説明

金属効果を有する難燃性板材料

本発明は、金属効果を有するようにイリオジン顔料で着色された、ポリフェニレンスルホン(PPSU)またはポリカーボネート(PC)からなる難燃性プラスチック成形体に関する。前記効果は航空機部屋での通常の負荷に強く、その都度の防火の要求を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属表面を有し、航空機の内装部品に使用されるプラスチック成形体に関する。
【0002】
従来の技術
航空機の内装部品のためのプラスチック成形体は公知であり、商標名、Europlex(登録商標)FおよびEuroplex(登録商標)PPSUとしてRoehm社から販売されている。
【0003】
EuroplexFは被覆され、着色された、耐衝撃性、難燃性ポリカーボネート(PC)タイプであり、EuroplexPPSUは同様に被覆され、着色された耐衝撃性、難燃性ポリフェニルスルホン(PPSU)であり、OSU65/65試験(FAR25.853による熱放出試験)を満たす。PCはFAR25.853(a)(1)(i)、(a)(ii)および防煙性および毒性に関する要求を満たし、PPSUは更にFAR25.853(c)の要求を満たす。
【0004】
この板は0.8〜8.0mmの厚さで供給され、幅は最大1.400mmである。この板から、特に椅子の被覆、タブレット、ドアおよびドア枠被覆およびランプカバーを製造する。
【0005】
EuroplexFまたはEuroplexPPSUからなる、被覆された、透明でない成形材料にもとづくプラスチック成形体に金属の装飾を備えるために、従来は、金属塗装が一般的であった。しかし塗装は引っかきおよび衝撃に強くなく、塗装した物品が乗り物の部屋の日常の運転で急速に見栄えがしなくなる欠点を有する。
【0006】
被覆されたまたは不透明な基礎成形材料への従来の金属顔料の使用は当然ながら塗装の効果を達成しない。更に微細に粉砕した金属粒子を基礎とする従来の金属顔料はその芯作用により金属顔料を備えたプラスチック成形体の燃焼特性を劣化する。
【0007】
課題
従って、プラスチック成形体を乗り物内装部品に使用できないほど、プラスチック成形体の燃焼特性を劣化しない、プラスチック成形体のための、例えば典型的な金属効果を有する成形材料を開発する課題が存在した。更に金属表面は乗り物の部屋で通常の負荷に対して丈夫であるべきである。金属顔料の色の印象は例えばRAL9006/9007の色合いに相当すべきである。使用される顔料はPPSUの処理温度(押出し器のスクリュー温度約350〜380℃)で安定であるべきである。
【0008】
被覆され、着色された基礎材料(または不透明材料)を使用して、十分な金属効果を達成しない(効果は隠蔽される)。透明な基礎成形材料にもとづき出発状況はよくなるが、この場合にも燃焼特性の影響の問題が存在する。
【0009】
解決手段
前記課題は、金属作用する表面を有する、透明な、難燃性PCおよびPPSU成形材料を基礎とする難燃性プラスチック成形体により解決され、その際顔料としてイリオジン顔料および場合により色合いに影響する着色剤を使用する。
【0010】
発明の構成
プラスチック成形体のプラスチックとして透明な難燃性ポリカーボネート(PC)のほかにポリスルホン(PSU)、ポリフェニルスルホン(PPSU)およびポリエーテルスルホン(PES)が該当する(製造者、Bayer社、BASF、Solvay)。
【0011】
顔料イリオジンはMerck社から販売されている。
【0012】
イリオジン顔料の配合は例えば相当するプラスチックおよびイリオジン顔料からマスターバッチの形で行う。マスターバッチはイリオジン顔料2〜50質量%からなり、残りはプラスチック粒状物である。場合により更に通常の助剤または色を与える着色剤を添加できる。
【0013】
プラスチック成形体の押出のために、プラスチック成形材料に、イリオジン顔料の量が組成物中で決められた量に相当するほど多くマスターバッチを添加する。
【0014】
本発明の組成物の板への押出は通常の押出機上で行う。
【0015】
溶融温度はPPSUの場合は約350〜380℃であり、つや出し器温度は約180℃であり、ポリカーボネートの場合は、溶融温度は約270〜280℃であり、つや出し器温度は約120℃である。
【0016】
プラスチック成形体は、深しぼり法または熱成形のような通常の方法により更に成形できる。
【0017】
イリオジン顔料および着色剤の濃度の変動により金属、金、銀、いぶし銀または銅を表わすことができる。
【0018】
実施例
例1
組成
PPSU成形材料、透明 98.799%
(EuroplexPPSU99470)
イリオジン123明るい光沢のサテン 1%
ColortekOT−0005−BON 0.2%
Printex60(Degussa) 0.001%
混合物から厚さ1.5mmの板を押し出した。
【0019】
例2
例1と同じ混合物から厚さ1mmの板を押し出した。
【0020】
例3
例1と同じ混合物から厚さ2.0mmの板を押し出した。
【0021】
比較例4
組成
PPSU成形材料、透明 99.00%
(EuroplexPPSU99470)
金属顔料 1.0%
例1と同じ混合物に、例4においてイリオジンの代わりに市販された金属研磨粉末(金属顔料)を配合し、厚さ1.5mmの板に押し出した。
【0022】
比較例5
例4と同じ混合物、金属顔料を厚さ1.5mmの板に押し出した。
【0023】
FAR25.853による熱発生試験の結果
【表1】

【0024】
試料の熱の発生(KW分/m、KW/mで測定した)は、本発明による組成物を使用する場合に65/65KW分/m、KW/m(HR、HRR)の決められた限界値より明らかに低く維持される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属作用表面を有する、透明な、難燃性ポリカーボネート(PC)またはポリフェニレンスルホン(PPSU)からなる難燃性プラスチック成形体において、顔料としてイリオジン顔料を使用することを特徴とする、難燃性プラスチック成形体。
【請求項2】
イリオジン顔料の量がプラスチック成形体から製造した成形材料に対して0.1〜10質量%である請求項1記載の難燃性プラスチック成形体。
【請求項3】
請求項1記載の難燃性プラスチック成形体を製造する方法において、必要な量のイリオジン顔料をマスターバッチ中で成形材料に添加し、自体公知方法でプラスチック成形体に押し出すことを特徴とする、請求項1記載の難燃性プラスチック成形体を製造する方法。
【請求項4】
プラスチック成形体が厚さ1.0mm〜12mmを有する請求項3記載の方法。
【請求項5】
RAL9007HRによる色の印象を有する請求項1記載の難燃性プラスチック成形体。
【請求項6】
RAL9006HRによる色の印象を有する請求項1記載の難燃性プラスチック成形体。

【公表番号】特表2008−511696(P2008−511696A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528627(P2007−528627)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006452
【国際公開番号】WO2006/024331
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】