銅線素材Sを回転させることなく銅線素材Sの外周面に加工を施して金属ボールBを成形することができる。このため、銅線素材Sを予め短尺に切断する必要がなく、コイル状に巻かれた長尺の銅線素材Sから金属ボールBを連続的に成形することができる。
また、本実施形態においては、成形の初期及び終期に半球状の成形不良品が発生することになるが、長尺の銅線素材Sを予め切断することなくボール成形部20に挿入することができるので、成形不良品の発生量を抑えることができる。
【0033】
また、成形ロール30に、径方向外側に向けて突出して円周方向に沿って延びる1条の成形突条部33が設けられ、この成形突条部33の突出高さが円周方向で漸次変化するように、かつ、成形突条部33の幅も円周方向で漸次変化し、成形突条部33の突出高さが高くなるとともに幅が狭くなるように構成され、成形突条部33の側面が円周方向に直交する断面において凹曲線状をなしているので、一対の成形ロール30の外周面を銅線素材Sに押し当てて塑性変形させることで、金属ボールBを成形することができる。
【0034】
さらに、成形ロール30に、1条の成形突条部33が設けられているので、銅線素材Sは、成形ロール30と、成形突条部33の先端面及び両側面で接触することになり、接触面積を小さくすることができる。これにより、成形ロール30を駆動する第1駆動モータ25、第2駆動モータ27の出力を小さくすることができ、比較的大径の金属ボールBを成形することが可能となる。
【0035】
また、銅線素材Sを支持するピンチロール12が、銅線素材Sを間欠的にボール成形部20に供給する供給手段として作用するので、銅線素材Sを順次成形ロール30に供給でき、効率良く金属ボールBを成形することができる。
さらに、本実施形態では、銅線素材Sの他方側端部を支持する支持治具11が備えられているので、銅線素材Sの軸線L方向位置が安定し、真球度の高い金属ボールBを成形することができる。これに加えて、銅線素材Sの振れを防止する振れ止めロール13が配設されているので、一層精度良く金属ボールBを成形することができる。
【0036】
さらに、この金属ボールの製造装置10により成形されたメッキ用アノード銅ボールは、銅線素材Sを加熱することなく冷間で転造しているので、結晶粒が粗大化することがなく、スラッジの発生を抑制することができる。さらに、表面に酸化膜が形成されないので、酸洗などの表面処理を行う必要がない。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、成形ロールに1条の成形突条部を設け、この成形突条部の突出高さが円周方向に1周にわたって漸次変化するものとして説明したが、これに限定されることはなく、図6に示すように、2つの成形突条部を円周方向に縦列するように形成してもよい。この場合、この成形ロールが回転軸M回りに半回転するたびに金属ボールが1個成形されることになる。
【0038】
また、銅線素材からメッキ用アノード銅ボールを成形するものとして説明したが、これに限定されることはなく、他の金属ボールの成形にも適用することができる。
さらに、直径8〜24mmのメッキ用アノード銅ボールを成形するものとして説明したが、金属ボールの材質に合わせてボール径を変更することが好ましい。
【0039】
また、一対の成形ロールを備えたものとして説明したが、これに限定されることはなく、成形ロールを多段に配置して、これらの成形ロールに順次素材を供給するものであってもよい。
また、一対の成形ロールの外周面に断面半円形をなすネジ状の成形溝を形成し、これらの自転の回転軸を互いに傾斜させ、素材の回りを公転させる構成としてもよい。
【0040】
また、銅線素材をベルトキャスター式連続鋳造機と連続圧延機とで製造されるもので説明したが、これ以外の方法で製造されていても良く、例えばビレット材を高温押し出しすることで長尺の銅線素材を製造してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態である金属ボールの製造装置の側面概略図である。
【図2】図1に示す金属ボールの製造装置の軸線に直交する断面の概略図である。
【図3】図1に示す金属ボールの製造装置に備えられた成形ロールの説明図である。
【図4】図1に示す金属ボールの製造装置によって金属ボールを成形する様子を示す工程図である。
【図5】成形ロールと素材との接触状態を示す説明図である。
【図6】成形ロールの他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0042】
10 金属ボールの製造装置
11 支持治具(素材支持部)
12 ピンチロール(素材支持部/供給手段)
26 ロール自転駆動手段
28 ロール公転駆動手段
30 成形ロール
33 成形突条部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一組の成形ロールを用いて冷間転造することにより、長尺状の素材からボール材を成形する金属ボールの製造方法であって、
前記素材が軸線に沿って延びるように配置され、
前記一組の成形ロールは、それぞれの回転軸を中心として自転するとともに、前記軸線を中心として前記素材の外周面に沿って公転することにより、
前記素材からボール材を成形することを特徴とする金属ボールの製造方法。
【請求項2】
前記成形ロールの外周部によって前記素材の外周面に径方向内側に向けて凹む凹溝を形成するとともに、前記成形ロールを径方向内側に向けて食い込ませながら前記凹溝の溝幅を漸次狭くして前記素材を切断することにより、前記ボール材を成形することを特徴とする請求項1に記載の金属ボールの製造方法。
【請求項3】
少なくとも一組の成形ロールを用いて冷間転造することにより、長尺状の素材からボール材を成形する金属ボールの製造装置であって、
前記一組の成形ロールと、
前記素材を軸線に沿って延びるように支持する素材支持部と、
前記一組の成形ロールをそれぞれの回転軸を中心として自転させるロール自転駆動手段と、
前記一組の成形ロールを前記軸線を中心として公転させるロール公転駆動手段と、
を備えていることを特徴とする金属ボールの製造装置。
【請求項4】
前記成形ロールは、周方向に直交する断面形状が周方向に沿って変化するプロフィールロールであることを特徴とする請求項3に記載の金属ボールの製造装置。
【請求項5】
前記成形ロールの外周面には、径方向外側に向けて突出する1条の成形突条部が形成されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の金属ボールの製造装置。
【請求項6】
前記素材を間欠的に前記一組の成形ロール間に供給する供給手段が備えられていることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれかに記載の金属ボールの製造装置。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の金属ボールの製造方法により製造されたことを特徴とするメッキ用アノード銅ボール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−110360(P2008−110360A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−293883(P2006−293883)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)